画像:年表、始新世・漸新世

古第三紀・神戸層群の化石

中生代が終わり、新生代・古第三紀になると、ローラシア大陸は分裂し、北アメリカ大陸とユーラシア大陸になりました。白亜紀の末にアフリカ大陸の東にあったインド大陸は、北に向かって移動し、約4000万年前にユーラシア大陸と衝突し、世界最大の山脈となるヒマラヤ山脈の形成が始まりました。新生代は寒冷化が進む時代ですが、古第三紀はまだ温暖でした。始新世始めの5500万年前ごろに特に温暖な時期があり、始新世の終わりに気候が寒冷化しました。その後、寒暖を繰り返し、新第三紀になります。

近畿地方で見られるこの時代の地層には、神戸市、淡路島北部、三田盆地に分布する神戸層群があります。神戸層群は、日本列島がまだユーラシア大陸から分かれていない頃(新生代古第三紀始新世〜漸新世、約3700万年前から3100万年前)の地層です。もっとも古い部分には海にたまった地層があり、ユーラシア大陸の東の端の浅い海にたまった地層と考えられます。カキの貝殻が密集した層や貝の化石が見つかります。その後、海が退き、川の周りにたまった地層が広がり、ここからは、サイの仲間のアミノドン類やたくさんの植物化石が見つかります。植物化石の中には、ヤベフウ(マンサク科)、ヨコヤマヌマミズキ(ヌマミズキ科)などの、日本が大陸と分かれてからは見られない植物化石も含まれています。シュロ(ヤシ科)やバショウ科の植物が見られるので、冬も寒くはならない温暖な気候であったと考えられています。メタセコイア属(ヒノキ科)、ブナ属・コナラ属(ブナ科)など、日本列島の植物の原型と考えられる化石も含まれています。

脊椎動物化石

  • 画像:ザイサンアミノドン類の右下犬歯
    ザイサンアミノドン類の右下犬歯
    下顎骨から出ていた部分の根本付近が,えぐれるようなすり減り方をしている.始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.長さ17.5cm.兵庫県立人と自然の博物館所蔵.
  • 画像:ザイサンアミノドン類の左下頬歯列
    ザイサンアミノドン類の左下頬歯列
    始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.長さ29cm.兵庫県立人と自然の博物館所蔵.
  • 画像:アミノドン類の上顎臼歯の破片
    アミノドン類の上顎臼歯の破片
    明石海峡大橋の橋脚の位置で,掘られたボーリングコアから見つかった.始新世~漸新世.兵庫県神戸市明石海峡海底.高さ4.8cm.
  • 画像:神戸層群産貝化石
    神戸層群産貝化石
    マメクルミガイ属の一種.始新世.兵庫県淡路市.幅1.5cm.
  • 画像:カキの密集層(縦断面)
    カキの密集層(縦断面)
    淡路島の神戸層群の最下部には,貝殻が密集した石灰岩が見られ,鍾乳洞が形成されている.始新世.兵庫県淡路市.高さ18cm.
  • 画像:オオミツバマツ(マツ科)の短枝,ヤベフウ(マンサク科)の葉,タナイカシ(ブナ科)の葉
    オオミツバマツ(マツ科)の短枝,ヤベフウ(マンサク科)の葉,タナイカシ(ブナ科)の葉
    始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.ブロックの幅47cm.
  • 画像:ヨコヤマヌマミズキの葉(ヌマミズキ科)
    ヨコヤマヌマミズキの葉(ヌマミズキ科)
    葉が密集している.始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.ブロックの幅54cm.
  • 画像:シュロの一種(ヤシ科)
    シュロの一種(ヤシ科)
    葉がW文字型にたたまれている様子がわかる.始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.幅32cm.
  • 画像:ヤベフウ(マンサク科)
    ヤベフウ(マンサク科)
    深く切れ込んだ3裂の葉.刺のある球体はフウ属の果実.始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.中央の裂片の長さ10.5cm.
  • 画像:フウ属の一種(マンサク科)
    フウ属の一種(マンサク科)
    現生のタイワンフウに似た形をしている.始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.幅12.3cm.
  • 画像:メタセコイアの一種(ヒノキ科)
    メタセコイアの一種(ヒノキ科)
    細長い葉が対生している.始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.
  • 画像:メタセコイアの一種の球果(ヒノキ科)
    メタセコイアの一種の球果(ヒノキ科)
    ウロコ模様が縦に並ぶ.始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.長さ1.8cm.
  • 画像:メタセコイアの一種の雄花(ヒノキ科)
    メタセコイアの一種の雄花(ヒノキ科)
    雄花の集まりが対生している.始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.長さ2.8cm.
  • 画像:オオガフタバマツの球果(マツ科)
    オオガフタバマツの球果(マツ科)
    始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.長さ6cm.
  • 画像:オオミツバマツ雄花(マツ科)
    オオミツバマツ雄花(マツ科)
    標本の上部に断面が見える標本がある.始新世〜漸新世.
  • 画像:ブナの一種(ブナ科)
    ブナの一種(ブナ科)
    葉の縁に鋸歯がある.始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.長さ4.9cm.
  • 画像:ハコヤナギ属の一種(ヤナギ科)
    ハコヤナギ属の一種(ヤナギ科)
    葉の縁に細かい鋸歯がある.始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.長さ12cm.
  • 画像:タナイカシ(ブナ科)
    タナイカシ(ブナ科)
    葉の縁に針状の鋸歯がある.始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.ブロックの長さ30cm.
  • 画像:バショウ科の一種
    バショウ科の一種
    葉脈が独特である.始新世〜漸新世.兵庫県神戸市.長さ9.5cm.

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