テーマ展示「秋山知伸 世界の野生ネコ科動物写真展」を開催します
特別展「ネコ」展開催にちなみ、野生動物写真家・ツアーガイドの秋山知伸さんが世界各地で撮影した野生ネコ科動物の写真展を開催します。彼らの生態を知り尽くした秋山さんの眼で捉えた貴重な一瞬を、この機会にぜひご覧ください。
会期:7月13日(土)〜9月23日(月祝)
会場:大阪市立自然史博物館 本館 ナウマンホール
「ライキピアのクロヒョウ」(ケニア・ライキピア)
2019年にアフリカでクロヒョウが撮影された。アフリカでクロヒョウが確認されたのは110年ぶりのことだという。クロヒョウが確認されたライキピアに2024年の4月に探しに行った。そこにはサファリカーに慣れきったメスのクロヒョウがいた。夜中にサーチライトで2台の車で追跡していた。先回りをして待っているとこちらに向かってくるクロヒョウを確認した。こちらのサファリカーのサーチライトを消し、もう1台のサファリカーの光だけで撮影することで、闇夜に浮かびあがるようなこの写真が撮れた。
「ツシマヤマネコと水田」(日本・対馬)
ツシマヤマネコはベンガルヤマネコの亜種で対馬にしかいない固有亜種である。秋になると低農薬で育てられた水田に集まるイナゴなどを食べに畦で見つかることが多い。対馬にヤマネコを探しに行き驚いたのはシカの多さだった。林床の植物を食べ尽くし、地面が露出し、雨が降ると土砂が川に流れていた。日本中どこでもシカの問題は深刻であるが対馬はその中でも特に酷かった。林床に植物がなければネズミなども住めない。ツシマヤマネコは山には住めなく、田ネコとなっていた。日本で対馬でしか見られない生き物は多いのに対馬の自然は奄美、ヤンバル、小笠原のようには注目を浴びていない。それが毎年、対馬に行く理由にもなっている。
「虹とライオン」(ボツワナ・オカバンゴ)
一般的に雨季は野生動物を観察する季節としては良くないとされる。草丈が高いために動物が見つからなかったり、雷の危険や、泥濘にはまったりする危険性も高くなる。しかし、サバンナでは雨季といっても日本の梅雨のように雨が降り続くわけではなく、激しい雨が数時間降った後は晴れることが多い。雨季は体の埃が雨で流されてきれいな動物が多く、また砂塵も少なく写真にはよいこともある。また虹と野生動物を一緒に撮影できるチャンスもあり、悪くない。
秋山知伸
1973年生まれ。1996年、国際基督教大学教養学部理学科を卒業し、2001年に京都大学院博士課程単位取得退学。生態学を学ぶ。卒業後はフリーランスとして各種の野生生物調査に携わる。2012年から2年間、ウガンダのアヤゴ水力事業の環境影響評書作成のためJICAの専門家として派遣される。その他に、野生動物写真家、国内外の自然を案内するツアーガイドも行う。 著書「ネコ科大型肉食獣の教科書」「BIG CATS」「神の獣 雪豹 ―The Eidolon, Snow Leopard」「世界で一番美しい野生ネコ図鑑」ほか