当館の林学芸員が国際誌に論文を発表!「体の骨を溶かして鎧を作った恐竜―骨の内部組織が明らかにした、鎧竜類の特殊な成長様式と進化―」

 このたび、大阪市立自然史博物館 林 昭次学芸員を中心とした日本とドイツの研究チーム(著者一覧参照)による『全身を骨からできた鎧でおおわれた恐竜』鎧竜類(よろいりゅうるい)の古生態に関する研究論文が、アメリカの Public Library of Science社より刊行されている学術雑誌 PLOS ONE において平成25年7月25日午前6時付け(日本時間)で出版されました。
 論文タイトルは 『Long bone histology and growth patterns in ankylosaurs: implications for life history and evolution』 で、日本語訳 は『鎧竜類恐竜の骨組織と成長様式:その生活史と進化』となっており、下記ホームページで閲覧できます (http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0068590)。 
 鎧竜類は、中生代ジュラ紀中期から白亜紀後期にかけての間(約1億年間)、世界中に生息した恐竜です。全身を骨からできた鎧で覆われた奇妙な姿をしていることから、その進化と生態に関して世界的に注目を集めています。国内でも、兵庫県、北海道、富山県や熊本県などから鎧竜類の化石が発見されており、注目を浴びています。
 論文は組織学(骨の内部微細組織)の観点から、世界で初めて鎧竜類の成長様式を研究したもので、従来の鎧竜類の生態を新たにする画期的なものであり、国内外の学会で高い評価を受けています。
研究の要約は下記の通りです。
より詳しい内容については、プレスリリースをご覧ください。
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体の骨を溶かして鎧を作った恐竜
―骨の内部組織が明らかにした、鎧竜類の特殊な成長様式と進化―

研究成果のポイント
◆ 鎧竜類恐竜の体の骨の内部微細組織を世界で初めて分析。
◆ 鎧竜類の成長様式を世界で初めて解明。
◆ 骨の鎧を形成するために、体の骨に蓄積されたカルシウムを利用していた。
◆ 鎧を作り始めると、体の成長はゆっくりになった。
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©新村龍也・足寄動物化石博物館