中生代が終わり、新生代・古第三紀になると、ローラシア大陸は分裂し、北アメリカ大陸とユーラシア大陸になりました。白亜紀の末にアフリカ大陸の東にあったインド大陸は、北に向かって移動し、約4000万年前にユーラシア大陸と衝突し、世界最大の山脈となるヒマラヤ山脈の形成が始まりました。新生代は寒冷化が進む時代ですが、古第三紀はまだ温暖でした。始新世始めの5500万年前ごろに特に温暖な時期があり、始新世の終わりに気候が寒冷化しました。その後、寒暖を繰り返し、新第三紀になります。
近畿地方で見られるこの時代の地層には、神戸市、淡路島北部、三田盆地に分布する神戸層群があります。神戸層群は、日本列島がまだユーラシア大陸から分かれていない頃(新生代古第三紀始新世〜漸新世、約3700万年前から3100万年前)の地層です。もっとも古い部分には海にたまった地層があり、ユーラシア大陸の東の端の浅い海にたまった地層と考えられます。カキの貝殻が密集した層や貝の化石が見つかります。その後、海が退き、川の周りにたまった地層が広がり、ここからは、サイの仲間のアミノドン類やたくさんの植物化石が見つかります。植物化石の中には、ヤベフウ(マンサク科)、ヨコヤマヌマミズキ(ヌマミズキ科)などの、日本が大陸と分かれてからは見られない植物化石も含まれています。シュロ(ヤシ科)やバショウ科の植物が見られるので、冬も寒くはならない温暖な気候であったと考えられています。メタセコイア属(ヒノキ科)、ブナ属・コナラ属(ブナ科)など、日本列島の植物の原型と考えられる化石も含まれています。