長居植物園・自然史博物館は50周年を迎えました

 長居植物園と自然史博物館は1974年に開園・開館して、本日50周年を迎えました。自然史博物館は、1950年に大阪市立自然科学博物館として開館していましたが、この長居で自然史博物館として新しく開館して50周年となるわけです。
 自然史博物館が構想されたのは、前回50年前の大阪万博が終わった頃ですが、公害や自然破壊が問題となっていて、大阪のような都会に住む人々にとって、自然とどのように向き合っていかなければいけないのか?が問題となっていて、解決に向けた答えの一つとして、植物園・博物館が構想されてきました。開館を知らせるパンフレットに当時の大阪市公園局の局長・加藤一男さまがお寄せいただいた言葉を紹介させていただきますと、そこには

「我々は自然と人間の対話の場を作ることを公園行政の一つの目的として仕事を進めておりますが 当長居植物園ではこれをさらに一歩進めて人間と人間以外の生物の輪廻・いわゆるエコシステム・例えば現実的な植物の作物としての利用から人間の精神的な支えとしての利用、植物同士の相関・植物と土、植物と他の生物の関係を目で確かめる場所を作り、自然史博物館と一体となるような植物園づくりを心がけて参りましたが」


とあります。この内容はまったく古くささを感じない、今でいうSDG’sを先取りしたかのようです。50年前に博物館と植物園が目指してきたことに、50年たってやっと社会が追いついてきたといえると思っています。
 東京の明治神宮の森が100年後の姿を目指して作られたように、この長居植物園、そして自然史博物館も今日の50周年がゴールなのではなく、さらにこのあと10年、20年、そして100周年を迎えても市民のみなさまから愛され、親しまれる存在であり続けるなければいけないと思いますし、運営に携わる私たちはそうあるように努めていかなければいけないと改めて考えるのが本日50周年の機会であると思っています。

2024年4月27日
大阪市立自然史博物館 館長 川端清司