テーマ展示「陸前高田市立博物館コレクションが遺す地域の自然と文化-自然史標本レスキューの現在地点-」を開催します
大阪市立自然史博物館では、令和2年10月16日(金)から令和2年11月29日(日)に、テーマ展示「陸前高田市立博物館コレクションが遺す地域の自然と文化-自然史標本レスキューの現在地点-」を開催します。
東日本大震災で津波に襲われ、令和2年度末に再開館を予定している「陸前高田市立博物館」。岩手県内で最も古い公立博物館である同博物館には、陸前高田市の歴史や文化を伝える数多くの収蔵品とともに、岩手の自然を解明してきたナチュラリスト鳥羽源藏や千葉蘭児などが収集したたくさんの自然史標本が収蔵されていました。
本展では、震災後、全国の博物館で安定化処理されたこれらの標本を展示し、改めて自然史標本の価値とその保存手法をご紹介します。またその後も度重なる自然災害と文化財被害の中で、今後どのように自然史標本を保全し、守っていくのかを考える機会としたいと思います。
●鳥羽源藏について
鳥羽源藏(とば・げんぞう) 1872(明治5)年〜1946(昭和21)年
岩手県気仙郡小友村(現在の陸前高田市小友町)生まれの博物学者。小学校教員、台湾総督府農事試験場技手などを経たのち、岩手県師範学校(現在の岩手大学)で博物学を指導し、郷土の幅広い動植物に関心を寄せた。その過程で植物や貝類を中心に多くの標本を遺し、当時の東北地方の生物相を知るうえで貴重な記録となっている。
●千葉蘭児について
千葉蘭児(ちば・らんじ) 1909(明治42)年〜1993(平成5)年
小友村生まれの貝類学者。鳥羽源藏に師事し、県下で小・中・高校教員をしながらエゾバイ科を中心とする北方海域の貝類を研究し、40の新種を発表した。陸前高田市立博物館設立の際には資料収集や展示設計に尽力し、後年には同館の館長も務めた。自身で収集した膨大な貝類標本は、没後の1994年に開館した陸前高田市海と貝のミュージアムのコレクションの基礎となった。
■主な展示標本
・被災した昆虫標本及び修復品
・鳥羽源藏が収集した植物標本など
・鳥羽源藏・千葉蘭児が収集した貝類標本
・鳥羽源藏関連考古学資料
・鳥羽源藏関連書簡・写真
展示標本数:約100点
■関連展示
・熊本県人吉市の水害で被災した前原勘次郎植物標本
・岩手県遠野市の水害で被災した文献資料
■開催概要
●名 称
テーマ展示「陸前高田市立博物館コレクションが遺す地域の自然と文化-自然史標本レスキューの現在地点-」
●会 期
令和2年10月16日(金)~11月29日(日)※毎週月曜日は休館(ただし11月23日(月祝)は開館、24日(火)が休館)
●開館時間
10月16日(金)~31日(土) 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
11月1日(日)~29日(日) 午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)
●場 所
大阪市立自然史博物館 本館 ナウマンホールなど
●観覧料
常設展入館料(大人300円、高大生200円)
※中学生以下、障がい者手帳など持参者(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料(要証明)。30人以上の団体割引あり。
■関連イベント
●ワークショップ「水損文献資料レスキュー実技講習会」
水害などで被害が発生することの最も多い、文献資料のレスキューについて実際の作業イメージと留意点をお伝えします。文化財レスキューの基礎的な技能の一つです。
・日時:11月22日(日)午前10時〜12時
・講師:松下正和(神戸大学)、前川さおり(遠野文化研究センター)ほか
・会場:大阪市立自然史博物館・実習室
・定員:12名(定員を超えた場合は抽選)
・対象:資料の保存や修復に興味をお持ちの方(中学生以上)
・参加費:無料
・申込み:必要。11月7日(土)までに、大阪市立自然史博物館ホームページ(https://www.omnh.jp/)の「イベント」ページからお申込みください。
・その他:抽選の結果や参加方法などは返信でお知らせします。
・主催:西日本自然史系博物館ネットワーク
●シンポジウム「自然史標本レスキューの現在地点とこれから」
東日本大震災以降、文化遺産保全ネットワークなど、自然史標本を含む災害により被害を受けた文化財を救うための取り組みが進んでいます。しかし、自然史標本のレスキューには、技術的にも、制度的にも、まだ難しい課題が残されています。自然史標本のレスキューと将来の体制構築に向けて、議論を重ねていきます。
・日時:11月22日(日)午後2時~4時
・パネリスト:高妻 洋成(奈良文化財研究所)、副島 顕子(熊本大学)、松下 正和(神戸大学)ほか
・コーディネーター:佐久間 大輔(大阪市立自然史博物館)
・会場:インターネットでの配信
・申込み:必要。11月21日(土)までに、大阪市立自然史博物館ホームページ(https://www.omnh.jp/)の「イベント」ページからお申込みください。返信で配信アドレスをお知らせします。
※この事業は「津波により被災した文化財の保存修復技術の構築と専門機関の連携に関するプロジェクト」の一環として令和2年度文化芸術振興費補助金の助成を受けて実施します。