ミニ展示「植物の標本を使って研究する」を開催します
令和6年6月1日(土)~令和7年6月1日(日)の間、大阪市立自然史博物館 本館1階にて、研究に利用された植物の標本を、月替わりで展示します。
博物館の収蔵庫に保管されている自然史に関する標本は、自然のことを理解するための基礎的な資料です。大阪市立自然史博物館では約200万点の資料を所蔵しており、そのうち約40万点が植物の標本です。これらの標本は日々、様々な研究者に利用されており、検討が重ねられたのちに、その成果が論文となって公表されます。多くの人にとって、こういった標本の研究利用については縁遠いことだと思います。今回、大阪市立自然史博物館が所蔵する植物の標本のうち、実際に研究利用された標本とその研究成果を展示で紹介することで、多くの方に標本を使った研究の面白さを知っていただければと思います。
このミニ展示では、1年間、毎月テーマを変えて展示を行います。具体的な展示の内容については、その都度、博物館ホームページでお知らせします。
第一回となる令和6年6月はShimai & Ohmori (2023) による日本国内のムジナモの記録をまとめた研究を紹介します。ムジナモはモウセンゴケ科の水生植物で、絶滅危惧植物でもあります。この研究によって国内の標本記録と文献記録が精査され、9都府県35ヵ所のムジナモの記録がまとめられました。当館の標本が25点引用されており、こういった植物の分布記録の解明に、実物の記録である標本が重要であることを紹介します。
6月に紹介する研究:Shimai & Ohmori 2023. Threatened aquatic plant Aldrovanda vesiculosa L.: A review of its discovery and extinction in Japan. Aquatic botany 188:103682. (https://doi.org/10.1016/j.aquabot.2023.103682)
■開催概要
1.名 称:ミニ展示「植物の標本を使って研究する」
2.会 期:令和6年6月1日(土)~令和7年6月1日(日)(展示は月替わり)
3.開館時間:3月~10月:午前9時30分~午後5時00分(入館は午後4時30分まで) 11月~2月:午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)
4.休 館 日:月曜日(月曜が休日の場合はその翌平日)、年末年始(12月28日~1月4日)※臨時開館についてはホームページを参照。
5.場 所:大阪市立自然史博物館 本館1階
6.観 覧 料:常設展入館料(大人300円、高大生200円)
※中学生以下、障がい者手帳など持参者(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料(要証明)。30人以上の団体割引あり。
■主な展示
・実際に研究に利用された植物の標本
・研究成果として公表された論文
・研究に関連する写真
など、展示ケース1つに収まる内容で展示します。月替わりで異なる研究成果を紹介します。
写真1.植物の標本の例。植物の標本の多くはさく葉標本と呼ばれ、平面的に押して乾燥ささた植物と採集地・採集日・採集者などを書いたラベルを台紙に貼ったもの。
写真2.植物の標本が収蔵されている標本棚。大阪市立自然史博物館にはさく葉標本が32万点以上配架されている。
写真3.植物の標本を調査している様子。さく葉標本に貼られた植物とラベルを1枚1枚検討していく。
写真4.検討の過程が示されたラベル。標本の同定に誤りがあった場合など、標本に対して何かしらの見解を示す場合は、台紙に追加ラベルを貼っていく。
写真5.当館が所蔵する展示するムジナモの標本。6月の展示で紹介予定。論文で引用された標本のうち、春日部市樋籠で採られた唯一の標本であり、とても貴重。