日記風覚え書き

2015年1月2月、3月

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●2015年3月31日 ドローンで鳥の巣撮影?

在阪のとあるテレビ局から、鳥の撮影に協力してくれないかと電話。なにを撮影するのかな? と思う以前に、その撮影方法に驚いた。ドローン的なヘリコプター的なものを飛ばして、空中から鳥の巣を撮影するのだという。それも営巣中の鳥の巣だという。
それって、先日、某ジャニーズ系グループの番組でやったのと似たようなものじゃあないか。でもあれは風船だっけ? ドローンだと大きな音もするから、さらに問題が大きい。どんな鳥の巣を撮影かの説明が始まる以前に、鳥の繁殖に悪影響を与えるのは必至だから協力できないと、冷たく断った。
それで諦めるかと思いきや、影響があるほど鳥の巣に近寄らないようにするから。的な、小手先の修正を試みていたけど、放映できるレベルで撮影するには、影響を与える距離まで近寄らないわけにはいかないに決まってる。と断言してやった。
返す刀で、そもそもその企画は止めるようにと言い放つ。鳥の関係者から、クレームの嵐が来るぞ。と脅かしてみた。まあ、さほど事実から離れている訳でもないだろう。とりあえず、電話をしてきた人は、この企画は難しいとは思ってくれた様子ではある。ただ、あまり頼りなさそうなので、他の人を説得して止めさせてくれるかは、微妙。

もし、在阪某テレビ局で、ドローン的なもので鳥の巣を撮影したものを放映したら、関係のみなさんは、是非クレームの嵐をお願いします。


●2015年3月30日 大和川のカンムリカイツブリ

大和川は全体的に、砂が堆積した浅い河川なん。下流部ですら浅くて、深くなるのは阪神高速湾岸線より河口側の、ほんの1km弱だけ。だもんで、潜水性の水鳥は、湾岸線より下流以外には、ほとんど見られない。ただしカワウを除く。カワウは浅〜い場所での、水平に及び回れるらしく、ギリギリ潜れるような浅い場所でも潜水して魚を捕っているのが見られる。でも、カイツブリ類や潜水ガモは、湾岸線より上流には見られない。少なくとも、10年ほど前までは。
でもいつの間にか、ちょっと淵のようになってる場所には、ときどきカイツブリが見られるようになった。近頃はけっこう浅い場所にもカイツブリが浮いていたりする。カワウに教えてもらったんでもないだろうが、浅い場所でも、横に泳ぐ技を身につけたのかもしれない。
で、この冬。例年になく、カンムリカイツブリが湾岸線より上流に見られる。大和川大橋辺りまでは、けっこう普通に見られる。カンムリカイツブリにどんな異変が、あるいは心変わりがあったのだろう? と思っていたけど、今日は驚いた。新明治橋のすぐ下流のところにカンムリカイツブリが浮いていたのだ。これではカワウと同レベル。

カイツブリに続いて、カンムリカイツブリも浅い場所でも、横に泳げるようになったのかもしれない。となると、さらなる内陸河川への進出も期待(?)できる。来年度の冬、カンムリカイツブリがさらに内陸への進出を果たすのか、要注目である。


●2015年3月29日 子ども祭り

そんな訳で、今年度も最後の行事は、子ども向けワークショップの子ども祭り。子どもワークショップを手伝ってくれるボランティアで、大学生中心のサポートスタッフのみなさんが、企画・準備・運営まで全部やるという一年を総括するイベント。
子どもワークショップなのだから、もちろんワークショップに参加してくれる子ども達が主役なんだけど、子ども祭りに関しては、サポートスタッフこそが主役と言っても過言ではなく。子ども達はその審査委員のみなさん、って感じがしなくもない。日頃、子どもワークショップを企画・運営しているスタッフや学芸員が、それをサポートする立場。
子ども祭りでは、サポートスタッフの大学生たちは成長し、スタッフや学芸員にはさまざまな発見がある。なかなか、こんなに有意義な企画はあるもんじゃない。とまあ、毎年思うんだけど、今年も意義深かった。


●2015年3月28日 カモフラージュWS

と言っても、研究者の集まりではなく、子ども向けWS。サポートスタッフの大学生が考えたもの。しかし、意図してか意図せずにか、とてもよくできている。改めて、子ども向けWSは、なかなか奥が深いと思った。

このWSは3部構成になっている。

第1部:イントロ小芝居
 ヒヨドリと2種のチョウが登場しての小芝居からWSは始まる。木の葉にカモフラージュしてるチョウはヒヨドリに見逃され、カモフラージュしていないチョウがヒヨドリに喰われる。その前後に写真や標本を見せて、カモフラージュしている昆虫をいろいろ紹介。

第2部:カモフラージュ塗り絵
 メニューの昆虫のどれかを選んでもらって、バックグラウンドになる写真+絵を見せて、この中にうまく隠れるように塗り絵をしてもらう。

第3部:振り返りの遊び
 塗った昆虫を、バックグラウンドの写真+絵に各自で隠してもらう。で、みんなで離れて眺めて、上手に隠れている昆虫を探す。

このWSでは面白いアイデアが色々詰まっている。
一つは、塗り絵の仕方。子ども向けWSで塗り絵をする場合は、自分の想像で自由に塗ってみよう! ってゆうのか。実物に似せて塗ってみよう! のどちらかが普通。ところが、このWSでは、うまくカモフラージュするように考えて塗らせる。あるテーマにそって想像させるというのが、なかなかに斬新。
もう一つは、成果物を使って遊ぶことで、テーマの理解をさらに深めること。多くのWSでは、成果物を作ったあと、受けとめというプロセスはあるけど、上手にできてるね〜、レベルで終わり。しかし、このWSでは、成果物にテーマに沿った意味づけがなされる。成果物に必然性があるというのがすばらしい。

細部もよくできている。
たとえば、一番心配したのは塗り絵にやたら時間をかける子がいて、プログラムの進行がとどこおることだったが、塗り絵の後、成果物を隠すという作業があるのが効果的。他の子どもが隠し始めると、自分も参加したいので、むやみに塗り絵に時間をかけないらしい。
たとえば、成果物がうまく隠れているかを講評するのだけど、一番うまく隠れてるのはどれだろう?と問いかけると、指摘された子も、指摘した子も盛り上がる。さらに指摘されなかった子は、本当に見つからなかったということで、これまた納得できる。

このWSを見ていての一番の疑問は、このプログラムの完成度の高さは、意図されたものなのか、偶然の賜なのか。偶然であっても、企画者の能力の高さを示してるのは間違いないけど。


●2015年3月27日 市民参加型のプロジェクト調査を振り返る

今年度までに、3つの市民参加型の調査プロジェクトが完了した。そして来年度は新たなプロジェクトがスタート。その前に一度、今までのプロジェクトを総括して次へつなげよう。ってことで、今日、今までの調査プロジェクト主担者3人と、次期プロジェクトの主担者が、今までの調査プロジェクトを振り返って意見交換をした。

まあプロジェクトを担当していた者が集まってるので、プロジェクトに対して肯定的な意見が多い。同時に主担者を経験し、他人の主担者の様子を見てきているので、改善点も色々と思うところがある感じ。

まずは肯定的な側面としては、
・150人規模の市民を巻き込んでのプロジェクトをコンスタントにこなせるのは、歴史のある友の会がある博物館ならでは。自分たちの強みを活かした企画といっていいだろう。
・博物館的には、プロジェクト対象について、まとまった標本や情報を収集する効果が高い。
・参加者には、日頃の観察会だけではカバーできない地域・対象についての興味を持つ機会になっている。

で、反省点や改善点としては、
(とりあえず主担者の役割分担や、運営上、営業上の問題は除くと)
・特別展での展示以外での、成果物が充分に公表されていない。
・参加者は、調査には参加してもらっているが、データ処理・標本整理への巻き込みは不十分。公表部分へ関わってもらう工夫があってもいいだろう。
・友の会会員への広報は行っているが、外部の取り込みが不十分。ウェブサイトやSNSなどを通じての外部への露出が足らない。

といったところ。今後も継続的にプロジェクトを動かし続けることが望ましいという結論。の一方で、常にプロジェクトに関わっている学芸員への負担が大きいので、ライトなプロジェクトの設定など、関係学芸員の負担の軽減策が必要。

というまとめの元に、今年度から外来生物プロジェクトが始動。プロジェクトAと呼ぶことになるのかな?


●2015年3月26日 サヌカイト探し

別に岩石鉱物に興味があるわけじゃないけど、中高生についてサヌカイト採りに行った。
サヌカイトは何度も見てる。ってゆうか、博物館の裏にけっこう転がっていたりする。だからサヌカイトなら知ってるわ、と思っていたが、最初はさっぱり見つからない。適当に石を割ったり、叩いて音を聞いたり。見つけたサヌカイトを見せてもらってる内に、割らなくても見つけられるようになった。石を見る目ができたようで、ちょっと嬉しい。

サヌカイトって、たたいたら良い音がするイメージがあったのだけど、それじゃあさっぱり判らなかった。一番の手がかりは表面の感じ。灰色くて、ボコボコした模様がはいっている。その横の面にはスジスジがいっぱい。
で、これかな? と思ったら、端っこを少し割ってみると、貝殻の内側のようになめらかに割れた黒い面が見える。そうそうこんな感じって思う。

ただ、ここはすでに散々サヌカイトが採集されている場所。いちいち割らなくっても、すでに割られたのは見つかる。そういうのはどれもこれも小さいけど。


●2015年3月25日 日本の自然史系博物館に所蔵されている鳥類標本

昨日から、とりあえず知り合いをベースに、日本各地の自然史系博物館に所蔵されている鳥類標本と鳥の死体、その処理についてのアンケートを実施中。ポツポツの返事も返って来始めた。知り合いが尽きてきたので、今度は知り合いがいない博物館にもアンケートを送り付けてみようかなぁ。

とりあえず、送り付けたアンケートを載せておこう。
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鳥類標本収集、及び鳥類死体の蓄積と標本化についてのアンケート

 日本の自然史系博物館などにおいて、鳥類標本がどのように収集されているか、現状を把握し、標本化作業への市民参加の可能性と効果を検討する研究を進めています。可能な範囲で、以下の問いに答えて頂ければ幸いです。
 2011〜2014年度の状況をもとに、選択肢を選ぶか、[ ]に記述してください。

■施設名[                 ]

■Q1 そちらの施設では、鳥類標本を所蔵していますか?
   : している  していない  <いずれか1つ選んでください>
□<Q1で“している”と答えた場合>
 2014年度末現在、所蔵している鳥類標本は、およそ何点ですか?
   :[約       点]

■Q2 そちらの施設では、現在、鳥類標本を収集していますか?
   : している  していない  <いずれか1つ選んでください>
□<Q2で“している”と答えた場合>
 鳥類標本の収集方法は、次のどれですか? <複数回答可>
   : 収集した死体の標本化   標本の購入
     標本の寄贈を受ける    その他[            ]
□<上で“収集した死体の標本化”を選んだ場合>
 標本化作業の担い手は誰ですか? <複数回答可>
   : 学芸員    標本作りが主に専門の職員    それ以外の職員
     業者    市民    その他[            ]

■Q3 そちらの施設では、冷凍庫・冷凍室に標本化する予定の鳥類の死体が
    たまっていますか?
   : はい  いいえ  <いずれか1つ選んでください>
□<Q3で“はい”と答えた場合>
 たまっている鳥類死体は、およそ何点ですか?
   :[約       点] (桁数が分かる程度でけっこうです)
■Q4 そちらの施設で、新たに集まる鳥類死体は、年間およそ何点ですか?
   :[約       点]
■Q5 そちらの施設で、標本化できている鳥類死体は、年間およそ何点ですか? :[約       点]

■Q6 大阪市立自然史博物館では、鳥類死体の標本化作業を、市民参加で進めています。そちらの施設では、鳥類死体の標本化作業に、市民が参加していますか?
   : している  していない  <いずれか1つ選んでください>
□<Q6で“している”と答えた場合>
 市民参加で標本化されている鳥類死体は、年間およそ何点ですか?
   :[約       点]
□<Q6で“していない”と答えた場合>
 今後、市民参加で鳥類死体の標本化を進めてみたいですか?
   : 進めたい  進めたくない  <いずれか1つ選んでください>

■Q7 市民参加で鳥類死体の標本化をする場合、何が問題になると思いますか? 思いつく事を列記して下さい。
  [                             ]
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●2015年3月24日 青い卵の謎

青い卵を産む鳥って、いろんなグループに散在している。ぱっと思いつくのは、サギ類、イワヒバリ類、小型ツグミ類、ムクドリ。鳥の卵の色と模様って、ってゆうか色や模様のついた卵を産むのは、脊椎動物では鳥だけなので、卵の色と模様って、大部分は隠蔽効果で語られるのが普通。殻の強度を増す効果があるという話もあるけど、その効果が確認されてるのは稀。あとは托卵者との共進化。で、基本それぞれの状況で目立たない色と模様を獲得してきたという説明の中で、目立つ色の卵。つまり白い卵や青い卵は、そもそも目立たない場所にあるからって説明される。穴の中とか、親鳥が隠すとか。
なんとなく、それで納得だけど、じゃあどうして青い卵はあるのかってこと。白い卵は、たぶん色や模様を付けてないだけ。でも、青い卵はわざわざ青い色を付けている。なのに、その理由が分からない。青くするメリットは何? ものの本、すなわち『鳥類学』(フランク・B・ギル著、新樹社)には、「分からない」と書いてる。なるほど分からないらしい。
それなら考えてみようってな話だけど、やっぱり思いつかない。ただ、青い卵の謎を解明するヒントはサギ類の卵の色にあるんじゃないかって思ってる。みんな同じような環境で、同じような粗雑な皿形の巣をつくる。なのに、卵の色は白と青が混在。混合コロニーをつくるような同属の種でも、青だったり白だったり。どうしてかなぁ?


●2015年3月22日 見たい鳥のタマゴリクエスト

夏の特別展に向けて、どんなタマゴを見たいか、訊ねてみた。あがってきた意見をまとめておこう。

ちなみにリクエスト募集はこんな感じ。
「見てみたい鳥の卵と言ったら、エピオルニス・ダチョウ・ヒクイドリ・エミューとかのでっかいの。ハチドリの小さい卵。シギダチョウのピカピカ卵。体に比して異常にデカイキーウィ卵。サギや小型ツグミの青い卵。あとはどんな卵を見てみたいかなぁ? リクエスト募集! 可能な範囲で展示するかも…。」

・カモノハシ
 →カモノハシは鳥類ではないので、リクエスト却下! ってゆうか、調べたけどどうも国内でのカモノハシの産卵例はないし、卵もなさそう。海外から借りるのも…。

・カッコウの卵と托卵先の卵
 →これはある程度対応可能。カッコウの托卵相手は幅が広いからすべては無理だけど、数種なら。オオヨシキリとホオジロとモズとか。近年話題になったオナガも入れたいけど、オナガに托卵したカッコウ卵が手元にないなぁ。

・ウミガラス
 →うっかり忘れていた。尖り卵の代表格ははずせない。

・モア
 →これは国内にあるけど、借りるのにお金がかかりそう。エピオルニスとどっちを展示したいかを考えると、最大の卵であるエピオルニスかなぁ。ってことで、モアはコストパフォーマンスを考えて断念。

・ミゾゴイ
 →ただの白い卵だけどなぁ。リクエストがあるなら展示してみようかな。確かあったはず。

・ハチドリ
 →借りられないか、相談中です。展示できるといいなぁ。

・越冬地として日本で観られる冬鳥たちの卵、とくにミヤコドリ。
 →これは一番難しいリクエストかも。なんせ日本人のコレクションには、基本的に含まれていないから〜。まあ千島や樺太で繁殖していたら、日本人のコレクションにも入ってるかもだけど…。

・フウチョウ、ブッポウソウ、ヤンバルクイナ
 →ブッポウソウだけはなんとかなるかも…。


●2015年3月21日 鳥の卵、爬虫類の卵

なんの因果か、ここ数日、鳥やら爬虫類やら、ついでに哺乳類やら両生類やらの卵について調べる羽目になっている。鳥の卵のことなんて、まるっとご存じよ。と思ってたけど、そうでもない。いろいろと知らないことが出てくる。爬虫類やらの卵の話になったら、知らないことだらけ。勉強になるなぁ。

なにより知らなかったのは、爬虫類の卵には卵白がないってこと。鳥卵にはあるから、てっきりあるのが普通だと思い込んでいた。それはすなわち、鳥卵は爬虫類卵以上に、外界から隔離されているってことらしい。爬虫類が外界から吸収する初期の水分を、鳥は卵白から吸収するらしい。吸収するのがうまくいくように転卵は行われるんだとか。
親が転卵できないツカツクリ類で、卵白が少ないのは、予定通りな感じ。その代わり、外部から水分を吸収するのかが知りたいところ。

爬虫類卵とひとくくりにしてるけど、爬虫類卵は2つに分けられる。鳥卵のように硬い殻を持つ、ヤモリや、一部のカメの卵(ウミガメとかスッポンとか)。一方、多くのトカゲやヘビ、ワニ、多くのカメ卵は、ペコペコ。指で押したら割れるか、凹むかで区別しよう。
カメの中で硬い殻を持っているのは、なぜか水生のカメに多い気がするのはなんでだろう?

鳥類の卵に比べると、爬虫類の卵は生物学的な話題が豊富。表面構造の多様性に加えて、胎生〜卵胎生のものの存在、温度依存の性決定。一腹卵数の幅も爬虫類の方が広い。唯一、爬虫類卵が、鳥卵に負けるのは、色と模様がないことかと。どうして、鳥以外の爬虫類は色と模様を発見できなかったんだろう? そして恐竜の卵は真っ白けだったのだろうか?


●2015年3月19日 霧の海岸 水鳥調査

なんと今頃、一昨日の調査のことを書く。

天気予報では、前日は雨模様だったけど、当日は晴れるってことだった。けっこう気温も上がって暖かいらしい。これは調査日和になりそう。ありがたいなぁ。と思って起きた当日、宿を出て気づいた。ものすごい霧が立ちこめている。昨日雨模様で湿度が高く、今日気温が上がったせいで霧が出たってところだろうか。まあ、霧はじきに晴れるだろう。と思いながら、最初の調査地である漁港に向かった。
漁港について愕然とした。道路を走っている間は気にならなかったが、霧は思った以上に深かった。漁港の向こうの端の堤防が、白くかすんでよく見えない。かろうじてアオサギやカワウやカモメ類のような大型の鳥は乗っていないとは判るけど。このまま調査を続けるか、それとも霧が晴れるまで待つか。ちょっと悩んだけど、調査を続行することにした。霧が深くて、何にも見えなくてどうにもならない場所に行き当たってしまったら、そこで霧が晴れるのを待とう。

結果から言えば、その判断は正しかった。結局、午後2時過ぎに調査が終わるまで、霧は晴れなかったのだ。風がなかったから霧は飛ばされなかったんだろう。最初はとても深かった霧は、やがて少し薄くなり。その後は、濃い場所と薄い場所を交互に通過した。少し高度が上がると霧が晴れている場所もあった。
ちなみにおそらく天気は良く、快晴に近かったのだと思う。霧が晴れた時は、暑いくらいの気温だった。しかし、大部分の調査は霧の中。陽がささず、湿度が高くて、ひんやりしてる。ちょっと寒いくらい。
霧が薄れると調査は楽ちん、ところが霧が濃いと、最初の調査地と同じように調査に苦労する。いつもなら漁港の一角から全体を見渡したら済むところが、遠くが見えないので、何カ所かからチェックする必要がある。海岸沿いの防波堤の調査はさらに大変で、ちょっと移動してはチェックを繰り返す。不幸中の幸いは、海岸の堤防から正面の防波堤は常に見えていたこと。いつも以上に海岸を歩き回ることになった。

というわけで、何とか霧の中の調査は終了。いつも以上に時間がかかった。鳥が少なめの季節に入っていて幸いだった。大阪に帰ってくると、大阪では霧は朝方の短い間しかなかったらしい。調査さえなければ、一日霧の中でウロウロしたのは、とても珍しい体験で楽しかったのだけど…。


●2015年3月16日 淡路島海岸のイノシシ回収

見つけたのは、昨年の12月。新鮮な死体が海岸に打ち上がっていた。持って帰って食べたかったが、準備も時間もない。やむなく次回以降に回収すべく放置した。毎月来る場所なので、経過を観察し、頃合いを見て、ホネを回収する算段。暖かくなった半年後くらいだろうかと思った。
ところが今日、イノシシはすでにホネと化していた。あわてて回収。海岸では意外と早くホネになる。その経過を記録しておこう。

昨年の12月17日、爆弾低気圧のおかげで、ものすごい西風。その中を淡路島播磨灘岸の水鳥調査を敢行した。なんと2ヶ所で大きなイノシシの死体を見つけた。片方は川を流れてきたらしく、河口の砂地に打ち上がっていた。もう一つは、砂浜にでーんと打ち上がっていた。どちらもデカイ立派な雄。喰えそうなくらい新鮮。大きな袋もないし、そもそも丸ごとは車に乗りそうにない。ってゆうか、持ち上がらない…。かといって解体しようにも、メスどころかカッターナイフすら持っていない。そもそも水鳥調査には制限時間があるので、解体してる時間がない。とりあえず今日、持って帰るのは断念。どうせ毎月来るから、来月以降に対応しよう。河口のイノシシはどうしようもなかったが、砂浜のイノシシは防波堤まで引きずっていって放置した。じゃなくってセットしてみた。

今年の1月22日、再び同じ場所へ。イノシシの回収のことはすっかり忘れていて、大きな袋もカッターナイフも持っていない。現地で、そういえば先月イノシシの死体があったっけ、と思い出した。しかし、河口のイノシシは影も形もない。砂浜のイノシシは、ちゃんと放置、じゃなくってセットした場所にあった。肉は腐ってきてるけど、少しミイラ化した程度。どうせ毎月来るんだから、毎回写真を撮影して、ホネになる様子を記録に残して、最後に回収しよう! その時は名案に思えた。

2月25日、三たびイノシシの死体とご対面。なんとイノシシの死体の位置が少し変わっている。だれかが動かしたらしい。人かもしれないし、野犬とかかもしれない。淡路島であまり野犬は見かけないが。かなり臭っている。そして、足とかがばらけそう。でもまあ、まだ寒いからホネになるにはまだまだ。

そして今日、また死体の場所が変わってる。そして、手足や胴体や下顎はほぼホネになってる。肉はすでに虫に喰われた後で、脂肪だけが臭い塊としてホネにくっついてる感じ。頭蓋には皮が付いてるが、ほぼホネにはなってる。足先とかはバラバラのホネとなって周囲に散乱。尾は見あたらない。出遅れた感が強い。まさかこんなに早くホネになるとは…。まだこんなに寒いのに!
そして、3度あることは4度ある。今日も皮を切る道具も、袋も持っていない。そういえば数日前にザックに入ってるビニール袋とカッターナイフを取りだしてしまった…。いらんことした〜。で、仕方がないので、周辺にある木の枝でホネから脂肪をこそげ落とし、その辺に落ちている袋にバラのホネを詰め込み、拾ってきたシートで包んで、落ちていたカゴに入れて車に積み込んだ。最寄りのコンビニに直行して、大きなビニール袋を買って、袋にたたきこんで一段落。海岸には色んな物が落ちていて、たいていのものはまかなえる。あいにく刃物は落ちていなかったが…。

【追記】
イノシシにはウジが大量に付いていた。ビニール袋は2重にしていたが、翌々日に帰ってきたら、一部のウジは外部に脱出していた。危ない危ない。


●2015年3月15日 ヤギとヒツジの違い

今までヤギかヒツジかで悩んだことはなかった。死体をもらう時、くれる人がヤギかヒツジか言ってくれるのが普通だし、それを素直に信じる。ってゆうか、毛がモフモフなら悩むまでもなくヒツジだろうし。ところが今回、そもそも動物園から来た時からあいまいだった。袋にも「ヤギorヒツジ」と書いてあるし、職員さんもヤギかなぁ、ヒツジかなぁ、と言ってるしまつ。でもまあ、袋から出して解凍したらヤギかヒツジかくらい、すぐに分かるだろう。

袋から出して、ぱっと見たところ、短毛の直毛で、顎髭もない。常識的にはヤギに見える。というわけで、ヤギと呼ぶことにする。とりあえずヤギの名前で標本の登録番号を振ってみる。
でもまあ標本として登録するんだから、ヤギかヒツジか確認しなくっちゃと調べてみる。『世界の動物 分類と飼育7 偶蹄目III』を見るに、ヤギかヒツジかの判断に、毛の長さは関係ないらしい。眼下腺があって(必然的に涙骨に凹みがあって)、後ろ足に蹄間腺があればヒツジらしい(ちなみに前足には、どちらも蹄間腺があったりするとか)。解凍中のヤギを見ると、目の下に凹みがある、これって眼下腺なんじゃ? ヤギであるという確認が揺らぎ始める。とりあえずヤギ(仮)と呼んでおくことにする。
皮を剥いていくと、前足の蹄間腺は目立たないが、後ろ足には剥かなくても、はっきり蹄の間に孔が開いてる。剥いてみると、立派な蹄間腺。眼の下のはやはり眼下腺で、その部分の涙骨はボコッと凹んでいる。メスとは言え、まったく顎髭はない。尾の下に毛の生えていない裸出部もある(『世界の動物 分類と飼育7 偶蹄目III』によると、これもヒツジの特徴らしい)。
ってことで、慌ててヤギと書いてあったのを、ヒツジに訂正。いやぁ、ヤギとヒツジの区別がこんなに難しいとか思わなかった。このヒツジからは、ぜんぜん羊毛が取れないねぇ。ってゆうか、こんなにヤギみたいなヒツジがいるんだねぇ。本当にヒツジなのかなぁ。やっぱりヤギじゃないかという疑いが…。


●2015年3月12日 哺乳類たまご図鑑

鳥類たまご図鑑は、実際に何種類も出版されている。色も模様も大きさも形もいろいろで、見ていてとても楽しい。爬虫類たまご図鑑は、それなりに形はいろいろあるけど、色は白だけ。あまり愛想がない。そのせいか出版されてる様子もない。哺乳類たまご図鑑は、けっこう簡単に作れそう。なんせ3種だけだから。


●2015年3月11日 どうしてカラスは巣を壊す?

今日から、地元の公園でのカラスの巣さがし調査スタート。すでに新しい巣もけっこうあるし、もう営巣しているカラスも2巣ほど。これから2ヶ月ほど、忙しい季節が始まる。春めいてきて、公園をうろつくのも楽しい季節だけど、今日は寒くて調査はつらかった。

今年に限ったことか確認が必要だけど、この冬の間に、カラスの古巣がずいぶん壊された。人が取り除いたんではないと思う。どうもカラスが分解しているようす。ばらされてなくなった巣もあるし、ばらけて崩れてる巣も多い。人は崩れさせるなんて中途半端なことはしないだろうし。

カラスが巣をばらして、その巣材を再利用するという話は、以前から耳にする。実際に見たこともある。でも、冬の間の巣の分解は、巣材の再利用ではなさそう。じゃあどうして巣を分解するのか?
以前から気になっていたけど、カラスの大先生も不思議ってコメントをくださった。カラス大先生まで不思議と思うとは! ってことは研究する価値のある謎がここにあるってこと。カラス大先生は他所では聞いたことがないというから、我がフィールドの特殊性を含めて調べると良さそう。そういえば、カラス大先生から我が公園のカラス密度はやたら高いと言われたっけ。カラス密度の高さゆえの行動なんだろうか?


●2015年3月10日 大阪はサシバ研究の先進地

だったらしい。昨日知った。1980年代の話やけど。1人すごい調べてた人がいたってだけやけど。どうやら3本の論文が公表されているらしい。

●小島幸彦(1982)サ シバ(Butastur indicus)の テリトリ一とテリトリー行動.Tori.30: 117-147.→1979年に河内長野市中部(日野〜加賀田)で、3つがいのなわばりを観察した研究。
●Yukihiko KOJIMA(1987)Breeding Success of the Grey-faced Buzzard Eagle Butastur indicus.Jpn. J. Ornithol.36: 71-78. →1977年〜1980年に河内長野市で、53巣のサシバの巣を見つけた研究。
●Yukihiko KOJIMA(1999)Nest Site Characteristics of the Grey-faced Buzzard Butastur indices.Jpn. J. Ornithol.48:151-15. →1977年〜1980年に河内長野市で、52巣のサシバの巣を見つけた研究。なぜか1巣減ってる…。

小島さんは、当時、大阪市大の動物社会研究室に所属していたらしい。会ったことないなぁ。年代が少しずれてるからなぁな。でも、謝辞には動物社会の知ってる人の名前が並んでるけど。
当時は、河内長野市だけでこんなにたくさんのサシバが繁殖していたとは驚き。今はこんなにいないだろう。是非、同じ場所で同じ調査をしてみたいところ。具体的な巣の位置の情報を教えてもらうことができれば、興味深い研究ができるだろうし、大阪府でのサシバの減少を明らかにできそう。

謝辞にある大先生方を通じてコンタクトしてみればいいのかな?


●2015年3月9日 総会2連発完了

ここんところ、毎年3月初め頃に総会の2連発が待っている。
関西自然保護機構の総会は、いつからこの頃かは覚えていないが、少なくとも過去は総会議事を中心に20-30人程度がほそぼそと集まっていただけだった。それが、2010年からポスター発表あり、口頭発表やシンポジウムありのにぎやかな祭り路線にかじを切った。祭り路線の推進者としては、ポスター発表者を手配して、会場を設営して、当日配布物を作成なんてのが、なんとなく担当のようになっている。
大阪鳥類研究グループは、1998年からこの時期に総会をしている。2000年からは会員の発表に加えて、ゲストを招いての講演会も企画。これまた祭り路線。ゲストや会員の発表者の手配、当日配布物の作成を担当する。
で、どちらでも賑やかしが必要なので、発表もすることになる。その上、発表者が集まるか、参加者は少なくないかと気をもむ係でもある。

昨日で、総会2連発が完了。今日はほっと一息ついて、一日ぼんやり。で、暇にまかせて、過去を振り返ってみようと思い立った。とりあえず、大阪鳥類研究グループの招待講演を振り返ってみよう。
 1998年:なし
 1999年:なし
 2000年:須川 恒氏「ユリカモメの話」
 2001年:松原始氏「ハシブトガラスとハシボソガラス」
 2002年:亀田佳代子氏「カワウがになう多様な役割 −湖、森、そして人とのつながり−」
 2003年:能田由紀子氏「鴨川のコサギの採食戦略 −性および体サイズと採食なわばり性の関係」
 2004年:野間直彦氏「木の実を食べ、タネを運ぶ鳥たち」
 2005年:日野輝明氏「鳥はなぜ混群をつくるのか」
 2006年:山崎剛史氏「鳥類分類学の現状と課題について」
 2007年:林 英子氏「屋上営巣誘致に成功したコアジサシの保護と現状」
 2008年:坪井助仁氏「鳥の都市進出が外来昆虫の蔓延を防ぐ 〜ヒロヘリアオイラガの衰退について〜」
 2009年:植田睦之氏「街で繁殖するようになったツミ ―ツミ、カラス、オナガの関係―」
 2010年:遠藤菜緒子氏「兵庫県におけるサギ類およびカワウコロニーの分布とコロニー形成プロセスの観察」
 2011年:中村純夫氏「なぜ,カラス達がねぐらに集まるのか?」
 2012年:堀江明香氏「島のメジロの繁殖戦略 彼を知り己を知れば百戦殆うからず?」
 2013年:渡辺 仁氏「関東におけるツバメ調査の実績と今後の展望」
 2014年:齋藤武馬氏「3種に分かれたメボソムシクイの分類学的研究」
 2015年:天野一葉氏「ソウシチョウの暮らしとウグイスへの影」

自分たちの調査テーマにもできそうな、大阪周辺の身近な鳥の話を聞くのが基本。近頃は予算的に余裕があるので、関東方面からゲストを招くことも可能になっている。来年は誰になんの話をお願いしようかな。


●2015年3月7日 カワセミ観察会報告

今日の午前は、長居植物園で鳥の観察会。花にくる鳥と銘打ったのだけど、まだ花の季節には少し早く、企画倒れ感が強い。でもまあ、ジュウガツザクラの花をパクパク食べるヒヨドリとか、ウメの蜜を吸いに来ているメジロとヒヨドリとかを観察したから、さほどウソではなかった。でも、今日の観察会の正しいタイトルは、「カワセミ観察会」。

観察会スタートして、まずは大池へ。池に近づく時からカワセミの声がして、池を見ると目の前の枯れハスにカワセミ雄がとまっている。全員でゆっくり観察。時々飛んでとまる場所は変わっても、やはり枯れハスのてっぺん。ズーッと見られた。いい加減飽きたので、カモを見に移動。
 しばらく林の鳥を観察してから、再び大池へ。手前の島の石の上に、今度はカワセミ雌。観察していると、奥に入っていき、しばらくしたら飛び出してきた。巣穴自体を確認はできていないが、どうも巣穴に出入りした感じ。まだ産卵には早いかもしれないが、うまくいけば営巣の可能性がありそう。飛び出したカワセミは、少し向こうの池際の木にとまったが、もう見飽きているので、林の方へ移動。
 小池からアジサイ園を回って、三度、大池へ。島にはまたカワセミがとまっている。今度は雌雄2羽。カメラマンさんによると、さっきまで並んでとまっていたらしいが、いまは雄と雌が離れてる。と思ったら、雄が雌の方へ飛んでいき、交尾した。一瞬のことだったが、けっこう多くの人が観察できた。

交尾してるし、巣らしき場所へ出入り。繁殖の期待が高まる。来月も観察会があるから、お楽しみに〜。と言って観察会は終了。


●2015年3月6日 イカナゴ豊凶とユリカモメ渡来数

3月2日の朝日新聞夕刊にイカナゴ漁の記事が載ってた。と、切り抜きを頂いた。「イカナゴ漁 試練の年」と題して「漁獲量 最悪の予想」なんて言葉が踊ってる。ここで注目は、1986年〜2013年の漁獲量(兵庫県水産技術センター調べ)を示していること。

・1990年代前半の漁獲量に比べて、2010年頃は半減の勢いで減少している。そういえば、1990年代前半と比べると、京阪神のユリカモメの渡来数は激減している。
・最近5年を見ると、2011年が飛び抜けて漁獲量が多い。そういえば、2011年から2013年の3月の淡路島岩屋港を見たけど、2011年が一番ユリカモメだらけで盛り上がっていた。大阪湾岸の大部分のユリカモメがイカナゴ漁狙ってるとすると、この時期、岩屋港周辺に集まるユリカモメ個体数は、大阪湾岸のユリカモメ個体数の多少の目安にならないか?
・2001年の漁獲量と比べると、2012年の漁獲量は1/3になってる。2000年度と2011年度に大阪湾岸のユリカモメの分布を調べたけど、2011年度は2866羽、2000年度は8714羽。およそ1/3でないかい?

ってことで、大阪湾岸のユリカモメの個体数と、イカナゴ漁の漁獲量には不思議な相関関係があるような気がする…。ただ、どうしてそうなるのかは分からない。ユリカモメは、イカナゴの漁獲量を予測できるの?


●2015年3月5日 大阪府鳥類目録 改訂?!

大阪府鳥類目録は、2002年3月に日本野鳥の会大阪支部から出版されてから、はや13年が経とうとしている。10年に一度は改訂しようという計画で、2012年3月には最新版が出版されていたはずだったのだけど、出版できずに3年が経とうとしている。出版できてない理由は、今回は2002年以降の情報から、春、夏、秋、冬の4つのシーズンに分けての大阪府内の分布図を作ろう!という無謀な企画のせい。でもねえ、前回の大阪府鳥類目録にも分布図は付いてるけど、一年間一緒くたにしていて、ぜんぜん意味がないから…。
で、みんなで頑張ってデータを発掘して持ち寄ろうという話だったのだけど、それが進まない。それはデータを出さない奴がいるから。データを出さない奴の一角(もしかしたら中心?)は、私。

で、今日は編集長が来て下さって、出版に向けての打ち合わせ。というのはウソ。実際は、こっちが全然データを出さないから、編集長自らヒアリングに来られた。実は、昨年末に一度同じようにヒアリングに来られて、非スズメ目は一定決着。今日はスズメ目のヒアリングを受けた。
編集長の孤軍奮闘で、かなりのデータは集まっていて、おおよそ分布図は完成している。で、その完成間近の分布図を見て、抜けてるメッシュの情報を提供するという作業。いちいちフィールドノートをくって情報を引っ張り出すのは難しいけど、コシアカツバメ、カワガラス、イソヒヨドリ、ホオジロ類などはサークルやプロジェクトで、まさに大阪府内の分布調査をしている。大阪市内や府内の主だった公園での繁殖期の調査もしてる。大阪湾岸の水鳥調査の時の観察もある。基本的にホームページに観察した鳥のリストは出しているので、いつ頃、どこ辺りで見かけたかを思い出せれば、自分のサイトを検索して引っかけてデータを見つけることもできる。
っていうわけで、順にスズメ目の分布図を見せてもらい、抜けてるメッシュの情報を持っていないか考えて、あるいは手持ちのデータを探索する。珍鳥情報は持ってないけど、超普通種の分布図はすでに埋まっているけど、その間にある鳥の情報はけっこう提供できる。あまり普通のバードウォッチャーが行かない場所で鳥を見てるのが一つの強み。

という作業の中で、近頃の大阪府での鳥の出現状況が分かるので面白い。大阪でコヨシキリの繁殖記録があるとは知らなかった。ゴジュウカラやキバシリの記録が思ったよりも多いのも意外。そして、冬のマミチャジナイの記録もけっこうあったり。
同時に、間違いじゃないのか?って記録に突っ込む役割も期待されているらしい。冬にけっこうコサメビタキの記録があるんだけど、オジロビタキが混じってる気配が…。メボソムシクイの記録にはオオムシクイが混じりまくりなのは仕方がないなぁ。注釈を付けるしかなさそう。12月のノジコの記録って、同定は確かなのかなぁ。


●2015年3月4日 10年の水浸け

半年くらい探し続けているオランウータンのホネ。調べたいとリクエストされて、OKしたのに見つからない。見つかったら教えて下さいね、と優しく言ってもらってるけど、所蔵標本が見つからないなんてあり得ない。悔しい。で、あちこちありそうな場所を探してるのだけど、見つからない。今日、どこにあるのかねぇ、という話をしていて、ふと提案された某所。そこは有望! そして、まだ探してない! ってことで、早速探しに行った。驚いたことに見つかった。ただ、残念ながらオランウータンの頭だけ。首から下はいったいどこに? ということはさておき、オランウータンの頭が入ったバケツと一緒に、他にもいくつもバケツが見つかり、いろんなホネが入っていた。いずれも水浸けしてあったもの。そして、中に入っていたメモから、水に浸けたのは2005年6月28日であることが判明。なんと、10年近くも水に浸かっていた! そして、それはいろんな物の耐久テストにもなっている。今後のこともあるので、10年の月日の影響を記録しておこう。

ホネは、全般的に問題ない。ただ、若い個体のホネはもろくなってる様子。老齢個体の大型哺乳類のホネはぜんぜん問題なし。オランウータンのホネは、一度ホルマリン固定されていたので、どうしても肉が取れず。やむを得ず水に浸けたのだけど、10年浸けたら、肉はすべて分解されていた。一方、脂肪がいっぱいのスナメリやキジのホネにはやっぱり死蝋がこびりついていた。脂肪は手強い。
ホネの登録番号を記している紙は、パウチされていたら問題なく残っている。チャック袋に入っていた場合は、中に水が入ってボロボロになってる場合と、水が入らず残っている場合があった。驚いたことに、布ガムテープにマジックで書いて、水の中に沈めてあったのは、ちゃんと残っている。ビニールテープにマジックで書いて、外側に貼り付けてあるのも残ってる。バケツ自体にマジックで書いてあるのも残ってる。マジックって意外と長持ち。

バケツは、10年経ってもまだまだ使える状態。これはずーっと日陰に置いてあったのがよかったのだろう。ただ、バケツの外側に貼り付けてあったガムテープは、布製でも紙製でもボロボロになっていた。ビニール紐も、手で簡単にちぎれた。でも、木綿の水糸は特に変化はないようす。

さて、ここで問題、探しても探しても見つからなかったオランウータンの頭が入ったバケツは、いったいどこに置いてあったでしょう? これに答えられたら、相当な博物館通。


●2015年3月3日 大阪の大切な自然と、徳島や和歌山の大切な自然

関西周辺の残したい大切な自然をリストアップするとしよう。大阪人が選ぶ場所と、徳島人や和歌山県人が選ぶ場所はけっこう違う。ご当地の事情が違うというのもあるけど、意識がかなり違う感じが強い。

河口の干潟はどこの人も大切な自然にあげてくる。山の高い場所に残された亜高山帯の林やブナ林は、だれも大切な自然と認識するらしい。意見が分かれるは、いわゆる里山環境や農耕地周辺の自然。
兵庫県南東部や大阪府からは、保全すべき自然としてため池群や棚田が残されている地域、里山林があがってくる。でも、徳島県や和歌山県からはあがってこない。その理由がふるってる。まだまだたくさんあるから。なるほどたくさんあって保全の必要がないのならそれでいいだろう。でも話は続きがある。現在どんどん破壊されているから、10年20年後にはろくに残っていないだろうけど。じゃあ今こそ保全するタイミングではないのか? 兵庫県や大阪府の関係者は一斉にそう思った様子。でも、当人たちには届かない。この認識の低さには驚くしかない。
かつて、原生的な自然ばかりが自然保護の対象とされてたけど、いまや人の活動によって維持される里山周辺や農耕地、草地の価値は広く認識されるに至った。のだと信じていたけど、それなりに自然のことを知ってるはずの人たちでこの有様。いったいいつの時代の人たちと話をしているかと、不思議な感じがした。

発展途上国に向かって自然環境保全の重要性を説明しても、しばしば糠に釘てな話を耳にすることがある。おまえたちは自然環境を破壊して発展したんだろう、と言われると言い返しにくい。それでも同じ間違った道を進まないように、いかにしたら説得できるか。
まったく同型の課題は、こんなに身近に転がっていたとは…。


●2015年3月2日 2015年2月のまとめ たまご展解説書書き始動

2月って、今日までやんね。2月は短すぎる!という不満をよく耳にするが、今日までとしても2月は短すぎる。ほとんど何もできていないのに、今年はもう1/6が過ぎてしまった。もう夏の特別展に向けての動きが具体的になってきている。今年は例年より早い。例年にもまして、冬場が忙しい。比較的時間のあるこの時期にたまっている原稿を書かねば、と思っていたのに、新たな原稿が発注されるとは。
ともかく、2月を振り返っておこう。

ルーティンのため池調査、大和川調査、播磨灘岸水鳥調査はなんとか完了。カモ類やカモメ類が多かったし、めっちゃ寒い日もあって、ヘロヘロになったりもした。
大阪府のムクドリ集団ねぐら調査は、ほぼ収束。続きは来シーズン。ネコの尻尾調査もゆったり継続中。

今月の大きなイベントは、友の会会員向けバックヤードツアー。例年通り鳥の皮剥きをしていた。キリンのホネや、クジラのヒゲや、なめした皮を展示して、その勢いで片付けようと思ったけど、まだ片付かず…。
友の会行事では、月例ハイクも担当。この寒いのに100人以上が集まって想定外。同行のコケ屋の歩みが遅く、遅れまくるのは想定内だったが、先頭担当してるくせに、先頭の役割を放棄して、参加者を勝手にいかせるとは想定外。もうコケ屋と一緒に行事はしたくない。」

この夏のタマゴの特別展の準備はけっこう本格化してきた。解説書目次が決まり、執筆開始。展示構成や関連企画も具体的な話になってきた。
再来年の瀬戸内海の特別展に向けても、そのプレイベントの巡回セットの話が具体的に。さらに今年の調査の予定の話も始まっている。
同時に2つのプロジェクトが動いていて、さらに4月からは外来生物のプロジェクトもスタート。3つのプロジェクトをちゃんとまわせるかけっこう不安。


●2015年3月1日 大型偶蹄類と鳥の関係

関西自然保護機構大会改め、地域自然史と保全研究発表会が開かれていた。ハッカチョウについてのポスター発表で参加したのだけど、お隣りは鳥つながりで、奈良公園のシカと鳥の発表。カニの大先生がなぜかシカと鳥の話をしている。それが悔しいことに面白いネタなんだな。

大型偶蹄類と鳥との関係といえば、すぐに思いつくのは2つ。
・水牛がウロウロしている後ろを、アマサギがついていく。沖縄の方に行ったら、よく見るよね。ウシとかがいなくても、トラクターの後ろを付いて歩くムクドリとか。偶蹄類でもなんでもいいから、大きなものが動くと、地面から虫が飛び出したりする。それを狙うって感じかと。
・テレビを見てると、アフリカなんかで、水牛とかの上に鳥が乗ってる。ウシについて虫を食べるんだと説明される。その名もずばりウシツツキって鳥までいる。魚の世界には掃除魚ってのがいるけど、いわば掃除鳥。

奈良公園でシカと鳥との関係を調べた結果によると、もう一つのパターンがあるらしい。
・シカがもらったシカ煎餅のおこぼれを頂戴する。

奈良公園には何度も行ったことがあるけど、シカと鳥の関係を調べるって視点は持ってなかった。我が身の不覚を恥じなくては。そして、今度行ったら、鳥とシカの関係に注意しながら観察してみようと思う。カニ屋(とその学生)が気づかなかった面白い現象を見いだしてくれようぞ!


●2015年2月28日 くだもののタネ集めて一年

昨年のおおむね3月から、くだもののタネを集め始めた。本当は2月21日からやけど、細かいことは、まあええとしとこ。この1年で235点のタネを集めた。

最初は、柑橘類だけを集めていた。ミカンは美味しく、味のヴァリエーションも広い。そしてタネの形もいろいろあって楽しい。しかし、夏頃になるとミカンが姿を消してしまう。
なにか別の果物を、ということで、メロンに手を出した。でも、メロンはあまり美味しくない。サクランボやスモモやモモを少し集めたが、あまり種類が多くない。
次に盛り上がったのは、ブドウ。いくつものタイプがあって、ブドウのタネは面白い。そして美味しい〜。ただ、1房単位は食べるのがちょっと大変。ほぼ同時期にナシも集め始めた。ナシは美味しいけど、タネがみんな同じでつまらない。
リンゴの季節になったけど、どうやらリンゴはあまり好きじゃないらしい。あまり盛り上がらず。少し遅れて出てきたカキに手を出す。カキは甘すぎるのが難だけど、タネの変異が多くて楽しい。渋柿のタネも欲しくなり、干し柿にも手を出す。干し柿にあんなに広い世界が広がっていたとは〜。

もともと果物は好きで、毎年、毎月。いっぱい食べてきたつもりだけど。タネを集めはじめて、新たにいろんなことに気づけたのが一番の収穫。柑橘類は、甘み、酸味、苦みの組み合わせに、いくつかの特徴的な味が加わり、味の幅が広くてとても楽しめる。こんなに楽しい果物はない。それに引き替え、メロンは甘いかどうかだけ。色が違っても味はさほど変わらない。むしろブドウの方が、味に幅があって楽しい。ナシの味の幅は、赤ナシと青ナシの2パターンかもと面白みが少ないけど、種類は多様。年末になって出てくるナシまであったとは。カキは、これまた味は甘いだけ。でもタネのバリエーションは意外と楽しい。細長くて、まさに“柿のタネ”形のタネが出ると、かなり嬉しい。その他、パッションフルーツのタネは、乾かすと細かい綺麗な模様があるとか。リンゴのタネにシイナはまずないけど、ナシにはシイナが多いとか。こまかい発見もいっぱい。

というわけで、タネ集め2年目に突入。まずは、せとかと甘平のタネを出すのが当面の目標。


●2015年2月26日 イカナゴ漁解禁日の四国播磨灘岸

四国の播磨灘岸の漁港と河口をめぐって、水鳥を数えた。今日は播磨灘でのイカナゴ新子漁の解禁日。でも、四国播磨灘岸の漁港は、特に盛り上がっていない。イカナゴ漁をしてるところはないらしい。雨だから出漁しなかったってだけって事はあるかな?
ともかく、カモメ類が漁港周辺に集結するって事も取り立ててなさそうだった。


●2015年2月25日 イカナゴ新子漁解禁日前日

淡路島の播磨灘岸の水鳥調査をした。本当は先週に調査する予定だったのだけど、諸般の都合で今週にずれ込んだ。で、意図せずイカナゴ漁解禁日前日に当たった。
大阪湾岸や播磨灘岸の水鳥、ってゆうかカモメ類の分布、ってゆうか特にユリカモメの分布に、イカナゴ漁はとても大きな影響を与えている。端的に言えば、イカナゴ漁が盛んな明石海峡周辺に集まる感じ。
たまたま、イカナゴ漁解禁日前日に当たったので、カモメ類特にユリカモメの分布に興味しんしん。
結論から言えば、前日時点で、淡路島播磨灘岸には、ユリカモメの群れはほぼいなかった。明石海峡に近いエリアに集まるかと思ったのに、イカナゴ漁が始まってから集まるのか、むしろすでに明石海峡辺りに集まってしまってるのか。
ちなみに、淡路島に向かう明石海峡大橋から、チラッと見た感じでは、岩屋港周辺にもさほどカモメ類が集まってる感じじゃなかった。
ユリカモメたちは、どうやってイカナゴ漁の解禁を知るのかな?


●2015年2月24日 スーパーで地魚調査

瀬戸内海展に向けて、スーパー地魚調査プロジェクトが始動! というか、地魚に限らず、貝類、甲殻類、藻類、とにかく海産物全般が対象。瀬戸内海沿岸各地で、地場物のどんな海産物をよく利用しているか、それをどんな名前で呼ばれているかを調べよう!ということになった(たぶん)。

朝は漁港の競りを見に行って! と思ったが、競りをしてる漁港は限られるし、行くのはけっこう大変。そして競りの時間は限られてるし、競りはあっという間に終わって、大部分の魚はすぐに持ち去られてしまう。その調査はなかなかハードルが高い。まあ機会があれば、できる範囲で記録してみよう。

じゃあ、夜に地元の海産物を食べさせる居酒屋に行って! と思ったが、これはけっこうお金がかかる。一晩に1軒しか行けないのでは、調査がはかどらない。はしごするのも大変だなぁ。調査自体は楽しそうだけど、ちょっと敷居は高め。まあ可能な範囲で行くことにしておこう。

というわけで、スーパーに行くことに。スーパーならさほどお金はかからない。ただの冷やかしも可能だし。何件も巡るのも割と簡単。駅前とかアクセスのいい場所でも調査が可能。これなら、割と簡単に調査ができそう〜。ってことで、スーパーの調査をメインにすることに。

昨日、赤穂市に月例の鳥の調査に行ったので、駅への帰り道にスーパーに寄ってみた。いつもは地卵や果物をチェックしてるだけなのだけど、昨日は海産物売り場に直行。とりあえず、赤穂周辺産の海産物をチェックしてみた。
・坊勢(家島諸島)産のメダカガレイ、オコゼ、赤舌、イイダコ、小太エビ
・淡路島産の赤ナマコ、タチウオ
・壺根や坂越の生カキ
・徳島産のワカメ
他の海産物はもっと遠方からやってきたもの。さて、どこまでを地場物と呼んだらいいんだろう? 家島は目の前だから坊勢産は地元かも。でも純粋に赤穂産となると、坂越のカキだけ。調べるまでもない気もする。

ちなみに種が分からないのは、買ってこいと言われている。エビの場合、食べて頭の中身をしゃぶった後を渡せばいいらしい。よほど坊勢産の小太エビを買ってみようかと思ったが、地元物にしては微妙だし、そもそもエビはあまり食べるの好きじゃないのでやめておいた。
代わりに一通り撮影しておいた。かなり怪しい。スタッフに見つかったら何か言われそう。その上、何も買わずに出てきた。この調査にお金はいらないかもしれないが、けっこう度胸が必要。


●2015年2月23日 冬の都市公園で考えた

昨日、鳥のサークルで服部緑地に鳥を見に行った。本当の目的はさておき、ただのバードウォッチングになったのだが、それでいて色々面白い観察ができたし、色々鳥について考えることができた。
都市公園のみじかな鳥の観察もあなどれない。ってゆうか、長居公園でもこんな観察会にしたい。ただ普通に鳥を見てただけなんだけど。

最初に気になったのは、ツグミとシロハラ。ツグミはオープンな芝生によく出てくる。シロハラはどちらかと林床にいる。どうしてかな? で、両者をたまたま観察できたので、その行動を比べてみる。ツグミは、テケテケテケと歩いては地面をついばんでいる。それに対して、シロハラは林床であまり動かず、落ち葉を引っかき回して虫を探してるようす。動くときは、ウォーキングではなく、ピョンピョンとホッピングしていることが多い。考えてみると、落ち葉がつもった林床は歩きにくい。あまり動かず、落ち葉をかき回す方が適している。もしツグミが歩き回りたい派なら林床は向かない。逆に芝生での採食にはウォーキングがあってる。もしシロハラがホッピングの方が得意なら、芝生には向かない。歩き方や採食方法に応じて、生息環境が違ってきてるのかも。

次に見つけたのは、2羽のバン。岸上がって採食している。つがいなのかなぁ。それにしても妙に尾を立て気味で、尾の下の白い羽根を広げてるような気が…。と思ってたら、片方がさらに一層、尾を立てて白い羽根をひろげまくって泳いでいく、それをもう1羽が追いかけていく。で、池の植生のある部分に上がったと思ったら、交尾した。前がメス、後ろがオスだった。尾を立てるのが、交尾に誘う行動らしい。

その近くにいたヒヨドリ。木の幹で何かをつついている。どうも木の幹に付いてるコケを食べてるらしい。コケ食べるんだな。

で、少し行くと、ハシボソガラスが林床で何かしている。足で何かを押さえて、嘴でチマチマと少しずつちぎって食べてる様子。同じ場所でずーっと熱心に食べてる。どうもドングリを食べてるらしい。カラスが立ち去ったので、カラスがいた場所に行ってみた。カラスは根っこが地上に出て盛り上がったところで食べていたらしい。足でドングリを押さえやすいお気に入りの場所ってことだろうか。お気に入りの場所でしょっちゅうドングリを食べているらしい。ってことが分かるのは、周囲に食べられたとおぼしきドングリの殻が大量に散乱しているから。さしづめ、カラスのドングリ食堂。そんな決まった場所があるとは知らなかった。
持ち帰って植物屋さんに食べられたドングリを見せると、シイの実とのことだった。渋くないドングリを選んでるらしい。

池の方を見てみると、ヨシガモの団体が、沖合に集まっている。メスが1羽にオスが4羽ほど。オスは盛んにディスプレイ。めっちゃ盛り上がっている。2羽が完全にシンクロしてディスプレイした様子はなかなかの見物だった。だというのに、メスの反応は冷たい。盛り上がっているオスたちを放っておいて、泳いで行ってしまう。でも、オスたちはディスプレイを続ける。ディスプレイを始めるきっかけはメスの存在かもしれないけど、始めてしまえばメスはいなくてもいいらしい。いったい誰のためのディスプレイなんだか。


●2015年2月21日 悪気はないのだけど

初めて鳥の皮むきをする人、経験があっても未熟すぎる人には、まずは模範の鳥の皮剥きを見てもらってから、自分で鳥の皮剥きにトライしてもらう。初心者向けの鳥としては、ハト大で、皮が厚くて、色が黒い鳥で、餓死してるのがベスト。ってことは、初夏に餓死して海岸に打ち上げられるハシボソミズナギドリが一番ってこと。
でも、ハシボソミズナギドリが手元にないと困り始める。カラスは頭が大きくて大変だし、ちょっと大きい。スズメサイズは小さすぎる。そもそもあまり手に入らない種は、失敗されたくないので初心者には任せられない。とりあえず、大きさが手頃で、普通種って理由で、大型ツグミ類(ツグミかシロハラ)、ムクドリ、ヒヨドリを出してみることになる。
今日も初心者が2人。ハシボソミズナギドリは長らく枯渇しているので、ヒヨドリを2羽出してみた。解凍して計測してみて困った。どちらも体重が100gを超えている。ってことは脂肪を蓄積しまくってるってこと。困った困った。初心者にはハードなことになる。でも、解凍した以上は処理せざるを得ない。代わりの初心者向けも見当たらない。ってことでやむを得ず、そのまま新人さんに押しつけた。すみませんすみません。予想通り苦労していた。ですよね。

鳥の種類で新人向けを選んでも、脂肪を蓄積しまくっているとか、中身が腐ってるとかは、解凍してみないと分からないことが多い。決して悪意はないのだけど、ベテランでも敬遠したくなるのを出してしまうこともしばしば。いや、本当に悪意はないのだけど。
ハシボソミズナギドリであっても、一見綺麗なのに、中身は腐りまくりってこともしばしば。そんなこんなも含めて、鳥の皮剥きと思って頂けるとありがたいかも。


●2015年2月19日 たまご原稿執筆開始

まあだいたいやね。夏の特別展が7月第3週スタートやとすると、6月中に校了したら間に合うんやね。そやから我々通は締め切りは、5月末やと聞いても、6月に入ってから書き始めるわけ。まあ解説書は間に合うんやけど、よう考えるといろいろ間に合ってないんやね。
で、今年はそれをどうにかせな。という事で、2月に原稿執筆を開始したわけ。4ヶ月も早い!


●2015年2月18日 ため池めぐりのタイムスケジュール

今日は、月に一度のため池めぐりの日。66箇所を6時間でめぐる。はずが、たいてい6時間半かかる。片道30分のトラベリングタイムが往復入るから、7時間半のサイクリング。いつものように、昼休みどころか、昼飯も終わってから。
調査は午後3時半までに終わる。と、制限時間を決めてるので、それまでに終わるように、時間を見ながら進める。午前9時に出たら、調査開始は、午前9時半。1時間に11箇所巡ればちゃんと終わる。でも、これはギリギリ。ちょっと焦る展開が待っている。


●2015年2月17日 姫路市の繁華街

昨日、姫路市の繁華街を少しウロウロした。姫路市はちょっと面白い。

調査のために毎月姫路市に行ってるのだけど、調査は海岸沿い。駅を出たら、南へ南へ向かう。戻ってくるときに、北に姫路城が見えるけど、駅の北には行ったことがなかった。今日は、飯を食わずに駅まで戻ってきて、あまりに腹が減ったので、駅の北側に行ってみた。駅の北側は繁華街だった! アーケードが縦横に走りまくっている。そして姫路城に近い場所は観光地状態。全体的にとてもにぎやか。官庁街から住宅地な感じの駅の南や西とは全然違う。
一年半通って、初めて姫路の別の顔を知った。なぜか蕎麦屋が目立ったので、蕎麦を食ってみた。


●2015年2月15日 小さいお友達たち

今日は100人近いお友だちと、交野市の山手に行った。新しいお友だちも何人もできた。とくに小さいお友だちと、よく話をしてたと思う。小さいお友だちは、何人もが同時に喋るので会話が大変。集中しないと、こっちに返事してる間に、あっちが喋ったことを忘れてしまう。小さいお友だちは、なぜか近くに集まってくるので歩きにくい。上を見てたりすると、ぶつかってしまう。後ろから引っ張って来る小さいお友だちもいる。とくに小さいお友だちは、ふと気がつくと手をつないでたりする。そんなこんなで、さっぱり鳥を探せない。見つけられない。見られない。
鳥好きの小さいお友だちから、鳥を全部見逃してるとお叱りを受けるが。そんなことに誰がした?と言いたい。で、ルリビタキもトラツグミもカシラダカも、ビンズイすらも見られなかった。
まあ、最後はいっぱい手を振ってくれたりしたから、よかったけど。


●2015年2月14日 最強はブチハイエナて

なにわホネホネ団の活動日だった。メインはヒョウだったり、スナメリだったり、アオウミガメ。だと思ったら、少なくとも最強はブチハイエナだった。

ブチハイエナはさほど大きくないので、こんなに手強いとは知らなかった。とにかく、皮の裏についている脂肪がすごく堅い。丸太に載せて根掘りで削ろうとしても削れない。仕方がないから、メスでこまめに削いでいくことになった。さほど大きくなくて良かった。これで大きかったら、とてもじゃないけど取り切れなかった。あ〜疲れた。


●2015年2月12日 堺にトチカガミは生えているか?

堺市のレッドリスト改訂の会議に出席。今日の会議で一段落。2年越しでようやく完成。まあ完成させないといけないから、完成ということにしてるけど、時間切れで無理矢理一定の結論にしていたり、調査不足だけど分かってる範囲ではこうせざるを得ない。とまあ、さまざまな妥協の産物という側面があるのは仕方がない。完成したけど、また多くの課題が残った感じ。そんな一つがトチカガミ。
どうやら堺で近年のトチカガミ記録がある場所は、すべて堺市北東部。すべて毎月水鳥調査をしている場所。といっても3ヶ所だけ。そして、その内1ヶ所はもう池がない。もう1ヶ所はため池はあるけどトチカガミは生えなくなった。で、最後の1ヶ所は、昨年見つけた場所。そのため池は、今まで20年近く毎月調査に行ってるけど、昨年初めてトチカガミが生えた。周辺のため池でトチカガミの記録はない。
となると、気になるのは、本当にそのトチカガミは自生なのか? もしかしたら誰かが放したんじゃないのか? 意図してなくても偶然持ち込んだとか。でも、もしかしたら昔々生えていたトチカガミのタネが、何かの拍子に昨年発芽したのかもしれない。そういえば工事したりしてたし。あるいは鳥の脚にでも付いて持ち込まれたか。
人が持ち込んだら自生とは言わない。鳥が持ち込んだのなら自生。それを区別するのはとても難しい。植物のレッドリスト作成では、この問題がしばしば発生するらしい。動物でも移動力が少ないと同じような問題が生じやすそう。あるいはよく飼育される動物でかな。

で、はやして堺にトチカガミはまだ生えてるんだろうか? 過去の標本と合わせてDNAを解析してみるしかなさそう。


●2015年2月11日 バックヤードツアーで鳥の皮むき

今年も友の会会員向けのバックヤードツアーが、この8日と11日に開催された。1月に子ども向けのバックヤードツアー、2月に友の会会員向けのバックヤードツアー。どちらでも、鳥の皮むきをしてみせることになってる。他の人は収蔵庫で説明したり、参加者を引率するツアコンをする中、一人普通に仕事をしてる感じではある。行事と称して、標本づくりができていいなぁ、と言ったやつもいた。でも、いいところもあれば悪いところもある。 バックヤードツアーは、3つの班に分かれてやってくる。やってくる時だけ説明すればいいので、ずーっと説明しなくちゃならないツアコンよりは楽ちん。でも、3つの班が来るたびに同じことを説明する。けっこう飽きる。3回説明しなくちゃならないのは、収蔵庫などで待機して説明する担当も同じ。そこと違うのは、説明の時に皮むきのクライマックスを合わせるために、時間を見ながら皮むきを始めなくちゃならないこと。ツアーが来たときだけ説明すればいい収蔵庫担当はいいなぁ、と思わなくもない。あと、ツアーが通過した後も、剥きかけてる皮を仕上げなくてはならない。 というわけで自分の標本づくりの仕事ができるのはいいけど、バックヤードツアーが始まる前から、終わった後まで、一日中皮むきをしてることになる。いや標本ができていくのが有り難いけど。 そうそう、順番にやってくるツアーに毎回同じことを説明するのは、説明する方が飽きるので、毎回話は変えてみたりする。剥いてる鳥の種類が変わったり、作業内容が変わったり。毎回のように参加している参加者もいるのだけど、もしかしたら、この皮むきを見に来てるんだろうか? バックヤードツアーの他のパートは毎年同じだし…。 鳥の皮むきを見せる以外にも、最近作った鳥や哺乳類の標本を並べておいて、その説明もする。これは毎年変えてるけど、毎回変えるほどは変えない。今年は、バーバリーシープの全身骨格、アシカとワラビーのなめし皮、ペンギンの皮の開き、ザトウクジラのヒゲも並べた。 子どもの反応を見てると、ワラビーやペンギンはみんなだいたい何かすぐに分かるのに対して、アシカの開いた皮はわかりにくいらしい。ビーバー?とか、カワウソ?とかいう子がいるのは、足がヒレになってるからだろうか。ザトウクジラのヒゲは、これな〜んだと、子どもにクイズを出してみた。けっこう多くの子どもがクジラと即答する。2回くらいボケてみてくれよ〜、と文句を言ってみる。ボケなのか本当に間違ってるのか分からないけど、面白い答えとしては、ヤシとか、タカとか、クマとかがあった。ヤシは分からなくもないけど、他は意味が分からん。今日のベストアンサーは、「クジラのヒレ」だった。


●2015年2月8日 雪男を求めて

いつからだろうか。冷凍室で雪男が観察されるようになったのは。資料によると、最古の記録は2004年にさかのぼるらしい。しかしこの時の目撃例は短期間に集中し、その後は途絶える。再び雪男が現れたのは、2007年の秋になる。その後、7年と少しの間、1年〜2年に一度くらいのペースで目撃例がある。ただ、最初の頃の目撃例は、はっきりしているのだが、その後も目撃例は、曖昧なものが多い。冷凍室の奥に雪男らしき影を見たといったものであった。一時は、雪男ではなく、雪女なのではないかという噂も立ったが、過去の記録を見返すと、確実な目撃例は雪男に限られる。ちなみに2004年の雪男はとても巨大であったが、2007年以降は小さめの雪男の記録しかない。
今回、今こそ雪男の正体を突き止めるべく、冷凍室の大捜索が行われた。その結果、冷凍室の最深部に雪男を確認し、捕獲にも成功した。ただ、その搬出には困難を極め、あやうく雪崩の下に閉じ込められそうにもなった。
兎にも角にも、これにて冷凍室の雪男伝説には一定の終止符が打たれたと思う。今後、再び雪男が現れることがあったら、そのときは迅速に対処するようにしたい。

ところで、雪男は冷凍室から出ると、森の人に変化するらしい。過去の巨大森の人は、現在は行方不明になっている。冷凍室にいても、冷凍室から出ても手強い相手である。


●2015年2月7日 カラスと古巣

そろそろカラスの繁殖期が始まるので、繁殖期直前のカラスの古巣の状況を確認した。まあ植物園内の巣については、センサス調査のついでにもチェックしてるのだけど、なくなったと思っている巣も、改めて念入りに探した感じ。植物園内のカラスの古巣の分布には、繁殖期直前時点で妙な偏りがあって面白い。

植物園では、知る限りカラスの巣を落としていないようす。で、昨年の繁殖期につくられた巣は、だいたいそのまま残る。夏を過ぎ、秋を過ぎ。ところが冬になると不思議なことが起こる。今年度の場合、だいたい年末年始頃に起きたように思う。今まであったカラスの古巣が、ふと見るとなくなっているのだ。鳥のセンサス調査のたびにチェックしているから、だいたいいつまで古巣があったか分かる。あっという間になくなる感じ。とくに嵐が来てもないのに。
思うんだけど、これはカラス自身が巣材を抜いて壊しているんじゃないかと思う。

で、2月にもなるとそろそろハシボソガラスは繁殖期。新しい巣がつくられる前に、カラスの巣の状況を確認しておこうと見て回った。で、気づいたのが古巣の分布の偏り。ざっと言えば、植物園の北東部にはまったくカラスの古巣がなくなっている。思い起こせば年末年始に、それまで残っていた古巣がなくなった一角。一方、南西部にはカラスの古巣がかなり健在。ってゆうか、年末年始に減らなかった。
思うんだけど、カラスのつがい(個体?)によって、古巣好きとそうでないのがいるんじゃなかろうか。南西部のカラスは、非繁殖期にもよく古巣にやってきて、中をのぞいたり、乗っかったりしている。それをそのまま使うかはともかく、古巣好きっぽい雰囲気が漂う。


●2015年2月6日 たまごのブックトーク

5月に図書館で、ブックトークを絡めて、たまごの話をすることになっている。どんな本を取り上げるか、どんなテーマ設定にするか、そしてどんな進め方をするかを相談しに、図書館へ出かけた。担当の司書さんは、本を紹介を選んでもらって、あとはブックトークもたまごについての講演もこちらがする。と思っていたらしいが、そうはいかないぞ〜。というわけで、ブックトークは司書さんにお願いすることになった。というか、押しつけ勝った。たぶん。


●2015年2月5日 大阪湾のミヤコドリ

鳥を見始めて6年ほどの間、ミヤコドリは見たことがなくて、いわば憧れの鳥だった。当時、大阪にミヤコドリが出ることはまずなく、ミヤコドリを見に北九州に行きたいと思ってた。そんなミヤコドリを初めて見たのは、大学に入って夏休みに北海道に行ったときだったけど。
今日、岸和田の埋立地でミヤコドリがいた。今でも好きな鳥なのでけっこう嬉しい。一緒に行っていた虫屋と、

あれは何てゆう鳥?
ミヤコドリ。
へぇ?
ミヤコドリ!
外来種?
違う。なんで?
綺麗から。

てな会話をした。ミヤコドリを知らんどころか、聞いたこともなさそう…。有名な鳥だと思っていたんだが。

ミヤコドリは近年各地で増えてる鳥らしく、伊勢湾ではゴロゴロしてる(イメージ)。播磨灘でも、まだ1年半しか調査してないけど、秋から冬にチョロチョロ出会う。それでも大阪湾では、まだまだ少ない鳥と言っていい。いいんじゃないか。たぶん。でも、昨年秋も男里川河口で出会ったっけ。いまやそんなに珍しくないのかな?
というわけで、過去の大阪府の鳥類目録をながめてみる。

◆大阪府鳥類目録(1987):1973年〜1987年の記録として、1981年南港、1986年樫井川河口、1987年男里川河口
◆大阪の野鳥VOL.5(1990):1985年4月〜1990年3月の記録として、樫井川河口と男里川河口辺りだけがプロットされている。大阪府鳥類目録(1987)と同じ2例の可能性大。
◆『大阪府鳥類目録2001』(2002):1988年〜2001年の記録として、1998年南港、1999年・2001年大津川河口、1991年・1993年・1994年樫井川河口、1990年・1998年男里川河口、1994年りんくう南浜

単純に考えると、1970年代にはろくに記録がなかったのが、1980年代3例、1990年代8例。とまあ、着実に記録は増加してるような感じ。2000年以降はさらに増えてるんじゃないか。


●2015年2月4日 2015年1月のまとめ また1月は終わらない

またもや1月はなかなか終わらない。たぶん40日まではある感じ。出だしから珍しく風邪を引いて、2日(月)は一日寝込んでいたのも響いてる。ともかく、今年の最大の課題である大阪の哺乳類本の原稿をなんとかしないと1月は終わらない。
ということは、さておき他の部分を振り返っておこう。

ルーティンのため池調査、大和川調査、播磨灘岸水鳥調査はなんとか完了。播磨灘岸の調査が雨ですんなり終わらず、いつもの月より1回多くかかった。カモ類やカモメ類が多かったのもその一因。
都市の自然調査プロジェクトの名残、大阪府のムクドリ集団ねぐら調査は、3回行ったが、ほぼ収束気味。続きは来シーズンかなぁ。
ネコの尻尾調査も継続中。都市の自然調査プロジェクトに引き続き、外来生物調査プロジェクトでも継続しようかなと検討中。

友の会最大のイベント、友の会総会は盛況に終了。年中行事のはくぶつかんたんけん隊も無事終了。なぜか休みなのに友の会月例ハイクに参加したのはとても珍しい出来事。急がしいくせに何をしてるんだと、自分でも思う。
そして、今月最大のイベントは、パソコンの引っ越し。新しいパソコンがあるのに、引っ越しが面倒で、ほぼ一年放置していた。初めて見ると意外とスムーズ、でもやっぱり時間がかかった。安定稼働に写るまで約1週間。でも、移ってみると、画面は広いし、反応は早い。なによりどんなサイトでも見れるし、どんなファイルでも開く! とかなり快適であった。もっと早く引っ越せばよかった。


●2015年1月31日 果実を食べ終わったあとヒヨドリが食べるもの

ある公園とかで果実を食べ終わったヒヨドリの圧倒的多数がすることは、果実を探して他の場所に行くこと。だけど、移動は考慮せずに果実を食べ終わったヒヨドリが何を食べているかって見てみよう。
って、報告がある。

越川重治・館野光輝(2005)冬季におけるヒヨドリの食性と採餌方法.Urban Birds22:18-30.

マニアックである。同時に、かなりピンポイントに興味を持ってる内容である。ただ、興味があって自分でも調べてるだけに、不満の多い内容でもある。不満ポイントは、何年ものデータをひとまとめにしてる。東京都から千葉県までのさまざまな場所を一緒くたにしている。そして、これは不満ではないのだけど、なぜか扱ってるのは果実以外の食べ物だけ。いいんだけど、このタイトルで果実を扱っていないとは分からないべ。タイトルに「果実以外の食性」と書くべきだろう。
あと気になるのは、ここでいう冬季は11月から4月までを含んでいること。おかげで、さまざまな花が出まくるし、昆虫もかなり出る。それでいて、ざっくりの食性まとめの表には細かい季節が書いてないから、本当に冬に食ったのか、春に食ったアイテムかが分からない。昆虫や花などの食物グループがどの月に食われていたかの図はあるのだけど、1つでも記録されたらマークされるという雑ぱくさな上に、細かいアイテムは分からないので、どうも使えない。
唯一評価できるのは、生の観察記録の表もついてるから、それを見ればどの季節にどのアイテムを食べてたかは分かる。じゃあ、この生データだけでよかったような…。

食べたものの大部分は、まあ知ってる範囲で、びつくりすることはない。個人的に興味深かったのは、冬に木本の成葉を食べている記録。12月にモクレン、2月にクロガネモチ、シロダモ、ユズリハ。ユズリハ以外の成葉を食べている記録は珍しい。


●2015年1月30日 3回目

最初の時は、スーツを着て立ってろと言われて立ってたっけ。2回目は、いなくてもいいと言われたので、調査に出掛けたっけ。で、今日が3回目。
今回もややこしそうなので、出掛けようと思ったのだけど、出番があるかもだから、居てろとのお達し。青いスタッフジャンバーを着て立ってたらいいらしい。
スリッパではなく、靴履いて来いと言われたので、足元はスニーカー。ただスニーカーの右のソールが前から剥がれてきてて、歩くたびにペタペタ音がする。ちょっとマズいかなぁ。という事で、直前にポンドで引っ付けてみた。これで万全と思ってたのだけど、帰ってきたら、Tシャツを前後ろに着ていた。まあ、予想通り出番はなかったからいいけど。


●2015年1月29日 古い皮片付け

今日は年に一度の研究室周りのワックスがけの日。という事は、前日は年に一度の大片付けの日で、今日は研究室から追い出される日。研究室から追い出されると、コンピュータをフルに使った作業はしにくいので、オフラインの作業を探すことになる。そうだ、昨日発掘した大物の皮を片付けよう。
クマ、シカ、イノシシなどの皮が9枚。山をなしている。登録番号を見ると、2007年に皮剥いて登録した皮らしい。なめし液に浸けるまでにどのくらい冷凍していたか分からないけど、大物はかさばるから1年以内には処理したんじゃなかろうか。なめし液に1年放置したと考えると、2009年頃には、現在の状態になってたことになる。それから6年。どんだけ放置してんねん〜。
なにわホネホネ団が活動するようになって、割と初期に処理した皮に違いない。皮処理の個人的ノウハウも少なく、今見てみると(ってゆうか、今でも同じミスをするけど)、脂肪の処理があまいのが混じってる。だから片付けずに放置していたんだろうけど。
というわけで、この古い皮は、脂肪処理が甘かった場合、6年も経つとどんな状態になるかってことを示してくれているといってもいいだろう。

シカの皮は、皮の仕上げは悪いけど、脂肪だけはついていない。処理がよかったというより、最初からあまり脂肪がなかったんだろう。おかげでパサパサした感じだけど、ともかく皮の標本としては保ちそうな感じになってる。
クマの皮は、脂肪は多かったけど、けっこう除去に成功している感じ。まだまだ脂肪が残っていて気にはなるけど、この程度の脂肪なら残っていても許せる範囲かもと思わせる出来具合。
イノシシの皮は、脂肪除去が面倒になったのかなぁ。めっちゃ脂肪が残っていた様子。で、皮はかなり弱ってる。部位にもよるようだが、引っ張ると簡単に破れる場所がある。やはり脂肪が残ってると皮を傷めるらしい。

ってことで、脂肪除去の目標イメージが少しわいたような気がする。


●2015年1月28日 大掃除前日

明日は年に一度の研究室の大掃除。大掃除とはワックスがけのこと。その前日は大変。
ただでさえ大変なのに、明日は午前中に研究室のワックスがけをして、午後には廊下のワックスがけ。大変! と思ったけど、大変なのは昼に廊下の荷物を研究室に戻さないといけないだけか。

研究室のワックスがけの準備は、廊下の片付けから始まる。大きな声では言えないけど、っていうかあくまでも一般論だけど、廊下に物があると研究室から廊下に荷物を出せない。研究室を片付けるとは、すなわち荷物を一時的にどこかに移動させること。一番の移動先は廊下なので、まずは廊下を片付けることになる。
ちなみに某展示室が使用されていなければ、展示室に荷物を一時避難させるという技もある。見たところIさん、Sさん、Tさんは、その大技を使った様子。大技の困るところは、一時避難させた荷物が目の前から消えるので、元に戻すのを忘れがちってことで。その展示室を使う直前に、再び慌てて荷物を移動させることになる。そうした漂流者のような荷物が、この辺りには多数存在する。
って話はともかく、片付けは元の居場所がある荷物を元に戻し、いらない物を捨てることから始まる。いやあ、どんだけ使いっぱなしなん? どんだけゴミをため込んでるの? と、この一年の自分の行動を反省する羽目になる。行方不明だったものがあちこちで見つかる。
ちなみに共同利用の部屋のワックスがけもするので、そこを占領している自分の荷物を片付ける必要もある。その多くは、片付けてない標本だったりする。骨は整理してまとめて箱に入れて、皮は袋詰めして燻蒸のために冷凍室へ。残ったのは、冷凍ストッカーの上に積み上げる。

多くの人は、大掃除前日に片付けを頑張り出す。のだが、我々通は、それでは間に合わないので、さらに一日前から動き出す。昨日頑張ったので、今日はかなり楽だった。分かったか、萌蔵?


●2015年1月27日 懺悔ゼミ2015

今日は年に一度の懺悔ゼミの日。学芸員がこの一年の目標が達成されたか報告し(たいてい達成されていないので、懺悔となる)、次の一年の目標を高らかに宣言する。やらなあかんけど、やりたいけど、忙しいからきっとでけへんけどな。って予め言い訳してることも多いので、あまり高らかじゃないけど。

ちなみに2014年の三大目標は、大阪の哺乳類の本を出版する、都市の自然展を開催する、ホネホネサミットを開く。大阪の哺乳類の本は一応テキストは完成したのだけど、本は出版できず。っていうか年末にまたテキストの手直しを始めてしまって現在に至る。都市の自然展は開催するにはしたけど、お客さんの入りは予想通りというか振るわず。興行的には失敗としか言えない結果に終わってしまった。ホネホネサミットは開くには開いたが、台風が接近。そのため初日のお客さんの入りは今ひとつ、2日目は暴風警報発令のために中止になってしまった。とても残念な結果。
2014年を一言でまとめると、目標はいずれも満足に達成できなかった。ということになる。でも、ほら、なにわともあれ2014年は終わった。

当初の予定では、2015年は特別展の担当もたいしたことなく、イベントの担当もなく、哺乳類本もすでに出版済み。ってはずだった。だから手持ちのデータをまとめて、論文とか書けるといいなぁ。そう、そんなはずだったのだ。
が、しかし哺乳類本はまだ出ていないので、やはり2015年も大きな目標の一つになる。そののみならず、なぜか今年の特別展のメインテーマが卵になってしまった。どう考えても中心的にガンバらなあかんやん〜。さらに、どういう展開かよく分からないけど、バードフェスティバルを開催することに。主担でしょうねぇ。

2015年の主要目標をまとめると、大阪の哺乳類本の出版、卵の特別展の開催、バードフェスティバルの開催。なんかデジャビュ。2014年と一緒やん。
来年の今頃、また同じような懺悔になってないといいなぁ。


●2015年1月26日 雨の水鳥調査

今日は雨という予報だったが、毎月行ってる水鳥調査に出掛けた。今月はもう他に予定がとれないので、やむを得ず。
予報通りの時間に雨が降り出した。近頃の天気予報は優秀だ。少々雨が降っても、水鳥の分布や動きに影響はないので、調査するのは問題ないけど、調査する人間には問題おおあり。とにかく雨は昼前から降るといってるので、それまでに出来るだけ調査を進めよう。もしかしたら、雨の降り始めは予報より遅れてくれるかもしれない。と思ったのだけど甘かった。

最初の調査地は相生湾。予報通り、雨は時々パラパラする程度。予定通りに調査は終了。次の調査地は、坂越湾。がんばって移動したけど、調査開始は午前11時頃。予報通り雨が降り出した。とにかく籠の荷物はビニール袋に入れて、傘をさして調査スタート。まだ小降りだったので、調査にあまり支障はなく、無事に調査終了。
そして千種川河口の調査。雨が本降りになってきた。坂越湾では傘をさしていたら雨に濡れなかったが、傘をさしていてもズボンや袖が濡れる。それに輪をかけて、カモが大量にいる! 昨年度を含めても一番多いんじゃないかという多さ。それが千種川河口一面に散らばっている。これは雨のせいなのか? ともかく頑張って数えるしかないのだけど、熱中してると、傘の差し方が甘くなる。いっそう濡れる。そしてメッチャ寒い。ふと気づくと手袋が片方ない。どこかで落としたらしい。探しに行ってる場合やないし、寒いけど数え続ける。フィールドノートをめくったり書き込むだけでも、手がかじかんだり、ノートが濡れたりしてて、いつもより時間がかかる。
ふと、時計を見るともう1時間経ってる! 調査時間帯は午後3時半までと決めてるので、残り時間は1時間。まだ2カ所調査せなあかんのに、間に合わんかも。とにかく急いで数える。のだけど、はかどらない〜。

で、千種川河口の調査が終わって、残り時間30分。千種川のちょいと西の河口の調査を終えたら、時間切れ。赤穂港にはいけなかった。30分ほど足らなかった。
残り少ない今月の内に、残る1カ所を調査しに、もう一度来ることになる。赤穂港にたいして鳥はいない。そんなことは分かってるけど、それを調査しに来なあかん。だから雨は嫌いなんじゃ〜。


●2015年1月25日 近頃の子ども

と、一般化していいのかは、わからない。付き合いのある子どもは、生き物好きに偏ってるし。でも毎年、近頃の子どもはスゴいなぁと思う。今日はそんな日。
今日は、博物館友の会の総会。という名の盛りだくさんのイベント。数が多いとは言えないが、小中学生がけっこう来てくれる。で、大勢の前で行事報告したり、オトナ達を相手に自由研究の発表をしたり、売り子をしてたり。シャイな子もいるけど、一見シャイな子が、話を聞くと意外と積極的な事をしてて驚かされたり。何か好きな物があると積極的になるもんなんだろうか?

翻って、自分が小中学校の頃を振り返ると。生き物好きは一緒だけど、大勢の前で話すとか、知らない人に声をかけるとか、絶対に出来なかった。彼らの積極性には、尊敬するしかない感じ。そして、めっちゃシャイな子に妙に共感する。
ところが、めっちゃ人見知りに違いないと思っていた同僚の子が、東北で初めての子どもたちと一緒に遊び、あまつさえ仕切っていたと聞かされた。なぜか裏切られたような…。人見知りという言葉は死語になってしまうのか?


●2015年1月24日 鳥類相の変化の説明の仕方

地元の池のカモ類相がこの20年ほどでかなり変わった。変わったまでは分かるけど、じゃあどうして変わったのかとなると、さっぱり分からない。他所さんはどう説明するもんだろう?って思って軽く検索したけど、越冬期の水鳥相の変遷の論文って、あまり見当たらない。

嶋田哲郎(1998)新浜における越冬期の水鳥群集の変化.Strix 16:37-45

ってのを見つけたので、さらっと読んでみた。東京都新浜の冬の水鳥相を1966年と1990年で比較している。昔はシロチドリやオオバンが多かったのに、今でのすっかり目立たなくなって、ハマシギもすっかり減ってしまった。それに対して、スズガモが激増、ユリカモメやセグロカモメも増えたって感じ。
で、問題は、面白いのは、興味があるのは、変化をどのように説明しようとしたかってこと。シロチドリ、ハマシギ、オオバンの減少は新浜の干潟や湿地の減少と結びつけて説明している。一方、カモメ類の増加の原因として、近くにゴミ処分場が出来たことをあげている。さらに面白いのは、スズガモの増加の説明。スズガモは浅海を好む鳥。かつて東京湾に浅海が広がっていた頃には広く散らばっていたのが、埋め立てが進んで浅海が減った結果、数少ない浅海が残る新浜に分布が集中したのではないかとのこと。

その説明が正しいかどうかは、この際どうでもいい。注目したいのは説明のパターン。鳥類相の変化の説明の仕方には、どうやら2タイプあるらしい。

1:調査地自体の環境の変化による説明
干潟が減ったから、湿地が減ったから、干潟や湿地を利用する鳥が減ったといった類い。とりあえずは、とても納得がいく。でも、よく考えると、暗黙に前提としているプロセスがあることを忘れないようにしないといけない。それは次の項で触れる。
さらに、調査地以外(とくに周辺)での、その種の増減によって、その辺り一帯でなにがあったかは全然話が変わる。
ってことで、本当のところは、限られた調査地だけでは話は完結しない。

2:調査地周辺地域を絡めた説明
これにはさらに2タイプあるように思う。
2-1.調査地を含めた周辺地域での分布パターンが変わったとする説明。それは、いわば周辺の他の地域での変化が、調査地の相対的価値を変えたって感じ。周辺の浅海が減ったから、浅海が残る調査地に集中したといった類い。
2-2.調査地を含めた周辺地域全体で、その種の個体数の増減があったという類い。その増減の説明には、その周辺地域を含めた、さらに広い周辺エリアで、ここまでと同じ議論ができてしまう。この手の説明はその気になればどんどん続けられて、行き着くところはその種の全個体数の増減の話。近くに、ゴミ処理場のような誘因要素が出来たってな説明なら、2-2からの2-1の説明で一件落着。

ともあれ、この考察の重要な結論は、ある調査地の鳥類相の変遷を考えるなら、その周辺地域の情報はマストだってこと。幸い、我が地元の池のカモ類相の変遷だけでなく、周辺の池のカモ類相の変遷も同じように追える。ガンカモ調査の結果を用いれば、けっこう大阪府全体まで広げられる。さらに日本全体にも? カモ類相の変遷は意外と説明できるかも〜。


●2015年1月22日 淡路島播磨灘岸は海苔本番

今日は月に一度の淡路島播磨灘岸の水鳥調査。この調査は漁港と河口巡りなので、季節による漁港の様子の変化が気になる。来月終わり頃からはイカナゴ漁の季節になるけど、その前夜の今は海苔養殖に忙しそう。上が平らな船がいっぱい動き回っていた。漁港では海苔関連の作業をしてたとおぼしき漁師さんが、海苔まみれの服で歩きまわっていたり、港の水が海苔で濁っている。

と海苔養殖からイカナゴ漁になりそうなのは、淡路島播磨灘岸の北半分。南半分では沖合いに海苔筏津はないし、漁港にイカナゴ漁の船もない。南半分の漁獲は何がメインなのかなぁ。ってゆう疑問は淡路島大阪湾側でも思ったなぁ。


●2015年1月21日 果実食鳥の糞分析2015

今日は、某団体向けの果実食鳥の糞分析実習の日。毎年1月にやらされていて、もはや年中行事。
果実食鳥のタネが入ってそうな糞を拾ってきてもらい、拾ってきた周辺で比較標本用の果実を採集してくること。というのが宿題。で、今日は、午前中に果実からタネを取りだして、実物タネ図鑑作り。午後は、糞を洗って、タネを取りだして、午前に作った図鑑で同定。って段取り。毎年、うまくいったような、うまくいかなかったような感じで終わる。タネ図鑑作成はそこそこ盛り上がるのだが、糞から出たタネの同定がなかなか盛り上がらない。

午前。採ってきた果実を水の中で果肉を取り除いて、新聞紙の上で水気をとってから、紙にテープで貼り付けて、名前付け。テーブルごとに班に分かれての作業。
今年は、果実の季節も終盤だった。そのためか、はたまた同じメンバーで行った場所の違いなのか、取ってきている果実がちょっと変わってる。クスノキやモチノキ科が少ない。ナナメノキやウルシ科はまったくなくて、説明したいことが説明できない〜。それでいて、ギンバイカやガマズミ、センリョウを取ってきている人が多い。見たことのない果実があって、仕方がないから植物屋さんに尋ねたら、サルココッカというツゲ科の植物らしい。

午後。同じく採集してきたタネの入った糞を、水の中でふやかして、タネをつまみ出す。新聞紙の上で水気をとって、紙の上に並べて、午前につくった実物タネ図鑑で名前を調べる。
糞から出てきたタネのラインナップも例年とはかなり違う。シャリンバイ、マンリョウ、シャリンバイ、トウネズミモチ、ヘクソカズラ、ナンテンが多く、クスノキやナンキンハゼがとても少ない。トベラが出たのも珍しい。果実の季節はもう終盤って感じ。
今年は、実物タネ図鑑でかなりのタネがカバーできていた。カバーできなかったタネは、ハクウンボク、ハナミズキ、サネカズラ。カバーは出来ていたけど、色が変わり形も色々なナンテンの同定には、参加者は苦しんでいた。一皮むけたトウネズミモチも手強いようだった。
今年は、タネ図鑑で調べても分からないタネは1つだけ。クロウメモドキかなぁ。分からなかったとは不覚。


●2015年1月20日 たまご vs タネ

今日は会議3連発の日。その1発目で、たまご対タネ対決が話題になった。妙な会議だ。
やっぱりラウンド分けて、それぞれにテーマ決めて対決するのがいいね。ってことで、ラウンドごとのテーマを考えてみよう。

Round 0:発生対決
 たまごは、これから卵割して発生するのに対して。タネはもう発生は終わって発芽のタイミングを待っている。どっちがいいか分からんから、引き分け。

Round 1:形対決
 たまごは基本卵形。昆虫の卵には変わった形もあるけど、あまりヴァリエーションは大きくない。それに対して、タネの形は多様。というわけで、タネの勝ち。

Round 2;色・模様対決
 たまごは、そもそもあまり模様はないし、色は透明とか白とか無愛想極まりない。たまごで、色と模様を発達させたのは鳥類だけ。それに対して、タネの色はけっこういろいろ。というわけで、これまたタネの勝ちかな? 鳥類のたまごを取り上げるなら、もしかしたらたまごの勝ち?

Round 3;大きさ対決
 現生の最大のたまごはダチョウ。近過去を入れてもエピオルニス。せいぜい長径30cm。世界最大のタネは、フタゴヤシ。これも似たような大きさかなぁ。だとしたら、引き分け。

Round 4;小ささ対決
 最小のたまごは、鳥ならハチドリだろうけど、他は何があるかしら。最小のタネはランじゃないかという噂。でも最小の花から最小のタネができるならミジンコウキクサかも。とりあえず判定不能。

Round 5;動く対決
 たまごは基本動かない。それに対して、タネはなんとか動こうと工夫をしまくってる。どうみてもタネの勝ち。

Round 6;眠る対決
 休眠状態をどのくらい長く保てるかというと…。たまごでも鰓脚類とかかなり長期間休眠するみたいだし。でも数100年に及ぶハスのタネには負ける気もする。

Round 7;食べられる対決
 もちろん食べられない方が勝ちでしょう。たまごはかなり喰われる。タネもかなり喰われる。ちょっと甲乙つける資料が思いつかない…。

Round 8;隠れ場所対決
 たまごは巣にある。タネは土壌中のシードバンク? どうなったら勝ちなんだろう?

Round 9;標本作製対決
 たまごの標本作りは、中身を抜いて乾燥。鳥のたまごなら。他の多くは液浸標本。タネの標本の多くは乾燥標本。簡単で長持ちは、タネかなぁ。

Round 10;美味しさ対決
 たまごは美味しいよね〜。とくに鳥のたまご。タネも美味しいよね〜。でも、穀類、豆類と人類を支えてきたのはタネのような。

Round **;隠し芸対決
 たまごなら卵擬態、タネにはどんな芸が?

というわけで、対決はいろいろ設定できるけど、その勝敗判定はかなり恣意的。とはいえ、対決ってゆうか、対比することで、それぞれの特質がはっきりして分かりやすくなる部分もありそう。展示でやってみてもいいかも。


●2015年1月19日 環世界センスを探して

『自然を名づける』を読み終えた。面白くいろいろ考えさせてくれる。環世界センスをキーワードに分類学の歴史と現状を読み解く。のみならず、それが生物多様性の保全の問題につながっていく。やや我田引水感もあるが、そうとばかりは言えない説得力もある。生物多様性につながるなら、自然史博物館の活動にも深く関わる。環世界センス恐るべし。

環世界センスというのは、ヒトが進化の過程で身につけた自然を理解する感覚。現在の生物の分類で用いられる二名法も、主だった生物のグルーピングも、種や属というグループを認識してしまうのも、環世界センスに基づくというのが、この本での主な主張。
環世界センスは、ヒトが身につけた感覚なので、究極のところでは説明できない。その環世界センスに基づいて行われてきた近過去までの分類学は、結局のところ説明できない。この説明は、よく分かる。なんかかつての分類学では、どうしてこの2つは別種なのと問うことはタブーであるかのようだった。訊ねても、別種だから別種なんだ以上の答えがこないのが普通。生物学種概念にしても、なんとなく納得してしまうのだけど(まさに環世界センス!)、よく考えると不思議なところだらけ、ってゆうか結局のところ別種だと証明するのは至難の業ってな概念でしかない。

生物の分類学は、環世界センスに導かれて興り、専門家も一般人に浸透したものの、科学としてはいかがなものか状態だった。それが、分子系統といった手法の発達とともに、真の科学に脱皮し、皮肉にもそれが分類学を一般人から遠ざけてしまった。
分類学と一般人の断絶は、一般人と生物多様性との断絶にもつながってしまったのではないか。科学的な分類学とともに、環世界センスに基づく分類学の復権こそが、生物多様性への関心を高めるためには必要ではないか。というのが、『自然を名づける』の大きな結論の一つ。
じゃあ、どうすればいいのかとなると、けっこう難しい。複数の分類体系を共存させる必要がある。そして、大学などは科学的な分類を守るのに専念するとしたら、どこが一般の人を、環世界センスに基づく分類とつなげ、しいては科学的分類にもつないでいくのか。やはり自然史博物館でしょう。という我田引水をすぐに思いつく。


●2015年1月18日 休みの日に五月山

今日は日曜日なのに、珍しく行事がなかったので、五月山にハイキングに出かけて、五月山動物園に立ち寄って帰ってきた。こう書くと、普通の休みっぽい。而してその実態は、担当でもないのに、大阪市立自然史博物館友の会の月例ハイクに参加したのであった。来月が担当なのだけど、近頃参加していないので雰囲気を確かめるべく参加したのだが。1月の月例ハイクなんてせいぜい40人程度でほんわかと歩くだけと思ってたのだが。現実はそんなもんではなかった。
集合場所になんか早くから集まってきたなぁ、と思ってたらみるみる数は増えて、なんと約100人の大所帯。こんなに多いとは思っていないからスタッフ3人はマイクも持ってきていない。声を張り上げてるつもりらしいが、後ろは何も聞こえない、聞いてない。これで大丈夫なのか?という感じだが、幸運にも友の会の評議員が一般参加で4名。さらに行事の様子を勉強するために参加してくださったインターンの方が1名。一般参加はなんのその、全員普通にスタッフのように、安全確認をして、出会ったものの解説をすることに。
で、こちとらは、これまたいつもの観察会通り。まるで子ども担当。なぜか周囲にいつも数名の子どもがいて、ずーーーーっと話をして、同時に2人が話しかけてくるのを、時間差攻撃で答える。その合間に、ネコをなでたり、サワガニを探したり。なんやら忙しい。下見してないから、ルート知らんのに適当に道案内をさせられたり。

ハイキングの後は、五月山動物園。ここは、みんな勝手に散らばって動物を見たり、えさをあげたりしてるから、楽チン。とりあえず生まれたばかりのアルパカの子どもを見て、大好きなエミューのところにいって抱きついて、ワラビーの解説を聞いて、ヤギをむりやりなでて、ウォンバットを見て某学芸員に似てる〜と盛り上がり、ヒツジの鼻をなでまわして、帰ってきた。
本当は帰りに落語ミュージアムに立ち寄りたかったのだけど、駅に帰るまでがハイキングらしくて、またもや子どもたちと話しながら駅まで帰ってくることになった。

楽しかったような気もするが、疲れた気もする。休みの日に家族サービスをするお父さんのようである。とすると、彼らが我が家族ってことになってしまうのだが…。


●2015年1月17日 大阪府のムクドリ集団ねぐら調査 途中経過

昨年9月から、大阪府内のムクドリの集団ねぐらの分布調査をしている。調査を始めてみて知ったけど、ムクドリの集団ねぐらはどんどん場所が変わる。人に追い払われることも多いのだけど、それ以前に放っておいても場所は変わるらしい。8から9月頃に集まっていたとしても11月にも集まっているとは限らない。さらに12月に入って落葉すると、落葉樹のねぐらは、軒並みどこかに行ってしまう。
なんか分からんけど、9−10月頃は駅前などのにぎやかな場所に集まり、街路樹のケヤキをねぐらにしていることが多い。それが12−1月になると、駅前から少し離れた住宅地や河川敷などの竹林をねぐらにすることが増える様子。それが駅前の街路樹にムクドリの大群が!とマスコミが騒ぐのが9−10月頃に集中する理由っぽい。でも、どうしてそんな移動をするのか、本当にそんなパターンが一般的かは、さらに情報を集めないと断言しにくい。

ってことで、2014年9月1日〜2015年1月16日に集まった大阪府内のムクドリの集団ねぐら情報を整理しておく。もし、これ以外の場所で、夕方ムクドリが集まっていたら、ぜひお知らせを。

ちなみに気になる場所は、
・JR茨木駅前の塒の行き先。
・阪急箕面駅の南から追い払われた塒の行き先。
・夏の間、阪急北千里駅前にあった塒の行き先。
・河内長野駅から移動した塒の行き先。
・夏の間、南海泉佐野駅南にあった塒の行き先。
などなど。
塒がなくなっても、解散したんじゃなくって、どこかにまた集まってるんだと思うのだけど、なかなか見つからない。手強い。

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【北摂】
●高槻市:高槻市役所 →10/27 約12000羽
●茨木市:蓮花寺 →11/3 約1200羽
●茨木市:JR茨木駅 →10/■ 多数
●豊中市:新田南小学校 →1/■(正月) 多数

【北河内】
●枚方市葛葉:淀川左岸 →12/9 約1000羽
●枚方市枚方上之町 →1/13 約2500羽
●門真市:京阪古川橋駅南 →10/25 約2000羽 →11/30 約3500羽
●東大阪市:近鉄吉田駅西 →11/25 26羽

【大阪市】
●大阪市北区:JR大阪駅北 →10/4 約3000羽
●大阪市東住吉区:長居公園 →1/16 約50羽
●大阪市住吉区:万代池 →11/13 約50羽
●大阪市住吉区:大阪市立大学 →10/21 60羽以上
●大阪市平野区:地下鉄喜連瓜破駅北側 →10/16 約1600羽

【南河内】なし

【泉北】
●堺市堺区:堺市役所北西側 →10/12 約300羽以上 →10/29 約10500羽
●堺市堺区:向陵公園 →11/18 約2000羽 →12/3 約2200羽
●堺市西区:大鳥大社 →12/5 約3600羽
●堺市南区:泉北高速泉ヶ丘駅 →10/7 約1000羽
●堺市南区:泉北高速光明池駅 →9/8 3000羽以上 →10/24 1000羽以上 →11/1 約500羽

【泉南】
●貝塚市堀 →12/31 多数
●貝塚市脇浜:阪神高速湾岸線 →11/7 約2000羽
●泉佐野市上瓦屋 →11/20 約500羽
●泉佐野市りんくう往来南 →11/11 約7200羽
●阪南市下出:南海尾崎駅南 →11/6 約900羽
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●2015年1月16日 蓄積したデータを小出しにしてみる

考えてみれば、地元の長居公園の鳥の調査は、なんだかんだで20年以上続けている(以上と言っても、今年度が21年めなだけだけど)。大和川下流部の水鳥を毎月カウントに行くのも、21年めに突入している。近所のため池の水鳥を毎月調査するようになって18年経った。けっこう長期にわたって調査してるのに、ってゆうか調査を続けているせいで、そのまとめが出来ていない。まるで論文な形になっていないどころか、整理も進んでいない。おそらくデータを整理すればいろんなことが明らかになるだろうに、もったいない。

今日、長居植物園の池のカモは近頃少なくなりましたねぇ。5年ほど前に来たっきりだけど、その頃はホシハジロを中心に100羽以上いたのに。で、この5年ほどの間のカモの渡来状況はどんな感じですか? という問い合わせを受けた。データをちゃんと入力も整理もしていないので、少し手間だったけど、自分でも知りたいことだったので、過去のデータを見返してみた。冬中のデータを見返すのは大変なので、1月最初のセンサス結果を抜き出すイメージ。小出しにするなら、10年分でも20年分でもそんなに手間じゃない。

で、わかった重大な事実。ホシハジロを中心に100羽以上のカモがいたのは、5年前じゃなくって、もう11年も前の話だったってこと。以下に抜き出したデータを示しておこう。

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2005年1月5日 マガモ6羽、カルガモ10羽、コガモ1羽、ホシハジロ170羽、キンクロハジロ34羽

2006年1月13日 マガモ28羽、カルガモ71羽、コガモ49羽、ホシハジロ52羽、キンクロハジロ33羽

2007年1月1日 マガモ33羽、カルガモ24羽、コガモ29羽、ホシハジロ18羽、キンクロハジロ34羽

2008年1月10日 マガモ23羽、カルガモ2羽、コガモ6羽、オカヨシガモ2羽、ホシハジロ9羽、キンクロハジロ42羽

2009年1月7日 コブハクチョウ2羽、マガモ29羽、カルガモ2羽、コガモ4羽、オナガガモ3羽、ホシハジロ55羽、キンクロハジロ51羽

2010年1月7日 コブハクチョウ2羽、マガモ19羽、カルガモ70羽、コガモ5羽、ホシハジロ7羽、キンクロハジロ28羽

2011年1月6日 コブハクチョウ2羽、マガモ18羽、カルガモ14羽、コガモ3羽、オカヨシガモ2羽、ホシハジロ4羽、キンクロハジロ23羽

2012年1月7日 コブハクチョウ2羽、マガモ20羽、カルガモ2羽、コガモ74羽、ヒドリガモ2羽、オカヨシガモ3羽、ホシハジロ6羽、キンクロハジロ11羽

2013年1月7日 コブハクチョウ2羽、カルガモ5羽、コガモ11羽、ヒドリガモ4羽、オカヨシガモ2羽、ヨシガモ1羽、ホシハジロ1羽、キンクロハジロ2羽

2014年1月1日 コブハクチョウ2羽、マガモ12羽、カルガモ8羽、コガモ17羽、ホシハジロ4羽、キンクロハジロ1羽

2015年1月9日 コブハクチョウ2羽、マガモ8羽、カルガモ8羽、コガモ21羽、ヒドリガモ2羽、ホシハジロ3羽、キンクロハジロ5羽
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コブハクチョウなんかを放すから、カモが減ったんや。って少し言いたくなる傾向かも。


●2015年1月15日 ついに今日が10周年!

この日記めいたものを書き始めて、今日で丸10年! こんなに続くとは思わなかった。続いているとは言っても、Twitterを始めてから書き忘れが増え、かつてほど毎日書いてる感はないけど。Mixiを使ってるどころか知ってる人すらどんどん減ってる現在、こちらが書き続けるかよりも、Mixiがいつまで続くかなぁ。とにかくMixiが存在する限りは続けようと思う。なくなっても、なんか続けるかなぁ。

例によってこの1年365日の中で何日書いたか(実際には、何日書いてないか)を数えてみると、265日書いていた。昨年に続き300日を切ったどころか、昨年と比べても30日も減少。実質週休2日になってしまった。
ちなみに過去を振り返ると、一年目325日、二年目344日、三年目331日、四年目324日、五年目329日、六年目303日、七年目315日、八年目304日、九年目295日書いていた。Twitterを始めた六年目に激減し、低めで安定かと思ったら、さらに大幅に減少してしまった。


●2015年1月14日 今日は自転車でため池巡り。

毎月行ってるんだけど、冬の間は、カモが増えて時間がかかる。そして、寒い。気合いを入れて出発。
でも、1月は思ったより大変じゃなかった。12月と比べると、水を抜いてるため池が増えて、実質的な調査地が減る。ハスなど水面の草が枯れて消えて数えやすい。そして、そもそもカモの個体数が減ってる。毎年そうだっけ。

それでいて、カモの種類は減ってない。北池のツクシガモやミコアイサも、向陵公園の池のトモエガモとヨシガモも健在。ってゆうか、今日はあちこちの池でやたらミコアイサに出会う。堺市北東部に5ヶ所。なぜか松原市にはいなかった。これは珍しい。

というわけで、今日のため池調査のアウトラインを整理。調査したため池は、64ヶ所。内、15ヶ所は実質水がない。水がなくてもサギ類はいたりするんだけど、基本メインのカモ類はいない(1ヶ所だけ、わずかな水たまりにカモがいた場所もあるけど)。というわけで、実質の調査は49ヶ所。そのうち、1羽でもカモ類がいたのは、36ヶ所。けっこうカモ類がいるため池が多い気がするけど、カモ類が10羽以上いた場所は20ヶ所だけ。つまり大部分のため池は着いたら、カウント自体はすぐに終わって、ノートに記録したらすぐに次のため池へって具合。
本当に時間がかかる池は、カモ類が50羽以上いるような池。これは名前を列挙できる(名前で覚えてるから)。松原市の深淵池、東大海池。堺市の北池、頭泉池、大泉池、大津池、向陵公園の池。これに準ずる池もいくつか。でもまあ、水鳥的に重要なのはこうした一部の池に限られる感じ。これは毎年同じ。池の大きさの植生である程度決まってる気はする。


●2015年1月13日 Twitter五周年

5年前の今日Twitterを始めた。
丸四年経って12105tweet。最初の一年に2922tweet、二年目は2674tweet、三年目は2494tweet、四年目は2188tweetつぶやいた。そして、この一年は1827tweet。順調に減っている。

フォローしてるのは180名。四年終了時点は184名、三年終了時点は167名、二年終了時点は157名、一年前終了時点は143名。飽和したかも。
フォロワーは、1955名。四年終了時点は1757名、三年終了時点は1472名、二年終了時点は1108名、一年前終了時点は659名。頭打ち傾向だけど、まだ増え続けてはいる。

なんだかんだで5年続いた。Facebookが頭打ちで、LINEも浸透し、新たな通信アプリが出てきている今日この頃。MIXIから始まって、Facebook、LINEと内輪でのやりとり指向のSNSは次々と代替わりしていってるイメージ。その中で、広く発信するTwitterはまだ根強い。とはいえ、画像ストロングなTwitterみたいなインスタグラムとかも拡がってきてるので、今後どうなるのかは分からない。とはいえ、Twitter中心での発信は継続の予定。
ってわけで、コメントするなら出来ればTwitterの方でよろしく〜。


●2015年1月12日 成人式恒例 鳥の皮むきショー

昨日と今日は、1月の連休恒例、小中学生に鳥の皮むきを見せる日。他の人は収蔵庫で説明したり、子どもたちを引率したり、いろいろ年によって分担が違うのだけど、こちとらは毎年鳥の皮むきを仰せつかる。
で、見栄えのする大きな、あるいは奇麗な、あるいは説明するネタのある鳥を年末頃から用意しておく。さらに処理途中の哺乳類の皮とか骨とかを、わざとらしく机の上に並べて、部屋をデコレーション。
早めに鳥を測定しておき、プログラムが始まる前から鳥を剥き始め、3班に分かれて順次やってくる子ども達を待ち受ける。というか、来るタイミングに見せ場が来るように…、できるだけ努力する。まあ、失敗することも多いけど。

今年は、昨日はトビ、今日はヒドリガモを剥いてみせた。年によっては「気持ち悪い〜」の大合唱だけど、ここ数年はあまり気持ち悪がってもらえず、ちょっと寂しい感じ。今年もみんな気持ち悪いといいつつも、興味津々で見てる。とくに気持ち悪いシーンほど興味があるようで、内臓を見せる、目玉と取る、脳を書き出す、この3つが圧倒的な人気を誇る。近頃じゃあ、みんなデジカメを持っていて、この気持ち悪いシーンを撮りまくっているけど、誰に見せるんだろう?


●2015年1月11日 マックの引っ越し

なんか知らんけど、数年に一度、新しいマックが手に入る。でも、データやソフトや設定の引っ越しが面倒なので、できるだけ引っ越しはさける。一度、引っ越しを拒否して、新しいマックは隣の部屋に追いやった。なのに昨年の今頃(いや一昨年の終わり頃だっけ?)、また新しいマックがやってきた。使ってるマックがさすがに古くなってきたので、今度は引っ越すとするか。と、思ってはや一年。原稿書きの転位行動に、思わず新しいマックの箱を開けてしまった。それがおとつい。引っ越し作業はボチボチ進行中。

とりあえず初日はネット関係を設定して、ファイルのバックアップを送り込んだ。画面が大きい! 色がきれい! 音がきれい! ネットはこちらで見ることにしよう。なんせ今まで使ってきたマックは、OS10.3.9。なんとパワーPC。使えないソフトがいっぱい、エンコードも手動で設定しないと文字化けしたり、見れないサイトもいっぱい。グーグルマップが見れないのがない、SNS系も見れない、なんと博物館のトップページすら見れない。仕方がまいので、自分のノートPCで見てたのであった。それがデスクトップで見れるとは。今度は、10.8.5マウンテンライオン君。
勢いに乗ってメーラーもアップしたのだけど、なんかうまく動かない。Thunderbirdは、Profilesを入れ替えたらいいだけなのになぁ。とりあえず古いマックを維持しつつ、昨日はいろいろ設定を試したのだけど、どうも移行がうまくいかない。おかしいなぁ。で、今朝、尻尾が来たので尋ねてみたが、やっぱり分からないという。で、ググるとすぐに分かった。世の中に同じ悩みを持ってる人が多いことが。そして、いくつか解決策が提案されている。いくつか試したけど、とりあえず32ビットモードで動かせばいいらしい。

というわけで、ネットとメーラーの引っ越し完了。あとはよく使うソフトをインストールしたら、だいたい引っ越しは完了。ただパワーPCで動いていたソフトが、クラシック環境で動いていたソフトが使えなくなるのが、不便。慣れてたソフトから乗り換えないといけないのか〜。一番、乗り換えが面倒なのが、Adobe PageMill。ウェブサイトはこれで作ってきたのになぁ。あとEGWordも愛用してきたのになぁ。

【追記】
1月13日、やっとアプリケーションを一通りインストールして、一応使えるようになった。webサイトの構築は、新たなソフトに乗り換えるまでは、旧マック利用かな。


●2015年1月9日 スナメリ掘り

昨年末に貝塚市の二色浜にスナメリの死体が打ち上がった。埋めたというので、今日掘りにいった。

埋めた場所は自然遊学館の方に、地図で教えてもらった。目印は大きな倒木らしい。頭がないのならさほどでかくも重くもないだろう。ということで、一人でこそこそっと行って、さっさと掘ってザックに入れて帰ってくるという大胆な計画だった。
一人で出かけようと思ったら、手伝いに一人付いてくるという。じゃあ、来てもええで。少し上から目線でOKした。でもまあ、とりあえずシャベルは1本でいいか。

二色浜駅から歩いて、20分ほどで二色浜に到着。目印の倒木も見つかった。さあ早速掘るぞ! と思って、さっそく困った。倒木でっかいやないかい! この倒木のどっちなん? 適当に辺りを掘ってみたけど、見つからない。そら見つからんわ。50cmほどの深さって言ってたし。で、仕方なく、自然遊学館に電話して倒木のどこらへんかを尋ねてみる。どうも要領を得ない。倒木の2mほど南で、1mほど陸側に行ったところ。いやいや倒木のいったいどの辺が基点なん? と詳しく尋ねようとしたら、来てくれるという。いやいやいや、来なくても電話口で説明してくれたら…、えっ、自転車ですぐに来るって?
待つこと10分ほど。自転車にシャベルを持った2人組が来てくれた。一人は知ってるけど、もう一人は知らない人。何となくな挨拶をしたけど、帰ってから聞くところによると、知らない人は館長だったらしい。
で、さっそく場所を教えてもらって掘ろうと思ったのだけど、埋めた場所が曖昧。この少し凹んでるところかなぁ。と指差された場所は、倒木の一番南側から、さらに5mは南。電話口の話とぜんぜんちゃうし。さらに本当にここかも曖昧。その他に目印はないらしい。埋めたものの発掘は、思いのほか大変。50cmずれただけで発見できない。これは見つからない可能性が高そう。ちょっと意欲が減退しながら、掘り始める。ちょいちょいと掘ったら、シャベルの先に砂でも石でもない感触。えっ、スナメリ? 隣でも同じような反応。スナメリや! というわけで、懸念にも関わらずあっさり掘り当てられた。深さ15cm程度に浅く埋められていたのがよかった。

掘り出してみると、なるほどスナメリ。ただ、思いのほか立派なスナメリだった。頭はないのに120cmくらいはある。頭も内臓もないのにけっこう重い。90lのビニール袋1枚に入らず、頭側と尻尾側から突っ込んで、さらに1枚かぶせて、布テープでぐるぐる巻きにした。臭いは大丈夫そう。で、ザックに頭側から入れてみる。予想通り尻尾がはみ出る。でも、まあ素人には、なにか分からないだろう。
重いだろうから、車で送ってくれるという館長をふりきって、ザックをかついで二色浜駅に向かう。なんせ重心がザックの一番底という最悪パターン。昨日のサイクリングが効いているのか太ももに来る。腰にも悪そう。途中で、交代しながらなんとか駅へ到着。

梱包はしっかりできていて、臭いは問題なし。はみ出た尻尾には上着をかけて、なんとか地元に戻ることができた。帰ってきてまずしたことは、ザックの重さを計ること。ザックとシャベル1本を含めて、約25kgだった。なーんだ30kgないやん。
思いのほか体力がないことを実感してしまった。昨日のサイクリングの疲れが残ってるせいと言い訳しておこう。


●2015年1月7日 展示のチェック

毎年、6月4日に虫の日と称して、学芸員総出で(建前)展示室と収蔵庫のチェックを行う。主な目的は、暑くて虫の発生が多くなる夏前に、虫の発生状況をチェックして、早めに対処することにある。まあ、虫のチェックだけなら、夏だけでいいのだけど。少なくとも展示室は、ほこりがたまってないか、壊れてないか、などなどのチェックは年に1回じゃあいかがなものか。ってことになって、年始にも学芸員総出で(建前)、展示室をチェックすることになった。というわけで、今日の午前に学芸員10人で展示室を回った。
普段、展示をじっくり見る機会もないので、改めて展示を見て回ると、いまだに発見があるから面白い。そして、展示の不備や壊れてるところ、ほこりが溜まってないかなどをチェックして歩くので、けっこう新鮮。

展示室の各コーナーには、担当学芸員が決まっている。他人の担当コーナーに不備があったら、やーいやーい、てなもんだけど(いや、もちろんそんなことはないよ)。自分の担当コーナーに問題が見つかると、対応しなくてはいけないので面倒くさい(いやだから、そんなことはないってば)。という微妙な駆け引きの元に見て回る。微妙な緊張感が楽しい。
で、自分が対応しないといけない所を忘れないように記しておこう。

・鳥類と両生類の学名の訂正:そういえば日本鳥類目録が改訂されたのに、対応してなかった。そして両生類の分類は、科レベルから大幅に変更があった…。
・大阪府産の哺乳類リストの追加:そうそう2001年以降に大阪府で記録されたアライグマ、ヒナコウモリ、ミズラモグラを付け加えるの忘れてた。


●2015年1月6日 転移行動

昼間の行事が終わって、夕方から時間が出来た。本の原稿書かなきゃ。
そうだ。その前にメールできた質問の答えを。
そうだ。広報の原稿の締め切りが来週だから、書いておこう。
そうだ。査読しろって言われてる論文を打ち出しておこう。
あれっスペースがあるなぁ。いよいよ新しいパソコンを出そう!
そのために机周りを片付けて。
なんかカタログ類が、無駄に多いから整理だな。
その空きスペースに、標本受入票を整理して入れてっと。
ラベルをきちんと付けてない標本があるから、ラベル付けてっと。

そんなんしてると深夜になった。本の原稿は明日だな。
というような毎日。どんどん周囲が片付いていく。


●2015年1月5日 今年のレシピ2015

恒例の焼き芋。今年のテーマは直火焼き。アルミホイルで包んで、家でもできる料理をするのよりも、直火で炙って、焼いて喰う。という焚き火ならではの趣向。
天ぷら用の長めで金属、手元が木製の箸を借りて色々焼いた。もう少し箸が長いと使いやすいが、充分役に立つ。次の機会には用意していきたいところ。

・焼きソーセージ
・焼きカマンベールチーズ
どちらも炎でさっと炙れば食べられる。どちらも美味しい。カマンベールチーズは、うまくとろけるタイミングと、落ちるタイミングをうまくはかる必要がある。

・焼きバナナ
包まず、皮を剥かずに投入。皮が黒くなったのを開いて食べる。甘くて熱くてトロトロで美味しい。他の人から焼きリンゴと焼きミカンをもらった。ミカンは生の方が美味しい。リンゴは旨いけど、バターと砂糖を足す必要があるという意味で、丸ごとバナナにはかなわない。

・焼きタマネギ
小振りのタマネギをそのまま投入。外側の皮が黒くなった頃に回収し、割って中を食べる。甘くてメッチャ美味しい。味付けは必要ないけど、ケチャップをかけてもいいかも。

・焼きスペアリブ
酒と醤油に漬けてきたのを、棒に刺して炙って食べる。けっこう時間がかかるし重いので、棒の中程に刺して、置いて焼く必要がある。そして焼き加減が難しい。焼き足らないと中が生、焼きすぎると黒こげ。うまく焼けると美味しいけど、ソーセージやハムの方が簡単。

・焼き干しアジ
棒に刺して焼いて食べる。重いのだけど、スペアリブよりは早く焼ける。多少焦げても肉ほどは苦くないので、頭は黒こげでもいいかも。とても美味しい。

・焼きアボカド
アボカドを立てに切って、タネを出し、サイコロ状に刻み目を入れ、醤油をかけてチーズを詰める。で、丸く戻して、アルミホイルに包んで投入。正直、美味くなかった。焼いたアボカド自体は美味いけど、味付けに問題があった感じ。ケチャップをかけたら少しはいけた。チーズ以外の組み合わせと味付けを考えると美味しいかも。

・リンゴ・チーズナンピザ
ナン生地に、切ったリンゴと刻んだカマンベールチーズをはさんで焼く。かなり美味しい。リンゴ多めの方が美味しいかも。バター足してもいいかも。ナンを黒こげにしない加減が必要。

・トマト・ベーコンナンピザ
ナン生地に、切ったミニトマトとベーコンをはさんで、アルミホイルに包んで焼く。めっちゃおいしい。間違い無い味。チーズ足してもよさそう。

というわけで、今回の直火炙り作戦は、なかなか楽しかった。来年も継続しよう。そういえば、今年も昨年の反省文を読まなかったなぁ。


●2015年1月4日 剥き初め

昨年に引き続き、4日が剥き初め。そして、なにわホネホネ団の活動初め。一年の計は元旦にありとばかりに、実に昨年の5月以来久しぶりにキンバトの処理に手を出した。マミジロ1羽とキンバト1羽のつもりが、調子に乗ってキンバト2羽の合計3羽剥いたら疲れた〜。

ちなみに
2014年の剥き初めは、1月4日でハジロカイツブリ1羽。
2013年の剥き初めは、1月13日でアオバト1羽、クロツグミ1羽、イカルチドリ1羽、ノゴマ1羽、キクイタダキ1羽。
2012年の剥き初めは、1月8日でカワセミ1羽、コガモ1羽、キビタキ1羽、モズ1羽。
2011年の剥き初めは、1月10日でフクロウ1羽、オオタカ1羽、メボソムシクイ1羽、オオルリ1羽。
2010年の剥き初めは、1月10日でオオバン1羽、サシバ1羽、カルガモ1羽、オオコノハズク1羽。

剥き初めで3羽って、さほど多くなかったね。


●2015年1月2日 鳥の日の成果2014

なにわホネホネ団の活動に「鳥の日」を設定することにしたのが、2012年9月。2013年からは、毎月1回、通常活動日(いわば哺乳類の日)の他に鳥の日を設定することにし、西表島鳥類調査隊の活動(つまりキンバトの皮剥き)も始まった。2013年に続いて、2014年の鳥の日の活動成果を集計しておこう。

2014年の鳥の日
・活動日:13日間(9月、12月に2日活動、10月は活動なし)
  内、2日で西表島鳥類調査隊の活動
・処理した鳥の個体数:140羽(皮剥きのみ、鳥の日以外の活動日の処理数は除く)(平均10.8羽)
  内、9羽(すべてキンバト)は西表島鳥類調査隊の活動(平均4.5羽)
  他に、骨取り+羽のサンプル採取の処理が19羽。
・のべ参加者数:152名(平均11.7名)
  内、見学者25名(平均1.9名)

というわけで、2014年も鳥の日の活動で、鳥の仮剥製が随分増えた。ただ2013年より参加者数も処理数も約30%減。キンバトの処理も2日しかできなかった。初心者向きの鳥(ツグミ類・ヒヨドリ・ムクドリ、カラス、ハシボソミズナギドリ)の処理ばかりが進んだ気がする。

2014年の活動が低調だったのは、熟練者の参加が少なかったのが理由の一つ。熟練者の育成が重要かもしれない。新たな参加希望者はいるのだけど、どうすれば熟練していってもらえるかを考えなくては。

<過去の鳥の日の記録>
・活動日
 2013年:15日間(4月、9月、12月に2日活動)
・処理した鳥の個体数
 2013年:225羽(平均15.0羽)
・のべ参加者数
 2013年:205名(平均13.7名)内、見学者32名(平均2.1名)


●2015年1月1日 一年の計

起きたのは、午前10時頃。とりあえず昨夜の年越し蕎麦の汁に、焼いた餅を入れて、雑煮を食べる。シャワー浴びて、二度寝。昼過ぎ、再び起きて博物館へ。まずは、昨年中にする予定だった雑用を片付ける。それから、干している皮のなめし作業。早めに帰る。
警備員さんに会釈した以外は、誰とも話していない。そういえば、昨年も一人で元旦を過ごして、大晦日も一人だった。

一年の計は元旦にあるとすると、今年はこんな感じの一年になるのかも。なんか楽しそうじゃないなぁ。でも、よくある元旦の一日だな。


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