日記風覚え書き
2020年1月、2月、3月
(2005年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2006年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2007年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2008年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2009年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2010年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2011年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2012年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2013年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2014年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2015年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2016年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2017年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2018年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2019年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月)
●2020年3月31日 2020年3月のまとめ 新型コロナで特別展オープンせず…
2月29日から臨時休館になって以来、3月はずーっと臨時休館。あわせて3月1日オープンの予定(2月29日はプレビュー)だった外来生物展もオープンせず。やる気を失いつつも、3月16日には完成させたのに〜。そして、オープンしないまま、5月31日までの会期の1/3が終了。ここにきて、会期延長の話も出てるけど、会期延長してもオープンしないまま終わりそう…。
そんな2020年3月を振り返ってみよう。
ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。ハッカチョウセンサス2コースも実施した。地元公園では、鳥のセンサス調査&果実チェックが終了して、カラスの巣チェックを開始。
ホネホネ団の通常の活動日が4日。哺乳類と鳥類の大物を処理しまくった。
さらに旧トラックヤードの片付きの勢いで、長年放置していたホネのレガシーの処理が少し進んだ。さらに砂場のホネもかなり回収した。
普及行事は、鳥類フィールドセミナー、植物園案内・動物編、ジュニア自然史クラブが、コロナのせいで中止になった。のみならず、外来生物展関連のギャラリートークも普及講演会も中止。地域自然誌と保全研究大会は中止。ついでに大阪鳥類研究グループの総会も招待講演者が来られなくなって、メーリングリストで議事を済ませた。
展示関係は、オープンしない外来生物展で、淡水魚と水草を飼ってるだけ。
講演はなし。博物館実習もなし。
委員会関係は、Y川関係がコロナで中止だったけど、他のS市のレッドリストや、A川、オオタカは開催された。
団体Kの雑誌への投稿論文の査読2本は済ませた。投稿論文はもちろん書けてない…。
とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系0冊と、SF11冊。特別展の準備は終わったけど、新型コロナのストレスのせいか、今までの調子でSFが読めない…。
完全休養日は1日。
●2020年3月29日 増水気味の大和川
月に一度の大和川下流部の水鳥調査に行った。今朝までの雨で、けっこう水量が多い。中州がほとんど水没して、茶色い水が、それなりの速さで流れている。こういう日には調査しない方がいいんだろうけど、水量に合わせて日程を調整できないので、とにかく調査できる日に調査する。でもまあ、そのおかげで、増水した日に鳥がどうしてるかを見る事ができる。
河川が増水したら、近所のため池にでも避難すればいいようなものなのだけど、“中州がほとんど水没”程度の増水では、河川から避難はしないらしく、いつもと比べて、サギ類やカモ類はとくに少ない感じでもなかった。増水がどこまでいけば、避難を始めるのかは少し気になるところ。
でも、普段休憩につかってる中州がないので、サギ類はみんな岸の水際にいる。いつもと分布が少しずれるので、変な感じ。面白いのはカモ類で、なぜか浮かんでいる個体が多い。岸にいるよりは、浮かんでた方が安全とかあるんだろうか。多くは、あまり流れのない場所に浮かんでいたが、流れの真ん中に浮かび、流されては上流に飛んで戻るというのを繰り替えずヒドリガモたちもいた。昆虫採集では、増水時に流された虫を狙う増水採集というのがあるが、そういったことをしているのだろうか?
カモメ類は、さすがに中州がないといない。と思ったら、河口にユリカモメの群れが約1400羽。でも大型カモメはぜんぜんいなかった。増水に応じた休憩場所の変更の判断は、種によってかなり違う感じ。
●2020年3月28日 幻の子ども祭り
本来なら、今日と明日は子ども祭りのはずだった。3月20日頃までは、実施できる可能性は無くは無いと思ってた。が、やはり実施は無理ってことになった。学生もスタッフも、ここまで準備してきたのに中止は忍びない。ということで、延期ということにした。ゴールデンウィークに延期しても、新型コロナウイルス感染症が終息してるはずがないので、夏休みに延期、というのがスタッフ側で話していたこと。
しかし、とりあえずここで完成させておかないと、延期した時に実施するのは難しい。ということで、本来実施するはずだった今日までに完成させて、今日実演することになっていた。せっかくだから子どもの意見を聞きたいところ。それじゃあ知り合いの子どもにだけでも声かけして来てもらおうか。
と思っていたら、直前になって、子ども相手に試すのも難しい状況になってきた。それどころか、スタッフと学生が集まるのもまずいのでは? と、なりかけたけど、せめて学生同士で意見交換がないと、試す意味もない。ってことで、3つの班、それぞれが実演したのを、他の学生が体験するというスタイルになった。その間、スタッフは遠目から見てる感じ。
子ども向けワークショップは、例年本番スタートした時点では、全然荒削りで未完成。それが子ども相手に繰り返して、初日終わってから反省して、そして2日目の午後に完成していく感じ。その間に、学生たちは急激に成長する。それは、きっと体験しないと分からない。今年の学生さんたちは、それを体験することができなかった。例年以上に頑張ってたのに、とても残念。
夏休みにできるかなぁ。
●2020年3月27日 9月のフェスティバルのタイムスケジュール
例年11月に開催しているフェスティバルが、今年は工事の都合で9月に開催。今年のこの状況を鑑みるに、11月なら開催できるかもだけど、9月はどうかなぁ。微妙だなぁ。ってことで、出口戦略というか、キャンセルポリシーを考えた。
そもそも例年11月に開催しているのを8月に変えた時点で、出展申込みは少なくなることが予想される。馴れている出展者ほど、11月日程のつもりでのんびりしていたら、申込みを見逃した、ってパターンが増えそう。ここ2年、出展者数が増えてキャパシティーに限界に近付いているので、少し減るのは有り難いけど、スポンサーの企業とか、有料の販売ブースの申込みが減ると、運営面で支障が出る。中止になるのであれば、そこまでの出費をカバーできない可能性も出てくる。主催者側も、この状況の中で収入源のため、赤字をかかえる余裕がない。採算が取れない可能性があれば、さっさと早めにキャンセルするのが、ダメージを減らせる。
しかし、一方で今年もフェスティバルは開催しようと思ってるというアピールはしておきたい。やむなく、あえなく断念の公算が高かろうとも。出展募集はしておきたい。うまく採算ベースで開催できるに越した事はないし。
という訳で、例年より2ヶ月早いフェスティバルのタイムスケジュールは、
出展募集締め切り(一次):5月末
企画系の調整・確定、出展採集締め切り:6月
プレス発表、ポスター・チラシ完成:7月
ブース配置確定、当日配布物印刷:8月
会場設営、本番:9月
てな感じのつもりでいたけど、このどこかに、新型コロナウイルス対応を加味した開催の可否の判断が必要になる。判断のリミットの前にはできるだけ人件費を含めた出費を抑える必要がある。そして開催を決めたら、一気に印刷物などの手配に入るしかない。
そのタイミングで開催を断念したら、出展料などのお金のやり取りもなしに。開催することになったら、出費がかさむので出展料を払ってもらえないと困ったことになる。
という意味では、開催の可否の判断は、その後の変更がないように出来るだけギリギリ設定が望ましい。幸い本番は9月の末なので、
出展募集締め切り(一次):5月末
企画系の調整・確定、出展採集締め切り:6月〜7月
開催の可否の判断:7月末
プレス発表、ポスター・チラシ完成:8月前半
ブース配置確定、当日配布物印刷:8月後半
会場設営、本番:9月
8月が大変そうだけど、このスケジュールしかないと思う。中止の判断は、6月に行う場合もあり得るとは思う。それでも、5月末までは普通に出展者募集を続けるイメージか。
悩ましいのは、7月末ギリギリでないと開催可否の判断ができなかった場合。企画系の調整・確定も8月になったりするかも。そもそも企画系は少なめにならざるを得ない気もするけど。
●2020年3月26日 ゴミ拾い
年度末なので、大型のゴミをまとめて処理することに。勢いでトラックヤードの片付けとかもして、各研究室からも出てきた廃棄物が、博物館の裏に積み上げられている。あるいは、積み上げられていた。その中から必要な物を引っ張り出して、確保する学芸員たち。捨てた本人は使わないんだろうけど、他の人には役に立つということは、よくある。とくに学芸員は一人一人担当が違うので、することも違う。あるいは指向性も違う。ゴミみたいなのでも役立てる道があったりするわけ。
で、ホネホネな作業をする機会があるものとしては、ゴミ的な物はけっこう使いでがある。
・外での作業の際には、椅子とか台が欲しい。どうせ汚れるから汚いのでいい。という訳で、台になるなぁと、捨ててあった汚れた椅子を拾い、作業する時に座るために丸太を拾う。
・洗ったホネとかを仕分けて載せるトレイっぽいものは、いくらあっても多すぎない。ってことで、木製の引き出しを全部拾ってみる。
・水漬けするのに役立つものは、何でも歓迎。汚くて捨てられていたテンバコを拾う。
・水漬けしてるののフタが欲しいので、適度な長さ・大きさの板を拾う。
・腐らせている肉をカバーするために、大きめの板も拾う。
・広げたブルーシートを押さえるように、大きめ・長めの木製の柱っぽいのを拾う。
その他、なんか可愛いから、木製の箱も拾った。小さめ植木鉢も捨ててあったので拾った。
だいたいこんなもんで、許しといたろ。これで、いろいろと作業がしやすくなるに違いない。捨てられていたものなので、木が腐っていっても気にならないのもグー。
みんなの努力?で、随分と廃棄物の山が小さくなった。
●2020年3月25日 臨時休館中でも仕事してるんだよ
どうも世間的には、臨時休館中は博物館スタッフは仕事をしてないと思っているよう。というのも、とある広報誌に原稿を頼まれたのだけど、臨時休館中だからと配慮してくれて、質問票に答えたら、先方が原稿を書いてくれるらしい。臨時休館中はメッチャ忙しいだろうから、という配慮ではないだろうから、臨時休館中は仕事をしてないと思われてるんだろう。そう言えば、臨時休館中は、質問の電話もほとんどかかってこない。
日頃も、休館日には休んでると思われてるのかな? 週1度の休館日には,確かに指定休をぶつけることが多いけど、1ヶ月以上にもわたる臨時休館となれば、仕事してるってば。
臨時休館でなくなってるのは、当然ながら展示。ということは来館者の質問に対応するといった仕事もなくなってる。同時に普及行事もすべて中止になっているので、土日が軒並み空きまくる。行事の準備や後始末的な仕事もすべてなくなる。で、質問の電話もかかってこない。つまり普及教育的な機能が、ほぼすべてストップしていることになる。
でも、学芸員の仕事は、他に研究とか、資料収集とかたくさんある。日頃充分できていない作業をこの機会にしておこう。という訳で、展示室の掃除やメンテナンスをしている学芸員もいるけど、こちらは負の遺産(レガシー!)と化しかけているホネ標本を作る作業途中のの処理に邁進することにした。日頃、心のどこかで気になっていたのが、ドンドン片付いて嬉しい。
新コロナのおかげとは言いたくないけど、そういう側面もある。
●2020年3月24日 砂場での闘い
砂場での闘いは、地上でも、地中でも、一部は空中戦とも言えるかも。それは子どもが遊ぶ普通の砂場でも成り立ちそうだけど、ここでは大人が標本をつくるホネ砂場。砂場に埋めたり、地表に設置して、一夏を過ぎれば、肉はだいたい消えて、洗って乾かせばホネ標本の出来上がり。正しいタイミングで、設置した死体というかホネを回収するのが大切。ってのはさておき。それ以外で、砂場では砂場を維持するための闘いが繰り広げられる。
一つの闘いは、草との闘い。とにかく油断するとすぐに草が生えてくる。これを放置すると、草っぱらになってしまい砂場から逸脱する。ってことで抜かないといけない。面白いことに冬にもイネ科草本が生えてくる。でも、主な敵は暖かい季節に生えてくるワルナスビ。どうしてワルナスビが入ってしまったのか分からないけど、砂場ができた20年以上前からずっと闘いが続いている。ワルナスビの地上部分はトゲだらけなので、根っこを持って引っこ抜く。ところが、ワルナスビは多年草で、地下茎を縦横に伸ばす。この地下茎を放置したら、早いペースでドンドン生えてくるので、掘り返して地下茎を引っこ抜く。一番太い地下茎は、深い部分にあるらしく、届かない。仕方がないので、その上に伸びてきたのを出来るだけ排除。掘りまくって、手で探って、抜きまくる。耕しているような、砂遊びしているような
もう一つの敵は空からやってくる落ち葉。放置したら砂にドンドン有機物が供給され、砂ではなく土になってしまう。なので、これも取り除く必要がある。こちらの供給は、年に一度なので、そのタイミングで頑張ればいいだけなんだけど、油断して忘れて、春から初夏に取り除いていることが多い。
もう一つの意外な敵は、ホネについた肉を食べてくれる昆虫。ホネの標本作りには欠かせないのだけど、その抜け殻が大量に供給される。これも除去しないと砂が土になりそう。おまけの敵は、ゴキブリ。ホネの標本作りに適した湿った状態が好きなので、ブルーシートをめくったりすると、大量に出てきてとても怖い。砂場にもホネにも害はないんだけど、嫌いなものは嫌い。この闘いが一番大変かも。
●2020年3月23日 ホネホネマラソン4日間
今月の初め、某動物園から大量の死体が届けられた。やむを得ない事情なので受け入れたのだけど、受け入れたらこちらの冷凍室がパンパンになった…。これはまずい。ということで、なにわホネホネ団の活動日を、今日までの連続4日間設定して、とにかく動物園物の処理に専念した。
処理したのは、大物ばかり哺乳類10体と、鳥類18体。参加者は、のべ68名、活動時間は合計43時間30分に及ぶ。
ちなみに受け入れた死体は、177体なので、15%ちょっと処理できたに過ぎない。冷凍室を開けてみると、パンパンだったのが、普通の満杯に変わっただけのような。パンパン状態を見た人なら、ずいぶん頑張ったと言ってもらえそうだけど、ビフォーを知らなけりゃ、たいして空いてないやん、と言われそう。
ともかく、ここまでであっても処理できたのは、多くの人が参加してくれたおかげ。同時に、いろんな行事が中止になって、こちらに時間ができたからでもある。ってことは、新コロナウイルスのおかげという部分もなくはない。
●2020年3月22日 2種のフラミンゴの比較
動物園から大量の死体が届いたので、一昨日から明日までの4日連続で、動物園からの贈り物処理。昨日と今日は大型の鳥を処理している。ベニイロフラミンゴ(オオガタフラミンゴのピンクなの)とコガタフラミンゴが並んでる。
・ベニイロフラミンゴの方が大きい。
・ベニイロフラミンゴはレンゲツツジの花の色、コガタフラミンゴはモチツツジの花の色。
という違いはあるけど、あとは同じような曲がった嘴を持った同じフラミンゴ。と思ったら意外なところが違ってた。
・嘴を開けると、フラミンゴの下嘴側は、内側に斜めの板が両側にあって、その隙間から肉厚の舌が見える。ベニイロフラミンゴは、隙間が大きめで、間に舌がよく見えて、舌の両側のトゲトゲが飛び出てる。が、コガタフラミンゴは、隙間が狭くて、舌が少し見えるだけ。
・ベニイロフラミンゴの嘴を開けた上嘴側は、カモ類の板歯のようなギザギザがある。しかし、コガタフラミンゴの方にはギザギザが無く、ただ斜めの板があるだけ。
ベニイロフラミンゴの嘴の中は、フィルターフィーダーらしいのだけど、コガタフラミンゴはフィルターフィーディングできるのかなぁ?
●2020年3月21日 はじめての首ちぎりマシーン、じゃなくって脂取り機
噂の脂取り機を使ってみた。特別展の準備で忙しい最中に、萌蔵がトリ先生のリクエストに応えて作ったもの。しっかりしたモーターに、回転速度を変えるスイッチまで付いている。金属製の輪っかをグルグル回して、それに皮の裏側を当てて、脂肪を取り除くという仕組み。
トリ先生が使っているのを見ると、羽軸の根っこの間の脂肪を上手に取り除けていた。金属の堅さはポイントのようで、鳥の皮には柔らかめ、脂肪が堅い哺乳類には鉄製を使うらしい。調子に乗ったトリ先生が、羽根を巻き込ませて、鳥の首を引きちぎったのを見て少しびびったけど。大量の脂肪がついてるガンを処理することになって、使ってみた。
これは便利! 首を引きちぎらないように、ちょっと怖々だったけど、羽軸の間の脂肪が取れる!馴れれば、ハサミで取り除くよりはるかに確実で、早そう。でも、いきなり適当に使えばいいってもんでもなさそう。上流側を、きちんと押さえてないと、巻き込まれる恐れがありそう。
どの位の回転数にして、どの位の強さで皮を押し当てるかは、鳥の種や部位によって違いそう。トリ先生は、ペンギンをする際に、一番早い回転数で、思いっきり強く押しつけているらしく、肩が凝ったと言っていた。アライグマだと、もっと堅い金属を使った方がいいのかなぁ。とにかく、経験を蓄積する必要がありそう。それまでは慎重に。
●2020年3月20日 博物館業界の怖い話
たとえば、海外の博物館から貴重な美術品だとか標本を借りるとする。高額なお金がかかるのに加え、もれなくキュレーターというのが付いてくる。そして、その標本を梱包する時も、開封する時も、ケースに出し入れする時も、必ずキュレーターの立ち会いが必要になる。それは契約なので、展示ケースの中に何か不都合があっても、かってにケースを開ける事すらできない。かってにやってばれたら莫大な違約金が請求される。知らんけど。
で、とある美術館から、海外から絵画を借りて、誘致展が4月から予定してるんだそうな。その誘致展は、日本を巡回中で、現在は九州方面で展示されているとか。でも、新コロナウイルスのおかげで、キュレーターが日本に来れない。来れないと、展示物を運んで来れない。ということは、誘致展が開けない。ってこともないけど、キュレーターが必要な美術品は運んで来れない。
ここまでは、気の毒に思いつつも、少し笑って聞ける。なるほど〜、そういうこともあるかぁ。その誘致展のオープンはまだ2週間以上先だから、早めにキュレーターに日本に来てもらって、2週間缶詰になってもらえばいいのでは? と思ったら、そもそも出国を止められるらしい。ヨーロッパは大変だ。
が、はたと気付く重大な事実。つまり、当面の間、その九州方面の美術館のケース内で放置するしかない。のだけど、こういう美術品は、借りてる日数に応じてお金がかかる。誘致展が終わっても動かせない間の費用は、発生するの? 請求されるの? 請求されるんじゃないかというのが、大方の見方。これは怖い。
●2020年3月19日 博物館の臨時休館はいつ終わって、いつになったら外来生物展はオープンするのか?
とりあえず、2月20日〜3月20日まで、すべての行事を中止・延期するようにというお達しがあった。さらに2月29日〜3月16日まで臨時休館ってなった。3月16日には、期限を定めず、さらに臨時休館を延長ってなった。
という訳で、次の目安の日付は3月20日。3月19日に国の方から発せられる指針だか、要請だか待ち。それでオープンしてもOKってなれば、外来生物展もいよいよオープンかも。って話だった。
オープンしてもOK、ってなった時のために、本部やら博物館では、どういう配慮をして、どう対応すれば、どの部分はオープンできるかを相談してあった。
とくにストップがかからなければ、この週末の3月21日に外来生物展もオープンできる!って機運が高まる。いよいよ3月19日、外来生物展オープンか?!と盛り上がったのが、今日の昼過ぎ。
でも、3月19日夕方、微妙なストップがかかる。とりあえず、3月20日にエライ人たちが方針を出すから、その様子見ってことらしい。それにともなって3月21日オープンの目は無くなった。まあ前日にオープン決められても、人とか掲示とかの手配が間に合わんわなぁ。オープンは最短で3月24日。
充分に予想できる展開であった。が、予想できない展開は、大阪府と兵庫県の行き来の自粛要請。とりあえず兵庫県から通勤している職員に、しばしのお別れを言えばいいのかな? 臨時休館が終わって、外来生物展がオープンする時には、「兵庫県からの来場はご遠慮ください」ってアナウンスが必要なのかなぁ?
外来生物展がオープンしない幻の特別展になる可能性が、さらに高まってきたかも。
【追記】
3月19日夜の国の専門家たちのお話を受けて、3月20日の夕方に、当面の間、臨時休館の継続が決定。当面の間だけど、とりあえず4月3日までは確実に臨時休館。そして4月5日まではすべての行事が中止。当初の会期の1/3が過ぎても、外来生物展はオープンしないことが決定。
いろいろ考えて、現場は右往左往してるけど、あまり意味がない感じ。
●2020年3月17日 毎日が雨天中止
行事が雨天中止になると、
・せっかく企画した行事ができないのは残念。準備もしたのに
・でも一方で、突然時間ができて嬉しい。日頃時間がなくてできないことが、この機会にできるかも! でも、実際には大した事ができてない…。
新型コロナウイルスのおかげで、2月20日から1ヶ月間全行事が中止。さらに2月29日から3月16日まで、博物館は臨時休館。臨時休館はとりあえず3月17日以降も継続(で、3月19日の国の発表待ち)。という訳で、この数ヶ月準備してきた特別展はオープンせず。関連した行事も中止。ついでに、日本生態学会大会までなくなった。
という訳で、2月22日以降、週末の行事がすべて無くなった。とりあえず4週続けて週末に担当する行事が一切無い。これは就職して初めて。想定外の時間がいっぱい出来た訳で、今まで出来てなかった事がいっぱい出来る!
かと思いきや、時間が突然できたとて、この空き時間は意外と使えてない。今まで用意してきたことが無くなっても、すぐに切り替えにくい。雨天中止に似てる。
3月17日以降は、期限を決めずに臨時休館。決められない気持ちも分かるけど、おかげで企画していた行事ができるのかできないのかが予定できない。両にらみで準備するには無駄が多いし、やる気もそがれる。中止なら中止と早めに決めてほしい。直前に決定されても、空き時間がまるで使えない〜。ちなみに、今度の週末がどうなるのかは、3月20日に決まるらしい。
●2020年3月16日 スタッフ向け外来生物展ツアー
夕方から、1時間の予定で、スタッフ向けの外来生物展ツアー。終わってみれば2時間半かかってた。ずいぶん端折ったのになぁ。
とりあえず、出だしは私が総論を。そして、萌蔵に説教系を押しつける。あとは、お前もかーいの出だし、ヌートリア、アイガモ、クサガメを軽く説明。ずーっと休憩。島の外来生物の話を短く済ませて。日本に放された中国のトキの解説。ほらもの凄く端折ってる。なんなら一人で2時間話せるところなのに。
解説の対象は、総務課スタッフ、カウンタースタッフ、ワークショップスタッフが中心。それぞれ広報や市民対応の窓口であり、カウンターでいろいろ質問される側であり、ワークショップを企画しなくちゃいけなかったり。という訳で、とても真面目に聞いてる様子。そして、質問もけっこう出てくる。だから時間がかかるんだけど。
出だしの「お前もかーい」のところで、身近なザリガニもダンゴムシも菜の花も大阪府では外来生物。と説明したら、とても反応がよかった。最後のクニマスやトキの説明も反応がいい感じ。逆に、分布図は反応が悪いというか、丁寧に説明しないと面白さは伝わらない気がした。まあ分布図は予備知識あってこそ楽しめるもんだから仕方が無いか。でも、それって展示的にはダメかも…。
●2020年3月15日 チュウダイサギとオオダイサギの違い
日本に生息するダイサギには、2亜種あって、かつてはチュウダイサギとオオダイサギと呼ばれていた。今は、チュウダイサギとダイサギと呼ぶことに変わってる。種名と亜種名が同じなのは、どっちの話をしてるのか分かりにくいの嫌い。という訳で、ここでは勝手に、チュウダイサギとオオダイサギとして話を進める。
チュウダイサギとオオダイサギの区別にはとくに興味はないのだけど、メールがやってきて、このダイサギは、チュウダイサギか?それともオオダイサギか?と問われたので、仕方が無く調べてみた。
まずは、山階図鑑を眺めてみる。チュウダイサギとオオダイサギは、大きさでしか区別できないと断言してある。イマドキの図鑑とは意見が違って大変面白い。標本しか見てないからかな? イマドキの図鑑は、チュウダイサギは脚が黒っぽく、オオダイサギは黄色or白色っぽいとある。どうやら脚全体が真っ黒ならチュウダイサギで、脚全体が真っ黄色ならオオダイサギって点では意見が一致している。でも、脛が黄色く、ふしょが黒い場合では意見が分かれているような。どちらの亜種でもそんなパターンがあるから注意が必要。と書いてある図鑑があるけど、どう注意すればいいのやら。大きさを配慮ってかな? ともかく、送られてきた画像のダイサギは、ふしょにも淡色部がけっこうあったので、オオダイサギで良さそう。
ちなみに、昔の人が書いた現代の図鑑には、チュウダイサギは夏鳥で、オオダイサギは冬鳥と書いてある。しかし、日本鳥類目録改訂第7版では、チュウダイサギは夏鳥・留鳥の並記。たしかにチュウダイサギは年中見られる気がする。とすると、チュウダイサギを夏鳥とするのは、昔はそうだったからだろうか?
●2020年3月14日 発掘物の調査
発掘作業の後には、発掘物の調査や保存作業をしなくてはならないのは自明である。先日、旧トラックヤードというところの発掘調査を行ったわけだが、そこからは多数のウミガメに加え、イルカ1体とイノシシ2体のホネが発掘された。今日は、トリ先生にウミガメ以外の保存作業をお願いするとともに、発掘物の調査を行った。なかなか手強く、午後一杯かかった。それでも調査は2/3しか進展しなかった。
とりあえず、データが付いていないということは、どういうことかを考えてみよう。
寄贈なり採集したものが、すでにホネになっていた場合、放置されるのは旧トラックヤードではない(むしろ新トラックヤード)。寄贈なり採集したものが、皮も使える状態であれば、旧トラックヤードに放置するのではなく、冷凍されるはず。ということは、腐っていて皮は使えないけど、まだホネにはなっていない。という状態で到着したはず。
そういうものであっても、寄贈であれば、とりあえず冷凍してしまうのが普通。ということは、自分で(あるいは館員やホネホネ団スタッフが)採集してきたものの可能性が高い。
謎のホネの内、2点(イルカとイノシシ)は持って帰ってくるには大きすぎる。ということは車で持ち帰ってきたはず。ってことは、わざわざ車で回収に行ったか、車で出かけた調査の際に拾ったもののはず。イルカは前者の可能性が高く、イノシシは後者の可能性が高い。
簡単そうなのは、イルカ。下顎骨で歯の本数を数えてみると30本。スナメリにしては多く、ハンドウイルカやマイルカ系にしては少ない。これは間違いなくカマイルカ。そして、カマイルカを回収に行ったのは、1度だけ。ってことであっさり解決。
面倒だったのはイノシシ。調査は基本的に公共交通機関で行く。大阪から車で調査に行ったといえば、2010〜2013年の大阪湾岸、2013〜2015年の播磨灘岸、そして2015〜2016年の瀬戸内海岸しかない。そして、たしかに播磨灘岸の調査の時に、なんどかイノシシの死体を拾った記憶がある。ということで、フィールドノートをめくる。大きなイノシシは、あっさり見つけた。大きすぎて持ち帰るのを断念して、現地でホネになるのを毎月観察してた。そして、ついに回収。でも、小さい方のイノシシがよく分からない。淡路島じゃないのかな?
【追記】
翌日、残る1匹の正体を調べようと、昨日の続きのフィールドノートをめくったら、すぐに正体が分かった。やはり淡路島だった。そういえばそうだった。言われてみれば思い出せる。
とまあ、無駄に時間がかかった。今度からちゃんとデータを付けて放置しよう。
●2020年3月13日 委員会ウィーク
年度末なので、今週は委員会ウィーク。S市のレッドリスト改訂の委員会にはじまり、大阪府内のとある河川の環境保全の委員会、そして、京阪奈辺りのオオタカの委員会。このご時世なので、委員会は中止になるのかな?と思ったら、この3つの委員会は開催された。一方、Y川関連の委員会は、いくつかあったのがすべて中止。委員の多くが70歳以上だからじゃないかと、邪推してる。
委員会が開催されるといっても、コロナに関連してのマスク対応はいろいろ。S市は、コロナはどこふく風な感じで、フワッと開催。大阪府のんでは、全員マスク着用ってことになってる、と言われた。京阪奈は、そもそも委員が3人だけで、相互に2m以上離れて着席なので、マスクについては何も言わない感じだったけど、席にはマスクが置いてあった。ちなみにスタッフ側は全員マスク着用。
どこの委員会も、次は、7月頃かなぁ。その頃にも、まだ収まってないだろうなぁ。だとしたらY川関連の委員会は当分開かれないのかなぁ?
●2020年3月12日 自転車の修理
先月末くらいから、我が自転車の後輪の具合が悪い。カリカリ、パンパンとやかましい。と思ったら、勝手にブレーキがかかったり、シュルシュルこすれた音がしてペダルが重くなる。後輪を押してみると、ぐらぐらしてる。後輪が緩んでるんだろうか? などと呑気に考えていたが、あまりにやかましく、ペダルが重いし、後輪が外れたら怖いので、重い腰を上げて、ようやく自転車屋さんに持って行った。そうそう、先月からスタンドも壊れてて、というかバネが取れて、止めるのが面倒だったのでついでに修理してもらおう。
後輪がうるさいのは、ベアリングが割れまくっていたからだった。ぐらぐらしてるのも、ベアリングに上下で粗密ができてたから。そのあおりを喰ってか、後輪のブレーキも壊れてた。後輪とブレーキ、そしてスタンドの交換。
自転車屋さんは、修理するより中古自転車を買った方が安いと進めてくれたが、断固として修理を選択。その自転車に思い入れがあるのかと、何度も聞かれたけど、考えてみると、さほど思い入れはない。でも、まだ使えるのに買い換えるのが嫌なので。
20分ほどかかって修理してくれた。後輪が6000円、後輪ブレーキが4000円、スタンドが2000円。しめて、12000円+税。ふと見ると、中古ではなく新品でも10800円からで売っていた。我がボロ自転車は、新品でも12000円はしないっぽい。先に値段を見てたら、少し心が動いたかも…。
●2020年3月11日 環境アセスメントで環境DNA
とある河川の管理に関わる委員会に出席。オオサンショウウオや希少な淡水魚を環境DNAで調べていた。そんな時代になったんだなぁ。
環境DNAが生息地のどのくらい下流まで出るか、どのくらい古いのまで引っかかるのか。まだまだ得られたデータの評価が難しいものではある。でもまあ、確認地点より上流側に生息していると言って問題はないだろう。そういう意味では、河川で言えば、分布の上端を決めるのに役立つ。
オオサンショウウオの場合、西側の支流にいないことが明らかになってる。ので、本流の上流側にどこまでいるのかをきちんと調べた方が良さそう。
●2020年3月10日 S市のブラックリスト
レッドリストとブラックリストを改定する会議。担当はなんとなく、鳥類、哺乳類、両生類、爬虫類。ちょっと苦手目な両生爬虫類に、今回は優秀な若手が加わってくれて、そちらのツテでいろいろ情報を収集してくれるのでありがたい。
ぜったいいるはずなのに、前回は情報を確認できなかったヤマカガシをやっとリストに入れることができたし。ニホントカゲかヒガシニホントカゲかの識別は難しいのだけど、その判断も押しつけられる。リストにカジカガエルとかツチガエルが入ってて、本当かどうか疑ったけど、写真を見たら本当で驚いた。哺乳類では、アナグマが最近初めて確認されたらしい。といった具合にレッドリスト側は、まあ新しい記録も出たけど、希少種に大きな変動はない。
一方、外来生物はなかなか面白い。哺乳類では、ハクビシンが新たに記録され、ヌートリアは進出はなはだしい。そして、一番盛り上がった(?)のは、両生類。なんとアフリカツメガエルが記録されている! 今日は、詳しい場所を教えてもらえたので、是非見に行こう。と思ったら、みんな確認に行きたいようで、両生類担当者だけでなく、淡水魚担当者も場所を訊いていた。みんなで一緒に調査に行く?
●2020年3月9日 トラックヤードの片付け
トラックヤードのシャッターが古くなって、はっきり言って壊れていた。ある程度以上開けると、閉まらなくなるので、1mほど以上開けてはいけないというお達しが出る始末。それがようやく修理できるのは有り難いのだけど、足場を組むのに周囲を空けろと言われてしまった。この忙しいのに、急に言われて出来るか!と偉そうに言ったけど、突然、臨時休館になって、学会大会も普及行事もなくなり、めっちゃ時間ができた。おかげで、じっくり片付けができる。
当日集まったのは、8人ほど。そのうち、6人はゴミを捨てたり、貯め込んである木材を整理したり、発見された訳の分からないものの処理を考えたり。しかし、動物研究室の2人だけは別行動。なんとなれば動物標本(もっぱらホネとウミガメ)をいっぱい未整理でためこんでる奴が1人、そしてホルマリン漬けの標本のタンクの担当が1人。この機会(つまりトラックヤードの片付けと、臨時休館の機会)に標本を片付けて、ホルマリンのタンクの周囲を掃除して、使いやすく整える。ホルマリンタンクの下から、ネコの全身骨格が発見された。さらに大量の砂と枯れ葉。何年ぶりかで、とても片付いた。すべてのタンクにアクセスできるようになったし!
作業は、8人がかりで、2時間半ほど。一日仕事かと思ったけど、午前中で片付いて良かった。
担当部分で言えば、整理を進めないといけない鳥の巣2つ、ウミガメが数匹、なんかホネが色々発掘された。全容をほぼ把握できたので、臨時休館中になんとか片付けようと心に誓った。
●2020年3月8日 哀しい子ども祭りの準備
本来なら、準備は終盤で必死に頑張って、ポスターとかも作って。って頃合いなのだけど、子ども祭りはが実施できるかどうか分からない状況で。それでも準備を進めなくてはならないのは、辛い。
ただ、学生さんたちは、どうせ開催できないでしょう〜。とは言わずに、予定している本番に向けて、間に合うように準備を終えるべく頑張っている。自分だったらできないと思う。優秀なみなさんが集まっているのか、イマドキの学生さんは真面目なのか、けっこうこういう展開を経験することがあるのか。
個人的には、努力がフイになる展開がとても苦手で。他人のことで哀しくなる。自分だったら、すっかりやる気を失いそう。そういえば、外来生物展の準備も、ほぼ終わってからオープンできないことが決まったから良かった(?)けど。臨時休館がもっと早くに決まっていたら、徹夜を繰り返す気にもならなかったろうし、展示どころか解説書も完成しなかったに違いない。そういう意味では、直前に臨時休館が決まって良かった。
●2020年3月5日 外来石問題?
とある河川の管理の話を聞いていて、ダムができて下流部への土砂の供給が減って、砂礫値が失われるのが問題って話題が出てきた。そうそう。問題やね。だから、ダムの上流側から、土砂を運んできて、ダムの下流側に設置して、砂礫地の維持を図ってみるという。実現するならせめてもやね。で、まずは実証実験しないといけないから、試しに土砂を設置する。その効果を測るためにトレーサーを混ぜて。という。トレーサーってなに?と思ったら、石灰岩を使うという。この流域には石灰岩はないので、石灰岩がどう流れるかを見れば、効果のほどをシミュレートできる。ってことらしい。その石灰岩はどこから持ってくるの?と訊ねたら、近畿圏で最寄りの石灰岩採掘場は、滋賀県にあると教えてもらった。
これが、生物の話なら、他所から、そこに生息しないものを持ち込む訳で、分かりやすい外来生物。外来生物問題を引き起こすので、止めなくてはならない。でも、他所から石を持ち込むのは、どのくらい問題なんだろう?
たとえば、砂浜を維持するために、他所から砂を運んできて養浜というのが行われる。砂をコレクションしている堆積学屋さんは養浜が大嫌い。大阪府南部の海岸には、海外から訳の分からない白くて大きな石を敷き詰められて、マーブルビーチと称してる場所がある。わざわざ大金を使って、人間も利用しにくく(そもそも歩きにくい)、生き物にも使えない(海岸生物がほとんどいない)環境を創り出すという、バカな事業の成果(責任者に賠償させるべき、とかねがね思ってる)。
件の河川で行われるのは、実証実験のためで、その量もたいしたもんではない。けど、本来その河川にない石を持ち込むことになる。河川にはいろんな物が捨てられるから、いまさら感もあるけど。外来生物問題を思い出して、なんか少しキモチ悪い。
●2020年3月4日 とある日本固有の文化の起源について
日本人には、なにかしら危機が生じると、トイレットペーパーを貯め込むという習性がある。この習性は、1970年代のオイルショックの時に発見された。遺伝的な行動ではなさそうなので、学習によって日本民族に伝播・拡散した行動。すなわち日本文化の一つと考えられる。
ウィキペディアによれば、日本では大正時代からトイレットペーパーが販売されていたらしいが、1950年代にトイレが洋式の水洗式に変わるとともに普及したとされる。だとすれば、トイレットペーパーが広く流通するようになって間もない頃から、この文化は成立していたことになる。もしかしたら、トイレットペーパー以前には、危機の時には、別のものが貯め込まれていたのかもしれないが、詳細は不明である。また、どうして紙不足とは関わりのない危機の際にもトイレットペーパーが貯め込まれるのかも不明である。ただ、トイレットペーパーは、貯め込んでおいても腐らないし、いつかは使うことになるので、無駄にもならない。という要素は重要であろう。
とにかく、現代の日本文化においては、危機が迫れば、危機の内容に関わらず、トイレットペーパーを買い占めるために奔走することになっている。いわば、日本人全体の集団芸であり祭りでもある。うかつにもこれに乗り遅れた者は、SNSなどで、批判的につぶやいたりすることになる。
2020年3月にも、このトイレットペーパーを中心とした祭りが行われ、各地の小売店の店頭からトイレットペーパーが姿を消した。この時は、なぜだか分からないが、紙おむつや女性用生理用品にも祭りが波及した。これも危機の内容とは関係がないという意味で祭りの一部である。一方、このときは、小売店の店頭からマスクやお手製マスクに欠かせないゴム紐も姿を消したとされる。ただ、マスクは、この時の危機に於いて(実際はさほど役立たないが)役立つとされていたものなので、厳密には祭りの一部ではない。
長らく、このトイレットペーパーを買い占める祭りは、日本固有のものと考えられていたが、2020年3月には、オーストラリア、シンガポール、香港、アメリカ合衆国でも生じ、関係者を唖然とさせた。この文化(=トイレットペーパー買い占め祭り(仮称))が日本固有であるという主張にこだわる者は、海外在住の日本人が、遠隔地から祭りに参加したのだとか。日本の祭りを知って、日本に輸出するために買い占めたのであって、祭りそのものではない。といった主張もなされた。
しかし、もっともありそうなのは、この祭りが少なくとも今や日本固有の文化ではないということだろう。ただ、日本発祥の文化かどうかについては、今後のさらなる研究が必要である。
●2020年3月3日 動物園の冷凍庫の改修
よその施設の設備の改修。一見、自然史博物館にはなんの影響もないようでいて、大きな影響がある話。それも2月末日に突如降って湧いた。降って湧いたのは動物園の方も同じだったらしいが。
なんでも、新しい冷凍室を作って、そこに古い冷凍室の機会を動かして、稼働させてから、元の冷凍室の中身を移動。という段取りで考えていたのだけど、直前になって、業者から、古い冷凍室の中身を空にしないと作業ができないと言われたらしい。それも作業は一日では終わらないらしい。で、慌てて引き取りの打診がきたわけ。
聞けば、冷凍室に入ってる死体は、いずれこちらに寄贈する予定のものばかりとのこと。と言われると、引き取りを断る選択肢がない〜。工事は3月6日からとかで時間が全然無い。やむを得ず、今日引き取ることに。コロナで学会の大会や行事が飛んでいてよかった。
今日の午後一番で、その動物園の冷凍室にあった死体の大部分が届いた。中身は、哺乳類52点、鳥類123点、魚類2点。
哺乳類で多かったのは、エジプトルーセットオオコウモリで、16点もあった。次はヒメハリテンレックで5点。
鳥類は、カモ科31点、キジ科22点、サギ科18点、ペンギン科9点、フラミンゴ科6点、トキ科5点といったのがメジャーどころ。保護個体もけっこう混じっていて、分かる範囲で18点ってところ。園内で繁殖しているサギ類がけっこう多い。
といった概要を把握するために、グループごとに分けて並べて、リスト作って、受入番号ふって、箱詰めして、冷凍室に押し込む。というところまでで約4時間。しゃがんでの作業が多いから越しに悪い。
冷凍室の方は、入っていた冷凍燻蒸中のキノコを放り出したら、なんとか冷凍室に押し込む事ができた。が、満杯になってしまったので、早めに処理を進めないといけない。これからが大変。
●2020年3月2日 3月前半の予定 ビフォーアフター
3月前半の予定は笑えるくらい変わった。2月末日から3月15日までの予定をコロナ前後で比べてみよう。まずは、本来の予定。つまりビフォーコロナ。
2月29日 特別展のプレビューの日。当然、展示はこの日までに完成している。夕方から、地域自然史と保全研究大会の会場設営、講演要旨集作製。
3月1日 特別展オープン。さらに館内で地域自然史と保全研究大会を開催。ポスター発表をする予定。夕方からは、子ども祭りの中間発表
3月2日 大和郡山市でハッカチョウ調査。帰ってきたら、生態学会大会のポスター発表の準備
3月3日 学校との連携の会議。その後、生態学会大会のポスター発表の準備。
3月4日〜3月8日 生態学会大会のため名古屋市へ。8日はポスター発表。
3月9日 大山崎町〜長岡京市でハッカチョウ調査。帰ってきたらトラックヤードの片付けに参加。
3月10日 S市のレッドリスト改訂の会議。
3月11日 とあるダムの環境関連の会議。
3月12日 とある科研費の研究集会。
3月13日 京阪奈丘陵のオオタカな会議。
3月14日 午前は鳥類フィールドセミナー、午後は特別展の普及講演会。
3月15日 鳥のサークルの総会。
こうして見ると、メチャクチャ忙しい。とくに3月3日までは、ちゃんと回るのか疑問に思うレベル。しかし、アフターコロナはこうなった。
2月29日 今日から3月15日まで博物館は臨時休館。特別展のオープンもなくなり、プレビューもなくなった。学芸員はやる気が失せて、特別展の展示は完成せず。
3月1日 地域自然史と保全研究大会は中止。子ども祭りの中間発表は開いた。昼間から準備に参加できた。
3月2日 大和郡山市でハッカチョウ調査。帰ってきたら、家で爆睡。
3月3日 学校との連携の会議。その後、突然、某動物園から大量の死体が到着。
3月4日 生態学会大会は中止。館内でたまっていた仕事を片付ける。
3月5日 コロナ対応の会議。とあるダムの環境関連の会議の事前説明。
3月6日 大山崎町〜長岡京市でハッカチョウ調査。
3月7日 未定。
3月8日 未定。
3月9日 朝からトラックヤードの片付け。
3月10日 S市のレッドリスト改訂の会議。
3月11日 とあるダムの環境関連の会議。
3月12日 とある科研費の研究集会は中止。コロナ対応の会議。
3月13日 京阪奈丘陵のオオタカな会議。
3月14日 午前も午後も予定はなくなった。
3月15日 鳥のサークルの総会。現時点では予定通り実施の方向
16日中、9日間の予定がコロナでなくなった。おかげで、日程が随分楽になった。休みもとれそう。助かったというべきかもしれない。
●2020年3月1日 子ども祭りの中間発表会
子ども祭りとは、大学生のスタッフが、企画・準備・実施まですべてをこなす子ども向けワークショップ企画。ワークショップのスタッフや学芸員はそれを見守り、サポートし、下働きをするけど、主体はあくまでも大学生。それをやり遂げると、大学生が目に見えて成長する。これで10年以上続いているけど、とても印象的な企画なのだ。
で、今日はその中間発表会。12月から準備を進めてきた3つの班が、それぞれにスタッフや他の班の学生相手に、一通りのプログラムを紹介する。充分な準備ができていたら、ゲネプロ的になるけど、たいてい造作とか子どもが作業する題材は出来てなくって、ザッとした原稿とシナリオをもとに、プログラムの流れを説明する感じが多い。プログラムの紹介に30分ほど、終わってから質疑とダメ出しに30分ほど。1つの班に約1時間で、合計3時間の長丁場。ここでもらった意見を元に、学生さんたちは軌道修正したり、調整したり、これからが忙しい。ここからが本番とも言える。スタッフ側からすれば、ここまであえてコメントは控えめにしていたのだけど、ここからは完成に向けて、ダメ出しを多めにする感じ。
それぞれの班のプログラムと課題をおさらいしておこう。
ホネ班:4種の哺乳類(イヌ、コウモリ、イルカ、ナマケモノ)の全身骨格を見てもらって、解説。というのを4班に分けて実施。注目するのは、運動様式と前肢の形態。終わってから、ホネのパズル(4種の胴体に脚をつける感じ)をして、答え合わせと共に復習して、パズルを持って解散。
当初はパズル的なの中心の企画だったけど、途中からホネをじっくり観察する方にシフトしたイメージ。導入で、これから何をするのかの説明がフワッとしていて、何するのか分からないままホネの前に連れて行かれる感じ。個々のホネで喋る内容は、一生懸命原稿読んでたけど、仕込んだネタ以外は語れないので、質問対応が無理なのでやり取りで時間を持たせられず、すぐにネタが尽きる。そして、子どもに参加感が少ない。子ども達の手と比較したり、なにか標本見ながら体験する要素が欲しい。手袋でそれぞれの動物の手を作ったら面白いかも。戻ってきてからのパズルは意外にも割と楽しい。偉そうな進行が好みだったという意見も…。ただ、パズルしながらの復習はもっと意識した方がよさそう。
とダメ出ししつつも、担当の班なので、ここまでの経過を知ってる立場から言えば。よくここまで持ってきたと思う。あと少し工夫すれば、かなり楽しいプログラムになりそう。
虫と花班:3つの班に分けられて、それぞれチョウ、ハチ、ハエが振られ、その口器を模したものをかぶせられる。それで、筒の長さの違う3種の花に入っている蜜(という想定の金属or毛糸)を口(の想定の磁石orマジックテープ)で捕る体験。3種の昆虫のそれぞれが、どの花から蜜を採りやすいかを体験。
ハエを振られたけど、そもそもハエになりたくない子がけっこういそう。その上、チョウは3ヶ所、ハチは2ヶ所で蜜を取れるけど、ハエは1ヶ所でしか蜜がとれない。遊びの上でもハンデが。そして、まとめでまでディスられていた。ハエにさせられた1/3の参加者が不満を持って終わるワークショップって…。途中で、虫をチェンジするとか、全員が満足できる形にしてほしい。あと、せっかく子ども達を使って、いわば実験した形。それを最後に目に見える形にしないと勿体ない。
虫になって花から蜜を採る体験は、とにかく楽しい。それだけに採れない時の不満が大きくなる。少し工夫すれば、みんなとても楽しくなるはず。
アンモナイト班:アンモナイトには、真っ直ぐなのから、グルグル巻いたの、そして異常巻と色んな巻があるよ。って説明のあと、発泡スチロールの棒の中に針金を入れたものを渡され、自由にアンモナイトを巻いて作ってみよう!と言われる。その後、塗りたかったら、好きに色を塗って良いよ。って言われて終了。
なぜ色を塗らせるのか不明。むしろ余計なことだと思う。好きにアンモナイトを巻かせて、存在しない形をつくってきた子にどう対応するのかも問題。明らかに正解があるのに、自由に作るだけでは、自然史博物館でする意味がない。アンモナイトの巻の進化を一緒にやってみるとかで充分楽しく、参加できるのに、ぜんぜんプログラムの流れを考えていないとしか思えない。個人的には異常巻のニッポニテスを巻けるようになれば嬉しい。子どもも自分で巻けるようになって、家でやって見せれれば良い感じだと思うけど。
とにかく、巻く事自体は楽しい。ちゃんと流れを考えれば良いプログラムになるはず。
この段階でケチョンケチョンに言われて、大きく方針を展開することになる場合もある。今年は、どの班も、さらなる工夫と修正で良いプログラムになりそうな感じ。導入の原稿も作っていたし、全体的に質は高い。なにより、本番を実施できるか不明確(ってゆうより、たぶん無理)っていう中、これだけ真面目に取り組んでいる学生さんたちはエライと思う。
●2020年2月29日 2020年2月のまとめ 外来生物展にまさかの展開
今日は2月末日。すでに昨日、外来生物展の展示は完成していて、午後5時半から出かけて完成を祝っての打ち上げ。そして、今日は昼前に出勤して、午後からプレビュー。で、いよいよ明日3月1日から外来生物展オープン! にそなえて、夕方には展示の軽い手直し。
という予定だった。予定が狂うとしても、昨日の打ち上げがなくなる程度のはずだった。しかし、まさかの内覧会は中止。それどころか、今日から3月15日まで、大阪市立自然史博物館は臨時休館。もちろん、特別展もオープンしない。
これが決まったのは、2月27日。2月26日から国立の博物館での動きがあって、波及する可能性が高いと思ってたら、案の定。それ以前に、2月19日には3月20日までの博物館主催行事をすべて中止が決まっていた。が、臨時休館にまでなるとは想像してなかった。
わずか数日で、大きく事態が動いて、2月末日時点では、やる気は最低レベル。でも、いつオープンできるか分からないから、特別展の完成に向けて惰性で作業。植物担当とか完全にやる気を失ってる感じだけど…。
正月もなんもなく、3月1日を目指して頑張ってきて。外来生物展がオープンする3月1日こそが今年の元旦だ!と思ってきたけど、元旦が遠くに行ってしまった。今年は元旦が来ないかもしれない。このままオープンすることなく、展示を片付けることになるのかなぁ。
そんな2020年2月を振り返ってみよう。いやもう、一番重要な部分は振り返ったけど…。
ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。ハッカチョウセンサス2コースも実施した。地元植物園の鳥のセンサス調査と果実のチェックは、2月15日におおむね果実がなくなって一応終了。
そろそろカラスの巣のチェックを始めなくては。
ホネホネ団の通常の活動日が2日。友の会のバックヤードツアーで、2日間、鳥の皮を剥いて見せた。
普及行事は、友の会バックヤードツアーがあった程度。あとは、ジュニア自然史クラブの活動と、鳥類フィールドセミナーが1回ずつ。植物園案内・動物編は、コロナのせいで中止になった。
展示関係は、子年展を撤収。あとは、ひたすら外来生物展の準備。無駄になった感が強いけど。展示解説書だけは仕上がってきた。
講演はなし。博物館実習もなし。
委員会関係もなし。
団体Kの雑誌への投稿論文の査読が2本たまってる。投稿論文はもちろん書けてない…。
とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系7冊と、SF0冊。ストレスが高いとSFが読めない…。
完全休養日は0日。
●2020年2月28日 外来生物展の解説書
外来生物展は、明日プレビューで、明後日からオープン。の予定だったが、とりあえず2月29日から3月15日まで、博物館が臨時休館になったので、足並みをそろえて、特別展のオープンも延期。延期ならいいけど、果たしてオープンの日は来るんだろうか? もし臨時休館が3月15日で終わって、3月17日からオープンするなら、特別展もその辺りからオープンだろうけど、はたして臨時休館がすんなり終わるもんだろうか? 臨時休館をするのはいいけど、臨時休館を止める基準が不明確なまま。普通に考えたら、状況が好転しないと開館することにはならなそう。だとしたら、オープンは4月になるか5月になるか。6月になったら、もう特別展はオープンすることなく撤収ってことになるのかも。
なんてことには関係なく、今日、解説書が納品された。本文150ページの大作。どのくらい大作かは、過去の解説書のページ数を見れば分かる。「ホネホネたんけん隊」展を除けば追随を許さない勢い〜。
2020年:第50回特別展「知るからはじめる外来生物」 解説書本文150ページ
2018年:第49回特別展「きのこ!キノコ!木の子!」 解説書本文100ページ
2017年:第48回特別展「瀬戸内海の自然を楽しむ」 解説書本文104ページ
2016年:第47回特別展「氷河時代」 解説書本文58ページ
2015年:第46回特別展「たまごとたね」 解説書本文92ページ
2014年:第45回特別展「ネコと見つける都市の自然」 解説書本文113ページ
2013年:第44回特別展「いきものいっぱい大阪湾」 解説書本文112ページ
2012年:第43回特別展「のぞいてみようハチの世界」 →判型の小さな冊子のみ
2011年:第42回特別展「来て!見て!感激!大化石展」 解説書本文48ページ
2010年:第41回特別展「みんなでつくる淀川大図鑑」 解説書本文112ページ
2009年:第40回特別展「きのこのヒミツ」 解説書本文65ページ
2009年:第39回特別展「ホネホネたんけん隊」 解説書本文144ページ
これ以前で、100ページを超える大作はない。たぶん。
●2020年2月27日 クイズ 特別展はいつオープンするでしょう?
特別展のプレビューまで2日。午前中で、自分の担当コーナーの半分くらいが完成。残りも解説パネルを取り付ける程度だから楽勝。明日オープンでも間に合うなぁ。と思ってたら、博物館のエライ人達が臨時で集まる会議をしてるとの情報を耳にする。午前10時に緊急招集がかかったらしい。昨日、半ば冗談で、明日の午前に臨時会議があるかも。とか言ってたけど、正夢状態。臨時会議の議題は一つしか考えられない。急いで準備しなくてもいいんじゃないか説が急速に浮上。
昼休みに、館長が会議から帰ってきた。いま、さらにエライ人たちが話をしているらしい。が、流れは予想通り。公表されるのは夕方になるだろうとのこと。
午後4時頃には、担当分野の展示は完成。受付のカウンターでもセットしたし、ご挨拶と謝辞のパネルでも付けようか。と思ったら、大切な話があるってことで、集合がかかった。土曜日2月29日から3月15日まで新型コロナウイルス対策で、臨時休館が決まったとのこと。まあ、昨日から予感があったから驚きはせんけど、それでもショックはある。
当然、プレビューもなくなった。特別展のオープンも未定に。臨時休館が、明けた3月17日から特別展オープン。という可能性がないわけではないけど、状況が好転してなければ、臨時休館が延長になるだけ。
ウイルスが不活発になる高温多湿な季節までは、どうにもならない可能性はけっこう高い。特別展の会期は、5月31日までやけど、それまでに落ち着くかどうか…。会期延長の可能性もあるけど、6月には会場を使う予定もあるしなぁ。という訳で、本当に幻の特別展になる可能性が少なくなくなってきた。
とはいえ、万が一、3月17日に特別展をオープンさせなくてはならなくなったら困るので、ここで展示は完成させておかなくては! という訳で、やる気は思いっきり低いけど、惰性で展示をつくる学芸員達。むなしいわぁ。
●2020年2月26日 幻の特別展の準備
「知るからはじめる外来生物」展は、プレビューまで3日。いよいよ準備も佳境に入ってきた。標本、パネル、画像、標本ラベルなど展示物がそろったので、いよいよ展示のセッティングを始める。例によってギュウギュウ詰めで、割り当てられたスペースにいかに納めるかで頭を悩ませる。でもまあ、そこは経験があるから、どうにかなるのは知ってるし。完成に向かっていく一番楽しい作業かもしれない。
が、その矢先に、新型コロナ肺炎対策で、国立博物館が明日から2週間の臨時休館というニュース。なんでもお大臣さまが、命令ではなく、要請したかららしい。自分で責任を取らずに、ひとを思い通りに動かそうと言うセコイ奴。と思ったら、キッズプラザ大阪が、明日から3月19日まで臨時休館というニュースも。ハンズオンが多いし、来場者も多い施設だから仕方ないかもなぁ。などと思ってたら、関東のあまり来場者の多くない某植物園も2週間ほど占めることになりそう、ってスタッフの人がつぶやいてる。げげ。それって、こっちにも波及してくる可能性が高いんじゃ?
いま、準備している特別展は、オープンできるんだろうか? 急速にオープンが遠のいていく感じ。とりあえず2週間博物館は閉館、と同調する可能性は高い。となると、特別展オープンは2週間後に。通常なら準備期間が増えて喜ぶところだけど、事ここに至ると、すでに完成の目処が立ってるのに…。
さらに問題は、このコロナ騒ぎは、2週間でおさまるはずがないこと。なにか状況が改善しないと、臨時閉館の延長しか有り得ない。とりあえず2週間後は、いま密かに広まってるのが、ようやく顕在化していることでは? だとしたら、さらに2週間。コロナウイルスが目立たなくなるのは、気温が上がって、湿度も上がってからとすると、ゴールデンウィーク明けか、悪くすれば梅雨に入る頃?
この特別展の会期は、3月1日から5月31日の予定なんだけど、オープンが2週間遅れるだけならともかく、オープンできなくなる公算もけっこうありそうな予感。
準備する意欲がどんどん薄れる〜。でも、ここまできたら展示は完成してしまう〜。とても虚しい…。
●2020年2月24日 タヌキの仏
全身疥癬で、餓死したタヌキを処理した。鳥は、けっこう餓死した死体が届く。餓死だと、皮下に脂肪をためていないので、処理がしやすい。餓死した死体が当たると嬉しいくらい。でも、それは鳥だからだったらしい。鳥は、羽毛で覆われているし、餓死しても形はあまり変わらない。でも、哺乳類は餓死すると、見るからに痩せ細っていて、痛々しい。
疥癬にかかったタヌキは、ひどくなると朦朧としているようで、ぼんやりと昼間も姿を現す。この頃には食べられなくなるようで、餓死に至る。今までも疥癬で餓死したタヌキの処理はしたことがあるはずだけど、ここまで酷いのは初めて。とにかく筋肉がほとんどない。痩せ細った四肢はまだ筋肉があるくらいで、肩胛骨周辺とかは、完全に骨の形がでている。背中が尖っている感じ。意外にも、内臓はさほど萎縮していなかった。
仏教の修行で、生きたままミイラ化を目指すようなのがあったかと思う。飲食を断って、ひたすら念仏を唱えるイメージ。このタヌキは、そうした修行をしたんじゃないかってくらい痩せている。最後は、溝の中でジッとして死んでいたらしい。腹側は泥まみれになっていた。文字通り仏様になったのかもしれない。
●2020年2月23日 外来生物展で展示する大阪府の外来生物
展示の前半は、ここ数年、みんなで調べてた大阪府中心の外来生物の分布調査の成果発表。ってこともあって、大阪府の外来生物が並ぶ。担当の生物群では、大阪府に定着(あるいは繁殖記録がある)のの大部分を展示する! ってのを確認。
両生類
大阪府で確実に定着している外来両生類は、ウシガエルだけ。つまり大阪府の外来両生類はすべて展示! 分布図も示す!
ただ、チュウゴクオオサンショウウオがいる公算はけっこうあったり。最近、堺市で見つかったというアフリカツメガエルが定着しているかどうかが気になるところだけど。
爬虫類
大阪府で定着することにした外来爬虫類は、アカミミガメとカミツキガメとミナミイシガメ。そのうち2種を展示! アカミミガメは分布図も示す。カミツキガメは、幼体が記録されているので、繁殖の可能性ありってことで入れてるけど。ついでに外来生物扱いしてないけど、クサガメも説明付きで展示。
外国産のカメ類は、観察記録だけだと、死ぬほど増えるけど、幸い繁殖記録はなくて助かった。
鳥類
大阪府で繁殖記録がある外来鳥類は13種。そのうち、クロエリセイタカシギとギンパラを除く11種を展示。現在も繁殖している6種中、5種については分布図も示す(示してないのはドバトだけ)。
これも観察記録だけなら、もっといっぱいある。せっかくなので、観察記録はあるけど、繁殖記録はない。でも、今後繁殖するかもってことで、コリンウズラ、セキセイインコ、ワカケホンセイインコも展示。
哺乳類
大阪府で記録がある外来哺乳類は、11種(イノブタ入れて)。その内、イヌ、イエネコ、家ネズミ3種を除く、6種を展示(イノブタはイノシシで代用。展示コーナーも少し離れてるけど…)。イノブタ以外の5種については分布図も示す。
魚類もこのくらいの勢いで展示されるはず。昆虫と植物は、外来生物の種数が多すぎて、全種に近い展示は無理だけど、他の生物群はそれほど多い訳ではないので、だいたい展示できるんだな。
●2020年2月22日 標本を引っ張り出す
解説書も、パネルやラベルの発注系も終わったので、いよいよ展示自体をつくるモードに。というわけで、今日は展示する標本を引っ張り出してきた。担当は哺乳類、鳥類、両生爬虫類だけど、両生爬虫類の液浸標本の管理は、魚屋さんの担当なので、その部分は発注。自分で引っ張り出してくるのは哺乳類と鳥類と、両生爬虫類の剥製・骨格・レプリカのみ。ちなみに借りてきて展示するのは、きしわだ自然資料館からのワカケホンセイインコとコリンウズラ。あとは基本自前で用意する。用意できなければ、画像かなぁ。ただ、トリ先生に一つ借りようと密かに画策。
標本は、収蔵庫から引っ張り出すかと思いきや、まずは常設展から持ってくる。そして、収蔵庫。さらに旧の収蔵庫。ホネは比較的まとまって置いてあって、ある意味整理されてるから、すぐに見つかる。しかし、本剥製は意外と持っている割りには、データがないから、登録されていないのが多い。リストも散逸気味で、何があって何がないのかが、なかなか分からない。端的に言えば、収蔵庫の探検になる。
思わぬコブハクチョウを見つけたのだけど、クリーニングがいるなぁ。そして、アイガモとニホンイタチが見つからない…。
●2020年2月21日 読書サークル 第108回会合覚え書き
隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。今日の会合で出た本についての意見を記録。
今日の課題本は8冊。3冊繰り越されてきて、1冊繰り越しになったので、10冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。
●「日本カエル探検記」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
日本のすべてのカエルが登場する。画像がとても綺麗。ヤエヤマハラブチガエルやアイフィンガーガエルなどの興味深い生態の画像もある。と、評価が高い割りには、★が少なめなのは、個々のカエルの紹介内容が、偏ってバラバラしているからのよう。あと、副題に「…探検記」とあるのに、探検感も少なめ。
●「ネコもよう図鑑」
(紹介文2つ、平均★数は4.0)
ネコ好きが読んだもんだから、とにかく楽しい楽しいと連呼。ネコ好きには、ちょーオススメ。ネコの画像が多いってだけでも、評価は高いだろうし。個人的には、キジトラがこっちを向いてる画像が好き。
●「富士山はどうしてそこにあるのか」
(紹介文4つ、平均★数は2.5)
富士山があまり出てこない、タイトルが変。関東の話ばかりで、関西人向きではない。第1章を突破するのが大変。ってことらしい。タイトル変えて、関東で売るといいかも。
●「昆虫は美味い!」
(紹介文3つ、平均★数は2.0)
日本のカブトムシは不味いが、東南アジアのカブトムシは美味いらしい。蜂の子はウナギの味やって。クマゼミとアブラゼミの味は全然違うって書いてあった。読んだ人は、とにかく仕入れた蘊蓄を話しまくる。ある意味気に入ってるのだけど、評価が低いのは。自身が体験した昆虫の味の部分は興味深く読めるんだけど、昆虫食の文化的な側面の話が全然つまらない。挿入されるエピソードもなんか違う。
●「日本の家ねずみ問題」
(紹介文2つ、平均★数は2.0)
データの示し方が悪く、現象の原因を追及せずに推測しかしていない。つまり科学的ではない、と指摘された。著者は10年に一度本を出版。一つ前の本を読んだ方がいいという結論に。
●「クモのイト」
(紹介文2つ、平均★数は3.0)
読みやすい。内容も面白い。紹介した研究が、データ捏造疑惑で取り下げられて…、という話題で盛り上がる。知り合いだから、身内びいきを避けるべく、★を一つ下げた、という人1名。それなら、本来は3.5。
●「はさみむし」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
ヒゲジロハサミムシの繁殖を中心に生態が、淡々と紹介される。淡々としすぎという意見が多め。我々が街中で見るハサミムシは、ヒゲジロハサミムシなの? 裏表紙に載ってる7種は、街中にいるの? 周辺情報が足らなすぎる。という訳で、評価が低めに。
●「よるのいけ」
(紹介文4つ、平均★数は3.3)
ユリ・シュルヴィッツの『よあけ』にそっくりなので、オマージュであろう。ってことになった。だれもパクリとは言わなかったな。
●「菌は語る」
(紹介文3つ、平均★数は2.3)
『菌世界紀行』を気に入って読んだ人の意見は、2つに分かれた。『菌世界紀行』で脱線しまくっていたのを気に入っていた人は、飲んだくれないのが不満。もう一派は、全編を「菌リンガル」にすれば良かったのにと。大量にある脚注も、前者は楽しんでたが、後者は邪魔と言い張った。いずれにせよ、不満が多くて、評価が低め。かくも読者は勝手なのである。
●「きのこの教科書」
(紹介文5つ、平均★数は3.4)
ちょっと難しくて面倒だけど。キノコに興味を持って、すでに入口に立っている人には、ちょうどいい教科書であろうってこと。
●2020年2月20日 特別展オープン10日前
コロナのせいで、特別展の関連イベントは、3月20日まですべて中止。メインの普及講演会が中止なのは残念過ぎる。今週末の観察会が中止になったのは、特別展準備の時間ができて有り難いかも。特別展オープンの日のイベントが中止(主催者は延期と言ってるが)になったのは、特別展オープン直前に、その準備に追われなくて済んだ訳で助かったかも。何事にも、良い面と悪い面があるわけ。
で、特別展オープン10日前になって、展示を作ってる学芸員のモードは一つ進んだように思う。解説書は本日校了。展示物を借りに行くのも今日で終わったっぽい。そして、展示する図表とか種名板の発注は全員一段落。すでに展示室に展示物が並び始めているけど、明日からは、全員がそれに携わることになりそう。ほら、今週末にオープンは無理でも、連休明けにはオープンできるくらいになるんじゃないかなぁ。
●2020年2月19日 コロナで中止
昨日、大阪府が方針を出したから、どうせ大阪市は追随するんだろうなぁ。と思っていたら案の定。3月20日までの1ヶ月間、行事はするなのお達しが出た。不特定でなくて、多数でもなくて、濃厚接触がなくて、etc.であったら、開催してもいいらしいけど、後から難癖付けられそう。ってことで、博物館が主催・共催を問わず行事をすべて中止にせざるを得ない。
こうしてみると、3月1日からの外来生物の特別展が、もし行列必至の人気特別展だったら、開催延期もあり得たかも。幸か不幸か、そんなに人は来ない。と誰もが思っているから、とりあえず予定通りオープンはできそう。でも、オープニングセレモニーはなくなった。それは嬉しい。いっそ内見会も無くなれば、準備の日数が1日増えるのに。でも、人気講師を招聘しての普及講演会までもが中止なのはいたい。もう特別展の来場者が少なくても文句は言わせない。ってゆうか、言われないなら、ラッキー?
3月1日の特別展オープンの日に予定されていた企画も中止。その準備とか、ポスター発表とか、シンポとかいろいろあって、特別展の準備とかぶってどうしようかと思っていたので、これも中止で有難い面もある。
あとは、3月第2週に予定されている日本生態学会大会がどうなることか。すでに懇親会の中止は昨日発表されたけど、大会自体をどうするかは、25日に最終決定するらしい。
【追記】
25日家と思ったら、21日に生態学会大会中止のお知らせメールが届いた。大会は中止だけど、講演要旨を提出していたら、発表はしたことにしてくれるって。でも、参加費は払い戻されない。科研費的には、交通費と宿泊費は執行できないが、参加費は執行ってことになる。すぐにホテルをキャンセルした。
●2020年2月18日 大阪府の外来哺乳類の分布図の限界
大阪府にある意味定着している外来哺乳類は11種。その分布図を作る訳だけど、イヌとイエネコはもういいでしょう。家ネズミ3種は、手元に情報がないのでパス。イノブタはイノシシと野外で見分けたデータは存在しない。ってことで、残る5種の分布図を作成することに。
5種のうち、チョウセンイタチは古くから、タイワンリスはちょっと前からいるけど、他の3種は、ほぼ大阪府に定着したのは2000年以降。ってことで、すべて2000年から2019年の20年間のデータで分布図を作成することにした。
ヌートリアはデータが多くていい感じ。5年ごとに4枚の分布図を作成すると、分布の全域を示しつつ、分布拡大の様子を追いかけられる。これは面白い。同じ事を、アライグマでもしたい。
が、アライグマはヌートリアほど情報がない。一番情報があるのは、大阪府が持っている駆除データで、それを使えば、少なくとも最初の10年の分布の変遷を、2枚の分布図で示すことはできる。でも、今回は、手持ちのデータ(つまり標本データと、自分で見つけた主に足跡のデータ)にこだわった。現時点での分布はだいたい示せるし、市街地への進出はむしろ手持ちデータの方が充実していると思うけど、ヌートリアのように分布図並べて変遷は示せない。山手のデータが足りない。
ハクビシンは、そもそもデータがあまり多くないので、変遷を示すのは難しい。1枚の地図でもいいから、年代で色を分ければよかったかも。
タイワンリスは、大阪城公園を入れるべく、1999年も特別に含めた。でもプロットは3つ。1つ1つに注釈付けるレベル。
チョウセンイタチは、観察情報に信頼性が低いので、すべて標本データにこだわった。南部の山手の標本が少ないとか、大阪市内では南部に偏り過ぎとか。バイアスはあるけど、大阪府全体の分布の様子がほぼ見てとれる。こんなに標本を集めたんだなぁ、と自分を誉めてみる。
●2020年2月17日 研究室のワックス掛け
例年、大きなイベントとか、特別展の準備とかがなくて、フィールドもおおむねオフシーズンな1月から2月に研究室のワックス掛けが行われる。今年も今日2月17日が研究室のワックス掛けの日になった。…。特別展の準備真っ只中やないかー!
今までなかったタイミングでの主催展なので、いろいろ不都合が出てくる。そもそも特別展準備もフィールドもないからと、博物館友の会をはじめいろんな団体の総会とか、バックヤードツアーとか、冬は中大型企画がけっこう目白押し。それは例年通りなのに、特別展準備が入ってくる。そこにワックス掛けだぁ?
という訳で、今年は隣の部屋のワックス掛けはしないことにする。それだけで、準備にかかる時間が半減。戻す時間も半減。
2日前から準備を始めた。解説書の執筆・編集が一段落して、それでいて、まだ展示自体は作ってないタイミング。ってのは、救いだったかも。あるいは、解説書で燃え尽きてるのを、展示で再燃焼させないといけないのに、片付けに逃避させてしまってるのかも。とにかく研究室自体は、例年並みに片付けてしまった。この時期、特別展以外のことをしたくて仕方がないので、とても危険。
●2020年2月16日 グループごとの外来生物の割合
生息種数に占める外来生物の割合は、生物群によって随分違う気がする。
大阪府に生息する哺乳類は40種。その内10種は外来生物。外来生物の割合は25%。
大阪府で繁殖記録がある鳥類は、『大阪府鳥類目録2016』をパラパラと見て数えると約107種(ちょっと微妙なのがいるので、約としておく)。その内13種は外来生物。外来生物の割合は12%。外来鳥類13種の内、現在も定着しているのは、せいぜい6種なので、外来生物の割合はもっと少ない気もする。けど、そもそも大阪府で繁殖記録があるからって、現在も繁殖してるのか考え出すと在来生物でも難しいので、ざくっとした数字に留めておこう。
大阪府で繁殖記録のある爬虫類は、18種(ウミガメ類は入れず、ミナミイシガメやカミツキガメは入れて)。その内、外来生物は3種。外来生物の割合は17%。
大阪府の両生類は、17種(元カスミサンショウウオは1種として。チュウゴクオオサンショウウオはいないことにして)。その内、外来生物は1種。外来生物の割合は6%。
哺乳類の外来生物の割合の高さが圧倒的。他の生物群で外来生物の割合が高そうなのは…。
大阪府に定着してるっぽい淡水魚類は、2000年の『大阪府野生生物目録』から海産魚っぽいのを抜いて、最近入った外来魚を加えると約100種。その内、外来生物としてリストアップされたのが23種。外来生物の割合は23%。
大阪府の昆虫は、2000年の『大阪府野生生物目録』を見ると5576種。今回、外来生物としてリストアップされたのが189種。外来生物の割合は3%。
大阪府の植物(シダ+種子植物)は、2000年の『大阪府野生生物目録』を見ると2436種。今回、外来生物としてリストアップされたのからコケ植物2種を抜くと738種。外来生物の割合は30%。
外来生物の割合が高い生物群御三家は、植物、哺乳類、淡水魚。
●2020年2月15日 特別展2週間前
いよいよ2週間後は、特別展オープン。のちのちの参考になるように(あるいは呆れるために?)、2週間前がどんな状態か記録しておこう。
解説書は、初校を返したところ。テキストも図表も揃ってるから、あとはなんとかミスを減らして、規定のページ内に納めるだけ。17日に二校があがってくる予定で、20日が校了予定。
招待状は、追加も含めて、送付完了。
関連で執筆させられるテキストは、今日1本あげたので、残るはNature Studyの2ページだけ。
展示関係では、
展示の解説パネルは、すでに業者に発注済み。17日に納品されるらしい。
展示の分布図は、担当のMさんに発注済み。基本、解説書に使ったののカラーヴァージョンを作ってもらうだけだけど、1枚だけ追加があるので、今日データを指定のフォルダに入れた。作製してもらったら、説明とかをこちらで入れるという作業が待っている。
展示する画像や表の発注はまだこれから。何が必要かざっと、リストアップした段階。大部分は解説書に使った図表の使い回しだから、大きさ決めて担当のNさんに発注するだけ。なんだけど、特定外来生物リストと生態系被害防止外来種リストだけは、新たに作らなくちゃ。大阪府外来生物リストも仕立て直しが必要。
標本に付ける種名板と呼んでるラベルは、何が必要か概ねリストアップした。あとは解説などを整えて、担当のYさんに発注。展示する標本は、50点を超えないから、さほど大変じゃない。はず。使うかどうか分からないのも、とりあえず発注しておいた方がよさそう。
で、展示する標本たち。担当コーナーの自分以外の人に出してもらうのは、植物と無脊椎動物を確認済み。あとは魚と両生爬虫類を確認したらOK。両生爬虫類以外は、各担当者に種名板を発注してもらおう。
そして、展示する標本。2点だけK市に借りに行く。あとは、手元にあるのを並べる。手元のどこにあるのかは、これから探索。いくつかあるかどうか分からないのが…。どうも展示スペース自体が不足しそうなので、骨格標本とかはいいかなぁ、と思い始めた。
その他では、
大阪の外来生物原産地地図は、積み上げるものを発注したばかり。これの完成が最後になりそうだなぁ。
入口の顔はめは、トリ先生に発注した。作業はこれかららしい。
トリ先生に発注した本剥製は、ハクビシン以外は完成。ハクビシンはミョウバン待ち…。
図書コーナーも作らなくっちゃ。
ニャン太郎は吊るのかな?
可動壁は固定してないし…。
とにかく今日現在で明らかなことは、まだ全然展示室に展示は並んでないってこと。と思って見に行ったら、こっそり植物担当が大きな標本と模型を並べて場所取りしてた。ずるいぞ。
●2020年2月14日 大型の魚食性の鳥が増えて、小型の魚食性の鳥が減ったとは言うけれど
カワウ、アオサギ、ダイサギ、カンムリカイツブリ。この40年ほどの間で、日本において、確かに大型の魚食性の鳥は増えた。明らかに増えた。分布域が拡がったと同時に、以前から繁殖していたエリアでの繁殖個体数も増えたと思う。分布域の拡大の一つの要素は、北日本での分布域の拡大がありそうに思う。
一方、カイツブリやゴイサギ、コサギといった小型の魚食性の鳥は減ったと言われる。こっちは、大型の魚食性の鳥ほどは明瞭ではないように思うんだけど、どうだろう? 減ってる印象は強いのだけど、分布域はさほど減っていない。個体数やコロニー数は減ったかと思ったのだけど、2019年に大阪府のサギ類の繁殖地調査をしたところでは、微妙。
大型の魚食性の鳥が増えたので、相対的に小型の魚食性の鳥が減ったように感じるけど。そこまで極端に減ってはいないんじゃないか? と少し思い始めた。
●2020年2月13日 成ヶ島イルカ回収ツアー
淡路島の南東端にある成ヶ島に打ち上がったスジイルカを回収に行った。大阪が午前9時半頃に出発。途中、渋滞に引っかかったりして、洲本市の由良港到着が、12時半頃。地元の方が待っていてくださって、すぐに船で渡してくれる。地元の方1人とやり取りしてたんだけど、4人も来て下さった。
成ヶ島では、軽トラックが3台も出動して、現地まで連れて行って下さる。さらに埋めて、ブルーシートをかぶせてくれていたのを、掘り出してまでくれて。至れり尽くせり。
とても有難いのだけど、作業をずっと見守っておられるので、少しやりにくい。ってゆうか失敗しにくいやん!
イルカの前に到着が12時45分。測定10分、解体が2人で30分。その間にも他の人が片付けてくれて、1時間以内に撤収が完了してしまった。全長211cmと小さな個体だったので、まあ所用時間はこんなもん。
でも、イルカの回収! と盛り上がって、大阪から付いてきた他の面々は、なんか物足りなかったかも。ってことで、昼食を兼ねて、由良湾の南端で少し遊んでから帰ってきた。イルカは喰えるくらい新鮮だったので、帰りもぜんぜん臭くなかった。
【追記】
現地ではスジイルカと呼んでいたけど。それ、ほんまにスジイルカ?という指摘を受けて、画像を見直してみる。背びれの辺りの側面に、黒が落ち込むV字模様がある。目から肛門をつなぐ黒線は細くて枝分かれしていない。そして何よりスジイルカにしては吻が長すぎ。ハセイルカであった…。
●2020年2月12日 特別展解説書の真の入稿完了
本来なら、今日は初校返しって段階なんだけど。この初校返しでようやくすべてのテキストと図表が揃ったので、真の入稿は今日かもしれない。まあ、毎回そういう展開なんだけど。
たとえば、見かけの入稿の時に入稿したテキストは、全152ページの内の実質的に100ページ分。見かけの入稿の時に、まあまあ入稿できてる気もする。といっても約67%だけど。
しかし、見かけの入稿の時に入稿した画像は、151枚(口絵88枚、本文63枚)。今回入稿したのは、58枚(口絵4枚、本文54枚)。見かけの入稿の時に入稿したのは約75%。これもまあまあ。
でも、裏返せば、ざっと見かけの入稿の時は、約7割しか入稿できてなかったということになるわけで。今日でようやく入稿が完了したというのは、ぜんぜん過言ではない。
●2020年2月11日 友の会バックヤードツアー2020 2日目
一昨日に続いて今日は毎年恒例の友の会会員向けのバックヤードツアー。例によって鳥の皮剥きを見せて鳥の標本の説明をする担当。今年も隣では、トリ先生が哺乳類の本剥製づくり。タイワンリスに入れるものを削っている。
今日もダブルヘッダーで、3班に分かれるので、1日6回説明をすることになる。
今日は、午前中にカンムリカイツブリ、午後にオシドリを剥いた。なにわホネホネ団で剥いたカモたちは片付けて、カラフトフクロウだけに。一昨日剥いたオオバン、ハイタカ、キクイタダキも並べている。オオバンとカンムリカイツブリ、そしてオシドリの水かき比較がテーマ。
午前のカンムリカイツブリは、脂肪がなくて新鮮で、とても楽しく剥けた。3班とも先攻。1班目は、胴体をはずしたところで、やってきた。トリ先生の説明の間に、頭も裏返して見せた。2班目は、頭を戻したのを見せた感じ。3班目はすでに完成していたので、全部裏返したのを元に戻して見せて、生殖巣も確認した。カイツブリとオオバンの水かき比較と、オシドリの美しさの説明で、ほぼ時間が終わる感じ。死体募集。仮剥製を説明して、リスに振る。なぜかホウ酸を質問されることが多かった。
午後は、早めにオシドリを剥き初めたところ、胴体を切り離して脚の処理が終わったところで1班目を迎えることができた。裏返った胴体を戻して見せた。頭を裏返したところで、2班目がやってきて、目玉を取り出したり、脳ブラシを使って見せたり。が、3班目がやって来る前に、皮剥き作業が終わってしまった。仕方がないので、内臓見せたり、綿を入れて見せたり。オシドリ、カンムリカイツブリ、オオバン、ハイタカ、カラフトフクロウの足を一同に見せたのは、なかなか良い感じ。じゃなかったかと自画自賛。なぜか2班目と3班目が、予定より随分長く滞在していた。参加者の反応も一番良かった。
大きめ2羽体制は、負担が少なくてちょうどいいくらい。
●2020年2月10日 大阪府の外来生物12種の分布図
今月に入って、6日間かかって必死でそろえたデータセットで、大阪府の外来生物12種の分布図ができあがってきた。データをそろえている時にある程度気付いたこともあるけど、分布図になると、それが一目瞭然。この20年間の成果でもある訳で、なかなかちゃんとした分布図になったのでホッとした反面。抜けてる部分も目について、反省もしたり。
ヌートリアとソウシチョウの2種だけ分布の変遷を作ってみたけど、とくにヌートリアが分かりやすくていい感じ。ソウシチョウは、もう少し細かく変遷を出したかったけど、間の期間の情報が薄すぎて断念。コジュケイは、うまく時代を分ければ、減ってる感じが出るかもしれない。アライグマも分布の変遷があるのだけど、大阪府の持ってる捕獲データを盛り込まないと、それを示すのは無理。と断念した。この5年のデータだけでも色かシンボルを変えれば、市街地への進出が示せたかも。そういうので言えば、チョウセンイタチの山間部進出も、余裕があれば示せるか検討したかった。
チョウセンイタチは、標本データだけで分布図を作ってみた。プロットが足りるか心配したけど、なんとかなった。アライグマも、大阪府に頼らず(切羽詰まってて了解手続きが面倒だったとも言う)手持ちデータだけで分布図を作ったけど、それっぽくなった。ウシガエルとアカミミガメもデータ量というか、南部のプロットが足りるか心配したけど、まあまあなんとかなった気がする。アカミミガメの泉南のプロットは少ないけど…。
アイガモとコブハクチョウのプロットは、おもに2000年に大阪鳥類研究グループが実施した、大阪府下全域のため池調査に基づく。今年20年ぶりに同じ調査を行うので、そこで変遷は見えるだろう。
●2020年2月9日 友の会バックヤードツアー2020 1日目
今日と明後日は毎年恒例の友の会会員向けのバックヤードツアー。例によって鳥の皮剥きを見せて鳥の標本の説明をする担当。今年は隣では、団長では、トリ先生が哺乳類の本剥製づくり。とりあえずタイワンリスを剥いている。と思ったら状態が悪くて本剥製は無理!とか叫ぶ感じ。
今年は、史上最高に申込みが多くて、といっても2日ともダブルヘッダーなのは例年通り。やってきた人数もそんなに多い感じはしない。3班に分かれるので、1日6回説明をすることになる。
今日は、午前中にハイタカとキクイタダキ、午後にオオバンを剥いた。昨日のなにわホネホネ団で剥いたカモたちとカラフトフクロウとかも並んでいる。前には収蔵庫に片付けないといけないカピバラとかのホネ。脂とりマシーンもセットされてる。
午前のハイタカは、脂肪がなくて新鮮で、とても楽しく剥けた。一方、キクイタダキは小さくて訳が分からん感じ。1班目と2班目は先行、3班目は後攻だった。1班目がきた段階で、ハイタカの頭を返す直前。頭を裏返して見せた。でも、目を取る前に質問の嵐に呑み込まれて、あまり見せられず。2班目までの間に、目と脳を取っておき、2班が来たら、頭を戻した。あとは、日本一小さい鳥キクイタダキとか、ハイタカに掴まれる話とか、オオバンの水掻きとか。ガラスに衝突した鳥の話から、死体募集。仮剥製を説明して、リスに振る。
3班目の時には、キクイタダキの頭を裏返していたので、元に戻して見せる。あとは質問の嵐につかまる。カモやカラフトフクロウの話はあまりできず。
午後は、早めにオオバンを剥き初めて、良い感じで1班目を迎える。予定だったのだが、直前まで質問対応で、ギリギリにようやくスタンバイ。剥き始めたばかりのところで、1班目を迎える。後攻にしてもらったけど、あまり胴体の中身を少し見せた程度。盛り上がらない。急いで続きを剥いて、2班目の時は、先攻。すでに胴体を外していた。気持ち悪がって遠くで目を背けている女の子を尻目に、内臓の説明とか。死体から普通はこんなに血は出ないけど、このオオバンは事故で怪我しまくりなので、てな説明。からの日本で一番小さい鳥キクイタダキのキクを見せたり、カラフトフクロウを触ったり、耳を見せたり。3班目の時は、後攻を選択して、頭の処理を終えて、元に戻したところから。
3羽では少ないかと思ったけど、ちょうどいい感じだった。明後日の2日目も3羽体制か、大きめ2羽体制がいいかも。
●2020年2月7日 過去のフィールドノートを見返す
大阪府の外来生物の分布図を作るべく、2000年以降のフィールドノートをすべて見返すことに…。めっちゃ大変。幸い、2005年までは必要な情報が入力されていたので、14年ちょっと分を見返すだけで済んだ。それでも13時間ほどかかった。ざっと1年1時間。
大阪府のデータだけが必要なので、大阪府外のデータは無視して。ルーティンの近所のため池や大和川のデータも無視して。すでにデータセットができているヌートリアやハッカチョウは無視して。ターゲットであるアライグマ、コジュケイ、アカミミガメ、ウシガエルの4種を探しているだけなのに。
でも、過去になにをしてきたかを、見返すのは楽しいといえば楽しかった。大阪湾岸をウロウロしまくってる、と思ったら播磨灘にうつり、さらに瀬戸内海全域に行ったり。大和川や淀川水系の調査の時は、川沿いを動き回り、山間部にもよくいっていたのが、都市の自然の調査になったとたん、全然山に行かなくなったり。その合間にミソサザイやソウシチョウ調査が入って、急に山に行きまくったり。大筋は分かるんだけど、複数の調査を並行して進めている時は、この調査はなにを目的にしてるのかなぁ?と自分でも分からないのがあったりもした。
なんにせよ、いろいろなことを思い出した。ちょっと切ない感じ。
●2020年2月6日 スズメやツバメの後輩としてのチョウゲンボウ
ハヤブサ類テーマで原稿を書けとのお達しだったので、地方で不遇をかこっていたチョウゲンボウが、東京へ出て成功して、全国制覇への道をたどった。てな文章を書いてみた。
チョウゲンボウのブレイクのきっかけを考えると、同じく全国制覇に成功したスズメやツバメと一緒。つまりチョウゲンボウは、スズメやツバメの後輩にあたるわけ。まあ、随分世代は離れてる気がするけど。このまま成長すれば、スズメやツバメなみに、日本全国の都市で見られ、もともとチョウゲンボウはどんな場所で営巣してたのかなぁ?とか言われる日が来るのかも知れない。
●2020年2月5日 大阪府の市街地で見られる哺乳類
大阪府ではじめてヌートリアが記録されたのは、2000年。それから、大阪府のヌートリア情報を集めてきた。なんと2016年夏までは、すべてのデータが入力されている。このファイルはとても面白い内容を含んでいるなぁ。と、今日あらためて気付いた。
充実したデータが集まる理由は、ヌートリアがけっこう昼間活動して、目立つから。そして、多くの人が、なんじゃあのデカイネズミは?!と調べることが多く。ネットを検索したら、情報募集のサイトがヒットして、せっかくだからと、情報を提供してくださる。ってことらしい。
ヌートリアには負けるものの、見つけたら、けっこう観察情報を提供してもらえるのが、タヌキ、アライグマ、アナグマ、キツネ、ハクビシンといった中型哺乳類。とくに市街地で見つけたら、珍しい!ってことになって、どこかに情報提供を、と思ってもらえるらしい。で、ネットを検索したら…(以下同様)。
今日は、ためこんでいたヌートリア情報に一通り目を通した。一緒に、貯め込んでいた他の哺乳類の観察情報も見直すことができた。その結果分かったのは、この5年の間に、大阪市内へのアライグマの進出が進行した。同時期に、ハクビシンが市街地記録されるようになってきてもいる感じ。つまり、大阪の市街地に中型哺乳類が増えたってこと。
木登り上手で、タヌキよりもよっぽど市街地向きな2種が都市で増えると、タヌキはどうなるのかが気になる。
●2020年2月4日 展示ケースを運ぶ
今日は、3月1日からの特別展に向けて、展示ケースを移動した。展示ケースが、展示室の側にあれば楽なんだけど、これがけっこう離れてるんだな。100m近くかなぁ。で、廊下を運ぶことになる。今のケースは、コマが付いていて、転がしていけるのが少しまし。ただ、廊下はピータイルで、重い物を転がすとピータイルが割れるので、ガードのシートを敷くところから作業が始まる。
展示ケースは3タイプあるんだけど、一番大きなのは、1人で運ぶのはなかなか大変なので2人がかり。そんなケースを40台以上運ぶ。それだけでも面倒だけど、廊下から展示室には段があって、1台ずつリフトで持ち上げる必要があるんだな。あー、面倒。
6人ほどの学芸員で半日がかり。あー、疲れた。
●2020年2月3日 全国鳥類繁殖分布調査の大阪部分
一昨日、その報告会に参加した。忙しいのに無理して参加したのは、過去2回に続き、今回も調査に参加してるんだけど、どうせなら納得のいく内容にしたい。大阪府の調査コースで抜けてるのがどのくらいあるかとか、追加の情報をどの程度出せばいいのかとか。現状把握をしたかったというのが理由。
案の定、調査コースが3つ残ってるし、分布図も今のままでは明らかに情報が不充分。今年の繁殖期が最後の調査なので、調査しつつ、データを提出しなくちゃ。
で、どのデータを出せばいいか現状の分布図が欲しいなと思ったら、大阪府のを送ってくれた。これは否が応にもデータを出さねば。ついでに全国のハッカチョウの分布図の現状を知りたいと言ったら、送ってくれた。全然足らんやん。という訳で、こちらにも手持ち情報を出さねば。
●2020年2月1日 ヤマガラの毒とカンタリジンに集まるアカハネムシ
今日は、バードリサーチと日本野鳥の会な方々が関東からお見えになって、全国鳥類繁殖分布調査の集まり。なんだけど、その後の呑み会で、関東方面でUKさんが言ってる愉快な話を教えてもらった。気になって色々考えてしまう。
一つは、シキミの種子を食べるヤマガラの話から、ヤマガラ有毒説。UK介さんが東京で言ってるらしい。シキミっていうのは、有毒な植物で、種子も有毒。そんな種子をヤマガラは平気で食べる。どうして食べて大丈夫なんだろう? っていう点も不思議。同時に、その毒はどこに行く? フグの毒も、イモリの毒も、ヒキガエルの毒も、みんな自分で作っているのではなく、食べ物由来。ってことは、ヤマガラもシキミを食べて有毒なんでは? ってことらしい。そもそもカラ類の中でヤマガラだけカラーリングが少し変わってる。頭が黒っぽくて、腹が赤っぽい茶色っぽい。そのカラーリングは、有毒の鳥として有名な◆と一緒。つまりヤマガラは有毒で、あのカラーリングは有毒の印なんでは? という(現時点では)ホラ話。それならルリカケスも有毒なのかな?とか。シキミを喰ってないヤマガラは、茶色が薄くなるとか? 色が濃いほど有毒としたら、オーストンヤマガラは最強に有毒とか? 妄想は拡がる拡がる。
もう一つは、カンタリジンをもった昆虫を食べた鳥の糞に集まるアカハネムシの話。アカハネムシは、自分でカンタリジンを作れない代わりに、食べ物から摂取するらしい。オスが摂取して、メスにプレゼントするって話もある? で、鳥がツチハンミョウとかヒラズゲンセイを食べまくった鳥の糞に、アカハネムシが集まるって現象が見られるらしい。カンタリジンを含んだ糞にアカハネムシに集まるのはいいとして、疑問が2つ。ツチハンミョウとかヒラズゲンセイを食べまくる鳥って誰? そんないかつい甲虫を専食する鳥って、ブッポウソウとか?? あと、カンタリジンってそもそも喰われるのを避けるための化学物質とちゃうん? そんなに喰われてたら意味無いし。
●2020年1月31日 2020年1月のまとめ とりあえず特展解説書の入稿はしたものの…
とにかく正月もなんもなく、ひたすら3月からの外来生物展の準備。というか、おもに解説書の準備。端的に言えば、原稿執筆と編集作業。それが一段落したら、慌てて画像をかき集めて、なんとか27日と30日に入稿。でも、まだ分布図作成できてないし、外来生物リストが提出されるか心配だし、謝辞や本の紹介のとりまとめ。そう言えば、表紙と裏表紙もまだだった。と、だんだん何が出来てて何がまだか分からなくなってきた。
そんな2020年1月を振り返ってみよう。
ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。ハッカチョウセンサス2コースも実施した。地元植物園の鳥のセンサス調査と果実のチェックも今が大詰め。さぼりがちだけど、なんとかデータは取ってる。
標本作りは、年末からの皮の処理の続きが4日まで。大失敗をやらかしたので、時間をかけて頑張っても仕方がない感じ。ホネホネ団の通常の活動日が2日。
博物館実習で、ヒツジとキリン新生児とニホンジカのホネを洗った。博物館たんけん隊で、鳥の皮を剥いて見せた。
普及行事は、上述の博物館たんけん隊と友の会総会という大きなイベントが2発。友の会月例ハイクも担当。ジュニア自然史クラブの活動もあった。あとは植物園案内とフィールドセミナーが1回ずつ。
展示関係は、子年展にカピバラとスナメリ頭骨、及びアカネズミ本剥製を出したまま。あとは、ひたすら外来生物展の準備。
講演は外部団体向けに1本。博物館実習が5日間あって、オリエンテーションと担当が1日ずつ。
委員会関係は、S市のレッドリスト・ブラックリストな会議が1回。
団体Kの雑誌への投稿論文の再査読をようやく末に終わらせた。もう1回ありそう。原稿は特別展解説書は書きまくったけど、投稿論文は書けてない…。
とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系0冊と、SF6冊、ライトノベル1冊。完全休養日は0日。
●2020年1月30日 果実食鳥の糞分析2020
今日は、某団体向けの果実食鳥の糞分析実習の日。年中行事もこれで14回目。
果実食鳥のタネが入ってそうな糞を拾ってきてもらい、拾ってきた周辺で比較標本用の果実を採集してくること。という宿題をもとに、今日は、午前中に果実からタネを取りだして、実物タネ図鑑作り。午後は、糞を洗って、タネを取りだして、午前に作った図鑑で同定。って段取り。
午前。採ってきた果実を水の中で果肉を取り除いて、新聞紙の上で水気をとる。と説明したのに、なぜか持ってきた上質紙に乗せてる。片方の班は、洗いが雑でけっこう果肉付いてるし。まあ、こういうのはいつものことなので放置。でも、1種につき10個程度は種子を確保するように、手持ちがなければ他の班からもらって充実させるように。ってのは、最初に言った方が良かった。ちなみに今年は、2班体制。
昨年同様遅めの日程だったけど、今年はわりと豊作なので、それなりに果実が集まっている。ただマンリョウがなく、ナナメノキも少ない。近頃目立つイボタノキもなかった。逆に多いのは、シャリンバイやマユミ科のタネ。各班それぞれ33種と43種揃えていた。例によって、被食散布ではない、フウノキやサキシマフヨウも持ってきていたが、例年よりは少なめ。
なんか分からんオレンジ色の果実だけを持ってきた人がいて、中身は美味しそうな匂い。タネは黒くて1つ。やや扁平で四角ばり、片側が少し凹んでヘソがある感じ。モクレン科っぽい。
午後。宿題で採集してきたタネの入った糞を、水の中でふやかして、タネをつまみ出す。新聞紙の上で水気をとって、同じ種類と思しきタネごとにまとめて紙の上に並べて、午前につくった実物タネ図鑑で名前を調べる。わりと言われた通り、新聞紙に並べて水気を取ってた。その後、同定したら、なぜか2班とも、午前中の実物タネ図鑑の上に並べていたが…。
今年は、タネ図鑑作りの盛り上がりが低めな一方、糞分析の方が熱心だった。熱心だからか、クスノキやエノキの特徴をちゃんと把握して同定できる人も多めだった気がする。サカマキガイ1つ、BB弾が1つ出ていた。
糞から出てきたタネの種数は、どちらの班も10種ほど。ラインナップは、トウネズミモチ、クロガネモチ、エノキ、ナンキンハゼ、クスノキ、ナンテンが目立った。センダン、ヤブラン、ムクノキ、ヒサカキ系もぼちぼち。なぜか片方の班からサクラが出てた。
クスノキ、エノキ、クロガネモチ、トウネズミモチなどの多いタネは、実物タネ図鑑を使いつつ割と同定できていた。ヒサカキ系も合っていたし、エノキも1つ説明したら後は見分けてた。片方の班は、クスノキとトウネズミモチがとても多くて、ナンキンハゼが混じる感じ。ところが他方は、クスノキとクロガネモチが多めで、ナンキンハゼとトウネズミモチがない。まとめて説明しにくい…。なぜかナンテンで悩む人が続出し、シャリンバイっぽい半分に割れたタネの中身が難問だったらしい。実物タネ図鑑でカバーできていなかったタネは、シュロ、カヤ、カイヅカイブキ、ヨウシュヤマゴボウ。
今年図鑑見ないと同定できなかったタネは、カヤのみ。謎のまま終わったタネは3つ。一つは細長いカヤかなぁ。小さく赤く四角いタネはなんだろう? そして、丸いへそのあるものが分からなかった。タネじゃないのかも。
●2020年1月29日 SF読むか、マンガを読むか
3月からの特別展を控えて、年明けから準備に追いまくられている。家には寝に帰るだけ。帰れない日も2日あった。という毎日だと、ぜんぜん本が読めない。
おもに解説書の執筆と編集に追われている。原稿書きモードだと、本が読めない。ってのは以前もあった気がする。頭の中は、外来生物だらけだし、どう書いたらいいかという悩みだらけ。編集面でも、図表をどうするか、外来生物リストは完成するのか、分布図のデータどうしよう?といったことで一杯だからな気がする。でもそれはつまり、強いストレスがかかってるってことでもある。強ストレス下では本が読めないのかもしれない。あるいは集中して働きまくってるので、帰宅しても、集中が冷めるのに時間がかかるってことかもしれない。
自然史系の本なら、そこそこ読めるのに、SFは特に読めなくなる。SFが読めない。仕方が無いので、代わりにマンガを読む。そんな状況でも、マンガなら読める。逆にSFをガンガン読んできた2018年や2019年は、あまりマンガが読めなかった。積まれたマンガを見ても、なかなか読む気にならない。
SF読むか、マンガを読むか。それは何故か相補的。
●2020年1月28日 懺悔ゼミ2020
今日は年に一度の懺悔ゼミの日。学芸員がこの一年の目標が達成されたか報告し(たいてい達成されていないので、懺悔となる)、次の一年の目標を高らかに宣言する。あらかじめ言い訳してることも多いので、あまり高らかじゃないことが多いけど。
2019年の三大目標は、
・外来生物展に向けての調査と準備、とくに解説書執筆。
・標本作製を進めて、冷凍室、砂場、水漬けを空けていく。
・貯め込んだデータの論文化を少しでも進める。
2018年と一緒。
外来生物展に向けての調査は、ハッカチョウをさらに全国区に展開した上に、なぜか同じく全国展開のスクミリンゴガイにはまった。は、2020年に食い込んだけど、一応解説書の原稿は書き終わった。これはもう、三段階評価で◎。
標本作製は、例年並みに進めたし、冷凍室もさらに空きを増やした。砂場はやたらシマウマとイルカ類が並んでしまったけど。評価は△かなぁ。
貯め込んだデータは、今年も全然論文化できなかった。はっきりと×。
その他、調査や普及行事は予定通りにできた。
2019年を一言でまとめると、調査と特別展の準備は進んだけど、論文はやはり書けず。
2020年の主な課題を3つ上げるなら、
何よりも、外来生物の特別展を無事にオープンさせるのが、最大の課題。そして、それで外来生物の調査プロジェクトも終了。
次は、大阪府の鳥のモニタリング調査。20年ぶりの大阪府下のため池で繁殖する鳥の調査と、10年ぶりの大阪湾岸のカモメ類調査。モニタリング的にとても重要な2つの調査で、繁殖期も越冬期も忙しい。
そして、今年も冷凍室やストッカーの整理を進める。冷凍室の哺乳類の小さめ皮処理とともに、脂飛ばし機を使って、大物処理も。満杯になってるホネ砂場の処理も進めなくては。水漬け中のホネの回収は、カリカリ団が頑張ってくれるから大丈夫。
ついでに、2020年は論文を絶対書くぞ。瀬戸内海展関連で自然史研究を書く。と宣言してしまった。けど、これは番外で。
と言う訳で、2020年の主要目標をまとめると、
一に、外来生物展をオープンさせる。
二に、ため池繁殖鳥調査と、大阪湾岸カモメ類調査を、前回と同レベルで実施する。
三に、冷凍室と砂場を片付けていく。
ほぼ2018年と一緒…。
●2020年1月27日 特別展への道 2つめの山場を越えて
最初の山場は、解説書の割り付け。2つめの山場は、解説書の最初の入稿。次の山場は、初校を返す時かなぁ。特別展への道なのに、展示ではなく、解説書を作るのに全勢力を傾けているような。いや、実際、特別展といいながら、傾ける精力の8割以上は解説書作製なんだな。
ってことで、2つの山場それぞれで、ほぼ徹夜。前回は午前5時まで、今回は午前4時まで作業して。帰って数時間仮眠して、また戻ってきて、作業の続き、そのまま印刷屋さんに入稿。今ココ。眠くて、ちょっと気が緩んでる。しかし、まだまだ作業が残ってるので、ここで気を緩める訳にはいかない。とりあえず、今日時点でどこまで出来たかを確認しておこう。
今回の解説書は、どうしてかは知らないけど、ページ数が史上最高の152ページの大作。さらにカラーページが12ページ加わる。それを5人で分担して作り上げる。なかなか道は険しい。
今日の最初の入稿で準備ができたのは、
・表紙と裏表紙:こちらでデザインの予定だけど、まだできてない。
・カラーページ:12ページ中11ページ(約92%)がほぼ準備できた。できた部分でも画像が2枚足りないけど。
・テキスト:152ページ中、129ページ分(約85%)を入稿した。入稿した部分にも抜けてるところがあるけど、それはさておき。問題は残ってる部分。本の紹介2ページと謝辞1ページはいいとして、大阪府外来生物リスト20ページが手強い。
・本文中の図表:表2枚と図149枚の内、表2枚と図66枚(約45%)を入稿した。残ってる図の内、37枚は外来生物の分布図。これが手強い。
編集担当としては、まだまだ気を抜いてはいけない。とくに心配なのは、外来生物リスト。植物と昆虫のリストはちゃんと提出されるのか。その編集は間に合うのか?!
さらに執筆者としては、外来生物リストはもう出来てるし、写真の手配はだいたい終わってるんだけど、担当の分布図12枚が心配。間に合うかなぁ?
また徹夜を続けなくてはならないのかも…。
【追記】
1月30日、追加の入稿をおこなった。
・カラーページ:画像1枚を除いて入稿完了。
・テキスト:謝辞を大幅に増やしたので、再入稿。とは言ってもページ数は変えずに、文字サイズで対応。大阪府外来生物リストの2ページ分を試しに入稿。これで、152ページ中、131ページ分(約86%)を入稿したことになる。残る大阪府外来生物リスト以外では、本の紹介2ページと、謝辞1ページ。大阪府外来生物リストの編集方針が決まったので、あとは残る担当者2人に出してもらうだけ。
・本文中の図表:図42枚を入稿した。これで、図149枚の内、108枚(約73%)を入稿したことになる。残ってる図は、41枚で、イラスト2枚、写真10枚、分布図29枚。担当の分布図12枚がまるまる残ってる〜。
●2020年1月26日 ミュージアムショップの売れない本たち
今日は友の会総会という友の会的一大イベント。で、恒例になってるミュージアムショップに並んでる本の中から、売れない本が安売りされていた。売れない本と言ったらダメなんだった。いい本なんだけど、その良さをなかなか分かってもらえない本、とでも言うんだろうか。
とにかく、10年以上並んでた本は5割引という破格の値段。なんと最長老は、2001年の現在のミュージアムショップができた頃から並んでるという。20年もの。こうなったら、ずーっと居続けて欲しい。ちなみに、どの本が最長老か訊ねても教えてくれない。
今年も、半額になっている本を見渡すと、昨年に引き続きある種の傾向がある。まあ、昨年からずっと売れ残ってる本も多いので、当たり前だけど。まとまって売れ残っている分野は、サル&人類学系、地震系、エコロジー&自然保護系は変わらず。なんか地震系に加えて、火山系も混じってきてる気がする。
一方、キノコや恐竜の本を探している人が何人かいたけど、そういう本は人気らしく、連れてこられていない。絵本系もあまり残っていない。鳥は、2冊ほど残ってる。良い本なのになぁ。
意外なことに、ゲッチョの本が2タイトル、半額になっていた。よく売れそうに思うけど、この近辺の人はすでに大概購入済みってことだろうか。と思ってたら、けっこう売れていった。存在を見逃されていただけなんだろうか?
●2020年1月25日 池の水位と観察会
今日は、地元の植物園で鳥の観察会。昨年の終わりから、池の水位を下げていて、池全体の15%くらいは干出している。もともと浅い池なので、水位を少し下げただけで、干出しはじめて、少し雨が降ったら、少し水位が戻る(ってゆうか、干出面積が狭くなる)。
そのせいか、小さい魚が採りやすい状況が生まれているらしい。周囲のとても浅いエリアに、アカミミガメやコイが来ないのがいいのかもしれない。とにかく、コサギやカワセミが小さな魚を採る様子を観察しやすくなった。
今日の観察会でも、簡単にカワセミが見れて、何度も小さな魚を採って食べてくれた。カワセミのお好みの場所が3ヶ所ほどあって、それを巡ればもれなく観察できる。カメラマンも待ち構えているが、あまりにも簡単に撮れるせいだろう。団体で押しかけてもとくに文句も出てこない。観察会がしやすくて仕方がない。毎年、冬は水を減らしてもらえるといいなぁ。
●2020年1月24日 某S市の生物目録をチェック
まだ確定版じゃないけど、リストを見せてもらった。自分の担当分野だけでも、気になる点が色々。
【哺乳類】
・1990年代以降にニホンイタチが記録されてることになってるけど、疑わしい。標本か画像がないと採用できなさそう。
・アナグマとハクビシンが入ってない。いてもおかしくないけど。
・ムササビが入ってない。隣接市のすぐ近くにはいるけど、まあいないのかも。
・コウベモグラの情報がちょー少ない。まあ多くはなさそうなエリアだけど。
・イエネコが入ってない。ブラックリストにあげるなら入れないと。でも入れたくないのかな? たしか前回は、大人の判断をされた気がする。
【鳥類】
・オジロビタキが入っていて、ニシオジロビタキが入ってない。記録があるのは、ほとんどニシオジロビタキのはず。
・近年、カワガラスが記録されてることになってるんだけど、疑わしい。
・イカルチドリの記録があるけど、繁殖期に河川周辺なのか、冬期に水を抜いたため池なのかが気になる。
・ウズラが記録されていて驚いた。
【爬虫類】
・ヒガシニホントカゲが記録されてるけど、本当かなぁ。これは鱗は目安にしかならないから、同定にはどうしても標本がいるらしい。面倒。
・ヤマカガシがやっと記録された。これは今まで記録がなかったのがおかしい。
・ニホンイシガメは、飼育個体由来なのかが気になる。
・ワニガメが記録されていて、カミツキガメが記録されていないのはおかしい。
【両生類】
・アフリカツメガエルが記録されていて、衝撃。小河川でとのこと、繁殖していないか要確認。
・すごい久々に最近カジカガエルが記録されているのだけど、本当か気になる。泉南市方面では、近年山の麓の市街地を流れる河川でカジカガエルが見られるので、可能性はなくはない。
・ツチガエルやタゴガエルの記録も要確認かなぁ。
・アカハライモリが近年記録されていないのが、残念。
●2020年1月23日 サギについて邪推する
嘴が長めなのは、魚を捕るサギ。
足指が黄色いのは、足を振って採食するサギ。
どうだろう?
サギ類の中で、頭の大きさに対して、嘴が短めなのは、チュウサギとアマサギ。あまり魚は食べずに、カエルとか虫とかをよく喰ってる感じ。
一方、嘴長めのアオサギ、ダイサギ、コサギは、基本、魚狙い。
魚狙いのササゴイやゴイサギも嘴は、割と長めやんね。
魚狙いのサギ類の中で、足を水の中で動かして、魚を探すというか、追い出すというか。そういう行動するのは、コサギ。ササゴイやゴイサギはしない。ダイサギやアオサギもしないよねぇ。
つまり、足が黄色いのは、その行動に関係があるんじゃないかってこと。この仮説が正しければ、カラシラサギも足を動かして採食するってことになるんだけど。どうかなぁ?
●2020年1月22日 鳥の質問いろいろ
シニアな方々に、鳥と果実の話を一通りした。で、終わってから、30分以上質疑応答タイム。どんな質問があったか、できるだけ記録してみる。
・数年前、西宮市でハッカチョウが繁殖している場所があった。
→詳しい場所と観察日をメールで送って下さい。
・鳥の個体数を調べていたが、正確な数を出すのは難しいのでは?
→誤差があるのは当たり前。誤差があっても何が言えるのかを考えるのが大切。
・木の果実は、鳥に好んでもらう色をわざわざ付けているらしいが、早く食べてもらうことにどんなメリットがあるのか?
→好んでもらうというより、見つけてもらうために果実に(紫外線反射を含む)色を付けていると思う。大部分の果実は、遅かれ早かれ散布はされるのなら、早く散布されるメリットは思いつかない。木の枝に付いてる時間が長いか、地面に落ちてる時間が長いかの違いだとすると、むしろ遅く散布された方がメリットがある可能性もある(虫害を避けられるとか)。
・大阪のオオバンは、どうして増えたのか?
→1980年代に琵琶湖で繁殖するようになって、大阪でもオオバンが見られるようになった。その後、数年前から激増しているのは、中国で越冬していた個体群が、日本で越冬するようになったからという説がある。
・オオバンは、変わった水かきだけど、水鳥なのか?
→水かきの有無にかかわらず、水鳥は水鳥。
・小鳥は食物がいっぱいあると太らないという話があったが、人間は食物がいっぱいあるといっぱい食べて太ってしまうのをどう思うか?
→鳥は、体重が増えると、飛行能力に影響が出て、生存率の低下に直結するというシビアな動物。その点、人間は多少太っても、生存率に大きな変化はない。とくに食料豊富な現代社会では、食べ過ぎて成人病になっても、そこそこ生きられるので、強い選択圧はかからない。太る人がいっぱいいるのも無理はない。
最初は、ハッカチョウやヒヨドリと果実といった話した内容に即した質問だったが、どんどん離れた内容になっていくのは、いつもと一緒。
●2020年1月21日 博物館実習のまとめ
今日、冬の博物館実習の後始末をした。これで、今年度の博物館実習も終了。一部補講が必要な人などを除いて。
2019年度は、夏、秋、冬の3コースで、合計25大学から54名の実習生を受け入れた。当初の希望は、夏コースに集中したので、秋や冬に変更可能な学生を募った。その過程でなぜか2名がキャンセルしてきた。その結果、夏コース20名、秋コース13名、冬コース21名。
ちなみに夏コースと冬コースは、3日間は5班に分かれての標本実習になる。1班は4人までがありがたい。ということで20人までにしてる。が、現在は学芸員が2名欠員が出ていて、4班体制になることを失念。おかげで、1班5人で回す事に…。1班5人でもいけるやん、と言いつつできれば4人がいいなぁ。
秋の普及コースは、フェスティバルにスタッフとして参加してもらう。この人数はもう少し増えてもいいかも。あと、体力がある人の方が望ましい。体力ある人を希望って、要項に書くのはありだろうか?
ともかく、来年度も同じパターンの予定。夏コースの最終日は標本同定会、冬コースは博物館たんけん隊を手伝ってもらう。秋コースは、大阪自然史フェスティバルのサポートは同じだけど、9月になりそう。どんでん返しで、フェスティバルの日程が変わったら、博物館実習の日程も変更になるので面倒。
秋コースは、フェスティバルに全面的に参加するので、満足感は高いけど、体力がいるし、労働時間が長め。夏コースと冬コースは、虫が嫌いな人とか、薬品の臭いに弱い人とか、ホネが気持ち悪いとか。そんな人には覚悟がいる。HPでどこまで断っておくかは難しいところ。
実習を担当した学芸員が、担当した日に実習ノートをチェックする。というのは、けっこう浸透した様子。
学生や教員が挨拶に来るのは断ると、HPにきっぱり書いたら、ほとんどなくなった。とても有り難い。
実習後、成績表的なのや実習ノートの評価欄を仕上げて大学に送るのだけど、相変わらず館長印や公印を欲しがる大学があって面倒。しかし、レターパックを用意してくれる大学が増えて、その点は楽になってきた。
●2020年1月19日 カモを追うもの、魚の食べ方、海辺の羽根拾い
今日は三大話。博物館友の会の月例ハイクという名ののんびりした行事で、甲子園浜に行ってぼんやりする企画を立てた。ビーチコーミングとバードウォッチングの2本立て。羽根拾い少年達には、まさにピッタリの企画だなぁ。ただ、他の参加者を見渡すと、ビーチコーミング目当ての小さい子ども連れと、バードウォッチング期待のアダルト層。と二極化した感が否めない。で、バードウォッチング担当としては、のんびりビーチコーミングする暇はなく、ひたすら鳥を見つけて解説する一日だった。鳥の観察の行事より忙しかったかも。
水面に浮いてる鳥が思ったより、下見より少ないのが印象的だった。その少ない鳥をいろんなものが追い払ってくれる。ウィンドサーフィン、SUP(スタンド・アップ・パドル・ボート)、ヨット、漁船。傾向が違うのが面白い。
ウィンドサーフィンとSUPは、人が近付いてくるのと一緒なので、みんな逃げる。でもSUPは背が低いからか、接近速度が遅いせいか、飛ばすのではなく、鳥が泳いで避けてる感じ。
一方、ヨットは、背が高く大きくて、接近速度も速いからか。鳥が全部飛んでしまう。1000羽以上のホシハジロの群れが、一斉に飛ぶのはけっこう壮観。ところが、同じくらいの大きさと速さなのに、漁船の場合は、近くの鳥がちょっと飛んで、進路をあける感じ。高さがないからか、見慣れているからか。
セグロカモメとミサゴが、同じような大きさの魚を食べていたのだけど、その食べ方の違いが面白い。ミサゴは足で押さえて食べるんだけど、セグロカモメは足で押さえない。ミサゴは、4羽ほどが魚を捕りまくっていた。そして、鋭い嘴を使って、岩の上で、ピチピチの魚を食べていた。一方、セグロカモメは、死んだチヌ(?)を見つけて食べてるんだけど、嘴の先で、小さな肉片をチマチマ食べてるように見える。あれではイライラしそう。
どこに行っても、羽根拾い少年たちは鳥の羽根を拾う。海岸では、おのずとカモの羽根が多い。カワウ、ドバト、アオバト、セグロカモメ以外はカモの羽根ばかり…。とても困る。
あまり個体数はいないのに、けっこうハシビロガモの羽根が拾われていた様子。
●2020年1月18日 不思議な講演会
前半は、大阪の外来生物の話。後半は、昭和の広告の話。なぜこんなセットに? 複数の博物館をたばねる機構が企画した講演会で、なんでも博物館にいる学芸員の顔を市民に見せるのが目的らしい。そんなん、各博物館でやってるから、いらんやろ。そもそも博物館はそれぞれ、ぜんぜん違う専門性を持っている。おのずと顧客層の異なる。そんな関連のないテーマを2つ持ってきても、顧客層が困るだけなのに。企画者にターゲットはどんな層?と訊ねたら、ぼんやりと大阪市民という答え。イマドキこんな雑な企画も珍しい。
鳥好き少年は、前半だけ聞いて、出てきてもいいかと質問してきた。実際、前半だけ聞いて、出て行くお客さんもチラホラいた。なんせ会場が大阪市立自然史博物館なので、アートな話題はアウェイ。
で、両方を聞いた参加者からコメントを頂いた。真面目な話と、おもろい話が対照的で良かったと…。こちらも真面目な話をしたのに…。でもまあ、もう一人は、美術館のシュッとした学芸員だし、スタイリッシュな話をしていた。近現代美術の学芸員は、必ず黒で決めて格好いいのは何故? 一方、こちらはジーパンに草履の自然史な学芸員で、笑いを取れればOK、ってな講演なので、まあ仕方が無いかも。
●2020年1月17日 冬の博物館実習終了 今年も斬新な展開が
今日で、冬の博物館実習5日間が終わった。なぜか毎年、冬の博物館実習では斬新な展開がまっている。昨年は、無断で一度も来なかった奴が1人。今年は、集団芸とあいなった。
初日のオリエンテーション。午後から気分が悪くなって、救護室で休むのが1人。夕方には復活して帰っていった。
2日目、行事のサポート。午後から気分が悪くなって、救護室で休むのが1人。夕方には復活して帰っていった。ちなみに初日とは別の人。
3日目、1人が体調不良ということで、休み。朝、連絡してきた。
4日目、同じ1人が今日も休み。連絡がない。
5日目、朝、同じ1人が今日もいない。連絡もない。と、思ったら、その日の実習ノートは提出されていた。連絡もなく遅刻してきて、そのまま実習を受けて帰っていったらしい。
毎日、誰かがトラブル。毎年想定しない展開が待っていて面白い。
体調が悪くなるのは仕方がないとして、連絡もない休んだり遅刻されるのは、学芸員にはけっこうありそうだけど、社会人としてはどうかなぁ。ちなみにうちの博物館実習は、各自に担当の日を設けて、その日の実習内容をブログに書いてもらう。出席してブログを書いてクリアというシステム。3〜5日目のんは、休んでブログ書いてないから、規定通り、その後の対応は放置。
【追記】
放置していたら、数日後、3〜5日目のんの大学から連絡があったので、事情を説明。そして、ようやく本人から連絡。補講を希望だそうで、友の会総会を手伝ってもらった。
●2020年1月16日 Mixi15周年
この日記めいたものを書き始めて、昨日でMixi15周年。Twitterを始め、Facebookの面倒まで見だしてから、かつてほど毎日書いてないけど、長めの日記はここに書いてる。書き忘れると、なにかちょっと残念気がする。ガラケーからも書けるんだけど、しばしばトラブルに見舞われるのは何故だろう?ともかく、まだ当分は続けそう。
例によってこの1年365日の中で何日書いたか(実際には、何日書いてないか)を数えてみると、310日書いていた。2年続けて300日台。
ちなみに過去を振り返ると、一年目325日、二年目344日、三年目331日、四年目324日、五年目329日、六年目303日、七年目315日、八年目304日、九年目295日、十年目265日、十一年目は279日、十二年目は284日、十三年目は288日、十四年目は306日書いていた。Twitterを始めた六年目に激減し、十年目でさらに減少。十一年目以降、少しずつ盛り返してる気がしてたけど、回復基調は確かな気がする。
●2020年1月15日 Twitter10周年
Twitterを始めて丸10年が今日かと思ったら、昨日から11年目に突入していた…。とう訳で、10年前の昨日Twitterを始めた。
丸十年経って19420tweet。最初の一年に2922tweet、二年目は2674tweet、三年目は2494tweet、四年目は2188tweet、五年目は1827tweet、六年目は1667tweet、七年目は1534tweet、八年目は1387tweet、九年目は1436tweetつぶやいた。そして、この一年は1291tweet。昨年は歯止めがかかったかと思ったけど、やっぱり減少傾向が継続している。
フォローしてるのは227名。9周年で209名、8周年で199名、7周年で201名、6周年で184名、5周年で180名、4周年で184名、3周年で167名、2周年で157名、1周年で143名。この一年で急激に増えて、史上最多を更新。
フォロワーは、3488名。9周年で3202名、8周年で2842名、7周年で2580名、6周年で2272名。5周年で1955名、4周年で1757名、3周年で1472名、2周年で1108名、1周年で659名。9周年には一気に360人も増えたけど、この一年は286人増えただけ。といっても多いけど。
ついに10年続いた。Mixiはもうレガシー、Facebookは意外とねばり、LINEは連絡ツールとして確固たる地位、そして、今やInstagramの時代かも。だけど、引き続きTwitter中心での発信を継続の予定。
ってわけで、コンタクトは、出来ればTwitterの方でよろしく。TwitterからFacebookにフィードできなくなったので、Facebookは他人の画像や動画をリツイートするだけ。
●2020年1月14日 割り付けの夜
昨日は午後6時頃から6時間ほど。そして今日は、午後2時頃からエンドレス。明日にはページ数を確定させなくてはならないので、割り付け作業で朝を迎えそう。と思ったら、午前5時に終了。夜明けは見ずに済んだ。
昨日と合わせて21時間で割り付け完了。全部で150ページになったので、1時間で7ページちょっとという計算にはなる。でも、実際は割り付け作業自体よりも、テキストと図表の下準備の方に時間がとられる。どこに図表を入れるか指示してくれる著者はいいけど、お任せの著者もいて、指示があってもこちらから追加発注が必要とかもあって、こちらで全体を見渡しながら考えて、設定。さらに割り付けながら、図表を増減させる(ってゆうか、減らした)。さらに少しテキストをいじって、収まりをよくしたり。
●2020年1月13日 成人の日恒例 鳥の皮むきショー2020
今日は、1月の連休恒例、小中学生に鳥の皮むきを見せる日(実際には小学生ばかり)。他の人は年によっていろいろ分担が違うのだけど、毎年鳥の皮むきを仰せつかる。
見栄えのする大きな、あるいは奇麗な、あるいは説明するネタのある鳥を用意するのが通例。で、今年はハヤブサとトラツグミ、キビタキを用意した。
早めに鳥を測定しておき、プログラムが始まる前から鳥を剥き始め、3班に分かれて順次やってくる子ども達を待ち受ける。
午前は中学年の反応がよく、高学年が静か。最初は中学年。ハヤブサの胴体を取り出した状態で見せる。やたらと写真を撮りまくる人たち。ハヤブサの換羽やトラツグミの尾羽の数まで話した。サイは角をのせてみせる。次は高学年。脚の肉を取りながら説明。サイの角をのせたままだったので、今度は、下顎の上にのせた。最後は低学年。少しにぎやかだけど、写真はあまり撮らない。ずーっと何人かが喋っている。目玉を取り出して見せる。あとはハヤブサの換羽の話とか。サイは3点セットになったままで、正体もすぐにばれた。
午後は低学年が一番やかましかった。最初は中学年。トラツグミを剥き進めてたので、取り出した胴体を見せる。そしてサイの頭骨に角をのせて見せる。次は高学年。やはり一番静かだし、人数も少ない。目玉を取り出してみせるも反応薄め。最後は低学年。キビタキを剥き始めたところだったけど、取り出してあったトラツグミの内臓を見せる。やはり心臓を見たがる。一番前にいた女の子が、キモチ悪い、と言いながらずっと見てたけど、なぜか心臓を見せたら逃げた。サイを前にしたら、ずーっと複数人がしゃべっていて、あまり説明できず…。
デジカメで撮りまくる子どもは、中学年が一番多かった。高学年はそもそもあまり撮らない様子。最後にやってくる低学年は撮りたいけど、来るまでにメモリーを使い尽くしている子がいるっぽい。
サイは、頭骨と下顎骨と角、及び寛骨を見せた。大腿骨が欲しかったというリクエストあり。角が毛の集まりってことを知ってる子どもが多かったが、イボと答える子どももけっこういた。
前のテーブルには、ハシボソミズナギドリ、オオハム、ミツユビカモメ、セグロカモメ、オオバンの仮剥製を並べてあった。ハシボソ水ナギドリの臭いの話をするのを、忘れていて、一度しかしなかった。
●2020年1月12日 冬の博物館実習スタート
今日から、今年度最後の博物館実習、冬の一般コース5日間がスタート。連休の2日間の後、1日あけて3日間の日程。間に休みをはさむパターンは昨年から。今年のパターンを記録しておこう。
今日は初日なので、本来なら1日オリエンテーション。博物館の概要を座学的に解説した後に、展示室、管理棟、収蔵庫を順次めぐるツアーに旅立つ。しかし、冬は初日から違う。午後に明日の行事の研修があるので、午前を中心にオリエンテーション。管理棟と収蔵庫のツアーは研修でやるので、ツアーは展示室へ。
で、今日のスケジュール。
09:30 博物館実習スタート 出欠取って、資料を配って、名札を作らせて、友の会に入会させる。ブログの担当も説明(担当したブログを書いて始めて、実習を受けたと認めることを宣言)。
10:00〜11:40 博物館の間取り、沿革、事業内容(研究、資料収集、展示、普及教育)、友の会・サークル・ネットワークなどの説明。フェスティバルの意図も真面目に説明。博物館に足りないものとして、お金、人手、スペース。
(11:40〜12:40 昼休み)
12:40〜13:50 展示室見学ツアー(常設展)。メンテナンスがメインテーマ。電気の球換えの難しさ、掃除のしにくさを中心に、ダメなケース、ダメな展示を紹介して歩く。また壊されやすい展示を説明して歩く。第5展示室では、展示の意図と、アナログのゲームや仕掛けの難しさも解説。 博物館におけるミュージアムショップの普及教育的意味についてもふれた。
(13:45〜14:00 休憩)
14:00〜15:25 はくぶつかんたんけん隊の研修 ※担当は別の学芸員
15:25〜16:00 実習ノートの記入。
本日特筆すべきことは、単位関係なく参加している学生さんが1名。面白いなぁ。
実習ノートは学芸員とのコミュニケーションツールとして使うように指導してみた。面白かったとか、感心したとかは、NGワードに。質問があれば書くようにも言ったけど、あまり質問は書いてなかった。
実習ノートをチェックしてみたところ。
午前の博物館のオリエンテーションでは、
・美術館と自然史博物館との違いを話した部分への言及が多かった。日頃、美術館の話をよく聞かされている様子。
・特別展では、タイトルがとても重要という話も気に入ってもらえた様子。
午後の展示室ツアーでは、
・予想通り、学芸員目線でメンテナンスやコストを中心に展示を見るのが新鮮だったらしい。他の博物館でも試してみようと書いてる人がちらほら。
・ハンズオン展示は、メンテナンスコストの増大につながる恐れがある。って点に反応している人も多かった。大学の教員は、とにかくハンズオン推進派が多いらしく、そのコストについての言及はない様子。
・オープンな展示はほこりとの闘い、って話も、大学教員と言ってることが違ってると反応している人がちらほら。
●2020年1月11日 2回目のハッカチョウのねぐら観察
兵庫県のハッカチョウの集団ねぐらの一つが、JR東加古川駅の北西の大規模商業施設の加古川店にあると教えて頂いた。ネットに動画がアップ(http://proto-ex.com/data/803.html)されていたのだけど、場所がよく分からずにいたら、これまたネットで教えて頂いた。そういう目で、アップされている動画を、ストリートビューと比べて見る、と詳しい場所まで分かった。という訳で見に行くことにした。
到着したのは、16:02。この日の日没は、17:07。ちょっと早いので周辺をウロウロしていたら、安売りの殿堂の加古川店の屋上看板にハッカチョウが多数集まってるのを発見。慌てて見に行く。屋上が駐車場になっているので、上に登って観察。
16:30時点で約70羽。その後、数羽ずつ飛来して、個体数が増えていく。行ったり来たりしているのから、16:50時点で約180羽まで数えられた。日没を待って、観察終了。集団ねぐらの位置が変わってたんだなぁ。
と思いながら、帰ろうとしたら、17:11にハッカチョウが一斉にすべて飛び立って、ビックリ。ひとまとまりになって、大規模商業施設のシネマ館の屋上に移動した。あわてて降りて見に行く。ネット動画の場所に入るんだと思って、行ってみるけどさっぱりいない。おかしいなと、回ってみると、ネットの動画とは建物の反対側で大騒ぎしていた。屋上すぐ下の外側が張りだしていて、その下に管が走っている。その管に乗って寝るらしい。安売りの殿堂は塒前集合だった。
特筆すべきは、2点。
・塒前集合では、ハッカチョウたちは、少しは鳴くものの、おおむね静か。これなら苦情は出なさそう。ところが、塒では大騒ぎ。もの凄くやかましく、これでは苦情が出そう。
・塒前集合の時点で、周囲をムクドリの群れが行ったり来たりしていたが、ハッカチョウに混じろうとはしなかった。17:10にムクドリ4羽が、ハッカチョウの群れの中に降り立ったのだけど、すぐに飛び立った。その後は周囲を飛びまわるも、ハッカチョウには混じろうとしなかった。
●2020年1月9日 甲子園浜でビーチコーミング
鳥屋的には、甲子園浜は鳥を見に行くところなんだけど、今日は来週日曜日の行事の下見にいった。その行事はビーチコーミングと鳥見の二本立て。貝とかカニとかに詳しい人と一緒に行くと、ビーチコーミングは楽しい。
目に付く貝殻を訊ねまくる。マガキ、コウロエンカワヒバリ、ミドリイガイ、ウネナシトマヤ、サルボウ、アサリ、クチバガイ、ヤマトシジミ、イシマキガイ、ヒメタニシ、アラムシロ、イボニシ、ウミニナ、シマメノウフネガイ。あとムギガイ?と訊ねたら悩み出して答えが出なかったのが1つ。ムギガイっぽいけど、こんな環境にいるのかなぁ、ってことらしい。こんな環境にいるのかなぁ、と言えば、最寄りに鳴尾川程度しかないのに、イシマキガイやヒメタニシがいるのも、こんなんいるのかなぁ案件。
貝以外では、甲殻類が目立つ。とりあえずフジツボは見分けやすいらしい。タテジマフジツボ、ヨーロッパフジツボ、アメリカフジツボ、ドロフジツボ。いや、同定可能ってだけで、素人目には貝以上に難しい。一方、カニのハサミがけっこう落ちてるけど、これは専門家も悩み出して面白い。
植物の実も拾える。気付いたのは、イチョウ、センダン、ヒシ、ジュズダマ、ムクノキ、ナンキンハゼ。
鳥の羽根も落ちてるけど、カワウは分かるものの、縞々のカモの羽根は難しい。さらに訳の分からんスズメ目の体羽を貝屋が拾ってくるから、これはカニのハサミを持ってくるのと同じで難しい。というと、納得してもらえた。これからこれで行こう。
ホネは、魚ばかり。でかくて格好いい神経頭蓋が落ちてて、ボラかと思ったけど、マダイだろうか? イボイボのついた歯骨は、マダイっぽい。食べ跡?
フジツボ3種!とか宣言して、3種見つける競争とか。二枚貝5種!とか、巻き貝4種!とかで対決すると、かなり盛り上がる。ウニを探したけど、見つけられなかった。レジンペレットはいっぱいあった。
●2020年1月7日 軍事研究の魔の手
とても恐ろしいお話を聞かせて頂いた。
●2020年1月7日 特別展解説書の編集
とりあえず、2019年12月末で、自分が書くべき原稿を一通り書き終えた。ってことにした。実は、少々残ってるけど。
2020年の年が明けて編集作業を開始。
1月1日は、他の5人の書いた原稿と、自分の原稿を、章ごとに1つのファイルに並べて力尽きる。
1月2日からは、テキストの手直しをしながら、全体を再構成。
1月4日、3日間で、第1章から第4章まで、おおむね半分強の作業が終了。各執筆者にここまでのパートでのテキストの追加発注。
1月7日、3日間で、第5章から第9章までの作業を終了。再び各執筆者にテキストの追加発注。
残る作業は、
図表を整える。ってゆうか、自分のも含めて準備が必要。
文献リストを整える。
大阪府外来生物リストを整える。
謝辞と奥付を完成させる。
ってゆうのが、終わらなくても、とにかくざっとでも割り付けをして、全体のページ数を決める。で、仕様書を確定して、業者選定。
遅くとも1月末には入稿。校正。完成。2月末に間に合うかなぁ。
●2020年1月6日 今年のレシピ2020
恒例の焼き芋。今年もそのレシピを記録しておこう。昨年のレシピを参考にするのを忘れたのが悔やまれるが、今年は今年でいろいろ新たな発見があった。
とりあえず、今年のテーマは素材を活かす。などというと格好いいけど、いろいろ凝るのが面倒になって、素材をそのまま炙ったり、ホイルに包んで焼いたりするだけ。それもホイルを持って行って、現地で包む。下処理したのは鶏肉をタレに漬けた程度。
・炙りソーセージ
定番で間違いなく美味しい。今回は、長い生枝を使ったので、とても快適に炙れた。
・炙り子持ちシシャモ
これも間違いなく美味しい。枝に刺すとモズのハヤニエのようと言われたけど。
・炙りカマンベールチーズ
この辺りから微妙になる。炙ったら美味しいには違いないけど、温まる前にトロけて落ちた…。
・炙りみたらし団子
炙られたタレが表面でキャラメル状になる、一方で団子は軟らかくなる。上手に炙れば美味しくなる予感はある。しかし、現実は今一つうまくいかない。そしてキャラメル状のパリパリは好きじゃない。
・焼きバナナ
皮付きのまま放り込んで、皮を剥いて食べる。定番で美味しいはずが、今年のバナナはまだ未熟だった〜。あまり甘くならないし、軟らかくもならなかった。もう少し熟したバナナを用意すべし。
ちなみに、食べさせてもらった焼きミカンが意外に美味しかった。
・焼き小芋
皮付き小芋をホイルに包んで焼く。衣かつぎみたいになる。手で皮が剥けて、中はホクホク。味付けになにか用意した方が良さそう。
・焼きミニトマト
ホイルに包んで焼くだけ。間違いない美味しさ。オイルにたまった汁も美味しい。これを何かに使いたい。
・焼き鶏
砂糖醤油につけた鶏肉を、現地でホイルに包んで焼いた。美味しい。たくさんの美味しい油がホイルにたまって、これも美味しいし、何かに使ったらよかった。一緒にキノコを包むとか? ただ、冬とはいえ、前日から常温だった鶏肉は微妙に味が変わってる気がする…。
・バターマイタケベーコン
3つをホイルに入れて焼く。そら間違いなく美味しい。
・ベーコントマトチーズ
ベーコンとミニトマトとカマンベールチーズをホイルに包んで焼く。美味しいけど、チーズはとけて、ホイルにたまる。
・焼きリンゴ
小さいリンゴを丸ごとホイルに包んで焼く。美味しいけど、切った方が食べやすい。バターが加わったらさらに良さそう。
・焼きタマネギ
皮付きタマネギを、丸ごとホイルに包んで焼く。量が多すぎる…。
●2020年1月5日 鳥の剥き初め占い
今日は、今年最初のなにわホネホネ団の鳥の日。つまり鳥の剥き初め。今年の剥き初めには、ミツユビカモメを選んだ。
綺麗な成鳥でなんだけど、胸が開いて、肉が喰われていて、乾燥気味。けっこう苦労するかと思ったら、以外とあっさり剥けた。頭も乾燥気味だったけど、ギリギリちゃんと剥けた。むしろ体液がでなくて剥きやすかったかも。
という訳で、今年の運勢は、中吉。いっけん難しそうでも、挑戦すれば、案外うまく行くことでしょう。
●2020年1月4日 今シーズンの皮皮団
皮皮団は冬に活動する。で、処理済みの皮をなめし液に浸けて忘れる。年末に思い出して、洗って干して、乾かしつつ可能な範囲で軟らかくする。この年末年始の皮乾かしは、なんとか昨日終わった。今回は、たいへん残念な展開をしたけど、できる限りのことはしたと思う。これにめげずに来年に向かっていこう。と言う訳で、今日は今年の年末に向けての皮処理。と思ったら、年末の仕事納めの後に大物がやってきて、今日は急遽大物2体の処理。その片隅でテン1体の処理ができただけ。
今シーズンは皮皮団の活動開始が遅れて、12月になってようやく活動開始。ここまで処理したのは、テンとかイタチとか小物ばかり。小さい皮の処理がたまっているので、小さいのを頑張ろうということでもあるし、小さいので皮処理できる人を増やそうという意図もある。ただ、なかなか冷凍室が空かないし、一方で、9月の大物2体に、今日の大物2体。大物処理をしたい気持ちも増えつつある。どうしようか悩み中。ただ、大物処理は寒い季節しかできないけど(時間がかかるから)、小物ならもう少し暖かい季節にも処理できるかも、という思惑もあったりする。どうしようかなぁ。
●2020年1月3日 2020年を予言
と言う訳で、1月3日は、この1年に身の回りで起きる出来事を予言する日。
目標は達成しないと意味がないけど、予言であれば外れても、頭をかけばいいだけ。あるいは、当たっていると言い張る、という教祖的な技も繰り出せる。とはいえ、今までにないほど外れた。外れる恐れのある予言は、もう少し言葉をぼやかすとか、教祖的な下準備が必要と思わされた。まあ、予防措置をしすぎていても、予定調和過ぎて面白くないけど。という訳で加減をしながら予言をしてみよう。
まず、お出かけ的には、3月に名古屋、8月に岐阜、9月に北海道に行くであろう。これ以外に3日以上連続して大阪を離れることはないであろう。
春には大阪で外来生物の展示が開かれるであろう。9月か11月には大阪で、自然史関連の大きなイベントが開かれるだろう。
20年ぶりに大阪府のため池で繁殖鳥の様子が明らかになるだろう。
ついでに言えば、博物館の運営体制は相変わらず迷走したまんまであろう。現場を指導してくださるような奴がいる限りは、まともにはならないってことだな。
あと、今年は1年に100冊ちょっとの本を読むだろう。
そして、ネコを飼う。と、予言したいけど、外れそう。
●2020年1月2日 鳥の日の成果2019
なにわホネホネ団の活動に「鳥の日」を設定することにしたのが、2012年9月。2013年からは、毎月1回、通常活動日(いわば哺乳類の日)の他に鳥の日を設定することにした。2019年の鳥の日の活動成果を集計しておこう。
2019年の鳥の日
・活動日:12日間(2月の活動は、サイ処理に変更。5月に2日活動)
内、西表島鳥類調査隊の活動はなし
・処理した鳥の個体数:126羽(皮剥きのみ、鳥の日以外の活動日の処理数は除く)(平均10.5羽)
他に、骨取り+羽のサンプル採取の処理が8羽。
・のべ参加者数:132名(平均11.0名)
内、見学者10名(平均0.9名)
というわけで、2019年も鳥の日の活動で、鳥の仮剥製が随分増えた。参加者数は昨年並みを維持。キンバト処理がまたもや中断。年間で海鳥メインの日が4日程度。小鳥を出した日が4日。さまざまな鳥を処理している日が多かった。
参加した人は、27人。12人ほどは、割と任せられる。
<過去の鳥の日の記録>
・2018年
・活動日:12日間
・処理した鳥の個体数:166羽(平均13.8羽)+骨取り2羽。
・のべ参加者数:179名(平均14.9名)内、見学者28名(平均2.3名)
・2017年
・活動日:13日間(10月に2日活動)
・処理した鳥の個体数:170羽(平均13.1羽)+骨取り2羽。
・のべ参加者数:196名(平均15.1名)内、見学者34名(平均2.6名)
・2016年
・活動日:14日間(11月に2日活動)
・処理した鳥の個体数:172羽(平均12.3羽)+骨取り6羽。
・のべ参加者数:204名(平均14.6名)内、見学者28名(平均2.0名)
・2015年
・活動日:11日間(9月は活動なし)
・処理した鳥の個体数:125羽(平均11.4羽)+骨取り6羽。
・のべ参加者数:122名(平均11.1名)内、見学者19名(平均1.7名)
・2014年
活動日:13日間(9月、12月に2日活動、10月は活動なし)
処理した鳥の個体数:140羽(平均10.8羽)+骨取り19羽
のべ参加者数:152名(平均11.7名)内、見学者25名(平均1.9名)
・2013年
活動日:15日間(4月、9月、12月に2日活動)
処理した鳥の個体数:225羽(平均15.0羽)
のべ参加者数:205名(平均13.7名)内、見学者32名(平均2.1名)
●2020年1月1日 一年の計
起床は、午前8時前。でも二度寝。次に起きたのは、午前9時過ぎ。歯を磨いて、シャワーを浴びる。年越し蕎麦の汁に、焼いた餅を入れて、雑煮を食べる。今年はネギを入れすぎた。今年も天気がいいので窓を開けてみたら、とても暖かい。気温は摂氏10度前後のようだけど、風はなくて日差しがポカポカ。しばらく日向ぼっこしながらゴロゴロ。そして昼過ぎに、博物館へ。ここ3年、ほぼ同じパターン。
博物館では、とりあえずメールをチェック、急ぎの返事が必要なメールはなく、SNSもとくになし。サイトを少し更新してから、鳥類標識調査の報告作製。解説書の編集作業に手を付けて、軽く皮と戯れて、早めに帰る。昨年よりは仕事をしてる。
元旦なので、警備員さんにしか会わない。警備員さんにも会釈しただけ。結局、誰とも話さない一日。だいたい元旦はこんな感じ。
一年の計は元旦にあるとすると、今年もほとんど人とのつながりのない一年になりそう。かろうじて、仕事はこなされていくかも。そして、今年こそ独り言を無くしたい。話し相手ができれば解決なんだけど。ネコにでも出会わないかな。