ミニ展示「植物の標本を使って研究する」 令和7年4月:標本をつくって学校の植物を記録する研究とその関連標本を紹介します

 大阪市立自然史博物館では、所蔵する植物標本を使った研究を月替わりで紹介するミニ展示を開催中です。本展示は、令和6年6月1日(土)から令和7年6月1日(日)まで、本館1階ナウマンホールにてご覧いただけます。第11回となる2025年4月の展示では、小林(2023)による、大阪府立天王寺高等学校に生育する植物を標本にして記録した研究を紹介します。 

 人の手が加わり続けることで環境が変化しやすい都市部では、生物相も大きく移り変わってきました。変化の大きい都市の自然を理解するうえで、現在の生物相を記録することは重要です。大阪市阿倍野区の大阪府立天王寺高等学校に在学していた小林智さんは、在学中に校内の植物をすべて標本にして記録しようと考え、2017年7 月から2 年間にわたり植物の調査と標本収集を行いました。
 調査の結果、104 種の草本植物が確認されました。このうち60 種(57.7%)が帰化植物で、その割合は大阪市内の都市公園と同程度でした。また、大阪市内では当時まだ珍しかった帰化植物のオオヒカゲミズが見つかるなど、新たな発見もありました。
 ある地域に生育する植物をリストアップする植物相調査は、生物多様性を理解するうえで最も基礎的な調査です。本研究で採集された標本はすべて当館に寄贈されており、同定が再確認できる再現性のある研究となっています。こうした確実な地域植物相の研究の積み重ねが、自然環境への理解を深めていきます。

4月に紹介する研究: 小林智 2023. 大阪府立天王寺高等学校の草本植物相.近畿植物同好会々誌.46:29-40.

ミニ展示の概要については過去のWhat‘s new『ミニ展示「植物の標本を使って研究する」を開催します』(https://omnh.jp/archives/11362)をご覧ください。

※なるべく月替わりで展示を入れ替えますが、担当者の都合で入れ替えが数日前後することがあります。ご了承ください。

令和7年4月の展示:天王寺高等学校の植物相の研究とその関連標本の展示の様子。研究で引用されたスズメノカタビラとオオヒカゲミズの標本を展示します。

本展示に関する問合せ:植物研究室・横川