「きのこのヒミツ」展注目展示品その2 南方熊楠菌譜
多くのキノコの展示とともに、美しい彩色図が多数展示されるのも今回の特別展の特徴。
中でも「南方熊楠」氏の菌類図譜は、注目展示物と呼んでいいでしょう。南方熊楠は収集したキノコを詳細に観察し、記載をたっぷりと書きつけて大量の彩色図を作りながら、生前に出版することはありませんでした。このため南方が公式に命名、新発見したキノコは一つもありません。しかし、この詳細な彩色図は、キノコを見るものを引きつけます。これは自分が見たことのあるどのキノコに当たるだろうと、この図と向かい合って問答する時間は、ぜいたくな時間でもあります。
実はこの彩色図には実物のキノコが貼り付けられていることがしばしばあります。詳細な記録付き標本でもあるのです。小林孝人氏はこの標本を調べ、南方没後半世紀を過ぎてから、南方の標本が日本新産の種類であり、このキノコにミナカタトマヤタケという和名を付けています。
特別展示室で、あなたも南方入魂のキノコ標本と対話してみませんか?図に示した写真のミナカタトマヤタケを含め、南方標本は全部で11展が展示されます。