日記風覚え書き

2020年7月8月、9月
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●2020年9月30日 2020年9月のまとめ 特別展の片付けからの博物館実習

今月の大きめ仕事と言えば、上旬の特別展の片付けと、下旬の博物館実習。中旬になにをしていたのか判らない。この上に、上旬に鳥学会大会の準備と、中旬の北海道での大会参加、そして下旬に大阪自然史フェスティバル。死ぬほど忙しかったはず。それが新型コロナウイルスのせいで(おかげで?)、とてもゆったりとした一月に。新型コロナウイルスの新規感染者数は、4月を超えて、7月中旬のレベルを維持しているのに、世間はすっかり自粛緩和ムード。政府は旅行して外食することを推奨してる。どんどんおかしなことになっていってるような。
そんな2020年9月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。例年9月ごろから始めてる地元公園での鳥のセンサスと果実チェックは、10月にずれ込んでしまった。
ハッカチョウセンサス奈良県1コースと京都府2コースは問題なく実施。

ホネホネ団は、通常の活動日1日、鳥の日2日、カリカリ団7日すべて予定通り実施。
砂場は、博物館実習で洗うシマウマを回収。草はほとんど生えていなかったけど、落葉落枝が多い。が、ゴキブリ多くて、夜の処理は断念。
あちこちにたまっていた鳥の仮剥製へのラベル付けが一段落。あとは袋詰めなどをして、冷凍してから収蔵庫へ。
箱詰めされたホネとかウミガメとかがたまっているが、冷凍室の空き待ちで待機が続く。

普及行事は、ジュニア自然史クラブは予定通り実施。植物園案内動物篇は、午前と午後のダブルヘッダーで実施。
展示関係は、先月末に終わった外来生物展の片付け。下旬からネイチャーホールの工事が入る、ということで、急いで片付けたけど、全然工事が始まらない。外来生物展の片付けで残っているといえば、アフリカツメガエルくんたち。

講演はなし。実施できるか心配した博物館実習は、なんの問題もなく実施できた。新型コロナウイルスへの感染を懸念して、北の大地からの学生がキャンセルになった。
委員会関係は、京阪奈辺りのオオタカの会議にリアル出席。あと北陸新幹線絡みに関わることになりそう。
査読はなし。論文書きは進まない。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系0冊と、SF12冊。
完全休養日は2日。片方でガン検診というのを受けた。骨密度もC型肝炎ウイルスも問題なかったが、胸部X線だけ要精密検査となった。普通の健康診断でも受けるやつなのに…。
●2020年9月29日 ため池調査でみる大阪平野のイソヒヨドリの増加

昨日は、月に一度のため池の水鳥調査で、60ヶ所ほどのため池を自転車で回ったのだけど、あちこちでイソヒヨドリが囀っていて驚いた。昨年と比べても随分増えた気がする。気がするだけじゃ無くて、昨年も同じ調査をしてるので、データで比べてみよう。
自転車で走ってる途中のイソヒヨドリの記録はとってない。でも、各池では水鳥の個体数を数えるのと同時に、周辺の陸鳥の種名を記録している。近所から聞こえてくる声も記録している。という訳で、各池でイソヒヨドリがどの程度記録されてるかをチェックすれば、イソヒヨドリの個体数とは言わないまでも、増減くらいは示せるだろう。
という訳で、2020年9月28日にイソヒヨドリが記録された池は、5ヶ所。すべて囀りでの記録で、各池1羽ずつ。もっとあちこちで囀ってたと思うのだけど、池だけに限ると印象よりかなり減ってします。
ちなみに、2019年9月25日のため池60ヶ所の調査で、イソヒヨドリが記録された池は、0ヶ所。0ヶ所→5ヶ所なので、明確に増えてるようでもあるし、誤差範囲のようでもある。60ヶ所中、0%→8.3%。消費税なら大幅値上げだけど…。試しにFischerの正確確率検定をしてみると、p=0.0287。5%水準なら有意だけど、けっこう微妙なラインだなぁ。もっとはっきりしてる印象なのに。
●2020年9月28日 釣り人とアオサギの契約

釣り人の横にアオサギがいる。野生の鳥とは思えないほど近くに。というのは、釣った魚をもらってるから。海でいえば漁船にアオサギが集まるのと同じこと。ため池での釣り人の多くは、釣った魚を食べるでもなく、釣ること自体を楽しみにしてるケースが多い。これは海岸での釣り人との大きな違い。隣で待ってたら、釣った魚をもらえる可能性はため池で高く、海岸で低い、ということが予測できる。そういえば海岸で、釣り人の横にアオサギが待っている風景はあまり見た記憶がない気がしてきたけど、きちんとデータをとってないから判らない。それはこれからの課題にしよう。
で、ため池で釣り人のそばにいるアオサギだけど。当然ながら、なんらかの学習に基づく行動と考えられる。どのアオサギが始めたかは知らないけど、偶然、釣った魚にありついて、それに味を占めて隣で、近くで待つようになったと推察できる。そうなってくると、特定の釣り人と特定のアオサギ個体との契約めいたものとも言える。野生鳥類と契約関係が結べると考えると少し楽しい。
というようなものなので、釣り人の横にアオサギがいる風景は、特定の池でよく見られる。私が毎月見てまわってる池だと、大阪市阿倍野区の長池が筆頭。これは一部の界隈でアオサギ兄さんという名前までいただいたアオサギがいる。同じ個体なのかは知らないけど、この数年、けっこう頻繁に見られる。もう人間が近距離にいても平気なようで、柵にとまってる眼の前を自転車で通過しても逃げもしない。
もう一ヶ所、釣り人の横によくアオサギがいるのは、堺市の大泉緑地にある大泉池。大きな池のあちこちで見られるから、そういう餌付いたアオサギが数個体いるんじゃないかと思う。
なんてことをつらつらと書いてるのは、今日、自転車でため池巡りをしていたら、堺市石原町の吉田池で、釣り人の横にいるアオサギを見かけたから。この池で見るのは初めてと思う。そもそも、いつでも釣り人がいるような池ではないし、アオサギを見ることは滅多にない。どうして、この池で釣り人とアオサギの契約が成立したのかが不思議。
●2020年9月27日 実習生とホネ洗い

今日は、実習生とシマウマのホネを洗った。昨年の9月に死んだ個体で、砂場にほぼ1年放置したもの。肉も筋もちょうどなくなってる感じで、それでいて蹄もけっこう綺麗に残っていて、ベストな回収タイミングだったんじゃないかと思う。
ちょうど1ヶ月前にも、博物館実習を担当していて、その時はトラのホネを洗った。この時は、頭はちょうど良い感じだったのだけど、四肢にはかなり肉が残っていて、実習生はかなり苦戦していた。申し訳ないけど、終わってからもう一度水漬けになった…。
それに比べると、今日のシマウマは、歯ブラシでこするだけで綺麗になる。めっちゃ簡単!と思ったら実習生はやはり苦戦しているのか、時間がかかっている。結局、トラと同じで、一人で処理したのは四肢の1本と、プラスα程度。頭部と椎骨と大部分の肋骨はこっちで洗った。
最後にホネの説明と全身の骨の話をしたいので、大急ぎで洗って、実習生がトロトロ作業してるのを、特急で追い越していく感じ。まあ実習生はネコの手程度と思っておけば、問題なし。加減が判らないのに、無理して急いでホネを壊すよりは、慎重に作業してもらう方が、よほど安心。
今回のシマウマは、お年寄りで、臼歯がとてもすり減って、歯根が埋まり、かなり抜けてる。腰椎の多くには余計なホネが付いて、連結してしまっている。という訳で、歯を磨こう!運動しよう!てな定番のお話をする。
●2020年9月26日 日本のハト類の繁殖期

温帯域に生息するキジバトは、ほぼ年中という長い繁殖期を持っているのに。熱帯域に生息するキンバトが、数ヶ月の短い繁殖期を持っているようなのは不思議。と考えていて、日本の他のハト類の繁殖期も知りたくなった。
『原色日本野鳥生態図鑑』(保育社)は、日本の鳥類の生態を引用文献付きでまとめてくれていて、頼りになる(今回調べていて、キジバトの項目で、明かな間違い記述を見つけたけど…)。そこからハト類の繁殖期に関する記述を抜き出してみよう。

アオバト:巣が見つかっているのは6月。
ズアカアオバト:5月ごろに産卵する。
カラスバト:繁殖期は2〜9月ごろまでだが、冬に繁殖期の記録もある。飼育下では年中繁殖できる。
ベニバト:日本での記録はない。繁殖は食物が豊かであれば年中行う。
キンバト:繁殖期は3〜6月ごろまで、9月という記録もあり、
キジバト:繁殖期は長く3〜11月におよび、多くは4〜6月。
シラコバト:繁殖期は著しく幅広く3〜10月におよび、ときには冬に繁殖することもある。

ドバトが載ってないのが残念だけど、ドバトは年中繁殖可能。おもに3〜11月といった感じだろうか。
キジバトの記述は間違っている。キジバトの繁殖期のメインは、むしろ7〜11月。夏と秋のどっちがピークかは、京都市(9〜11月)とつくば市(7〜8月)の研究でずれていたから、地域差があるかもだけど。
ともかくはっきりしてるのは、果実食のアオバト系の繁殖期はほぼ分かってないこと。やはり低緯度にいるキンバトの繁殖期は短め(ハト類の中では)で、中緯度にいるキジバト・シラコバト・ドバトの繁殖期は長いってこと。ベニバトのところに書いてある“繁殖は食物が豊かであれば年中行う”が正しいとしたら、食物資源の季節変動を示しているのだろうか? だとしても変な感じだけど。
●2020年9月25日 都市の自然で起きてること

今日は、博物館実習の担当で、鳥の仮剥製にラベルをくくり付ける作業をしてもらった。3人がかりで、午前2時間、午後2時間で、180体ほどに付けてもらえた勘定だろうか。最後に、扱った鳥を見渡して、どんな鳥がどんな場所で拾われているかを説明。市街地での鳥の一番といっていい死因は、窓ガラスへの衝突。と説明したら、学生達に驚かれた。窓ガラスへの衝突死のことを知らないということに、こっちがむしろ驚いた。
話はかわって、大阪市中央区で拾ったタヌキの死体を届けて頂いた。その方によると、知り合いにタヌキの死体を拾ったと言ったら、大阪市内にタヌキはいないからイタチに違いないと言われたらしい。絶対にタヌキと思うから、確認して欲しいとのこと。だから、わざわざ持参下さったのかもしれない。見れば間違いなくタヌキ。これで知り合いに言い返せるはず。画像を送って言い返そうと、熱心に撮影〜。
一方、メールで、大阪市淀川区からタヌキが木に登っていた。という情報が届く。タヌキが木登り?と思いつつ、画像を開いてみるとアライグマの顔がでてきた。それで納得。この場合、大阪市内にタヌキがいるのは知ってたけど、アライグマの可能性は考えなかったってことかと。
ぜんぜん関連のない話が3つ。だけど、改めて見返すと、都市の自然の現状についての認知度が低い、っということで共通している。つまり、まだまだ普及が足りないってことで…。もっと仕事を頑張らなくっちゃと思わされた。
●2020年9月23日 博物館実習 2020年秋期普及コース オリエンテーション

今日から5日日程で博物館実習がスタート。大学生が14人。のはずが、新型コロナウイルス感染症を気にして、遠方の一人がキャンセル。直前になって一人が入院(これは新型コロナウイルス感染症ではないらしい)。という訳で、12人になった。
初日の今日はオリエンテーション。次回のために今日のスケジュールを記録しておく。

09:30 博物館実習スタート 出欠取って、資料を配って、名札を作らせて、友の会に入会させる。ブログの担当も説明(担当したブログを書いて始めて、実習を受けたと認めることを宣言)。
今回の博物館実習は、本来は大阪自然史フェスティバルの準備・運営をしてもらう予定だったけど、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためフェスティバルが中止。なので、普通の標本実習になることを説明。ブログの書き方と担当のブログを書いて実習を完了したと評価するとの説明。
10:00〜11:35 博物館の間取り、沿革、事業内容(研究、資料収集、展示、普及教育)、友の会・サークル・ネットワークなどの説明。フェスティバルの意図も真面目に説明。博物館に足りないものとして、お金、人手、スペース。博物館での新型コロナウイルス感染症下の状況と、その対策や悩みを交えて。
※実習生を机1台に1人の配置に(前もって配布物は設置)、机を後ろ寄りに間隔開けて、窓開けて。
(11:35〜11:40 休憩)
11:40〜12:00 管理棟の案内・解説。あちこちに置いてある標本などについて言い訳。部屋の中は狭いので、学芸員の部屋には入らず、廊下から説明するだけ。外来研究員制度を紹介。トリ先生の剥製部屋も紹介。書庫の1階と、特展準備室は入り、空のネイチャーホールをのぞいた。自販機とミュージアムショップの位置も教えた。
※12人をまとめて連れて行ったけど、会話はなしで、間隔を気持ち開けさせる。
(12:05〜13:00 昼休み)
13:00〜14:15 収蔵庫見学ツアー。3つの収蔵庫をめぐって解説。二層構造の秘密、タイプ標本、火災時の対応など。壁の違い、通路がうまってるとか、なぜ収蔵庫に本があるかなどにも注目。
※12人をまとめて連れて行った。
(14:15〜14:25 休憩)
14:25〜15:40 展示室見学ツアー(常設展)。メンテナンスがメインテーマ。電気の球換えの難しさ、掃除のしにくさを中心に、ダメなケース、ダメな展示を紹介して歩く。また壊されたハンズオン展示を説明したり。第5展示室では、アナログのゲームや参加型展示の効果とメンテナンスについて解説。 博物館におけるミュージアムショップの普及教育的意味についてもふれた。
※12人をまとめて連れて行った。
15:40〜16:00 実習ノートの記入。

実習ノートは学芸員がチェックして、コメントなどを書くので、学芸員とのコミュニケーションツールとして使うように、って指導してみた。
●2020年9月22日 友ヶ島のイケズ

今日は大阪鳥類研究グループで、和歌山市の友ヶ島に渡って、展望台でタカの渡りを見よう、という企画。駅を出たところに、“本日全面欠航”の札がかかっているけど、こんなに良い天気でたいして風もないのに欠航な訳がない。と決めつけて加太港に行くも、やっぱり欠航してた…。
欠航の理由は、台風接近で北風が強めで、友ヶ島の桟橋で、安全に乗降できないからだそう。友ヶ島の南側は全然波も立ってないので、全然説得力がない(あとから友ヶ島の北側を見たら、確かに少し白波は立ってた。それでも乗降ができないほどではない。やはり説得力がない)。朝早くの船会社のツイートには、今日は船が出せそうなことが書かれていたこともあってか、そもそも風が少し強めなくらいなので、次から次への乗客がやってくる。それに順番に同じ理由を説明して、欠航であることを伝えている。誰も文句を言ったりしていない。和歌山県民の行儀の良さに、大阪府民としては驚いた。

これで、友ヶ島の行事は3回連続で、渡れずに断念してる。いずれも台風絡みで船が欠航。
最初は、2014年10月26日のジュニア自然史クラブ。台風で友ヶ島の桟橋が壊れて、渡れなかった。
続いて、2015年7月19日のジュニア自然史クラブ。雨天中止なんだけど、どっちみち台風で海上は荒れてて船は欠航していた。
それから5年あいたのは、友ヶ島がラピュタの島と呼ばれて、コスプレイヤーとかがいっぱい行くようになって、まとまった人数で渡りにくくなったから。今回久しぶりに企画したのに〜。ちなみに行事ではなく、ナイトハイクの下見のようなつもりで企画した2017年7月26-27日は無事に渡れた。行事が呪われてるらしい。
●2020年9月21日 ペリカン目ではなくネッタイチョウ目

先の台風10号で飛ばされてきた鳥の死体が2体。セグロアジサシとアカオネッタイチョウ。周囲のブーイングをものともせず、両方とも自分で剥いた。思いのほか美しかったのはセグロアジサシ。そして、見どころ一杯で面白かったのはアカオネッタイチョウ。
セグロアジサシは、上面が黒くて、下面が白い、ツートンカラーとばかり思っていたけど、下面は、うっすらとした灰色で、とても上品で美しい。英名のSooty TernのSootyは“すすのような”って意味らしい。上面の黒ではなく、下面の灰色を指してたりしないかな?

アカオネッタイチョウは、かつて(日本鳥類目録 改訂第6版)はペリカン、カツオドリ、ウ、グンカンドリと一緒に全蹼目(ペリカン目)の一員だった。確かに前を向いた第一趾にまで水かきが付いてる。ただ、全蹼目と比べると第一趾がとても小さい。今(日本鳥類目録 改訂第7版)は、ペリカンをペリカン目(サギとトキも加わった)、グンカンドリ、カツオドリとウ、カツオドリ目と袂を分かって、ネッタイチョウ目として独立した。
小さく短い舌はペリカンやウ類と共通だけど、目の上に塩腺があること、鼻孔が開いていることは、かつての他の全蹼目とは違ってる。
後頭部が絶壁で、頸椎の接続部分が顎関節より内側にあるなど、頭骨の形態は独特な感じ。今やネッタイチョウ目に独立したのも頷けるかも。
嘴の形も独特で、先よりは上下が噛み合うけど、根元よりは上嘴が外側に入り、上下それぞれに突起があって、ハサミのような形状。何のため? 短い舌は下嘴の溝にはまって動かなそう。舌骨も顎関節に届かない。先の方の嘴の上下には小さな逆トゲがあって、魚を呑むのにはよさそう。とまあ、ネッタイチョウの頭は見どころがいっぱい。面白かった。


●2020年9月20日 我が家の前にイソヒヨドリ

2日前の夕方、というか日没後のまだ薄明るい時間帯。帰宅の途中、家の前で良い声が聞こえてくる。イソヒヨドリが囀ってるやん! なんか当たり前のような気がしたけど、よく考えると初めての確認になる。つまり家の窓を開ければ、イソヒヨドリの声が聞こえる時代がやってきたってことになる。
イソヒヨドリは1990年代から大阪府の内陸部、とくに市街地に進出しはじめていた。2000年代にどんどん増えて、2012年に大阪府全体のイソヒヨドリの分布調査をした時は、平野部に広く、山間部にまで進出している様子がうかがえた。ただ、その時でも、イソヒヨドリが多かったのは大阪府南部で、北部の淀川沿いは意外に少なく、大阪市内にはまだまだあまり入り込んでいない感じだった。
それが、2017年には大阪城周辺で記録されるようになり。今年の春以降は、大阪市のあちこちからイソヒヨドリ情報が寄せられるようになった。自宅で聞こえる謎の鳥の声を募集したら、一番届いたのはイソヒヨドリの囀り。そういう時代になったんだな、と頭では判っているものの。我が家の前で鳴いているとなると感慨もひとしお。
●2020年9月17日 ヌートリアかと思ったらプレーリードッグ?

ハッカチョウの情報です。と言われて画像を見たら、シルエットだけどイソヒヨドリにしか見えない。ということがあった。鳥にならすぐに反応できる。というより、むしろ疑ってかかってるからだろうか、あまり引っかかった事はない。なのに、哺乳類は、簡単に引っかかる。
ヌートリアです。というメールが届いた。ヌートリアは、目立つ動物だからか、気になる動物だからか。撮影して、ネット検索して、こちらのサイトを見つけて、情報を提供してくださる方が多い。毎日のように数件のヌートリア情報のメールが届く。たいてい画像を付けて下さるので、一応確認はするんだけど、まあ間違う相手のいない動物なので、記述されてる特徴(大きなネズミが泳いでいた的な)があっていれば、画像がなくても情報は採用する。
今回のメールは、寝屋川から。寝屋川には以前からヌートリアが棲息しているので、疑う理由はない。近所の人がパンをあげていたそうな。ヌートリアはすぐに餌付くからねえ。餌やる人多いし。ただ具合が悪そうだったので、川から救い出してあげた、とあるのは少し不思議な気がした。近付いてくるけど、触ると怒る動物だけどなぁ。
添付画像を開いてみた。茶色くて大きなネズミっぽい動物が写ってる。はいはいヌートリアですね。…。なんか可愛いな。もう一度よーく見てみる。可愛いな。目がぱっちりだし。って考えてから気付いた。ヌートリアじゃない!プレーリードッグやん! でも、なんか自信がなくなって、念のため図鑑を確認。まだやや自信がなくて、尻尾の写った画像はないかと確認したり。
このときは、一種のゲシュタルト崩壊。ヌートリアがプレーリードッグがどんなんか判らなくなってしまった…。時間をおいてから見たら、当たり前にプレーリードッグ。思い込みって恐ろしい。そしてこんなゲシュタルト崩壊があったとは。
●2020年9月16日 もう一つの今日

今日は、休日。で、よくある休日のパターンで、本当は、自転車で調査に出掛けるはずだった。でも、朝、何となくやる気が起きず二度寝。すると連絡があって、急遽、急ぎの標本引き取りのお仕事が舞い込んできた。調査に出掛けていたら対応できないところだった。二度寝して結果オーライ。むしろ、なんとなくやる気が起きなかったのは、この事態を予見していたからだろう。と、日記には書いておこう。
まあ、もし自転車に乗って出かけていたら、切り上げて帰ってきて対応。ってのは無理だから、誰かに仕事を押しつける展開に。押しつけられる誰かは面倒だろうが、こちらはむしろ楽だったかも。と考えると、もう一つの今日であった方が良かったかも。いらんことを予見しなければよかった。
●2020年9月15日 植物識別対決 2回戦

予備対決は、2020年6月9日に大阪府岬町で行われた。お互い相手の実力を測るべく、さりげない牽制が繰り広げられた。正直言って、この段階でかなり手応えがあった。今なら勝てる。
そして迎えた1回戦。草地屋の審判の元、2020年6月17日に神戸市北区の放置された里山で、1回線が開かれた。この時は圧勝といっていいだろう。まあ、こちらもシラカシの変異がさっぱり判らなかったり、弱点は多かったが、相手はさらに弱点だらけであった。ワラビがなかなか出てこないレベル。
ただ、懸念材料が一つ。このとき草地屋が底上げに取りかかったのである。図鑑を与え、たくさん課題を与えて、自分で調べるように指令。ルート沿いの主だった樹木はほとんど答えを教えるか、宿題にしたはず。そして、風の噂では、わがライバルは、その課題を見事にこなしたらしい。

いよいよ迎えた2回戦。困ったことに戦いは同じルートで繰り広げられる。前回は圧勝できたが、敵は宿題をこなして修行を積んできている。油断するとやられる。いや里山はこちらも遥か昔の学生時代に修業をつんだ場所(京都の里山ではあったが…)、そうやすやすと負ける訳にはいかない。
で、結果はというと、まだ勝てる。前回と比べると大幅にレベルアップしていたが、まだまだ地力でこちらの方が強い。ただ、レベルアップのスピードはかなり速い。このままでは、1年以内に追い越される恐れが。どうする? こちらも修行するか???
●2020年9月13日 オオコウモリと小コウモリ

某動物園からたくさんのエジプトルーセットオオコウモリの死体を寄贈いただいたので、今日のなにわホネホネ団の活動はオオコウモリ祭り。みんなでオオコウモリの仮剥製を作る。以前にもエジプトルーセットオオコウモリを処理したことはあるはずだけど、久しぶりなので、以前のことはすっかり忘れてて、いろいろ“発見”があって楽しい。
たくさん並べると、メスは灰色っぽくて、オスは茶色っぽい気がする。果実食なのに、臼歯・前臼歯が尖って、ネコのように上下が内と外にすれ違う。一番の前の前臼歯が犬歯のように尖ってる。全体的に肉食動物のよう。キツネよりはるかに目の比率が高い。
アブラコウモリには大きな陰茎骨があるのに、エジプトルーセットオオコウモリには見あたらない。小コウモリとオオコウモリの違い?
脚と尾の間に膜がなく、そもそも尻尾が短い。いや、まったく尾膜がないわけではなく。後肢に短い軟骨が付いていて、細長ーい尾膜がある。役に立たなそう。小コウモリと違って、虫採らないから大きな尾膜はない、って理解でいいかな。
かなり違う生きものなので、オオコウモリと小コウモリを大分類で分けたくなった分類屋さんの気持ちがけっこう分かる気がする。そもそもルーセットって、フランス語でオオコウモリのことなのかな?
●2020年9月12日 鳥の羽根ひろい、改めドングリひろい

鳥の羽根ひろいの行事を実施した。一昨日まで雨天中止かと思ってたのに、一転して暑いくらいの良い天気。昨日の午後から夜に雨という予報で羽根ひろいは厳しいかと思ったけど、雨はほぼ降らず。無事に行事を実施できた。でも、下見て見つかるものを手当たり次第観察してた気がする。なんせ、拾いやすい鳥の羽根が、カラスばかりなもので、子ども達はすぐに飽きて、こちとらも説明に飽き気味。で、地面にあるいろんなものを拾って解説。
キノコがけっこう見つかるが、名前を問われても困るのが多い。そんな中で、オオシロカラカサタケやヤナギマツタケは説明。子どもたちがコオロギやカナヘビを見つけては盛り上がってくれるので、むしろそういうアイテムを探してみたり。池ではカメを解説し、ガマの話をし。トンボについても問われたが答えられず。
それでも午前中は、羽根熟練者がいたので、いろんな羽根を拾ってくれて、羽根の説明もけっこうできた。しかし、午後は羽根経験者がおらず、未就学の小さい子どもが多く。午前と違う場所に行くと、あまり羽根が見つからない…。そんな中、ふと気付くと、子ども達は羽根を入れるはずの袋を、ドングリでいっぱいにしてる。まあ、それでいいか〜。ってことで、おそらく子ども達の記憶には、羽根拾いではなく、ドングリ拾いに行ったことが残ったことだろう。
●2020年9月11日 標本返却ミッション

8月30日に外来生物展が終わり、会場はその後、大型イベント開催の予定なので、大急ぎで片付け。かと思ったら、新型コロナウイルスのせいでイベントが中止。でも、その後に予定されていた工事が前倒しになる。かと思って焦ったら、工事は当初予定通りに9月末から。さほど慌てて片付けなくてもよくなった。
という訳で、会期が終わって10日経っても、どの分野も完全には片付かず。でも、借用標本はちゃっちゃと返却しなくてはなので、魚類を中心にした返却行脚は数日前に実施された。残るは、大阪府南部の博物館からお借りした鳥類剥製2体のみ。魚類等標本返却行脚は、レンタカーという名の予算を使っての行脚であるが、鳥類剥製2体ではレンタカーを手配できず。電車を使ってのハンドキャリー。そもそも公用車があれば、どっちもすんなり返却できるのになぁ。
昨日の夕方、本剥製2体が入る段ボールを見繕う。借りてくる時は、正確な大きさが判らず、大きめの段ボールを持って行って苦労した。返却時は大きさに合わせて、きちんと段ボールが選べる。梱包プランもきちんと固められる。根元を養生テープで止めた上で、布テープで補強、台が動き出さないように、足下に梱包材。これで段ボール内の固定は大丈夫そう。あとはフタして、ビニール袋に入れて、その上からビニールテープをかけて、持ち手を工夫したら大丈夫そう。
そして、今朝。計画通り、ちゃちゃっと梱包。20分。あとはそーっと歩いて、駅まで。乗り換え回数を減らしたいので、JRの各停で最寄り駅へ。そこから少し距離があるので、タクシー。1000円。標本の返却ミッションは無事に完了。
ついでに模様替えしたという3階の展示とか、コロナ対策をしている2階の展示を見せてもらい。ミュージアムショップをひやかして帰ってきた。入口の水槽のイシガメとミナミイシガメが可愛かった。こんなに長生きのミナミイシガメがいたとは気付かなかった。何度も来たことあるのになぁ。
●2020年9月10日 ほんわか相談の日

朝かかってきた電話は、お子さんの自由研究の相談にのった御礼。ついでに子どもさんの話。どうして一部の昆虫は完全変態をするのか?という難しい質問。答えられなかった。すると話は変わって、子どもさんが数学が好きで、音楽と数学の関係に着目して、木琴を作った話を伺う。同じ木を準備して、計算して長さを割り出して作ってみても、木の質にばらつきがあるから、ちゃんとした音階をつくるには微調整が必要なんだそう。物理の話なので、相談なら科学館にお願いするところだけど、なんとなく話を聞くだけで良かった。数学で割り切れない部分こそが、職人の腕の見せ所なんだろう。

昼前にかかってきた電話は、庭の話が続く。ベゴニアを植え替えていたら、カエルが出てきて、ミミズを食べたらしい。で、カエルはミミズを喰うか、と問われたんだけど。食べますとしか答えようがない。目の前で食べたんだから。あとは、カエルが可愛いという話題。これも、ほぼ話を伺う感じ。

昼過ぎに来られた方は、愛媛県西部にある家を管理するようになったそう。数年放置されてた家だそうで、庭がタケだらけだから切ったら、今度は草ボーボーになって。草を刈ろうと思ったけど、バッタには迷惑じゃないか。という相談? 迷惑は迷惑だろうけど、周辺は山と田んぼだらけなので、行き先はいっぱいありそう。これも、田舎暮らしの話をいろいろうかがって、あまつさえグーグルマップで家の位置まで教えてもらった。いいのかな?

3件とも、質問といえば質問だけど、雑談していただけといった感じの方が強い。ほんわか話をしていればいい、という簡単なお仕事。

【追記】
ほんわか質問ばかり。と思っていたら、最後の質問は難しくてシビア。納屋の中でツバメが毎年繁殖していて、小さい窓から出入りしているらしい。でも、昨年2羽、今年は3羽と、納屋の中でツバメの成鳥が死んでるんだそう。また、納屋の中で、ツバメ同士の激しいケンカも見たとのこと。どうしてこんなことが起きてるのか?という質問。
納屋の構造を見ないと断定はできないけど、死んでるのは繁殖ペア以外の成鳥だというので、小さい入口から入ったものの出られなくなったツバメが、繁殖ペアの攻撃を受け、最終的には餓死してるんじゃないかと思う。
来年は、迷い込んでるようなのがいたら、大きな扉を開けて、出してみるように助言。これで解決するといいんだけど。
●2020年9月9日 孵らないピンクの卵

奈良県大和郡山市で大量のスクミリンゴガイを採ってきたのは、8月4日。コロちゃんの餌にと思って採ってきたのに、あまり食べず。水を汚すだけということで、あっさり却下されなんとなくアフリカツメガエルと一緒に生品展示。水槽にたくさんピンク色の卵塊を生み付けてくれた。
このスクミリンゴガイたちは、採ってきて一晩、我が家の浴槽で過ごした。5日の朝に見ると、ピンク色の小さな卵塊を生み付けていた。それから1ヶ月ちょっと、孵って小さなスクミリンゴガイがバスルームをウロウロする日がいつ来るかと楽しみにしているのだけど、ぜんぜん孵らない。よく見ると、一部の卵は白くなったり、壊れたりしてるけど、大部分は生み付けられた時のまま。
どうして孵らないんだろう? ネットをみると、孵化日数は約10日とあるのに。夜はクーラーを入れてるから気温が低いだろうけど、昼間は外気温とさほど変わらないはず。寒いから孵らないってことはないだろう。だとしたら、一つ考えられるのは、昼間も薄暗いってこと。光刺激が必要なんだろうか? そういえば、室内で外来生物展の生品展示で生み付けられた卵塊もあまり孵ってない。でも、少しは孵った気がする(孵った稚貝はすぐにアフリカツメガエルに喰われたのか見あたらないけど)。
もう一つ考えられるのは、毎日シャワーを使うので、それなりに水しぶきをかぶること。濡れるとダメなんだろうか? とにかく、もうしばらく孵るのを待ってみよう。
●2020年9月8日 台風10号が運んだ鳥

今日、大阪市内で保護された謎の鳥。という画像が送られてきた。アジサシ類かな?と問われたけど、ネッタイチョウやし! アカオネッタイチョウと思うけど、幼鳥なれば、初列風切りの黒斑の有無を確認したい。でも、世に出回っている画像を見る限り、シラオネッタイチョウの初列風切は明らかに黒いようなので、アカオネッタイチョウと断定できそう(ちなみに頸の後ろに黒い襟がないので、アカハシネッタイチョウではない)。大阪府では、1998年以来で、5回目くらいの記録。
などと呟いていたら、知り合いが、奈良県で保護されたというセグロアジサシの画像をアップしていた。セグロアジサシ超珍しい!もしや奈良県初記録では?と思ったら、なぜかセグロアジサシは滋賀県以外の近畿地方各府県で記録されているらしい。台風に運ばれやすいのかな? 運ばれやすい割には、記録は少ないけど。そんなに運ばれやすくはないけど、台風の進路が生息域になってるとか?
ともかく、台風10号の強い南風にみんな連れられてきたんだろうなぁ。グンカンドリ類も出てるんだろうか?
保護された個体は落鳥しやすい。けっして落鳥を望んでいる訳じゃないけど、死んだら標本にしたい。でも、死んだらください!とは言いにくく、もにょもにょする。
●2020年9月7日 バリウム

今日は久しぶりにバリウムを飲んだ。15年前以来、二度目。前回はイチゴ味だった気がする。ゲップをして怒られたことを覚えている。今回は、白くてヨーグルト味かなぁ。ゲップはかなり我慢したけど、一度だけ少し出てしまった。出てきたゲップがとても気持ち悪い。だから出したくないんだけど、傾きまくる台に載せられて、あっち向いたり、こっち向いたり、グルッと回ったりさせられてると、一度くらいゲップが出るのは仕方がない。
バリウム飲んだら、あれが白くなって、便秘気味になるとかで、下剤を飲まされた。するとお腹を壊した。便秘どころか、コーヒー牛乳。さらに2回分の下剤をもらったけど、飲まんといた。
無料でガン検診をしてくれるというから、近くの病院での検診。同じ職場の2人に出会う。検診日に、休館日を選ぶとこうなる。なんか怖そうな内視鏡を使った診断は避けたので、あとはレントゲンと血液検査だけ。そうそう事前に2回分のサンプリングをしてこいという宿題があって、流せる紙が付いてて面白かった。
●2020年9月6日 冬虫夏草さがし

今日は中高生と冬虫夏草探し。以前も冬虫夏草さがしを企画したけど、その時は1つしか採れず。それもマニアックであまり盛り上がらなかった。冬虫夏草さがしは面白くないなぁ、と思って帰ってきた。それが冬虫夏草屋くんは悔しかったらしく、冬虫夏草さがしの面白さを伝えるべく、京都西山のマイフィールドを案内してくれた。
どうせ今回は、冬虫夏草はたいして見つからないんだろう。冬虫夏草さがしのオススメシーズンは外してるし。と思ってたら、11種も見付かった。なにより模式産地だというタイワンアリタケが格好良くて、多産する。真面目に探した参加者は、みんな見つけたんじゃないだろうか。
見せてもらった11種の中には、小さくて本当に冬虫夏草なん?と思うのも含まれるけど、シャクトリムシやガの成虫から、いっぱい棘が出てるのはインパクトがある。自分で見付けられたのだけでも、タイワンアリタケ、ハチノミドリコナタケ(一部での通称)、ハナサナギタケ、ハスノミクモタケと4種に及ぶ。最初は未成熟なのしか見つからなかったけど、成熟したタイワンアリタケを見つけられて嬉しかった。ハチノミドリコナタケは、未記載種で、このサイトでは初記録とのことで、冬虫夏草屋くんにも誉められた。ただ、ツブノセミタケは教えてもらっても判らない。本当に冬虫夏草なん?って感じ。あれを歩きながら見つける人は変態としかいいようがない。
今日、冬虫夏草を探してた我々は、沢沿いの低い位置にあるアラカシの葉っぱの裏をひたすらチェック。冬虫夏草も見つかるけど、ガのサナギやら何やら、古い葉っぱの裏の多様な生物相自体が面白かった。一番印象的だったのは、カビゴケという葉っぱにへばりついてるコケ。ジャゴケに似た薬品臭がする。このサイトには普通にあったけど、京都府ではRDB種なんだそうな。
とにかく新たな視点が開けて、とても面白かった。他所でも、沢沿いのアラカシの葉っぱの裏をチェックして冬虫夏草やカビゴケを探してみよう。
●2020年9月5日 お片付け

8月30日に外来生物展が終了して、今日で6日。今日から片付けを始めよう。と会場に行ったら、すでに水槽はなく、生き物の姿はない。魚や貝等の展示も大部分がすでに片付けられていた。植物と昆虫は手つかず。3番手かぁ。
と思いつつ、担当の標本のラベルをすべて回収、壁にピン留めされているパネル類をすべてはずす。というところまでで2時間。空調が切れてて暑い。汗がダラダラ流れて、標本にかからないように気を使う。
夕方の会議の後、再び外来生物展の片付けを1時間半ほど。骨格標本を箱に入れて。常設展示からきてた剥製11体中9体を常設展示に戻す(アライグマとヌートリア以外)。3ヶ月の予定が半年に及んだ出張がやっと終わったって感じ。今回作った本剥製8体は、箱と行き先を考えねば、なのでとりあえず作業室に放り込む。
あとは収蔵庫に戻すのと、借りてきた2体を返しに行くだけ。収蔵庫のどこから持ってきたのか考えないと思い出せないのがある。借用標本の返却はハンドキャリーなので、ちゃんと梱包しなくては。なんとなく外して固めて置いてあるだけのパネルや展示機材も片付けなくては。
とまあ、まだいろいろあるけど、展示は作るのが大変な割に、撤収は簡単。余韻もなくあっさり終わりそう。
●2020年9月4日 中学生からZoomインタビュー

総合学習で、地元のタヌキを調べているが、いまは新型コロナウイルスの感染拡大があるので、博物館に行くのではなく、Zoomでインタビューしたい。というメールが生徒からきたのは、8月3日のこと。OKの返事をしたけど、その後のリアクションはなく、どうなったのかな?と思うのも忘れていたら。8月30日になって、先生から9月4日のZoomについて、ってメールが来た。本当にあるらしい。そして、今日がその本番。
とりあえず早めにログインして、画像をオフにしたままで、他のことをしながら約束の時間を待つ。5分ほど前になると、中学生がログインしてきた。メールをくれたのは代表の一人だけど、本番は3人で並んでいる。先生はいない。こちらがすでにログインしてるのは判りそうなもんだけど、気付いていない様子。こちらの画像はオフでも、そっちの画像は見えてるし、声も聞こえている。緊張するわぁ、と言ったり、ふあけあったりしている。もう少しZoomリテラシーを上げた方がいいんじゃないだろうか。先生ちゃんと指導してよね。こっちが盗み見しているかのようで落ち着かない。
時間になったから、画像をオンにして、まるで今ログインしたかのような顔をする。とたんに中学生たちが改まった態度になるのが面白い。

中学校周辺にに生息する狸についての質問が7つ。近所の中学校なので、博物館のある長居公園をベースに答えられるので簡単。15分ほどで終わった。
●2020年9月3日 手持ちのオニバスの記録

昨日約12時間、今日も3時間ほどかかって、手持ちの大阪府内のオニバスの記録を引っ張り出した。もっとサクサクっと引っ張り出せるかと思ったけど、意外と時間がかかった。何月から何月に生えるか確信が持てなかったので、過去25年の5月から11月の大阪府内のため池っぽいところに行った全ての記録をチェックしたからだろう。結果的に言えば、オニバスが記録されるのは、ほぼ7月から9月の間。この期間だけでも良かった。
オニバスは識別しやすく、それでいてちょくちょく見つかり、なのに希少種と言われているので、昔から小まめに記録していた。それが役に立った感じ。

過去25年の間、毎月80数ヶ所から65ヶ所のため池を見てまわってた訳ですが(埋め立てられてドンドン減少している)、一度でもオニバスが記録された池は14ヶ所あった(ただし2ヶ所は植栽由来の可能性が高い)。思ったよりあちこちに生えるなぁ、という印象。
ただ、ずーっと毎年生えていた池は1ヶ所もない。5年以上記録された池すら、3池しかない(北新町の大池、深淵池、但馬池)。もっとも14ヶ所の内、4ヶ所は埋め立てられて消滅したので、消滅しなければ生えていたのかもしれない。
逆に、6ヶ所は1年しか生えなかった。25年見ていたのに、25年目に初めて生えた池すらあって、オニバスは不思議。散布されてきたのか、ずーっと眠っていたのかが気になるところ。

●2020年9月2日 マイフィールドの外来水草の消長

本当は、オニバスのデータを引っ張りだそうとしていたのだけど、ついでに毎月水鳥調査に通っているため池に関しては、外来水草の有無の情報も引っ張り出した。ただし、外来オオアカウキクサは、あまりに多いので避けたけど。ターゲットは、ホテイアオイ、ボタンウキクサ、オオフサモ、アマゾントチカガミ。

外来水草で一番あちこちで見られるのは、いわゆるアゾラと呼ばれる外来のオオアカウキクサ類。その次に、あちこちで記録されたのは、ホテイアオイ。16ヶ所で記録された。1990年代から2000年代の記録が多く、2010年以降記録されたのは6ヶ所だけ。2020年だけに限ると1ヶ所だけだった。
ボタンウキクサは、6ヶ所で記録があるが、2004年が最後で、以降姿を消した。
オオフサモは、2007年に。アマゾントチカガミは2009年に。それぞれ1ヶ所だけで記録した。
近年注目されているオオバナミズキンバイは、2017年に初めて菅池で記録され、以降、毎年専有面積を広げている。2019年には大津池でも見つかり、その後も生息している(ちなみに最初に見つかったのは2018年らしいが、その時は気付かなかった。水面を覆うのではなく水際の陸に生えていたので見逃していたらしい)。2018年には阿保の寺池でも確認したが、幸か不幸か寺池は2019年に埋め立てられた。


●2020年9月1日 チャート観察

中高生と一緒に京都市西山へ冬虫夏草の観察会。今日はその下見。新人のコノドントくんの野外行事デビュー。で、なんとなく話を聞くに、この辺りのチャートには、コノドントが入ってるという。こんな身近に噂のコノドントが見られるとは! 中高生が興味を持つかは知らんけど、是非コノドントを見つけて説明するようにと言い渡す。せっかくなので、近所の桂川でコノドントをさがす。言い渡したものの、すぐに飽きた。イメージわかんし。そしたらコノドントくんが頑張って見つけてくれた。想像以上に小さい。そして、石にできた単なる模様みたいに見える。これほんまに化石なん?ミニ人と同じにしか見えない〜。なにより肉眼で見つけるのはかなり困難。ルーペがいるのかぁ。とたんに興味がかなり減少。
でもまあ、今までの学芸員だったら、チャートはチャートで説明が終わってのが、(場所によるらしいが)コノドントが入ってたりする、って説明ができるのは、新たな視点が加わって良い感じかもしれない。
●2020年8月31日 2020年8月のまとめ 普及行事が再開して、外来生物展が終わった

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、2月後半から中止していた博物館の普及行事を、8月から再開した。再開の準備をしていたら7月からまた感染者数が増えて、とくに8月前半は慌ててオンライン行事に切り替えたりもしたけど、8月後半に来て、野外行事も再開にこぎつけた感じ。
一方、3月から5月の会期を予定していた外来生物展は、臨時休館でオープンできず。このまま撤収かと思ったら、6月から8月の会期でなんとかオープン。それでも会期の途中で閉めることになるんじゃないかと思っていたが、驚いたことに会期の最後までオープンできた。この状況でおーぷんできるなら、どうして3月にオープンできなかったんだ?と疑問しかない。
そんな8月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。
ハッカチョウセンサス奈良県1コースと京都府2コースも問題なく実施。

ホネホネ団は、通常の活動日2日、鳥の日2日、カリカリ団3日を実施。さらには臨時のハセイルカ処理の日まで加わった。
砂場は、博物館実習で洗うトラを回収。ついでに草抜き。
新鮮なハセイルカを引き取り、姫路港み腐ったハセイルカをもらいにいった。
鳥の仮剥製へのラベル付けを、開始。2年半分のラベル付けは、実習生使って2日では終わらず。ってゆうか、配るだけで一仕事。
箱詰めされたホネとかウミガメとかがたまっているが、冷凍室の空き待ち。

普及行事は、オープンセミナーを配信で実施。同じくリモートでの実施を考えたホネ作り実習は断念。末の植物園案内動物篇は、午前と午後のダブルヘッダーで実施。午前と午後で見られるものが違って、やはり午前の方が面白い。
外来生物展は、落ち着いた。というか、ノネコクレームが止まった。上旬に登場してレッドコロソマのコロちゃんが、下旬でテレビに取り上げられて、プチブレイク。

講演はなし。新型コロナウイルスの感染者数が急増してどうなることかと思った博物館実習は、無事に終了。席の間隔を開けて、窓を開けて、昼食場所を配慮して、2つに分けて館内ツアーと、けっこう気を遣った。
委員会関係は、なにもなし。
査読はなし。論文は書いてない。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系2冊と、SF6冊。
完全休養日はなし。
●2020年8月29日 新型コロナ下で炎天下の鳥の観察会 ダブルヘッダー

新型コロナウイルスのせいで、2月半ばからずーっと観察会は中止。という訳で、実に半年ぶりの鳥の観察会。8月に行事を再開して、博物館としても観察会は2発目。とにかく人数制限がかかっていて、1人の講師が連れ歩く参加者の人数の上限が15人。それではあまりに少ないので、午前と午後のダブルヘッダーで設定。もともとは自由に参加できる観察会なのだけど、人数コントロールが必要な関係で申込み制。いろいろと面倒。それだけでなく、午前と午後の2回、炎天下をウロウロするのはかなり疲れた。
とりあえず行事の最初に注意事項が多い。望遠鏡を見せられないし、双眼鏡や図鑑の貸し出しも行わないことを宣言。解散までの間、家族以外の人と1〜2m距離を開けることと、できるだけマスクをつけること。しかし猛暑日が予想されているので、熱中症を避けるために、充分な距離をあけてマスクを外すことも考えるようにと伝えた。
結局のところ、参加者は全員、ズーッとマスクをつけていた。みんな平気らしい。一方、こちとらは日頃あまりマスクしてないのもあって、頻繁に離れてはマスクを外して深呼吸。辛いわぁ。あまりに暑いので、できるだけ日陰を歩く。
観察した鳥は、

 【午前】カイツブリ、ドバト、キジバト、カワウ、アオサギ、ダイサギ、コサギ、カワセミ、コゲラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、メジロ、センダイムシクイ、ムクドリ、キビタキ、スズメ、カワラヒワ
 【午後】カイツブリ、ドバト、キジバト、カワウ、アオサギ、ダイサギ、コゲラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、メジロ、センダイムシクイ、エゾムシクイ、ムクドリ、スズメ、カワラヒワ

一見、午前と午後であまりかわらないが、午前はカワセミがじっくり見れたのに対して、午後は出現せず。午前にはでなかったエゾムシクイを、午後はじっくり観察できたけど、マニアックすぎる…。という訳で、観察会としては午前の方が良かった。
●2020年8月28日 読書サークル 第110回会合覚え書き

隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。新型コロナウイルス感染症は相変わらず感染拡大しているが、なぜか今月もリアルに集まることができた。マスクして、席の距離あけてだけど。今日の会合で出た本についての意見を記録。

今回の課題本は7冊。2冊繰り越されてきたので、5冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。

●「図鑑大好き!」
(紹介文3つ、平均★数は3.3)
 千葉県立中央図書館の特別展の市販本版。図鑑を、作る人、利用する人、双方の視点から紹介していて、図鑑好きにはピッタリ。2014年出版なので、紹介されている図鑑は少し古いけど、図鑑を選ぶ人にも役に立つ。と評判が良かった。子どもの頃に使ってた古い図鑑を思い出して懐かしがっている風でもある。

●「知りたい!ネコごころ」
(紹介文2つ、平均★数は4.0)
 ネコの心理学自体興味深いけど、実験に協力してくれる猫カフェや家ネコを求めて苦労して、ネコの前でひたすらチャオチュールをあげたり、箱を振ったり。という研究の苦労が楽しい、という評判。

●「地磁気逆転と「チバニアン」」
(紹介文4つ、平均★数は3.3)
 ニュースで話題になったチバニアン。標準地層名として認定されるプロセスの話かと思ったら、その話は1章だけで肩すかし。とはいえ、地磁気逆転の話は、興味深くは読めたらしい。難しかったけど。

●「鹿と日本人」
(紹介文3つ、平均★数は2.7)
 日本のシカの話ではなく、奈良公園のシカの歴史と現状についての本。1000年前から、今と同じ問題があった!というのが一番の衝撃らしく、解決されない農業被害と、無責任な有名社寺。という構造が、1000年前と一緒! 変わったのは、シカを殺しても死罪にならなくなったのと、神鹿が社寺の権勢を示すためではなく、観光資源になっただけ。副題に“共生”とか“知恵”とかあるけど、共生してないし、知恵もない。とのこと。

●「むしとり あそび」
(紹介文3つ、平均★数は3.7)
 虫をとる技とか、持ち方が描かれていて、虫を捕ったり触ったりする気にさせる。と評判がよかった。ただ、出てくる子どもは、出だしは初心者っぽいのに、後半ではマニアックな虫捕り少年になる。そもそも持ってる捕虫網が本格的、と少し評判が悪い?
●2020年8月26日 たたけば直る昭和な展示

第3展示室に、ボタンを押したら、巨大なアケビコノハの模型が翅を開いて目玉模様を見せるという展示がある。たぶん1980年代半ばの展示更新の時に作られた展示だと思う。それが近頃不調で、うまく動いたり、動かなかったりする。面白いことに、動かない時は、叩けば動いたりする。叩けば動く狙い目は、右上辺りらしい。
不調なので修理をしようということで、今日、業者さんが見に来られたのに立ち会った。まさか、あんな構造になっていたとは…。右上を叩けば直るのは、右上にリレーとかが入ってるかららしい。
とにかく中の配線とかをチェックしないといけないのだけど、業者さんは開けるのに四苦八苦。外せるネジは外してみたけど、中がのぞけない。なんか丸い部分はある程度回るんだけど、どうなってるんだ…? しばらく試行錯誤して判ったのは、この展示はネジ止めされてるんじゃなくって、大きな丸いものを、丸い枠にはめ込んでるだけってこと。一人では無理だけど、二人で両サイドをうまい角度で持ち上げると、中がのぞける。ただ配線がつながってるので、横からのぞけるだけ。ものすごく不自然な姿勢で中をのぞいて故障箇所をチェックする業者さん。大変そう。
●2020年8月25日 地元への博物館の浸透策

企業でも博物館でも、コアなファン層をきちんと育てて、広げるのが大切。そんな中で、今以上にファン層を育てるにはどこを狙うべきか。てな、議論の中での話。企業へのアプローチがすでに議論されていたようだが、それもいいけど、まずは我々が考えるべきは、地元への浸透ではないかと。なんせ、驚くほど地元での認知度が低い…。
じゃあどうしたらいいかといえば、難しい。企業相手より難しいかも。まず思いつくのは、地元向けのイベントをしたり、地元のイベントに参加して知名度を上げることだけど、この新型コロナウイルスなご時世では、そんなイベントもいつ再開できるか判らない。地元の商店街にアンテナショップを、なんてことも思うけど、場所代に人件費に諸々に、とまあお金がかかる。すでに博物館で実施してる行事や展示の広報を地元でも頑張る。ってのは、以前からそれなりにやっててこの状態なんだけど。
結局、具体的な案は今日も出なかった。
●2020年8月24日 博物館実習の夏

8月といえば、平日も含めて行事が目白押し、ってのが例年のパターンなんだけど、今年は行事の多くが新型コロナウイルスのせいで中止になって、担当する大きめ企画は、博物館実習のみ。7月終わりから感染者数が増加して、実施できるか危ぶんだけど、驚いた事に国も地方自治体も実質的なことは何もせず、むしろ旅行を推奨する有様で、なぜか実施できてしまった。席を間隔をあけて固定して、窓を開けて換気して、密集しないように2班に分けてバックヤード見学。直前には実施のアナウンスとか、体温測ったりの注意事項を大学を通じて実習生に伝えて。とまあ、いろいろ気を使って面倒だった。
でもまあ、とりあえず無事に終わった様子。実習自体が終わったら、その後始末。実習ノートをチェックして、コメント付けて、ハンコ押して。出欠付けて、成績付けて、ハンコ押して。館長印がいるだの、公印が欲しいだのの要望にも応えて。宛名書いて、封筒に入れて、発送。近頃はレターパックを用意してくれる大学が多くて助かる。
という訳で、発送終えたら、夏は終わった。次は秋、そして冬。全部実施できるかなぁ。ただ一番人数が多い夏が終わったので、年間受入人数の半分はこなせた。一安心かも。とりあえず9月がとても心配。実施できなければ、1月に回れる人には回ってもらって、1月では間に合わないなら11月頃に別日程を設定かなぁ。
●2020年8月23日 標本同定会2020

今日は夏休み恒例の標本同定会という行事。講師の先生方もそろえて、どんな標本の名前でも判る、というのが建前。とはいえ、今年は例年とは様相が違う。なんとなれば、新型コロナウイルスの影響で。むしろ、無事に開催できたのが奇跡のよう、というか政府や自治体の無策のおかげ、っていうか。
という新型コロナウイルス感染症下、それも感染者数が増加している中での実施。なので、密集を避けるために、例年ぶつけていた博物館実習も日程をずらす。人数コントロールをしなくてはならないので、申込み制に。おかげで、参加者数がとても少ない。だもんで、講師も今年は控えめに手配。そもそも、講師には高年齢の人が多いので、その面でもリスクがあるので。
という訳で、参加者も講師も少ないこじんまりとした標本同定会。午前、午後1、午後2の3つの時間帯に参加者は割り振られる。担当分野の申込みは2件だけ、飛び入りがあったけど、対応したのは3件だけ。各時間帯に1件ずつ。例年以上に暇だけど、例年と同じく拘束はされる。同じ部屋には、他に化石・鉱物、海藻、貝、魚が並んでいたけど、午前は1件だけで、その人が、魚もカエルも羽根も石も持ってきた。午後1は1件だけ羽根が持ち込まれた。午後2は、海藻1人、羽根1人、貝と石が1人。この部屋に関して言えば、講師6人が、1日かかって5人に対応しただけ…。淋しすぎる。
例年、対応件数で火花を散らしている鳥類と魚類だが、今年はとてもレベルが低い。
2020年 鳥:3件、魚1件
飛び入りのおかげで、魚の3倍の数字をたたき出した。
今年も以下に歴代の対決を記録しておく。鳥の連勝を23に伸ばした。

2019年 鳥:9件、魚7件
2018年 鳥:9件、魚7件
2017年 鳥:10件、魚5件
2016年 鳥:8件、魚5件
2015年 鳥:5件、魚2件
2014年 鳥:7件、魚2件
2013年 鳥:5件、魚0件
2012年 鳥:4件、魚2件
2011年 鳥:6件、魚1件
2010年 鳥:8件、魚5件
2009年 鳥:3件、魚0件
2008年 鳥:3件、魚0件
2007年 鳥:3件、魚1件
2006年 鳥:3件、魚1件
2005年 鳥:6件、魚0件
2004年 鳥:5件、魚2件
2003年 鳥:3件、魚2件
2002年 鳥:4件、魚2件
2001年 鳥:4件、魚1件
2000年 鳥:3件、魚2件
1999年 鳥:5件、魚3件
1998年 鳥:4件、魚1件
1997年 鳥:1件、魚1件
1996年 鳥:1件、魚4件
●2020年8月22日 どんな標本を集め、どんな研究をすべきか

昨日、研究者は、世の中に役立つ研究をしなくてはならない。などという世迷い言を耳にした。本気で言ってるなら馬鹿である。それを博物館実習生が真に受けたら、大問題。幸い、今日同じメンバーを担当することになっていたので、冒頭で完全否定してみた。
論点はとても単純、今の世の中に役立つ研究が、将来も役立つとは限らない。いま役立たないと思われている研究が、将来とても役に立つ可能性はいっぱいある。研究とは、確実ではない未来への投資でもあるのだから、経済学的にも当然の話。変動する予測性の環境に対しては、多様性を高めて、対応する。ってのは多くの成功している生物がしていること。それが有性生殖が存在する理由でもある。仮にも生物学を学んでいて、それが判らないなら、どうしようもな馬鹿としかいいようがない。
当然ながら、この議論は、現在の世の中に役立つ研究を否定するものではない。でも、現在役立つからといって、正しい訳でも、優れた研究という訳でもないってこと。一つだけ優位な点があるとしたら、研究資金を獲得しやすく、世間で自慢しやすいだけ。
現在役立つ研究とは、それだけに方向性がとても固まっていることが多い。研究としてはむしろこじんまりとまとまりがちで、大きなブレイクスルーにはつながりにくい気もする。これは、直感にすぎなくて、間違ってるかもだけど。
●2020年8月21日 外来生物展 テレビの生中継

外来生物展をテレビで生中継してくれる。って話が来たのは、一昨日で。夕方に、ディレクターさんがさっそく打合せに来た。展示を3つほど選んで、紹介したいとのこと。なにがいいですかというと、いの一番にレッドコロソマというお答え。そもそも、レッドコロソマがヤフーニュースに出たのを見て、取材を言ってきたらしい。他には?と問うと、チャネルキャットフィッシュとかという答えが。どうやらテレビ局の魚好きが、推したらしい。生放送なので、台本は用意するけど、スタジオから思わぬ質問が飛ぶかもしれないという。それなら魚担当でないと対応できないなぁ。
この時点ですでに、私はお払い箱気味。幸い、打合せ時にも魚担当がいて、生中継の日も都合がつくという。それなら絶対、魚担当マター。でも一応、みんなで展示室を見てまわる。そもそもディレクターは魚の話への食いつきがいい。他のをふっても反応は微妙で、やっぱり魚に戻っていく。そして魚担当と魚の話ばっかりしてるし! なんかデートに一人お邪魔虫が混じっているような展開…。暇なので、コロちゃんに餌をあげてみたり。

という訳で、今日が放送当日。午前からディレクターさんと撮影クルーが来て、下見と下撮り? 魚担当が台本を見て、昼も食べずにディレクターさんは台本の改稿。昼からアナウンサーさんが来て、下見して、魚担当と打合せ。本番1時間前くらいから、リハーサルが行われてる。NHKじゃなくても、生中継はリハーサルをするんだなぁ。民放にしては拘束時間が長いなぁ。というのが、時々偵察にいっての感想。アナウンサーさんがあまり声をはってないのはリハーサルだから?
スタジオから魚以外の質問が飛んできたときのために、本番はカメラの後ろにスタンバイするように言われた。カンペを出す係ってことだろうか。と思ったら、いくつかのコーナーを撮すためにカメラがけっこう動くので、お付きの者達は見切れる恐れがあるから、見えないところに隠れているようにとのお達しが。カンペ係も首になった…。

そして、本番。午後2時15分から30分の間に始まる。と聞いてたので、お払い箱のカンペ係は、テレビの前に陣取って、カメラクルーの様子が写っている監視カメラの画像とともに、中継スタートを待つ。でもなかなか写らない。仏像のミツバチが済んで、昔の人は偉かったの予告編が終わり、藤井二冠からのAIの名前のダジャレ。そしてようやく中継スタート。
魚担当学芸員によるレッドコロソマとチャネルキャットフィッシュの解説は、ちゃんとしてた。でも、その後のヨシススキの説明は、微妙な点がちりばめられていて、やはり担当学芸員が話をした方がいいなぁ、という感じがいっぱい。

ともあれ、これで明日から外来生物展の来場者が増えるかなぁ。
●2020年8月20日 鳥の観察会の再開準備

10日後に迫った鳥の観察会。今日、ようやく実施方向で動くことにした。
2月半ばから7月まで、普及行事はすべて中止になって、鳥の観察会が12回分ぶっとんだ。で、8月からようやく行事再開。のはずだったのが、新型コロナウイルスの感染者が急拡大。すでに4月なみと思うけど、緊急事態宣言はでない。というか、なんら有効な封じ込め対策は行われず。あまつさえ、旅行に行くことが推奨されるしまつ。これでは、感染症がおさまるはずがなく、収まらなければ経済の回復ものぞめないのに、阿呆ばっかり。
という中で、普及行事の再開もままならず。知り合いに濃厚接触者がでたこともあって、8月に入ってからも、講演会系はすべてオンラインに移行して、室内実習は断念。これまでのところ、受け付けては、かってにお題に挑戦してもらう系の行事だけを実施してきている。それはまあ、展示はオープンしてるのだから、展示見るのに準じる感じだから大丈夫だろうって判断。
で、いよいよ8月下旬に入って、リアルで集まる行事が3つ予定されている。一つは、標本を調べる系。これは申込み制にしたら、人数も少なくなって、室内で密集することもなく実施できそう。もう一つは、夜の海岸でウミホタルを見る感じ。各自でトラップ仕掛けて、資料をもとに、散らばって観察する感じ。そして、最後が公園での鳥の観察会。
鳥の観察会は昼間の屋外。説明する時は、たぶん参加者同士の距離が近くなるのが心配なところ。暑いけど、マスクつけてもらわないといけない。熱中症大丈夫かなぁ? 双眼鏡の貸し出しや、望遠鏡でのぞいてもらうことができない。小鳥を探す季節なんだけど、参加者は鳥を見られるんだろうか? などなど心配事がいっぱい。
でも、可能性を探らなければ、これから当分鳥の観察会ができないまま。ってことになりそうなので、1回15人までと人数をしぼって。その代わり午前と午後の2回設定。マスクしてもらって、距離とって、なにわともあれ試してみることにした。鳥がうまく見れなかったら、ご容赦を。
●2020年8月19日 博物館実習 鳥の仮剥製にラベルを付ける その1

今日も、博物館実習の担当。昨日のオリエンテーションに続き、今日は標本実習。5月にようやく書き切った鳥の仮剥製に付けるラベルを、仮剥製に付けてもらった。約2年半ほどもサボっていて(サボっていたのはラベル書き)、取り付けるべきラベルが約450枚ためてしまった…。で、鳥の脚に片っ端から脚にラベルを付けていってもらう。
その横で、仮剥製に付けるべきラベルをこちらでセレクト。仮剥製自身を巻いてある紙に、標本番号が書いてあるので、それを参考に。というはずが、書いてない鳥があったり、明らかに番号を間違えている鳥があったり。全体を見渡して、正しいラベルを見つける、という作業が意外と熟練が必要で、実習生さんには無理。
実習生4人で、午前と午後に1時間半ずつ作業して頂いて、おおむね半分弱は付け終わった感じ。ざっと200点ちょっとだろうか。
ひたすら付けてもらった後で、分類群毎にまとめた鳥の説明。海岸で(主に三重県の)拾われた水鳥たちと、街中で窓がラスに当たって死んだ鳥たちが目立つ。そうした環境や死因による種や年齢の偏りの説明をしてみたり。死体を拾ってくるから、傷んでることもあるとか、普通種を集めてこそコレクションの充実につながる話とか。
その後、収蔵庫3つをめぐって、鳥類と哺乳類の標本の解説。ついでに液浸収蔵庫で無脊椎動物をながめる。

もう1回、博物館実習の担当があるので、それでラベルを付け終わる予定。
●2020年8月18日 博物館実習 2020年夏期一般コース オリエンテーション

今日から5日日程で博物館実習がスタート。大学生が20人(初日はなぜか19人)。初日の今日はオリエンテーション。次回のために今日のスケジュールを記録しておく。といっても、今年の夏は例年と違いすぎるけど、もしかしたら来年もこんなんかもしれないし。

09:30 博物館実習スタート 出欠取って、資料を配って、名札を作らせて、友の会に入会させる。ブログの書き方の説明。その前に、新型コロナウイルス感染症対策で、濃厚接触を避けるように注意。遅刻者はなし。今回の友の会会員はなし。
10:00〜11:30 博物館の間取り、沿革、事業内容(研究、資料収集、展示、普及教育)、友の会・サークル・ネットワークなどの説明。博物館に足りないものとして、お金、人手、スペース。今回は、博物館での新型コロナウイルス感染症下の状況と、その対策や悩みを交えて。※実習生を机1台に1人の配置に(前もって配布物は設置)、机を後ろ寄りに間隔開けて、窓開けて。
11:30〜12:00 管理棟の案内・解説。といっても 部屋の中は狭いので、廊下を一周するだけ。外来研究員制度を紹介。学芸員の部屋をのぞく。トリ先生の剥製部屋も紹介。書庫は入らなかったが、特展準備室は入った。ついでにMSCも紹介。※19人をまとめて連れて行ったけど、会話はなしで、間隔を気持ち開けさせる。
(12:00〜13:00 昼休み)
13:00〜13:45 収蔵庫見学ツアー1。3つの収蔵庫をめぐって解説。二層構造の秘密、タイプ標本、火災時の対応など。壁の違いと涼しさと匂い、通路がうまってるとか。※半数をツアーに連れて行き、残りは常設展でスタッフ目線で展示探索。
13:45〜14:30 収蔵庫見学ツアー2。ツアーと常設展交代。
(14:30〜14:45 休憩)
14:45〜15:30 展示室見学ツアー(本館常設展)。メンテナンスがメインテーマ。「スタッフ目線で展示探索」の答え合わせ。第1展示室と第2展示室の電気の球換え、第2展示室のほこり、第3展示室の展示のおかしな点(ケースの問題、展示の問題)、第5展示室の来館者とのコミュニケーション。
15:30〜16:00 情報センター、ミュージアムショップ、外来生物展ツアー。
16:00〜16:30 実習ノートの記入。

実習ノートは学芸員がチェックして、コメントなどを書くので、学芸員とのコミュニケーションツールとして使うように指導。でも質問の羅列は答えるの面倒だからやめてね、と注意。

【追記】
実習ノートをチェック。19人分を見て、質問に答えたりコメントしてたら、2時間近くかかった。2人が、テレビ番組「池の水ぜんぶ抜く」についてのコメントを求めていた。微妙な番組やねぇ。
●2020年8月16日 トンボを食べる鳥

とある雑誌に毎回ちょっとした原稿を書いていて、今回は、トンボと鳥の関係について書けとのお達し。トンボと鳥の関係って、トンボを食べる話しかないし。そんなテーマで原稿書けるかなぁ。と思いつつ、『原色日本野鳥生態図鑑<陸鳥編>』を見渡すと、なんとなくどんな鳥がトンボを食べるか分かってきた。
どうやら飛んでるトンボを捕って喰う、ってな鳥はかなり限られる様子。飛翔昆虫を捕る鳥は、飛行しながら捕る鳥と、フライングキャッチする鳥に分かれる。その両方がトンボも捕るけど、フライングキャッチが得意なヒタキ類などの小鳥は捕らないらしい。まあ、トンボが大きすぎるんだろう。フライングキャッチ派で、トンボを捕るのはモズ類が最小クラス。一方、跳びながら昆虫を捕る鳥では、ツバメ類が最小クラスっぽい。
てな具合に、種類が絞り込めるなら、元論文に当たって、その実態をある程度見渡せそうな気がする。ってことで、昨日と今日、頑張って論文をチェックしまくり。ってほどでもないけど、幸い大抵は職場の図書室に揃ってた。ありがたい。それを分類順にまとめると、

・カイツブリ:偶然見つけた。トンボを食べた1例報告がある。が、捕ったとは限らないなぁ。
・アオバズク:残し餌を調べたら、約1%がトンボ。飛びながら捕ったのかなぁ。
・ブッポウソウ:ヒナへの給餌を調べたら、約16%がトンボ。
・ツミ:胃内容物を調べたら、約17%がトンボ。
・チゴハヤブサ:ペリットや食べ残しを調べたら、なんと約65%がトンボ。トンボが主食といっても過言ではなさそう。
 →ちなみにチョウゲンボウがトンボを食べた例は見つけられず。
・モズ:ペリットを調べたら、約1%がトンボ。モズはフライングキャッチしてトンボを捕ると言われる。
・チゴモズ:トンボを食べたという記述あり。
・ツバメ:ヒナの糞を調べたら、けっこうトンボが出てくる巣と出ない巣に分かれた。
・ヒヨドリ:ヒナへの球児を調べたら、約37%がトンボ。

ヒヨドリの例は、1巣だけのデータで、この結果は特殊な例じゃないかと思う。ツバメでは、トンボを食べてる場合とそうでない場合に分かれる。なんてことを考えると、ツバメやヒヨドリは必ずしもトンボに依存しているとは限らないと思う。そういう意味では、調べた範囲でトンボへの依存度が高いのは、チゴハヤブサのみ。
飛びながら昆虫を食べるという並びでいえば、ここにヨタカが入っていてもいいのだけど、調べた限りではヨタカがトンボを食べるという報告はなし。ヨタカの採食時間の夜間にはトンボは飛んでないから。とは思うけど、じゃあアオバズクはどうやってトンボを捕ってるのかなぁ?
●2020年8月15日 小型哺乳類の処理

今日はなにわホネホネ団の活動日。冷凍室を少しでもあけたいので、中型以上の哺乳類の処理ばかりしている。でも、3月に大量入荷して某動物園からの死体を処理する一環で、今日は小さめの哺乳類をいろいろ出した。いつもとは毛色が違う対象で楽しい。そして、小さい奴らは、仮剥製にするか、開きにするかはさておき、一気に皮の処理までやってしまえる。まあ、ある程度以上の経験者は。
で、ヒメハリテンレック、ムササビ幼獣、フクロモモンガは、皮も処理されていた。ヒメハリテンレックは、骨を全部確保した上で、綿を入れて仮剥製風に。ムササビは手足の先の骨を残して仮剥製に(後から骨をはずそうとしてたけど…)。フクロモモンガは、指先の皮は断念しつつ、骨を全部確保して、筒剥きにした皮の開きに(あとから手足や頭に綿を入れてたけど…)。最終的には仮剥製風のが3体できた。皮まで処理できて、達成感がある。仮剥製風にすると、綺麗で可愛く仕上がるし、満足度も高い。
某動物園からは、エジプトルーセットオオコウモリの死体も大量に届いてる。なぜか勢いで、今度、オオコウモリの日を設定して、みんなでコウモリの仮剥製を作ろう!ってことになった。


●2020年8月14日 新型コロナウイルス対応の博物館実習の準備

新型コロナウイルスの感染者が増加の一途をたどり、そろそろ年配の感染者が増えて、重症者も増えて、病院のベットもどんどん埋まってきている。8月にそういう事態になるのは、6月後半から充分予測できたし、てっきり緊急事態が宣言されて、博物館はまた臨時休館になるんだと思っていた。ところが政府も某自治体も驚くほど無策で、感染症を封じ込める策を実質的になにも売っていない。いやむしろ広めようとしているかのよう。
おかげで、諦めかけていた来週の博物館実習を実施できそうな雰囲気。という訳で、真面目に準備をはじめた。というか、内容は基本的に例年と同じなので、準備はいらないのだけど、今回は新型コロナウイルス対応が必要なので、いろいろ考えなくてはならない。
例年、5日間の実習の最終日は、普及行事を手伝ってもらうのだけど、今回は断念。初日のオリエンテーションの後、4日間は標本実習になる。標本実習は、少人数の班に分かれての作業なので、昼食の時に集まらないように配慮すれば、濃厚接触は避けられる。問題は初日のオリエンテーション。
オリエンテーションは、1時間半ほどの座学と、3回の館内ツアーで構成するのが、ここ数年のパターン。今回の実習生は20人。50人定員の部屋で、座学をするのは問題なさそう。換気に気を付けて、散らばって座らせればいいだろう。悩みのタネは、館内ツアー。
管理棟ツアーは、狭い場所に入り込むのを止めて、実習生に喋らないようにさせれば、一度に連れて回ってもいいかなぁ。
展示室ツアーは、そもそも相互に間をあけて付いて来させれば、一度に連れ回ってもいいかなぁ。展示室の定員はもっと多いし。
でも、収蔵庫ツアーは、20人まとめては無理。半分に分けて、短めに済ませるしかないと思う。待ち時間は課題を与えて、展示室に解き放とう。


●2020年8月13日 ネコの特別展をするなら その基本方針案

なぜかはさておき、ネコの特別展をするなら、どういうのならありかな。と考えてみた。

一つ、イエネコははずす。
イエネコを普及教育しなくていいって訳じゃないけど。いやむしろノネコ問題とか、野外でのヒトとイエネコの付き合い方はいろいろ普及教育して、考えていくべきだけど。正直あまりにも炎上マターすぎる。色んな意見が四方八方から飛んで来て、本来の特別展の目的を見失いかねない。
ノネコ問題を熱く語ってる横で、どっかの写真家が野外で撮ったイエネコの写真展をやってると、なにを主張したいのか分からないし。

一つ、野生ネコ科動物の保全の話をきちんとする。
大型ネコ科に限らず、ネコ科動物の多くは、絶滅危惧種だらけ。そして、その保全の動きが活発なグループでもある。それを取り上げないのは有り得ない。いやむしろ、野生ネコ科動物の保全活動こそが、展示の中心テーマであるべき。

一つ、動物園に負けない展示。
大型ネコ科を中心に、ネコ科動物は動物園の花形の一つ。生きた姿をけっこう動物園で見られる。同じのを剥製で並べただけでは意味がない。それなら動物園に行けばいいんだから。わざわざ展示にする意味を付け加えられるかどうか、それがネコの特別展をするかしないかの分かれ目。

一つ、やっぱり日本のヤマネコを展示のコアに。
日本には野生のヤマネコが2種もいるんだからが、それをしっかり取り上げないと意味がない。保全活動も熱心に行われているし。展示のコアであり、イメージの中心にすえたらいいと思う。

一つ、世界のマイナーな野生ネコ科動物をとりあげる。
せっかくなので、全種を画像で見渡したい。コロコロとか、コドコドとか、まだまだ無名の可愛い野生ネコはたくさんいる。

とりあえずこんなとこで、許しといたろ。
●2020年8月11日 淡水魚は骨にカルシウムを貯蔵するのか?

『ながい ながい 骨の旅』という絵本を読んだ方から質問があった。その解説に、脊椎動物は、水中生活から陸上生活に進化する際に、カルシウムを骨に貯蔵する能力を身につけた。海中にはカルシウムが多いから貯蔵する必要がなかったというのは、納得。陸上ではカルシウムが不足しがちで、それを骨に貯蔵するのも納得。では、淡水魚はどうなってるのか?という質問。
とりあえず直接質問されたのは、陸上脊椎動物は、すべて骨にカルシウムを貯蔵するのか?という点で、おそらく貯蔵するという答で正しそう。っていうので終わったのだけど、魚の部分を魚類担当に押しつけた手前、それ以外の部分にも多少なりと関わることに。

貯蔵するなら、必要な時に取り出すのがセット。脊椎動物の骨はリン酸カルシウム。骨にカルシウムを取り込むのは当たり前だから、不足した時に、骨からカルシウムを取り出すシステムを持っているかがポイントになる。
両生類以降の四足動物、というか陸上脊椎動物では、骨にカルシウムを貯蔵して、必要な時に取り出すホルモンを持っているらしい。で、人間の場合、取り出しすぎたら骨粗鬆症になる。一方、海水魚では、むしろ多すぎるカルシウムの排出が問題になる。では、淡水魚は?
魚担当の学芸員が頑張って調べたところでは、骨からカルシウムを取り出すホルモンは、魚にもないことはないようだけど、分泌される場所が鰓辺りとか限られるらしい。そして、どうも骨からカルシウムを取りだして使うのはメジャーではない、と現生の魚研究者は考えているらしい。というか、あまり注目されていない?

ただ、質問者がいろんな普及書で調べた結果では、硬骨魚類は、一旦淡水に進出して、骨にカルシウムを蓄積するシステムを進化させてから、再び海に戻り。その後、再び淡水に進出したり、陸上に進出したって話になってるのが複数。したがって、淡水魚は骨にカルシウムを蓄積して利用できることになっている。残念ながら、その出典が示されないけど。
この根拠が知りたいところ。あるいは、古生物研究者の間で広まってる、一種の都市伝説?
●2020年8月9日 新鮮なイルカでお勉強

今日のイルカは、大阪湾産のハセイルカのオス。4日前に網にかかって死んだらしい。漁港まで持ち帰ってくれた漁師さんは、氷を当てて保存してくださっていて、2日前に引き取った時点で、とても新鮮な状態が保たれていた。で、冷蔵室に保管して2日目の今日、いよいよ処理することに。
やはり肉は腐っておらず、皮がめくれてもいない! それどころか、チョー新鮮で、喰える勢い。新鮮なイルカは、イルカ・クジラ臭くなくて、ほんのり魚の匂いがするだけ。その解体作業は、魚屋さんで大きめのマグロの解体ショーをしてるような趣き。

新鮮なイルカを処理すると、いつも処理してるドロドロの死体では分からない内部構造が見れる。ドロドロに腐ったイルカやクジラの処理にも役立つことがいろいろ分かる。
歯の並びが綺麗で全然すり減ってない。でも性的には成熟してるので、若い大人のオスって感じかと。と考えてたら、東の専門家筋から、ハセイルカは、5歳までは舌の縁が波打ってる、と教えてもらった。確かに舌のふちがビロビロと波打ってるから、若い個体で正解らしい。
体表に楽しい外部寄生虫が付いてないかと期待してけど、何も付いてなかった。とつぶやいたら、ハセイルカにはあまり外部寄生虫は付かないと教えられる。体側に丸い跡が数カ所付いてる。これはなんの跡?とつぶやいたら、それはダルマザメに喰われた跡!の多方面から教えられる…。常識だったらしい。
ドロドロした死体では、勘で遊離肋骨やV字骨、寛骨を探すのだけど、新鮮な死体では、他の部分との位置関係がよく分かる。寛骨は、腰椎と尾椎の境目、肛門のすぐ後ろ辺りにあると思ってたけど、一番後ろの腰椎のところに、寛骨の一番前がきてる。思ったより後ろにある印象。一番前のV字骨が左右に分かれて、切り分ける時に気付かず、腰椎側に付けてしまった。

一番印象的だったのは、ハセイルカでは、長い吻の半ばくらいまでしか、舌が届いてないこと。鳥で言えば、シギやサギではなく、ペリカンやカワセミのように、長いくちばしに短い舌。半ばより先の歯を舌で舐められない。ある種の魚喰いに共通と言いたくなる。
考えてみると、吻の短いスナメリは、先まで舌が届いてる。まあ、そもそもハセイルカは、すきっ歯で、ワニのように上下の歯が噛み合う。スナメリは、歯が密生していて、上下の歯は噛み合わず、内外にすれ違い(上の歯が外側)。
ハセイルカとスナメリでは、歯の使い方がぜんぜん違うんだろう。歯の形も違うし。主食が、ネクトンかベントスかの違いとか? すなわち採食行動が違うってことかな?
●2020年8月8日 今そこに迫る自宅待機

発端は一昨日、個人的には日没少し前に電話がかかってきた。知り合いの知り合いが新型コロナウイルスに感染したらしい。で、その知り合いが濃厚接触者。私の立場はといえば、濃厚接触者判定された知り合いと、接触した者と昨日接触してる。めっちゃ遠い。でも、上手にウイルスが受け渡されていたら、自分も感染してる可能性は否定できない。とはいえ、そんなレベルで、行動制限してたらキリがないけど、可能性を知ってしまった以上は、今まで通り行動していいのかという疑問が生じる。
濃厚接触者の検査の結果、陽性だったら、とたんに濃厚接触者との接触者に格上げの可能性もあるし。という不透明でもやもやした状態に、電話一本で放り込まれた。

で、その翌日の昨日。いろいろ対処の仕方を勉強した。大ざっぱにはこんな感じ。
・陽性者 →入院、あるいは自宅療養
・濃厚接触者 →自宅待機&PCR検査
・濃厚接触者の接触者 →自宅待機
・濃厚接触者の接触者に接触した者 →出勤していいけど、内勤のみ(来館者対応は自粛)
保健所とかが認定して、行動制限を要請するのは濃厚接触者のみ。だから、濃厚接触者の接触者以降は、あとから保健所とかにそれは濃厚接触ではない、とキャンセルされる可能性もある。

一応、濃厚接触の定義は、
・マスクなしで、
・1m以内に、
・15分以上
いた場合。
少なくともイマドキの職場という環境では、一緒に飲食する状況でしか実現できない。

でも、いつ身近な人が、濃厚接触者の接触者になるかは予想がつかない。濃厚接触者が陽性だったら、すぐに濃厚接触者の接触者に格上げ。ある日、突然、自宅待機を言い渡されることもあり得る。自宅で、どう過ごすか、どうやって仕事を進めるかを、あらかじめ考えておく必要がありそう。
4月や5月以上に、新型コロナウイルスが身近に迫っていることを実感する事態であった。
●2020年8月7日 ポスター発表も展示解説も観察会も

新型コロナウイルスの感染が収まらない中、その合間をぬって、どうやって安全に行事を実施するかで、多くの人が悩んでいるけど、まともな答えは出ないままの今日この頃。全面中止は簡単だけど、今まで積み重ねてきたもの、維持されてきたものが失われそうで怖い。かといって、安全は犠牲にできないしなぁ。

そんな中で一番リアルで復活させやすいのが、座学的な室内行事。人数を定員の50%以下に絞って(50%では多すぎな感じのする部屋もあるので、そこは要注意だけど)、換気に気を付けて、参加者と演者がマスクして。って形でなんとかなる。
室内実習系も、割と同様。座学よりは参加者とスタッフが接近する場面が多くなるし、同じ者を触るリスクもある。とはいえ、そのリスクコントロールは可能な感じ。
この2タイプの行事は、幸か不幸か、ネット経由での展開もやりやすい。双方向性がいるならZoomなどでやれるし、一方的でいいならYoutubeライブなどは取っつきやすい。ポイントはカメラのセッティング程度。

どうやって復活させたらいいか分からない一つが、野外観察会。野外なので、換気の問題はいいとして、暑い季節はマスクがネック。熱中症対策でマスクをしないとしたら、いっそう1〜2mの距離を保てるかが問題になる。お試し行事をしたのを見た感じでは、講師と参加者の間に距離をとるのはなんとかなるけど、参加者同士の距離をいかに保てばいいのやら。一列での移動をともなう場合、距離をとると長く伸びてしまう〜、という問題もある。
同じように困るのは、室内行事でも展示解説的な企画。子どもワークショップとか、実験を見せる系も当てはまるかも。席が決まってなくて、近付いてみんなで対象を観察するような行事。こちらは室内で、参加者同士の距離をいかに保つかが難しい。
そして、密集前提のフェスティバルのようなイベントは、断念するしかなさそう。

学会大会でいえば、口頭発表はリアルでもリモートでもなんとでもなるけど、ポスター発表が悩ましい。リモートでのポスター発表用のシステムもあるけど、自由に議論するのがキモのポスター発表を、どこまで代替できるかは、今のところ微妙。
●2020年8月5日 アカミミガメをいっぱい測る

某所で駆除されたアカミミガメをいっぱい借りてきて、今日は測定しまくり。結局、測定したのは、103個体。7時間ほどかかった。カメ籠で捕ったらしいけど、103個体中、77個体がメス。約75%がメスと、やたらとメスの割合が高い。昼間にカメ籠で狙うとメスが入りやすいのか。それとも実際にこの池のカメの性比がカメに偏っているのか。地球温暖化で、メスが増えてるとかいうストーリーが頭をよぎったりするけど、どうなのかなぁ。
ちなみに、アカミミガメ103匹が捕れた際に、他にクサガメ8個体とスッポン6個体が捕れたという。クサガメの個体数が少ないのは、クサガメがもっぱら夜行性よりだからと思う。昔調べた時も、昼間はアカミミガメが多く、夜間はけっこうクサガメが捕れた。一方、スッポンが8個体も捕れたのは以外。昔と比べて随分増えた。
さらにちなみに、同じ場所で、20年近く前、カメ籠を使って、カメを捕まえて標識して放すという調査をしていた。その頃の標識個体がどのくらい残っているかに興味があったのだけど、今回103個体中、26個体に標識が付いていた! 長い時間が経っているのに、標識個体の割合が高いのに驚いた。その雌雄の内訳は、メス22個体、オス4個体。標識個体の割合は、メス29%、オス15%。オスの標識個体の割合が低いのは、捕獲個体の雌雄の比率が今も昔も一緒としたら、オスの寿命の短さを示してる?
●2020年8月4日 初クーラー

ついに我が家のクーラーをつけた。今年は7月に雨が多くて、涼しめだったので、クーラー無しでも、扇風機だけで快適に過ごせた。しかし、猛暑日が続くようになり始めると、夜も30℃前後の気温を保たれると、耐えられなくなった。
ちなにみ過去の初クーラーの日は記録に見あたらないが、記憶が正しければ、6月中はクーラーを付けずに頑張って、7月に入ったとたんに我慢できずに初クーラー。というのが、ここ数年のパターンのはず。それに比べると今年は随分頑張った。というか、6月終わりに一瞬暑い時があったけど、7月は楽勝で耐えられた。というか、むしろ寒いくらいの夜もあった。
毎年こうだと過ごしやすいけど、一夏ずっと涼しければさらに過ごしやすいけど。夏が涼しいと、いろいろと困る業界もあるんだろうな。
●2020年8月3日 イルカのホネ拾い

7月初めに浮いていた死体が回収されて、埋立地の草むらに放置。という話を7月20日に聞いて、標本に引き取る!と宣言して、先方とこちらで日程調整して、約2週間後の今日、回収に行った。
見せてもらった画像には、海で回収された死体が、埋立地の裸地にポンと置いてあった。この状態は、2年ほど前に淡路島に回収に行ったオキゴンドウと同じ。肉は腐ってドロドロだろうけど、1ヶ月程度ではまだ原型を保っていて、せいぜい胴体上側の肉がカラスなどに持って行かれている程度だろう。
と思ったら、ぜんぜん違っていた。

とりあえず、オキゴンドウと同じ設定で、測定道具、解体道具、腐った肉を持って帰るように言われた時の準備。ドロドロに肉付き骨をいれる容器。などを積み込んで車で出発。測定15分、解体30分、梱包15分。後片付け入れて、1時間半程度かなぁ。炎天下で1時間半はきついなぁ。という訳で、途中で氷や凍った飲み物をアイスボックスに確保。
現地に案内頂いて、驚いた。ここです、と言われた場所は、埋立地の端っこの凹地に草がボーボー茂ってる場所。この草むらに放り込んだという。よーく見ると、イルカのホネが散乱していた。そう。すでにすっかり骨になっていたのである。
下顎骨はあるけど、頚椎と頭骨がない!と周囲を探したら、少し離れた場所に落ちていた。頚椎以外の椎骨はつながったまま、前肢も残ってる。けど、肉は寛骨周辺から尾の辺りにしか残っていない。測定は必要ないし、解体も必要ない。これは、もはやホネ拾い。
現地で寛骨を探しにくかったので、肉も丸ごと持ち帰ることにして、目につくホネを全て回収して、袋詰めしてテンバコに入れるのに約30分。氷や飲み物とかいっぱい用意したけど要らんかった。
頭とかが散らばっていたのは、肉を持っていこうと引っ張った動物がいたからっぽい。ネコやアライグマなどの哺乳類ではないかと思う。左前肢が無かったのはカラスが持ってった?と思ったが、回収時の画像をよく見ると、回収時にすでに失われていた様子。

持ち帰ったホネは、とりあえず寛骨混じりの肉、右前肢、及び椎骨は残った肉を処理すべく、砂場にセット。頭や肋骨などは、持って帰って洗ったら、あっさり完成。
とても楽ちんだったが、肋骨の順番が維持できなかったし、肋骨やV字骨を一部失ったぽいことや、歯の大部分が失われたのは残念。
裸地に放置と、草むらに放置で、これほど処理スピードが変わるとは驚いた。これはとても勉強になった。
●2020年8月2日 ジュニア自然史クラブZoomミーティング

3月から7月まで、博物館の行事は全面中止。という訳で、ジュニア自然史クラブも4月にメンバー募集をしたのに、ずーっと活動してなかった。で、8月に行事を再開しようとなったけど、
1:例年の平日に博物館に集まってのミーティングは、多くのメンバーの夏休み開始が遅れたので断念。
2:日曜にミーティングを、とも思ったけど、博物館でミーティングをすると、大勢が集まって密集が避けられないので断念。
3:それなら近場の山にでも野外観察に行こう。と計画していたのだけど、7月後半から新型コロナウイルスの感染者数が急増してきて、野外でも密集を避けた方がよかろう。でも、避けにくい。との判断から断念。
4:で、メンバーに確認したら、多くが家でZoomにアクセスできるとのこと。という訳で、今日、リモートでのミーティング、Zoomミーティングを開くことになった。

プログラムというほど、しっかりした内容は準備しなかった。が、とりあえず、この企画で初めてジュニア自然史クラブに参加するメンバーもいるので、学芸員の自己紹介とか、興味を持ってることを軽くプレゼン。その後、画像を準備してくれたメンバー2人がスライドショー。冬虫夏草+キノコと、石の採集話。あと、今年度の9月以降の活動を相談して、9月以降の活動をおおむね決めた。けど、実施できるのかなぁ。
当初1時間半のミーティングの予定が、30分ほど超過して、2時間ほどやってた。その後は、自由にダラダラしていいよ、って言ったら、古株と大学生になったOGOB中心に、2時間近くダラダラ話をしていた。なにかに友達と情報交換するのに餓えてる感じがする。今年の大学1年生は、つまらなさそうで、可哀想。
●2020年8月1日 はじめてのZoom講演会

今日は、昨年度に決めた予定なら、友の会合宿で岐阜県にいるはずだった。でも、合宿が中止になったので、自然史オープンセミナー、という名前の講演会。動物研究室の3人が、この5年ほど市民調査を進めてきた外来生物の話題を紹介。最初はリアルに聴衆に対面しての講演の予定が、ライブ配信併用になって、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないから、ライブ配信のみに変更。それにともなって、会場も講堂から集会室へ。結果的には、講堂で対面とライブ配信併用するよりも、集会室でライブ配信のみにして良かったかも。少なくとも誰に向かって話すか判りやすいし。ただ、生の聴衆のリアクションが見えないのが難点。
質問はチャットに書き込んでもらう形だったけど、あまり質問が多くなかった。チャットに書き込むには、Googleアカウントが必要だからかなぁ。
●2020年7月31日 2020年7月のまとめ イズミがやってきた、そして感染者数が再び増加

今月は、4回もみさき公園に通った。昨年から話のあった、この3月に閉園したみさき公園が貯め込んでいたホネを中心とする標本(+死体)の引き取りのため。2回は小物の引き取りのため、1回は大物の運送業者との下見、そして運送業者の大物の搬出の立ち会い。
そうした作業の前には、大物くんを入れる場所を探して、トラックヤードを片付けて。
そんな7月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。
ハッカチョウセンサス奈良県1コースと京都府2コースも問題なく実施。

ホネホネ団は、通常の活動日2日、鳥の日2日、カリカリ団7日を実施。

普及行事は、オープンセミナーを配信で実施。同じくリモートでの実施を考えたホネ作り実習は断念。末の植物園案内動物篇は、午前と午後のダブルヘッダーで実施。午前と午後で見られるものが違って、やはり午前の方が面白い。
外来生物展は、ノネコクレームがピークに。市長への手紙に対応して、パネル追加。電話で1時間ほど話したり、対面で1時間ほど話したり。なぜか最初の30分は全力でクレームを言われるのだけど、そんなに意見の相違がないことに30分ほどして気づき、その後は比較的建設的に対応の話ができる。意外と立ち位置の違いを理解してくれる。

講演はなし。実習もなし。
珍しいことに、某市のレッドリストな委員会が、リアルで開催。
査読はなし。論文は書いてない。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系0冊と、SF10冊。
完全休養日は1日。
●2020年7月30日 雷雨のカワウ調査

夢洲にカワウの集団ねぐら調査にでかけた。桜島駅で待ち合わせ。その時は、晴れてて暑かった。まさか、そんな展開が待ってるとは思わなかった。
夢洲の水溜まりの面積が随分小さくなってる。と思ったら、最近の雨で溜まったんだろう見慣れぬ場所に広い水溜まりができたりしている。15時にカワウのねぐら入り調査を開始。調査地の前の水面には、カルガモ、マガモ、ホシハジロ、スズガモ。イソシギもウロウロしてる。
ふと気付くと、いつの間にか、雲がってきた。西の空が黒くなり、雨がパラパラ降りだし、雷も鳴りだした。開けた埋立地で雷は怖い。16時、カワウのねぐら調査を中断して、車の中に避難した。それを待っていたかのように、大粒の雨が大量に降りだした。危うくずぶ濡れになるところだった。危なかった。やがて雨は止んできたけど、雷は鳴っていて、調査を再開しにくい。
雷雨で1時間半ほど中断した後、17時30分から、カワウのねぐら調査再開。雨が上がった直後、3分の1ほどのカワウが翼を広げてた。しかし、とまっている場所などは、雷雨前と変わらない。カワウの個体数は、中断前より26羽増えている。雷雨の間も、ねぐらに戻ってきていたらしい。増えるペースもとくに少なくないと思う。
雷雨はねぐら入りにあまり関係無さそう。開けた場所で、鉄板の上に並んでるのに、雷は恐くないのかな。
●2020年7月29日 イズミの引越

イズミを引き取らないかという話を頂いたのは、2019年もそろそろ終わりかけだなぁ、と思った頃だったと思う。とにかく大きいので、置く場所がないかもなぁ、と、返事は保留にしていた。イズミ以外にもいろいろ小さいのがあって(イズミに比べるとクジラでもなければ、みんな小さい)、それは全部引き取る方向で返事した。
たしか2020年3月で一区切りという話だった。3月に一度下見をさせてもらって、それから具体的な引越の話をしようってことになった。でも、3月からの特別展準備でいっぱいいっぱいになってすっかり忘れてるから、3月になったら連絡ください。
などとやり取りしたのに、3月になっても特別展は始まらず。でも、新型コロナウイルスで博物館は臨時休館。南の公園に下見に出かけるのもはばかれるような状況に。仕方が無いから、この騒動が少しは収まってからにしましょう。と、延期。
5月後半に緊急事態が解除されたので、6月に下見。運ぶ段取りを組んだ。で、イズミはどうしよう? って思ったら、すでに先方は、さりげなくイズミは大阪の博物館へ引っ越しますとアナウンスしてる〜。ってことで、引き取る方向で考え始める。下見時点で、イズミは解体されて5つの箱に分かれていた。箱がでかすぎて、内2つはエレベーターに載らない。他の置き場所を考える必要がある。ってことで、幸い旧トラックヤードはこの間の時間でかなり片付いてるので、その辺りに1箱。新トラックヤードを片付ければ、その片隅に残る1箱置けそう。と考えて、片付けて、会議で了解を取り付けて、ようやく今日を迎えた。イズミ(と仲間2匹)以外の運搬は、すでにレンタカーと自力で完了している。残るは箱入りの大物だけ。

朝から、南の国に集合。引越は引越の業者さんが頑張る。はずだけど、お金をけちっているので、トラックへの積み込みには南の公園のみなさん。積みおろしはこちらのメンバーが手伝うことになってる。でかいトラックが苦労して曲がるのを眺めて、そして積み込み。と思ったら、意外に軽くてあまり手伝わなくても大丈夫だった。おろすのはさらに手伝いはいらない感じ。箱に入ったままではかさばって仕方が無いので、壊れやすい頭を除いて全部箱から出す。で、こちらの人では、もっぱら梱包された箱の解体に集中。かなり大変だったので、人手があってよかった。
そういうわけで、イズミの胴体だけは、新トラックヤードに鎮座してる。一時的に置いてるだけ、という建前ではあるけど、行く当ては当面見つかりそうにない。トラックヤードにゾウの胴体が立ってるのは、意外と良い感じ。このままでいいんじゃ?
●2020年7月28日 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて

2月下旬から普及行事はすべて中止。4月に緊急事態宣言が出て、さらに普及行事は遠のき、しかし5月に緊急事態は解除され、ゆっくりと博物館を平常運転に戻そうと、6月初めに常設展オープン、翌週に特別展オープン。人を集めがちな普及行事は、いろいろ検討してから、ということで8月に再開させるべく、準備してきた。が、ここにきて、新型コロナウイルスの急激な感染拡大。なんせ、大阪府は東京都に次ぐ新規感染者数、人口10万人当たりにしたら、東京に圧勝してる。なのに、あらためて緊急事態宣言は出ないし、政府も自治体とこれといって感染者数を押さえるように対策は打たず、あまつさえGoToトラブルとか言って、感染者を日本中に広める努力が行われている。という状況で、8月からの行事再開をどうするかを相談した。
そもそも人数コントロールが必要ということで、昨年までは自由参加な行事も、基本的には申込み制にしてある。申込み制にしていないのも、参加者がばらけるような企画にしてある。講演会や実習は、ネットで実施する可能性を言及してある。さらに密集をどうして避けたらいいのか、真夏ではマスクをどうしたらいいのか、判断がつかない野外行事は避けてあった。と、比較的対応しやすくはしてあるものの、いろいろ悩ましい。

申込み制にした標本同定会は、あまり申込みがない。ネット配信とリアル参加の2本立ての講演会は、リアルに申し込んでる人の大部分が、60歳以上。
という訳で、ネットに切り替えられる行事は、ネットに切り替え(講演会と標本実習。ちなみに愛知県から呼ぶ予定だった講師さんは、大阪への出張が禁止になったとか…)。展示はオープンしてるのだから、展示目的の来館者に認めているやり方なら、行事もできるはず(探検クイズみたいな子どもワークショップ。来館者の質問と似たようなもんの、参加者少ない標本同定会。特別展来場者とさほど変わらない、散らばった友の会の夕べ)。
意外と中止にしなくても、やり方を調整すれば実施できるのが多いのは、あらかじめ考えてたからではある。あと、リスクの高いスタッフは、配慮するってことで。
●2020年7月26日 雨のツバメの集団ねぐら

7月終わりともなれば、梅雨も明けて、ツバメの集団ねぐらを見に行くシーズン開幕。ってことで、この週末には、ツバメのねぐらの観察会を、博物館とサークルそれぞれで企画していた。新型コロナウイルス感染症のせいで、博物館の観察会は中止。サークルの方は、雨天中止。
かと思ったけど、微妙にツバメが集まる時刻には雨が上がるかもな予報。そして、なんとなく多少雨が降っていても、ツバメの集団ねぐらを見に行きたい気分だったので、決行を決定。誰も参加者こないかもだけど。

この日の日没時刻は19:04。大和西大寺駅に17時に集合した時点では、雨がざーざー降っていた。案の定参加者は、他に1人来られただけ。このサークルの観察会としては、参加者数の史上最低タイで2回目の記録。とりあえず2人で寂しく現地に移動。なんと、現地にもう1人来ていて、史上最低記録は免れた。
17時30分頃から観察開始。人数が少ないので、建物外側のベンチに座って、雨宿りをしながら観察できて楽ちんだった。ここまできたら、初めての雨のツバメのねぐら入りが見られる、と楽しみにしていたのに、17時50分には雨が上がってしまって、以降は普通にツバメのねぐら入り観察となった。
19時20分に飛んでる個体が最大の約2万羽に。それが一通り降りた跡に追加が加わったようなので、それを考慮すると集まったツバメの個体数は、約3万5千羽ってところだろうか。
というわけで、雨のツバメのねぐら入り観察は不発に終わり。ツバメのねぐら入り観察会は、普通に無事に終わって、とても楽しめた。

●2020年7月25日 ネズミの標本の寄贈を受けた

なにわホネホネ団の活躍もあって、当館のタヌキなど中型哺乳類の標本はどんどん充実している。そこから漏れていて、意外と標本点数が少ないのが、齧歯類、食虫類、翼手類といった小型哺乳類。死体は受け取るのだけど、冷凍の死体がドンドンたまるだけになっている。冷凍してても、あまり場所をとらないので、急いで処理する理由がない。ということもある。かけた時間に対する空いたスペースの広さ、という意味でのコストパフォーマンスが悪いのである。
今日、大阪府河南町産のハツカネズミ約50点の寄贈を受けた。もしかしたら、ネズミの標本点数が倍増したんじゃなかろうか。大部分が同じような場所で採集されてるけど、きちんとデータ付きで、仮剥製と頭骨標本のセットになってる。このままで登録番号をふればOK。素晴らしすぎる。アマチュアの方が個人的興味のために許可をとって採集して、お金を払って標本にしてもらったとのこと。金額という意味でもかなりのコストがかかってる。すごいなぁ。こういう方が、北摂に山手の市町村に一人ずついてくださったら、有り難いんだけどなぁ。と甘っちょろいことを考えてしまった。


●2020年7月23日 ホネ標本作製実習をオンラインでするなら

2月後半から、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するべく、博物館の普及行事は全面的に中止してきた。3月から5月は臨時閉館。それが6月に展示をオープン。だけど、なにかと密集しがちな普及行事の再開は、様子見て、しっかり準備して、8月から。と考えて、いよいよ普及行事も再開だ。
と思ったら、ここにきて急激に新型コロナウイルスの感染拡大が顕著に。それでも10日前までは、8月の御油時をリアルで実施するつもりで準備を進めてきたのだけど、ここ数日の動向、及び無策な政治状況を見てる限りでは、8月にはさらにエライことになっていそう。ちょっと行事再開は無理なんじゃないか感が満載。講演会系はオンラインで配信に移行して、子どもワークショップ・展示解説・標本同定会・野外観察会は中止にせざるを得ないんじゃないか? という中で悩ましいのが室内実習。ホネの標本作り実習を企画してるんだけど、これってオンラインでできるような気がするんだな。
で、とりあえずオンラインでやる場合の返信案を考えてみた。オンラインでやる場合、参加者に、オンライン環境と、作業場所と、材料と道具と薬品をそろえてもらう必要がある。これがけっこう面倒かも。具体的には、

作業場所は、ゆでたり、洗ったりするし、そもそも作業で肉や脂が飛び散るので、台所周りがベスト。ただ、その作業をパソコンのカメラで写すというセッティングができるかがネックになるかも。
材料は、ニワトリの手羽先。スーパーで売ってるもんだけど、スーパーのは若鶏なので標本作製にはあまり適さない。ヒネ鶏か地鶏の手配をしてもらえるかなぁ。
台所用ハサミと魚の骨抜きはけっこう家庭にありそうだけど、パイプユニッシュとオキシドールはどうかなか? 手羽先をパイプユニッシュやオキシドールに浸けるんだけど、浸ける入れ物になんか制限がいるだろうか? 薬品の扱いに慣れていない人がいたらいけないので、注意しまくる必要がありそう。あと、それぞれが違った濃度の液に浸けるだろうから、その配慮がいりそう。
博物館で作業するときは、バットを用意する。でなくても、汚れたらふけば大丈夫な机だけど、作業するスペースを家庭で作るのはけっこう難問だったりする?

こうした点を考えると、リアルで申し込んでいても、オンラインだと参加を断念する人が多いんじゃないかと想像してるんだけど、どうかなぁ?
そもそも、何人ならZOOM会議形式で対応できるんだろう? カメラワークが悪いと全然見えないとかありそうだし、参加者がこちらの模範演技が見えないこともありそう。こちらが参加者の様子を把握して、適切な指導ができるかも心配。

でも、総合すると、双方ともに慣れてないから心配はいっぱいだけど、できないって訳でもなさそうなんだなぁ。
●2020年7月22日 外来生物展での動画収録

昨日の閉館後に、外来生物展の会場で動画を撮影された。外来生物展は会期を変更してオープンできたが、関連イベントは実質的に全滅。普及講演会もなければ、ギャラリートークもないし、関連の観察会は企画できる季節じゃないし、子どもワークショップもない。それでは淋しすぎるので、子どもワークショップの予算を使って、子ども向けの展示紹介動画を撮影することになったのである。
子どもワークショップのスタッフが、にわかカメラマンとディレクターになって、動画を撮影編集。内容は、学芸員と相談して、台本が作製されているんだけど、大筋の内容が書かれているだけで、実際の台詞は学芸員まかせ。台詞が決まってると棒読み感が半端ないからその方がベター。でも、しゃべる内容は、(学芸員によるのかもしれないけど)現地で考えながら、相談しながら、撮影しながら。まあ編集で上手につないでくれたら大丈夫。
とまあ喋る方は、繰り返し撮影して行く中で固まっていく。だんだんイメージができていく感じ。そこはいいんやけど、カメラマンからは、立ち位置や座り位置の指示が細かい。標本と一緒に写るようにと、へんな姿勢で座らされたり。指で標本を指すようにとか、目線がどうとか。なのに、後ろをウロウロしてるディレクターがケースのガラスに映り込んできたりする。バッチリできたのに!
撮影が終わってからも苦行は続く。というか一番の苦行はここから。編集した動画を見て、問題がないかを確認しろと言われる。何がイヤって、自分の録音した声を聞かされるほどイヤなことはない。それが映像付きとかありえない。自分では確認せずに、真面目に全部をチェックしてる萌蔵に任せよう。よろしくねー。
●2020年7月21日 キジバトは1羽で子育てできるでしょうか?

という質問を、我孫子市方面から頂いた。我孫子市方面さんが受け取った質問を、キジバトの専門家ということでご指名でたらい回しして下さったらしい。質問内容は、自宅でキジバトが営巣して、ヒナも無事に巣立ったのだけど、親鳥は1羽しか見なかった。キジバトは、1羽でヒナを巣立たせることができるんだろうか? と疑問に思ったとのこと。
キジバトは、一夫一妻で、メスとオスが役割分担して巣づくりから抱卵、育雛を行うのが基本。途中で片方だけになっても、1羽でヒナを巣立たせることができるのかを、巣づくり、抱卵、育雛のそれぞれについて考えてみよう。

・キジバトの巣づくりでは、オスが巣材を運び、メスが受け取って、巣を組み立てる。雌は巣材を運ばないし、オスは巣材を運んできたのにメスがいなかったら、巣材を放って、メスを探しに行く。 →1羽では無理。

・抱卵は、昼間がオスで、夜間がメスの分担。夕方の交代にオスがやってこなくて、メスが巣を放棄するのを見たことがある。ちなみに交代は、朝と夕の1回ずつで、相方が巣の近くに来たら、抱卵してた個体は巣から飛び出す。つまり、2羽を同時見ない可能性は高い。ることはありません。 →おそらく1羽だけでは卵を孵せない。

・育雛初期の抱雛は、抱卵と同じように分担。給餌は雌雄共。1日に雌雄がそれぞれ数回ずつしか給餌に来ないので、同時に見かける親は1羽だけです。 →抱雛は片親では難しいが、給餌は片親だけで出来るかも。

以上からすると、キジバトは、育雛は1羽でもできる可能性があるけど、巣づくりから抱卵・抱雛までは、片親ではできない。
そもそも、キジバトの営巣で、巣において、2羽の親をそろって見るのは巣づくりの時だけ。もし抱卵期から観察をはじめたら、片親で繁殖してヒナを巣立たせたように見えると思う。
●2020年7月20日 新しい外来生物のお友だち

6月にスクミリンゴガイとアフリカツメガエルが加わったのに続き、今日、チャネルキャットフィッシュが加わった。明日から登場。
スクミリンゴガイは、エサをあげなくても、なんか適当に食べてるっぽい。アフリカツメガエルにはウーパールーパーのエサをあげてるので、その食べ残しを食べてるのかも。アフリカツメガエルは、再入手が面倒なので、外来生物展の会期中は生きててほしいし、その後は標本になってほしい。あるいは会期終了後も生品展示? 一方、スクミリンゴガイは、いくらでも手に入るので、減ったら追加すればいいや。むしろ、もっと大きな個体を入れたい気もする。そして産卵して欲しい。
今回やってきたチャネルキャットフィッシュくんは2匹。これも再入荷は面倒なので、会期中は生き残って欲しい。普及啓発的には、会期後も生品展示した方がいいかも。ただ、めっちゃ大きくなるらしいので、そこが微妙。今のところ人の姿をみると、水槽内で暴れまくる。エサを入れてもみてる間は食べない。可愛くない。もう少し人間になれて、眼の前でエサを食べる用になってほしい。見た目は格好いいナマズなんだけどなぁ。
●2020年7月19日 縦に長いツバメの巣

縦に長いツバメの巣が時々見つかる。話題になって新聞に載ることもある。昔、阪急上牧駅から淀川に行く途中の店に、縦にとても長い巣があって、毎回見てたんだけど、いつの頃からかなくなった。鳥の巣コレクターさんは、縦に長いリュウキュウツバメの巣を持っておられたっけ。
ツバメやリュウキュウツバメのような皿形の巣をつくるツバメ類は、それでも、上があんまり広く空いてるのは嫌いなんだと思う。でも、軽くでも台座のようなのがあった方が、巣をつくりやすい。で、上がとても広く空いてる場所に巣をつくってしまった場合に、こういう縦長の巣ができるんじゃないかと想像したりする。いわば天井を目指したバベルの巣。
縦長巣ができるプロセスを考えると、同じ巣を繰り返し利用する際に、巣材を足しまくってるってことになる。上がけっこう空いてても縦長になってない巣もあるんだから、毎回けっこうな量の巣材を足しがちなペアと、そうでもなペアがいるんだと思う。だとしたら、ペアが入れかわったら、縦への成長はとまるんじゃないだろうか。また、その巣材積み上げペアor個体は、場所を変えてもその傾向を維持するなら、1つ縦長巣があれば、周辺にも縦長巣が複数あったりしそうにも思う。ただ毎年積み上げないといけないので、あまり巣場所を変える傾向があると、縦長巣はできない。いくつかの条件が整って、初めて完成される作品ではありそう。

●2020年7月18日 火の国からの水難植物標本

西の島で大雨が降った。何時間も降り続くことが繰り返されて、川が氾濫。もちろん被災した人は大変だとは思ったけど、文系の博物館が被災してないかな、とかは思ったけど、まさか自然誌資料が被災してるとは思わなかった。それは、地元の自然史系博物館の学芸員も同じことだったらしく。それはなぜか文系博物館に所蔵されていて、自然史系博物館の学芸員は知らず。たまたま、どう処理したらいいかと相談されて気付いた。って話を間接的に聞かされた。隠れていたとは思えないほど、量が多く。それはすなわち地域の植物相の資料としてなんとか救う必要があるもので。急遽、自然史系博物館のネットワークにSOSが流れた。
黴びたりする前に、とにかく冷凍しなくてはならない。レスキュー作業はそれから。でも、全部を放り込める冷凍設備がない。それにその後の作業も地元だけでは手に余る。とにかく手を上げてくれた各地の博物館に送付して、冷凍してもらい。それぞれの場所でレスキュー作業。って段取りが決まった。
らしい。すでに尻尾が20箱くらい大丈夫!と手を上げたらしいで、と草地屋から聞かされて、大慌て。なんせ、いま冷凍室には3月にやってきた大量の動物園物。これまでにかなり分量は減らしているけど、まだまだある。20箱を入れるには、さらに処理を進めなくては! と、送られてくるらしいと聞いて、急遽処理を速める。大きくてスペースができやすいのから優先的に。
で、今日の夕方にまずは10箱到着。植物のさく葉標本というから、とても大きな段ボールを想像してたけど、ミカン箱に毛が生えた程度。一気に20箱じゃないし、とりあえず10箱は入った。あと5箱は無理すれば詰め込める。次が来るまでにさらに作業を進めねば! でも、少し安心。

【追記】
7月28日にさらに10箱追加された。まだ冷凍室には余裕がある。というか、平行して処理も進めてくれてるし、こちらもさらに作業したから。でも、尻尾がまだ20箱大丈夫!とか言い出さないか心配。


●2020年7月17日 ヨシ原の生きものの保全の仕方

カニや貝といったベントスなら、ヨシ原の総面積を減らさなければ、一定の保全効果があるかも。でも、オオヨシキリのような鳥類の場合は、ヨシ原がまとまっているか、散らばっているかで話が違う。
とある河川の工事についての委員会。少なくとも工事の間一時的に、ヨシ原を撤去する。工事が終わればそれなりに元に戻す段取り。その間、ヨシ原の生物相をいかに保全するか。工事と保全の妥協点をさぐる。カニや貝は生息密度の高いエリアに配慮したり、つぶされるエリアに移したりでしのげそうな話ではある。でも、河川敷のオオヨシキリの繁殖成功には、堤防から本流の間のヨシ原の幅が大きく影響するという研究結果がある。まさにこの川で。今回は堤防よりを数m削るって話なので、もろにヨシ原の幅が短くなる。オオヨシキリの繁殖成功度への影響は必至。かといって幅を現状のまま維持しての工事は不可能。とりあえずモニタリングして、影響を評価して、工事後に可能な復旧を検討するってところだろうか。
他の移動性の小さな、サイズも小さな、生物群と、移動力があってそれなりの面積の維持が必要な鳥では、保全の方針がまったく違ってくる。鳥とかは別枠で検討がいるのでちょっと面倒。とくにこの委員会のように、今までまともな鳥屋がいなかった場所では。


●2020年7月16日 カメを洗う

今年は新型コロナウイルスのおかげでというかなんというか、いろんな活動ができない一方で、想定外の時間がけっこうできて、今まで10年以上も放置してきたものの片付けに手を付け始めている。その一番大きな部分が、旧トラックヤード。
ホネ標本の作製途中で放置しているものがいっぱいある。ってことは知ってたんだけど、ウミガメが何匹も出てきて、笑ってしまった。よほどウミガメが嫌いなんだろう。旧トラックヤードが一段落したので、今度は新トラックヤードに手を付けた。大量の鳥のミイラはトリ先生に押しつけたのだけど、その合間から、またカメがいっぱいでてきた。という訳で、今日はカメ洗いの日。ウミガメ3匹、ケヅメリクガメ1匹を洗った。あとアカミミガメ1匹。
●2020年7月15日 コシアカツバメとイワツバメの繁殖期

今日は、大山崎町から長岡京市を歩くハッカチョウのセンサス調査。例によってハッカチョウはおらず、無人販売所でキュウリとトマトを買って帰ってきた。ってことはさておき、このコースにはコシアカツバメの営巣地が1ヶ所と、イワツバメの営巣地が2ヶ所ある。今日は、コシアカツバメは周囲を飛んでいたのに対して、イワツバメの姿はなし。もうイワツバメの繁殖期は終わったんだろうか?
とりあえず、ここまでの観察経過を記しておくと、

5月8日:桂川沿いの大山崎排水ポンプ場にコシアカツバメの巣を発見。見える範囲で巣は3つ。周囲を5羽のコシアカツバメが飛んでいる。そして、小泉川にかかる新坂口橋の周囲を14羽のイワツバメが飛び回るのを発見。巣は確認していないが、新坂口橋の下に出入りしているので、橋の下で営巣してそう。さらに奥海印寺橋周辺にもイワツバメが4羽。橋の下に出入りしている。
6月6日、大山崎排水ポンプ場周辺のコシアカツバメは2羽。新坂口橋周辺にはイワツバメが7羽。奥海印寺橋周辺にイワツバメの姿はなし。
7月15日、大山崎排水ポンプ場周辺のコシアカツバメは1羽。ところが、イワツバメの姿は2ヶ所ともなし。

イワツバメの繁殖期は6月で終わって、コシアカツバメの繁殖期はまだ続いている。と考えると説明はできる。

【追記】
さらに観察経過を追加。
8月6日、大山崎排水ポンプ場周辺のコシアカツバメは6羽。巣立ちビナが電線に並んでいる。イワツバメの姿はなし。
9月8日、大山崎排水ポンプ場周辺をコシアカツバメ2羽が飛び回る。イワツバメの姿はなし。
もしかしたら、繁殖期の問題ではなく(それもあるかもだけど)、巣立ちビナを営巣地周辺で世話するか、連れて移動するかの違いかもしれない。
●2020年7月14日 瀬戸内海の島のヌートリア

今日、広島県からヌートリア情報を頂いた。うんうん、広島県も広い範囲にヌートリアがいるようだね。と、思いながら観察地点の住所を見て驚いた。江田島市。それって江田島やん!
瀬戸内海の島でヌートリアがいると言えば、香川県。金子・川口(2009)によれば(香川生物(36):9-18)、本島・手島・小手島(香川県丸亀市),小豆島・豊島(香川県小豆郡)で記録があるらしい。
でも、広島県の島の記録は、『広島県の哺乳類』(中国新聞社)には載ってない(出版が2000年とほんわか古いけど)。もしかして、広島県の外来生物問題を考える上で、重要な情報?
そして、瀬戸内海の海をわたって島々に分布してるってことは、遠からず四国に到達する可能性が高いってこと。九州にいつかは到達してしまうかも。四国のみなさん、河川を大きなネズミが泳いでないか、気をつけましょう〜。
●2020年7月12日 異端の南米ネズミ

それはヌートリア。南米の大きめネズミって言えば、カピバラ、マーラ、アグーチなどなど。顔つきは、みんなヌートリアと似たような感じで、わりと水辺にいるイメージもあるけど。他のみなさんは、みんな尻尾が短い。あんな長くてウロコな感じの尻尾を持ってるのは、ヌートリアだけ。そして、他のみんなは脚が長い。あんな地面に腹がついてるかのようなのはヌートリアだけ。テンジクネズミことモルモットだって、尻尾は短い。脚の長さはいいとして。
まあ、南米のネズミの中でも、日本の動物園によくいるのだけの話をしてるけど。なんとなくヌートリアやマーラなどを処理していてふと思ったこと。
●2020年7月10日 メジロ姉さんのお話を聞く

バードリサーチはここんところ、毎週金曜日に、鳥の研究者が鳥の講演をするって企画をやっていて、楽しい。今日は、メジロ姉さんのメジロの話。何度か聞いてる話なんだけど、何度聞いても面白い。
メジロ姐さんの研究でイチオシは、南大東島でもメジロの繁殖の話。日本でメジロの繁殖生態をここまで調べた例は他にない。とにかく、年齢が判ってる個体で、繁殖行動の変遷が追えていて、素晴らしいし、いろんな解析ができて楽しい。っていうのに加えて、巣場所と繁殖成功の関係の話は、個人的に我がキジバトの繁殖の話に通じるので、気になる。
そもそも、長い繁殖期に同じペアで複数回の繁殖を繰り返す点で、メジロとキジバトは良く似てる。メジロは小さなキジバト。というか、自分がキジバトでやりたくてできなかったデータを持ってるのが羨ましい。唯一のメジロ姐さんの弱点(個人的見解だけど)は、巣場所を選ぶプロセスが見れてないところ。メジロでは造巣をオスだけが行うせいだろうか? 巣場所が決まるプロセスが気になるところ。そのプロセスのデータを、キジバトではある程度持ってる気がする。自分のデータをチェックしてまとめろって話だけど。
南大東島以降のメジロ姐さんの研究では、一腹卵数と卵サイズの比較が気になる。博物館の卵を測りまくる研究を期待しよう。
ちなみに今日のメジロ姐さんの話で一番驚いたのは、ダイトウメジロの寿命は6年くらい、ってところ。これは繁殖に参加した個体だけの話だとしても、4年ほどでほぼ入れかわるキジバトより長い。
●2020年7月8日 迫り来るリモート講演会の波

人が密室に集まるのは避けねばならないご時世。観察会や実習はやりにくいけど、講演会はリモートで充分出来る。ということで、多くの人が、YouTubeだZoomだ、とリモートな講演会をするようになっている。他人事でいようと思ってたのに、いよいよ我が身もその波に洗われそうになってきた。困った困った。
どうやら大人の事情もあってか、うちでは演者と進行役がZoomにログインして、パワポなどを共有して講演。それをYouTubeライブで一般向けに配信。というのをするらしい。と、他人事ではなく、やらないといけないらしい。
これで困るのは、聴衆のリアクションが判らないこと。笑いをとるのが大阪では常識なのだけど、笑ってくれてるかが判らない。やりにくい。反応見ながら笑いをとりにいったりできない中、すべりまくる寒い展開のリスクが高い。
あと聴衆の質問は、YouTubeのチャットに書いてもらうらしいのだけど、しゃべりながらでは見れない。マシンをもう一つ置いておけば見れるけど。
もう一つ面倒なのは、こっそり録画されていなければ、喋ってしまえば勝ちなのが、繰り返し見れるようになってしまうこと。事実上録画されると思ってしゃべる必要がある。つまりいい加減なことがいいにくい。いや、もちろん日頃もいい加減なことは言ってないけど、ここだけの話とか、大胆に推測すると、とかもしにくくなる。誤解を恐れながら講演しないといけないのは面倒。
関連してネット配信の場合、著作権処理が対面と少し違う。教育機関である博物館職員は、対面での講演では図表の仕様が割と自由だった(教育目的なので、引用元を明記すれば基本OK)。しかし、リモートだと、公衆送信ってやつに当たるので、そうした扱いにならないはず。とりあえず今年は特例らしいけど、録画が残ると話が違ってくるかも。ってことは、著作権が問題にならないようなのしか使えない。面倒。ってゆうか、過去に作ったパワポをそのまま使えない。
てなことを考えると、意地でもリモート講演会は引き受けない!と言い張ってるKKさんの気持ちも解る。
●2020年7月7日 岬町でお仕事 最終日

昨日に引き続き、標本の引取作業の2日目にして最終日(自分たちで作業するのは)。今日はあっさり終わるかと思ったら、冷凍庫からいろいろ出てきたりして、意外と手間取る。なにはともあれ、今日で作業の前半は終了。残るは、超大物1体と大物2体が入ったでっかい重い箱が7つほど。これは素人では無理なので、業者さんにお願いする。
ともかく、この2日間でハナジカとか、ロバとか、ビーバーとか、所蔵してなかった標本を入手できて嬉しい。まあ、えんえんと整理作業が待ってるわけだけど。
結局、昨日も今日も、ずーっと雨が降って、風が強くて、まるで台風でも来てるような天気だった。外での作業は、比較的小ぶりなタイミングで助かった。もう少し天気がよければ、ウロウロしたのに。と少し残念。どんどんメンバーが減っている中だけど、残ってる子たちもいて、最後に見れるかとおもったのに。
●2020年7月6日 岬町でお仕事 初日

大雨で、風も強かったりして、南海電車がとまったらどうやって帰ればいいの? っていう中、標本の引き取り作業。初日の今日は、ゾウがいたっぽい場所にて。
午前は、液浸標本のセレクト。回虫、条虫、鈎虫、フィラリア、ダニ、ハジラミなど寄生虫がいっぱい。カンガルーやクマやトラの胎児。楽しいのは、キリンの結石とか毛玉。拳大の石とゴルフボール大の球って感じ。
午後は、液浸標本を梱包して、卵の確保。それから、ホネの整理と梱包。プチプチで包んで、テンバコに詰めていく。なぜか放置されてるタンクも勝手に活用。この場所には、ウマ科2体、ウシ科1体、ネコ科1体、クマ科1体、クジラ類3体の頭骨と椎骨、四肢が錯綜してた。仕分けたらとてもすっきり。どうやらハナゴンドウのホネを入手できたらしい。レイヨウの顎関節がとても変だった。
最後に本剥製のセレクト。全部引き取れたらいいのだけど、あまりに汚くて修復無理そうなのは、場所をとるだけなので泣く泣く断念。引き取ることにしたのは、子どものホッキョクグマ、トラの子ども、オオハム本剥製ていど。
ここを一人で担当していたのは、取捨選択という判断が必要だから。他の場所にはホネばかりがあって、基本すべて引き取る。自分とこの作業が一段落してから見に行ったら、他の2人も盛り上がっていた。現場スタッフの方に、種名とかを確認したり、個体名を聞き取ったりしながらの作業だったらしい。
今日でかなり進んだ。とりあえずこっちで梱包したのを中心に、車に積めるだけ積んで帰る。続きは明日。
●2020年7月5日 タウナギとわたし

昨日、公園で顔見知りの友の会会員の方と出会う。コブハクチョウのことを訊ねられて、外来生物展に展示してる本剥製が…。と言うと、外来生物展は見に行ったけど、コブハクチョウの本剥製はなかったとのこと。いつ来たかを確認すると、オープン3日目に来て下さったそう。すぐにまた閉館するかもしれないから、と急いで来て下さったらしい。ゴメンナサイ。コブハクチョウはオープン5日目の週末から出したのです…。とにかく平謝り。
そういえば、来週くらいに、新たな生品展示として、チャネルキャットフィッシュが加わるはず。今まで来て下さった方は、見れない訳で、ゴメンナサイ。特別展というのは、オープンしてからもどんどん修正・追加が加わって、多くの場合、終了間近が一番完成度が高いのです。
今年の場合は、会期末としている8月30日まで開いてる保証はないけど。新型コロナウイルスの感染拡大が再び立ち上がってきたので、この界隈では、お盆には閉まってるだろう、という見方が大半。問題はいつ閉まった、いつ再再オープンするか。閉まるのは、7月の連休前説と7月末説がありそう。再再オープンの時期は、誰にも判らない〜。
開くか閉まるかは判らなくても、水槽の動物へのエサやりは必要。今日も昼頃、エサをやった。いま一番可愛いのはタウナギで。一緒に入ってるタイリクバラタナゴにエサをやると、エサの時間と気付いて、上がってくる。タウナギのエサのキューブを水面に付けると寄ってきて、くわえて引っ込んでいく。手からエサを食べると可愛いなぁ。
●2020年7月3日 コロナの元での各地の博物館の開館状況

各地の博物館関係者が集うZOOMミーティングに参加。

換気の話。虫とかが入ってきたり、結露がひどかったり、いろいろ悩ましい。真面目な館では、空調だけでどの程度、空気が入れかわっているかを評価して、判断してたりもする。どうやら自然史系より文系の方が、換気には敏感っぽい。ちなみに、窓やドアを開けて、虫がどの程度入るのかをモニタリングしている館はけっこう多め。
梅雨時になって結露が問題になってるけど、これから暑くなると換気をとるか、室温をとるか、という話にもなりそう。

ハンズオン展示や図書コーナーを、どのタイミングでどういう風に解禁していくか(いずこも一旦は撤去したり封鎖してりしてた様子)も、各地でいろいろ悩んで考えて、対応していってる様子。
6月から、解禁の動きがドンドン進んできたのだけど、ここ数日の東京周辺の展開から、とまどいが出始めているって感じか。
●2020年7月2日 レッドリストの改訂の生き証人
某市は(意外に)まじめで、ほぼ10年ごとにレッドリストを改訂する気らしい。そんな会議に出席した。最初につくったのが20年ほど前で、これが2回目の改訂。見渡すと、初回からずっと関与しているのは、他に1人だけかもしれない。昔のやり方は、今思えば変だったりする。役所側も入れ替わってて、委託されてる業者も変わってる。前はこんなやり方してた、って文化を継承するのも役割かも。でも、10年も前のことは、けっこう忘れてて、あまり役に立たない。
全体で方針を決めた後は、植物、昆虫、その他動物に分かれて、個別のリストの検討。年の功というか、経験者は語るというか、その他動物部分の座長を押しつけられる。他の分科会は、それぞれ膨大なリストとはいえ、検討するリストはほぼ1つ。その他動物だけ、分類群ごとに、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、魚類、貝類、甲殻類、海岸生物などといっぱい分かれてて、それぞれの専門家がいて。個々の専門家の意見を拝聴しつつ、全体のバランスをとるといった雰囲気。だからに違いない。植物と昆虫は一通り終わったのに、うちだけ終わらず居残り。まあ植物と昆虫はそもそもリストが多すぎて一つずつみんなで検討してたら終わらないので、持ち帰ったようだけど。こちとらは、一つずつチェックできてしまうんだな。そして、座長さんはどの分野も、一通り大筋で判るので、つっこめたりするので、つっこんでしまって時間がかかるんだな。
また10年後も改訂があるのかな? 幸い今回の委員の年齢は全体的に若いので、次回はほぼ同じメンバーで改訂できそう。きっとスムーズだろうし、生き証人の証言はあまりいらないだろう。そんな会議に出席。居残り。
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