サギソウのギザギザの花びらはなんのため? ―ギザギザは花粉を運ぶスズメガの支えだった―
サギソウ(図1)の特徴である花弁のギザギザ。その適応的意義はこれまで解明されていませんでした。
神戸大学の末次健司氏、阿部裕亮氏、姫路市立手柄山温室植物園の朝井健史氏、松本修二氏、及び当館学芸員の長谷川匡弘からなる研究グループは、3年間にわたり自生地におけるギザギザの切除実験、花粉を運んでくれる昆虫の詳細な行動観察を行いました。その結果、ギザギザを切除すると一個体当たりの健全な種子数が低下すること、花弁のギザギザは、スズメガが花を訪れる際に脚をかける場所であることがわかりました。つまり、ギザギザは花粉を運ぶスズメガの支えとして機能していたのです。ギザギザが無い花で健全な種数が低下したのは、花粉を運んでくれるスズメガの訪花姿勢が不安定になり、受け渡される花粉の量が少なくなったためと考えられます。
図1
本研究成果は、6月21日に、国際誌「Ecology」にオンライン掲載されました。
■詳しくは以下のプレスリリースをご覧下さい。
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2022_06_21_01.html
■論文情報
タイトル:“Specialized petal with conspicuously fringed margin influences reproductive success in Habenaria radiata (Orchidaceae)”
掲載誌:Ecology
著者:Kenji Suetsugu, Yusuke Abe, Takeshi Asai, Shuji Matsumoto, and Masahiro Hasegawa
DOI:10.1002/ecy.3781
図1:サギソウ。調査地である三重県上野森林公園で撮影。