講演とトーク「ふじつぼサロン」―あなたをフジツボ漬にする午後―(5月23日)のお知らせ

 海岸には陸上とは違った風体の生物がひしめきあっています。中でもフジツボは人々にさっぱり理解されていない動物の代表格です。フジツボに心を寄せる講師たちの多彩な話題によって、フジツボの謎に迫り、知られざる姿をとことんまで明らかにしていきます。
 日時:5月23日(日) 午後1時~4時30分
 場所:大阪市立自然史博物館 講堂
 対象:どなたでも参加できます。
 申込:申込みは不要です。直接集合場所・会場へお越しください。
 参加費:無料(ただし、博物館入館料が必要)
 問合せ:館長の山西まで
■プログラム:
1.「フジツボ概論」 倉谷うらら(岩波科学ライブラリー「フジツボ 魅惑の足まねき」著者)
 海辺でよく目にするフジツボ。身近なようで、あまりその実像は詳しくしられていません。殻があるので、貝の仲間だと勘違いされやすい生物ですが、実はエビやカニと同じ甲殻類。そんなフジツボの一生、体のつくり、多様な生態、チャールズ・ダーウィンとの関係…。身近なようで謎のベールにつつまれた甲殻類『フジツボ』の知られざる側面をわかりやすく紹介します。(13:00-14:00)
2.「柄を持ったフジツボ類『カメノテ』のご近所づきあい」 河井崇(阿南工業高等専門学校)
 カメノテはフジツボの仲間ですが、硬い殻の下部に柔軟で長い柄を持った非常に特異的な体をしています。その柄があるゆえに、カメノテは周りの生物達と他のフジツボ類とは異なった関係をきずいています。そんな、知られざるカメノテと磯の生物のかかわりの一端をご紹介します。(14:00-14:20)
3.「海を渡ったフジツボたち」 大谷道夫(株式会社海洋生態研究所)
 一度くっついたら二度とそこから動くことができないフジツボたち。でも、中には船にくっついたりして海を渡ったものたちもいます。そんな仲間は外来種と呼ばれます。日本にいる外来種のフジツボを中心に、海を渡ったフジツボたちの最新情報を紹介します。(14:20-14:40)
 休憩(14:40-15:00)
4.「小さくてもがんばる:矮雄という生き方」 遊佐陽一(奈良女子大学理学部)
 フジツボ類は基本的に雌雄同体ですが、非常に小さな雄(矮(わい)雄(ゆう))がみられる種類があります。これを発見したのはダーウィンですが、なぜ矮雄がいるのかという理由については現在まで明らかにされていません。このような小さな雄がなぜ生じたのか、どのように繁殖しているのか、などについて最近の知見を概観します。(15:00-15:20)
5.「フジツボからみた大阪湾」 山西良平(大阪市立自然史博物館)
 大阪市立自然史博物館の第1展示室に「フジツボから見た大阪湾」というコ-ナ-があります。ここでは大阪湾のパネル上に5種のフジツボの分布地を点滅させ、有機汚濁のめやすとされている海水中のCOD値と重ね合わせるようにしています。このようにフジツボの分布を調べることによって海水の環境診断ができる可能性について考えてみましょう。(15:20-15:40)
 休憩(15:40-15:50)
6.「フジツボなんでもトーク」司会 石田惣(大阪市立自然史博物館)(15:50-16:30)