ミニ展示「植物の標本を使って研究する」 令和6年7月はバルカンノウルシを紹介します

2024(令和6)年6月1日(土)~2025(令和7)年6月1日(日)の間、大阪市立自然史博物館 本館1階にて、博物館の植物標本室が所蔵する研究に利用された標本を、月替わりで紹介するミニ展示を開催します。

第2回となる令和6年7月は、大井・東馬ほか(2021)による最近見つかった帰化植物バルカンノウルシの研究を紹介します。バルカンノウルシは2018年に報告された新しい日本の帰化植物ですが、今回紹介する研究で標本記録などが精査され、2005年以降に茨城県・東京都・神奈川県・愛知県・和歌山県・岡山県の市街地でバルカンノウルシの標本が採集されていたことがわかりました。今後、より拡がっていくのかどうか、モニタリングする必要があります。新たに日本にやってきた帰化植物について詳細に理解するためには、再検証可能な実物の記録である標本が重要であることを紹介します。なお、論文が発表された後に大阪府でもバルカンノウルシが見つかっています。

7月に紹介する研究:大井・東馬哲雄,田中伸幸,大西 亘,黒沢高秀 2021.帰化植物バルカンノウルシ(トウダイグサ科)の国内の分布と生育状況.植物研究雑誌 96(5):297-303. (https://doi.org/10.51033/jjapbot.96_5_11125)

ミニ展示の概要については過去のWhat‘s new『ミニ展示「植物の標本を使って研究する」を開催します』(https://omnh.jp/archives/11362)をご覧ください。

※なるべく月替わりで展示を入れ替えますが、担当者の都合で入れ替えが数日前後することがあります。ご了承ください。

バルカンノウルシ標本写真

2024年7月に紹介する標本。左:高知県の牧野植物園内で採られたバルカンノウルシ。近縁種のアソタイゲキと同定されていたが、今回の研究によってバルカンノウルシであることが明らかになった。右:奈良県の個人宅の庭で採られたバルカンノウルシ。切り花として売られていた植物からこぼれた種子から増えたものであり、流通しているバルカンノウルシが逃げ出したという確実な例となった標本。

本展示に関する問合せ:植物研究室・横川