化石のなかには、研究するために顕微鏡を使わなければならない大きさの化石があり、それを微化石と呼んでいます。微化石には珪藻・石灰質ナンノ化石(円石藻)などの藻類、放散虫や有孔虫などの原生動物など微生物とよばれる体サイズが小さなもののほか、花粉や胞子など大型植物
日本列島の基盤をつくる古い時代の地層の大部分は大型化石を産出しない砂岩や泥岩とチャート、石灰岩などからできた地質体でした。そのうち石灰岩からは古生代の化石が見つかるので、「秩父古生層」とよばれていました。その南に広がる四万十帯は、石灰岩が含まれていないために時代がわからず、時代未詳中生層(時代は詳しくわからないが、たぶん中生代の地層だろうということ)とよばれていたのです。
1970年代後半になって泥岩やチャートをフッ酸という薬品で処理することで、放散虫化石が含まれていることがわかり、しかも時代決定に有効なことも判明しました。
1980年代にはいると日本列島の各地で放散虫化石によって地層の時代の見直し作業がいっせいに始められました。その結果、古生代のペルム紀と考えられていた「秩父古生層」の大部分が実は1億年近くも新しい中生代ジュラ紀にできたことや、それらの地層が海のプレートの沈み込みによってつくられた付加体であることなどがわかってきました。時代未詳中生層とされていた四万十帯は白亜紀後半にできた付加体で、世界の付加体研究のモデルになるほど詳しく研究されるようにもなりました。放散虫化石の研究によって、日本列島のおいたちが大きく書き換えられたのです。