市民参加型調査により判明した外来カタツムリ「オオクビキレガイ」の大阪府での分布状況の論文発表
大阪市立自然史博物館では、2015年から2019年にかけて市民の皆さんの協力により大阪府及び周辺地域での外来生物の分布調査(プロジェクトA)を行いました。その対象種の一つとして、大阪府で見つかり始めている地中海沿岸原産の外来のカタツムリ「オオクビキレガイ」の分布調査を行いました。この調査の結果を当館動物研究室の石田 惣学芸員がまとめ、2020年9月25日に論文として発表しました(2020年10月10日オンライン公開)。
この論文ではオオクビキレガイが泉北地域を中心に分布拡大していること、大阪府への移入は2000年代以降と推定されること、拡散経路の一つとして園芸資材(土や苗)への随伴が示唆されること、など明らかにしました。調査では市民有志が鉄道駅を中心に半径1km圏内を1時間探索する方法や、地域の小学校の全校児童に情報募集のチラシを配布する方法などをとりました。チラシを見たことによる情報提供は配布後4ヶ月間継続したことから、小学校へのチラシ配布は外来生物の目撃情報を収集する上で有効な手法であることも示唆されました。
発表論文:石田 惣. 2020. 市民科学による大阪府のオオクビキレガイの生息調査,並びに分布の現況. Venus, 78:105–118.
https://doi.org/10.18941/venus.78.3-4_105
大阪府でのオオクビキレガイの分布調査は現在も継続しています。府内で見つけた方はぜひ情報をお寄せください。
https://sites.google.com/site/ookubikiregai/
・オオクビキレガイ(左のスケールは1目盛り=1 mm)
・大阪府でのオオクビキレガイの分布状況(2019年末現在、調査方法別に示す)