2018/12/14―24:自然史レガシー事業による展示会「仏教と自然 Where culture meets nature~日本文化を育んだ自然~」 @京都龍岸寺

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2019年ICOM京都大会や2020年オリンピック・パラリンピックの開催が機会となり、我が国の伝統文化や歴史的建造物(レガシー)の活用への期待が高まっています。この企画では、国内各地の自然史博物館が協力し、歴史的建造物がもっ空間の趣と自然史標本のもつ美しさを融合させて、日本の自然と文化の関わりを伝える展示会を京都市下京区の龍岸寺にて開催します。
これまでのシリーズでは、町家や酒蔵で展開してきましたが、今年は寺院を舞台に仏教と自然との関わりをテーマとしました。仏教の教えは、生物や自然界の仕組みとも密接な関わりがあり、仏教の自然観は自然科学の原理と合符するところも多く、人類が自然と共生して暮らしていく上でも大切な視点をもたらしてくれます。寺は長らく地域コミュニティの核の一つであり、町人の子弟に読み書きそろばんを教える学校の役割もはたしていました。会場となる龍岸寺は、日本の天文学の開祖である渋川春海ゆかりの地でもあり、自然科学とも深く関わっています。展示会では、仏教とゆかりのある動植物や祭礼で利用される自然由来のもの、建物やお墓で利用されてきた岩石、動植物の進化の歴史、日本最古の天球儀のプロジェクションマッピング、を展示いたします。関連するセミナーも多数行いますので、関心のある方はぜひウェブサイトもご覧ください。
展示の技術の面でも実験的な取り組みを行います。実際の寺院を利用するため、急な法要が想定されます。こうした際にも、展開も収納も短時間で行える展示のパッケージ化を目指します。本企画が、国内各地の地域資源を掘り起こす一助となれば幸いです。
展示概要  
(1)展示期間:平成30年12月14日(金)~ 24日(月・祝)
(2)会  場:龍岸寺(京都市下京区塩小路通大宮東入八条坊門町564)
(3)開館時間:10時~18時(入場は17時30分まで。最終日は16時まで)
(4)入 場 料:無料
(5)展示コンセプト
   渋川春海の功績紹介、春海が作成した日本天球図のダジックアース
   ・星座になった生き物・仏教に出てくる動物
   ・仏教にゆかりの深い植物・動物の系統樹憂茶羅
(6)展示構成
  ア 渋川春海が見た宇宙
    渋川春海は日本初の天文学者で日本初の暦を作った人物である。会場の龍岸寺は渋川の
    実家の跡地にあるため、渋川の功績と彼がつくった天球図の紹介を行う。
  イ 星座になった生き物
    渋川がつくった日本独自の星座は、中国星座に似せて国の職階が多く使われているが、
    なかにはオオカミやコウノトリ等、動物の星座も登場する。星座になった動物を紹介する。
  ウ 仏教にゆかりの深い植物
    仏教は元来樹木崇拝が盛んなインドで誕生し、仏教にも数多くの植物が登場する。
    釈迦が悟りをひらいた菩提樹、入滅した沙羅双樹などの植物標本、また仏像や線香の
    材料になる植物を紹介する。
  エ 仏典に登場する動物
    仏教の教えには、数多くの身近な動物も登場する。仏教でどう取り上げられているかという
    解説と共に標本を展示する。
  オ 動物の系統樹曇茶羅
    単細胞生物から人間まで、長い動物進化の歴史を憂茶羅と標本で紹介する。
関連セミナー・公開講座(参加無料/事前申込制)
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(1)「脊椎動物がたどってきた道一多様化、大量絶滅、そして多様化」
   開催日時:平成30年12月15日(土) 15 :00~16:00
   集合場所:龍岸寺
   講  師:太田英利(兵庫県立人と自然の博物館)ほか
   定  員:30名
   内  容:脊椎動物の進化の歴史を、化石の証拠とDNAの情報にもとづいて再構築してみると、
        まさに"諸行無常、盛者必衰M の物語をさまざまなレベルでくり返してきていることが
        わかります。この機会に脊椎動物の歴史をざっと振り返ってみたいと思います。
        またその先にあるいまの状況、そして今後のことについても考えてみましょう。
(2)「お寺で「生命とこころ」について考える」
   人は心をもった生き物ですが、他の動物にはないのでしょうか?
   祈る、供養するという行為は人間の心の動きの発露ともいえますが、
   その気持ちはどこからやってくるのでしょう?
   2つの講義を通して、こころについて考えてみませんか。
   開催日時:平成30年12月16日(日) 15:00~17:00
   会  場:龍岸寺
   司会・コメンテーター:中瀬 勲(兵庫県立人と自然の博物館 館長)
   定  員:30名
  ア「動物の死生観」
    開催日時:平成30年12月16日(日) 15:00~16:00
    会  場:龍岸寺
    講  師:林 良博(国立科学博物館館長)
    定  員:30名
    内  容:ペットは飼い主や自分の置かれている環境について何処まで理解できているでしょうか?
         親しい人間の死は理解できるのでしょうか?
  イ「日本人と悉有仏性~動物供養から怪獣供養・iPhone供養まで」
    開催日時:平成30年12月16日(日) 16:00~17:00
    会  場:龍岸寺
    講  師:池口龍法(龍岸寺住職)
    定  員:30名
    内  容:ペットや動物の供養もあれば、人形、ウルトラマンの怪獣、最近では携帯電話まで、
         供養の仕方は様々です。こうした多様性から供養の本質を探ってみます。
(3)「お墓の石の今と昔」
   開催日時:平成30年12月22日(土) 15: 00~16:00
   会  場:龍岸寺
   講  師:先山 徹(兵庫県立大学准教授・山陰海岸ジオパーク学識専門員)
        大北和彦(おおきた石材店・1級お墓ディレクター)
   定  員:30名
   内  容:古墳時代の石棺にはじまり中世~近世の五輪塔や宝匿印塔など、お墓には日
        本各地の石が使われてきました。近年は海外のものが多く使われている墓石で
        すが、ここでは石材の歴史を通して、日本の石を見直してみましょう。
(4)「初代幕府天文方・渋川春海が見た宇宙」
   開催日時:平成30年12月22日(土) 16:00~17:00
   会  場:龍岸寺
   講  師:嘉数次人(大阪市立科学館学芸課長)
   定  員:30名
   内  容:会場となる龍岸寺は、日本の天文学の開祖である渋川春海邸の跡地です。
        この地で生まれた国内最古の天球儀や当時の天文学について解説します。
(5)「京都の昔を古地図と現代技術でめぐる」
   開催日時:平成30年12月23日(日) 13 :30~16:00
   集合場所:龍岸寺
   定  員:20名
   内  容:スマートフォンで、京都の古地図に現在地を表示しながら、龍岸寺周辺を散策し
        ます。国産初の地球儀や天球儀を作製した渋川春海ゆかりの地で、地図の可能性に
        ついて考えます。
   演  者:高橋 徹(株式会社Stroly)
(6)「お寺で宇宙学」
   *お寺で宇宙学実行委員会とのジョイント企画となります。
   ア「天空から地球環境を読みとく」
    開催日時:平成30年12月24日(月・祝) 15:00~18:00
    会  場:龍岸寺
    講  師:伊勢武史(京都大学フィールド科学研究所准教授)
    定  員:30名
    内  容:環境問題はスケールの大きな問題。空から見ることはとても役に立ちます。今回は、
         人工衛星や人工知能を使って自然環境の現状把握にいどむ研究を紹介します。
   イ「浄土双六で学ぶ仏教の世界観」
    講  師:向井真人(臨済宗妙心寺派陽岳寺副住職)
    内  容: 江戸時代のお坊さんが仏教について学べる教材「浄土双六」を現代風にアレンジしました。
         その内容と意義についてお話しします。
   ウ「車座で討論会」(お菓子と飲み物を用意します;希望者は要実費500円)
    
開催主体
主 催: 自然史レガシー継承・発信実行委員会
    (構成館:北海道博物館、栃木県立博物館、国立科学博物館、三重県立総合博物館、
    伊丹市昆虫館、大阪市立自然史博物館、北九州市立自然史・歴史博物館、兵庫県立人と自然の博物館
    計8館。事務局:兵庫県立人と自然の博物館)
協 力:浄土宗龍岸寺、臨済宗妙心寺派陽岳寺、大阪市立科学館、岸和田自然資料館、お寺で宇宙学実行委員会、
    香老舗松栄堂、ダジック・チーム(京都大学大学院理学研究科・地球惑星科学輯合部可視化グループ)、
    京都大学総合博物館、京都薬科大学薬用植物園
後 援:京都府、兵庫県教育委員会、ICOM京都大会実行委員会、
    特定非営利活動法人西日本自然史系博物館ネットワーク、
    特定非営利活動法人大阪自然史センター
その他:平成30年度文部科学省生涯学習政策局「博物館ネットワークによる未来へのレガシー継承・発信事業」の
    委託事業として実施いたします。
問い合わせ・担当
 兵庫県立人と自然の博物館 自然・環境マネジメント研究部 主任研究員 三橋弘宗
              自然・環境評価研究部 主任研究員 高野温子
 お問い合わせ 電話 079-559-2001(代表) FAX 079-559-2007