大阪府で約30年ぶりにクマガイソウを発見
当館の横川学芸員も含む研究グループは、大阪府で約30年ぶりにクマガイソウを発見し、その生育状況と遺伝的多様性を明らかにしました。クマガイソウはラン科の多年草ですが大阪府のレッドリストで絶滅危惧I類に指定されており、絶滅が危惧されています。大阪府では長らくクマガイソウの目撃情報などはなかったのですが、2017年4月に著者の一人、菅が大阪府某所で130本のクマガイソウを見つけました。この生育地のクマガイソウについて、マイクロサテライトマーカーを用いて遺伝解析をしたところ、その多くは地下茎による栄養繁殖で増えたもので、遺伝的には3つのクローンだということが明らかになりました。生育状況と遺伝的多様性のデータは今後のクマガイソウの保全の基礎資料となります。
本研究成果は、2018年6月に関西自然保護機構の会誌「地域自然史と保全」に掲載され、2019年6月に公開されました。
掲載論文:
著者:横川昌史*, 菅 久, 山下由美, 兼子伸吾(*は当館学芸員)
論文タイトル:大阪府で見つかったクマガイソウの生育状況と遺伝的多様性
誌名:地域自然史と保全 41巻1号 37-44pp(2019年6月出版)
http://www.omnh.net/konc/2019/06/411_pdf.html