日本産花粉の標徴Ⅰ・Ⅱ 改訂を公開しています

 花粉を顕微鏡で見たことがありますか?昆虫の体についた花粉やはちみつの中の花粉は、虫たちが訪れた花を教えてくれます。空中を舞っている花粉を捉えて調べると、どんな種類の植物の花が咲いているが分かります。地層中に取り込まれた花粉の化石を調べることで、大昔に生えていた植物の種類が分かります。このような研究ができるのは「花粉の図鑑」があるからです。
 中村 純博士によって研究され、まとめられた図鑑に当たるものが、1980年に刊行された収蔵資料目録第12・13集「日本産花粉の標徴」です。花粉の記載と顕微鏡写真が掲載され、刊行以来40年にわたって花粉や花粉化石の研究をする人達の花粉の同定の頼りにされてきました。
大阪市立自然史博物館には自然史科学の研究の基礎となる様々な資料が収蔵されています。
 このたび、守田益宗先生、黒田登美雄先生により改訂版がデジタル版として作成され、自然史博物館のサイトで公開されました。改訂版では、花粉形態による検索表が付き、分子系統を重視した分類体系への変更、英訳、顕微鏡写真のデジタル化が行われ、すべてweb上で閲覧ができます。
 検索表で種類を調べ、検索表情部の「花粉形態の記載へ」あるいは、サイトの上部の「日本語」「English」をクリックすると日本語や英語の記載に飛ぶことができ、それぞれの種のリンクをクリックすると花粉の顕微鏡写真を見ることができます。
日本産花粉の標徴Ⅰ・Ⅱ 改訂
中村 純・守田 益宗・黒田 登美雄
https://www.omnh.jp/collection/Pollen/
紹介された花粉プレパラートや写真原版はすべて博物館に保存されています。博物館の資料は過去の研究の証拠や記録なだけでなく、今後の研究にも貢献し、活用される資料となっています。