2011/04/29特別陳列「お披露目!博物館に届いた新しい標本」を開催します
大阪市立自然史博物館では、平成23年4月29日(金・祝)から5月29日(日)まで、特別陳列「お披露目!博物館に届いた新しい標本」を開催します。
主に最近1年間に、博物館資料に加わった動物・植物・昆虫や、化石・岩石の標本の中から、「大阪湾に漂着したマッコウクジラの胃内容物と下顎骨」や「南アルプス鳳凰山の甲虫類」など、約2万点を展示します。
また、夏に開催予定の特別展「化石展(仮称)」の予告として、「神戸周辺から産出する植物化石」と「孔子鳥」も展示します。
なお、今回初めての試みとして、会期初日(29日)には、自然に興味をお持ちのブロガーの皆さんを無料でご招待します。ご自身のブログでこの特別陳列をわかりやすく紹介していただくことによって、さらに市民の皆様の自然への関心が深まり、博物館へ足を運んでいただく機会となれば幸いです(要申込)。
プレスリリース(PDF申し込み詳細付き)
■開催概要
1.期 間 平成23年4月29日(金・祝)~5月29日(日) 28日間
2.休館日 月曜日(ただし、5月2日は臨時開館します)
3.開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
4.会 場 大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール
(花と緑と自然の情報センター2階)
5.所在地 大阪市東住吉区長居公園1-23 長居植物園内
・地下鉄御堂筋線「長居」駅3号出口より東へ800m
・JR阪和線「長居」駅東出口より東へ1000m
6.観覧料 常設展の入館料でご覧になれます。
・大人300円、高校・大学生200円(30人以上は団体割引あり)
・中学生以下、障害者手帳をお持ちの方、または大阪市内在住の65歳以上の方は無料(要証明)
7.標本数 約2万点
ご要望がありましたので館長からのご挨拶メッセージをリンクさせて頂きました
特別陳列開催挨拶(PDF)
■展示の詳細 1.大阪湾に漂着したマッコウクジラの胃内容物と下顎骨 (約 1100点)
2010年5月に堺泉北港に死亡漂着したマッコウクジラ(メス、体長9.1m)は当館が標本として収蔵したが、その際におよそ千数百個体分のイカ類の顎板(歯;いわゆるカラストンビ)を胃から回収した。その顎板から、現在までにダイオウイカをはじめとする7種群のイカ類を確認した。西日本海域におけるマッコウクジラの食性はほとんど知られておらず、貴重なデータとなることが期待される。
2.北米およびアフリカ産イシガイ類標本(42点)
大阪教育大学教授・近藤高貴(こんどうたかき)氏が収集した北米(テキサス州・オハイオ州)およびアフリカ(タンガニイカ湖)産イシガイ類標本。いずれもイシガイ類が適応放散を遂げた場所であり、このグループの多様性が伺い知れる標本群である。
3. 西垣外正行(にしがいとまさゆき)氏鳥類コレクション(30点)
西垣外正行(にしがいとまさゆき)氏の鳥類の本剥製コレクションを展示する。氏は堺市在住で古くから鳥類の死体を入手しては、自ら本剥製を剥製して来られた。そのコレクションの大部分は国立科学博物館に収蔵されているが、晩年のコレクションの一部を寄贈いただいたので展示する。タカ類をはじめ国産の鳥類とともに、外国産の鳥も含まれる。
4.南アルプス鳳凰山(ほうおうさん)の甲虫類 (3,500点)
山梨県韮崎市において、水野弘造(みずのこうぞう)・細田倖市(ほそだこういち)の両氏らによって調査された甲虫類標本が、大阪市立自然史博物館へ寄贈された。ここには人里からブナ 林、さらには標高3,000m近くの亜高山〜高山性の針葉樹林帯と、さまざまな環境があり、2,800種を超える多数の種類が記録された。中にはホウオウセスジハネカクシ、ホウオウコメツキなど、今回の調査によって新種として見つかったものも含まれている。
5.小路嘉明(しょうじよしあき)コレクション(日本産蝶類)(15,873点)
蝶研出版を設立し、日本の蝶学をリードした小路嘉明氏は、1998年に44歳の若さで急逝された。日本産蝶類全種の標本を収集された小路氏のコレクションは、ご自身が好きだったギフチョウ類、クロツバメシジミ、迷蝶の多数の標本を含んでおり、とても貴重なものである。蝶研出版から当館へ寄贈されたそのコレクションを初公開する。
6.新記載された種を含む大阪府高槻市産冬虫夏草菌標本(50点)
高槻市在住の坂根健(さかねたけし)氏が採取した冬虫夏草などの昆虫寄生菌の標本。坂根氏を含む研究者たちによって2009年に新種記載された種、2010年に学会発表された種を含む。 非常に良好な状態の標本であり、研究資料としても大阪の菌類資料としても重要なものである。
7.新名神高速道路建設予定地の植物標本(20点)
新名神高速道路の建設に伴い、高槻市〜箕面市の区間にかけて 詳細な植物調査と標本作製が西日本高速道路株式会社関西支社によって行われ、578種1391点が博物館に寄贈された。このコレクションにはカキツバタやヒロハトリゲモなどの稀産種、ホクリクタツナミソウなどの大阪府初記録の種が含まれる。また、季節を通じて標本が採集されており、一級の生態標本のセットである。
8.大阪平野地下に残された古墳時代の海岸線(2点)
大阪文化財研究所によってJR新今宮駅前の発掘調査が2010年夏に行われ、古墳時代の海岸線付近にたまった地層が確認された。その地層を樹脂を使ってそのままはぎ取り,保存している。今から約1500年前の海岸線が新今宮駅付近であったことが明らかとなり、大阪平野の古地理を復元する上で重要な資料である。
9.京阪中之島線ボーリング資料(1箱)
京阪中之島線の建設工事に伴い掘削された3地点のボーリング資料が、(財)地域地盤環境研究所より寄贈された。深度100m〜300mに及ぶ、保存状態の良好なオールコアボーリングである。沖積層・段丘層に覆われて大阪市内では観察の困難な、大阪層群の海成粘土層や火山灰層が、このボーリングコアによって数多く観察された。地下の地質構造や、大阪平野のおいたちを調べる上で、非常に重要な資料である。