市民が自然について楽しく学ぶ場として施設を整備し、サービスを向上させるとともに、市民とのパートナーシップを強化して活動の輪を広げます。また、長居植物園や大阪市の博物館群と連携して事業を充実させるとともに、博物館の経営のあり方を見直し改善します。
1.すべての市民、学校が利用できる施設とサービスの充実
現在の本館常設展示は、展示物の劣化が進み、内容的にも手法的にも時代遅れとなっています。平成17年度にはオリエンテーションホールの改装を予定していますが、今後さらに本館の各展示室のリニューアルを実現しなければなりません。そして、来館者一人ひとりの疑問に答え、展示室を活用したワークショップなどのサービスを充実させ、市民が楽しめ、また知的好奇心を満たす博物館にするとともに、学校教育にもより活用しやすい場として整備していかなければなりません。
2.長居植物園との連携
長居植物園は、自然史博物館と共に教育的な植物園をめざすという理念の基に昭和49年、当館と同時に開園しました。博物館では「長居植物園案内」などの行事を続けていますが、植物園との連携は十分とは言えません。今後、園内植栽と館内展示との関連付け、植物園・博物館による共同事業の開発、一体となったプロモーション活動、料金収受体系および動線の改善など、植物園とのいっそうの連携を深め、相互の魅力向上を図ることが必要です。
3.市民とのパートナーシップの強化
大阪に立地する博物館として、地域の自然を愛する人々と結びつきを強め、地域に根ざした博物館として活動する必要があります。当館には博物館を利用して学習する人々による「友の会」があり活発に活動しています。また、さまざまなサークルも当館を拠点に活動しています。平成13年には友の会を母体としたNPO法人である大阪自然史センターが誕生し、大阪およびその周辺の自然関係団体が一堂に会した「大阪自然史フェスティバル」を開催するなど、博物館と市民とを結びつける大きな役割を果たしています。博物館をとりまく市民の輪をひろげるためには、市民をパートナーとして積極的に位置づけ、関係を強化していく必要があります。
4.プロモーション機能の充実
当館の存在は市民の中に必ずしも広く知られているとは言えません。博物館そのものの認知度を高め、事業内容を広く周知し、効果的な宣伝を行うことによって自ら利用を促進しなければなりません。また、大阪市は当館の他に歴史博物館、美術館、科学館をはじめとする各種博物館を設置し、他都市を凌駕する博物館群を誇っています。この点を他館と連携してアピールしていくことも必要です。一方、当館は「西日本自然史系博物館ネットワーク」の中核館として、自然史系博物館の存在意義を市民・行政に訴える活動を加盟館園と連携して行っています。全国的に自然史博物館や地域の自然学習拠点の整備が遅れている中で、このようなキャンペーンを継続することは重要です。
5.博物館の基礎としての調査研究、資料収集保管事業の充実
当館では、各分野の学芸員が自らの調査研究、資料収集活動を基本とし、その成果を展示、普及教育活動において市民に還元するというスタイルを確立してきました。事業の根幹である調査研究、資料収集保管を業務の中に正しく位置づけて推進し、その蓄積を活かしたオリジナリティ豊かで高水準の教育事業を展開し、市民に還元していくことが重要です。
6.経営のあり方を明確にし、改善をはかること
厳しい財政状況のもと、市民サービスを充実させるには経営の効率化が重要な課題です。経営指標を明確にし、その達成に向けて努力しなければなりません。そのためにはサービスを改善し入館者増を図るとともに、歳入の多角化を検討する必要があります。また、歳出についても精査し、組織のあり方を見直して将来を見据えた博物館の運営スタイルを確立していくことが急務です。