日記風覚え書き

2019年4月5月、6月
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●2019年6月30日 2019年6月のまとめ ササゴイとハッカチョウ

ここ数年取り組んでいるハッカチョウ調査もこの繁殖期が一つの大詰め。4月にハッカチョウの繁殖期に突入して、その調査に忙しい。はずなんだけど、それと平行して、この繁殖期は10年ぶりの大阪府のカワウ・サギ類の繁殖地調査。カワウ・サギ類の繁殖地調査にも忙しい。どっちかといえば、カワウ・サギ類の繁殖は6月までだけど、ハッカチョウは7月も繁殖期扱いしてるので、6月までは微妙にカワウ・サギ類の方が優先。なかでも6月はササゴイの繁殖地探しに忙しい。というわけで、6月はハッカチョウとササゴイの両にらみ。忙しいなぁ。
そんな6月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。春のカラスの巣調査は今年もフェイドアウト。植物園センサスもできてない。でも、ハッカチョウセンサスは、4コースでちゃんと継続。6月になってようやく繁殖が本格化したような気がする。
大阪府のカワウ・サギ類繁殖地調査は、6月に入ってササゴイの繁殖地調査。ってゆうか、過去10年にササゴイの繁殖記録のある場所4ヶ所をチェックするも、いずこもササゴイはおらず。新たな場所も見つからず。結局ササゴイの繁殖地は確認出来ずに終わった…。来年、再挑戦かなぁ。一方、6月になって新たなゴイサギの繁殖地や、アオサギの繁殖地が見つかったり。サギ類の繁殖調査は一筋縄ではいかない。
ハッカチョウ調査では、センサス調査の他に、過去に滋賀県で繁殖記録のあった場所に確認に行った。見つからなかったけど。岡山県で確認記録のある場所にも行ってみた。いなかったけど。
あと、夢洲に繁殖鳥調査に連れて行かれた。コアジサシ狙いだったけど、コアジサシの営巣は確認出来ず。餌もって飛んで行く個体はいたので、どこかで営巣してるかもしれないけど、営巣数はとても少なそう。

標本作りは、ホネホネ団の通常の活動日の2日。大物処理の日と鳥の日。参加はしてないカリカリ団は活動なし。

普及行事は、ジュニア自然史クラブの磯観察と、カエル観察会を無事に実施。どちらも雨天中止かと思ったが、大丈夫だった。あと近所の学童保育対象に、カラスを軸に鳥の観察を軽くおこなった。
展示関係では、大阪市立中央図書館で外来生物の展示がスタート。

講演は、その外来生物展関連で、司書さんのブックトークとのコラボ企画が1回。
博物館実習は、正式の受入の書類を発送。これで受入関係のこちらの手続きは一段落。
査読はなかったし、原稿は書けてない…。まあNature Study向けの原稿は書いたけど。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系2冊と、SF15冊。完全休養日は1日。


●2019年6月29日 大阪府のササゴイは減ってるのかも

いつの時点と、いつの時点を比較するのかによるけど。そして、大阪府のササゴイは、たとえば淀川河口で活動していても、繁殖地は兵庫県尼崎市だったりするので、ややこしい部分もあるけど。とりあえず把握している限りで、思いっきり大雑把にまとめると、

1980年代には、
 大阪市北区の長柄八幡宮に数巣
 大阪市西淀川区の住吉神社に数巣
 大阪市福島区吉野に数巣
 大阪市北区の某お寺にも10巣前後はあったらしい。

1990年代には、
 大阪市北区の浦江神社に20-30巣
 大阪市北区の某お寺にも10巣前後
 藤井寺市の大和川沿いに10巣前後

2000年代には、
 (尼崎市の宮前公園・杭瀬熊野神社に20-30巣)
 大阪市住之江区の新北島東公園に15巣程度

2010年代には、
 豊中市の猪名川公園に1巣
 大阪市淀川区の十三公園に10巣前後?
 大阪市住之江区の平林貯木場に数巣

ササゴイの場合、繁殖地を見逃してる可能性も高いけど、2000年代までは、大阪府全体で(尼崎市を入れて)40-50巣くらいはいた印象。でも2010年代は、十三公園以外は誤差範囲かと。せいぜい20巣程度だろうか。そして、2019年時点では、十三公園を含め、ササゴイの繁殖地は確認できず。これを減少いわずして何というかと言えば、探し方が足らないだけかもしれないんだけど…。
●2019年6月28日 淀川河口周辺のササゴイ

大阪府ではササゴイといえば淀川、それも河口に近いエリアの鳥。ってのが昔からの常識で、その周辺の街路樹や公園や社寺で営巣する。と相場が決まっていた。古くは御堂筋の街路樹で、あるいは北区のお寺のイチョウで。はたまたとある女子校の横の公園で。淀川河口周辺ってことで、大阪市が多いのだけど、繁殖地が尼崎市ってこともある。とある駅前の公園では、サクラの木で営巣していて驚いた。
で、数年前から十三公園が繁殖地になっていた。十三駅からすぐなので、日本野鳥の会大阪支部の定例探鳥会でも毎年のぞきに行っていたらしい。
http://www.eonet.ne.jp/〜yodo-nature/kiroku1.2011-2015.html#190
十三公園での繁殖は、この記録を見る限りでは、2013年に見つかり、2018年にも営巣を始めていた。

今年は大阪府内のサギ類の繁殖地調査をしていて、当然ササゴイの繁殖地も確認することに。安定の十三公園に行けばいいだけと、楽勝ムードでいたのだけど。5月終わりに行ってみたけど、ササゴイは見あたらない。まだ少し早いのかな? 6月初めに行ってみたけど見あたらない。6月半ば、6月下旬。何度も行くのに全然ササゴイの巣どころか、ササゴイも見あたらない。
毎年、淀川下流部周辺のササゴイの繁殖地をチェックしている人に電話して(インターネットを使わない方なので…)、今年の淀川下流部周辺のササゴイの繁殖地を訊ねてみた。今年は判らんとの返事。そもそも淀川でほとんどササゴイを見ないので、今年は周辺で営巣してないのではないかとのこと。がーん。
明日のササゴイの繁殖地観察会どうしよう〜。猪名川では一応ササゴイ自体は観察されているので、それを探して、その飛んで行く方向を追いかけて、ライブでササゴイの繁殖地探し。それしかなさそう。雨降らないかなぁ。
●2019年6月25日 潮間帯の生物多様性のふしぎ

大阪湾のモニタリングサイト1000磯調査の話を聞いた。磯のモニタリングサイトは、全国で6ヶ所あって、日本各地の研究者が分担して調査してるっぽい。調査地は各地の大学の臨海実験所や博物館が定期的に観察している場所に設定されているらしい。北から、厚岸、千葉、大阪、白浜、天草、石垣島。なんとなく、どこの人が担当してるか想像できる。
毎年何度も力を入れての調査は面倒なので、岩温ロガーを付けている他は、春の潮のいい日の干潮時。永久コードラートを撮影して、主要種の質的調査。5年に一度、コードラート内の全種調査。って感じらしい。

で、その結果が意外。固着性生物に限って言えば、種数も多様度も、大阪と白浜が最大で、北から南に並べると一山形になる。移動性動物、ってゆうか固着性じゃない貝類に関しても種数は、大阪と白浜が、千葉や天草と並んでトップで、厚岸と石垣島が低い。厚岸が低いのは、寒い地域は多様度が低そうと納得できる。でも、どうして石垣島の生物相の種数が大阪や白浜より低いの?
ってゆうか、白浜と大阪が並んでるのも変な感じ。黒潮の影響を受ける白浜の方が大阪より、生物相が豊富で多様なんじゃないの?

話を聞き終わってから、納得できない聴衆が、好きな理屈をこね始めて、そこに演者も混じって面白い。魚屋は波あたりなどを気にする。貝屋は南の潮間帯は環境が過酷過ぎるんではと。地質屋は岩の違いで引っ付きやすさが違うんではと。個人的には分布の異質性のスケールの影響が気になった。地質屋の視点は、検討した方がよさそうに思う。
でも、そんな要因があっても、南の海の方が圧倒的に多様性が高いもんだとばかり思っていた。そして、逆に内湾の大阪なんて全然多様性低いかと思ってた。磯の生物は、多くの生物屋の常識を覆していて面白い。つまり磯観察は大阪でやるのが日本で一番楽しいってことやんね?
●2019年6月24日 子どもとカエル観察会

昨日は大勢の子どもを率いてのカエルの観察会だった。毎回思うけど、案内する側はたくさんの種類を見せたいし、珍しいめの種類や面白い生態を紹介したい。それは、大人のニーズにはあってそうだけど、子どもにはどうなんだろう?
子どもは、カジカガエルやヤマアカガエルを見つけて見せなくても、アマガエルだけで充分盛り上がれるらしいし、トノサマガエルやタゴガエルを捕まえれたら嬉しそう。なんならカエルがいなくても、サワガニ捕まえて十二分に盛り上がっていたりする。子どもは持ち帰って飼育したがりがちだけど、カエルの飼育は難しいから、むしろサワガニを持って帰る方が良かったりする。
大人向けのカエル観察会なら、種数が多かったり、比較的珍しい種が出たり、あるいは面白い生態を見れたりが良さそう。そこで、カエルの分布、生態、現状なんかを説明したらいいんだろう。
多くの子どもの満足度という点では、まず種数はいらない。遠くにあるのを観察するだけのモリアオガエル卵塊なんてあまり興味なさそう(触れると少し楽しそうだけど)。むしろ簡単にたくさんのカエルが見られる、捕れるというのが重要。水が多すぎない、少々なにをしても怒られない。といった安全面も大切。
子どもの中にもハイレベルのカエル好き(あるいは両生爬虫類好き)もいる。ってゆうか、しばしばマニアに近い中高生が混じったりもする。そんな子らは大人と同じニーズ、ってゆうからさらにマニアックな情報を求めていたりする。ニーズが幅広すぎる〜。
っていうのを鑑みるに、種数多めで、大阪府のカエルがかなり網羅できて、トノサマガエル、タゴガエル、ヌマガエル、ツチガエルがたくさん捕れる。摂津峡周辺の公園〜渓流〜水田のコースは、多様なニーズにけっこう応えられるコースではある。
まあ、子どもは現地に連れて行けば、それなりに勝手に楽しむから、そんなに気にしなくていい気もする。
●2019年6月22日 子どもにカラスとのつき合い方を説明…できたかな?

先月、近所の学童保育をされている方から相談の電話があった。公園でカラスの巣を見つけて、そこに石を投げる子がいて、そのせいか別の子がカラスに頭を突かれた。とか、そんな感じ。最初はカラスとどう付き合えばいいかという相談だったのだけど、話の流れで子ども達に、直接説明することに。
で、それが今日。ただ、説明してもきっと聞いてないだろうから、外をウロウロして、カラスやカラスの巣を見せて説明。ついでに他の身近な鳥も観察するのはどうかと提案したら、採用された。

集まった子どもは13人。そこに先生役が4人。貸し出し用の双眼鏡を渡して、外へ。とりあえず双眼鏡の使い方を説明。ざっとした説明しかしなかったけど、ほとんどの子どもはそれで使えるようだった。双眼鏡を使うのはみんな初めてらしかったが、子どもって学習能力高いんだな。
で、まずはスズメの巣立ちビナを観察。意外とくいつきがよくって、多くの子が真面目にスズメを観察してる。数人が盛んに質問してくる。話を聞いてくれると分かると、ドンドンいろんな話題に、カラスの巣に石を投げる話題も。
カラスの巣に石を投げて、カラスが人間を敵視するようになったら、投げた本人以外が襲われる可能性が出てきて、みんなに迷惑。石を投げないように。カラスが人間を敵視しなければ、カラスも人間も平和で、安全で、余計なお金もかからないから。
てな説明を何度かするけど、その多くの場面で石を投げた子をどこかで別のことをしていたような…。ちゃんと聞いてくれたかなぁ〜。
でもまあ、多くの子はカラスも観察し、カラスの巣も観察し、ムクドリも見て、最後は池で間近にアオサギを見た。鳥の観察をわりと気に入ってくれた子も数人いた感じ。もっとも、一番食いつきが良かったのは、池でカメを見た時かもしれないけど…。

子ども的には、しばらく話をしたら友だちなんだろうか。よく喋る子を中心に周りに集まる。そして、他人が話していても関係なく、自分の話を始める。そのすべての返事に忙しくなると、鳥の観察どころではなくなる。なんか本末転倒している感じがするけど。
そして、いつの間にか手をつないでる。歩くときは隣の人と手をつなぐというのは、幼稚園から小学校低学年で習慣づけられるんだろうか?
●2019年6月21日 読書サークル 第104回会合覚え書き

隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。今日の会合で出た本についての意見を記録。

今日の課題本は7冊。2冊繰り越しになって、1冊繰り越されてきたので、6冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。

●「進化の法則は北極のサメが知っていた」
(紹介文4つ、平均★数は3.0)
 評価真っ二つに分かれた動物の代謝についての理論面が楽しめた人は高評価で、調査のエピソードを求めた人は低評価。エピソードの合間に調査結果やその理論の解説が入るスタイル自体にも、好意的評価と否定的評価があった。なぜかジェームズ・ブラウンで盛り上がる。ゲロッパ。

●「サルと屋久島」
(紹介文2つ、平均★数は3.5)
 ゴローが「ヤクザル調査隊」の調査の経過を紹介して、マツバラくんが調査時のエピソードを紹介するんだそうな。時間だけは有り余ってる学生達の青春が熱い、という理解でいいのかな?

●「地球46億年気候大変動」
(紹介文2つ、平均★数は3.5)
 内容はちょっと難しいけど、とても勉強になるらしい。暗い太陽のパラドックス、地球酸化イベント、温室地球、炭素ハイウェイなど、各章のタイトルに、意味は判らんけど気になる単語が並ぶ。ちょっと読みたくなるかも。

●「おしえてフクロウのひみつ」
(紹介文4つ、平均★数は3.3)
 フクロウについて色々知ることが出来るという点では一致。主人公のフクロウが話す趣向を、子どもは喜ぶが、大人は拒否反応を示す人も。

●「火山のしくみパーフェクトガイド」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
 通しで読むのはつらいとか、判らんカタカナが多いとか、文句はいろいろ出てくるけど、勉強になるらしい。コラムが面白いと言って、コラムばかり拾い読みしている人も。

●「日本列島の下では何が起きているのか」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
 内容はけっこう難しい、と読んだ人は口をそろえる。水がマントル上部まで入って、マグマをつくるのに貢献して、火山や地震に影響を与えてる。という話が書いてると理解していいのかな?
●2019年6月20日 スクミリンゴガイ前線

サクラ前線のように季節の進行にともなって動く前線ではないけど、スクミリンゴガイの分布の境界という意味で前線。京阪神の平野には全域に生息してると思ってたけど、そうじゃなくて意外。滋賀県にも広く生息してるんだと思っていたけど、あまりいなくて意外。

大阪平野に関して言えば、淀川以南にはほぼ全域に分布してるといってもよさそう。といっても、すべての田んぼにいるわけではないけど。あと、枚方辺りは生息密度が低い気がする。一方、淀川より北は、高槻市や島本町にはもれなく生息しているけど、箕面市や吹田市、豊中市辺りより西には、ほぼ生息してないっぽい。茨木市と摂津市はもう少し調査の必要がありそうだけど。
その勢いで、兵庫県南東部にも生息してないらしい。それが、明石市以西だと普通に生息している。西は少なくとも岡山県の瀬戸内沿いにまで拡がる感じ。

滋賀県はというと、大津市の瀬田辺り以外には生息してないらしい。山を越えた濃尾平野には広く生息しているのに不思議。

てなことは、
「スクミリンゴガイの分布調査」https://sites.google.com/site/sukumiringo/
より。プロットのない地点で観察したら、是非お知らせを。たぶんいなかった情報も歓迎されます。1時間ほど探さないと、いないと言わせてくれないので、ちょっと面倒だけど。
●2019年6月19日 ハッカチョウin滋賀県

今までに把握できた滋賀県のハッカチョウ情報を整理してみよう。と言ってもたいした量ではないのだけど。最近の情報はないのだけど。それでも繁殖記録があるのは判った。そしてどうやら今はいないらしいことも。

とりあえず入手・捕捉できた滋賀県のハッカチョウ情報を並べると、
・2006/4/14、伊香郡西浅井町大浦
・2007/1/9、大津市衣川1丁目:琵琶湖岸
・2007/1/9、大津市本堅田2丁目:堅田港

・2007/6/14、大津市雄琴:株式会社ワキタ滋賀営業所(http://nionoumikara.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_67d8.html) ※繁殖記録
・2007/4/21、大津市雄琴:雄琴川河口付近(http://nionoumikara.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_315b.html)
・2006年1月、大津市本堅田2丁目:堅田港(http://nionoumikara.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_315b.html)

・2006年5月末、大津市雄琴:琵琶湖岸(日本野鳥の会滋賀「におのうみ」2007年9月号)
・2007/6/6、大津市雄琴:マリーナ雄琴(日本野鳥の会滋賀「におのうみ」2007年9月号) ※繁殖記録

西浅井町の記録を除けば、すべて大津市雄琴から堅田の間(ってゆうか雄琴川河口から堅田港の間)。すべて2006年と2007年。そして、少なくとも2007年は複数箇所で営巣していたらしい。
その後、消えたのは移動したのかな? 滋賀県で記録がないってことは、京都府か大阪府にでも?
●2019年6月18日 大阪のムクドリの集団ねぐらを研究するなら、おさえた方がいいポイント(独断)

某大学の学生さんから、ムクドリの集団ねぐらの研究に関して質問したいとメールがきた。とりあえず会ってみた。で、勝手にこちらの気にしてることを話しまくったかも。

今でこそ、駅前にムクドリの大きな集団ねぐらができて、問題になったり、マスコミに取り上げられたりしてるけど。

ポイント1:大阪で都市部にムクドリが普通になったのは1980年代以降。それ以前は、当然ながら駅前にムクドリの集団ねぐらなんて存在しない。それどころか、大阪府での1990年頃の調査(大阪府1992「都市鳥調査報告」)では、駅前の街路樹の集団ねぐらは、阪急南千里駅だけ。むしろ大規模な集団ねぐらは、団地や公園に出来ていた。記録されてなかった(駅前の)。つまり、駅前の集団ねぐらの歴史はさほど古くない。大阪府では、せいぜい30年は経っていない。

で、今では駅前に大規模なムクドリの集団ねぐらができて問題になったりするわけだけど、

ポイント2:ずっと駅前にあるわけではなく、夏から秋にかけては駅前に集まっていたムクドリは、11月頃からは駅前から離れて、住宅地周辺の竹林などに分散して集団ねぐらが形成されるようになる(2015年の大阪鳥類研究グループによる調査結果)。

だもんで、マスコミがとりあげるのも、おもに8〜10月になる。人とムクドリとの共生という視点を持つのなら、こうしたマスコミの記事の内容にも注目する必要がある。そして、もう一つケアすべきは、

ポイント3:駅前にムクドリの集団ねぐらができると、騒音問題やフン害として問題になるだけではない。Twitterで検索してみればわかるけど、少なからぬ割合の人たちが、鳥の大群が飛びまわってること自体を気持ち悪いと感じている。これをどうにかしないと、少なくとも駅前のムクドリの集団ねぐらとの共存は難しい(日本鳥学会2017年度大会自由集会報告)。

都市計画に絡めたり、社会学的な視点でも、もちろん自然科学的視点でも、研究テーマがいくつもありそう。本当は、自分でなにかしてみたいけど、手が回ってないなぁ。
●2019年6月16日 今年の磯観察

年に一度、中高生向け行事の引率で、大阪府岬町から和歌山市加太のどこかに磯観察に行く。というのが、この20年ほどの年中行事。という訳で、今日は加太の城ヶ崎に行った。
南海難波駅に集合して、特急サザンにのせて、和歌山駅で加太線に乗り換え、終点下車。始発と終点で乗り降りするだけなので、けっこう気が楽かも。あとは道を延々と歩いて、磯に到着。到着してしまえば、解き放つだけなので楽ちん。といっても、怪我してないか、危ない場所に行ってないかと、頻繁に見回してチェックして人数を数える必要があるけど。同時に、みんなと一緒に楽しむのもお仕事のうち。
で、毎年やってるのが、ウミウシ対決。多くの種類、キレイな種類を見つけた人が勝ち。が、しかし、今年はウミウシの数が少なくてあまり対決が成立しない。対決に参加していないくせに、クリヤイロウミウシというキレイなのを捕った奴がいたり、ウミウシ専門家が大人げなくいっぱい見つけるし、なんてこともあって盛り上がらない。
代わりに棘皮動物対決やヒラムシ対決も少ししたけど、さほど盛り上がらない。むしろ魚屋がドロメを捕ってくれ〜、というので魚すくい班は、ドロメ採りに盛り上がってる。
タコ男は今年もタコを探しているが、見つけられず。他の人が2匹ほど捕っていた。天気はいいのだけど、波が高く、深めの場所に行けなかったのが敗因かと。同じ理由で釣りももひとつだった。
●2019年6月15日 7月後半も囀る鳥の特徴

なぜか人前でそんな話をした。つまりは繁殖期が長いってことなんだけど、繁殖期が長い鳥には、それなりの特徴があるんじゃないかという話。

一つは、留鳥であること。繁殖期が長いと、渡りのタイミングまでの時間が短くなる。渡りのためのエネルギーをためる余裕がなくなる。親鳥もそうだけど、幼鳥にとってはかなり深刻。そして渡りの前にできれば換羽を進めたいという要求ともぶつかる。という訳で、渡り鳥には不向き。年中同じ場所にいるなら、余裕もあるだろう。

もう一つは、一夫多妻になる傾向、あるいは同じつがいで年に何度も営巣すること。囀りは、メスに対するアピールと、なわばりの維持に関わる。同じメスと一度だけ繁殖する鳥は、そんなに長い間囀る必要はない。営巣中でもヒナが巣立つことには、なわばりだってあまり必要ないはず。一方、次々に別のメスとペアになるには、囀り続けることが肝要。あるいは、今の営巣が終わった後、また営巣をするのなら、なわばりを維持し続ける意味もある。

ちなみに大阪で該当する鳥は、山林だったら、ウグイス、ソウシチョウ、ミソサザイ、クロツグミ。草地だったら、セッカ。あとキジバトとか。
一夫多妻になる傾向は、キジバト以外には当てはまる。キジバトの場合は、同じつがいだけど、年に何度も営巣するので上の理屈に合致する。
多くの種が留鳥なのも、上の理屈に合致する。が、クロツグミが夏鳥だなぁ。セッカも繁殖個体群は夏鳥だったかなぁ。セッカは渡りというほどの移動をしないかもだけど、クロツグミはどうなってるんだろう? クロツグミは7月後半も囀るというイメージが間違ってるのか、なんか面白いことをしているのか?


●2019年6月14日 ハッカチョウの繁殖地と越冬地

留鳥にしては、繁殖開始が遅めっぽいハッカチョウでも、6月は繁殖期まっただ中のはず。そんな繁殖期のハッカチョウセンサス4コースを終えて、なんとなくハッカチョウの一年の暮らしが見えてきた気がする。

まずハッカチョウは渡りはしなさそう。漂鳥的な動きもなさそうに思う。というのも大阪府レベルで確認地点をプロットしても、繁殖期と非繁殖期であまり分布に違いがないから。たとえばウグイスのような大阪府内での季節移動があれば、繁殖期と非繁殖期の分布ははっきりと異なるもんだし。
でも、季節移動がまったくない訳ではなさそう。というか、繁殖期の生息場所と非繁殖期の生息場所は微妙に違う。例えば、淀川左岸では、非繁殖期には、赤川鉄橋〜長柄橋、そして御堂筋〜十三大橋の2つのエリア周辺に群れで記録される。でも、繁殖期には、長柄橋、十三大橋、JR塚本鉄橋の周辺に、数つがいずつ散らばってるらしい。
例えば、猪名川沿いでは、非繁殖期には軍行橋の上流側に群れで暮らしている。でも、繁殖期には、猪名川からはいなくなる。もらった情報からすると、伊丹空港周辺に散らばっているっぽい。
たとえば河内長野市北部では、非繁殖期はさっぱり見つけられないが、繁殖期になると、千代田駅の西、外環状線沿いなどにつがいが戻ってくる。
りんくうタウンから田尻町にかけてのエリアでは、非繁殖期には田尻港に十数羽の群れで暮らしている。でも、繁殖気になると、田尻港からいなくなり、りんくうタウン駅の南側に数つがいは出現する。

非繁殖期の滞在場所を把握できていない場合は、繁殖期にいきなり出現するように見える。非繁殖期に確認できていた個体全部が、繁殖期にどこに散らばるかは、把握しきれない。でも、近いエリアで、非繁殖期には群れで暮らし、繁殖期になると周辺につがい単位で散らばるというパターンで理解できそう。
ヒナが巣立ってきた時、どこをウロウロし始めるかは、また別の話かもしれない。7〜8月頃が楽しみ。
●2019年6月13日 大阪の両生爬虫類が増え続ける?

日本に広く分布している種が、東日本と西日本で別種にされるというパターンが、遺伝的な研究が進む中で、メダカやキチョウをはじめいろんな分類群で生じ続けている。淡水魚や昆虫は大変だなぁ。
と呑気にかまえていたら、ニホントカゲが東西で、ヒガシニホントカゲ(Plestiodon finitimus)とニホントカゲ(Plestiodon japonicus)に分かれてしまった…。問題はその境界が近畿地方を縦断していることで。とりあえず大阪府にいるのは、ニホントカゲ(Plestiodon japonicus)らしいのだけど、境界付近では両種が分布するかもしれないという噂が…。となると、ヒガシニホントカゲ(Plestiodon finitimus)がいるかいないか調べないとって話になりかねない。
と思ったら、ヒダサンショウウオも東西で2種に分かれた。これは近畿地方は境界ではないので、大阪府のヒダサンショウウオは、今まで通りヒダサンショウウオ(Hynobius kimurae)のままで一安心。
ところが2019年、カスミサンショウウオが9種に分けられた。大阪府にいるのは、ヤマトサンショウウオ(H. vandenburghi)かセトウチサンショウウオ(H. setouchi)のどっち? となって、もしかして2種いる可能性すらあるのか?とドキドキ。
その上、ニホンアマガエルも東西2種分かれるかもという話が…。その上、その境界がちょうど大阪府を通りそうな。

大阪府の両生爬虫類の種数が増える可能性がある。そして、レッドリストも見直しがいるかもだし。その際に、過去の記録が使えない可能性が…。標本を確保する重要性が改めてシメされたとも言える。
●2019年6月12日 カエル観察会の下見

カエルの観察会の下見に行ってきた。中止率の極めて高い、あのカエル観察会。長らく毎年同じコースで実施してきたので、下見はしてこなかった。が、昨年、ちょっとコースを変えてみようと、久しぶりに下見をした。でも、大阪北部地震でコースが通行止めになって中止となった。雨天中止以外のパターンがあるとは斬新。
で、今年。せっかくなので、昨年下見したコースで実施することに。が、しかし、昨年のコースは大阪北部地震の後、開通したのも束の間。昨年9月の台風で再び通行止めに。で、今年は通行止めの谷筋を避けて、尾根筋を歩くコースに変更することになった。新たなコースなので、今年も下見が必要。
ってことで、下見に行った。尾根筋から下りる部分が、えんえんと階段が続くのはちょっと面倒だけど、とくに問題なさそう。いつも昼食を食べているところに下りられるので、コースの変更は最小限。本当に問題なさそう。
さて、地震とか梅雨とか台風で、この尾根筋の道が崩壊しなければ、来年は下見なしでも良さそう。さらに予想外のパターンもあるんだろうか?
●2019年6月9日 スジイルカ観察

先月末に回収してきたスジイルカを解体処理した。といってもすでに3つにバラして、内臓は抜いて持って帰ってきたので、もうちょちょいと肉を除去して、砂場に並べるだけ。と思ったら、意外と作業量があって、ほぼ一日がかりだった。
ちょっと腐り気味だけど、まだまだ皮も残っていて、観察ポイント満載で面白かった。また、持って帰ってきて作業したり、観察したりしてみると、現地での処理をもう少しああすれば良かった的なポイントもあったから記録しておこう。

まず何より模様が萌える。現地ではできるだけ軽くしたかったから、皮は剥いて置いてきたけど。もっと持って帰ってきたらよかった。それもできるだけ切り刻まずに。てなことは、時間制限がある中で、雨の中での作業ではあまり現実的じゃないかもだけど。まあ、背びれとか尾びれは確保して持って帰ってきたので、液浸で保存できて少し嬉しい。
あと、現地での解体処理の際、無くしやすいホネとして、寛骨と遊離肋骨と舌骨は気にしていて、頭部と肛門より後ろの尾部は丸ごと持ち帰ったので問題なかった。内臓を取り出して、脊椎骨を切り離す際、遊離肋骨を捨てないようにとは思ったのだけど、片側の遊離肋骨が付いてなかった…。もう片側は付いてたから、処理自体は間違ってなかったと思うのだけど、遊離肋骨が片側ないってのはしばしばあることでもあるけど、思ったより遊離肋骨が短かったので、現地で捨ててないか少し不安。次の機会はさらに慎重に作業しよう。
それから、現場で解体時に、腹腔内からビー玉大の丸い物がいくつか出てきた。なんじゃこれ?といいながら回収したのだけど、今回処理するときすっかり忘れていて、肉と一緒にあわや捨てそうになった。もっと判りやすく持ち帰った方が良かった。

で、スジイルカの頭部は、みどころいっぱい。舌はネコのようにザラザラではなく、平らで、小さな穴がいっぱい開いてる。口の中の上側も滑らかで、魚を喰うというのに、ペンギンのような逆トゲ状の構造がない。喉頭は細長くて、開けたり閉じたりできる。喉にもう一つ口がある、というか、口の中にエイリアンがいるイメージ。さぞかし色んな声が出せるんだろう。知らんけど。
右側の歯が一部抜け落ちてて残念だなぁ。と思ったのだけど、触ってみると歯は抜けて無くて、欠けてるだけのよう。で、よく見ると、根元よりの同じような部分が上顎も下顎も歯が欠けている。5-6本ずつ2ヶ所って感じ。なんか堅いもんを右側で囓ってしまったのかなぁ。2回も?
●2019年6月8日 図書館司書とのコラボ講演会

という企画も、今日ので3回目。はたしてこの試みは、良いのかそうでもないのか、そろそろ検証した方がいい気がする。
基本的には何冊か本を選んで、司書さんのブックトーク。それを受けてこちらが科学の立場からコメントという趣向。これを何度か繰り返す。どんな本を選ぶかの打合せが必要だけど、講演時間の半分近くを司書さんに押しつけられるので楽ちん。極端な話、なにも準備しなくてもコメントできるんだけど、一応パワポを作っておく。

最初は、2015年5月「いろいろ、たまごの話」
カエルとカメとワニと鳥のタマゴの話をするから、それ関連の本を選んでくれるように司書さんにお願いした。1回、図書館に行って本を決定。細かい打合せはなし。本の選定の過程で、副題に「『ぐりとぐら』のたまごは何のたまご?」が付けられた…。構成は、
 カエルのタマゴ 『ゆかいな かえる』『999ひきのきょうだい』
 カメのタマゴ 『おおきくなあれ うみがめ』『たまごって ふしぎ』
 ワニのタマゴ 『とことん・ワニ』『ズーブック ヘビ・ワニ』
 鳥のタマゴ 『ぐりとぐら』『あひるのたまご』『たまごのはなし』
の4往復。関連するタマゴの話を語って、最後に『ぐりとぐら』のたまごは何のたまごかを推理した。あの話がアフリカ舞台とは知らなかった…。

2回目は、2017年6月「瀬戸内海で暮らす 鳥、カメ、イルカ」
ウミガメとスナメリと海鳥の話をするから、それ関連の本を選んでくれるように司書さんにお願いした。1回、博物館に本を持ってきてもらって、本を決定。大雑把な流れだけ決めた。海鳥の良い絵本がなかったが、ユリカモメとアオサギの本を選んできていたのでそれを採用。構成は、
 アカウミガメ 『ウミガメものがたり』
 スナメリ 『のんたとスナメリの海』
 ユリカモメ 『ゆりかもめ』
 アオサギ 『アオサギのさかなとり』
の4往復。それぞれの瀬戸内海での暮らしを紹介する感じ。『のんたとスナメリの海』は瀬戸内海でのスナメリ漁の話でぴったりだった。

3回目は、2019年6月「絵本で考える外来生物」
5月に2回も打合せをした。最初は司書さんが2人、博物館にきて、進め方の相談。『あらいぐまラスカル』、淡水、島、ネコの4本柱を決めた。2回目は大量に本を持って1人で博物館にきた。構成は、
 アライグマ 『あらいぐまラスカル』
 水辺の外来生物 『カミツキガメはわるいやつ?』『たんぼのおばけタニシ』
 島の外来生物 『ヤンバルクイナ・アカチャーの唄』
 ネコ問題 『ノラネコの研究』
の4往復。アライグマでは絵本ではないけど、こちらから『ぜったいに飼ってはいけないアライグマ』を紹介。島の外来生物では、沖縄島の話から、奄美大島、小笠原諸島の話もした。島のネコ問題から、最後のネコ問題へ。

基本的に、
・絵本中心に本をセレクト
・1時間半の講演時間で、4往復
というスタイルは出来たと思う。そんなに打合せしなくてもなんとかなる。どうやら図書館側での評判はいいみたいなんだけど、聴衆の反応はいま一つ判らない。
あと課題は、司書さん側の本の紹介スタイルかも。担当者によって、けっこういろいろ。読み聞かせする人もいたりする。まあ何でもどうにかなるけど。
今年は今までで一番細かく打合せしたけど、だからといって特に違ってもなかった…。
●2019年6月7日 霜取り日記

明後日のなにわホネホネ団の活動日に向けて、冷凍室から大物出した。ついでに、実に久しぶりに冷凍室の霜取りをした。ちょっと前まで気になるほどじゃなかったのに、ふと気付いたら、頭をぶつけそうな位に天井から霜がぶら下がっている。このままだと、物を入れるのにも支障が出そうなので、面倒だけど仕方がない。
で、天井の霜を落として運び出すこと1時間ほど。大ざっぱに数えて、20Lのバケツに30杯ほど…。氷になってるのもあったので、落ちてきたら洒落にならない。標本にも影響があったかもしれないので、霜取りしておいて良かった。 何度も冷凍室を出入りする。出るたびにメガネが曇る。こういう時はメガネが不便。
それにつけても、どうして突如として霜が急成長したかの謎は残された。誰かが開けっ放しにしたとか。湿度が高い季節になったからとか。水分を多く含んだものをたくさん入れたとか。ゆっくり生長していた霜が、ある時から目立つようになっただけとか。とりあえず、湿度が高い季節になったからなら、梅雨の間にまた霜の急成長が見られるのかも知れない。
●2019年6月6日 図書館で展示設営

ここんところ6月前半頃の恒例になってる。大阪市立中央図書館のエントランスホールでの展示の設営にいってきた。中央図書館は木曜日がお休みなので、展示の設営と撤収は木曜日に行く事になる。休みでスタッフしかいないガランとした図書館。他の日に行くことがまずないので、むしろ休みの図書館を見ることの方が多いかも。
エントランスホールの展示スペースは、3つに分かれたウォールケースと、小さめの平面ケースがいくつか。昔は平面ケースも使いまくった展示をしていた気がするが、近頃はウォールケースを埋めるだけが多い。
担当分野が1つだけの時にウォールケースを埋めるのはけっこう大変だけど、今回のテーマは外来生物。生物系全分野がそろってるので、個々の負担は少なめ。鳥類・哺乳類+魚類、貝類+昆虫、植物でそれぞれ一つのウォールケースを埋める。設営に行った学芸員は3人。で、1時間半ほどで設営完了。
おおむね、先月まで大阪府立中央図書館でやってた展示の使い回し。こちらの方が少し展示スペースが多いので、少し足した程度。基本的には、市民参加の調査プロジェクトの紹介と情報募集。大阪府立中央図書館の展示では、展示を見てヌートリア情報などを提供してくれる人がけっこういた。大阪市立中央図書館はどうかな?
●2019年6月5日 ムシの日の展示室

今日は、ムシの日という館内恒例行事の日(本来は6月4日に実施する)。虫の活動が活発になる直前に見まわって、虫への対応を準備しておくという趣旨らしい。むしろ、虫の活動が終わってからの方が、虫の活動の痕跡を把握しやすく、対応もしやすいとの意見も出てたから、来年は晩秋から冬に実施されるかもだけど。ともかく今年は梅雨入り前の6月初めに実施。分担して展示室と収蔵庫をチェックしてまわった。
今年は展示室チェックに参加した。学芸員って、常日頃はあまり常設展示を見ることがないので、改めて常設展示をじっくり見る機会になる。本来はムシが発生していないかのチェックだけど、展示の不具合のチェックも兼ねるし、展示の改善点を考える機会でもある。

第1展示室。スポットライトで文字パネルが白くなってるのがまず話題に。前に仕立て直したのはいつだっけ? 例年よく虫が出るコーナーに虫が出ておらず、割とあっさり終了。
第2展示室。ライトの球を換えるのが面倒なケースを前に担当者が、ぼやく。古い地名・国名を見つけたり、子どもワークショップで設置した矢印がまだ残っているのを見つけたり。
2階ギャラリー。ケースのドアの修繕が話題に。対処しなくっちゃ。ここでも国名の英語のスペルの間違いが見つかった。
第3展示室。ボタンを押したら動くはずの展示が動かない。叩いたら動いたんだけど、それでいいんだろうか?
第5展示室。故障中の機械仕掛けがいくつか。これはすでに修理の手配をしてるらしい。新たなにジョイスティックやタッチパネルの不具合も見つかる。

ムシの発生は標本を燻蒸したり、防虫剤を投下したりで対応できるけど、不具合の中には改めてそれなりの予算が必要になるのも多く、見つけてもなかなかすぐにはすべて改善できない。すみません。
●2019年6月4日 岡山県のハッカチョウ探し

探すというより、情報のある場所を見に行くだけ。ピンポイントで場所を教えてもらってるのに、見付けられず…。まあ大阪府でも、よくあること。
インターネットを検索すると、岡山県のハッカチョウ情報が見つかる。あまり多くはなさそうだけど、繁殖してるっぽい。で、岡山の知り合いにたずねまくって、地元のメーリングリストなどに情報募集を流してもらったら、なんと情報を頂けた。岡山県南部の海に近めのエリアに点々と記録がある。とくに赤磐市と岡山市の一画に複数の記録があるらしい。すると、今年営巣してるという場所の情報をくださった方がいた。ということで、対馬の帰り道に岡山駅前で1泊して、ハッカチョウの営巣を探しに行った。
最初に向かったのは、旧熊山町。なんせ河口と漁港以外は、土地勘がない。熊山駅で降りるのか、万富駅で降りるのか判らず、ウロウロ。目的地は、旧の町役場。ここは駅からすぐで良かった。ムクドリはいたけど、ハッカチョウは見あたらなかったけど。
次に向かったのは、瀬戸駅から延々と歩いた馬屋って辺りの高速道路の高架。暑かった。ハッカチョウはいなかった。
岡山駅に帰る途中。百間川沿いを歩いてみた。ここも複数地点でハッカチョウの記録がある。今年の情報ではないので、期待はしてなかったが、やはりハッカチョウには出会えず。ただ、ヌートリアが泳いでいた。本場のヌートリアを見れてちょっと嬉しかったかも。
やっぱり地元の方にお願いして情報を提供して頂くのは効率的だな、と思った。でも、どんな感じの場所かを見ておいた方がイメージが湧くので、無駄ではなかったんだろう。たぶん。
●2019年6月3日 18年ぶりの対馬のまとめ

今日で対馬での5日間の滞在が終了。対馬に来たのは2001年以来の18年ぶり。随分変わっていた。なによりシカの気配が増えた。前回は野生のツシマジカは見られなかったのに、今回は昼間車で走っていても、道ばたに立ってるのが見られる。そして、多くの林が乾きまくっている。
もう一つ変わった気がするのは、韓国からの観光客の増加。厳原から佐護まで、各地で韓国語が聞こえる。厳原にはハングルで書かれた看板が多くて、飲み屋の中には日本語の看板がなくて、入るのをためらうところすらあった。あと印象的だったのは、博多港からの船よりも、韓国からの船の方が新しい感じで格好いい…。
もしかしたら日本語よりも韓国語が聞こえまくる環境から大阪に戻ってくると、地下鉄で聞こえてくるのは中国語ばかり。ちょっとしたカルチャーショックを味わえて面白い。
2001年5月と今回で、何カ所か同じ場所に行ってるので、少し比べてみよう。

・上県町佐護:棹崎公園
 2001年は簡単にツシマサンショウウオが見つかると書いてる。今回は林床に植生がなく、乾きまくっていて、シカの影響がとても大きい。サンショウウオは探しもしてないけど、まだいるのかな?

・峰町木坂:海神神社+御前浜
 2001年には海神神社の境内をめぐる探鳥路が整備されていたというのだけど、今回は山が倒木で荒れまくっていて、ぐるっと探鳥路を回ることができない。なにがあったんだろう? シカ牧場は以前のままだった。

・厳原町:上見坂公園
 ここは、2001年時点でも、シカの糞がたくさんで、林が乾いていて楽しくなかったらしい。今回も同じだけど、他の場所のシカの影響が多いので、かえってここがさほど悪くない気がするから不思議。
●2019年6月2日 シカがいる林、いない林

昨日見た林はいずこもシカだらけ。佐須の北にある阿連の林は、低めのディアラインがくっきりあって、林床にろくに植生がなくて、林は乾きに乾いている。海岸近くの草地には、シカが食べないらしいネコノメソウ類とイラクサ科とハスノハカズラとハマゴウだけが拡がる不思議な光景。まるで奈良公園のようでもある。コウボウムギも生えてるのだけど、ことごとく葉っぱが喰われて枯れかけてる感じ。
次に行った佐護の林も、林床に植生がなく、乾ききっている。昔はいっぱいウニのようなナメクジが落ちていたのに、ぜんぜん見かけない。近くの草地で虫網をふったら、ダニばかりが捕れたらしい。これではツシマヤマネコも暮らしにくそう。
でも、今日行った城山辺りの林はシカの影響が少なく、林床の植生が豊富で、とても楽しい。林床の動物も楽しげ。林床に植生があるかないかでこうも違うとは。という訳で、シカが増えまくった今の対馬では、シカの影響の少ない林をいかに見つけるかが、自然観察の結果を大きく左右しそう。
●2019年6月1日 2019年5月のまとめ ホネホネ、サギ巣、講演連発

第1週は、ホネホネ三昧。その後は、講演が3発あるので、その準備と本番。6月の講演の打合せと講演関連が多め。その合間に、4月から本格展開しているカワウ・サギ類の繁殖地調査にあちこちに出かける。とまあ、いろいろしててまとまらない月だった。
そんな5月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。春のカラスの巣調査も植物園センサスも、地元の調査はほとんどできず。ハッカチョウセンサスは、4コースでちゃんと継続。
4月から本格稼働の大阪府のカワウ・サギ類繁殖地調査は、ゴイサギやコサギの繁殖が本格化する5月が一つの勝負。ってことで、過去にゴイサギやコサギの繁殖記録のあるところをできるだけまわった。

標本作りは、ホネホネ団の活動日が3日。スナメリの日と鳥の日とゾウ洗いの日。参加はしてないけど、カリカリ団の活動が2日。

普及行事は、今年は無事に鳥のさえずり行事を実施。一方、淡輪での観察会では、緊急通報案件が発生。

講演は、毎年担当させられてるとあるサークル相手の市街地で繁殖する鳥の話、外来生物調査プロジェクトの中間発表(ハッカチョウの話)、そして大阪府のサギ類の繁殖地の変遷の話(この講演を口実に整理しておきたかったので)。
博物館実習は受付も調整も終わって、正式の依頼状を待つだけの簡単なお仕事。
査読はなかったし、原稿は書けてない…。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系0冊と、SF17冊。完全休養日はなかった。
●2019年5月31日 自転車で対馬を行く

18年ぶりに対馬にやってきた。前回はお抱えドライバーがいたので、あそこに連れて行け、ここで下ろせ、何時に迎えに来い。と言ってれば、どこにでも行けたのだけど、今回はドライバーがいない。バスでの移動は不便そうだしってことで、レンタサイクルを使うことにした。甘かった。地形から考えて絶対にアシスト付きでないと、ってことは想像できたんだけど。

昨日は、昼に厳原港に着いて、昼食を食べてから、レンタサイクルを借りた。対馬の探鳥地案内を見ると、下島の南岸の入江の耕作地周辺が乗ってたので、とりあえず南へ。久和を目指して、午後2時ごろ出発。
地図ではたいした距離ではないのだけど、厳原の海岸沿いを抜けると一気に標高400mほどまでの登り道。アシスト付いててもしんどい! あまりアシスト使うと、帰り道に電池切れになりそうでドキドキ。アシストを控えると一層しんどい。なんとか登り切ったら、比較的なだらかに下ったり、少し登ったり。で、久和の手前でどーんと下る。帰りは同じ道を上らないといけないので下りたくないけど、目的地は海岸沿いで。あとレンタサイクルは午後5時に返さないといけない。午後3時半には戻り始めないと。でも、ここまで来たら久和にはたどりつきたい。もはや鳥を探したり自然観察ではなく、久和へたどりつくことが目的と化す。
ようやく久和に着いたのは午後3時15分。時間に追われて、すぐに引き返す。なんのために来たのやら。帰り道は峠まででアシストを使い切っていいので、アシスト使いまくり。意外と楽ちんだった。

そして今日。厳原の南や西へ向かう道は一気に上って険しいので、北に向かう。今日の目的地は、洲藻からの加志浜。昨日と比べるととてもらくちん。登りは穏やかだし、下りも穏やか。と思ったら、下島の北側に並ぶ集落から集落の間は、一々小さな峠越え。それでも昨日よりはまし。
今日は洲藻でブッポウソウなど鳥見もできたし、加志浜の田んぼも見れた。ただガイドブックに書いてあった加志浜の商店がしまっていて、昼食を食べ損ねたこと。他に喰い物を売ってる場所も、鶏知まで戻らんとないし! 仕方がないのでクワの実を食った。まあうまかった。

というわけで、軟弱者が対馬を自転車で行く時は、アシストが絶対に必要! そして、厳原町をスタートするなら北に向かうべし。
●2019年5月30日 大阪から船に乗って、対馬に着いた

大阪から対馬に向かう。当然、飛行機は使わず、船を使う。大阪南港から新門司港までフェリー、そして電車移動して、博多港から厳原港までも船。ここまでは考えるまでもなく決定。しかし、その先で悩むポイントがいくつかあって、決断に時間がかかった。

南港〜新門司港航路:名門太陽フェリーを使うとすると、
 1便:南港発17:00 → 新門司港着05:30
 2便:南港発19:50 → 新門司港着08:30
2便だと出発日にフルに仕事ができる。そして周防灘のスナメリや海鳥探しができる。しかし、1便の方が割引率がよく、博多港発の船に余裕をもって乗り継げる。

博多港〜厳原港航路:これは九州郵船を利用するのだけど、ジェットホイルとフェリーの2つの選択肢がある。
 ジェットホイル1便:博多港発10:30 → 厳原港着12:45
 ジェットホイル2便:博多港発17:25 → 厳原港着19:40
 フェリー昼便:博多港発10:00 → 厳原港着14:45
厳原港に早朝着のフェリー夜便は使えないので、この3択。ジェットホイル2便だとその日は対馬で夕食食べるだけになって、昼間を九州で何かして時間をつぶすことになる。せっかくだから、早めに対馬に到着して、対馬で何かしたい。
ってことで、ジェットホイル2便とフェリー昼便の2択。フェリーの方がイルカとか海鳥を探せるけど、この航路はそんなに期待できないはず(過去の経験に基づく)。なので、どうせなら対馬に早く着くジェットホイル1便を選択。
というわけで、午前10時30分に博多港にいればいいってことになった。新門司港着8時30分でもギリギリ間に合いそうなのだけど、久しぶりの乗り継ぎなので、ちょっと自信がない。ってことで、名門大洋フェリー1便を選択。
結果から言えば、慣れてれば2便でも乗り継げたけど、ジェットホイルが混んでたら予約無しは微妙だった。そして博多駅からのバスに乗り間違えたら、間に合わなかっただろう。ってことで選択は無難だった。

ちなみに博多港からの他の選択肢として、いったん壱岐に行って、壱岐で遊んでから対馬というプランがあるけど、壱岐での遊び方を思いつかなかった。というか対馬に早く行きたかったから却下。
対馬でも比田勝港に行って、対馬北部で遊んでから、バスで厳原に移動するプランも考えたけど、博多→比田勝航路は夜便しかなかったので断念。逆に比田勝→博多航路は昼便しかないので、帰りも使えない(対馬でもう1泊しないとになる)。夏に比田勝航路使うかもう一度検討しよう。
●2019年5月29日 サギはどうして大きな集団をつくって繁殖していたのか?

昨日は大阪府のサギの繁殖地の変遷の話を、主に学芸員向けにした。質疑はなかなか意義があった。
話題提供のあらすじはと言うと。大阪府のサギ類は、1960年代には巨大コロニーで繁殖していたのが、1970年代にはいなくなって、1980年代に復活。復活した後、1980年代、1990年代、2000年代、2010年代と、大阪府内のサギ類の繁殖地の数は増加傾向、繁殖地の規模は減少傾向にある。って感じ。
質疑が盛り上がったのは、どうして少数の大規模繁殖地から、多数の小規模繁殖地へのシフトが起きたのかという点。この傾向は、北海道でも関東でも言われている。ので、なんでか知らんけど、まあそんなもんなんだなと思っていた。考えてみれば改めて理由は考えてこなかった。
もともと大きな集団になっていたのは、集団でいるメリットがあったからとすると。小規模に散らばるようになったのは、集団でいるメリットが減ったか、散らばるメリットが増えたかてなもんだろう。
営巣場所選択に学習プロセスが関与するとするなら、単独営巣が広まり始めて、それなりの繁殖成功率があれば、そのまま単独営巣がそれなりに広まるというプロセスも考えられそう。でも、どうして単独営巣のスイッチが入ったかとか、単独営巣でもOKって状況があったってことが絡む。現時点もスイッチを入れた要因が維持されてるとは限らないけど、分散傾向の継続は、分散をうながす要因は継続してると考えてもよさそう。

関係しそうな要因としては、
もしかつて集団営巣していたメリットが、対捕食者戦略だったんだとすると、その頃と比べて、いまの捕食者の動向になにか変化があった可能性がある。
あるいは集団営巣のメリットが採食行動がらみだったとしたら、食性や、採食対象の存在様式に変化があった可能性が考えられる。
サギ類の場合は、人間の影響もすてがたい。

で、データもなしにぼんやり考えるなら
捕食者の影響の変化はよく判らない。
魚などの分布や種組成の変化は過去数十年で確実にあっただろう。それがサギ類の採食行動にどう影響したかは判らない。この影響は、サギ類の種毎に違っている可能性が高い。つまりどのような種が分散傾向にあり、どのような種が今も集まる傾向にあるかを食性と共に検討するのは意義があるかも。
そして、人間は大きな繁殖コロニーほど追い払う可能性が高くなるのは確実なので、人間との関係においては小さなコロニーが分散している方がメリットが高いのは確実。
ともかく、とりあえず種毎に、コロニー規模ごとに繁殖成功率に差があるかを検討する必要がありそう。それはけっこう面倒〜。人の影響まで検出するには、追い払われて繁殖成功率0!っていうのまで、データに欲しい。さらに面倒〜。
ちなみに、昔からそうだけど、繁殖コロニーより、越冬期の集団ねぐらの方が規模が小さく、分散する。つまり採食行動だけで言えば、散らばってた方が昔から良かったんじゃないかな。魚の行動の季節変化の影響かもしれんけど。
●2019年5月28日 イルカ解体タイムトライアル

一昨日の夜、舞洲にスジイルカが上がったとの連絡。でも、3日後から1週間出掛けるので、回収する日の候補は2日しかない。どちらも既に予定が入ってる!が、スジイルカは大阪湾初記録。なにがなんでも確保したい。という訳で、今日の午後、大事な会議をサボって、打合せが入ってるのも忘れて、回収に向かった。ただし、夕方のゼミの担当が当たっていて、広報もしてるから、これはサボれない。話題提供は2人。もう1人に先に話してもらうとしても、午後5時には戻ってこなくてはならない。果たしてタイムリミットまでに作業を終わらせて帰ってこれるだらふか?

K遊館の方が、大阪湾のイルカの研究をされていて、そのサンプリングもしたいからと、一緒に行ってくれることになった。車も出してくれて、2人で手伝ってくれて、解体後は博物館まで運んで下さるという。下見もしてくれていて、舞洲の管理者にも話を通してくれている。有難すぎて、感謝の言葉もない。人見知りなので、そもそもあまり知らない人と話すのは苦手ってこともある。
ともかく午後一番にK遊館で待ち合わせて、車で3人で舞洲の現地に到着。雨がザーザー降ってる。管理の方に案内してもらうが、イルカの死体が見つからない。流されていってしまった? 残念だけど、それならゼミに間に合うから有難いかも。と思っていたら、イルカの死体が見つかった。嬉しいような残念なような。
ともかくレインコートを着て、解剖刀を出して、作業開始。ってゆうかまずは計測。

14:10 計測開始
14:25 解体開始
14:50 解体完了
15:05 袋詰めして車への積み込み完了
15:15 着替えて現地出発

雨の中なので、計測も全長など最小限に。頭周りは丸ごと持って帰って、後日計測することに。で、15分。
とにかく頭をはずして、両前肢を外して、腹を切って内臓を出して、遊離肋骨に気を付けながら胸椎と腰椎の境界あたりを切り離して、寛骨の手前であろう生殖器の前辺りで尾を切り離し。胸椎と腰椎の背側の皮と肉を取り外す。で、25分。
K遊館がサンプリングしたい肉片と内臓を確保。パーツごとに袋詰め。で、15分。
って感じ。パーツの確保や袋詰めは共同作業だったが、解体作業は事実上1人で終わらせた。新品の刃は強力だった。
というわけで、午後4時半頃には無事に、イルカと一緒に博物館に戻れたし、ゼミの前にイルカを冷凍室に放り込めた。
1人で手際よく解体して格好良かったはずなんだけど、誉めてくれる人があまりいなかったのが少し不満。一発で第一頚椎出して、頭はずしたんやで! 博物館に向かう車の中で、今日初めてあったK遊館の人に言われた。車の中では静かやのに、イルカ解体してる間は、テンション高くてずっと喋ってた。あまり格好良くなかったのかもしれん。
●2019年5月27日 1980年代以降の大阪府のサギ類の繁殖のトレンド

今まさにサギ類の繁殖地調査をしている最中なのだけど、明日、大阪府のカワウとサギ類の繁殖地の話をするので、途中経過ではあるけどデータをまとめて。さらに1980年代以降の調査結果と比較して、過去30年ほどのトレンドを考えてみた。

種毎の営巣数を考えると、アオサギとダイサギは明らかに増加、ゴイサギは減少、コサギは1980年代から1990年代に減少したけど、後は低め安定? アマサギは消滅。ざくっと言えば、大型のサギが増えて、小型のサギが減ったことになる。でも、アマサギの消滅は農耕地減少の影響が大きいと思うし、一つの原因で説明していいかは判らない。
全体的に言えば、繁殖地の数は増加して、個々の繁殖地の規模は減少したっぽい。この傾向は、アオサギの動向に依るところが大きいんじゃないかと。というのも、1980年代には繁殖してなかったアオサギは、1990年代にはほとんどのサギ類繁殖地で繁殖しており、2000年代以降はすべてのサギ類繁殖地で繁殖してる。
アオサギはアオサギだけでも、繁殖地数は増加して、個々の繁殖地の規模は減少している。ってゆうか、単独営巣や数巣しかない繁殖地が多くなってる。一方、コサギやゴイサギは、今でもけっこう集まって繁殖している印象。この路線の違いが成否を分けたりしてないかは気になるし、今後の動向を注目したい。
●2019年5月26日 緊急通報の経過

今日は岬町から阪南市の山手を歩いての観察会。暑くなりそうとは思ったけど、こんな展開をするとは夢にも思わなかった。
観察会はごく普通にはじまった。駅から住宅地を抜けて、田んぼ周りから山の中へ。先頭は主担当の地質屋。そして植物屋と虫屋。観察会は植物と虫が主役で、要所要所で地学的解説が入る感じ。鳥の出番はあまりないので、一番後ろではぐれる参加者がないように見張る役。
山の中に入ってしばらく進み、もうすぐ昼食ポイントかな。って辺りで、先頭にいるはずの地質屋が待っている。スタッフ4人を集めて、なんか会議? 参加者はちょっと先の方で集まってる。で、おもむろに川の方を見るように言われる。なんか見えるやろ。最初はわからんかったけど、ゲゲっ。
先頭の辺りの参加者が見つけたらしい。で、行きすぎた場所で止まってもらって、現在に至る。先頭周辺の人は気づいたけど、それより後ろの参加者は気付いてないらしい。
警察に通報しないわけにはいかない。しかし、大勢で残る必要もないだろうから、観察会はこのまま続行。ということになった。問題は誰が通報するか。通報したら残らないといけない。主担当は残れない。主役の植物屋と虫屋も残れない。消去法で鳥屋が通報することになった。山の中なのでアンテナが立たない。みんなと分かれて山を下って通報に向かう。

11:40頃、案件の発見。
11:47、通報のために下り始めたのが。
12:12、山を抜けたけどまだ携帯電話のアンテナは立たない。でも、ありがたい事に公衆電話があったので、そこから通報。
12:24、公衆電話のところにパトカー1台(2名)と白バイ1台到着。
12:38、パトカーを案内して現地到着。現地のすぐそばに看板があって案内しやすかった。現地まで車で行けたのは有難かった。が、警官の携帯電話も、パトカーの車載電話も圏外。他の警官を呼ぶのに苦労していた。
13:14、ミニパト1台到着(1人)
13:19、白バイ1台到着
13:43、バン1台到着(2人)。鑑識っぽい人? 写真撮ったり、河川沿いをチェックしたり。
14:11、セダン1台到着(2人)。鑑識でも刑事でもないらしい。だれ?
14:26、セダン1台(2人)とワンボックス1台(1人)到着。セダンで来たのが刑事だったそう。刑事の事情聴取があるからと、ここまで待つように言われた。それまでも2回も住所と電話番号と名前と生年月日を聞かれたけど。そして第一発見者ではなく単なる通報者だというとガッカリされた。刑事さんからは、とくに事情聴取もなく、もう帰ってもいいと言われる。パトカーで駅まで送ろうかと言ってもらったけど、歩いて観察会を追いかけることに。
14:30、解放
16:00、タコ池で観察会に追いつく。
観察会が3時間ちょっとかけて歩いたコースを1時間半で歩いたことになる。疲れた〜。ソウシチョウやサンコウチョウの説明できなかったし、ミサゴの巣を見逃したし、不満〜。
●2019年5月25日 能勢町のサギ類の繁殖地

今日は、都合をやりくりして、早起きして、能勢町へ。午前9時頃には到着していて、能勢町役場に出勤できそうな勢いだった。
目的は、先日グーグルマップで見つかった能勢町のサギの繁殖地の現地確認。繁殖地の存在はグーグルマップでおおむね見つけられるのだけど、営巣数の評価には現地調査が必要。というのも、グーグルマップの画像では、樹冠の巣に乗っているのか、樹冠にとまってるだけなのかが区別できないから。また、アオサギかダイサギかといった種類の判断も実際に見た方がよさそうだし。上空から見えない巣立ってあるかもしれない。
グーグルマップの画像を打ち出してもってきてはいるが、繁殖地へのアクセスルートはいま一つ判らない。バスを降りた場所からも、繁殖地のある山は見えるが、巣は見えない。やはり山に登る必要がありそうな。その繁殖地の辺りからアオサギやダイサギが、時々飛び立って出勤していく。
繁殖地は、北側にひらいた浅い谷の奥らしいので、北側に回る。谷の入口に小さな池があって、その奥へ向かう道があるようす。谷の入口でもアオサギのヒナの声が聞こえる。確かに繁殖地はあるぞ。
谷沿いに歩いて行くと、谷の奥が広くなっていて、少し明るい。その谷の周囲の木に巣があるらしい。下から見ていても巣の様子がよく分からないので、谷奥の周囲に登って、グルッと回ってサギの巣をチェック。巣があるのは、周囲の尾根よりも低い場所なので、中までこないと確認できない。グーグルマップで見つける以外では、サギの動きをよほど注意深く観察しないと、この繁殖地は見つからない。
豊能町の繁殖地といい、能勢町の繁殖地といい、山間部のサギの繁殖地がこんな感じだとすると、今までは見逃しまくっていた可能性がけっこうあるんじゃなかろうか。山間部でサギ類が活動しているのに、繁殖地が見つかってない場合は、グーグルマップを要チェック。
●2019年5月24日 高校生にホネの話

実物を見せれば、なにわホネホネ団を投入すれば、一定の興味は惹きつけられるらしい。なんせ午前中遊んで、昼は楽しくBBQの後なのに、誰も寝てなかったし。
相手は、農芸高校の1年生約80人。農芸高校では、稲作などの他に、ウシやブタやアルパカを飼ったりするし、子ブタの解剖とかもあるらしく。割と骨格標本との親和性は高い。ってゆうか、過去にアルパカの死体の寄贈を受けたりもした。
先生からのリクエストは、学芸員という職業の紹介と、ホネの多様性の話。なにわホネホネ団を盛り込んでもいいとのこと。実物のホネが出てくるとなお良いとのこと。持ち時間は50分。

で、まずはパワポで学芸員の仕事の4本柱を説明してから、資料収集保管をサポートしてくれるなにわホネホネ団を紹介。とくにザットンの回収から展示を丁寧に。最後にホネを見て分かる事をいくつか紹介。で、実物を見せる流れ。
用意したホネは、キリン頭骨・下顎骨・頸椎、ライオン頭骨・下顎骨、シマウマ頭骨・下顎骨、ザトウクジラ頸椎、アジアゾウ寛骨・右大腿骨、アルパカ頭骨・下顎骨+全身骨格。
学芸員の仕事の話はそんなにリアクション良くない雰囲気だったので、早めに進め、さっさとなにわホネホネ団の紹介へ。作業風景の画像のインパクトはやはり圧倒的で。誰も寝てない。
で、実物のホネを紹介してみた。委員長っぽい男の子を前に呼んで、一緒にゾウの骨を持ってもらったりした。このイジリが良かったかどうかはよく分からない。なんとなく一通りホネを紹介したけど、リアクションはいまいちのような感じがした。ただ、みなさんの学校から寄贈してもらったアルパカといって、アルパカの頭骨を見せたけど、小さいという声が出ていた。他に紹介してるホネが大きいからねぇ。
なぜか、早めに終わってしまった。あまり笑いはとれずリアクションは少なめだったけど、寝てる子もいなかった。終わってから20人ほどが集まってきた。ホネをさわりたいという。OKしたら、ゾウの骨を持ち上げて、重い!と良いながら記念写真。ライオンやシマウマの下顎骨をはめてパカパカ動かしたり。キリンの角のゴツゴツを触ったり。壊されないかドキドキしたけど、大丈夫だったし、楽しそうでもあった。20人程度までなら、パワポで話すより、実物を軽く説明して、あとは自由に触ってもらいつつ説明ってのが、一番効果的かもって思った。
●2019年5月23日 オオタカ採食域の評価

オオタカの話を聞いた。採食域として、どこが重要か評価したそうだけど、思ったより大変そう。
採食行動がたくさん観察出来れば、そのエリアを採食域とするだけ。あまり多くなくても採食行動が観察できれば、そういう環境で採食するってことで、そういう環境区分を抽出すればいい。でも、採食行動っていうか、ハンティング自体を見るのはかなり難しい。
となると次善の策。食性を評価して、獲物の分布から採食域を評価って話をまず思いつく。でも、ネックが2つ。
まず、どんな鳥を狩っているかの割合の情報が必要になる。巣が判ってるから、カメラ仕掛ければ、ヒナへ給餌する餌生物は判りそうなもんだけど、羽根をむしって、頭落として給餌に来るから、以外と鳥種の確定が困難。そして、成鳥が自分で食べる分が評価できない。狩った鳥を処理する場所を見つけられたらいいのに。それができなければ、せいぜい画像からはサイズクラスの評価に留まるかも。残っていたホネから種を特定して、それをサイズクラスに振り分ければ、一応の食性は出るかなぁ。
そこがクリアされても、さらなる問題が。食性に並んだ鳥種の利用環境が、すなわちオオタカのが採食環境ではない。林内をもっぱら利用していて、それが開けたところにたまたま出たところを刈られる。なんて普通にありそう。獲物の鳥の利用環境のどの部分を採食環境と判断するかという難しい問題がある。
そして、やはり定性的にでもオオタカが狩りをする環境の評価が必要になる。食性に並んでる鳥の利用環境と合わせて、環境ごとの採食環境としての重要度を算定して、行動権から採食域の評価に持ち込む。気軽にオーダーしそうだけど、かなり大変そう。
●2019年5月22日 哺乳類担当の委員?

鳥類が専門だけど、博物館は人手不足なので、哺乳類や両生爬虫類も担当する。シカの観察会をしたり、カエルの行事をしたりもする。そんな行事で出会った子どもは、シカの先生とかカエルの先生だと思い込む。で、鳥の名前も分かることを知ると、けっこういろいろ判ってると褒めてくれる。そういうのは子どもだけかと思ったら…。
とある役所の土木系の部署の方がやってきて、とある審議会に哺乳類の専門家として加わって欲しいと言ってきた。聞けば、K大学の哺乳類研究者の後釜らしい。メンバーには、H県の鳥屋さんがすでに入ってる。どうも同じ役所の環境系の部署から推薦されたらしい。環境系とは以前からつながりがあるから、こちらの専門が鳥類だというのは知ってるはず。でも、そのことは教えずに哺乳類の専門家として推薦したっぽい。
ちなみに近頃、環境系の審議会には呼ばれない。以前は呼ばれていたけど。正直に発言するから嫌われてるんじゃないかと思う。つまり、この人事は、土木系への嫌がらせなんじゃないか。と邪推しつつ、引き受けてみた。引き受けてから、私の専門は鳥類ですけど?とカミングアウト。ちょっと面白い。

【後日】委員の名簿が送られてきた。やっぱり哺乳類担当委員で、ついでに両生爬虫類も担当してくださいとあった。鳥類は?
●2019年5月21日 山間部のサギの繁殖地は、グーグルマップでさがせ!

堺の埋立地のサギの繁殖地を調査に行った後、なにげなくグーグルマップを見ていて、アオサギやカワウの巣がグーグルマップで見えることに気付いた。どうも今現在、グーグルマップは2018年の4月頃の画像がアップされているっぽい。
そして、先日、豊能町のサギの繁殖地をようやく発見したが。豊能町の繁殖地もグーグルマップで見えるのを確認していた。現地で探すより、まずはグーグルマップで見つけた方が早いかも。で、次は、能勢町のをさがさなくっちゃ!と思い、能勢町のもグーグルマップでチェックすればいいかな。とまでは思っていて、とりあえずサギの集団がいたという話を聞かされた倉垣周辺を探して見るも見つからない。
やっぱり10年前や20年前に繁殖地があった宿野辺りを探した方がいいんじゃなかろうか。宿野辺りにチェックに行った方も、繁殖地は見つからなかったけど、周辺をあっちやこっちに向けてアオサギが飛んでいたといってたし。あっちやこっちに飛んで行くなら、繁殖地はすぐ近くにあるんでは?
とまでは思ってたのだけど、少し出遅れた。先にKさんが能勢町のサギの繁殖地を見つけてきた。それもグーグルマップで! ちょっと悔しい。
グーグルアースを使えば、過去の衛星画像も見えるというのは知ってたけど、それでサギの繁殖地の変遷まで追えるとまでは気付いてなかった。Kさんはいつから能勢町のサギの繁殖地が存在するのかまで調べてしまった。とても悔しい。そしてすごいなグーグル。
ただ、サギの巣やカワウの巣は、グーグルマップを目一杯拡大しないと見つけられない。すべての地域をチェックするには根気が要りすぎるので、ある程度目星をつけてでないと厳しい。Kさんは、別の用事でグーグルマップを見ていて偶然気付いたらしい。偶然でも、これは繁殖コロニーかもと気付いたのはすごい。

なんか画像検索のスクリプトを組めば、日本全国のサギ類やカワウのコロニーがもっと効果的に見つかるかもしれないと思った。ただ、樹冠に営巣するアオサギやカワウ、もしかしたらダイサギ限定。コサギやゴイサギの繁殖地の発見効率はあまり高くなさそうではある。
●2019年5月20日 1957年頃の大阪の鳥の話題をいくつか

古い時代の大阪の鳥の情報ってあまり多くなくて、昔から今にかけての変化を語りたいときは、不完全燃焼なことが多い。などと思ってたのだけど、ホームである博物館友の会会報Nature Studyに、興味深い記事が載ってることに、今日気付いた。今まではそんな目で見てなかったから気付かなかったのかなぁ。

越冬ツバメ:1957年のNature Studyには越冬ツバメ話題が3題も載ってる。1月号には京都府久世村の越冬ツバメの短報。
2月号には「南へ帰らぬ越冬ツバメ」として、浜名湖と京都桂川と千葉県東金市の越冬ツバメの例が紹介されている。浜名湖の例は、最初に見つかった越冬ツバメらしい。古い時代の越冬ツバメの情報をまとめてくれていて便利そう。いつか参考にさせてもらって、原稿書こう。
3月号には、桂川の越冬を見に行ったという報告。

仁徳陵のサギの繁殖コロニー:6月号に「仁梃范ヒの鳥類をまもろう」として、“威嚇爆音”で繁殖するサギrを追い払おうとするのはけしからん!という記事。で、クレームを入れたらしい。
7月号に「仁梃范ヒの爆音やむ」という追記。その下に「仁椏V皇御陵の鳥類」という記事があるんだけど、“確認したもの”リストの他に、“渡来確実なもの”や“渡来の想定されるもの”という不思議なリストも付いている。

ツバメの集団ねぐら:11月号に「ツバメの集合地とその保護」という記事があって、昭和26年に豊中市穂積のヨシ原にツバメの集団ねぐらができていたことが書かれている。集団ねぐらが形成される季節は書かれているのだけど、集まる個体数については“何千何万”とあるだけで、よく分からない。
●2019年5月19日 はじめての鳥のさえずり

ここ数年、初心者向けに鳥のさえずりを聞く行事をやっている。昨年は下見で大失敗して、本番は雨天中止。なんかもやもやしてたので、今年は例年になくやる気多めで、丁寧に説明した気がする。
今日一番たくさん聞いた囀りは、ソウシチョウ。次いでウグイス。あとはメジロ、センダイムシクイ、キビタキなどが多かった。想定外だけどコサメビタキやサンコウチョウも鳴いた。ウグイスの囀りは説明なくてもみんな判ってくれるので、まずはソウシチョウ、メジロ、センダイムシクイ、キビタキの囀りに集中。声が聞こえるたびに立ち止まって説明。コースが山とは言え、登りではなく、平らな幅の広い舗装路を歩くだけなので、立ち止まりやすいし、みんなに説明しやすい。囀りに変異の多いキビタキのいろんなヴァージョンと共に、センダイムシクイの囀りの変異も説明できた。という感じで、今時の大阪府周辺の山でよく聞ける囀りが割と説明できたので、まあまあ良かったかと。ただもうカラ類があまり囀っていなかったのは想定外だった。
反省点としては、まず初心者は、まずヒヨドリ声で迷う。これは予習しておいてもらった方が良かったかも。ソウシチョウとメジロの囀りは、複雑で長くて説明が難しいが、今日は同時に聞けたので区別出来やすかったっぽい。どっちかだけを聞いて、判断できるかは、みなさんの復習次第かと。
ちなみに鳥羽根少年は、目で羽根を探しつつ、耳で囀りを聞き、これは両立できると喜んでた。なるほどね。
●2019年5月17日 カワウとサギの繁殖期の変遷

堺市大津池では、この20年以上にわたって毎月水鳥のカウントを行っている。その中でカワウやサギ類の繁殖の有無も記録しているのだけど、営巣数を数え始めたのは、今世紀に入ってかららしい。で、とりあえず昨年と、その10年前の営巣数の季節変化のデータを引っ張り出してみた。
カワウは、2008年には1月から6月まで営巣が記録されたのが、2018年には前年の11月に始まり6月まで営巣が記録されていた。10年の間に2ヶ月ほども繁殖期開始が早まった。最初に繁殖が始まった時と比べると、2008年の1月スタートすら早まった結果なので、前倒しが継続してるという表現が正しいのかもしれない。ちなみにピーク時の営巣数は、423巣と449巣で、あまり変わってない気がする。
アオサギの繁殖期も早まってる気がしていたのだけど、2月スタートは同じ。むしろ、2008年はピーク時に18巣が営巣していたのが、2018年には5巣と激減している。そもそもこの場所でカワウが繁殖するようになったのは、21世紀になってからで、それまではアオサギの天下だった。この地に限って言えば、アオサギの営巣数は激減している。
コサギとゴイサギの繁殖期は、10前も同じ4月から6月。ピーク時の営巣数は、コサギは45巣から36巣と微減に留まっているが、ゴイサギは24巣から12巣へと半減。大阪府全体でのゴイサギの減少と、コサギが踏みとどまっている感じをそのまま示している感じ。
●2019年5月16日 サギ巣探偵、豊能町を行く

事件は、ある日、ネットを検索していて発生した。

「豊能町 サギ コロニー」でこんなサイトがヒットしたのだ。
■「鷺のコロニー、田起こし、鳥の声、ビックリグミとスモモの花、 里山の春」(https://www.youtube.com/watch?v=OEK_ifDCzpM)
確かにサギの繁殖地がうつってる様子。それも2019年4月。豊能町のサギの繁殖地の存在は疑っていたけど、まだ見つけてない。ここはどこだろう?

驚いた事に「豊能町 サギ 巣」で、別のサイトがヒットした。
■「サギ 巣作り中」(https://www.youtube.com/watch?v=0B77YLXW8Oc)
サギが巣材を運んでいるっぽい。豊能町にもう1ヶ所繁殖地? ここはどこだろう?

気になって仕方がないので、サギ巣探偵は豊能町に出動することにした。といっても豊能町も広い。まずは画像から場所を絞り込む必要がある。
巣作り動画からの手がかりは少ないが、コロニー動画は遠景がうつっているので手がかりがある。大きな手がかりは、サギのコロニーの背景の山なみと右に上がっていく高圧線。ストリートビューも参照しながら、今までに豊能町を回った経験から、候補地を牧、寺田、切畑に絞り込んだ。南か西を見て、こういう風景があるはず。

そして現地調査。牧〜寺田〜切畑の北から東へ。西や南を見ながら歩くがぴったりの場所がない。けっこう似てる場所はあるけど、角度が違う。もう少し高い場所から見下ろしているっぽい。でも、どこを見下ろしてるんだろう? 判らないまま、車道を離れて、田んぼの間を歩いていると、なんか魚をすくえそうな川がある。サギの繁殖地は見つからないし、魚でもすくってかえろう。ヨシノボリ系がすくえて、ちょっと機嫌がよくなって、ふと見回す。なんか見たことのある気がする風景。もってきた巣作り動画からのキャプチャー画像を見る。似てるなぁ。いやそのものでは。角度がぴったりあうのは、と少しウロウロしたら、魚をとった川の横にポツンと立つ家の横。この家から撮影したんだ! そして巣材を運んで行ってた場所を見ると、木の上にアオサギとダイサギの巣。見つけた!
少し小高い場所の真ん中辺りの木の上にコロニーはできてるらしい。全体像が見えないけど、近付くのも難しい。どこかもっと見える場所はと、周囲を回ってみる。そして気付いた。サギのコロニー動画もこのコロニーを撮影したものだ! 撮影場所は、北側にかなり登った場所。
ということで、2つの動画は同じコロニーを別角度から撮影したものだった。

周囲を歩き回っていると、コロニーに出入りするアオサギやダイサギに気付く。このコロニーの周囲はサギ類の密度が高めだし、動きも目立つ。なれれば、サギ類の動きから繁殖地を探せそうな気がする。でも、このコロニーは、周囲からほとんど見えないから動画がなければ気付かなかったに違いない。誰か知らないけど、動画をアップして下さった方、ありがとう。
●2019年5月15日 5月になるとハッカチョウは

ムクドリよりも繁殖開始が遅いのかな? 5月になって、とたんにあちこちの営巣場所周辺にハッカチョウが戻ってきてる気がする。
淀川右岸(赤川鉄橋から〜姫島)では、長柄橋周辺とJR塚本鉄橋辺りに、ハッカチョウが数ペアずつ。長柄橋周辺では、以前からハッカチョウがいたけど、いて、ハッカチョウ調査っぽくなってきた。JR塚本鉄橋のとこは先月まで、ずーっとハッカチョウはまったく気配もなかったのに、突然出現して驚いた。繁殖地に戻ってきたってことだろう。
りんくうタウンから田尻港では、りんくうタウン駅周辺に出現。これまた先月までいなかったから驚いた。逆に田尻港には見あたらない。田尻港は越冬期だけに暮らす場所?
河内長野市(千代田駅を起点にグルッと)では、外環沿いのハッカチョウが復活。昨年と同じ場所で営巣しそう。
猪名川(池田〜園田)ではハッカチョウはまったく出現せず。ずっと記録されていた軍行橋上流にもおらず。
5月になって、冬の間いなかった場所に復活、それもペア単位で。逆に冬の間、群れが見られていた場所で見つからなくなった。明らかに越冬期から繁殖期へのシフト。そのシフトが4月から5月の間に起こったってことやね。繁殖開始の遅さは、ヒヨドリ並。
●2019年5月13日 カワウやサギの繁殖地を探す方法

端的に言えば、カラスの集団ねぐら調査のようなことが出来るんじゃ無いかと思う今日この頃。
非繁殖期の、日没の2〜3時間ほど前から日没までの時間帯。カラスが上空を飛んでいくとしたら、それは集団ねぐらに向かってる可能性が高い。山間部であれば谷に沿って飛ぶこともあるけど、平野ではおおむね集団ねぐら方向にまっすぐ向かう。集団ねぐらの前に塒前集合に集まることもあるのだけど、塒前集合もおおむね集団ねぐら方向にある。というわけで、夕方にカラスが飛んで行く方向を押さえれば、おおむねその辺りのカラスが向かう集団ねぐらの方向が判るし、複数箇所からチェックすれば、集団ねぐらの位置もおおむね特定できる。
繁殖期に営巣場所と採食場所を行き来するサギ類も似たようなもの。飛んで行く方向か、飛んできた方向に営巣場所がある可能性はけっこう高い。繰り返し、複数個体が同じ方向へ飛んで行くなら可能性はさらに高くなる。カラスの集団ねぐら探しと同じで、いろんな場所でサギ類が飛んで行く方向を地図上に記録してまわれば、見逃してる繁殖地を見つけられるかも。
たぶんカワウも一緒。
●2019年5月12日 20年前の生駒山

今日は生駒山で鳥の囀り行事の下見。おもに囀ずっていたのは、ウグイス、ソウシチョウ、センダイムシクイ、メジロ、キビタキ。20年前だと、ソウシチョウはいないし、キビタキも大阪府では少なかった。センダイムシクイもそんなに多い鳥ではなかった。じゃあどんな鳥がいたんだろう?
20年前の1999年は生駒山方面を歩いてないけど、19年前の2000年には高安山から十三峠辺りを歩いている。6月12日だけど、まあ今日歩いた生駒山山頂からひらおか園地と鳥類相は違わないだろう。で、19年前の6月12日に記録している鳥は、
キジ、コジュケイ、ドバト、キジバト、ホトトギス、アオゲラ、コゲラ、ツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ヤブサメ、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、カワラヒワ、スズメ、ムクドリ、ハシブトガラス
記憶通り、ソウシチョウもキビタキもセンダイムシクイも記録していない。ってことは、当時おもに囀っていた鳥は、ウグイスとメジロと…。あとはコジュケイとホオジロ、あるいはカラ類ってところだろうか。今と比べるとさぞかし静かだったんだろうなぁ。
●2019年5月11日 アメリカ帰りの先生

先生はゴールデンウィークの間、アメリカはミズーリに行かれていて、今日、ひさしぶりに顔を出された。で、アメリカの土産話をいろいろ聞かせて頂いた。
英語は、スマホの翻訳機能で切り抜けて。いろんな人に助けてもらって、ちゃんと剥製な大会に出品して、それなりの成果を上げてこられたらしい。他に日本人いないのに、ちゃんと積極的にパーティめいたものにも参加したとか。ただ、白人とアジア系との間の断絶は感じてきたらしい。
アメリカに言っても、先生は死体を拾いたくて仕方がないらしい。青い鳥の死体を拾ったり、ツグミ的な死体を拾ったり。ただ、臭い死体をホテルに持って帰ったりして、向こうで知り合ったアジアな人に笑われたり。そしてそれを日本に持って帰りたい、とアメリカ人に相談したら、手続き面倒で無理って言われたとか。
ともあれ、意欲があれば語学が出来なくてもなんとかなること実証してくれた。引っ込み思案なはずなのに、1人でアメリカに言って目的を達してきてるし。もちろん先生のことは日頃から尊敬してるけど、改めてすごいなぁと思った。
●2019年5月10日 ソウシチョウの和泉山系制覇

今日は行事の下見で、南海淡輪駅から、番川沿いをさかのぼった。キビタキ、オオルリ、センダイムシクイ、サンコウチョウが囀ずっているけど、まだ渡りの季節なので、行事本番にもいるかよく判らないなぁ。とか考えながら歩いていたら、驚いたことに、けっこう山の中に入った辺りで、ソウシチョウの囀りが聞こえてくる。その後は、各所でソウシチョウが囀ずっていた。和泉山系でのソウシチョウの分布拡大は、すでに岬町まで達していたらしい。1人けっこう衝撃を受けた。
大阪府でのソウシチョウの繁殖は、2001年頃に能勢町北部の深山に入ったのが最初。その後、能勢町周辺に拡がり始めた。と思ったら、金剛山に飛び火して周辺で囀りがたくさん聞かれるようになった。と、すぐに生駒山地にも侵入。ここまでで10年も経ってなかったはず。
で、大阪府で繁殖をはじめて10年以上経った2015年と2016年に大阪府全域の山地でのソウシチョウの分布を調べた。驚いたことに、この2年間でようやくソウシチョウは、生駒山地北部の四條畷市以北に分布を拡大した。そして、和泉山脈にはこの2年ほど前に東からソウシチョウが侵入し始めていたらしい。2016年時点では、分布の最前線は、岩湧山と和泉葛城山辺りにあったイメージ。ただ、熊取町の山手でも囀りは確認できなかったが、姿は確認した。地元の方からは冬には見られるという情報をもらっていた。でも、泉南市より西にはまだソウシチョウの姿はなかった。
それから3年、ついにソウシチョウの和泉山脈制覇が成し遂げられたわけ。ぜんぜん嬉しくはないけど、経過をそれなりに知っていると、感慨深くはあったりする。
●2019年5月9日 一人でウマと戯れる

昨日、突然、シマシマのウマが届いた。冷凍室に入れて、ホネホネ団の活動日に処理。と思ってたけど、届いてみると思ったより大きい。頭胴長が2350mm。冷凍室に入らないから、冷蔵室へ。これでは皮が傷んでしまうので、急いで処理が必要。しかし、他にやってくれる人はいない。そして、暇がない。というか時間的余裕がありそうなのは、今日だけ。一緒に作業してくれる人が見あたらないので、一人で作業することになってしまった。
以前、二人でエランドを剥いたことがあって、1時間半ほどでできた。多少シマがあってもウマも似たようなもんだろう。だとしたら、3時間もあればできるかな。と思って、午後4時頃からなんとなく始めた。午後7時前には終わるだろう。けど甘かった。
結局剥くのにかかった時間は、4時間40分。予定の1.5倍。さらに解体して(脚とかは無期ながら外してたけど)、砂場に運んで設置までいれると、全部で7時間もかかった。終わったのは、午後11時。疲れた〜。
なんで時間がかかるかというと、重いから思うように動かせない。上側を出来るだけ剥いて、脚を外して、頭を外して、と解体しながら剥かないといけない。。切れ目入れて尻尾剥くのに30分、脚を剥いて外すのに1本当たり30分。首から外して頭骨剥くのに1時間。残る1時間ちょっとで、何とかひっくり返しながら胴体を剥く。
って作業を荷物いっぱいで狭い冷蔵室の中で行う。1人では冷蔵室から引っ張り出せない。まあ冷蔵室は涼しくていいし、狭いから踏ん張って力をかけられるけど、いのはいいけど。狭くって思うようにひっくり返せない。少し位置をずらしたりするのも一苦労。
エランドを2人で1時間半。ってのは、2人いれば動かしたり、引っ張ったりできるのが大きかったんだな。たぶん1人なら5時間ほどかかったんだろう。ウマももう1人いれば、1時間半でできたに違いない。狭い冷蔵室で2人で作業は無理っぽいけど…。
●2019年5月6日 世間と私の10日間

世間では、この10日間を10連休と呼ぶらしい。ゴールデンウィークという言葉も耳にした。私的には、ほぼ10連勤だし、あえて呼べばホネホネウィーク。

4月27日:午前は植物園で観察会、午後は館内で報告会
4月28日:なにわホネホネ団鳥の日
4月29日:なにわホネホネ団イタチ祭り
4月30日:(なにわホネホネ団カリカリ団)→でも参加せずに半ば休み
5月1日:(なにわホネホネ団カリカリ団)→でもカウンター当番
5月2日:なにわホネホネ団スナメリの日
5月3日:なにわホネホネ団鳥の日 +ギャラリートーク
5月4日:なにわホネホネ団鳥の日
5月5日:なにわホネホネ団ゾウ洗いの日
5月6日:ジュニア自然史クラブ

なにわホネホネ団の活動日だらけ。そして他もすべて行事。
●2019年5月5日 ゾウのホネ洗いの日

今日のなにわホネホネ団の活動は、ゾウのホネ洗い。5〜6人いればいいかな。と思ってたら19人集まり、人手があまり気味。慌てて、別働隊を作る。 ゾウは昨年の1月末に死亡。すぐに持ち込まれて、ホネにすべく砂場にセットした。それから一年あまり。頭骨がほどよくホネになってきて、このまま放置すると傷みそうなので、回収することにした。
脚のホネは、すでに1月の博物館実習で、実習生に洗ってもらってあった。その時に洗いきれなかった大腿骨と上腕骨それぞれ1本と寛骨は水漬けにしてあった。
その他の肋骨や椎骨は、3週間ほど前に砂場から回収して、ふやかすべく水漬け。というわけで、ゾウのホネで一番盛り上がる脚のホネの大部分が抜きで申し訳ない感じ。

そんな中、今日の作業は、まず水漬けしてあった肋骨と椎骨を洗うところから。続いて、下顎骨を砂場から回収してきて洗う。水漬けしてあった大腿骨と上腕骨1本ずつと寛骨を洗う。そして、砂場から頭骨を回収してきて。というところで午前の作業が終了。
幸か不幸か良い天気で。水遊びにはピッタリ。でも、5月だというのにもうけっこう暑くて、水遊びしていても水分補給が欠かせない。この作業を夏にしなくて良かった。

今日、ゾウのホネを見ていて一番感心したのは、なぜか尾椎。先の方まで小さいホネがちまちまと並んでる。もっと大きなホネをポンポンと並べれば充分だろうに。
あとは、舌骨の形が格好いい。3日前のスナメリが単純な形だったので、一層そう思うのかもしれない。
あとは、下顎骨の穴にホースの水を流し込むと、あちこちから水が出てきて面白い。穴の中をこすってから水を入れると、茶色い水が出てくる。穴に水を流し込んだまま下顎骨を持ち上げようとすると、とても重たい。けっこうな量の水が中にたまるらしい。

午前中で終わるかと思ったけど、なんだかんだで日没時まで作業してた。細かいのの洗いが終わって、まとめて乾燥させる場所に置いてしまった後は、ゾウから離れて、放置してあったウミガメ2匹の処理の方へ移行。気になっていたので、ちょうど良かった。
あとは、干し始めたゾウの頭骨や寛骨から、ダラダラ水が垂れまくって、慌てて拭くなど。一日、外での作業の一日だった。
●2019年5月4日 ハト3種を比べる

今日はなにわホネホネ団の鳥の日。鳥を剥くだけの日。で、今日はとくにハトだけを剥く、ハトの日。アオバト、キジバト、ドバトが並ぶ。密かにリュウキュウキジバトが混じってる。
なんとなく調子にのってドバト、アオバト、キジバト(リュウキュウキジバト)の3種3羽を剥いてみた。難易度は、アオバト>キジバト>ドバトというもっぱらの評判。確かにアオバトが一番厄介。ただ幸いなことに3羽とも脂肪がなかったので比較的スムーズにできた。日頃の行いがいいからだろう。
3種を一気に剥いたなんて初めてなので、何かしら比べてみたい感じ。一番比べやすいのは、そのう内容物。ドバトはカラスノエンドウっぽい草本の種子がいっぱい。アオバトからはドングリ2個。リュウキュウキジバトからはクワっぽい果実。11月に石垣島で拾われてるんだけど、そんな季節に石垣島ではクワの実があるのかな? というのはさておき、それぞれの食性の違いがうっすら感じられる。
ちなみに、6月に大阪市内に拾われたドバト雌は、そのう内容物はけっこう入っているけど、ピジョンミルクは混じっておらず。でも、そのうは肥厚していた。卵巣にはけっこう大きな粒もあったけど、産卵直前ではなさそう。ってことで、すでに乳離れした大きめヒナの育雛中、って感じだろうか。
11月に石垣島で拾われたリュウキュウキジバトは、メスなんだけど、卵巣は小さい。年中繁殖してて良さそうだけど、関西なら11月はけっこう繁殖期なんだけど、石垣島のキジバトの繁殖期はまた違うんだろうか? ちょっと不思議な気がする。
11月に大阪で保護されたアオバトは、雄なんだけど、精巣は小さめ。非繁殖期らしい。アオバトならそんなもんか。
ハト類はこまめに生殖巣とピジョンミルクの有無のデータをとっておけば、繁殖期の議論ができそう。関西では年中繁殖しているキジバトが、沖縄では初夏だけ。なんてことが明らかになるかも。
●2019年5月3日 ツバメとコシアカツバメ

とっても身近でよく知ってるツバメ類2種。と思っていたけど、いろいろ知らないことがあるようで、生き物は奥が深いと改めて思った次第。
なにわホネホネ団鳥の日に、ツバメとコシアカツバメが並んでいた。コシアカツバメの方が大きいと思ってたけど、自然翼長も尾長も全長もツバメの方が長い。ただ、ふしょ長はコシアカツバメが長く、指が太い。野外での印象と違うなぁ。
と思っていたのだけど、生殖巣を確認すると、なんとコシアカツバメは雌だった…。どちらも尾羽が長いので、どちらも雄だと思って比較してたのに。雄のコシアカツバメなら、ツバメより明らかに大きいのかな? でも、野外でコシアカツバメの性的二型はそんなに感じないのだけど。
ちなみに、雄ツバメはめっちゃ痩せていて、雌コシアカツバメは、けっこう太ってる。どちらも4月に拾われてるので、これは繁殖期の雌雄の都合の違いだろう。雄は気苦労が絶えないって事かも。
●2019年5月1日 新収資料展2019

ここんところ、春休みからゴールデンウィークは、恐竜などの誘致展が入っていることが多いのだけど、今年はなぜか入っていない。でもゴールデンウィークになにも特別展がないのは寂しいな。という話になって、久しぶりに新収資料展をすることになった。
とくに予算もないなかで開催が決まったので、いろいろお金がない感が満載。ポスターや解説書はなくって、自分たちでデザインしたチラシだけ。それも手持ちの印刷機で印刷。自前のデザインにしては、可愛いチラシになってる気がする。新収資料展では誰も見てくれないからと、タイトルは「標本を未来に引き継ぐ 〜新収資料展2019〜」。急にひねり出したにしてはいいタイトルな気がする。これからも新収資料展をするときは、これを使ったらいいかも。
取材に来てくれた数少ないマスコミの一つ、大阪日日新聞の記事に、主担当の学芸員が答えて曰く、「過去と未来をつなぐ証拠として標本があり、それらを残す役割を博物館が担っていることを知ってほしい」。格好いいフレーズなので、今度どこかで使おう。

そんな新収資料展の展示物は、それぞれの学芸員が近頃受け入れた標本を展示する。どちらかといえば、まとめて寄贈を受けたコレクションを展示することが多い。あとは、わざわざ展示したい大物とか。
で、今回展示を担当したのは、
・2017年に淡路島に漂着したオキゴンドウの全身骨格:これが思いのほか大きくて場所をとった。
・愛知教育大学名誉教授から寄贈された現生動物の骨格標本:1000点以上を寄贈いただいたけど、その中から大きめのをセレクトして。
・2018年の大阪北部地震で被災して急いで引き取った追手門学院高校の標本のうち主に鳥類本剥製と哺乳類骨格:とくに本剥製は薄汚れた感じだけど、まあ古い標本はこんなものなので、リアルな感じで。
●2019年4月30日 2019年4月のまとめ 転職(?)からのサギ類繁殖調査

4月から職場が地方独立行政法人に変わった。場所は同じでも、地方公務員から団体職員に変わった事になる。あまり何も変わらないと言えば変わらないのだけど、まともな仕事をしない一部公務員のおかげで、新体制のシステムは満足に稼働していないどころか、規定などがろくにできあがってもいない。ユーザー向けの部分は現場の働きで維持されているが、現場スタッフの処遇・体制はメチャメチャ。
という中、10年ぶりに大阪府のカワウ・サギ類の繁殖地調査を開始。かなり熱中している今日この頃。そんな4月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。春のカラスの巣調査は後半はけっこうサボり気味だけど、まあまあフォローできた。ハッカチョウセンサスは、4コースでちゃんと継続。
3月からうすく始まってた10年ぶりの大阪府のカワウ・サギ類繁殖地調査。4月に入って本格稼働。他の調査や行事のついでに8回調査に寄り道して調査。5日間はこのためだけにウロウロ。

標本作りは、ホネホネ団の通常の活動日の2日。クロガモの日とイタチの日。参加はしてないけど、カリカリ団の活動が1日。

普及行事は、鳥の調査の勉強会と鳥類フィールドセミナーがスタート。担当でもないのにオープンセミナーに顔をだし、担当でもないのに友の会月例ハイクに参加した。担当のはじめてのバードウォッチングは、あまり鳥がでなかったのが残念。

講演は、なし。
博物館実習の受付期間。今年度も人数が多く、夏のコースに集中して、その調整に時間がとられる。
査読はなかったし、原稿は書けてない…。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系3冊と、SF20冊。完全休養日はなかった。
●2019年4月29日 イタチ祭りあるある

今日は、イタチ祭り。なにわホネホネ団で年に数回行われるイベントで、参加者は最低1匹はイタチの皮を剥くように求められる。イタチは、大阪界隈で一番たくさん死体が手に入る哺乳類。市街地周辺に多くて、よく車にひかれるから。で、処理速度より速く、死体がたまる。ときどき、祭りを開催して処理を進める、ってことにここ数年なっている。
今日のイタチ祭りでは、イタチ12匹を剥く。いつもは新しく届いたのから処理する傾向があり、その処理に挫折した時期があると、あるいは一気に大量に届くウェイブがあると、その頃のイタチが溜まる。近年だと、2007年頃に挫折かウェイブがあったらしい。12匹中、6匹はここ2年ほどに拾われたもの。だけど、2007-2008年に届いたのが4匹、2001年が1匹、1998年が1匹。20年近く経つとさすがに乾燥してきて、尻尾や足先が堅くなっている。
基本交通事故死したのが届くので、どこかしら骨折している。多数派は頭骨がバラバラ。さらに死んだあと、喰われている場合もあって、内臓がなかったり、肛門が拡がっていたり、後足が裏返っていたり。で、拾われるまでに腐っている場合もあるのだけど(腐ってると拾う人が減るので、届くのは新鮮なのが多い)、今回は腐ってるのは避けた。いつか腐れイタチ祭りをやろう。
もう一つのイタチ祭りの光景は、チョウセンイタチかニホンイタチかで迷うこと。今回は、12匹中、6匹はチョウセンイタチ、4匹は確実にニホンイタチ。残る2匹は悩む。カラーリングはニホンイタチっぽいけど、ちょっと尻尾が長い気がする。記録には正直にイタチの一種とか、ニホンイタチ?とかに。
あとイタチ類で、気になるのは、まずは外部寄生虫チェック。ダニはもちろんノミが付いていることもしばしば。と期待したけど、今回は外部寄生虫は見つからず。不思議。もう一つは、腹腔内の寄生虫。とくに大阪府産ではニョロニョロしたのが入ってることがあるので、それをチェックしてる。もちろん採集も。数年前に気付いて気にしてるけど、まだ同定にいたっていない。残念ながら今日は見つからなかった。大阪府の一部の地域で蔓延してる気がする。
とまあ、たくさん手に入り、話題も盛り沢山で、イタチは楽しい。可愛いし。いうほど臭くないし。なのに研究者が少なめなのは不思議。
●2019年4月28日 ミュージアムショップのシンポジウム

昨日、ミュージアムショップのシンポジウムに参加した。大阪の自然史っぽい運営サイドと博物館サイドの二人が、ミュージアムショップは普及教育を担うものだ、と明確に宣言しているのに対して。ゲストの美術・民俗なゲスト2人からは、普及教育という言葉は出ず。面白いミュージアムグッズと、グッズ展開の話に終始した印象。ミュージアムショップの位置づけがぜんぜん違ってて、パネルディスカッションはどうなることかと思ったら、困った時に頼りになるSさんが、どうにか無理矢理まとめてた。
運営サイドとユーザーサイドの違いのような気もするし。普及教育に対する意識の違いのような気もする。そういう意味では、美術館と自然史博物館の違い、アート系と科学系の違いなのかもしれない。
自然史博物館における普及教育とは、正しい自然史科学の知識を広めることだし、自然に興味を持ち、観察し、もしかしたら調査研究する人を増やす事に他ならない。でも、美術館の普及教育は、美術ファンを増やすことのよう。あとはせいぜいアートを見る眼を育てる感じ?

ちなみにパネルディスカッションの際に、話をふられたんだけど、この話はいったいどこを目指してるんだろう?などと余計なことを考えていて、ちゃんと答えられなかったんだけど。
うちのミュージアムショップの一番の問題は、現場サイドはミュージアムショップを博物館の普及教育をささえる存在であり、博物館の広報手段や集客手段でもあり、なにより来館者向けの博物館の顔の一つと考えているのに対して。それが判らない奴らが、いらん判断をしてるってこと。それを如実に物語るのが、ミュージアムショップは、博物館の本来事業とはされていない点。だから目的外使用とされ、業者に貸しだして場所代をもらうという構造になっている。本来事業であれば、場所代は取らないという考え方もあるはず。極端な話、専門業者にお金を出して運営を委託してもいいはず(本来事業である子ども向けワークショップは、お金を出して実施してもらってるんだし)。とはいえ売上のあるミュージアムショップのこと、場所代はとらないけど、売上の一定割合を博物館に入れてもらうというのが、妥当な形ではないかと思ったりする。
●2019年4月26日 読書サークル 第103回会合覚え書き

隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。今日の会合で出た本についての意見を記録。
今日の課題本は7冊。1冊繰り越しになって、2冊繰り越されてきたので、8冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。

●「海洋生命5億年史 サメ帝国の逆襲」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
 登場するほぼすべての動物のフルカラーイラストが付いてるのは、判りやすいと評判がいい一方で、限られた情報から強引に復元画を作ってる場合もあるので要注意。いろんな海の支配者達が絶滅する中で、生き抜いてきたサメはスゴイ!というのは伝わる。でも、どうしてサメは生き残れたのかに触れられてないのが物足りないとの意見も。

●「ゆるゆる生物日誌」
(紹介文2つ、平均★数は4.0)
 最初にマンガ的に判りやすくするために、擬人化を多用している、あるいは自らの意志で進化しているかのような表現になってる等との注意書きがある。それを押さえる必要がある。それにしても擬人化が過ぎる。面白いけど。誉めるかけなすか迷うらしい。面白いけど。

●「フタバスズキリュウ もうひとつの物語」
(紹介文2つ、平均★数は3.0)
 フタバスズキリュウの研究者の話。大学卒業してから、大学院にいって、ポスドクやって、ようやく就職。苦労したんだねぇ、と親心満開の感想があったけど、研究者への道としては標準的か、むしろ順調な方じゃないかとの意見も。

●「ユーラシア動物紀行」
(紹介文4つ、平均★数は2.3)
 動物紀行とあるのに、研究機関や観光名所の紹介ばかりが目につく。動物の話が少ないのが不満。との声多数。昔のシベリア紀行の本の引用などが投入されたかと思ったら、突然生物学の解説が入ったり。なにをしたいのか判らないとの声。紀行文としても臨場感がなくって、楽しめない。

●「人類との遭遇」
(紹介文1つ、平均★数は3.0)
 人類がアフリカ単一起源ではなく、複数起源の立場とのこと。それ以上はよく分からなかった。

●「鳥肉以上、鳥学未満。」
(紹介文4つ、平均★数は3.0)
 ニワトリを題材に鳥の形態学のあれやこれやがよく分かる。類書があまりない、とても勉強になる本。ただ、ファーストガンダムやデビルマンなど、アニメやマンガネタが豊富に投入される。50歳前後の人しかネタについていけなさそうで、それを無視できないと、読むのにとても苦労するらしい。さらに例によって人を喰った文章満載で、わざとウソを書いて、直後にそれはウソと言ってみたり。1冊まるまるそんな調子なので、だんだん疲れてくる。

●「モーツァルトのムクドリ」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
 アメリカ大陸に持ち込まれたホシムクドリの話。タイトルもホシムクドリと書くべきだと思う。アメリカでは、ホシムクドリは自由に殺しまくっていいらしい。それが可哀想に思えるという声がけっこうあった。

●「トリノトリビア」
(紹介文5つ、平均★数は3.8)
 「鳥肉以上、鳥学未満。」と同じ著者だが、比べるとこちらは、あまりふざけずに書いているので、誰でも読みやすいらしい。左に文章、右に別のマンガ家さんによる4コママンガがあるんだけど、こちらで遊んでるので、文章は真面目よりにふったのではないかとの観測。それでもランボーとか出てくるけど。内容は例によって、正確で情報満載。
●2019年4月24日 小さめの外来生物の展示

今日の午前中は、大阪府立中央図書館へ。展示物を運び込んで、外来生物の展示の設営。当初は、ケース4つということになっていたのだけど、設営をはじめてみると、展示物が多くて、ケースを7つ使う事に。
外来生物の展示だと、普通には外来生物問題の解説ってことになりそう。だけど、いまは大阪府周辺の外来生物の分布を調べる市民調査プロジェクトをやってるので、展示は市民調査を軸に、情報募集という色合いが強い。理屈っぽくなりすぎず、同時に身近な外来生物に眼をやってもらうことにつながるので、ちょうどいい感じ。
ただ、関係学芸員が5人と多く、それぞれに標本と分布図と情報募集の3本立て。思いのほか分量が多くなるのはやむを得ない。展示してるのは、植物1種、昆虫6種ほど、陸貝2種、魚2種、鳥1種、哺乳類1種。小さいとはいえ、これでケース7つ。1種ずつの扱いが大きめというか、1種ずつにストーリーがあるので、展示分量を確保するのは意外と簡単な印象。
でも、よく考えると、外来生物に限らず、1種ずつのストーリーを丁寧に展示すればいいんだなぁ。ほかのテーマに引っ張られて、なかなか1種ずつを熱く語る展示を作る機会は少ない。クジラとか大物ならやるけどなぁ。
●2019年4月23日 中洲にナヨクサフジ

昨日は、自転車で大和川沿いを走って、水鳥調査。うららかな春の日、と思ったら暑くて暑くて。その上、ユスリカの団体が飛んでいて、ドンドン顔にぶつかってくる。口を開けてたら食べてしまいそう。なわばってるクマバチは、様子を見に近寄ってきて、時にはぶつかってきたり。そして、高水敷から堤防への斜面はナヨクサフジで紫色、低水敷から高水敷への斜面はセイヨウカラシナで黄色。どちらも外来生物なので喜べないけど、なかなか綺麗かも。
昔に比べると、ナヨクサフジが繁茂しはじめるタイミングが早くて(少なくとも一部は冬から生えていて、花も咲いてる!)、かつては4月はセイヨウカラシナが一帯を占めて、河川敷が黄色くなり、その後にナヨクサフジに交代して紫色になっていたのが、今は同時に見られるというか、あまり黄色くなくなったというか。早くナヨクサフジが高水敷を占めるので、かつては春の高水敷にけっこう生えていたセイヨウヒキヨモギなどがすっかり見られなくなった気がする。マント植物のフェノロジーは、他の背の低い植物の興亡に直結する感じ。
などと思いながら、河川敷を自転車で走っていると。JR阪和線の下流側にはけっこうな面積の砂礫地があるんだけど、そこに背の低い植物が、いっぱい生えて来ているのに気付いた。どうも紫色の花が咲いてる気がする。見たことのない植物。と双眼鏡でのぞいて気付いた。小さなナヨクサフジだった。まだあまりツルが伸びてなくて、小さいまま、花を咲かしている。砂礫地ではあまり生長できないのか? でも、これから伸びるんじゃ? そして、砂礫地はナヨクサフジに覆われるんだろうか? こうなってくると、コチドリの繁殖にも影響しそうだなぁ。
●2019年4月21日 子どもと遊ぶ日

と言っても、自分の子どもはいないので、よその子どもと遊ぶ。と書くと、危ない変な人みたいだけど、要は観察会に行くだけ。休みの日に、担当でもない観察会に、わざわざ行くんだから、充分変な人だけど。
今日は友の会の月例ハイクという行事で阪南市方面の海岸へ。せっかく海岸にいくなら、瀬戸内海の海浜植物のミニガイドを使って、海浜植物の説明をしてくれる人がいるといいなぁ。でも、今日は、レンゲ畑の観察会とかぶっているので、植物担当は出払っている。植物担当の代わりに海浜植物の説明をするようにというお達しで、参加した。でも、集合してみると、よその自然史系博物館の植物担当学芸員がいるし。それじゃあと、本業の鳥を説明することに。
集合場所の駅前では、あっちとこっちのビルの上で、イソヒヨドリが2羽囀っている。それをなんとなく説明したりながめたりしていると、子ども達が集まってくる。最初は頻繁に出会う鳥の羽根好きのみなさん、そして時々出会うみなさん、そこに初めて会う子も混じって。なんとなく周辺が子どもだらけに。一緒にオオクビキレガイを探そうと、花壇を見に行くと付いてきて、一緒にオオクビキレガイ探し。みんなオオクビキレガイ判ってるのかなぁ?
観察会がスタートすると、なぜか手をつないでいたり。歩く中で子ども達は散らばっていくけど、誰かしら近くにいて、一緒に鳥を見たり、虫を見たり。海岸に到着したら、みんな散らばるけど、近くにいて一緒に拾い物したり、鳥を見たりする子もいる。何か見つけたら持ってきてくれたり。小さい頃から知っていて、けっこう大きくなった子は、最初は遠慮しているのか、最初はさほど近くにいないのだけど、いつの間にか一緒にいて話をしたり。
結局、一日中、子どもと話をしていた気がする。大人とも話をしたけど、話し相手は圧倒的に子ども。近くにいるのが、もっぱら子どもだからだと思う。どうして子どもが近くによくいるのかは謎。
●2019年4月20日 渡りのキビタキも増加した

今日の午前は、近所の公園で鳥の観察会。黄色いキビタキがウロウロしまくりで、あきるほど見ることができた。オオルリもいたけど、キビタキの前ではぜんぜん影が薄い。考えてみると、たとえば20年前と比べると、渡りの時にキビタキをよく見るようになった。これは全国的にキビタキの繁殖が増えているのとリンクしてるんだろうなぁ。
そういえば、かつては秋の渡りの時だけに見る鳥だったコサメビタキが、近頃は春の渡りでも普通に見られるようになった。キビタキにならえば、コサメビタキも増えているってことかな? 一方、オオルリはとりたてて減ってないと思うけど、増えてもない気がする。
小型ツグミ類で言えば、渡り途中のコマドリやコルリを見る機会は増えてる気がする。アカハラはよく判らんけど、クロツグミは増えたと思う。サンコウチョウやサンショウクイも増えた。
なんとなく大阪府周辺に関する限り。キビタキ、クロツグミ、サンコウチョウ、サンショウクイが増えているのは納得がいく。渡りの途中に通過する個体数を正確に評価するのは難しいけど、それなりの期間にわたって、ある程度の頻度で観察していれば、遭遇頻度×個体数の多少を記録しておけば、個体群のおおまかなトレンドは評価できるんだろうなぁ。
それでいくと、かつてに比べてセンダイムシクイは増えたけど、エゾムシクイは減った気がする。そしてツツドリはめっちゃ増えた。なんとなく納得がいく。
●2019年4月19日 ウミガメ回収記

ウミガメの死体が浜に落ちている。との連絡があったのは、4月13日。すぐにはいけなくて、今日になった。近頃暖かいから、当然、腐ってるだろうなぁ。と思いつつ、調査を一つこなして現地についたのは、午後4時前。言われた場所に近付いていくと、どこからともなく、馴染みのある臭いが漂ってくる。近所の家からそろそろ苦情が出そう。
地図に示された通りの場所に物は鎮座していた。13日時点では新鮮だったそうなのだが、すでに腐り果てている。液浸標本は無理なので、骨格標本にすることに。教えてくれた方は、背甲長60cmほどでけっこう立派と言ってたが、その通りだった。この方の大きさの見積もりは残念なことに正確。実物が聞いていたより小さければ、簡単に持ち帰れたのに…。
というわけで、丸ごとは重くてかさばって持ち帰れないので、解剖刀を取りだして、解体作業。甲羅の横で切り離して、腹甲をはずす。内臓とりだして、左右の前肢、後肢+尻尾セット、頭を切り離し。ここまでに25分。これをコンパクトにまとめて梱包するのに25分。小さな台車にくくりつけて、コロコロ引っ張って帰る。
重いので、持ち上げたくないので、出来る限りエレベーター利用。いちいち遠回りで乗り換えが面倒。なぜかお年寄りやベビーカーや車椅子の方のキモチが判る体験だった。4重に梱包されたウミガメは、ぜんぜん臭くなかった。一般人の意見は知らんけど。
●2019年4月18日 サギ山へのカワウの侵入

今年は10年ぶりに大阪府のカワウ・サギ類の繁殖地調査をしてる訳だけど、カワウの繁殖地が増えてるような傾向が早くも見えてきた。営巣数が増えてるという訳でもなさそうなのだが。
カワウの新たな繁殖地の多くは、サギ類の繁殖地にカワウが侵入した感じ。その印象が一番強いのは、枚方市某所。10年前は、大阪府で一番多くのゴイサギとコサギの繁殖地だったのだけど、とりあえず今日時点ではゴイサギとコサギの繁殖は確認されず、カワウばかりが繁殖していて、下の方に少しアオサギが営巣しているだけ。ゴイサギとコサギがこれから繁殖を始めるのか心配。
10年前はゴイサギとアオサギが営巣しているだけだった岬町の某所も、カワウが侵入して、4月時点ではカワウが一番目立っている。
そういえば大泉緑地の2つ池も、まずアオサギが営巣を始めて、そこにカワウが加わった。
そもそも大阪府で一番初期にカワウの繁殖がはじまった堺市の大津池も、松原市の樋野ヶ池も、もともとはサギ類の繁殖地だったのに、カワウが侵入して、高い場所を中心にカワウが場所を押さえてしまった。割をくったアオサギの営巣場所は下に下がり、ゴイサギやコサギが影響を受けるイメージ。
逆にカワウだけで最初から立ち上げた繁殖地は、泉佐野市某所と服部緑地のあそこしか思いつかない。

カワウがサギ類の繁殖地に侵入すると、
・木の上の方がカワウに押さえられて、アオサギの営巣位置が下がる。
・木がドンドン枯れる。
いずれもゴイサギやコサギに影響しそう。カワウのせいでゴイサギやコサギが減ってるなんてことはないとは思うけど、少しは影響があったりして?

【追記】
そういえば、茨木市某所の繁殖地も、20年前はゴイサギやコサギを含めたサギ類の大きな繁殖地だったのが、10年前時点ではすでにカワウの侵入を受け、もっぱらカワウが繁殖する場所になっていた。今では大阪府で二番目のカワウの集団コロニー。
●2019年4月17日 ハシボソガラスは減ったのか?

昨年9月の台風で、たくさんの木が倒れ、枝が折れ、その後の整備でさらに木が切られまくった。おかげで、マイフィールドの公園の林はスカスカ。となると、林が好きなハシブトガラスは減って、林縁などオープンな環境が好きなハシボソガラスは増えるだろう。と予想していた。
が、繁殖期に入ってみると、どうも様子が違う。ハシブトガラスは、なわばり内の今までは使ったことがないような木を選ぶなどして、なわばりの位置はあまり動かさずに、例年通り繁殖に入っているらしい。むしろハシボソガラスが、なかなか営巣を始めない。のみならず、少なくとも2ペアは姿を消したみたい。なぜだろう?
木が少なくなった分、周囲のハシブトガラスのなわばりが、微妙に動いたり、大きくなって、ハシボソガラスが追い出された。というのが一つの可能性。でも、ハシボソガラスの繁殖期の方が早く始まるし、ハシブトガラスの影響を受ける前から、ハシボソガラス2ペアは見かけなくなってた気がする。
もう一つの可能性は、広い範囲の木がスカスカになって、ハシボソガラスの営巣適地が増えて、もっといいなわばりにハシボソガラスが引っ越していったのかも。でも、同じ木の同じ位置を好むとか、同じ営巣場所への執着がかなり強いカラスのこと。少々周辺の状態がよくなっても移動しない気がする。
そんなわけで、木がスカスカになって、なぜかハシボソガラスが減った気がするけど、どうしてそうなるのか全然分からない。
●2019年4月16日 研究助成金の審査で考えた

とある研究助成金の審査について考える機会があった。テストの答案でも、採用人事への応募書類でも、そして助成金の申請書類でも。審査する人とのコミュニケーションであり、あえて言えばエンターテイメントである。ってことは、審査する側に回ってから気付いたこと。当然ながら、読みやすい文章がいいに決まってるし、楽しい方が評価が高くなるし、何より面白さを伝えようとする意欲が大切。意欲って申請書類からけっこう読み取れるもんなのだよ。そして、最終的に採択の可否を大きく左右するのは、学術的重要性とか独創性とか波及効果とかではなく、いや関係はあるのだけど、それだけではなく、それを包括した上での結果を見てみたいと思わせるかどうか。応援したいと思わせるかどうか。
とりあえずやる気のなさそうな応募書類の評価は低くなる。読みにくい文章、誤字脱字、文章の一部が欄外で見えない、お金の積算がいい加減、具体的でない。申請者のキャラもあるだろうけど、意欲も大きかろう。同じ相手に繰り返し助成するのは少しためらう。
助成事業を行っている会への貢献度はそれなりに気になる。過去に大会で発表してくれたとか、会誌によく投稿してくれるとか。過去に助成を受けたのに約束を守らなかったら、評価は大幅に下落。そらそうやろ。
教官が雑な応募をしてきたら、評価は厳しくなる。狭い世界なので、教官の台所事情は分かってたりする。他にお金持ってるやろとか、大きなプロジェクトに関わってるはずとか、他のプロジェクトの一部だけを出してきたなとか。バレバレで、怖いくらい。
一方、未熟な応募書類であっても、内容がやや微妙であっても、若手であれば応援したくなる。学生は自由になるお金が少ないだろうし、他からお金をとれる可能性も低いだろうから。むしろ、そうしたケースこそが、小さな助成金の役割かも。教官であれば、科研費でもとったらええしね。
●2019年4月14日 規模の大きな繁殖コロニーで繁殖開始が前倒しになる理由

サギ類やカワウの繁殖コロニーは、とくに規模が大きい場合。繁殖開始がどんどん早くなる。ってことは、けっこう色んな人が気付いてる。大阪府でいれば、2000年代にカワウの繁殖が始まった頃には、4月頃から始まって、7月頃までやっていた。それが気付いたら2月に始まるようになり、1月に始まるようになり、いまでは当たり前のように12月から始まってるし、11月にはそろそろ始めてるつがいもいるような。
同じことはアオサギの繁殖コロニーでも言えて、昔は早くても3月ごろスタートだった繁殖が、今では余裕で2月スタート。
どうしてこうなるのか、多くの人が同じように考えてるんじゃないかと思う。規模の大きな繁殖コロニーでは、どんどん木が枯れることもあって、営巣場所はけっこう不足気味。たぶん良い場所の競争率はけっこう激しいんじゃないかと。というわけで、少しでも早く良い場所を確保しようと、早め早めに繁殖をスタートさせて、どんどん繁殖開始が早くなる。
でも、今日ぼんやり考えていて、理由はもう1つある気がしてきた。それは、IFD的な動き。いい営巣場所を先取りするために、繁殖開始を早めているのではなく、高密度だと周囲からの攪乱が大きくなって、繁殖成功度が下がるから、繁殖密度が高いピーク時を避けてるんじゃないかと。
でも、それなら繁殖開始が前倒しよりは、繁殖終了が後ろにずれこむかなぁ?
●2019年4月13日 虫班、魚班、貝班からの指令

今日は、外来生物調査プロジェクトの中間報告会。たぶん最後の中間報告会。だけど、2回に分けて行われるので、鳥の出番は来月。今日は、虫班と魚班と貝班が担当。他の分野の調査にも楽しく参加しているので、見学。自分が参加した調査の評価が知りたいし、今後のミッションが知りたいから。
最初の虫班では、驚きのミッションが出た。まさか白と黒のシマシマのキョクトウゼブラハエトリを探せとの指令。冬はヒロヘリアオイラガの羽化跡に入るらしい。冬に探した方が効率いいかも。アカハネオンブバッタは、大阪府を中心に西は姫路、南は紀ノ川沿い、東は奈良盆地、北は安曇川まで拡がってる。分布がさらに拡がるかが今年の注目らしい。ムネアカオオクロテントウの分布拡大が一段落してしまった気がするのが不思議。
魚班でこの2年間に大阪府で14種の外来魚を確認(ヌマチチブ日本海側の系統、ヒメダカを含む)。カダヤシとメダカの分布調査はかなりまとまってきた感じ。大阪平野中央部にカダヤシが広がり、周辺にメダカと割と分かれてる感じ。生息環境の違いかも。一方、ドジョウは情報が足らないのでもっと標本を!とのこと。
貝班。スクミリンゴガイの分布は、大阪府では淀川以南は全域にいるけど、以北では西半分の情報がない。本当にいないのか見逃しているのか要チェックだそう。近畿では、滋賀県をどこまで北上してるか等、北への拡がりが注目。全国では、中国地方西部の情報がない。対馬に行くついでに探しに行く? 貝班のもう1つの調査対象はオオクビキレガイは、泉北地域に拡がってるっぽい。で、泉北エリアで、1kmメッシュで分布調査をする宣言。電車の駅周辺の調査は継続。北摂方面の駅の情報が薄いとのこと。
●2019年4月12日 復活のサギ山

今日は、茨木市の耳原大池にサギ類の繁殖調査に出掛けた。この繁殖地は、10年前には島にたくさんのサギ類やカワウが営巣していたのだけど、その後、島の樹は切られてしまった。それで繁殖地は消滅した。とばかり思っていたのだけど、数年後にサギ類は戻ってきて、再び繁殖地として復活していたらしい。今年もサギ類が繁殖しているし、コサギに関しては、今年時点で大阪府で一番大きな繁殖地と言えそう。樹はあまり復活していなくて、多くのコサギは地上で営巣している。アオサギはわずかに残った(生えた?)樹で繁殖しているのが面白い。
一方、カワウは繁殖を再開はしていない様子。カワウは地上でも平気で営巣しそうなのに、不思議な感じがする。自分たちで樹を枯らして、やむを得ず地上で営巣するのはいいけど、最初から地上での営巣は嫌なのかもしれない。
あるいはカワウよりもサギ類の方が、同じ繁殖地へのこだわりが強いのか? だとしたら、おいおいカワウが戻ってくるかもしれない。今後の展開が見逃せない場所の一つ。
●2019年4月10日 大阪のアマサギは生きのこってるのか?

今年は大阪府のカワウ・サギ類の繁殖地調査をしている。で、そこで注目ポイントの一つは、アマサギがまだ繁殖しているのかどうか。1987年の調査では4ヶ所で数巣ずつの営巣が確認されたアマサギは、1998-1999年と2009年の調査では、いずれも1ヶ所で1巣だけ確認されたのみ。いよいよ今回は営巣数0を記録するかどうかが注目ポイント。つまり大阪府から繁殖個体群が失われたかどうか。と書くとすごいことに思えてくる。
といっても、1980年代も大阪府で記録されたアマサギの営巣数は、ぜんぶ合わせても20巣ちょっと程度。1980年代時点でも大阪府にアマサギ個体群が存在したかは微妙。でも、当時は、あちこちの田んぼでアマサギはそこそこ普通に観察された。この20年ほどは、姿を見ることすら稀になってきた。
ということは、大阪府でアマサギを見たら、けっこう報告してくれることになる。日本野鳥の会大阪支部のむくどり通信を見返す用事のついでに、過去5年のアマサギの観察記録を拾ってみた。よく記録される場所の近くに、わずかながらもアマサギは営巣しているかもしれない。

20140522 枚方市津田北町 4羽
20140531 寝屋川市寝屋川公園 1羽
20140628 富田林市石川 川西大橋南の水田 18羽
20140706 堺市美原区黒山 2羽
20150614 泉大津市大津川河口 1羽
20150823 堺市舟渡池公園 2羽
20160504 淀川毛馬水門付近 3羽
20160618 堺市堺浜 9羽
20170511 枚方市野村北町 4羽
20180708 太子町太子 9羽

5月後半から7月頭までが繁殖期と勝手に決めると、南河内と北河内に1ヶ所ずつ繁殖地があってもよさそう。過去の繁殖例を鑑みると、河内長野市市町と枚方市奥の池かなぁ。
淀川と大阪湾岸の記録をどう考えるかは難しい。近場にそれっぽいサギ類の繁殖地はないし。
●2019年4月9日 大阪のカワウの繁殖コロニー

今年は10年ぶりに大阪府内のカワウ・サギ類の繁殖地調査を実施している。10年前にはカワウどころかサギ類の繁殖地もなかったのに、3年ほど前に突如出現したカワウの繁殖コロニー。ってのが、泉佐野市にある。JR阪和線からよく見えるのだけど、調査に行った数人から、線路からが一番見やすくって、かといって線路には立ち入れないから、全体像を把握しにくい。というぼやきが聞こえてくる。いまひとつイメージが湧かないので、噂の見えないカワウの繁殖コロニーを見てきた。
行ってみて納得。カワウの巣は、池の北西側に少しと、南側の岬状の突出の北東側にたくさんある。のだけど、北側の駐輪場の辺りからでは、メイン部分のすべては見えない。立ち入り禁止エリアに入って、できれば線路までいけばよく見えそう。よほど入り込んでやろうかと思ったりもしたけど、大人なので断念。
北側から見えない部分を、東側の木の隙間からのぞく。北側からどこまで数えたか分からなく成って、もう一度北側に戻り、位置をチェックして、再び東側へ。なんとなく足し合わせて、北西側の営巣と合わせて、約80巣程度かなぁ。
数日後、同じように複数の場所から頑張って数えたKさんの数字と不思議と同じくらいの数字だったので、わりといい感じの数字だったんだろう。
●2019年4月8日 長居公園の林はいつ元に戻るの?

大家さんに家賃を払いに行ったら、そんな話題になった。花見をかねて、長居公園を一周してきたらしい。木が減ってスカスカでショックを受けたらしい。
原因はもちろん昨年9月の台風。たしかにいっぱい木が倒れた。その後、頻繁に復旧の様子を含めて見てきた者としては、もう見慣れてしまった感じもする。今さら、という気もする。
でも、近所の人でも冬の間にわざわざ長居公園に来る人はさほど多くないだろうし。春になって花見に、と出かけて、長居公園の変わり果てた姿にショックを受けてる人も多いに違いない。
で、いつ元に戻るのかって話だけど。長居公園の整備が一段落したのは、自然史博物館が建った1974年頃だろうか。その頃の画像を見ると、植えたばかりのヒョロヒョロっとした木が写ってる。それが、40年以上かけて育ってきた。その木が倒れまくったのだから、いつ元に戻るのかと言えば、40年後でしょうねぇ。と答えてみた。
今回大きな被害を出した台風は、大阪では第2室戸台風以来とかなんとか。でも、地球温暖化のせいか、大型台風がさほど珍しくなくなってる昨今。同じような木を倒しまくる台風は、また数年以内にやってくるだろう。ってことは、またそこで木が倒れるってことで、地球温暖化を食い止めないと、もう元には戻らない。と言う答が正解なのかも知れない。
●2019年4月7日 研究計画の日2019

今日は4月恒例。鳥の調査研究をしてみたいみんなが集まって、研究計画を言い合う日。充分まとまった調査企画や、すでにデータを持ってる人には、調査方法やまとめ方への助言。何をしたらいいか固まっていない人には、実行可能な方向へ誘導。なんだけど、今回はやりたいことが固まっているというか、データを持ってる人がほとんどだった。8人に対応するのに2時間。
 その結果、決まったテーマをざっと並べると
・キクイタダキが多い年と少ない年の違いを、気象データで説明できないかを検討。問題は、どこの気象データを使うか。そして沿海州の個体群が原因だと、ちょっと手強いテーマになる。日本各地のデータで、キクイタダキの多い少ないが各地でシンクロしてるか、秋の渡りと越冬期を分けて検討した方がいいかと。。
・とある海岸での20年にも及ぶ隔月の鳥のカウントデータ。とりあえずオオバンのデータでまとめたいとのことだけど、同時にデータ全体の公開を考えて欲しい。手始めにオオバンで練習はありかもしれんけど。ついでにユリカモメのデータも見せて欲しいと頼んでみたり。
・エサ台でのヒヨドリとムクドリ類のケンカをビデオ撮影して、勝ち負けをカウントしたら、3種で順位ができた。と、結果ははっきりしてるけど、順位決めるだけで面白いかなぁ。とりあえず採食時間との関連を検討してみてもらうことに。
・ため池の水鳥の観察のデータが3年分。小さいため池1つだと、なかなか面白い展開にはならない…。
・ムクドリの羽根拾いデータは、投稿中。他の論文の間違いに気付いたので、それをどう扱うかを相談。
・カワウの繁殖期の10年以上に及ぶデータ。データ量が膨大で、まとめるの大変そう。
・公園での羽根拾いはデータ取るのは3年で一段落。3年目のデータは、昨年9月の台風の影響が入ってしまい、どう対応するかに苦慮。大筋で傾向に違いはないから、考察でコメントするだけでいいんじゃないかなぁ。スズメの砂浴びは、夏の成鳥について、これから天候の影響を検討。
・通勤ついでのセキレイ類センサス。8年ほどやって傾向が変わらないと残念そうだけど、本当に変わらないなら、むしろ面白いかも。ってゆうか、とりあえずデータ見せて。
●2019年4月6日 大阪府のサギ類の繁殖地の変遷を振り返って

原稿を書かないといけなくなって、大阪府のサギ類の繁殖地の変遷に関する文献を、読み返してみた。微妙に覚えていたこととは違ってて驚いた。記憶ってあてにならないなぁ。時々は振り返ってみておくことは大切だなぁ、と感じたけど、とりあえずここにまとめておけば、今度振り返るのが楽ちんだな。ってことで以下に続く。

・1960年代:重野保博(1970)
1960年代までは仁徳陵に巨大なサギ類の繁殖コロニーがあった。って覚えていたんだけど、仁徳陵辺りに繁殖コロニーがあったのは確かだけど、仁徳陵自体で最後にサギ類の繁殖が確認されたのは1967年で、1968年には仁徳陵での繁殖はなく南の御廟山に移っていた。そして1965年から1967年に仁徳陵で繁殖していたのはアオサギだけで、ゴイサギや白いサギ類の繁殖はすでに御廟山に移っていた。あとゴイサギだけは、1970年も反正天皇陵で、繁殖した。
そしてなにより気付いてなかったのは、1960年代時点で、すでに仁徳陵で繁殖するサギ類は減少していて、かつての数万羽というような規模ではなく、数千羽規模。それも年々減少していたらしい。

・1980年代:大阪府(1987)
1987年時点の大阪府では、5ヶ所の繁殖地が確認され、ゴイサギとコサギを主として、うち3ヶ所では少数のアマサギの繁殖も確認されていた。と思っていたけど、ダイサギは5ヶ所すべてで繁殖期に観察されており、1ヶ所では1巣確認されている。アオサギは4ヶ所で、チュウサギも2ヶ所で、それぞれ繁殖期に観察されている。少数が繁殖していた可能性がありそう。
●2019年4月4日 中高生と植物園をウロウロ

鳥の観察会でもない、虫好きは多いけど好きでもないのもいる、なぜか菌類好きが多い。植物好きは少数派。そんなのを引き連れて、植物園をウロウロ。さて、何を見ようかと思ったけど、特定の興味のある子に付いていけばいいということが判明。
ツバキ園を通りがかったら、菌類好きがツバキキンカクチャワンタケを探し始めた。とても美しいと力説するので、一緒に探すが見つからない。ようやく見せてもらったツバキキンカクチャワンタケは、力説するほどキレイって訳でもないような…。
モクレンの落ちた花にもキンカクチャワンタケが生えるというので、マグノリア園で少し探すがすぐに挫折。
草花を見つけては、花を抜いて蜜をなめてるのがいた。ホトケノザ推しなので、なめてみると確かに甘い。ついでにヒメオドリコソウの花の付け根もなめてみる。こっちの方が甘いんじゃ?と盛り上がる。ソメイヨシノはもっと甘いけど、甘い薬のような味があって苦め。
小さな池の端でなんか面白いものはないかと見てたら、1人が魚を捕ったという。見せてもらうとタウナギだった。それも手づかみしたという。すごいな。そもそもここでタウナギって初めて見たような。戻ってきて魚担当に伝えると、ここでは初記録という。捕まえた子は持って帰って飼いたかったようだけど、魚担当に負けて寄贈してくれた。気の毒に。
戻ってきてから、シメが巣材をくわえていたという話を聞かされる。ほんまかいなと思ったら、しっかり撮影していて、確かに巣材をくわえている。ペアでいたという。その場で教えてくれ〜。造巣しているのか、巣材をつかった求愛行動めいたものなのか、単に遊んでるのかは判らない。もしシメが大阪市内で営巣したら、すごいなぁ。
とまあ、子どもに付いていくだけでいろいろ発見があった。
●2019年4月3日 初出勤

3月末までは地方公務員をしていたのだけど、4月からは地方独立行政法人の職員になった。団体職員というやつだと思う。昨日と一昨日は休んだので、今日が初出勤。いろいろ新しくて面白い。
まず、出勤したとき。出勤簿にハンコを押すのから、タイムカードをピッとするのに変わった。初めてで楽しい。タイムカードでピッは、退勤時にもしなくてはならないらしい。そんな習慣はないから間違いなく忘れる。その場合、どうなるんだろう?

あと、超勤とか年休とか出張の申請ができそうな電子システムも導入された。が、まだシステムが完成していないから、超勤と年休以外は入力せずに、今まで通り紙に書くらしい。それを後から入力? 休日出勤からの代休申請も紙に書く? 電子システムと紙に書くのが混ざっていて、面白い。
電子システムの要件定義をまるでしていないらしく、どっかの企業が使う感じのがそのまま入ってる。これをこれから完成させていくんだろうか? 今まで通り紙媒体で処理しておいて、完成してから電子システムに移行するのが普通でしょう。中途半端な導入をしたら、かえって手間が増えるってことが判らんかな? システム導入のプロセスもなにも判っていない奴が担当したからこんな事になってるんだろうなぁ。
タイムカードで、一時外出をすると、電子システム上は“育児休暇”になるというバグが見つかり、みんなで盛り上がる。
●2019年4月2日 鳥類と哺乳類の標本点数 2018年度の状況

年度が替わったら、すぐに動き出すのが館報の製作。昨年度の活動をまとめて、冊子にして、宣伝できるように準備する。で、年度末時点の標本点数をチェックする。っていうか、この一年の間に増えた分をチェックして、一年前の数字に足す。今年も鳥類と哺乳類の標本点数の増加分を数えてみた。
一昨年、10年後の2027年に鳥類標本一万点、哺乳類標本五千点に向けての計画を立てたので、その途中経過の確認でもある。

2018年度末時点での鳥類標本は8061点、哺乳類標本は3468点。増加分は、鳥類197点と哺乳類146点。2017年度の増加分が、鳥類201点と哺乳類139点。なので、ほぼ同じペース。
これでは、残る8年の間に目標を達成できない…。このペースだと鳥類標本一万点は10年後の2029年に、哺乳類標本五千点も10年後の2029年。それでもいいような気もしてきた。

ちなみに2018年度に自分で皮を剥いた鳥は、36羽。過去はというと、2012年度115羽、2013年度53羽、2014年度38羽、2015年度52羽、2016年度51羽、2017年度39羽。年による違いが大きいけど、過去7年で一番少ない…。というわけで、自分の鳥剥きのペースアップは必要。100羽は無理でも、50羽は剥きたい。
●2019年4月1日 大阪府のサギ類・カワウ繁殖調査スタート

今年の繁殖期の調査は、大阪府のカワウとサギ類の繁殖地調査。調査は4月スタートの予定だけど、すでに3月からなんとなく情報を集めていたりするけど。
1990年半ばに博物館に出入りするようになって、大阪府内のサギ類(当時、まだ大阪府でカワウは繁殖していなかった)の繁殖コロニー情報を集めはじめ(当時はアオサギの単独営巣なんて知らなかった)。で、集まった繁殖地及び過去に繁殖記録のある場所をすべてチェックしたのが1998年〜1999年。
それから10年。2009年には、大阪鳥類研究グループで、1998-1999年に繁殖が確認された場所、及びその後10年の間にサギ類の繁殖記録のある場所をチェックし。さらに新たな繁殖地を探した。
それからまた10年。今年2019年は、大阪府のカワウとサギ類の繁殖地調査の年。2009年に繁殖が確認された場所、及びその後10年の間にサギ類の繁殖記録のある場所をチェックする。

1990年代は、調査は4月から7月でいいだろうと思ってた。2009年も、4月から7月を調査期間にしていた。でも、なんとなく年々繁殖期は前倒しになってる気がする。とくにカワウは前年12月から繁殖を始めてるし。アオサギも2月頃から繁殖を始めてたりする。カワウの繁殖のピークは、3月だったりすることもある気がする。
とはいえ、1-2月から調査を始めるのは大変なので、そしてコサギやゴイサギは4月以降じゃないと繁殖を始めないので。カワウやアオサギはできれば3月にも情報を集めつつ、4月の調査を基本に。コサギやゴイサギが繁殖する場所では、5月の調査も入れることに。
ってことで、今回は1つの調査地を1回調査するだけではなく、できれば3-4月と5月の2回調査。可能なら6月も見に行くって感じに。営巣数の数値は、種毎の一番多い数を採用する予定。ちょっと面倒。
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