日記風覚え書き
2020年4月、5月、6月
(2005年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2006年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2007年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2008年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2009年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2010年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2011年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2012年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2013年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2014年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2015年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2016年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2017年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2018年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2019年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2020年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月)
●2020年6月30日 2020年6月のまとめ ようやく自然史博物館の展示を再開、外来生物展もオープン
自然史博物館の常設展が2日にオープン。展示は完成したものの、3月からずーっと閉じたままで、真っ暗闇の中で魚を飼ってるだけだった外来生物展。その外来生物展がついに6月8日にオープン。いつまで開けてられるかはよく分からないけど、とりあえず6月末時点ではまだオープンしてる。
そんな6月を振り返ってみよう。
ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。
ハッカチョウセンサス奈良県1コースと京都府1コースに加えて、京都府に宇治川の新コースを追加。この4月にハッカチョウが複数回観察されているので、期待して調査に行ったが、まるで見つからず…。
ホネホネ団は、ようやく活動再開。通常の活動日1日、鳥の日1日、カリカリ団3日を実施。ただし、全員マスクして、定員は18名(部屋の定員の半分)までというしばりつき。という訳で、予約制になって面倒。
普及行事は、全面中止のまま。ただ読書サークルの会合は試しに実施してみた。やはりリアルで集まる方が楽しい。
なんとか開いた外来生物展。2月にはあるかもと思ってたけど、3ヶ月以上経ってすっかり忘れてたが、ネコの展示クレームが。てっきり外来生物としたことが問題視されるかと思ったらあ、ノネコという言葉が問題とされて、いわば文化の違いに驚いた。一部ネットでプチ炎上しているらしい。ただ面白くないのは、一人がアップした画像で炎上してるだけど、メールや電話をよこす誰も展示をみてないこと。後半には市長への手紙という展開も。
講演はなし。実習もなし。
委員会もなし。
査読は、身近な某団体のを2本。論文は書いてない。
とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系7冊と、SF0冊。
完全休養日はなし。
●2020年6月29日 トラックヤードの片付け
今日は、ほぼ1日トラックヤードを片付けていた。えっ、トラックヤードは4月末には片付いてたんじゃないの?と思ったみなさん。それは本館にある通称旧トラックヤードのことだな。トラックヤードは2ヶ所あって、今日片付けたのは新館の通称新トラックヤード。新しいといってもできてから20年。たまりにたまった色んな物で、トラックの荷下ろしにも不便が出かねないくらい。そして、その責任の8割方は、一人の学芸員にある。ってことで、責任を感じて片付けを始めた。というのはウソで、別の大物を置きたいので、場所を確保するために片付け始めたのである。
●2020年6月28日 ホネホネ部屋の終焉
今日のなにわホネホネ団の活動日をもって、この4ヶ月ほど存在していたホネホネ部屋がその存在を終了した。博物館の資料収集事業という側面から考えると、極めて有効に機能していたのだが、世の大勢には逆らえない。再び我等が勢力を盛り返して、ホネホネ部屋が復活することを願おう。
と、書いたりしたら、新型コロナウイルスが蔓延することを願っているようで、極めてまずい。決して、そんなことを願っている訳ではないのだけど、新型コロナウイルスは数々の悲劇と問題を引き起こしたけど、思わぬ恩恵ももたらしたりもした。ということを、少し指摘してみただけ。
●2020年6月27日 読書サークル 第109回会合覚え書き
隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。新型コロナウイルス感染症のせいで、4月の会合が流れたので、4ヶ月ぶりの会合(5月にZoomでのミーティングはしたけど)。昨日の会合で出た本についての意見を記録。
昨日の課題本は10冊。1冊繰り越されてきたので、11冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。
●「世界史を大きく動かした植物」
(紹介文5つ、平均★数は2.8)
13の植物が紹介される。それぞれの植物の発見と世界に広まる歴史などについては、勉強になったという感想が多かった。でも、個々の植物については個別の本が出ているので、そっちを読んだ方がいいという意見もあり。ざっと見渡すにはいい本だろうって結論に。あとタイトルは微妙。小麦や稲、ジャガイモなどはともかく、チューリップや桜は世界を動かしたか?と疑念も。
●「海底の支配者 底生生物」
(紹介文4つ、平均★数は3.3)
砂浜の波打ち際から、干潟、浅い海まで(深海はあまり出てこない)、海底の穴の中で暮らす生き物が紹介される。世界の海は穴だらけ、ってイメージがよく伝わってる。なぜか受けてたのは、穴の中に居候して暮らすマスオガイなど居候組。ただ全体的なまとまりは少ないとの評あり。東日本大震災の底生生物に対する影響はもっと詳しく書いて欲しかったという意見もあり。
●「進化のからくり」
(紹介文4つ、平均★数は3.5)
前作『歌うカタツムリ』が絶賛だったので、それと比較した人は少し評価が絡め。でも、貝ネタだらけで進化を語っている点は、専門家受けも良く、一般にも読みやすいらしい。そして、当館出身の平野大先生がまたもや登場してくるのが話題に。今も貝の普及につとめていて心強い。
●「クマムシ調査隊、南極を行く!」
(紹介文2つ、平均★数は3.0)
タイトル通り、南極にクマムシ調査に行くけど、調査結果は出てこない。だから単なる紀行文であるという評。南極での生活は面白いけど。とくに思いのほか良いもんを食べてる。
●「南米アマゾン 土を食う動物たち」
(紹介文4つ、平均★数は3.5)
土を食べに集まる哺乳類や鳥がとにかくたくさん登場するのが楽しい。それも日本ではあまり馴染みのない種ばかりが。ジャガーがウロウロする場所で撮影してる!というのも話題に。
●「日本の山ができるまで」
(紹介文2つ、平均★数は3.0)
日本列島のすべての地質を網羅してるらしい。それが良いところでもあり、無理しすぎで微妙なところでもあるらしい。同じ著者の「日本の山はなぜ美しい」の方が読み応えがあったとの意見あり。
●「このあな なんじゃ」
(紹介文3つ、平均★数は3.05)
砂浜や干潟の穴の中にすむ動物を紹介してるだけ。なんだけど、“このあな なんじゃ”という問いかけから始まる趣向が、とても高評価。干潟に行きたくなる人多数。
●「ダイナソー・ブルース」
(紹介文2つ、平均★数は4.0)
恐竜絶滅の原因についての論争とその歴史を紹介する本。なのだけど、意見の違う科学者同士の確執がかなり描かれているらしい。アメリカの研究者は怖いわぁ、という地学屋のコメントが印象に残る。
●「クジラのおなかからプラスチック」
(紹介文8つ、平均★数は3.4)
海洋プラスチック問題を、子ども向けに解説。海洋プラスチック問題の本を取り上げるのは2冊目だけど、こちらの本も高評価。プラスチックの種類やリサイクルの話は、子ども向けだけに丁寧で、大人でも勉強になる。
●「タコの知性」
(紹介文3つ、平均★数は2.7)
いろんなタコのいろんな行動が紹介されるのが楽しいという点では一致。ただ、著者の例え話や、長い前振りが苦手な人もいた。
●「正解は一つじゃない 子育てする動物たち」
(紹介文2つ、平均★数は3.0)
動物の子育てから、人間の子育てを考える本、というイントロを読んで警戒した人もいたが、読んでみると意外にまともという感想だった。ヒト、サル、イルカの研究は、確かに人間の子育て論にもつながるかも。でも、一番楽しく読まれていたのは、動物の行動研究者である著者達が、自分の子育てにコメントしたおまけの小文(各章に必ず付いてる)。みんな自分の子どももまるで研究対象のような視点で見たりするらしい。
●2020年6月26日 特別展で動画の収録
近頃の特別展では、会期中のすべての土曜日くらいの頻度で、ギャラリートークをするのが定番になっている。しかし、今年は新型コロナウイルスのせいで、屋内で人を集めて、その前で話をするってのは、なかなか厳しい。ギャラリートークは、人数制限も、参加者間の距離をとるのも難しい。ってことで、代わりに学芸員が展示を説明する動画を収録して配信することになった。いかにも新型コロナウイルスの時代っぽい。
で、今日は閉館後収録があった。どこのコーナーでどんなテーマで話すかは打合せ済みだけど、具体的にどう話すかは担当者任せで、現場合わせ。その辺りは、学芸員がリードして決める部分が多いけど、立ち位置とかはカメラマンとディレクターの指示に従うのみ。歩きながら話すといった高度な技は、お互い難しいので基本的にはなし。立ち位置と高さを決めて、そこで話をする。でも、ディレクターが細かい注文を出してくる〜。
画角の中に説明する学芸員と標本を入れたい。普通に前に立って話していたら標本が小さくしか写らない。って場合は、しゃがめと言われたり、座れと言われたりする。鳥かごと一緒に写るために狭い場所に不自然な姿勢で座らされた時は、足がつりそうに。
さらに目線や表情やポーズにまで指示がでる。いいタイミングで標本を見ろとか、指させとか、笑えとか。原稿ない中で、考えながら必要事項を話すのにけっこういっぱいいっぱいなので、笑えと言われても笑えない。指さすのを忘れる。するとリテイク。
新型コロナウイルス感染症はやく収まってくれないかなぁ。
●2020年6月25日 アオウミガメの死体回収ミッション
数日前に連絡があった。なんとアオウミガメの死体が打ち上がったというのである。そもそも大阪湾岸にあがったクジラ・イルカ類とウミガメ類の死体はすべて回収する方針。他所が回収するならそれでいいけど、誰も回収しないならうちで回収する。なんとなれば、我がなわばりだから、かなぁ。大阪湾にはアカウミガメはしばしばやってきて、泉南方面の浜で産卵することすらある。が、アオウミガメは珍しい。成が島ではなく大阪府側に上がるのはかなり珍しい。ってことで、是非回収しなくては。
大きなウミガメの回収には車が欲しいが、今回のは小さめっぽい。大きさを教えてくれるのだけど、どこからどこを測ったのか判らないので、正確な大きさは判らない。でも、現地で解体すれば、梱包して背負って帰って来れそう。という訳で、メジャーとメスと、大きなビニール袋と養生テープを鞄に放り込んで、コロコロを手に。少し早起きして、岬町のせんなん里海公園へ。
現地では連絡をくださった方が待っていて下さった。波にさらわれないように、浜の端っこに上げて、軽く埋めてあるという。言われた場所を掘ってみると、確かにアオウミガメが出てきた。小さい。想定より小さい。ラッキー。
とりあえず測定。それから、メスで切って腹甲をはずそう。として、大失敗に気付く。持ってきたメスの刃とホルダーが合ってなかった…。仕方がないので、刃だけをつまんで腹甲を外す。とても難しいし、指が痛くなる。こんなことならカッターナイフを持ってくれば良かった。と、少し途方に暮れたところで気付いた。背甲長38cmと小さいウミガメなのでたいして重くない(帰ってから測ったら約5.5kg)。割と新鮮なので、解体して内臓を埋めなくても丸ごと持って帰ったら内臓の標本も残せるやん。というわけで、現地での解体は断念して、袋に包む。4重に包んで、帰り着くまで臭いが漏れないことを祈って現地での作業完了。
駅までの帰り道雨がザーザー降ってきた。現地での作業をしてたら大変なことになった。帰り道は約1時間半かかる。1時間くらい経つと臭いが漏れ始めた。ただ間近にいると気になるけど、周囲の人は気にしてないようす。このご時世なので、みんなマスクしているのも、こちらに有利。ってことで、なんとか大事件にならずに持ち帰れた。
内臓は液浸にして、ホネは砂場にセットして、回収ミッション完了。腸の中からは、ウンコ色の海苔の佃煮みたいなのがいっぱい出てきた。海藻を喰ってるんだろうか? 首に小さなフジツボがいっぱい付いてた。
●2020年6月24日 カモが運ぶ生きもの
鳥が食べて、糞などとして排出することで散布されると言えば、まず思いつくのは植物の種子散布。果実食鳥の胃はザルだし、すぐに排出されるので、他にもある程度堅いものだったら鳥の消化管を無傷で通り抜けて、結果として散布されることがありそう。たとえば貝とか。と思っていたら、本当に鳥が陸貝を散布しているということが報告されて、やっぱり〜、ってなったのは10年ほど前だろうか。
鳥による種子散布といっても、種子を消化するような鳥は貢献していない。と、多くの鳥屋は思ってたはず。日本にいる鳥でいえば、キジ科とかカモ科とか、ハト科とかインコ科とか、ホオジロ科とかアトリ科とかスズメ科とか。が、カモがけっこう水草の種子散布に貢献しているってわかってきたのは、この数年のことで、長年の常識が覆されてとても驚いたのは、数年前。
しかし、これは想定もしてなくて、さらに驚いた。まさかカモが、魚のタマゴを運ぶとは。
https://www.pnas.org/content/117/27/15397
コイ科魚類のタマゴが、カモの消化管を無傷で突破することがあって、それが外来魚類の分散に貢献してるって話。
実験的に示されなければ、カモが運ぶにしても足や羽根に付けて運ぶことを考えたに違いない。カモが魚のタマゴを消化管に入れて運ぶのなら、もっと色んな鳥が色んな物を消化管に入れて運ぶに違いない。
大学院生の頃、とあるコケ屋から、鳥がコケの胞子を足につけて運んでるに違いないから、鳥を捕まえて足をアルコールに浸けてサンプリングして、送ってよこせと言われた。あまりに面倒で聞かなかったことにした。コケの胞子も鳥の糞から出ないか探した方がいいんじゃないの?
●2020年6月23日 今年のカワウの繁殖期は短い?
今日は、自転車でため池めぐり。快晴でとても暑い。もう炎天下と言っていいに違いない。おかげで、お茶を2リットルも飲んだ。
この調査エリアでカワウが繁殖しているのは、大泉緑地の大泉池と頭泉池、そして大津池の3ヶ所。でも、今日時点でまだ営巣中なのは、大津池に6巣あるだけ。もう繁殖期は、ほとんど終わった感じ。ちょっと終わるのが早いんじゃないか?と思って、過去4年の6月の様子を見返してみた。
2019年6月26日。大泉池でも頭泉池でもカワウの営巣はすでに終わっていたが、大津池では営巣中のカワウが32巣。全然終わってない。
2018年6月25日。大泉池と頭泉池のカワウの営巣は終わってるが、大津池では20巣。
2017年6月22日。大泉池と頭泉池のカワウの営巣はやっぱり終わってるが、大津池では69巣。
2016年6月28日。営巣中のカワウは、大泉池にはいなかったが、頭泉池では1巣。大津池では27巣が営巣中。
という訳で、例年6月末はカワウの繁殖期終盤ではあるけど、まだ20巣程度は営巣しているのが普通のよう。やはり今年のカワウの繁殖期は短い。
●2020年6月22日 久しぶりの櫛田川河口
友の会合宿の下見の下見と称して、今日は三重県松阪市の櫛田川河口へ。本当の目的は、単に久しぶりに櫛田川河口右岸の干潟の生き物を観察したかっただけ。そんな理由でのお出かけなので、出張ではなく休みで行く。なので、面倒な手続きなしに車でGO!
目的地についたら、見張りをしてる漁協のおじさんがいた。潮干狩り禁止なんだそうな。で、勝手に入る人に目を光らしているらしい。確かに見ている眼の前でも、潮干狩りにきた車を追い返していた。せっかく来たのに、入れないのか? と思ったら、潮間帯の生物の調査・観察ということならOK。と、入らせてくれた。ついでにおかんが話を聞いてきた。アサリとか食用貝類が減ったので、潮干狩りを禁止して休ませてるらしい。納得がいく。
干潟に入ってみると確かに昔と比べると貝類が減ったと思う。アマモ場が増えて、カキ礁が増えて、泥地が減った。そのせいなんだろうか?
かつては死ぬほど転がっていたシオフキがろくにいないし、一時期いっぱい拾えたサキグロタマツメタもあまり見当たらない。まあいっぱいいたら食用に持って帰りたくなったろうから、いなくて幸い。楽しかったマテガイ採りも今は幻。ただ、かつてマテガイ採りをしていた辺りの一画でだけ、ハマグリとバカガイのでかいのがけっこう採れた。とても美味しそうだったのだけど、潮干狩りではない、と言って入った手前、持ち帰るのは断念。美味しかったろうなぁ。
塩湿地周辺では、例によってオカミミガイ探し。一番乗りを逃したのは少し悔しいけど、いっぱい居る場所を見つけられた。ハマボウもあるし、合宿はやったら楽しいんじゃないかと思う。
担当分野での成果は、アライグマの頭骨を拾った程度。鳥はあまりおらず、シロチドリがいた程度。どこかで繁殖したのかもしれないが、卵もヒナも見つけられなかった。
●2020年6月21日 3ヶ月ぶりのなにわホネホネ団
3月の活動は、なんとか実施したのだけど。4月に入って緊急事態が宣言され、活動は中断。5月に緊急事態が解除されても、体制が整わずに、そのまま活動休止のまま。6月19日にいろんな制限が解除されたのを受けて、ようやく活動再開にこぎつけた。約3ヶ月ぶりの活動になる。5月は例年ゴールデンウィークに4日くらい活動していたので、6回の活動が無くなった計算になる。
なにわホネホネ段が活動を休止している間も、動物の死体は届く。3月には某動物園から大量の死体が届き、その処理は3月に少ししただけ。つまり、冷凍室が満杯でにっちもさっちもいかなくなってきているのである。
ってことで、6月〜8月は月2回ずつの活動しかしないのが普通だけど、そんなことは言ってられない。日程が許す限り活動日を投入していく予定。そのうちまた新型コロナウイルスの新規感染者数が増加するだろうから、いつ再び活動自粛を要請されるかわからんし。
なにわホネホネ団の活動が休止すると、こんなに困るんだなぁ、と改めてその大きさを確認した次第。
●2020年6月20日 日本各地の今年の博物館実習
新型コロナウイルス感染症の蔓延を受けての、日本各地の博物館がどう対応しているか。ってことの情報交換の場に、昨日の夜出てみた。大きな話題は、今回は博物館実習への対応。博物館といっても自然史博物館主体だし、日本各地と言っても近畿勢が半分を占めてるけど。
今年は、非常事態であることを受けて、文部科学省からは大学と博物館に対して、できるだけ柔軟に学生の不都合がないように対応するようにというお触れが出ている。大学教育の他の側面への対応はメチャクチャで批判するしかない文科省だけど、これに関しては珍しく真っ当な動き。
ということで、当館としては、通常の受付は4月末で締め切るところを、それ以降も受付可とした。日程についても柔軟に対応し、万が一実施できない場合は別日程での対応をも考える心構えをしている。どうしても対面での実施が無理なら、リモート実施も検討するかまえ。
でも、他の多くの博物館はトーンが全然違う。むしろ博物館実習を実施しない方向で考えているところが目立つ。いったん受け入れてくれたのに、急遽中止になったといって、こちらでの受入を要請してきたところもあるので、けっこう広まってる動きなんだろう。文科省のお触れをなんと思ったんだろう?
もう一つ不思議な動きは、博物館実習の日程を年度後半に動かす動きがあること。これは正直頭悪いとしか思えない。と、実際それに近い発言をしてしまった。日程を動かすなら、むしろ年度前半に設定すべき。今後、どのタイミングで新型コロナウイルスの感染者数が増加するか判らない。早めに設定しておけば、もし実施出来なくても、年度後半へ日程変更の余地がある。最初から年度後半に設定したら動かせない。さらに、冬期の方がやばいというのは、ウイルス性の感染症なのだから当然想定できる。
とまあ、他の館と同調できない部分が多かったのだけど、唯一同調できたのは、リモートの実習はできたら避けたいという一点。そもそもリモート実施では、博物館実習の意義の大部分が失われるよなぁ。それにどういうやり方があるか全然イメージできない。状況次第ではやらざるを得ないけど。
●2020年6月19日 特別展を案内してもらうコスト・ベネフィット
今日は、東京から知人が特別展を見に来た。わざわざ東京から見に来るほどの内容じゃ無い。と強く言ったのだけど、関西に行くついでがあるから、とのこと。まあ、ついでならいいか。で、どうして今日?と思ったら、東京の人はようやく今日から他の道府県に出かけてもよくなったかららしい。移動に関しては、とっくに日常に戻った感のある大阪人としては、意外な感じ。
で、今回の特別展ではギャラリートークが封じられているので、展示を説明する機会がない。少し欲求不満。ってこともないのだけど、わざわざ来て下さったので、展示を案内してみた。ギャラリートークでもそうだけど、展示を案内してもらうというのにはベネフィットもあるだろうけど、けっこうコストもある。
ベネフィットは、詳しい説明が聞けること。質問にすぐに答えてもらえること。コストとして最大のものは、案内者が興味の少ない展示はパスされてしまうこと。おのずと質問する内容も制限される。わざわざ案内してくれてるのに、それを遮って自分の興味のあるところに止まったり、集中する強者はあまり多くないだろう。案内者側としては、あまり突っ込まれたくない展示を、さらっと通り過ぎることもできるわけ。
という訳で、今回案内したのは鳥屋さんだったので、鳥には止まったけど、哺乳類はほとんど止まらず。担当ではない魚や昆虫や植物の大半もパス。よく考えたら、もっとあちこちじっくり見たかったかなぁ。とは、あとから思った。
一方で、大阪府の外来鳥類の状況は展示の範囲を超えて、いろいろ話をした。その点は面白かったと言ってもらえた。ただ、ハクビシンを外来生物扱いして、クサガメははっきりとはしなかった理由は、もっとちゃんと説明すれば良かった。と後から反省。
●2020年6月18日 ミュージアムショップの本のラインナップ
2月末から長らく臨時休館だったので、ミュージアムショップも長らくしまっていた。再開したのは6月2日だけど、その時点で並んでいる商品は、2月末時点のもの。グッズ系は、外来生物展仕様になっていて、そのままでもいいけれど。本は、3ヶ月もあれば、新刊がドンドンでてくる。春は新刊多めの季節でもあるし。ってことで、2月末時点のラインナップは、いかにも時代遅れ感が半端ない。
で、オープンしてから新刊類を発注したんだろう。半月ほどかかって、ようやく新刊が並び、ラインナップがイマドキの本になった。
なんてことを把握してるのは、ミュージアムショップのグッズはともかく、本の方は、ショップ運営者と博物館、というか学芸員、っていうか私が関わって協働でラインナップを作ってるから。もちろん運営者側が、博物館のことも自然史科学のこともろくに知らなくて、ってな状態だと協働しようもない訳だけど。
協働でラインナップを作ってると、ちゃんと本が売れるかが気になる。そもそも今の契約では、ミュージアムショップの売上げが増えれば、博物館の収入も増える仕組み。いいラインナップを作って、じゃんじゃん売るのは、博物館経営上も正義なのである。
という訳で、毎日のように本の売れ行きをチェック。外来生物の特別展をしてるせいか、変わった本がちょこちょこ売れてる感じ。でも、土日の博物館の行事が停止中なので、友の会会員などの常連さんの出足が悪くて、売上げが伸びていない気もする。早く行事が再開されないかなぁ。とすっかりショップ運営目線。
●2020年6月17日 行事の下見の下見
神戸電鉄に乗って藍那駅へ。藍那駅からおおむね北に向かう 太陽と緑の道という自然歩道を5kmほど歩く。かつては山間に田んぼと小さな池が点在していたようで、地図で見るととても良い感じ。しかし、山あいの水田はことごとく放棄され、草ぼーぼーで入れない。多くの放棄田は感想も進んでいるようすで、そもそも無理して分け行ってもなぁ、な感じ。ところどころにがたまった放棄水田やハス田みたいなのが残っていて、ウリカワ? ヒメガマ?、カンガレイ?などが遠目に見える。近付きたいけど、ハードル高め。
小さな池は残ってるけど、手入れされず、草ぼーぼーなのもあって、アクセスは悪い。落ち葉がたまりまくっているせいか、水は黒い。水草はほぼ見られない。探しまくれば何か見つかるかもだけど、遠目には時々モリアオガエルの卵塊が見つかるだけ。すでに多くの卵塊は溶けている。大阪府より産卵期は早めなんだなぁ、って感じ。1ヶ所だけタヌキモ系の繁茂してる場所があった。
周囲の林も里山管理はされておらず、ササがいっぱい生えている。おかげでウグイスとソウシチョウの声が目立つ。ってゆうか、とくに放棄田周辺はソウシチョウだらけ。その他の下草も多めで、ニホンジカの影響をあまり受けていない様子。道沿いはずーっとイノシシの掘り跡があったけど。
コガクウツギとかコショウノキとか、あまり大阪では見かけない樹木を教えてもらった。シラカシが多く、アベマキ林があったり、大阪府の林とは少し違う感じで、物珍しい。
大阪から日帰り圏で、こんな場所があるとは知らなかった。まだまだ行ったことがない場所ってあるんだなぁ。なんだかんだダメ出ししつつ、初めての場所は楽しい。でも、できればまだ山あいで耕作が行われてる頃に来たかった(20年ほど前?)。サシバとかいたんだろうなぁ。
●2020年6月16日 広報しても、あまり人が来たら困る?
新型コロナウイルス感染症の拡散をふせぐため。という錦の御旗は、現在とても強力で、展示室は開いたものの、滞留人数に上限が設定されている。現在開催中の外来生物展の滞留人数の最大値は、90人に設定されている。これは展示室の面積で決まる。2m以上のあけて散らばるイメージ。外来生物展なんて、大勢が見に来ることなんて絶対にないから、滞留人数が90人を超えることはないと信じていた。が、オープンして最初の日曜日に、滞留人数が80人台になって、一時管理職がバタバタしたらしい。日曜日とはいえ、6月なのに、外来生物展なのに、あわや入場制限?
ってことを考えると、夏休み、とくにお盆の頃には、90人突破は必至では? っていう状況の中で、8月に計画している子どもワークショップの広報を相談してたんだけど。放っておいても、入場制限がおきそうなのに、これ以上、人を増やすような広報をするのか? という疑問が。
外来生物展のような、さほど来場者が多くない特別展でこれでは、こんな状況の下では、人が集まる特別展の開催は無理。っていうか、予約制とかにしないといけない。ハイリスク、ハイリターンの特別展の開催は無理じゃないかなぁ。展示ビジネスのスペックの大幅な見直しをせまる新型コロナウイルス。
●2020年6月15日 砂場での戦い
ホネ標本をつくるための砂がというのがある。皮を剥いて、肉をある程度取り除いたものを設置して、虫や微生物に残った肉などを処理してもらう場所。埋めることもあれば、地表に設置することもある(地表に設置するなら砂場である必要はないのだけど、なんとなく同じ場所に設置してる)。この砂場はメンテナンスが意外と面倒。秋には落葉落枝があり、春から夏には草が生える。
落葉落枝を放置すると、砂に生物遺体がどんどん混じっていって、やがて土になってしまう。土はホネ標本作りに不向きなので、この遷移を阻止する必要がある。春から夏には草が生える。というか、何故か知らないけど冬にも青々と草が生える。樹木の芽生えも生えてくる。これを放置すると草地から樹林地に変わってしまう。この遷移も阻止しないといけない。ホネ砂場を維持するために、綿々と秘かな闘いが繰り広げられているのである。
このホネ砂場には、つくられた割と直後からワルナスビが生えるようになった。ワルナスビは茎も葉っぱもトゲトゲで引っこ抜くのも大変な奴。それが多年草で、地下に根茎を張り巡らすので、芽生えだけを抜いても問題は解決しない。根茎を排除しないといけない。でも、ホネ砂場ができて20年以上。ワルナスビの根茎はずーっと維持され、太ってきた。毎年いっぱい芽がでて、気を抜くと繁茂して、対処が大変になり、さらに根茎も太る。
今年は、新型コロナウイルスのおかげで時間ができて、なんとなくお片付けモード。長年の負債を帰す時。とばかりに、4月に可能な限りワルナスビの根茎を抜いた。そして今日、ホネを設置するついでに、再びワルナスビに闘いを挑んだ。2ヶ月の間に生えた芽生えは2本だけ。これをできるだけ深いところから根茎を除去。これを繰り返せば、根茎は増えないし、根茎への栄養補給もなくなる。うまくいけば、今年でワルナスビを根絶できるに違いない。
今回は、ワルナスビなど草の芽生えが少なめな代わりに、なんかの樹木の芽が一杯出ていた。こいつらは根茎がないので抜けばしまい。こっちの闘いは永遠に続くけど。
●2020年6月14日 オオバンの巣はお菓子の家
岸和田市久米田池に行った。この季節、水鳥の繁殖を間近に見られて楽しい。
噂のカンムリカイツブリは、事前情報通り2羽のヒナを連れていた。背中にヒナを乗せてるのも見られて盛り上がる。と、ヒナを世話しているのと同時に、親達は交尾はするし、新しい巣をつくってたりもする。これってクラッチオーバーラップやんね。カンムリカイツブリがこんなに熱心に繁殖を繰り返すとは知らなかった。
普通のカイツブリもヒナ連れが多く見られた。なんと7羽もヒナを連れたカイツブリまでいた。一腹卵数は4〜6個と物の本には書いてあるんだけど、とても子だくさんのカイツブリってことだろうか? それとも他所の子を押しつけられたりしたんだろうか? ちなみに背中は4羽で満員になっていた。
大阪府ではオオバンは淀川や埋立地で繁殖しており、それ以外のため池では、今のところほとんど繁殖していない。というわけで、毎年オオバンが複数繁殖しているのも久米田池のうり。クイナ類は、水辺の地上やヨシ原に営巣するとばかり思い込んでいたのだけど、まるでカイツブリのような浮き巣をつくっていて驚いた。あるいは、岸辺から伸びて垂れ下がって水面に届いた木の枝に巣をのせてるのもいる。いずれにしても巣材にはもっぱら水草を使っている。水草はオオバンの食べ物でもあるので、まるでお菓子の家状態。水草をくわえているだけでは採食行動か、造巣行動なのか判らない。
●2020年6月13日 大台ヶ原のトウヒ林の衰退の原因
大台ヶ原と言えば、ニホンジカが増加して、植生を破壊。すっかり景観が変わってしまったことで有名な地。そこのトウヒ林が衰退してると聞けば、ニホンジカの増加が原因と思ってしまう。が、事態はそう単純じゃない。ってことを今日は勉強した。というか、とある雑誌の校正をしてて、大台ヶ原の林とシカの話をいっぱい読むことになって、勉強になった。
登場するのは、トウヒの林冠木、トウヒの稚樹、ニホンジカ、そしてササ2種(スズタケとミヤコザサ)。ポイントはササ2種のシカから食害の受け方と、再生速度の違い。
・スズタケ:シカの喰われて大きなダメージを喰らう。そして採食圧がなくなっても回復は遅い。
・ミヤコザサ:シカに喰われるけど、ダメージはさほどでもなく、丈は低くなるが消失しない。採食圧がなくなった時の回復速度は速い。
シカがいない状態では、林床がスズタケやミヤコザサで覆われて、林冠木の実生や稚樹は少なかったとする。そこにシカが入って増加すると、ササが喰われて減少、実生や稚樹も喰われて少ないまま。そこからシカを除去した時、
・スズタケの生えていた林では、成長の遅いスズタケに勝った実生や稚樹が増加する。
・ミヤコザサが生えていた林では、ミヤコザサが急速に繁茂して、実生や稚樹はさらに減少する。
シカの導入と排除をいうプロセスを経ると、スズタケの林と、ミヤコザサの林では結果が全然異なる。ミヤコザサに対しては、もしかしたら適度な採食を維持した方がいいのかもしれない。
●2020年6月12日 大阪の小型ハペトロお助け3人衆
3人衆なんて言い方は、時代がかってるなぁ。というのはともかく、かつて大阪府にいる両生爬虫類なんて、種数は限られてるし、大学時代にサークルで教え込まれた知識で充分対応できる、と思っていた。しかし昨今のハペトロ分類業界は風雲急を告げている。
小型サンショウウオはどんどん分けられていき、大阪府に分布する種の名前がドンドン変わってしまう。それどころかカスミサンショウウオの分割のせいで、どうも大阪府に生息する小型サンショウウオが1種増えたらしい。ただでさえ小型サンショウウオの同定は苦手なのに、今までは産地で種名を決めていたのに、もう訳が分からない。
と思ったら、今度はニホントカゲが2種に分かれた。困ったことに2種の分布の境界線が近畿地方を縦断しているらしい。で、移行域では2種とも生息している可能性すらある。さらに2種は頭部のウロコで識別可能とされてるにもかかわらず、断定はできないという話。どうしろっていうねん!
最後は、分類学のせいではないのだけど、大阪府岬町の海岸部の岩場に生息するとされていたタワヤモリ問題。海岸の岩場で探しても見つからないけど、もう生息していないのかなぁ? とずっと思っていた。ただ、確実にヤモリ類を識別する自信がないのでどうしたもんやら。
そんな中、3人衆の登場である。
一人目は、某府大の先生。てっきり虫屋と思ってたけど(昆虫の研究室だし)、両生類と淡水魚も好きで、手を出してくれる。小型サンショウウオが好きらしく、とても頼りになる。どうも大阪府にはカスミサンショウウオ系は2種いる。が、まだ確認してされてない。きっと確認してくれることだろう。ちゃんとDNAも調べて。
二人目は、某研究所所属。爬虫類屋さんで(当社比)、元ニホントカゲ2種の同定について頼りになる。全部お任せしよう。
そして三人目は、彗星のように現れた。自ら大阪府のタワヤモリの生息状況を調査してくれて、海岸部にはいないけど、山間部の岩場に生息することを見つけてくれた。素晴らしい!
3人ともこちらの苦手グループを得意としてくれている。質問したらすぐに答えてくれる。とても頼りになる。これからもよろしくお願いします。っていうか、大阪府のハペトロのRDB関係はすべて任せよう!
●2020年6月11日 ついに外来生物展オープン!
といっても、一昨日の6月9日からオープンしてるんだけど。昨日と一昨日は調査で出かけていたので、特別展がオープンしたのを、自分で実感したのが今日。個人的には今日はじめて、オープンしたんだなぁ、って実感した。雨の平日なのに、思ったより人が入っていて驚いた。
思い起こせば1月から2月はこの準備で大変だった。解説書の編集には2度ほど徹夜。解説書の目処が立ったら、展示の設営。これは担当者ごとなので、自分の担当のところに標本をセットして、種名板を並べて、解説パネルを取り付けて。あと3日ほどで完成。という辺りで怪しげな噂が立ち、3月1日からの臨時休館が決まった。最後の追い込み直前で展示設営はストップ。3月後半にもしかしたらオープンできるかも、ってなって失ったやる気をふりしぼって、展示を仕上げた。が、しかし、オープンできず緊急事態が宣言された。もうオープンしないまま撤収かと思ったら、夏の特別展が中止になったところに会期を移して、オープンすることができた。
労力が無駄にならずに嬉しいといえば嬉しいけど、もう1〜2月の情熱は失われてるから、オープンしたんだなぁ、というふんわりとした感想しかない。あとは大きな事件が起きずに会期末を迎えることを祈るだけ。なんせあちこちに地雷がある展示なので。
ちなみに会期が後ろにずれて唯一よかったことは、生品展示が充実したこと。アフリカツメガエルやチャネルキャットフィッシュは、当初の会期では展示できなかった。是非、見てね。
●2020年6月9日 地学の研修に付いていく
今年度は、地学系の学芸員が2人採用された。地学系は伝統的に手薄だったので、この2人をしっかり育てなければならない。といっても一人は即戦力っぽいが、それでも大阪のことの具体的なフィールドはほとんど知らない。ってことで、今までそんなことしたことは無かったけど、毎月地学系の先輩が、大阪周辺のフィールドに連れて行くことにしたらしい。
本当は4月からはじめるはずだったが、緊急事態が宣言されたので断念。6月に入って臨時休館も終わったので、研修をはじめることにしたらしい。面白そうなのでついていくことにした。久しぶりの岬町の豊国崎。
先輩がみんな集まってる中、一人遅刻。慣れない乗り換えに失敗したらしい。たしかに研修になってるかも。なんかジュニア自然史クラブの行事みたいな気持ちになってきたけど。
現地に着いたら、さっそく地学の先輩が課題を与えて地層を観察させたりしてる。地学の巡検ってこんな感じなんだそうな。面白いなぁ、と遠目に見ながら、勝手に生き物を観察。なかなか移動しないから、鳥や海岸生物はすぐに見終わり、暇なので植物を観察。もう一人引っ付いてきた草地屋は、なぜかけっこう地学の解説を聞いて、一緒に地層を観察してたりする。
地学の巡検ネタがないところでは、草地屋が植物の解説。植物化石屋には、現生植物の知識も必要なのである。となると、鳥屋だけが本当にただついてきただけということになる。地学の説明はにはほとんど興味がないが、植物はけっこう興味があるので、植物の説明はけっこう聞いたりする。草地屋と植物化石さんの会話を聞く限り、どうやら植物についての知識のランクは、草地屋>鳥屋>植物化石さんであるよう。このアドバンテージはいつまで維持できるだろう? まあ、維持されるようではダメなんだけど。
ちなみに地学にはほとんど興味がないんだけど、スランプ褶曲には驚いた。何度か歩いている場所なのに、こんなに目立つものに今まで気付いてなかった。コダイアマモも思ったより見つかった。そして、生痕化石があんなにたくさんあるもんだとは知らなかった。興味はなくても勉強になるなぁ。またついてこよう。
●2020年6月8日 アフリカツメガエルの産地探訪
明日からいよいよ外来生物展。今度は本当にオープンしそう。オープンせずにいた5月に堺市産のアフリカツメガエルの生きたのを入手したので、水槽をセットしてもらって生品展示。会期が遅れて、良かったこともある。と思っていたら、オープン2日前の昨日になって、アフリカツメガエルの最後の1匹が死んでしまった…。一日も展示されることもなく全滅…。
悔しいので、今日は堺市のアフリカツメガエル産地に行って、採集することにした。午後は、明日からの特別展の準備があるので、時間は午前中しかない。地図での下調べはバッチリ、早起きして、意気揚々と現地に向かった。聞くところでは、たくさんいるってことなので、たどり着けば採集は楽勝だろう。
が、楽勝ではなかった。
場所はすぐに判った。棚田の一番上流にある小さな池。そこから流れ出たのが水路で見つかったのが最初らしい。とにかく4月にはここで簡単に水網ですくえたという。それが届けられたんだし。で、すくってみるがすくえない。浅い池で、落ち葉がたまって、その渋だろうか水は黒くなってる。中は見えないけど、ブクブクと泡があがってくる場所が何ヶ所かある。なんかいそう。で、パンツまで濡れそうな中心部は避けて、周囲を一周ジャブジャブ歩きながら、水網ですくったりしつつ探す。ぜんぜん捕れない。
地元の方が通りがかって、あんたも何たらいうカエルを採りに来たんか?と言う。なんでも数日前にも数人来て採集してたという。もしかして採り尽くしたのかなぁ。一応、流出先の水路も探したけど、ぜんぜん見つけられず。絶滅したに違いないと勝手に決定。展示できないのは残念だけど、外来生物問題的にはいいこと。
帰ってきて、関係者に絶滅したのかも。とメールを流してみる。某大学ではまだ飼育してるのがあるというので、分けてもらえないか訊ねる。すると、いいよと言ってくれた。今度受取に行こう。それまでは、特別展の水槽には、coming soonと書いてお茶を濁しておこう。
知り合いのハペトロ屋さんは、自分も採集に行くから、もし採れたら届けると言ってくれた。みんな親切。
【追記】
後日、ハペトロ屋さんが採集に行って、いっぱい採ってきた…。ハペトロ屋さん曰く、もう気温が高いから、水網ではすくえない。トラップで採ったらしい。すくえなかっただけなのに、絶滅絶滅とあちこちに言って、とても格好悪い。
●2020年6月7日 ヒゲソリの代替わり
昨日、ついにヒゲソリを買った。今日から使い始め。
この半年ほど、いやもっとだろうか、ヒゲを剃るのがけっこう苦行になっていた。電気ヒゲソリを使っているのだけど、外刃に穴が開いて、それが徐々に拡がってるのだ。外刃がないと、内刃が直接肌に当たる。当たると血を見て痛い。なので穴が開いてない部分で剃ろうとするのだけど、だんだん外刃の穴が拡がって、それが難しくなってきた。この1ヶ月ほどは頻繁に血が出てる。
外刃を買い換えようと電機屋に行ったのだけど、売ってない。それを数回繰り返して、とある電気屋でついに発注してもらった。すると翌日連絡が来て、入荷できないという。ネットで調べると、同じ型番はないけど、同等の外刃は売ってるような気もする。でも、なんか面倒になってきた。
もう十数年使っているヒゲソリだし、刃を買い換えるだけで苦労するのが面倒になってきた。という訳で、買い換えようと思い立った。大きめ電機屋にいってどれを買うか考えてたら、近寄ってきた店員の感じが悪かったので購入をやめた。そういえば家の並びに小さな電器屋があるなぁ、と思い出し立ち寄ってみる。パナソニック製品しかないらしい。選択肢は狭いけど、ご近所だし、替え刃を買いに来やすい。おっちゃんの感じもいい。ということで、中程度のレベルのを即決購入。
帰ってきて、すぐに使ってみた。すごい使いやすい! なんせ、外刃の穴を気にしなくて良い。全然痛くない。血も出ない。いい買い物をした気分になれた。
普通はもっと早く買い換えるんだろうなぁ。
●2020年6月5日 夢洲視察
大阪府に鳥に詳しい人は何人もいるけど、いわば職業研究者は、O大学に鳥が専門の教員がいなくなった今では、一人だけらしい。という訳で、鳥の専門家としてのご指名も一手に引き受けることになる。大阪府は、それほど鳥に関する案件の多い場所ではないけれど、大阪市にいたってはさらに少ないけど。例の埋立地の案件には関わらざるを得ない。
大阪湾岸の、いや日本のコアジサシの繁殖地は風前の灯火なので、その保全は絶対に必要。ってことからすると、夢洲のコアジサシに関しては、工事中に営巣可能なエリアをいかに確保し、会期中にいかにしのぎ、会期後にいかに営巣地を確保するかといった点を考える必要がある。幸いなことに、それはイベント自体と両立可能。
とはいえ、なにわともあれ、コアジサシの営巣状態の把握は、常に必要。今年もコアジサシが営巣しようしてた。営巣してるに違いないという情報があったので、ワタワタと視察にいった。というか、呼び出されて、車に乗せて連れて行かれたというか。
とりあえずコアジサシが営巣してるに違いない。って話の場所に行ったけど、コアジサシは降りておらず。上空は飛んでいて、その地点から南西の水たまりと、北東方面を行ったり来たりしてる様子。水たまりを見に行っても、北東の方との行き来がある。営巣してるとしたら、北西方向。と考えて、そっちに連れて行ってもらったけど、見つけられず。ただ、エサを加えて西に飛ぶ個体がいた。ヒナへの給餌のためか、メスへの求愛のためかは判らないけど、近くで営巣してる/営巣する可能性は高そうではある。ただ、観察できたコアジサシの個体数は、最大60羽程度で、営巣数は30巣を超えないと思う。
今年の対策としては、営巣の可能性のあるエリアへの立ち入りを出来る限り制限という形で合意できたので、なんとか今年はしのげそうではある。
●2020年6月4日 ムシの日
というのは、本格的な虫の活動季節を前に、展示物や収蔵資料に虫が付いていないか確認しておき、今のうちに対処しておこう。という年中行事。どこの博物館でもやってるかは知らない。けど、たぶん他所ではやってないんじゃないかなぁ。で、昨年のムシの日に、展示室の虫とかのチェックは、人の少ない冬にやった方が対応しやすい。ということになって、今年からムシの日のチェックは収蔵庫のみに。考えてみれば、ここんとこずっと展示室の方をチェックしていたので、収蔵庫の虫の日のチェックは久しぶり。
収蔵庫なんて、何度も入っているのに、いまだに新発見があって面白い。すなわち、魔境である。すっきり片付いたエリアより、何があるのかよく分からない未整理なエリアの方が面白い。だいたいすっきり整理できてる収蔵庫なんて、ろくに活用していない収蔵庫に違いない。ってなもんよ。
展示室のチェックでも収蔵庫のチェックでも、他の人が気付いていない問題点を見つけられるとちょっと嬉しい。あえて、他の人が見てない場所を見てみたり。ムシのチェックがメインの日ではあるが、展示室に関しては、展示の不具合のチェックも兼ねることになる。今回は、展示ラベルをけっこう重点的にチェックしてみた。西ドイツとかユーゴスラビアとか、はたまたソ連とか。古い展示なので、古い国名が残ってたりしないかは、けっこう注目ポイント。毎年チェックしてるんだけど、今回もまた見つかった。西ドイツ恐るべし。
●2020年6月3日 南の動物園にホネ下見
この3月で閉まった某動物園に行った。長年にわたって蓄積してきたホネを中心にした標本の引き取りの下見。駅から海岸に向けて、動物園の間を抜ける道は何度も歩いたことがあるけど、外からイルカショーをチラッと見たこともあるけど、中に入るのは始めてかもしれない。
ホネは、事務所と、動物病院と、旧ゾウ舎に貯め込まれていた。3人で引き取り作業するから、手分けして作業かなぁ。事務所と動物病院のはすべて引き取るけど、旧ゾウ舎には汚れたり壊れた本剥製や、内臓だけの液浸標本とかもあって、取捨選択をせざるを得ない。ここを担当して判断することになりそう。あと、何ヶ所か埋めた場所もあるとかないとか、空いたケージの中にホネを干していたり。そのまま忘れてるのかな? とにかくあちこちにあって、園内をウロウロとけっこう楽しい。
もうあまり動物は残っていないが、それでもキリンやシマウマやロバやミーアキャットはいる。サル山にはサルがいて、コウノトリなどの鳥もまだ残ってる。大きなカメの隣に、ラマもいた。つい、ホネの下見を忘れて、生きた動物を見てしまう。動物の方でも、ここ数ヶ月来園者はいなかったから、見慣れない人間が物珍しそう。キリンもシマウマも寄ってくる。ロバもこっちを見てる。サルが大声で呼びかけてくれる。とても楽しい。
ちゃんと開園してるときに来れば良かったかも。
【追記】
なんと年が明けてから、灯台の倉庫から、さらに標本が発見されたとの連絡。まだ埋めたまま忘れてるホネもあるかもとのこと。見つかったらまた連絡をくれるそう。なかなか奥が深い。
●2020年6月1日 奈良盆地でのケリの繁殖
今日は大和郡山市でハッカチョウ調査。緊急事態も終わって、不要不急の調査に行きやすくて有り難い。調査では、けっこう田んぼの周りをウロウロする。もう田んぼに水が入っていて、あちこちで田植えをしてる。
大和川水系調査プロジェクトの時に、奈良盆地をかなりウロウロしたけど、一番よく入ってたのは、南半分。まあ、河川沿いの生き物をおもにターゲットにしていたので、大和川の支流が多い南半分に行きがちなのである。奈良盆地の南半分の田んぼには、吉野川水系からひかれた水が入ってる。吉野川分水から奈良盆地に水が入るのは、6月半ば。だもんで、奈良盆地南部の田んぼに水が入るのも6月後半。
田んぼに水が入るタイミングは、田んぼの生き物にはとても重要な要素。カエル的には、水が入るまで産卵を待つことになる。一方、大和郡山市で5月中に田んぼに水が入るなら、カエルも早めに産卵できる。大和川水系調査プロジェクトの時には気付かなかったなぁ。
ケリでは話が真逆。田んぼで営巣するケリにとって、水が入って巣と卵が水没するのはまずい、というか、その前の田起こしのタイミングが重要。田起こしが、水が入るタイミングに左右されるならという条件付きだけど。6月半ばまで水が入らない奈良盆地南半分では、ケリはゆっくり抱卵できる。でも、大和郡山市では、けっこう急がないといけない。
京都府南部では、田起こしの時にケリが抱卵していて、農家の方によっては、巣と卵をよけてくれる。その好意がなければケリの繁殖成功率が激減してしまう。って話を聞いたことがある。大和郡山市では同じような状況なのかもしれない。
●2020年5月31日 2020年5月のまとめ 休眠博物館3ヶ月目
臨時休館も3ヶ月目。予想通り外来生物展は会期末までオープンせず。ところが、夏の企画がとんだので、会期を再設定して、6月にオープンすることが決定。本当にオープンするのかなぁ。ちなみに自宅待機せよという命令が下ってたので、5月は1日しか出勤しなかった。まあ、実際にはほぼ毎日働いていたけど。
ここ2年ちょっと放置していたタネ標本の整理ができた。ここ2年ちょっと放置していた鳥の標本ラベルが書けた。4月に袋詰めされた大きな皮標本を、ほぼすべて収蔵庫か冷凍室に放り込んだ。特筆されるのはサイの皮をついに燻蒸して、今日無事に収蔵庫に放り込めたこと。
今月特筆されるのは、会議のZOOM化が進んだことで、会議12本の内、10本がZOOM会議だった。
そんな2020年5月を振り返ってみよう。
ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。緊急事態も解除されたので、先月よりは気軽お出かけ。
ハッカチョウセンサス2コースも実施した。これは緊急事態最中だったけど、通勤時間を割ければ、ぜんぜん問題なく公共交通機関での移動ができた。
地元公園では、カラスの巣チェックを実施。5月になってテンションは下がり気味。
ホネホネ団の通常の活動日はすべて中止になった。突然届いたコブハクチョウを処理したのみ。
砂場は、一度草むしりをしてみた。このままむしり続ければ、ワルナスビが根絶できるんじゃなかろうか?
旧実習室などの哺乳類のなめし皮は、2巡の冷凍燻蒸が終わって収蔵庫へ。そして3巡目を冷凍室へ。サイの皮は燻蒸が終わって収蔵庫へ。燻蒸の終わった大きな巣2つを収蔵庫へ。
鳥の剥製も燻蒸にまわすべく、とりあえずラベル書きを進めた。終えた。
普及行事は、すべて中止。外来生物展のギャラリートークをビデオ撮りして、Youtubeにアップ。読書サークルBooksは、お試しのZOOM会議を一度実施。
展示関係は、オープンしない外来生物展で、淡水魚へのエサやりを分担。新たにアフリカツメガエルが加わった。そして、6月オープンに向けての修正と準備。
講演はなし。博物館実習はなかったが、申請書類を送ってもらうのを進める。今年は特例で、5月に入ってからも3大学からの内諾伺いの受付。8月の最終を標本同定会にぶつけるのは、密集を招くとの判断から、日程を1日前倒し。希望者の了解を求めた。
委員会関係は、4月に延期されたY川関係から書類へのコメントを求められてたが、うっかり忘れてた。
団体Kの雑誌への投稿論文の査読2本がたまってる。時間はあるのに投稿論文は書けてない…。
とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系0冊と、SF17冊。ずっと放置していた長いシリーズSFを読み始めた。
完全休養日は3日。
●2020年5月30日 結婚ZOOMパーティ
博物館友の会のスタッフでもある知り合いが、今日が本来結婚式で、その二次会に呼ばれていた。でも、このコロナのせいで、結婚式は延期、二次会も一緒に延期。ってことで、博物館友の会系の新婦側の知り合いで、ZOOMでお祝いすることに。
それぞれに何か食べながら、それぞれのパソコンの前で、顔合わせ。Zoom呑み会ってこんなんなんだろう。新潟県のような遠方からの参加も気軽にできるのがいいところ。沖縄の奴は入ってこなかったなぁ。20数人くらいが、ちょうどいい人数かなぁ。
結局のところ、新郎に新婦の博物館ライフを紹介するような会になった気がする。あとなぜか新潟県に就職した奴の家族と久しぶりに会えたのも面白かった。各地に散ったメンバーを集めた呑み会とかしたら、いろいろ楽しいかも。
コンピュータの前で飲み食いするものをあまり用意してなかった。というかパーティ風ではなかったので、他の人が食べる美味しそうなものを指をくわえて見てるっていうか。そこは改善の余地があった。みんなで同じピザをとって、一斉に食べるって企画もあった気がするけど。
●2020年5月29日 鳥の剥製のラベル書き
鳥の剥製は、脚にラベルをくくり付けるんだな。登録番号、種名、採集地、採集日、採集者名を書いてあるラベルだな。永遠に残る必要があるので、ロットリングで手書き。
これが面倒。面倒なので後回しにしてしまう。やがて書くべくラベルが溜まっていく、すると一層面倒。あれやこれやのうちに、2年半ほどもためてしまった…。書かなあかんけど、どうしよう。と、そこにやってきたのが新型コロナウイルス。いろいろ困る奴だけど、臨時休館になったり、行事が中止になったりで、時間だけはできた。そこで一念発起。5月19日からラベルを書き始め、今日ようやく終了。
この11日の間に、作業したのは9日間。小さい紙にロットリングで、小さい字を書く作業はとても疲れる。精神的にも眼精的にも。というわけで、1日の作業時間は、1時間から最大でも2時間半まで。実働時間は、合計ざっと16時間45分。
だいたい30分作業したら、しばらく休憩。を繰り返す感じ。30分でほぼ15枚書ける。というわけで、書いたのはざっと450枚。あー疲れた。もうためないようにしよう。
●2020年5月28日 サークルの活動再開の手配
2月末から臨時休館で、その少し前から博物館の普及行事は中止、4月には緊急事態が宣言された。それに伴って、博物館内でのサークル活動は中止になり、緊急事態宣言中は、サークルの野外での観察会も自粛となった。府県境を超えるな、と言われると、大阪府内にとどまらない活動をしているサークルは、活動がしにくくて仕方がない。
しかし、世間的には新型コロナウイルスの感染拡大は収まったことになり、緊急事態ではなくなった。6月1日からは府県境を不要不急に越えてもいいらしい。博物館のさまざまな活動も再開に向けて動き出している。で、サークルの活動も再開に向けて動き出すことにした。
基本的には、
・マスクする。
・活動中の密集を避ける。
・体温が37.5度以上、あるいは風邪の症状のある人は参加させない。
・参加者の名前と連絡先を把握する。
その上で、
<野外行事>では
・スタッフ1人当たり参加者10名程度まで。
・活動中、互いの間隔をできる限り1-2m以上あける。
<室内行事>では
・活動人数は、部屋の定員の50%まで。
ということは、参加者の人数が多くなりそうな場合は、申込み制を導入するしかない。
関係している3つのサークルでの当面の方針は以下の通り。
<友の会読書サークルBooks>室内での活動のみ。参加者は、せいぜい10名ちょっとなので、定員問題はなし。今まで通りに活動可能。ZOOM参加を認めるかが、検討課題。
<大阪鳥類研究グループ>基本は野外での活動。参加者は、こちらもせいぜい10名程度なので、山道を充分な間隔を開けて歩いて大丈夫。スタッフ当たりの参加者問題も大丈夫(誰がスタッフか知らんけど)。という訳で、今まで通りの活動が可能。でも車の相乗り移動は見合わせる。年に1度程度開催する室内での活動を申込み制にするかは検討課題。
<なにわホネホネ団>基本室内で活動。平日のカリカリ団と、鳥の日は、参加者が少ないので、部屋の定員問題は関係なし。ただ、通常活動日は、申込み制にして参加者数をコントロールする必要がある。その代わり活動日を増やすことを検討。見学や入団試験にどう対応するかは検討課題。とりあえず様子見かなぁ。
●2020年5月27日 緊急事態も終わったので、なにか友の会行事を投入して、盛り上げを考えねば
3月から5月は博物館は休館で、行事も全部中止。さらに6月と7月もとりあえず行事は全部中止。そのため事実上博物館の普及教育活動は止まってた感じ。そして、うちの博物館の普及教育事業の中心は友の会。このままでは友の会の維持も危うくなりかねない。
ようやく、6月から博物館の展示はオープンできそう。そこで、行事をどのように復活させていくかが問題になってきた。室内行事は、部屋の定員の50%といった条件と、マスクなどの対策をすれば、再開できそう。しかし、野外行事はけっこうたいへん。人と人の距離を開けろと言われると、山道を歩く行事はやりにくい。どうしよう思いつつ、探り探り始めて行くしか無い。
といった状況の中、友の会会員獲得や維持のために、別途、友の会行事のテコ入れも必要。ってことで、いろいろ話し合う。今から準備すると早くても7月だけど、オンラインの講演会めいたのを設定。新人学芸員に押しつける。あとは、会報を使って、情報募集や身近な自然観察の記事の強化。とにかく、早めに対応しないと、今年はさておき来年の友の会会員数が激減の恐れがあり、友の会存続の危機も有り得なくない。
●2020年5月26日 来月のオープンに向けての準備
常設展と特別展、それぞれ来月にオープンの予定。で、そのための準備がいろいろ必要。とりあえず、常設展の方の準備が整ってきたので、今日はみんなで確認した。そして、特別展の方の準備もはじめた。
常設展の対応は基本的に3つ。
・スタッフと来館者の間に透明なパネルを立てる。この事態の長期化を予想して、業者発注で割としっかりしたものを。
・博物館入り口での検温など。高価なシステムを導入する余裕がなかったので、スタッフが手作業で検温する。入口で連絡先を書いてもらうか悩みつつも、陽性者がでたら連絡しないといけないので、その手のシステムに登録するか、メールアドレスなどを書いてもらうことに。検温スタッフのための人件費が余分にかかるし、検温スタッフが配置される場所に空調がないので、これから暑くなると大変な気がする。
・入管者数のコントロール。とにかく、2m以上の距離があけられないほどの人数を入れる訳にはいかないので、上限人数を設定。まあ常設展でそれを超えるってことは、お盆でもないと思う。でも、遠足は人数を考えなくてはならない。遠足はあるのかな? 人数コントロールを配慮した予約受付は面倒くさそう。
特別展は、常設展オープンの1週間後なので、その様子を見て対応を変えられそう。透明パネルと検温は常設展と同じ。外来生物展なので、たぶん人数コントロールを心配しなくてもいいけど、一応上限人数を設定。
あと、顔ハメはまずそうなので、鏡を付けることに。外来魚BOXは開けて固定かな。
●2020年5月25日 生まれて初めて、自分から医者に行った。
新型コロナウイルスの感染拡大で、博物館は3月から臨時閉館。4月に非常事態宣言が出てからは、出勤日数も減って、家にいる時間が増えた。そんな中で、なんか不調を感じる様になってきた。
4月21日、なんか息苦しくなった。これが数日間続く。いったん収まるけど、5月1日横になると息苦しい。2日、夕方から熱っぽい気がする。これもいったん収まるが、8日、また夜に横になると息苦しい。何度も目が覚めて、布団の上に起き上がる。9日、昼間も息苦しく、昼食が喰いにくい。体がだるい気がする。10日、息苦しさが収まった。24日、夜息苦しくて眠れなくなった。
毎日熱を測っているけど、37℃を超えることはない。だから新型コロナウイルス感染症ではないと思う。でも万が一が怖い。一人暮らしは急激な重症化が起きたら、即死亡。ネットで調べた感じでは、狭心症の可能性があるような。そういえば、昨年末の健康診断で不整脈が指摘されていた。なんか怖くなった。
という訳で、今日、健康診断でもなく、汚して連れて行かれるでもなく、自分で一人で内科に行った。ネットで調べると循環器系が強そうな医院がすぐ近くにあったので、そこへ。蛇足ながら、近所にはたくさんの病院や医院があることを初めて知った。
発熱していたら発熱外来のあるところへ回されたらしいが、熱はないので診てもらえた。心電図と心エコーとって、診断。お医者さんの見立てでは、発熱ないし新型コロナウイルス感染症は100%ないとのこと。不整脈はあるけど、狭心症の問題はないだろうとのこと。でも年のため24hr心電図をとることに。
【追記】
24hr心電図の結果、ものすごい頻度で不整脈があるとのこと。でも、お医者さんの見立てでは、これが狭心症などの心臓病に発展することはないとのこと。心配なら気休めの薬を出すけど?と言われる。
心臓が苦しい感じがするのは、不整脈を感じているのだろうとのこと。息苦しさの大部分は、心理的なものなんだそう。新型コロナウイルスのせいで、こうした来院が増えてるらしい。でも、安心させるというのが医者の仕事でもあるから、と言ってくれて良かった。
●2020年5月24日 大和川にカモメ類がいない季節
それは、冬鳥がいなくなってから、繁殖を終えたウミネコがやってくるまでの季節。という訳で、5月末から6月末にはカモメ類はあまりいない。でも、昔は5月末にもカモメ類がいた気がする。繁殖に参加しないウミネコとか、大阪湾で越夏するユリカモメとか。いつからいなくなったんだろう?
とりあえず大和川の毎月の水鳥カウントの古いところの5〜7月のデータを引っ張り出してみよう。ユリカモメとウミネコだけでいいだろう。
1994.5.28 ユリカモメ213羽、ウミネコ54羽
1994.6.25 ユリカモメ34羽、ウミネコ253羽
1994.7.30 ユリカモメ13羽、ウミネコ228羽
1995.5.31 ユリカモメ31羽、ウミネコ16羽
1995.6.23 ユリカモメ0羽、ウミネコ433羽
1995.7.29 ユリカモメ0羽、ウミネコ2506羽
1996.5.30 ユリカモメ3羽、ウミネコ12羽
1996.6.27 ユリカモメ0羽、ウミネコ34羽
1996.7.29 ユリカモメ9羽、ウミネコ2103羽
25年ほど前の話はきちんとは、覚えていないもんだ。ウミネコは5月に少なくなるものの、ずーっといたらしい。ユリカモメは5月まではいて当たり前で、越夏個体がいたら、6-7月にも記録されていた。それが近頃はどうだろう。
2016.5.16 ユリカモメ0羽、ウミネコ2羽
2016.6.30 ユリカモメ0羽、ウミネコ51羽
2016.7.25 ユリカモメ0羽、ウミネコ1729羽
2017.5.29 ユリカモメ38羽、ウミネコ96羽
2017.6.30 ユリカモメ1羽、ウミネコ296羽
2017.7.25 ユリカモメ0羽、ウミネコ1618羽
あんまり変わらないなぁ。とりあえず、カモメ類が一番少ない基節は今も昔も5月か6月。それじゃあ今年はというと、
2020.5.24 ユリカモメ0羽、ウミネコ0羽
5月ならまあいないこともありえなくはない。ってことかな。
【追記】
今年も6月と7月を付け加えると、
2020.6.20 ユリカモメ1羽、ウミネコ30羽ほど
2020.7.22 ユリカモメ0羽、ウミネコ約240羽
全体的に、ユリカモメの越夏個体はほとんどいなくなり、ウミネコの個体数も減ったということかな。
●2020年5月23日 大阪市内でのウグイスの生息状況
大阪市内の都市公園で、ウグイスの繁殖を確認したと教えていただいた。エサを運んでいる画像が送られてきた。繁殖確認は間違いないらしい。巣は見つかってるのかな?と思って訊ねたら、見つかるどころか、丸見えだという。植え込みのツツジ並の低く刈り込まれたササの、表面と言っていいくらい丸見えな場所に巣がある。って画像も送ってくれた。
大阪市内でのウグイスの繁殖自体とても珍しい。でも、それがこんな刈り込まれたササとは、さらに珍しい。そして巣が丸見えとは…。全体的に異例が重なりすぎて、このウグイスは大丈夫な奴かな?とウグイスの正気を疑うレベル。
こういう植え込み状態のササで良ければ、大阪市内とはいえ、他にもあるんじゃないかと思う。たとえば長居公園にはもっと立派(?)なササがある。当然、長居公園でもウグイスの繁殖の可能性が出てきた。さらにあちこちの公園や人家の庭で繁殖の可能性もあるかもしれない。今後のウグイスの動向には注目しなくてはならないだろう。
【追記】
などと書いていたら、2020年は堺市の7-3区埋立地でもウグイスが繁殖したという。メダケかなにかに巣をかけたらしい。2020年は、ウグイスの平地進出のメルクマールの年になるのかも。この動向に、山林へのシカの影響がどの程度関係しているのかも気になる。
●2020年5月22日 Youtubeライブで、バードリサーチの全国鳥類繁殖分布調査の中間発表を聞いてみる
内容はもちろん興味があるけど、少なくとも当面は、もしかしたらけっこう長い期間、講演会の類いはこういう形になるだろう。ってことで、自分でもやらざるを得なくなること必至なので、後学のために。っていうのが本当のところ。
画面にずっとZOOMって表示されているし、最初に低いテンションで講師紹介をした進行役の人もヴァーチャル背景を背負っていて、ZOOMからのYoutubeライブ配信らしい。
講師の植田さんが最初顔を出したけど、あとはパワポがほぼ全面に表示されて、右上に講師の顔が出てる。ZOOMでファイルを共有してるっぽい。
チャット機能が生きてる。頂いた質問には、最後に答えると書き込まれている。投げ銭もありにしていて、収益はバードリサーチの活動資金にする、って最初に言ってた。どうもログインすれば、保存もできるっぽい。
ちなみに内容は、昨年12月に大阪に来て話をされていたのとほぼ同じ。つかみのカツ丼分布図からして一緒。とまあ、ある程度知ってる内容なので、とても興味があるわけだけど、他の作業をしながらの視聴。
講演は、30分。その後、司会と講師のかけあいで、チャットに書き込まれた質問に対して、やりとりに10分。それから進行の方から、投げ銭の仕方の説明と、チャンネル登録のお願いに5分。
視聴者は最大250人弱。全部で45分プログラムで、来週にまたあるらしい。今度はツバメの話。
自分で話をする側に立つことを考えると。
・小さいワイプで顔が出るだけなのは有り難い。
・パワポを見せながら喋るだけなのは楽だけど、
特定の場所を指せるのかな?
著作権絡みの処理がいる画像は使いづらい
・視聴者のリアクションが、直接見えないのは話づらい。笑いがとれたのか分からない。
といった辺りが気になるところ。
●2020年5月21日 200個のフェイスシールドの使い道
なんか知らんけど、フェイスシールドが200個手に入るらしい。それだけあれば、観察会で、全員にフェイスシールドを付けてもらえる。フェイスシールドを付けた50人ほどが、ぞろぞろ歩いていたらインパクトありそう。バスに乗って移動する行事もできるかも。フェイスシールドを付けた50人がバスに乗ったら、威圧感が半端ないなぁ。まるで、ソフトな機動隊のような。
フェイスシールドを使い捨てにするなら、200個あっても、行事数回で終わってしまう。でも、再使用するなら、アルコールで拭くというけっこうな手間がかかる。あまり現実的ではないような。
スタッフだけが利用して、使い終わったらアルコールで拭く。あるいは個人持ちにして、管理は任せる。てなラインが現実敵。それなら、200個もいらんねんけど。
●2020年5月19日 緊急事態は解除されたけど、新型コロナウイルス感染症に注意が必要な期間の鳥の観察会
とりあえず6月には、新型コロナウイルス感染症についての緊急事態宣言は解除されてそう。でも、まだまだ集団免疫は獲得されてないし、効果のあるワクチンや薬がない中では、感染症が蔓延するリスクは高い。って中でも、なんも活動しないわけにはいかない、というか、それでは退屈なので、出来る範囲で観察会も復活させて行きたい。
講演会やワークショップなどの室内行事、あるいは展示施設のオープンについて、どうしたらOKかは、ある程度指針が揃ってきたように思う。
1:熱や咳がある人は、ご遠慮願う。
2:マスク装着、手を消毒、物品の使い回しをしない。
3:クラスター発生時に連絡とれるよう氏名と連絡先を保存。
4:濃厚接触を避けるために、参加者は1m以上の間隔を開ける。そのためにも人数制限。
5:会場の換気をよくする。
じゃあ、野外行事はどうしよう? そもそも野外は換気はいい。とすると、上記の1から4を確保すればいいのだけど、意外と面倒なのが、4を実行。何かを観察する時は、集まりがちだし、細い山道を歩く時はメッチャ伸びてしまう。
よそはどうしてるのかな? と思ってたら、5月15日付けで日本野鳥の会から指針が出ていた。上記1から3、及び些細な点を除けば、対応策は次の通り。
・参加者を少人数にする。人数が多くなる場合は、1グループ10名以下を目安に班分けする。事前申し込み制にして参加者数をあらかじめ制限する。
・人と人との間には、最低1m、できれば2mの間隔をあける。
・真正面での会話を避け、ハンズフリーマイクを使用するなどして大声での発声を避ける。
少人数の申込み制の野外観察会なら、実施は可能だけど。「人と人との間には、最低1m、できれば2mの間隔をあける」は、なかなかハードルが高い。ただ、濃厚接触の定義は、“1m以内に15分以上”になったはずなので、それなりに散らばって、動きまわっていれば大丈夫なのかなぁ。
どこか試したところないかなぁ。
●2020年5月18日 大阪府堺市のアフリカツメガエル
昼一番にアフリカツメガエル2匹がやってきた。なんと大阪府堺市の小さな池で採集された個体。水網を入れたら簡単に採れたというので、その池にはたくさんいるらしい。今のところ、他の池の情報はない。拡がる前に駆除しなくては!な案件。
そもそもこのアフリカツメガエルの存在は、堺市の某委員会に出席していて教えてもらった。面倒くさがらずに委員になってて良かった。堺市の外来生物リストを作るべく、堺市が集約していた情報の中にあった。関係委員全員が注目して、詳細な情報を根掘り葉掘り訊ねて、早急な対策が必要! まずは現地調査を! と言ったら、現地調査をされて、生きたのを捕まえた。との報告があったので、外来生物展で展示したいから、生きたままください!と我が儘言ったら、届けて下さった。委員のご威光に感謝すべきかもしれない。
来月からいよいよオープンできそうな外来生物展で生品展示の予定。当初の外来生物展の会期だったら5月30日までしか展示できないところが、新型コロナウイルスのおかげで、いっぱい展示できそう。
【追記】
この2匹は、外来生物展オープン2日前に死んでしまった…。簡単に飼えるから実験動物にされてるんじゃなかったの?
●2020年5月17日 新型コロナウイルス存在下での特別展のオープンの準備
外来生物展は、当初3月1日〜5月31日の会期だったのだけど、新型コロナウイルス感染症のせいで、会期中には一度もオープンできないことが確定。ところが、某学会大会とか、夏休みに予定していた誘致展が中止になってたので、5月半ばに博物館の展示自粛が解除されたのを受けて、当初予定の会期を変更して、外来生物展を開催することになった。これは、2月時点で、すでに萌蔵が予想していたパターンである。萌蔵の先見の明には脱帽するしかない。
で、新しい会期は6月9日〜8月31日に決定した。また途中で臨時閉館になるんじゃないの?とか。そもそもゴールデンウィーク明けて2週間もしたら、また新型コロナウイルス感染症が再燃して、そもそも新たな会期でのオープンも無くなるんじゃないの?といった気もしないでもないが。いや、むしろ強くするが、オープンに向けての準備をしなくてはならない。
単に会期を変更しました〜、とネットででも宣言して、しれっと開けるだけかと思ったら、それでは済まないらしい。ちょっと面倒な会期変更+新型コロナウイルス感染症対策付きをまとめておこう。
まずは、会期変更のアナウンス。インターネット関連のアナウンスはすでに終了。プレス発表はこれから準備。ポスターやチラシの印刷は、もういいかぁ。となった。これは途中でまた閉まるかもと思っているからでもある。チラシには行事案内とかも載っていて、デザインのやり直しも付いてくる。ポスターは古いのが余ってるから、会期だけ修正したのを、配布しようということになった。ただし、大阪府外からの来場はご遠慮くださいと言わないといけないので、配布は大阪府内だけ。会期を書いてあるのぼりは作り直し、周辺の看板系も少なくとも会期を貼り替え。
展示内容は変更無し。かと思いきや、借りた標本を、そのまま貸してもらえるかの確認が必要。大物が1つ、返せと言われるんじゃ無いかという見込み。あとは大丈夫かなぁ。そうそう顔ハメは撤去かなぁ。代わり、でもないけど、アフリカツメガエルが到着しそう。
関連して、名義後援の某教育委員会に、会期を変更しても後援してくれるかの確認or手続きがいる。
行事関連は、そもそも博物館全体として、7月末まですべての行事を中止にしたので、7月末までは中止。8月をどうするかは未定とするしかない。状況見ながら、おいおい判断かなぁ。と判断。ただしギャラリートークは、すでに収録してYoutubeにアップしてあるので、そっちへ誘導。ネット配信の講演会を考えるかなぁ。
チケットやパスポートには、会期が書いてあるけど、古い会期でも使える。ってアナウンスすることに。招待状も同様。ただ、招待状を送った相手で、大阪府外のみなさんにどう対応すべきかは悩ましい。この特別展で特にお世話になって方とか、一緒に調査したメンバーで、大阪府外の方がなぁ。
入口には、透明ビニール的なのを設置して、体温・名前・連絡先を記入してもらう。鉛筆は消毒済みを準備。非接触型の体温計を準備。マスクしてない方には、簡易マスクを提供(というか作ってもらう)。会場内では、1m以上間隔を開けて、会話を控えめで、とお願い。などなど。
一番残念なのは、少なくとも当面の間は、大阪府以外からの来場はご遠慮ください。とアナウンスせざるを得ないらしいこと。そもそも大阪市立といいつつ、うちのターゲットは控えめにいっても近畿全体。とくに奈良県北部、兵庫県南東部、京都府南部からの利用者が多い。それを来ないで、っていうのは…。
そもそも外来生物展の想定来場者は、日本全国。実際に関東からも見に行こうと思ってたという声も聞く。それも来てもらえないし。オープンしないよりはましだろうけど、外来生物展の意味が、大きく減じてしまうのは間違いない。
●2020年5月16日 府県境を超えて
大阪府では、緊急事態は宣言されたままで、外出は自粛しろ。と、国が言ってる一方で、府や市は、営業自粛は解除。という不思議な状況。つまり開館してもいいけど、外出を自粛してるので、来館者はいない。というのが正しい姿ってことになるのかな? なんのために開館するんだろう?という感じは否めない。
さらに、どうやら緊急事態が宣言されたままの都道府県はもちろん、緊急事態宣言が解除された県でも、都道府県をまたいでの移動は自粛を要請されているらしい。つまり、仮に来週、大阪府の緊急事態が解除されても、周辺府県からの来館者はお断りしなくちゃならない、ってことらしい。
大阪府だけでなく、周辺府県の市民も含めた普及教育事業を展開しているのになぁ。特別展も別に大阪府民だけをターゲットにしてるわけじゃない。展示や行事が解禁されてもこの状態が続くと、とてもやりにくい。
面白いのは、学芸員は周辺府県から通勤してるのがいるんだな。それはOKらしい。でも、行事を手伝ってくれるボランタリィなスタッフは、周辺府県から来てもらえないという不思議な状況が生まれそう。
博物館行事はまだしも、友の会行事で府県境がまたげないと、大阪府以外の会員を失いかねないのが心配。
●2020年5月14日 コロナ禍の中での博物館行事を考える
昨日の夜のZoom会議。とりあえずは、今年度の友の会行事をどうするかを相談してたのだけど、当然ながら博物館行事にも通じる話で、話題は入り交じりまくる。
それなりに落ち着かなければ、室内で集団は無理なので、講演会やギャラリートーク、子どもワークショップは実施できない。代替として講演会やギャラリートークは、ビデオ収録しての配信の準備を進めていたり、すでに公開していたり。ここでは、
・カチッとした形で収録して編集から配信するか、ライブ配信にするか。
・ライブ配信の場合、その場限りにするか、後から見られるようにするか。
・一方的な解説にするか、双方向性を維持するか。
・喋っている人が登場した方がいいか、パワポ画面だけみたいなのがいいか。
・図表で話すのがいいか、標本などものを見せる方がいいか、見せるなら現場がいのか、それならいっそのこと野外からでもいいのか。
と、いろいろなやり方が考えられて、とりあえず試してみないと、どれがいいのか分からない。
それなりに落ち着かなければ、集団でフィールドに行く観察会も厳しい。代替として、講演会と同じように、収録して公開、あるいはライブ配信をするかという問題。
少しだけ落ち着いたら、少人数制で実施する方向もあり得るかも。だとしたら、
・申込み制になる。大量の落選者をどうする?
・密接度を制御するなら、講師一人当たり、参加者は何人?
・1回の参加者数を減らすなら、回数を増やすの?
いろいろ悩ましい。
意外と、テレワークなご時世だからこそ、新たな展開ができるかも?!という話になったのが、実習系。たとえば標本作製系。解説付きで模範演技を見せる+個別指導が組合せられれば、実施が可能。そもそも実習系は比較的少人数向けなので、対応しやすいし。その際の課題は、
・収録した模範演技がいいのか、ライブでやってみせるのがいいのか? 後日、配信プログラムへの転用ができる形が一石二鳥ではある。
・おそらく模範演技担当と、参加者の疑問に対応担当が必要。1人で何人の参加者の面倒が見られるか?
・実習に必要な材料や道具をどう手配するか。あるいは個人で入手しやすい形を設定できるか。
・参加者は、自分で作業しながら、作業の様子を見せないといけない。それがスマホなどでうまくできるか?
意外と標本同定会も、Zoom会議的に実施できるかもという感触がある。画面越しでは正確な同定は難しい。そもそも画像での同定は難しい。とはいえ、同定できなくても、同定できる写真の撮り方、標本の作り方などの指導はできるから、充分意義ある行事が成立できる。気になる点として、
・多数の参加者をどうさばくか。
・双方向性をどのように維持するか。
・申込み制?
などがあるけど、課題は少なめ。これは、友の会会員が顔を合わす場として、頻度高めに開催するのがいいのかも。そして懇親会的に?
いずれにせよ、早い時点で内輪の少人数でのお試しが必要。
●2020年5月13日 コロナの中での開館準備
今週後半に、博物館の臨時休館の要請が解除されるという公算が高くなってきたので、昨日の会議で対応を話合い、午後には学芸員の一部で館内を見回って、対応を考えた。
思い起こせば、先の3月20日頃にも、開館できるようになる公算が高くなり、開館に向けての話合いをして、準備もした。それで大部分は対応できるけど、2ヶ月経って、より面倒な対応が求められるようになってる。という訳で、再チェックが必要ってわけ。
入口では、
クラスタ発生時に連絡とるために、名前と連絡先と体温と体調を書いてもらう。その際の鉛筆はアルコール消毒済みのを。体温を測ってきてない人はそこで計測、体温や体調に問題があれば、入館料は返金して、帰ってもらう。他府県からの人にも
マスクをもってない人には、(ペーパータオルと輪ゴムの?)簡易マスクを作ってつけてもらう。アルコールを手につける。
やり取りは、ビニールのガード越し。この状態がけっこう続きだから、割としっかりしたのを設置するプラン。
傘置きは、カギがかからないようにしておく。ロッカーの扉とカギは頻繁にアルコール吹き付ける。チラシは撤去。自慢げにぶらさげてる論文も撤去。博物館出版物の見本は撤去、販売は中止。
トイレでは、頻繁にアルコール吹き付ける。
展示室では、
インターアクティブな展示が中心の第5展示室は閉める。地域自然史展示室の図書コーナーも閉める。
ハンズオンの展示は、触らないように表示する。と同時に頻繁にアルコール吹き付ける。可能なのは撤去。ボタン系も頻繁にアルコール吹き付ける。
ソファは撤去。最低限の休憩に必要な椅子だけを設置。エレベーターのボタンにも頻繁にアルコール吹き付ける。
トイレと展示室での対応は、3月時点と同じだけど。入口での対応は、3月よりも厳しくなってる。というかはるかに面倒になってる。
●2020年5月11日 タネコレクションの整理開始
3月から臨時閉館で、いつになったら自然史博物館の展示が開くか分からない。普及行事も7月末まで中止が決まってしまっている。ってなか、日頃きちんと出来ずに気になっていたのに手をつけている。
3月と4月には、
・砂場など屋外でホネにしていたのを確認して、できてるホネを回収。
・旧トラックヤードに放置していた大きな巣と、ホネ(おもにウミガメ類)を洗って整理。
・旧実習室に放置していた毛皮を冷凍室に入れて、いわゆる冷凍燻蒸。
・トラックヤードに放置していたサイ皮を燻蒸。
目に付く大きめの標本の整理をした訳で、けっこう達成感がある。
で、5月はもっと自分の研究室周りに取り組む。とりあえず、
・タネコレクションの整理
・鳥の仮剥製のラベル書き
が目標。
という訳で、とりあえずタネコレクションの整理に手をつけた。
・洗って乾いてるのを袋詰めして、洗ってなければ洗って乾かす。
・ラベルなければラベル書いて。
・ファイルにデータ入力して整理。
・ホームページのリストも更新。
2016年末以来、整理が止まっていたのが判明。ざっと3年分。けっこうな量があるなぁ。でも、数日で済みそう。気になってたから、整理が進むと気分がいい。でも、さっさと標本整理系を一段落させて、データ整理系に手をつけねばならないのだけど…。
【追記】
結局、整理に3日かかった。2016年末までの整理ができていたので、1日目に2017年分の整理・登録・サイトへアップ。2日目は2018年以降のを、整理・仕分け。3日目に2018年以降を登録・サイトへアップ。90点の標本が追加された。タネコレクションへの熱意が復活してきたー。
●2020年5月10日 コロナ時代の良識ある社会人
今日、母親が入院したという連絡があった。いま話題の感染症だと、年齢的にやばい。が、骨折しただけらしい。年寄りなので、骨折もよろしくはないけど、とりあえず直接的に生命に問題はなさそう。このご時世に、入院するベッドがあってなにより。とむしろ喜ぶべきかも。でも、病院で新型コロナウイルスをもらわないかという心配はした方がいいんだろうか。
で、かつての良識ある社会人ならば、見舞いに行くような場面。親不孝なので、そもそもかつての状況でも見舞いに行ったかは謎だけど。そもそも毎日忙しかったろうし。いまや博物館は臨時休館で、普及行事もすべて中止、自宅待機が命じられまくっている中、時間的には余裕があるのだけど、このご時世なので、見舞いに行かないのが良識ある社会人。
かつては、平日の昼間っから、家でカウチポテトでテレビを見てる奴は、ロクデナシであった。が、いまや、それこそが良識ある社会人。新型コロナウイルス感染症は早く治まってくれないと、社会的にも、個人的にもとても困った状況になりそうだけど。あまり社会的な個人としては、この事態が有り難い側面も少なくない。たとえば、
・年老いた親に滅多に会いに行かない。
・コンビニやスーパーのレジ、その他他人とは必要最小限の話しかしない。
・たくさんの人がいる夜の街、レジャー施設、行楽地に行かない。
・名刺交換をしない。
いずれも、かつては問題視されかねなかったけど、いまやむしろ褒められる。この騒動が終息しても、こうした点に関しては、継続して欲しいなぁ。
●2020年5月9日 コロナ後の世界 子どもワークショップは?
いつ終わるか、それとも終わらないか? 子ども向けワークショップはどうすればいいだろう?
リアルで子どもを十数人集めて、リアルなコミュニケーションを通じて、何かに気付いてもらうというのが、子どもワークショップ。うちの場合、展示について、体験を通じて、子どもに何かを伝える場。肌感覚のコミュニケーション命なので、コロナの影響をモロに受ける。
オンラインでも、解説はできる。作業も自宅でできる形で提供もできるだろう。が、肝心な博物館体験とコミュニケーションをいかに提供するかは難しい。とりあえず、博物館や展示や標本や学芸員の画像や声は届けられる。双方向性を確立できれば、コミュニケーションもなんとかできる。
ただ、大人相手ならそれで充分かもしれないけど、小さい子ども相手では、重要な要素が抜け落ちてしまいそう。
来館が可能な状況になっても、集められないとなると、実施できる子どもワークショップのパターンは制限される。今までのまま使えるプログラム、修正して対応できるプログラム、実施が難しいプログラムといったトリアージが必要になりそう。
●2020年5月8日 久しぶりの調査
例年なら、繁殖期の調査やら、観察会の下見や本番で、頻繁に歩き回る季節だけど。今年は2月下旬から行事はすべて中止、サークル活動も中止。そのせいで、家と職場の往復以外の外出が少ない。ため池調査と大和川調査で自転車で出かけるのと、ハッカチョウ調査で電車で大和郡山と大山崎町〜長岡京市に出かけるだけ。5月のハッカチョウ調査に、と思ったけど、ゴールデンウィークは外出自粛とうるさかったので避けて、昨日と今日、調査に出かけた。
行きと帰りの電車は、出勤時間帯を避けて、何も触らず、誰とも喋らず。現地では一人で、人の通らない道をウロウロするだけ。感染リスクという意味では全然問題ない。んだけど、なぜかお忍び感が強め。ちなみに電車の混雑状況は、今までとあまり変わってない感じ。
という訳で、調査に行ったんだけど。調査が久しぶりというより、歩くのが久しぶり。大和郡山も大山崎町〜長岡京市も、2時間20分ほど平地をウロウロするだけ。かつてなら、軽い運動レベルなのに、なぜか妙に脚が疲れる。わずかな間にこれほど体がなまってるのか?と軽く衝撃。
外出自粛が続いている中、多くの人の体がなまってそう。そして、メタボが進み、痴呆が進み、医療や介護への負担が地味に増えてるんじゃないかと思う。
●2020年5月6日 Zoomミーティングの回し
とあるサークルのZoomミーティングを開いた。自分がホスト側は初めて。Zoomの要領が分かってなくて、いろいろ反省点がある。
本の話をするミーティングなんだけど、まず議題をきちんとまとめてなかったので、思いつきで進めてしまった。あらかじめ議題リストを配っておけばよかった。
本の推薦とかをみんなでしていたのだけど、一人がパワポに画像をおとして、手際よく紹介していた。みんなに見せる画像を、できるだけ見せる準備が必要だった。一方で、その場でサイトやファイルを共有するというのも可能なのが便利なところだけど。それもサイトを準備しておく方がベター。
それぞれの発言可能な人を、あらかじめ仕込む。というかある程度把握しておくのも、妙な空き時間を作らないためには必要だったかも。
この会議は、おそらく次は6月。次はちゃんと準備する。
●2020年5月5日 ミサゴの食性調査の一手法
ながらく放置していたミサゴの巣。袋詰めして、燻蒸そて、ようやく収蔵庫に片付けた。巣を運び去った後、その巣を載せていたところを見ると、木の枝の破片とかがいっぱい落ちてる。木の枝でできた巣を動かすとどうしても、少しずつ壊れて、小さくなっていく。少し残念だけど仕方がない。それはもうゴミみたいなもんだから、捨てよう。
と思って、よく見ると、その中に魚の鱗がいっぱい混じっている。さすがはミサゴ。魚を食べてる証拠だ。けっこう大きな鱗が多い。巣に持ってきたということは、ヒナに与えた餌の一部ってことかな? これはミサゴの食性についてのデータではないか。
と言う訳で、集めて保存することに。食べた魚種が分かるかなぁ? 大部分ボラという可能性が高い気がするのは私だけ?
●2020年5月4日 緊急事態宣言の延長は想定内だけど
現在、5月6日までの緊急事態宣言が、5月31日まで延長されることになったらしい。大阪府の場合、4月8日頃から緊急事態に突入させてもらったので、ほぼ2ヶ月間緊急事態が続く事になる。で、特定警戒都道府県というのにも引き続き入れてもらってる。これも想定内。想定外だったのは、特定警戒都道府県であっても「公園、美術館・博物館、図書館は、充分な感染症対策をすればオープンも可」てな話がでてきたこと。
昨日の午後くらいのニュースから、そんな話題が出てきて、ビックリしていろんなニュースをチェックしてしまった。これは想定外。
2月末から自然史博物館はずーっと臨時休館中。3月の連休の時に開けるかも!って話が出たけど、それも政府の意向でポシャり。まる2ヶ月展示は開いてないし、行事も全面ストップ。この状況は当面打開されそうにないから、さっさと7月末までの行事すべて中止を決定したところ。そこに展示をオープンできるかも、という突然の話題。
充分な感染症対策っていうのが、なにを指しているのかが分からないと判断しにくい。万が一クラスターが発生したら、感染症対策が不充分と叩きまくられるのは必至だし。そもそも美術館・博物館に人が一杯来た時、対策が可能かどうかはけっこう怪しい。せいぜいが入場制限とハンズオンの停止。子どもが多い自然史博物館の場合、パチンコ屋よりも来館者同士のやりとりはあるかも。
常設展はオープンできたとして、特別展もオープンできるかは、また違う話。美術館の人気のある特別展って、かなり人が集まるケースがあるけど、分かってるのかなぁ?
あと、博物館とはどこまでを指すのかもよく分からない。個展を開くようなギャラリーは? 動物園や水族館は? 遊園地付きの動物園は? それじゃあテーマパークは?
そもそも、緊急事態宣言が続いていている間、特定警戒都道府県では“おうちにいようキャンペーン”が続くわけでしょ。それなのに、美術館・博物館に来てね。って矛盾しまくってるんだけど、どう考えてるのかなぁ。まだおうちで過ごす本を提供する図書館を開けるのは分かるけど。
いずれにせよ、国がなにを言おうが、とりあえずは大阪府などの意志決定を待つ事になりそう。
●2020年5月2日 ギャラリートークの収録
4月12日と今日、いまだにオープンしない外来生物展のギャラリートークの収録があった。ディレクター&撮影&音声&編集のトミーさんを迎えて、5〜10分程度、カメラの前で話す。リアルなギャラリートークなら、とっちらかってもごまかせるけど、収録されるのはいろいろ難しい。途中で悩み始めるのか、後半にいやな汗をかく…。
4月は、ヌートリアの話。今日は、大阪の外来鳥類の話と、外来生物とのつき合い方の話。うまく話せた気がしない。編集が終わったらチェックしろと言われるのだけど、自分では見たくない。ので、萌蔵に任せてしまおう。
ちなみにある場所でトークして、歩きながら話をして、次の場所で続きのトークを。というのを、我々一部の学芸員の間では、“アッテンボローする”という。いまだに挑戦できてもいないけど。うまくできると格好良さそうだななぁ。
そして、臨時休館が長引く中、他にもトークを収録して配信するという企画が練られている。カメラの前で上手に話をするというスキルが求められるんだけど…。とにかく、汗をかかないようになりたい。
●2020年5月1日 イマドキのテレビの収録
とある関西ローカル番組の取材を受けた。このご時世なので、取材にこなくて、芸人のレポーターさんからの電話取材。
放送予定日からすると、緊急事態宣言的な感じで、予定通りに放映されない可能性が大。でも、万が一放映されたら、家で暇してる人が多いこのご時世、けっこう多くの人が見るかもしれないなぁ。
いきおいでヌートリアの情報募集をしたけど、放送されるかな? 寿命を訊ねられたけど、知らないと答えたくだりはカットしてくれるかな?
ヌートリアが人間を襲うような害はないと話したのはいいけれど、農業被害を起こす事を話すのを忘れた…。ヌートリアは、カピバラほとは動物園にいないような話になってしまったけど、動物園にいてもカピバラほどは注目されないと言うべきだった。ヌートリアはカピバラに顔が似てるという話をしたけど、ビーバーとカワウソも出したかった。大阪城外堀にいることを話したけど、山田池公園と服部緑地でもよく見られていることを話せばよかった。
という訳で、上手に編集してくれるの希望〜。
●2020年4月30日 2020年4月のまとめ 臨時休館ももう丸2ヶ月
3月に続き、4月もずっと臨時休館。予想通り外来生物展はオープンせず。普及行事もすべて中止だし、緊急事態宣言が出てしまいサークル活動までストップせざるを得なくなった。そのおかげで、標本整理だけが進み、旧トラックヤードがすっかり片付いた!
さらに出勤自体を半分以下に減らし、自宅待機せよとの指令。ほとんど仕事をせずに、やたらと睡眠時間が長かった一ヶ月。すっかり朝起きる習慣がなくなってしまった…。
そんな2020年4月を振り返ってみよう。
ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。このご時世だけど、家から自転車で出かける調査で、誰とも濃厚接触しない。
ハッカチョウセンサス2コースも実施した。不要不急じゃないからね、と言い訳しながらの調査。月初めで、まだ緊急事態は宣言されていなかった。
地元公園では、カラスの巣チェックを実施。時間があるので、例年より調査頻度は高め。
今月から大阪府下のため池で繁殖する鳥の調査を、20年ぶりに大阪鳥類研究グループで実施する予定だったが、外出自粛が要請されまくっていて、きちんと実施できる見込みがないので、実施は来年にまわすことにした。
ホネホネ団の通常の活動日はすべて中止になった。突然届いたヒツジを処理したのみ。
砂場は、2019年8月以前のものはなくなった。2019年9月のマゴンドウとシマウマも確認したが、もう少しそのままが良さそう。旧トラックヤードの片付けは、アカウミガメ・オサガメを含めて完了。ものすごく片付いた。
旧実習室などの哺乳類のなめし皮は、袋詰めされたので、順次冷凍室へ。トラックヤードに長年置いてあったサイの皮は燻蒸中。
普及行事は、鳥類フィールドセミナー、鳥の調査の勉強会、植物園案内・動物編、ジュニア自然史クラブ、博物館・センター活動報告会が、すべて新型コロナウイルス感染症のせいで中止になった。読書サークルBooksの会合は5月に延期?
展示関係は、オープンしない外来生物展で、淡水魚へのエサやりを分担。
講演はなし。博物館実習もなし。博物館実習の内諾伺いの受付完了。今年度は、19大学37人と、昨年に比べて人数が約2/3。とても楽だけど、8月と9月に実施できるかが不透明で、実施できない場合の日程変更などが面倒そう。
委員会関係は、4月に延期されたY川関係が、新型コロナウイルス感染症で集まるのを断念。書類へのコメントを求められるという形に。
団体Kの雑誌への投稿論文の査読2本がたまってる。時間はあるのに投稿論文は書けてない…。
とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系0冊と、SF9冊。いまだに今までの調子でSFが読めない…。
完全休養日は4日。
●2020年4月29日 オサガメの背甲・腹甲洗い
旧トラックヤードに長らく放置されていたウミガメの処理が一段落。ラスボスとして君臨していたオサガメの背甲・腹甲も昨日と今日でクリーニング完了。というより、とりあえず終わったことにした。
このオサガメを回収したのは、2009年11月24日、福井県美浜町でのことだった。その前に兵庫県で回収したオサガメを、アカウミガメのようにホネにしたら、背甲・腹甲がバラバラになって、数万ピースの超難解ジグソーパズルになってしまった。今度は絶対にバラバラにしないぞ! と心に決めて、背甲と腹甲に分けて持って帰ってきたのの、内側を軽くクリーニングして、ホルマリンに漬けた。
それから数年。だったっけ?ホルマリンから出して乾燥させた。クジラのヒゲとかは、これで皮ごと保存できる。が、乾燥させていたら、ドンドン脂肪がにじみ出てきて、黄ばんできて、表面がベタベタしてきた。なんじゃこれ〜、と避けていたら、ベタベタにドンドン汚れが付いて、今度は真っ黒になってしまった…。いったいこれ、どうすんねん〜。と思って放置すること。10年くらい。
で、この3月にオサガメ背甲・腹甲を放置していた旧トラックヤードを片付けることになって、いよいよ処理して、収蔵庫に入れなくてはならなくなった。幸いにもと言うと怒られるだろうけど、新型コロナウイルス感染症対応のために、博物館は臨時休館で普及行事も前面中止。すなわち、メッチャ時間ができた。この機会を逃してはならじ。とばかりに旧トラックヤードの片付けを進めること、約1ヶ月半。最後まで、避けてきたオサガメ背甲・腹甲にたどりついた。
結果から言えば、案ずるより産むが易し。2日間、軽く頑張ったら処理できた。長く放置してきた割りには、想像以上に状態がよくて、表面の細かいホネはちゃんと引っ付いてくれていた。したがって、処理は表面をクリーニングするだけ。
外面は、中性洗剤をつけてタワシで磨く。スクレイパーでこする。中性洗剤を浸けて放置する。これを二巡繰り返したら、綺麗になった。とくに背甲は、5本のキールと、細かいホネの模様がとても格好いい。
が、内面はかなり厄介。細かいホネ以外にも内側に、肋骨めいたホネが付いている。これを外さないように、間の肉を除去する。肉の除去は、意外にもスクレイパーでけっこう取れた。あとはメスで切ったり、削ったり。ただ、内側に皮のようなものがあって、肋骨はそこに埋もれている。この皮のようなものは取り切れない。しかし、この中から脂肪が出てきそう。脂肪が再びにじみ出てきたら、また洗うことにして、完成したことにした。
●2020年4月28日 今年の博物館実習はどうなる?
近畿圏を中心に西日本方面の学芸員が、研修と称してZoomを使った会議を試すというので、こっそり参加してみた。Zoomの使い方を教え合う部分はつまらなかったけど、新型コロナウイルス対応で、臨時休館中の各館の状況や、現在開催しているはずの特別展やこの夏に予定している特別展の状況がいろいろ聞けて面白かった。
いずこも現在、臨時休館中で、普及行事もすべてストップ。当然ながら現在開催しているはずだった特別展も開催していない。予定している会期中に、臨時休館がとかれれば、ようやく特別展もオープン。予定の会期末まで短くても少しでもオープンさせたい感じがただよう。可能な範囲で、オープンしていない特別展の会期を延長しようとする動きも多そう。
一方、今年の夏に予定している特別展も深刻。このままではオープンできないだろうなぁ、と思いつつも準備している館が多い。展示はオープンできなくても解説書は出すんだ!と頑張っている館もある。海外などから借用しての特別展の場合、早めの判断が必要なので、もう夏の特別展の中止を決定しているという話もあった。
と、こっそりビデオオフで聞いていたら、博物館実習の話になって召喚されてしまった。
多くの博物館で博物館実習は、夏休み期間にあることが多い。夏休みに学生集めて博物館実習は開けるかは、今年の場合不透明。早めに中止を決めるか、定員を減らして様子をみるか、とりあえず受け入れて実習期間は柔軟に対応とするか。いずれも悩ましい。学生を集めずにヴァーチャルに博物館実習をするのは可能だろうか? という話題も出ていた。
大学関係者も参加していたのだけど、そちらからは、
・4月中に早めに受け入れるかどうかの判断をして欲しい。
・内容は博物館にお任せなので、ヴァーチャルでもいいけど。
・4回生はやむを得ないけど、3回生は来年に回るように説得してる。
といったコメントがあった。
うちの博物館への申込みは4月末締め切りだけど、昨年の感じでは今日時点でほぼきまり。昨年は25大学54名を受け入れたが、今年は17大学32名。随分少ないので、実習期間の変更のやり取りも少し楽そう。
ちなみにB博物館は、例年の受入人数は30人だそうな…。
●2020年4月27日 緊急事態の中のため池巡り
緊急事態が宣言されているので、調査に行くにもいちいち言い訳が必要で面倒。25年以上毎月続けてきた調査なので、当然続けたい。でも、第三者が納得する理屈をこねくっておくのが安全。幸いなことに、この調査は、家かが自転車で出発して帰ってくるので、行き帰りに、繁華街は通過しないし、公共交通機関も利用しない。調査中も人混みをウロウロする訳じゃない。という訳で、濃厚接触は一切無し。これがダメなら、先にスーパーに買い物に行くのを禁止しろ。てなもんなので、非難の声はでないだろう。
という訳で、調査に行ったのだけど、事前に一番心配したのは、すべてのため池を調査できるかどうか。大抵のため池は問題ないだろうけど、新型コロナウイルス感染症対策のために、ため池のある公園を閉鎖していたら、どうしよう。公園の場合まずそんなことはないけど、大学は?
という訳で、数日前に、構内の池を調査している某大学のサイトを開いてみた。なんと4月8日から5月31日まで、学生の構内への立ち入りを制限すると、宣言していた。私は学生ではないので、入ってもいいような気がするけど、教員やスタッフでもないので門が閉まっていたら入れてもらえる可能性は低そう。この4月と5月は、1ヶ所欠損値になるのかぁ。
と思いつつ、件の大学に到着。駅から学生がやってくる門は、鉄扉がしっかり閉まってる。でも、横の道はとくに封鎖していないなぁ。と、行ってみると、普通に構内に入れた…。不思議なくらい問題なし。構内は、あまり人はいないけど、学生がいないこともない。親子連れとかお年寄りとか、近所の人も入り込んでる様子。まあ、この大学は近所の人の散歩コースになってたりするし。
池を調査して、いつものように構内を通り抜けることは無理かなぁ…。と思ったら、あっさり出られた。つまり駅から学生がやってくる言わば正門だけ閉めてる様子。案ずるより産むが易し。ずっとこのままでいますように。
●2020年4月26日 放し飼いコブハクチョウの末路
とある池で放し飼いされていたコブハクチョウ2羽の死体が届いた。防鳥ネットだかに引っかかって死んだと聞いた。
このコブハクチョウが放されたのは、手元の記録によれば、2008年3月中旬(3月9日にはいなかったけど、3月20日にはいた)。わざわざ動物園からもらってきて放したと聞いた。イマドキ、池にハクチョウ浮かべて喜ぶとか、時代錯誤も甚だしい。前もって相談でもされていたら、反対したのに。
幸いなことに、放された2羽はどちらもオスで、風切羽が生えないように処理されているので、数が増えたり、よそに飛んで行って迷惑をかけるということもなく、約12年。
コブハクチョウが浮かんでいる池なんて、勘弁して欲しいから、いなくなればいいのに。とは思っていたけれど、死んでしまうと可哀想。
放された時に何歳だったかは知らないけど、数十年は生きるような鳥。それが早々に死んだのは、やはり放し飼いは死亡リスクが高いって事だと思う。元気に長生きして欲しいなら、きちんと管理下において飼育すべき。生物多様性の保全という視点でもそれが推奨される。という点で、コブハクチョウとイエネコは、一緒だなぁ、と思った次第。
●2020年4月25日 新型コロナウイルスとコチドリの関係
今日は、大和川沿いを自転車で走って水鳥調査。近頃は、外出にいちいち理由が要りそうで面倒くさい。家から一人で自転車で出かける分には、誰とも濃厚接触しない。大和川沿いにはそれなりの人出があるけど、せいぜいすれ違う程度。話をしたりしないし、ほとんど立ち止まりもしない。ってことで、ウイルスをやり取りすることもないだろう。と言い訳しておいて、
春の河川敷は、低水敷はセイヨウカラシナの黄色、土手はナヨクサフジの紫色の2色に分かれて、とても華やか。で、春めいてるからか、土曜日だからか、はたまた自粛に飽きたからか、河川敷にはけっこう人がやってきている。でもまあ、地元の公園の人出の多さからすると、思ったほどでもないかも。砂礫地に入っている子ども連れがけっこう目立っていて、ちょうど繁殖期になってきたコチドリには影響がありそう。
でもまあ、春はどっちみち、人々は河川敷に行きがち。BBQな人たちで、コチドリやイカルチドリの繁殖が妨げられるってのは、昔からあるあるなので、新型コロナウイルスがコチドリに間接効果を与えているかどうかは定かではない。これからの季節、さらにいっぱい河川敷に人がやってくるようになったら別かもしれないけど。BBQは比較的限られたエリアに集中するけど、密集を避けて、河川敷の人たちが散らばるなら、コチドリの営巣への影響は例年以上に高くなるかもしれない。
●2020年4月24日 自粛がアオサギに与える影響
新型コロナウイルス感染症への対応、とくに外出などの自粛は、野生生物にもさまざまな影響を与えているだろう。身近なところでは、アオサギに影響を与えているような気がする。
今日は、近所のため池4ヶ所を自転車でめぐった。通称シャープ池には、いつも何人もの釣り人がいて、釣り上げた魚をもらおうとアオサギが待ち受けている。一部では、アオサギ兄さんとして知られる個体である。ところが、今日行ってみると、釣り人はいない。釣り人には年配者が多かったので、さすがに外出を自粛しているものとみえる。アオサギ兄さんだけが、空しく柵にとまっていた。アオサギ兄さんに新型ころなういるすが影響を与えているのは間違いないだろう。
その隣の池にも、年配の釣り人の姿はなかったけど、代わりに親子連れや若者が釣りに来ていた。まあ、この池にはアオサギはいないので関係ないけど。
万代池では、ここ数年アオサギが営巣している。昨年の4月22日には抱卵中1巣と育雛中1巣を確認した。しかし、今日はアオサギの営巣を確認出来ず。人々の動きが変わって、この池の営巣環境が悪化したとは思えないけど、他により営巣に好適な場所ができた可能性はあるかも。参拝を停止している社寺とか、休校中の学校とか。
●2020年4月22日 新型コロナ感染症への対応は、市街地でのカラスの繁殖にどのような影響を与えるか?
大阪市内の近所の様子をみるに、
・公園の人出は、平日も週末もとても多くなっている。
・家の周辺を散歩してる人や、遊んでる子どもも目立つ。
一方、
・学校は臨時休校
・植物園などの施設も閉まっている。
ってことからすると、公園や学校などでのカラスと人との関係性も、今年は変わってきそう。容易に想像がつくけど、
・人出が増えた公園ではカラスとのトラブルが増えそう。巣立ちビナが墜ちたりすると、親鳥はピリピリしそう。
・休校中の学校では、カラスは自由に営巣できて、問題も起きなさそう。ヒナが墜ちても問題ないし。
で、カラスは気に入った営巣場所・営巣木を繰り返し使う傾向があるから、来年は学校で営巣するカラスが増えて、来年は学校でのカラスと人のトラブルが増えるとか?
●2020年4月21日 2020年4月 今月の目標
例年だと、4月っていうのは、週末やらの行事を必死でこなして、繁殖期の調査の企画をして、歓送迎会があったりして、ルーティンも回して、ってので、あっという間に過ぎゆくものなんだけど。今年の4月は、ゆったりしていて、睡眠時間が足りまくっていて、なかなか過ぎゆかない。
なんだろう。定年とかしたら、こんな感じになるんだろうか。運動量も話す量も激減して、退屈で寂しい毎日だなぁ。
これでは、ダラダラと毎日を過ごしてしまいそうなので、小まめに目標を立ててみることにした。今月は残り10日。10日の内に済ます事をリストアップしておこう。
・旧トラックヤードの片付け。こういう事態が長期化するのがはっきりしてきた3月半ばから進めているレジェンド対応事業もいよいよ大詰め。今日の作業が終わった時点で、残るは、オサガメの背甲1枚と腹甲1枚、及びアカウミガメの背甲1枚と腹甲1枚。
・査読を2本。和文の短いのだけど。
・自転車で回る水鳥調査を3回。
・地元公園のカラスの巣のチェック。
すっかり怠け癖が付いてしまったので、このくらいで許してもらおう。今月で外回りが片付いたので、来月は室内をもう少し片付けよう。そして、データ整理系に取り組むとしよう。標本のラベル書きもしなくっちゃ。
●2020年4月19日 奈良盆地のヌートリア
新型コロナ感染症のおかげで、普及行事はすべて中止だし、市民を巻き込んでの調査も断念。ルーティンの調査もこそこそやってる。というご時世だけど、ネットを通じてのハッカチョウ情報募集と、ヌートリア情報募集だけは、ちゃくちゃくと情報が集まってくる。むしろこういう事態になって、ヌートリアの情報は増えた気がする。きっと、近所を散歩する人が増えて、時間があるので、ネットで調べる人も増えて、勢いで情報提供してくれる人も増えたんじゃないかと思う。
で、今日は、平城宮跡の池でヌートリアを確認したという情報を頂いた。最初はふーん、と思っただけだったが、少し遅れて驚愕した。平城宮跡って、奈良盆地やん! それも北端!
奈良県のヌートリアは、木津川水系に以前から入っていたけど、近年の奈良盆地でのヌートリア情報は、2019年1月に舞い込んだのが最初。その時は王子町の情報だった。大阪府内で大和川水系にヌートリアが拡がったのが、2018年頃。ついに奈良盆地に到達したか、って感じだった。
それから一年ちょっとで、奈良盆地の北端に到達したことになる。1ヶ所だけの情報で判断は早計だけど、その勢いで奈良盆地の全方位に拡がったとすると、もう奈良盆地はヌートリアに席巻された可能性が高い。
●2020年4月16日 ハシブトガラスは驚いたら巣を放棄する?
今日は、地元公園のカラスの巣のチェック。そろそろ造巣も一段落して、抱卵中のペアが増える頃合い。なのに、この期に及んで巣を放棄して、あるいは放棄のみならず巣をくずしてしまったハシブトガラスのペアが4組。内、3巣は先週は抱卵中っぽかった。が、観察していたら巣上の個体が飛びだしてしまった。抱卵中のハシボソガラスは巣を見られていても平気だけど、ハシブトガラスは観察者を気にしがちで、巣から飛びだすことが多い。それでも、巣の放棄にはいたらないと思い込んでいたんだけど、先週、飛びださせた巣が放棄されているという事は、飛びださせると巣を放棄する可能性があるってことだろうか? とくに産卵期は敏感とかあるんだろうか? とにかく、ハシブトガラスの巣を観察するときは、注意しようと思う。今までも注意はしてたんだけど…。キジバトなみの注意が必要かなぁ。
●2020年4月15日 身近な生き物の観察セッション 博物館リレーZoom企画
リアルでの会合が回避されがちになって、俄然Zoomでの会議が増えてきた。講演会や授業にもZoomが使われるようになってきたし。となると博物館でもZoomをどう使っていくかを考えなくてはならない。もちろん講演会的なのもできるけど、どうせならZoomならではの普及行事ができると楽しそう。
音楽畑では、Zoomを使ってのセッションが行われている。自然観察の分野でもセッションしたら楽しいんじゃないかなぁ、とぼんやり考えた。いわば観察セッションである。
例えば日本各地の植物担当学芸員が、博物館の周りのタンポポをライブで紹介する。遠方へのお出かけを避ける意味でも、家の近所で観察できるネタは大切。そして、タンポポは地域によって在来タンポポの種が違うので、広い地域での観察セッションが面白いに違いない。地域によって似ていても別種。という話で盛り上がる感じ。どこが違うねん!とツッコミあうのも楽しいし、見分けるポイントをやり取りするのも勉強になる。生物季節的な話題もふれそう。もちろんタンポポ調査との連携企画。
タンポポ以外でも、いろんな生き物で出来そう。鳥なら、繁殖シーズンの進み具合の違いを比べるのがいいかも。あるいはドバトの群れを撮影して、灰色いドバトの割合が…、とか言い合うとか。
●2020年4月14日 ドバトとキジバトの繁殖隔離
生理的に受精可能で、飼育下では交雑個体が生まれるような近縁種の生殖隔離は、分布や生息環境が違うとか、行動様式が違うとかで維持される。行動様式の違いでの生殖隔離ってのは、少なくとも鳥類では、ディスプレイが違うとか外見が違うとか、ひいては異性への好みの違いから、ペアにならないって形で維持されるケースが多い。と思う。たぶん。知らんけど。レビューせずに書いてるけど。
でも、ハト類の場合、いったんペアになっても、巣場所についての好みの違いが、障壁として働くように思う。
キジバトの営巣はというと、
1:オスが巣場所の候補地でメスを呼ぶ。
2:メスがやってきて、候補地を検分。
3:メスが納得したら座り込むので、オスは巣材を運び始める。
という段取りで始まる。この後、巣が無事に完成するか、完成した巣にメスが産卵してくれるか、というメス主導の大きな関門が待ち受けているが、それはさておこう。
ドバトとキジバトは、そもそも営巣場所が全然違う。ドバトは穴や隙間、キジバトは木の枝の上に営巣するのが普通。どちらも市街地で営巣しているが、巣場所は違う。近年は、キジバトが人工物に営巣することも珍しく無くなっているが、それでも巣をつくる場所はドバトと違う。クーラーの室外機に営巣する場合、ドバトは下の隙間に巣をつくるが、キジバトは室外機の上に巣を載せる。
と、今のところ巣場所の好みが明らかに違うドバトとキジバト。この異種間ペアがめでたく誕生しても、オスが提示する巣場所の候補地をメスが納得することはあり得ない。だからいつまで経っても、産卵には至らない。野外で交雑個体は生まれない。ってなると思う。
もし将来、両種の巣場所の好みの幅が広くなったりしたら、交雑個体が生まれることもあるかもしれない。巣場所への刷り込みがあるなら、卵の入れ替え実験をすれば、そこで育った個体が異種間ペアを作るか、産卵に至るかを確かめることができそう。倫理上、野外ですべきではないけど。
●2020年4月12日 ネットでギャラリートークの収録
今日は近所にお住まいのカメラマンさんが、ボランティアで来て下さい、いまだにオープンする様子のない特別展「知るからはじめる外来生物」のギャラリートークの収録があった。とりあえず手始めなので、
石田さんが、外来生物の持ち込まれ方とか、特別展の目的+外来生物の影響とか、全体像をしゃべり。
松本さんが、外来生物調査プロジェクトで調査した外来昆虫についてしゃべり。
長谷川さんが、大阪府の外来植物についてしゃべり。
和田は、ヌートリアについてしゃべった。
ヌートリアは、なんと今日放送された「ヒーリングっど★プリキュア」に登場したからタイムリー! ちなみに、今日は最後に次回予告っぽくヌートリアがチラッと出ただけ。来週がヌートリア登場のメインの回になるはず。またもやツイッターのトレンドに上がってくるに違いない。
●2020年4月11日 8割減
新型コロナウイルス感染症を、封じ込めるには、実効再生産数を1未満にする必要がある。そのためには、他者との接触を8割減少させる必要があるという。いったいいつと比べて、何を8割減にする必要があるのか、説明が不充分でよく分からない。
昨年の同じ月と比べて? 先月と比べて? 本来予定していたのと比べて?
濃厚接触の人数を減らすの? 一瞬の接触だけの人もあり?
それとも接触した人の人数の話? のべ人数? 人数×時間で評価?
マスコミは、昨年の同月や、先週末とかと比べての、駅前を歩いてる人々の延べ人数で評価しているようだけど。まあ目安にはなっても、あまり意味のある評価ではないと思うなぁ。
8割減の根拠となったモデルの数字は、3月の終わり頃か4月頭のもののようなので、それと比べるべきなんだろう。同じ人との濃厚接触時間が増えるにしたがって、感染する確率は飽和型で増えそう。でもまあ面倒なので線形を仮定して、濃厚接触時間×人数かなぁ。ただしあまりに頻繁に接触する家族や職場の同僚は除くか、別扱い?
というのを自分に当てはめるとすると、
・3月と比べて、濃厚接触時間×人数は、8割減は難しい。なんとなれば、3月はすでに濃厚接触の相手は、実質職場の同僚だけになっているから。これを減らすには、出勤日数を大幅に減らすしかない。通勤は自転車だし、家族はいないし、減らし代がそもそも少ないんだな。
・一方、本来この季節に接触する予定だった濃厚接触時間×人数との比較であれば、臨時休館で接客が消滅して、行事がすべて中止、サークル活動も停止になった時点で、8割減は余裕で達成していそう。
もし今後、自宅待機とかテレワークとかになったら、一人で部屋にずーっといることになるので、その部分で濃厚接触はなし。スーパーなどに買い物に行くときだけが濃厚接触のチャンスになる。まったく濃厚接触のない生活は淋しそう。
●2020年4月10日 大阪府の外来哺乳類相の変遷
変遷というより、ほぼ入れ替わりはなく、ひたすら増えてるだけだけど。
第1世代は、イヌ、イエネコ、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ。これは江戸時代以前に入ったのは、みんな同意しそうだけど、具体的にいつかと断言するのは難しい。
第2世代は、チョウセンイタチ。これは1930年から1935年の間に大阪府に定着したらしい。
第3世代は、1970年代に持ち込まれたタイワンリスとイノブタ。ただ、タイワンリスはおそらく1990年代にいったん消滅。
そして第4世代は、2000年代に入ったハクビシン、アライグマ、ヌートリアの3種。そして、山手でタイワンリスが発見される。
2000年以降は、シカやイノシシの増加、タヌキやアナグマの市街地進出など、大阪府の在来哺乳類にも見られる。20世紀と21世紀の間でなにが変わったのか不思議。
●2020年4月9日 はじめてのZOOM会議
外出を自粛して、人が集まるのも自粛。といういまの風潮でにわかに注目されはじめたのが、ネットを通じての会議。かつてはSkypeが目立ってたけど、突然いろんなのが出てきて、やおら目立ってきたのがZOOM。なんとなく他人事だと思ってたら、突如、自分もZOOM会議に参加することに。
言われたURLにアクセスしてみたら、アプリケーションをダウンロードしろといわれる。素直にダウンロードしたら、あっさりZOOM会議に参加できた。アカウントの登録がいらないのが簡単で、大勢をまきこみやすそう。ホストだけが登録が必要で、長い会議だと有料らしいけど、そのお金をどうするかを忘れそうになる。
とりあえず、画像と音声をやり取りできるようにして。チャット機能もあるのかぁ。先日のお試しでは背景が汚いと笑われたなぁ。と思ってたら、ヴァーチャル背景というのがあるではないか。さっそく近所の野良ネコの画像にしてみた。これで部屋の中は見られない、笑われない。
ZOOMを使っての会議は、初めて体験。割とちゃんと意見交換できる。話をしながら関連した調べ物もできるし、全然違う内職もできるのが便利。コロナがなくなっても、これが定着しそう。
●2020年4月8日 緊急事態宣言を受けての対応
今日から大阪府は、緊急事態宣言をされてしまった。そもそも2月末から臨時開館が続いているけど、それは継続。緊急事態宣言が解除されるまで開館できそうにない。2月下旬から博物館と友の会の行事はすべて中止になっているけど、これも緊急事態宣言が出てる間は、継続だろう。そして、かろうじて維持されていたサークル活動も、室内、野外を問わず中止にせざるを得ない。とにかく外出が悪みたいになってきたので、やむを得ない。
さらに、スタッフの出勤体制を半分以下にせよという指令がきた。テレワークということではなく、自宅待機ってことらしい。年休を取れではなく、特別休暇を与えてくれる。とりあえず子どもがいるスタッフは、多めに休みつつ、他の学芸員で仕事をまわす。といっても臨時休館中で、行事もなければ、問合せも少なく、あまり館内にいても仕事はないけど。
かろうじて命脈を保っていた普及教育の糸も途切れた感じ。そして、いろんな意味で長いお休みに突入。そんな中で、どうすれば博物館活動を、多少なりとも維持できるかを考えなくてはならない。しかしフィールドを大切に、標本という実物の力を示すという自然史博物館の王道を考えると、なかなか難しい時代になってしまった感じ。
●2020年4月7日 春の川沿いを歩く
ポカポカ陽気の中、大山崎町〜長岡京市の川沿いを歩く。ハッカチョウ調査だけど、今月もいない。5月にはいりかなぁ…。桂川から小泉川の土手はセイヨウカラシナの花畑状態。花がほんのり甘くて美味しい。もうアマガエルやクビキリギスが鳴いてる。クレーン車の巣にハシボソガラスが出入り。小泉川の橋の下にイワツバメのコロニー。
とても気持ちいい感じで、外に出たくなる季節になってきた。しかし、今年は新型コロナウイルス感染症のせいで、フィールドに調査に出るのにも、不要不急ではないという言い訳がいりそう。これで緊急事態が宣言されたら、さらに出歩きにくくなる。来月の調査ができるか心配。
●2020年4月6日 とある学校の標本庫
とある古くからある私立高校に、多くの標本、それも本剥製と骨格標本中心。があって、必要なら寄贈してくれるような、展示などで使わせてくれるような話だったので、学校は始まっていない時期に一度見に行くことになった。明後日には、緊急事態が宣言されそうなので、ギリギリのタイミングで見に行けて良かった。
標本が置いてあるのは、ふつうの教室だった。長机の上に、木製の物品棚とかが置いてあって、そこに並んでいる。古い標本だけど、思ったよりは状態がいい。少し埃をかぶってるのがあるけど、色はけっこう残っている。虫で傷んでいるのも少なめ。
残念なのは、採集データが付いてる標本が少ないこと。となると、博物館で引き取るのはためらう。ただ数少ない採集データ付きの標本には、丹波産のカワウソの本剥製(当然ニホンカワウソだろう)、海豹島産のウミガラスの本剥製などがあって、かなり貴重。
その他にもデータはないけど、貴重な感じのオランウータンの本剥製、小型のヒクイドリなどもあって、保存する価値は高そう。
そして、猛禽類とか全身骨格には、展示で使いたくなるものもあった。
総合的に言えば、当面廃棄の予定はないそうだから、このまま保存してもらって。展示したいときは借りる。万が一廃棄の話がでてきたら、できるだけ引き取る。というのが、博物館側の勝手な希望。
●2020年4月5日 質問2つ:茶色いアカアシカツオドリ、キジバトのヘルパー
博物館は臨時休館中なので、来館者からの質問はないし、電話での質問もほとんどない。メールでの質問も少ない。でも、知り合いは、臨時休館中でも学芸員は働いてるって知ってるので、質問をしてくる。ここ数日、ちょっと難しいけど、面白い質問がやってきた。
一つはアカアシカツオドリの質問。近頃はアカアシカツオドリが関西でもよく観察されるようになってきた。かつては超珍しかったのになぁ。で、茶色いアカアシカツオドリを撮影したのだけど、幼鳥だろうか褐色型だろうかという質問をもらった。
ぜんぜんしらんかったけど、アカアシカツオドリって、海鳥は思えないくらい色彩多型が激しくてややこしい。白色タイプと褐色タイプ、それぞれに尾の色が白タイプと黒タイプ。そして、日本の図鑑では、いくつかあるmorphの説明がはしょられていて使えない。
海外の図鑑をいくつか見た限りでは、幼鳥かどうかの判断は脚の色でできそう。脚が赤ければ成鳥、黄色っぽければ幼鳥。ただ移行途中もあるだろうから慎重な判断が要りそう。そして、外見は幼鳥なのに繁殖した!てな事も書いてあったり。ただ、問合せの個体は、顔がピンク色っぽいのは成鳥っぽいけど、少し黒みがあるので若いのかも。
もう一つは、キジバトにヘルパーってあるんですか?という質問。キジバトについての質問を私に振ってくるとは、なかなかお目が高い。とばかりに、いろいろ推測してみた。
質問の根拠となった観察は、どうも巣の近くにいる個体が3羽いる。って点。考えられるのは3つだろうか。
1:キジバトは巣の周辺にあまり広くないなわばりを持つだけなので、繁殖密度は時にけっこう高くなる。端的に言えば、となりのペアが比較的すの近くにいることはありえる。
2:食物が集中している場合は、複数ペア、なわばりを持たない個体が集まって採食するし、その周辺で休憩する。その周りになわばりを持ってるペアからしたら、近くに他のキジバトがよくいる状況がうまれがち。そして、なわばり行動をしない侵入者なら、許容することがあるかも。とくに観察しているのが昼間なら、オスが抱卵中なので、なわばりのガードは甘くなりがちかも。
3:“近所の電線とかに並んでる”2羽は、ペアか巣立ちビナの2択です。キジバトは上手く行けば営巣を繰り返しますが、前の営巣の巣立ちビナの世話をしながら、次の抱卵に入る(クラッチオーバーラップ)。クラッチオーバーラップしていたら、営巣している巣の近くに、前の営巣で巣立ったヒナがいることはあり得る。
個人的には3がオススメ。成鳥かどうかを確認すればそれは判断できる。
●2020年4月4日 鳥類と哺乳類の標本点数 2019年度の状況
年度が替わったら、すぐに動き出すのが館報の製作。昨年度の活動をまとめて、冊子にして、宣伝できるように準備する。で、年度末時点の標本点数をチェックする。っていうか、この一年の間に増えた分をチェックして、一年前の数字に足す。今年も鳥類と哺乳類の標本点数の増加分を数えてみた。
あれは3年前、10年後の2027年に鳥類標本一万点、哺乳類標本五千点に向けての計画を立てたので、その途中経過の確認でもある。
2019年度末時点での鳥類標本は8191点、哺乳類標本は3582点。増加分は、鳥類130点と哺乳類114点。2018年度の増加分が、鳥類197点と哺乳類146点。なので、少しペースが墜ちている。
2019年のペースでは、残る8年の間に目標を達成できない…。このペースだと鳥類標本一万点は14年後の2034年に、哺乳類標本五千点も13年後の2033年。昨年時点よりさらに遅れている。残る8年での達成には、鳥類標本が年間約230点、哺乳類標本が年間178点のペースが必要。1.5倍近いペースアップかぁ。
ちなみに2019年度に自分で皮を剥いた鳥は、33羽。過去はというと、2012年度115羽、2013年度53羽、2014年度38羽、2015年度52羽、2016年度51羽、2017年度39羽、2018年度36羽。昨年よりさらに少なくなった…。
今年度、新型コロナウイルス感染症とやらのおかげで、普及行事がのきなみないから、ここで出来た時間にせっせと標本作りに励もうかと思う。
●2020年4月2日 新人学芸員の初日
今年度から採用された新人学芸員2人が、今日初めてやってきた。昨日は、全体的な研修を受けてたらしい。普通なら、今晩は歓迎の飲み会を、先輩学芸員だけでやって、今月中に全スタッフで歓迎会を開く。そんなこんなで、新人さんたちは学芸員ほかのスタッフの名前と顔を一致させていく。って段取りが普通。
が、しかし、今年度は新型コロナウイルス感染症のせいで、当面歓迎会は開かれそうにない。おそらく新人さん達は、長い間、誰が学芸員で、専門は何で、てなことを覚えられないだろう。ましてや総務課のスタッフの顔と名前は、なかなか覚えないに違いない。館内にはその他にも、委託業務のスタッフとか、友の会や子どもワークショップやミュージアムショップのスタッフや、外来研究員、その上、なんか分からんけどよく顔を出す人たちがいっぱいいるのに、すべてを覚えられるのはいつになることやら。
さらに、本来なら、友の会会員のみなさんに覚えてもらって、そしてよく会うみなさんの顔と名前を覚える。という大切なプロセスがあるはず。なんだけど、とりあえず5月まではすべての行事が中止なので、友の会会員のみなさんへのお披露目もなかなかできない。
4月に採用されたけど、本当の初日は、この新型コロナウイルス感染症がそれなりに収まって、行事が再開されてから、あるいはせめて臨時休館が終わってから、ってことになるのかもしれない。
●2020年4月1日 今年度の調査への新型コロナの影響予測
いつもなら今年度は繁殖期にこんな調査をして、他にこんな調査もして、ルーティンもこなして。と、季節も良くなってきて、今年の調査にワクワクする季節なんだけど。今年は新型コロナ感染症の社会的な影響が思いのほか大きく、調査も影響を受けそう。
もし新型コロナ感染症の影響がなかったとしたら、
・ルーティン:大和川下流部の水鳥調査(月1回)、松原市〜堺市北東部のため池の水鳥調査(月1回)、地元公園の鳥のセンサス調査(週1回程度、ただし近年は9月〜2月頃まで)、地元公園の果実のチェック(週1回程度、9月頃〜果実がなくなるまで)、地元公園のカラスの巣のチェック(週1回程度、3月頃〜5月頃まで)
・ハッカチョウ調査:奈良県でのセンサス(月1回)、京都府でのセンサス(月1回)、インターネットでの情報募集
・ヌートリア調査:インターネットでの情報募集
・大阪鳥類研究グループでの市民調査:大阪府下のため池で繁殖する鳥の調査(4月〜7月)、大阪湾岸のカモメ類調査(12月〜1月)
近頃、週末には大阪府には外出自粛が呼びかけられがち。で、現時点で大阪市立自然史博物館は臨時休館中で、5月末まで野外観察会を含めて、すべての行事が中止。という中、多くの市民を巻き込んで、電車でウロウロ出かけての調査は推奨されないだろう。そもそも野外行事が中止だと、調査の研修ができない。集まる人数的には少ないんだけどなぁ。
という訳で、新型コロナ感染症の問題が落ち着くまで、市民調査は断念かと。ということは、事実上、今年のため池調査はできない。冬までに落ち着いてくれないとカモメ調査までできなくなる…。
もし非常事態宣言が出て、外出自粛が平日にも出されたら、ハッカチョウのセンサス調査も厳しくなる。ルーティンの大和川とため池の水鳥調査は、自転車でウロウロするだけだから、許されるかなぁ。一人で自転車でうろつくだけなので、誰とも濃厚接触はないしなぁ。
さらに通勤が禁止されて自宅待機となったら、地元公園での調査も厳しくなるかも。しかし、自転車通勤だし、お買い物に出かけるのと同じ程度の距離だし、買い物のついでに調査に来るのは可能かなぁ。
何がどう転んでもインターネットでの情報募集だけは継続できるけど。自宅待機になったら対応ができない。そして、そもそも外に出る人がいなくなれば、情報が集まらないだろうなぁ。
という訳で、これ以上ひどくならずに、夏までに終わって欲しい。