友の会総会2022公開講演会「日本におけるジョン・トーマス・ギュ-リック」見逃し配信中!

1月30日の博物館友の会総会で行われた以下の公開講演会について、演者の方の了解を得て2月末まで見逃し配信をしています。ライブでご覧になれなかった方はぜひご利用ください。
【演題】
日本におけるジョン・トーマス・ギューリック
講師:カロモン・ポール(ドレクセル大学フィラデルフィア自然科学アカデミー 軟体動物・無脊椎動物コレクションマネージャー)
【接続方法】
YouTubeの「大阪市立自然史博物館」チャンネル(https://www.youtube.com/c/大阪市立自然史博物館/)にアクセスして「友の会総会2022 公開講演会」という番組をクリックしてください。番組を見つけられない場合はYouTubeの検索ボックスに「友の会総会2022」を入れるなどして検索してください。
【要旨】
ジョン・トーマス・ギューリック(1832-1923)はカタツムリを材料とした進化学の先駆的な研究で世界的によく知られていますが、彼は日本とも関わりがあり、2度目の日本滞在中の14年間(1875~99年)、ギューリックは日本のアマチュア科学の奨励でも大きな役割を果たしました。日本の近代貝類学の起点である平瀬與一郎の「平瀬貝類博物館」と「介類雑誌」、そして貝類学に生涯を捧げた研究者としての黒田徳米など、これらはすべて京都のキリスト教社会にいたギューリックとその同期の宣教師の影響から生まれたもので、1894~97年のことでした。ギューリックの離日後の20年間に貝類学者ヘンリー・A・ピルスブリーらが果たした1000種以上の日本産貝類の新種記載も、言うまでもなくその流れにあります。
この講演では、ギューリックによるアマチュア自然科学の奨励と、同時期に来日したエドワード・S・モースとその後継者による帝国大学での公教育とを比較・対照し、大陸や海を越えた社会的なネットワークが自然科学に与えた影響について考察します。
John Thomas Gulick in Japan
Though best known in the international scientific community for his pioneering work on the evolution of land snails, J. T. Gulick also played a major role in encouraging amateur science in Japan during the fourteen years of his second stay there (1875-1899). Yoichiro Hirase's Conchological Museum, the Conchological Magazine and the long scientific career of James Tokubei Kuroda - not to mention the description of more than a thousand Japanese mollusk species by H. A. Pilsbry and others between 1899 and 1920 - all stemmed from the influence of Gulick and his contemporaries in the Christian community in Kyoto during the key years 1894-7.
This talk compares and contrasts Gulick's encouragement of amateur natural science with the formal model taught by E. S. Morse and his successors at the Imperial University and considers the influence on natural science of social networks across continents and oceans.