日記風覚え書き

2021年4月5月、6月
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●2021年6月30日 2021年6月のまとめ 臨時閉館は終わったけどアカマンボウ

6月20日で緊急事態宣言が解除されて、2ヶ月ほどで臨時閉館も終了。が、引き続き大阪府にはマンボウとやらになって、今までの基準をまたまた変更して赤信号も継続。短くまとめるとアカマンボウ。赤信号だと行事は中止で、館内でのサークル活動も停止なので、展示はあいたものの、行事もサークル活動もできない状態は継続したまま。
そんな2021年6月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。カラスの巣チェックはフェイドアウト気味。
奈良県1コースと京都府2コースのハッカチョウセンサスも実施。もはや他府県に出かけるのに遠慮の気持ちもなくなってきたかも。京都府の2コースは1日で一気に実施した。
大阪府のため池で繁殖する鳥の調査は完全に断念。来年と再来年は他の調査を予定してるから、もう2025年に延期かなぁ。

ホネホネ団の活動は緊急事態宣言のため、すべて中止。冷凍室がほんとにやばい。大物のヒツジだけ処理した。

担当の普及行事は、すべて中止。
大阪鳥類研究グループの活動も中止。

大阪アンダーグラウンド展は、ちょうど最終日までが臨時閉館。主担当があまりに悔しがるので、会期を1週間延長して、初日と合わせて8日間だけオープンした。そして月末にはおおむね片付けも完了。

講演は、館内のゼミで大阪のツバメの集団ねぐらの話をした程度。
委員会関係はなかった。
査読は1本。論文というか報告をまとめるために、10年近く前に実施した瀬戸内海沿岸の水鳥調査のデータを整理、続いて播磨灘岸のデータを半分整理。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系5冊と、SF3冊。
完全休養日は1日。
●2021年6月29日 データペーパーのページ数の上限は?

大阪湾岸と播磨灘岸と残る瀬戸内海沿岸の水鳥調査のデータを、ようやく整理しはじめた。データペーパーとして発表したいのだけど、データ量が見え始めてきて、すごいヴォリュームになりそうなのに気付いた。で、昨日からどうするか悩み中。
瀬戸内海沿岸の調査地点数は、香川県94地点、愛媛県144地点、岡山県102地点、広島県155地点、山口県175地点で、合計670地点。1地点1レコードで1行としても670行。1ページ80行としたら、8ページ半程度。現実的。1ページ50行なら13ページ半。大丈夫。
でも、播磨灘岸の調査地点は、明石市〜赤穂市68地点、淡路島34地点、四国側41地点の合計143ヶ所。なんだけど、約2年25回調査してるので、1地点1レコードでも3575レコード。1ページ80行としても44ページ半。そろそろ怪しくなってきた。1ページ50行だと71ページ半。かなりの大作。
そして大阪湾岸の調査。調査地点は毎月実施したのは40ヶ所だけ。でも約3年37回分ある。1地点1レコードでも1480レコード。1ページ80行なら18ページ半、50行なら30ページほど。
合計すると、1ページ80行でも71ページ。立派な特展解説書並のが出来上がる。1ページ50行なら115ページ。研究報告でも分厚い方。そんな自然誌研究ないよなぁ。そして、1レコードを1行に収めるのは大変そうなんだけど…。
●2021年6月28日 大和川沿いのハッカチョウ

今日は大和川沿いを自転車で走って水鳥調査。鳥は少なく調査は順調。もうすぐ河口のゴール。と思ったところで、気になる声。ハッカチョウだ!慌てて声の主を探したら、大和川沿いの車道の電柱の上で鳴いていた。今まで大和川沿いで記録されたハッカチョウの中では、一番河口よりだなぁ。
ん? そう言えば、以前、大和郡山市のハッカチョウの分布が、年々南下してると書いたけど、大和川沿いのハッカチョウの記録地点は、年々西に向かってる。というか河口に近付いてるように思う。確認してみよう。
手元にあるハッカチョウ情報で、一番古い大和川の情報は、2015年の国豊橋-石川合流間。その次は、少し間があいて、2018年の瓜破大橋-近鉄南大阪線間。かなり下ってきた。お次は、2019年で阪堺線の西側。2020年は足踏みしていて遠里小野橋辺りの堺側でやたら記録された。そして2021年は、湾岸線の下流側。少なくとも西端の記録はどんどん下流に向かってきたような。まあ見逃しもあるだろうけど。
こういう一定方向に年々繁殖地が移動するようなパターンってどうして生まれるのかなぁ。
●2021年6月27日 島根県のヌートリア

島根県からヌートリア情報を頂いた。島根県にも生息してるって話は知っていたけど、具体的には情報を知らなかったので、嬉しい。のだけど、いただいた動画は小さくて、ネズミっぽいのが川を泳いでいるとしか判らず。ヌートリアと断言する自信がないと返事をしたら、再度撮影に挑戦してくださり、今度は顔がバッチリ判る画像を送ってきてくださった。ありがとうございます。なんでも日没時になると、たいてい見られるそうな。
やはり島根県でも生息してるんだな。とつぶやいたら、おかんから3年前に島根県の情報を提供したぞ、とクレームが。今回と同じく浜田市だった。浜田市には以前からヌートリアが多いんだろうか。
と思ってネットを検索したら、島根県のヌートリアの生息状況を、詳しく調査した論文があった。

金森弘樹(2016)島根県におけるヌートリアの生息分布域の拡大と被害の実態.島根中山間セ研報12:21-28.
https://www.pref.shimane.lg.jp/admin/region/kikan/chusankan/syoseki/research/No12_kenkyuhoukoku.data/kenkyuhoukoku-no12-4.pdf?site=sp

なんでも1993年には、鳥取県西部から侵入してたらしい。鳥取県の由来は、兵庫県経由だろうか。侵入時期は、大阪府より7年ほど早いことになる。
それが、2010年には島根県の西端にまで到達していたという。17年で全域を制覇したことになる。小さい平野が点々と分布する島根県。おもに海を泳いで分布を拡大したんじゃないかと想像する。17年ほどかかって、ようやく大和川水系に侵入した大阪府のヌートリアは、21年かかって南端には到達していない。そもそも当初は、淀川水系でのみ拡がっていた。大阪府のヌートリアはあまり海を移動してこなかった感じがする。この違いはなんだろう。
●2021年6月26日 アオスジアゲハの幼虫を助けたい

庭の植木にアオスジアゲハが産卵して、幼虫が育つんだけど、もうすぐチョウになるかな、という頃になると、姿が消える。ネットで調べるとアシナガバチが天敵らしい。アシナガバチを駆除するかで悩んでる。どうしたらいいでしょう?
といった質問をいただいた。なぜ私にその質問を?とも思ったけど、せっかく訊ねて頂いたので答えてみた。こんな回答。なんか逃してる論点があるかな? 以下、回答。

確実にチョウが羽化するのを見たければ、採集してケース内で飼育するしかないと思います。それでも寄生蜂が羽化してきて、残念だったりしますけど。

自然状態では、大抵の昆虫の幼虫の大部分は死ぬ運命です。死ぬのを想定して、たくさんの卵を産むというのが、多くの昆虫たちのやり方です。
死ぬはずの昆虫が死ななければ、困ったことにもなりかねません。例えば、アオスジアゲハの幼虫はクスノキなどの葉っぱを食べますが、もし幼虫がみんな育ったら、その分、クスノキの葉っぱが多く食べられます。これが極端になれば、クスノキが枯れる展開もあるかも。という訳で、アオスジアゲハの幼虫は、適度に食われて、少数だけが成虫になるというのが、望ましいんだろうな、と思います。

アシナガバチは、アオスジアゲハの幼虫だけでなく、さまざまな昆虫を狩ります。そのおかげで様々な昆虫が増え過ぎずに済んでいるとも言えます。
もし家の周りのアシナガバチを全部駆除してしまったら、アオスジアゲハだけでなく、さまざまな蛾などの虫も増えると思います。花壇や家庭菜園の害も増えるでしょう。

自然の中で、生き物はさまざまなつながりを持って暮らしています。一つの目的でなにかしたら、思いも掛けない不都合が起きる可能性があります。よほどの不都合が無い限りは、そっとしておくのがベターですし、もし何かするならとても慎重であるべきと考えています。

なお、アオスジアゲハの幼虫の敵は、アシナガバチだけではないので、アシナガバチだけ退治しても、アオスジアゲハが無事に育つのかは、よく判りません。

という訳で、少なくとも生態学を学んでいる研究者の多くは、特定の生き物だけを可愛がるのではなく、自然の様子を丸ごと楽しむ。って感じでしょうか。
答えになっていますか?
●2021年6月25日 読書サークル 第114回会合覚え書き

隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。新型コロナウイルスが感染拡大は一旦収まってはきたものの(関東では再び新樹陽性者が増え始めたけど)、まだアカマンボウで対面での会合が出来ないので、昨年12月から4回連続のリモート開催。次回もリモートになりそうな気がする。今日の会合で出た本についての意見を記録。

今回の課題本は7冊。5冊繰り越されてきて、5冊繰り越したので、7冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。

●「わたしたちのカメムシずかん」
(紹介文3つ、平均★数は3.3)
 岩手県の小さな町で、校長先生の発案で、子ども達が見つけたカメムシの名前を調べて、廊下に貼りだし始めると、まだ見つかっていない種類を探して盛り上がって、カメムシや虫が嫌いじゃなくなった。という実話らしい。専門家として登場する片方は、伊丹市の某学芸員らしい。自然史博物館的にいい話ということで意見は一致。

●「「池の水」抜くのは誰のため?」
(紹介文4つ、平均★数は3.0)
 良いことしてるつもりで、生き物を放したり、エサをあげたり、外来種退治したり。でも、それは良いこととは限らない(むしろ悪影響が大きい)。また生き物が好きなあまりに暴走する人たち。そういう事例がいっぱい。普及すべき大切なことがらだけど、すでに知ってる人は読んでも楽しくはない。果たして読むべき人は、この本を手に取るのだろうか?という疑問が出ていた。

●「わかめ」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
 わかめの増殖システムを、おもに解説している。絵本部分は、最初と最後にネコと女の子が出てくるのがよく分からないという声が、途中に出てくるウミネコのデフォルメが気持ち悪いという声も。絵本部分以上に、表紙見返しをフル活用した解説が充実。

●「魚の自然誌」
(紹介文3つ、平均★数は3.7)
 分厚いが充実した中身で、とても面白いという意見多数。魚や水中世界についての見方すら変わる。ただ分厚い。ニシンがおならでコミュニケーションする、という部分で妙に盛り上がった。

●「最新科学が映し出す火山」
(紹介文4つ、平均★数は3.5)
 中身は判りやすく、火山国で暮らしている日本人は、是非読むべきという声多数。ただタイトルがイマイチという声も。

●「海洋プラスチックごみ問題の真実」
(紹介文3つ、平均★数は3.7)
 海洋プラスチックごみの本は今までもいくつか読んできたが、問題の指摘だけでなく、研究プロセスを丁寧に説明している点で、他に類書がない。教科書的でないのがいい、自分で考えることにつながるという指摘も。

●「地下世界をめぐる冒険」
(紹介文3つ、平均★数は3.3)
 とにかく地下世界がいっぱい出てくる。とてもはまる人がいる一方で、はまらない人もいた。そもそも自然史関連の本かというと微妙らしい。村上春樹の作品との関連性はあるんだろうか?という人も。
●2021年6月24日 播磨灘岸周回2日目 今日は3周

リモートならぬ、フィールドノートで播磨灘岸一周(小豆島は除く)も2日目。グーグルマップももう開かないけど、記憶の中の風景が次々蘇る感じ。
1回目は、地図を確認して、調査地を整理して、いろいろ手間取った。今日も1周目は、一を再度確認したり、追加項目入力したり。そうそうハッカチョウ情報も引っ張り出しておこう。などと、いろいろやっていて時間がかかったけど。今日の2周目以降は、8年前にフィールドウロウロしている自分も、今フィールドノート見ながら巡ってる自分も、だいたい様子が分かってきて、作業がスムーズになってきた。
フィールドでは5日かけて一周したのだけど、フィールドノートでは3時間弱でできる感じ(フィールドの1日を30分+休憩時間)。ただ集中を切らすと失敗しそうなので、1日3周が限度かも。
初日に1周、今日3周したので、残るは21周。先は遠い。

【追記1】
25日に1周、26日に3周。調査地の整理が終わって、慣れてきたのもあって、スピードはあがってきた。フィールド1日を20分程度でチェックできるようになったので、休憩をはさんでも、1周に2時間ほど。ただ1日3周すると、集中力が切れてくる。

【追記2】
29日にはなんと4周、そして30日は軽く1周。これで全部で13周。ようやく半分ほど終わった。

【追記3】
7月2日に2周して、7月3日に2周して、7月4日に3周して、残り5周。

【追記4】
7月7日に2周、7月8日に1周して、残りはいよいよ2周。ただ残り2周は一からの入力なので、周回スピードは激減する。あと1日で終わるかなぁ。

【追記5】
7月9日に1周した。鳥は少ない季節なのに、かなり時間がかかった。そして、ついに7月11日最後の1周。
●2021年6月23日 トビの液浸標本探索、のついでに整理

トビのDNAサンプルの提供依頼があったので、今日の午前中は、液浸収蔵庫を探索。
当初は、剥製の羽根を提供してもらえないかという話だったのだけど、仮剥製つくる際に、胴体などの中身はアルコール漬けで保存してる。そこから切り出した肉片でもいいというので、そちらを提供することに。多少とは言え、剥製から羽根を抜くのは標本にダメージを与える一方で、液浸はまさにそういう利用も想定してのものだし。どんなサンプルが必要かは、研究にもよるんだけど、70%エタノール漬けで、常温保存のでも大丈夫という話だったので、そこから提供。これがダメなら、もう一つ奥の手はあるんだけど、中身の液浸が一番見つけやすい。
ただ、見つけやすいといっても、それなりに苦労して、約2時間半かかった。そして見つかったトビの中身は12点。この10数年間、なにわホネホネ団を中心に、いっぱい鳥の標本を作ってきた気がするのに、トビはけっこう処理した気がするのに、思ったより少ない。
そして先方には大阪府産ばっかりでいいですか?と言ったのに、一番多いのは滋賀県産。あとは兵庫県、奈良県、和歌山県、山口県、徳島県。大阪の博物館なのに、大阪府産はない…。

トビの中身の探索のついでに、気になっていた中身達の整理に手を付けた。一時期、容器の上に標本番号と種名を書いてない時期があって、このついでに書き込んだ。そのためには中に入ってるラベルを読まないといけないので、傾けたら、フタが弛んでるのがあって、鳥を浸けたアルコールがズボンにかかった。紹興酒みたいな匂いが臭い。それにしてもフタが弛んだまま、20年近く経ってるのに、アルコールが抜けていないのには驚いた。
トビの中身は一番大きな2サイズに入ってるので、大きな2サイズの整理ができた。分類群ごとにまとめてみたら、カモメ類と動物園物が棚から溢れて通路に並んでしまった。今度、さらに整理して棚に押し込もう。
アオサギとハシブトガラス、そしてカワウが多い。あとはカモ類とカモメ類(セグロカモメとオオセグロカモメ)。あとはキジとヤマドリ、オオタカ、オオハムなど。今ならキジやヤマドリ、オオタカの資料提供は簡単。
フクロウなんかは、もう1つ小さなサイズの容器にも入ってる可能性があるので、さらに探索が必要。今度、もう少し小さな鳥の資料提供依頼があったら、小さめサイズの容器も整理してみよう。
●2021年6月22日 鳥にとってのガマ原とヨシ原

大阪のツバメの集団ねぐらの話をしている中で、ヨシ原がガマ原にかわって、ツバメの集団ねぐらができなくなった。ガマ原は鳥視点でいえばダメな場所だ。と宣言してみた。でも、根拠なくガマ原を否定したとあっては、誹謗中傷の誹りを免れない。でも、ちょっと考えれば、実証データを持ってるんじゃないかと思い始めた。
毎月60ヶ所以上のため池をめぐって、水鳥の数を数えている。繁殖してたら、それも記録している。少なくともバンやカイツブリの営巣にとって、ガマ原とヨシ原のどっちがプラスかは、比較できるかも。以前は、ガマ原もヨシ原も高茎の抽水植物群落としてまとめて記録してたけど、ここ数年は分けて記録してるし。
ヨシ原からガマ原へのシフトを度外視すれば(逆のプロセスは見たことない気がするけど、それはそれでなんでだろう?)、過去数年に繁殖を確認した池をピックアップして、一定面積以上のガマ原やヨシ原の有無と比べてみれば良い。そんなに面倒ではないはず。
ここまで考えてきて、昨日のため池調査を思い出した。バンのペアが8羽のヒナを連れていて可愛かった池は、ガマとヒシの池だった。うーん、徒労に終わるだろうか?
●2021年6月21日 カワウが去った池の島

堺市大津池。真ん中の島には、1990年代からサギ類の繁殖地ができていた。1990年代半ばには木々が生い茂っていたのが、徐々に枯れてきたなぁ。と思っていたら、2000年代に入ってカワウが繁殖を始め、一気に樹が枯れるスピードが上がった。樹は枯れても枯れ木が残っていれば、カワウはその上で営巣していたのだけど、枯れ木もじょじょに倒れていき、数年前から地面で営巣するカワウも目立っていた。
それが昨年くらいから、池の西側の木々でのカワウの営巣が増えていた。地面で営巣するよりは、木の上で営巣したいらしい。真ん中の島でも営巣するカワウは残っていたけど、一昨年より昨年、昨年より今年と減少傾向。今年は、真ん中の島はほんとに人気がなくて、今日、まだ6月なのに真ん中の島で営巣するカワウはいなくなっていた。早めに繁殖期が終わったらしい。西の木々ではピークは過ぎたとはいえ、まだヒナがたくさんいるのに。
木々が枯れた時点で、カワウの営巣が終わる8月〜9月になると、真ん中の島は、草ボウボウになっていた。カワウの活動で押さえられていた草が、カワウがいなくなって生えて来た感じ。何にもわたってサギ類やカワウが糞という名の肥料を供給してきたことも関係あるだろう。
今年は、まだ6月なのに、真ん中の島は草ボウボウ。夢の跡的な感じが漂う。草がボウボウ生えると、一層カワウは営巣するのを敬遠するんじゃなかろうか? そして、サギ類も。大津池の集団繁殖地も終わりが近付いてる気がする。それとも、真ん中の島に樹木が再び復活する展開はあるんだろうか?
●2021年6月20日 3番目の査読者

査読付きの論文を掲載する雑誌では、関連分野の研究者に査読を依頼する。たいてい2人。その2人の査読者の意見が割れた場合、編集者がどうするかを決める場合もあるが、判断に迷ったら3人目の査読者に見てもらうというパターンもある。
今回、3人目の査読者に指名された。査読は何度もしてるけど、3人目は初めて。ぜんぜん縁のない雑誌だけど、編集担当は知り合い。都市の自然つながりで指名を受けたらしい。英文雑誌の英語の論文だけど、編集者も著者も日本人なので、コメントは日本語でいいという。それは楽ちん。
3人目の査読者は、前の2人のコメントが見られて面白い。今回は、それを受けてメジャー改訂された論文を査読することになった。改訂の際の著者のコメントも見られて面白い。

最初の査読で、片方の査読者は、データの取り方を問題視していた。その問題は、自分の研究でも関係のあるポイント。ようはデータにバイアスがあるんじゃないかという指摘。バイアスがあるという指摘自体はもっとも。でも、そのバイアスを本当になくすことができるかは疑問。
もしバイアスのあるデータに決定的な問題があるとなったら、リジェクトという判断になる。でも、フィールドデータには、常になにかしらバイアスがつきもの。だとしたら、バイアスは大きな問題ではないと仮定して、論文と掲載するのは充分ありうる対応。バイアスの影響の議論は、出版後でも構わないだろう。
思わず、科学論についての議論を思い出してしまった。リジェクトするということは、そのデータの公表を否定するということ、問題含みであっても何かしら科学に貢献するのなら、極論するならその分野の議論が進む可能性があるのなら、掲載したらいいんじゃないかって話。
現実的に言えば、この雑誌でリジェクトしても、著者は論文を諦めることはないだろうから、結局どこかに雑誌に載るだろう。そして、どこかには載って欲しい。どうせ載るならこの雑誌でもかまわないんじゃない? この雑誌がどのくらい権威のある雑誌かしらんけど。と思わなかったと言えばウソになる。雑誌のことをよく知らない奴に査読をさせるリスクがここにあるかも。
●2021年6月19日 播磨灘岸をグルグル回りはじめる

2013年9月から2015年9月にかけて、毎月1回、播磨灘の海岸沿いを25回に渡って調査した。今日からそのデータの整理。グルグルと播磨灘を25回まわることになる。
すでに入力してあるデータをチェックするだけ。なのだけど、今日は、調査地情報を整理し確認し、思い出しながらデータチェックを進めたこともあって、1周するだけで1日かかった…。次からはもう少し早く回れるはず。

海岸の鳥の調査のはずだけど、明石市から赤穂市は自転車で3日に分けて調査した。自転車でめぐってる都合があって、川沿いにけっこう内陸まで入っては海岸に戻るを繰り返し、ついでに内陸寄りでもデータをとっていた。そのデータをどう処理するかが悩ましく、あとで判断できるように細かく入力するから、いっそうデータチェックが大変。
当然、入力も大変だったろうなぁ。お願いして入力してもらったけど、きちんと入力してくれているので、作業の面倒さがかなり軽減されているのは確か。今頃になってなんだけど、感謝しかない。
ちなみにデータチェックが終わっても、まとめるにはデータの扱いがいろいろややこしい。海岸をどこまでにするかの判断。あと1回目は調査してない地点がいくつかあるのが悩ましい。

網羅的にエリアの港、河口、海岸をチェックして回ったという意味で、播磨灘岸の調査は、瀬戸内海中部以西の海岸調査とよく似てる。毎月2年間調査したのを別にして。
そういう意味では、毎月3年間調査した大阪湾には似てる。が、大阪湾岸は淡路島以外は電車(+バス)で行って、歩いてめぐったので、さほど内陸には入ってない点で違う。さらに大阪湾は、淡路島以外はすべての港・河口・海岸ではなく、調査地点をセレクトした点も違う。
●2021年6月17日 アングラ収蔵庫トーク潜入記

今日は、アングラ収蔵庫トークというのが収録されるというので、密かに見学に潜入した。地下の標本がいっぱいの部屋で、学芸員が収蔵品をネタに15分くらい話をするって企画らしい。噂には聞いていたが、今までは見に行ってなかった。でも、万が一関わることになってしまった時のために偵察しておこうというわけ。なんと今回で7回目なんだそう。
幸い、階段の一番上に座れば目立たない。と思ったら、同じことを考える者は他にもいると見えて、2人で並んで座ることに。偶然にも同じTシャツを着ていて、かえって目立ってしまう。そういえば、昨日も会議に出てたら、草地屋とTシャツがかぶっていた。オリジナルTシャツを順繰りに着てるから、しばしばかぶる。決してペアルックではない。
トークは、魚の液浸標本がネタになっていた。登録No.1の標本は、1950年代に行われたトカラ列島の調査で捕られたもので…。採集者は有名な魚類研究者で。古いガラス瓶に入っていたのが、いまは容器を変えてあって、でも当時のラベルを残すとかなんとか。登録されたのは、後年の学芸員によってらしいとか。云々かんぬん。
鳥や哺乳類の登録No.1はなんだったっけ? でも、トカラ列島調査と絡めたからネタになってるんだな。だとしたら、宝塚ファミリーランドのホネの話か、鳥の川村コレクションの話ならできるかも。宝塚ファミリーランドは寄贈の経緯とか、なにわホネホネ団の成り立ちとか話せばいいからできるかも。でも、川村コレクションはあまりネタが無い。やはり宝塚昆虫館から来たとか、東京の方に半分有るとか、昔の地名を解読するのが大変だったとかかなぁ。
●2021年6月16日 ムシの日2021

6月4日がムシの日のはずだけど、来週からの開館(するのか?)に合わせて、今日、展示室と収蔵庫の虫の発生など不具合のチェックをした。担当したのは、カビが発生したり、雨漏りがしたりするあの部屋たちと、大阪の自然の展示室。
カビの部屋は、壁をもう一度拭いて乾かした方がよさそう。1つの部屋の東の1面だけなのが救い。幸い今はそんなに貴重なものは置いてない場所でよかった。梅雨に入って雨漏りの部屋がどうなるかドキドキしてるけど。今年は今のところ雨は漏ってない感じ。もしかして屋上の防水工事に成功したのか? 今まで何回も欺されてるから信じないけど。
大阪の自然の展示室では、ひそかに担当展示の不具合があって困る。
・引き出しのカギが壊れてる →これは施工業者が悪いと思う。
・大阪の動物リストが古い。 →両生類と爬虫類は、和名や学名が変わってる。両生類は種が分割されて増えた〜。鳥類は、種を追加した方がいいし、学名も変わった。哺乳類は、種がかなり増えた…。けっこう面倒。
・外来生物年表の追加 →昨年の外来生物展を受けて増やす予定だったのができてない。
・鳥のケースの中に虫が入ってる!

最後のは緊急度が高いので、すぐに対処した。
・カイツブリのケース。ヒメマルカツオブシムシ成虫の死体が落ちていて、カイツブリの下に粉。カイツブリの剥製に虫害発生ってことなので、ケースを開けて掃除して、カイツブリは冷凍室に入院。
・タマシギ・ヒクイナのケースにゴミ。と思ったら、羽アリの死骸だった。ケースを開けて掃除。
・オオタカのケースにカの死骸。ケースを開けて掃除。ついでに曇っていた目をアルコールで拭いて、ぱっちりに。
・アオバズクの目が死んでいる。ケースを開けて、アルコールで拭いたら、生きた目になった。
・ついでにフクロウもケースを開けて、目を拭こう。と思ったら、ガラスケースが重くて持ち上がらない。傾けて、手を差し入れてなんとか目を拭いた。

来週の開館までにカイツブリを退院させなくては。
●2021年6月15日 瀬戸内海沿岸リモート旅行最終日

福岡県行橋市から大分市までの瀬戸内海岸を、グーグルマップで旅して、ようやく終了。眼の前に高島があって、その先には四国の佐田岬があるはず。みえへんけど。
自在の旅行だと、この後、家に帰るという行程があるけど、リモートだとすぐに帰れるのが楽なような、残念なような。

曽根干潟に負けないくらい特異な海岸線が続くのが、大分県の中津市から宇佐市の間。ほぼずーっと干潟が連続している。むかしは各地にこんな場所があったのかなぁ。そして、関西人には信じられないくらい多くの種類のシギ・チドリ類が越冬しているし、信じられないくらいたくさんのシギ・チドリ類が越冬している。寄藻川・桂川河口にもたくさんのカモ類がいて、ヒシクイまでいて、驚いた。このエリアはナベヅルが越冬することがあるらしく、それが見られなかったのが心残り。
中津市〜宇佐市に負けないくらい楽しい探鳥地は、別府湾の北側、高山川・八坂川河口に拡がる干潟。これまたカモ類が大量にいて数えるのが大変だった。でも、ミヤコドリがいて嬉しかった。
ゴール近くに小猫川という河川があった。なんてことない小さな河川だけど、なぜか覚えてる。
●2021年6月14日 瀬戸内海沿岸リモート旅行3日目

山口県を制覇して、ついに九州上陸。福岡県の大部分を制覇した。

緯度経度拾うのは、グーグルマップがいいけど。ストリートビューも役に立つけど。河川の名前とか、港の名前はマピオンの方がいっぱい載ってる。ということに気付いて、先の3日間のもマピオンでチェックしなおした。
謎だった河川名が判ってうれしい。集落名で適当につけていた漁港名もけっこう修正できた。

山口県は、最初はカキ養殖が目立たなくなっただけで、広島県とあまり変わらない。それが周防灘に入ると雰囲気が変わる。佐波川、椹野川、厚東川、有帆川、厚狭川、木屋川と大きめ河川が並び、それぞれの河口にけっこう干潟があるし、鳥もいる。とにかく鳥の種類と数が多いので、バードウォッチング楽しそうなのだけど、数えるのは大変。佐波川とか、寒い中で、カモだらけで数えるの大変だったなぁ。
九州の瀬戸内海岸といえば、もう曽根干潟が圧倒的に目立ってる。とにかく干潟は広いし、鳥は多いし、種組成が特異だし。ズグロカモメとツクシガモとダイシャクシギが主力って場所は、瀬戸内海岸でここだけ。どうしてこんな場所が生まれたのか不思議。例によって数えるのは大変だけど(どこからどこまでを数えるか悩ましい。何ヶ所かの観察地点からダブりなく数えないといけないし)、鳥見的にはとても楽しい。
●2021年6月13日 岡山県・広島県の瀬戸内海岸を5年半ぶりに再訪

今日も、5年半前に調査したデータの入力をチェックと位置情報の補足。一日かかって岡山県と広島県が終わった(現実の調査では、4泊5日+1日分位)。一昨日の四国と合わせて、ようやく半分ちょっと。
スタートは岡山県というのは建前で、じつは兵庫県赤穂市の西端から。今日になって、岡山県はなぜかいくら橋の欄干をチェックしても河川名が判らない河川が頻出して困る。
岡山県は、この調査以外にも、友の会合宿やその他の瀬戸内海の干潟調査でもウロウロしたので、意外と土地勘がある。この調査よりも、他の調査でいったときに立ち寄ったスーパーとか、リュウノヒゲモがあった場所とか、夏にユリカモメの群れがいた場所とかが思い出されたり。近頃は、岡山市からハッカチョウ情報やヌートリア情報をちょこちょこ頂いているので、その場所が気になったりする。吉井川、旭川、高梁川という岡山3大河川を復習。
それに引き替え広島県は思い出が少ない。楽しげな干潟がほとんどない。鳥も少ない。広島市のところは、でっかい河川がいっぱいで、面倒だったことがよく思い出される。調査していた時は、あるエリアから、カキの養殖だらけになって、港もカキ養殖中心な感じだったはずなのだけど、鳥のデータとグーグルマップからは、どこのことだったのかあまり判らない。
●2021年6月12日 野外行事のリモート実施のお試し

リモートの時代に入って、講演会系はZoomやYouTubeライブでの配信が当たり前になった。5月からは、室内で実施する子ども向けワークショップという、一種の実習もリモートで実施したりしてみてる。で、残るは野外観察会のリモート実施だけができていない。
うまくいくかどうか判らないけど、一度試してみよう。でも、最初から遠方に出かけてのは大変なので、博物館の裏のビオトープでの観察会をリモートでやってみよう。でもいきなりはアレなので、今日は、そのお試し。

昼からセッティングで夕方に実施。学芸員2人が出演で、配信や機材担当に学芸員2人、カメラ係1人に、雑用1人。さらに万が一のために2〜3人待機という大所帯。それを10m人ほどで見守っている。
カメラの方は割となんとかなってる。メインで作業する出演者2人含みの全体を見せて。スマホのカメラで色々アップ。ヤブジラミの花とかミズキンバイ、クマゼミの抜け殻とかオオシオカラトンボのヤゴをカメラで見せるのは問題なさそう。出演者2人が見るモニターがないので、何が撮されているのかよく判らないのはやりにくいかも。
マイクのセッティングがなかなか上手く行かない。ハウってるとか、音が遠くなったりとか。ブルートゥースのペアリングの問題とか。マイクテストに30分以上かかってる。結局、集音マイクを1つ設置することに。これが一番いいかも。でも、離れたり、下向いてしゃべると拾いにくい。それはスマホのマイクで拾う感じかな。

おっさん2人が田んぼを耕しはじめた。いっぱいヤゴが出てくるから、1分でどっちがたくさん捕まえるか競争をしようかという声が聞こえる。
作業してる2人以外に進行役か聞き役が欲しいかも。参加者の質問を引き出す工夫が要りそう。進行役や聞き役は、リモートでもいいかも。

1時間ほどで終了。うだうだしてるけど、まあそれなりに見れるかも。意外と花とか小さな虫はよく見える。蚊にさされずに、これだけ見れたら、観察会として成立しそう。
あまり動かずに観察できるテーマ、対象なら同じスペックでできそう。電源がいるけど。スマホのカメラが2台あれば、歩く行事でも対応可能な感じがした。
ところで田起こしは終わったのかなぁ?
●2021年6月11日 四国瀬戸内海岸を6年ぶりに再訪

5年半前に調査した香川県さぬき市から愛媛県伊方町の瀬戸内海岸の海鳥調査データを整理中。すでに入力されているデータをチェックして、位置情報を整える。グーグルアースを見ながらの作業なので、リモートで再訪している感じ。いろいろ思い出して、けっこう懐かしい。
四国の瀬戸内海沿岸は、播磨灘部分は、この調査の前に毎月通っての調査を2年間続けたので、この調査ではさぬき市の真ん中辺りからスタート。調査している時は、川や港の名前がしばしば分からないままになっているので、この機会に整える。
川の名前は、調査時におおむね橋の欄干で確認してるんだけど、それでも判らないのがあって、ネットで調べる。とりあえずストリートビューで橋の欄干を見てるんだけど。ときどき橋や川の名前にぼかしが入っていて、グーグルって意味不明、というかAI的には川や橋の名前は個人情報と思うんだろうか? でも、ぼかされていない部分もあるから、手作業で処理されていて、担当者が間抜けなだけかな?などと思う。川や橋の名前はむしろ積極的に残すべき情報だろうと思うけどなぁ。
港の名前は、現地ではたいてい分からず。最寄りの地名をとっている。割とあってたりするんだけど、グーグルマップにははっきり違う名前が付いていたりして、そこを修正。ぽつんとある集落の港は、間違えようがないんだけど。逆に大都市の港もまた割と予想通りなんだけど。中位の町の港が、どのレベルの地名で付けてるのか判らないってのが多い。
香川県内では、ちらほらのハッカチョウを記録していて、そのデータも念のため抜き出しておく。4泊5日の調査なんだけど、調査終わってから、わざわざ城にでかけて、カラスの枝落とし調査をしていたのも懐かしい。
加茂川周辺の愛媛県の大きめ河川の河口には、大量のカモ類がいて、異様に時間がかかっている。二度と加茂川には来るまいと思ったのを思い出す。カモが多いエリアではあまり調査が進まないけど、愛媛県の西に行くほど調査すべき河口や港がまばらになり、鳥もいないので距離が稼げまくってるのも懐かしい。一方で、小さな集落に港っぽいのが地図ではあるのに、アクセスできず調査断念が数カ所。まあこれはやむを得ないか。今思い出しても残念なのは、伊方町の海岸の石はとても緑色をしていて、綺麗。なんだけど、その画像をあまりきちんと撮ってなかった。そして、佐田岬の瀬戸内海側の砂を採集してこなかったのも、いまだに残念。もう二度と行かないだろうなぁ。
●2021年6月10日 巣立ちビナ連れて何処に行く?

ヒナが巣立つと、巣立ちビナを連れてウロウロする鳥は多い。ヒヨドリやスズメのように、ヒナがまだあまり飛べないうちに、巣を離れる鳥も少なくない。車やネコが多く、人がすぐに掠っていく都会ではあまり適応的ではなさそうに思うが、動けない巣に長く留まるのは、それだけ危険ってことだろう。
鳥類学では、巣立ちをもって繁殖成功とすることが多い。が、これは巣での観察が簡単だからっていう便宜的な基準であって、本当のところ、巣立ってからの死亡率も高いので、せめて独り立ちした時点で繁殖成功とすべきじゃないかとも思う。
という訳で、研究者は巣立ち後の様子はあまり観察していない。一部の猛禽類などを除くと、巣立ち後の追跡は大変だから。でも、今日は、巣立ち後の動きこそ知りたいなと思った。
今日は、宇治川沿いのハッカチョウセンサスをした。コースのすぐ脇の建物で、昨年も今年も営巣していることが確認されている。なのに、全然コースでハッカチョウが記録されない。大きな理由は、センサス調査がひと月に一度で、偶然にも巣の周辺での活動が活発なタイミングを逃しているかららしい。今年も、5月下旬に、盛んにエサを運んでいるという情報を頂いていた。が、調査は毎月の上旬。今年こそ確認できるかなと思ったけど、数日前にいなくなったとのことで、案の定ハッカチョウはいない。今回は寄り道して、わざわざ営巣場所の前まで見に行ったのに!
巣立ちビナを連れたハッカチョウは、どこに行ったんだろう? 淀川沿いのハッカチョウは淀川河川敷に移動するらしい。そばに宇治川があるからてっきり宇治川沿いで見られるだろうとコースを設定したのに、ここのハッカチョウは宇治川河川敷にさっぱり出現しない。
誰か巣立ちビナを連れて、どこに行くのか調べてくれないかなぁ。
●2021年6月9日 環境評価の際の指標種の扱い方

とある委員会に出席。熱く語る先輩方がいて、時間を軽くオーバーするので、内職しながら黙って聞いていればいいので楽ちん。ところどころ面白い議論もある。
お役所サイドは、上から言われて河川環境の評価をしなくちゃってなってる。で、種を選んで、その生息に意味のある環境を通じて、環境評価をしようと提案。熱い先輩方は、それは話が逆であると引っ繰り返す。まず、どのような環境を確立すべきかを議論して決めて、その上で達成されたかの評価に指標種を使うべきという指摘。
先輩型がしっかりしてるので、とくに口を挟まなくてもいい感じ。ただ、お役所サイド(というか委託されてる業者さん)は、どんな環境を目標にすべきかを決めるのに、いくつかの種を目安にしたがっていると好意的に見ることもできる。言い返しはしないけど。
そもそも一部の種だけを目安にするのは、ダム建設などでの影響評価ではやむを得ない部分もある。でも、水域全体でどのような環境を創り上げていくかを議論する上では、特定の種だけを相手にしていたら話にならない。
見逃されている種がいる可能性があるし、特定の種では見逃される環境もある。なにより普通種が普通に生息する環境が維持されることが、とても重要。という訳で、先輩方の理屈が正しいのは間違いない。でも、それじゃあ、どのような河川にすべきかって議論を、どのような視点で始めるかって問題が大きく横たわるけど。
●2021年6月8日 海のヌートリア

堺市の旧堺港にヌートリアがいるという情報を初めて教えてもらったのは、この5月29日。立て続けに3名の方から教えて頂いた。よほど目立ってるんだな、と思うと同時に、我が情報網を誇らしくなった。ってゆうか、思いがけない動物を見たので、みんな検索して、我がサイトを見つけてくれたんだろうな。
そのヌートリアは、6月6日現在まだいるとのこと。住みついてるらしい。海で暮らしていることになる。

堺市のヌートリア情報は、数年前から大和川水系には生息しているので、もはやさほど珍しくない。とくにここ数年は、大和川や石川、西除川などから観察情報がけっこう頻繁に届くようになっている。でも、大和川水系より南のヌートリア情報は、まだまだ珍しい。というか、堺7-3 区埋立地にはいるらしいけど、その他で棲みついている場所の情報はなかった。
ヌートリアが海を泳ぐというのも以前から聞いているし、海を泳ぐヌートリアの情報を頂いた事もある。埋立地のヌートリアは当然、海を泳いでいったんだろう。でも、ヌートリアが海で暮らしているというのは、初めて。
海水だと体がベタベタして気持ち悪いとかないのかな? 毛繕いとともに塩分を摂取しすぎて腎臓を悪くする、とかもないのかな? そもそも何を喰ってるんだろう? そして、全国的には珍しくないんだろうか? とまあ、いろいろ気になる。
もう一つ気になるのは、これが、これから大阪府南部に拡がる予兆かもしれないという点。南部に拡がったら、農業被害がいっぱい出るかもしれないので、そういう意味でも要注目。
●2021年6月7日 奈良県のハッカチョウの南下速度

今のところ、奈良県でハッカチョウが記録されているのは、知る限り大和郡山市だけ。で、そこからの分布拡大の状況を把握すべく、一昨年から毎月センサス調査をしている。分布を拡大する予定で調査をはじめたのに、なんとなく拡大というより、移動していってる気がする。今日は、分布の南限記録を更新した。過去を振り返ってみよう。
手元にある情報では、最初の記録は、大和郡山市下三橋町の佐川急便奈良営業所の辺り。これは、2018年と2019年。2019年には大和郡山市美濃庄町の平和小学校辺りでも記録された。2020年には、同じく大和郡山市美濃庄町だけど、平和小学校の南200m辺りで記録。2021年になって、大和郡山市古江町の的場古池公園でも記録され、南限更新!と思ったら、今日はさらに南の大和郡山市白土町で記録されたってわけ。
距離にしてみると、2018年→2019年は約700m、2019年→2020年は約200m、2020年→2021年は約800m。南限記録は、毎年数100mずつ移動してる。それぞれの年の北限記録も南下してるので、これは分布拡大ではなく、分布域の移動。そして、方角はなぜか安定の南向き。
こうした一定方向に毎年営巣地が移動しているように感じるのは、長居公園の南側でもあったし、大和川沿いでも起きてる。なんなんだろう?
●2021年6月6日 オオクビキレガイでググってみると

萌蔵が自己紹介でこういってた。「オオクビキレガイ」でググったら、自分の情報募集サイトが、2番目に出てきて、ちょっと嬉しい。でも、上に国立環境研究所の侵入生物DBがいる。いつかはトップに立ってやる。
なるほど、自分でもやってみようと、「ハッカチョウ」と「ヌートリア」でググってみた。ハッカチョウをググったら上から4番目。1位はWikipedia、2位は日本野鳥の会のBIRD FAN、3位が国立環境研究所の侵入生物DB。
ヌートリアは7番目。1位はどっかの会社、2位はWikipedia、3位が国立環境研究所の侵入生物DB、なんやかんやで7位…。
いずれも国立環境研究所が上にいる。確かに少し悔しい。ぜんぜんサイト更新してないくせに! Wikipediaも上にいる。萌蔵の「オオクビキレガイ」がWikipediaを超えているとは素晴らしい。

【追記】
ちなみに6月12日にもう一度ググってみると、ハッカチョウはやはり4位。だが,ヌートリアは、15位に落ちていた〜!
●2021年6月5日 ツバメの集団ねぐらから見る大阪のツバメの分布

大阪のツバメの集団ねぐらは、北は過去25年以上にわたって大きなのが2ヶ所。集まる個体数も安定して北の方が多くて、ざくっと1万羽と2万羽はいるって感じで、合わせて3万羽はいる感じ。
一方、南は5年経てば、集団ねぐらはすべて入れかわっている。というくらい不安定。まあ5千羽以上の規模が2ヶ所はできるってイメージじゃないかと思う(足らない年は見逃してるんだろう。知らんけど)。集まる個体数は、これまた年によって大きく変動するけど、1万羽程度ってイメージだろうか。
ツバメの営巣数は、たぶん北より南の方が多いと思うんだけど、北に3万羽、南に1万羽と
は。ただ、営巣場所と集団ねぐらの場所は当然ながら違う。河内長野で巣立った個体が、淀川の集団ねぐらで見つかった例もあったはず。となると、集団ねぐらの場所は、営巣場所ではなく、移動してからの昼間の滞在場所と関係しているとみるのが妥当かも。だとしたら、昼間、採食しやすい場所の近くに大きな集団ねぐらができるってことかもしれない。河川敷にできやすいのは、集団ねぐらに適したヨシ原があるからではなく、虫が飛んでるからかもしれないとか?
渡りに備えた、あるいは渡りのための移動のコース上に、大きな集団ねぐらができるという考え方もある。昼間の採食場所仮説も含めて、だとすると大阪府の集団ねぐらに集まる個体数は、大阪府で繁殖する、あるいは巣立ったツバメの個体数を反映しているとは限らないってことになる。府外から来てるかもしれないし、府外に行って寝てるかもしれない。そういえば、南部のツバメは和歌山県の紀の川沿いの集団ねぐらに行くという可能性は高そう。
●2021年6月3日 大阪のツバメの集団ねぐらの25年

本当は1994年から情報を集めて、2020年までだから27年だけど。まあ1995年に淀川鵜殿のねぐらが見つかってから、大阪のツバメの集団ねぐらの近代史は始まるので、25年でいいだろう。知らんけど。
それをざくっとまとめると、こんな感じ。

<淀川とそれより北>
淀川鵜殿は、ずーっと存在する。大阪府内でこの25年間ずーっと存在するねぐらは、淀川鵜殿だけ。鵜殿は広いから、この中ではあっちいったりこっちいったりしてるけど。
大阪で一番長い歴史を誇っている集団ねぐらが淀川豊里だった。でもそれは、2006年に赤坂下池に大部分移った(と考えられている)。一部が、淀川に残り対岸の城北に行ったり、戻ったりしてるけど、淀川に集まる個体数自体はドンドン減少していなくなった。
大阪府北部のこの2ヶ所の集団ねぐらは、1万羽を超え、大阪府のツバメのかなり部分を占めてきている。

<淀川と大和川の間>
当初はこのエリアに集団ねぐらは無かったのだけど、2002年頃に恩智川治水緑地に集まってるのが見つかった。10数年続いたが消滅。どこに行ったのか判らない。
池島に集団ねぐらがあった終わり頃には深北緑地にも集団ねぐらがあったが、規模はとても小さい。

<大和川より南>
南大阪のツバメの集団ねぐらは、数年でどんどん場所が変わってきた。一番長く続いた久米田池でも7年で消滅した。場所が変わるたびに、新たな場所を見つけるのに苦労して、しばしば見つからない期間が続くこともある。おそらく見逃しも多いと思われる。ただ、なんとなく、通常は泉北に1〜2ヶ所、泉南に1ヶ所程度あるんじゃないかという手応えがある。

◆泉北・南河内
1995年時点には大津池に集団ねぐらがあった。その周辺の星谷池や小池は、大津池の集団が移動した先と考えて良さそう。
それと独立してか、行き来があるのかは判らないが、信太山丘陵周辺の馬場池、元禄池、合池も一つのユニットになっているようだった。年代的には、大津池(+星谷池+小池)→元禄池+合池(+馬場池)という流れがあったように思う。ただ2000年代前半は、どこかを見逃している可能性も高い。
その次の時代には、聖和台や寺池、花田池、平井大橋が見つかって錯綜しはじめる。でも、舟渡池→黒山新池→上青井池・中ノ池の流れは、位置的にも規模的にもタイミング的にも一つの流れと考えて良さそう。

◆泉南
1995年時点では奥池に集団ねぐらがあったのだけど、それがどこに行ったのかよく判らない。七つ池、磯上今池、流木今池と見つかるが、移動先としては規模が小さい。そして、2000年代前半にこのエリアに集団ねぐらが見つからなくなる。
2000年代後半に唐間池に集団ねぐらが見つかり、規模的にも奥池の後継クラスだった。それが速水池、久米田池と移動したようにも思えるが、規模が小さくなっているので、他にもどこかあったのかもしれない。そして、2020年時点、このエリアに集団ねぐらが見つかっていない…。
●2021年6月2日 大阪のツバメの集団ねぐらの変遷のとりまとめ作業

という訳で、1994年から2020年までの大阪府のツバメの集団ねぐらの変遷をまとめ始めた。1999年まではけっこう熱心に調べていたのだけど、2000年以降マイブームが少し冷めてしまったみたい。その後、2010年頃から再びマイブームが再燃。
一方、日本野鳥の会大阪支部が2006年に急に思い立って、大阪府の他の鳥関係団体にも声をかけて、大阪府内のツバメの集団ねぐらの一斉調査っぽいのを始めた。個々の場所の調査の人手あるのと同時に、情報網があるので、次々と規模の小さな集団ねぐらを含めて、調査できるのが素晴らしい。いろんな人がカウントしてるので誤差範囲が微妙だけど、一斉に近いタイミングで調査出来てるのが強み。でも、負担が一部の人に偏るのが、構造的問題。そして調査してくれていた方々の高齢化し、リクルートがない中、調査が続けるのが大変〜。という声がわき上がり、2017年を最後に止めてしまった。その間のデータは会報に載せてくれるので、変遷を再構成するのにとっても便利だったのになぁ。もう一度やって欲しい、というか、取りまとめと調査はするから、新規の集団ねぐら情報を募集してほしい。
という訳で、2000年から2005年の集団ねぐら情報がちょっと薄い(情報を持ってる方がいたら、お知らせを〜。どっかに報告とかないかなぁ)。んだけど、まあおおむね変遷は追えてると思う。

【追記】
2000年から2005年の情報が薄いと思ったけど、手持ちの情報を漁りまくるとそうでもなかった。確かに自分で大阪府内のツバメの集団ねぐらを観察に行くのは、減ったけど。代わりに府外のをけっこう見に行くようになっていた。おりしも、府外版の自然観察地図の調査に近畿の日帰り圏をウロウロしまくっていた時期でもあるし、奈良盆地に頻繁に通い始めた時期にも重なる。でも、大阪府内のツバメの集団ねぐらの情報は、いろんな方から頂いていた。ただ、通常の鳥の情報の形式ではなく、伝聞形式や日時の不明な情報など、いろんな形式が混じっていて、引っ張りだしやすい場所になかっただけ。おもにメーラーを検索しまくって、サルベージする感じだった。だいたいサルベージできたと思う。さらなる追加情報は歓迎だけど。
という訳で、ざっと1日半で作業完了。サイトも更新したし、まとめの一覧表もできた。あとは分布図をつくるだけ。

【さらに追記】
ちなみにチェックした文献は、日本野鳥の会大阪支部会報『むくどり通信』(1995年〜2020年)、『大阪鳥類研究グループ会報』(1997年〜2020年)、大阪自然環境保全協会会報『都市と自然』(1996年〜2005年)、堺野鳥の会の『えなが』(1999年〜2007年)、貝塚市立自然遊学館活動報告『貝塚の自然』(2006年〜2008年)。
●2021年6月1日 鳥の話題提供のネタを考える

9月に鳥学会大会があって、なんのネタをしゃべろうかなぁ。と少し前から考えている。

2019年に実施した大阪府内のカワウ・サギ類の繁殖地調査をベースに、1980年代からのその変遷。ってネタは、昨年11月にオープンセミナーでしゃべったし、この3月のサークル総会でもしゃべった。反応はわりと良かった気がする。もう一度、鳥学会大会でしゃべってもいいけど、もう飽きたかも。サギ屋さん数人には褒めてもらえそうな気はするけど…。
この冬に実施した大阪湾岸のカモメ類の分布調査をベースに、2000年度、2011年度と比べてカモメ類が減少してる。ってネタも、この3月のサークル総会でしゃべったし、4月のオープンセミナーでもしゃべった。これも反応は良かった気がする。嬉しくてオープンセミナーの動画は、まだ見逃し配信でアップしたまんま。これももう一度話したら、海鳥屋さんにほめて貰えそうだけどなぁ。
でも、サギネタもカモメネタも、さっさと論文化した方がいい気がする。

と思ってたら、7月終わりの学芸ゼミというのが当たってるのが判明。まずはそこで話すネタを考えないといけない。学芸ゼミのネタを、鳥学会大会に投入すればいい気がしてきた。でも、すでにオープンセミナーで喋ってるサギネタとカモメネタは、学芸ゼミには投入しにくい。だとしたら、
今年度中に大阪湾岸→播磨灘岸→瀬戸内海沿岸と水鳥調査したデータを出版するつもりでいる。どうせデータ見直しと入力をどんどん進めないといけないから、このネタを学芸ゼミ→鳥学会大会に投入するのも一つの手。これも海鳥屋さんにはほめてもらえそうだし、瀬戸内海好きは興味を持ってくれそう。でもデータ整理が間に合うかなぁ。
そう言えば、2019年1月に話して以来、ハッカチョウの話は学芸ゼミでしていない。情報募集は継続してるから、鳥学会大会である程度まとまったことを紹介しつつ情報募集してもいいし。という訳で、先週末にデータを整理して、分布図を更新した。いつでも喋れるけど、あまり新鮮味がないかもなぁ。瀬戸内海ネタが学芸ゼミに間に合わなかったら、ハッカチョウネタに逃げる?

などと計画してたんだけど、Nature Study7月号の記事の担当が当たってることが判明。あとからあとから色々判明する。その締め切りが10日後。すっかり忘れてたけど、7月号の記事担当になったとき、“ツバメのねぐらの変遷”ってメモ書きしていた。
確かに手元のデータを漁れば、1994年以降の大阪府のツバメの集団ねぐらの変遷は語れるはず。以前から情報を整理しておきたいとも思っていたんだったっけ。思い立ったら吉日。と、どのくらい手間がかかりそうか軽くデータを探してみた。2010年から2020年の情報はわりと簡単にまとめられそう。2000年以前はすでにまとめてある。問題は2001年から2009年。ここさえ頑張ればなんとかなりそう。いま整理しておかないと、このままデータは散逸するかも、と思い始めた。
ってことで、Nature Studyには、大阪府のツバメの集団ねぐらの変遷のことを書く方向で。それなら、学芸ゼミもツバメの集団ねぐらかなぁ。となれば鳥学会大会も? ツバメ屋さんは褒めてくれそうではある。
●2021年5月31日 2021年5月のまとめ 今年もずっと臨時休館

昨年と同じく、5月中はずーっと緊急事態宣言発令中。行事はすべて中止で、館内活動も中止で、あまつさえ博物館は臨時休館。昨年と違うのは、特別展の主担当じゃないってことと、特別休暇はもらえないってことだけ。
そんな2021年5月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。かなりサボり気味だけど、カラスの巣チェックも継続中。
奈良県1コースと京都府2コースのハッカチョウセンサスも、こっそり実施。京都府の2コースは1日で一気に実施した。
本来なら、大阪府のため池で繁殖する鳥の調査をしているはずだったけど、5月中も動けないので、今年は断念。昨年に続き繁殖期の調査ができないのは痛い。

ホネホネ団の活動は緊急事態宣言のため、すべて中止。冷凍室がやばい。大物のアシカだけ処理した。

担当の普及行事は、すべて中止。
大阪鳥類研究グループの活動は、調査を断念したのと共に、観察会も中止。

講演はなし。例年頼まれていたのも、ご時世を鑑みてか頼まれなかった。
委員会関係は、委員会はなかった。
査読は1本。論文書きは進まないが、原稿を書くために、昨年と今年のハッカチョウ情報を整理した、が、気がかわって大阪府のツバメの集団ねぐらの集約を始める。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系0冊と、SF7冊。
完全休養日はなんと5日!
●2021年5月30日 小さいとこサミットnano

はじめて小さいとこサミットに参加した。本来は、岐阜県で対面で開催するつもりだったらしい。現地に集まれなくて残念。と主催者サイドの方々は盛んに発言してたけど、わざわざ岐阜県にいかなあかんのやったら、全然参加する気にはならない。ベネフィットに対するコストが高すぎ。リモートだったから参加した。他にも、リモートだったから、時間的に都合がつけられて参加できたという声があった。
小さいところだからこそ、外に出かけにくいところがむしろ多いはず。主催者は、なんか勘違いしてるんじゃないかと思った。小さいところサミットだからこそ、今後もリモートで開催するのがベター。小旅行して対面で集まりたい人は、別途エクスカーションを組めばよろしい。

内容は、本来会場になるはずだった博物館の方の基調講演。市民との交流や、博物館は展示で完結するものではなく、フィールドにいざなってこそ。みたいな話だった。自然史博物館的には、とても普通な話で、館種が違うと違うんだなぁ、という感しかなかった。
リモートで一番苦手な、ランダムにブレイクアウトループに分かれて、テーマに沿って議論タイムが3回もあった。テーマ無視して、他の館の様子をうかがった。鳥取の某施設は、周辺に博物館施設が大量にあるけどあまり連携はなく、その施設自体が県立かつ市立という運営しにくそうなものだった。
ある博物館の人は、グローバルな視点を持ってはじめて、地元のローカルに関心が湧くんじゃないかと言っていたのが印象的。どっちかと言えば、自然史系は逆方向に考えそうな気がする。
●2021年5月29日 ハッカチョウ分布図を更新して思ったこと

とある機会でハッカチョウの話でもしてみよう。と思い立った。ハッカチョウの情報はちまちま継続して集めてきたけど、情報募集のサイトの更新が1年と半年と少し滞ってきた。という訳で、サイトの更新。データを見返して、情報更新しつつ、今日は主に分布図の更新。2021年5月末時点までのデータになった。
香川県、岡山県、神奈川県の分布図を更新して、新たに奈良県と京都府の分布図を作成してみた。データの多い兵庫県はまだ残ってる。そして、さらにデータの多い大阪府は、2019年分までのが更新完了。
岡山県のハッカチョウが定着してるというなら、京都府と奈良県も定着してるんだろうな。でも、それは大阪平野に定着した勢いで、さらに内陸に飛び地ができたイメージに近い。兵庫県でいえば、三田市や福崎町のような内陸の飛び地の分布と同じようなもんに思える。
内陸での飛び地の分布が今後どうなるかも、興味のあるところではあるけど、ハッカチョウの分布拡大の本筋は、海岸部沿いに平野を開拓していく方じゃないかと思いはじめた。だとすると、注目すべきエリアは、愛媛県(とくに四国中央市)と広島県(やっぱり福山市)ではないか。なんてことを思った。
平野部中心にしか広がれないとしたら、西日本は平野があまり広くないし、小規模でも山によって、ぶちぶち途切れている。それからすると、神奈川県のハッカチョウは西にも東にもいーっぱい広がれそう。あまり広がらないのが、一層不思議。
●2021年5月28日 カワウの営巣地の遷移

堺市某所の池の真ん中にある島。かつては樹木で覆われていたけど、サギ類の繁殖地ができて、さらにカワウが繁殖を始めて、樹がどんどん枯れていき、枯れ木も倒れて、カワウが営巣している間は、禿げ山みたいになっていた。夏の終わりにカワウの繁殖が終わると、秋にかけて、草がボウボウ。
今年は、サギ類がほとんど繁殖していない。さらにカワウの繁殖の主力が池の西端の樹に移ってしまい、まだカワウが少数営巣しているのに、すでに島は草ボウボウになってきた。草がボウボウしていると、一層サギ類やカワウは営巣しにくそう。
そして、繁殖コロニーがなくなったら、島はどうなるんだろう?

長年、鳥たちの糞が供給されているので、肥料は充分。今は草がボウボウしているけど、ここに樹木は生えてくるんだろうか?
樹が生えて来て、すぐにサギ類やカワウが戻ってきたら、再び枯れて、枯れ木も倒れて、草ボウボウへ。でも、すぐには営巣地が復活しないなら、再び1990年代半ばのような樹木でおおわれた島の風景が戻ってくるんだろうか?
再び樹木におおわれた島が戻ってきたら、サギ類やカワウが関与した遷移の一巡が見られた感じになって嬉しいかも。毎年撮影してるので、年ごとに並べて見たい。ただ、デジタル化以前のスライドがどこにいったか探すのが面倒だけど。
●2021年5月26日 次の大阪市内の公園で繁殖する鳥の調査の注目ポイント

1997年から5年ごとに、大阪市内の公園40ヶ所ほどで繁殖する鳥の調査をおこなっている。次は来年で、6回目になる。
当初は、コゲラやシジュウカラなど一部の公園でしか見られない鳥が、拡がるかどうかに注目していた。期待通りに一番拡がったのがハシブトガラスというのが、いまから思うと少し不思議。
第2回には、エナガとヤマガラの繁殖が大阪城公園で確認されて、新たに拡がるか!と思ったけど、ヤマガラは1度だけで消えてしまった。エナガは大阪城公園に加えて鶴見緑地でも繁殖するようになったけど、分布拡大のスピードはあまりに遅い。
第4回からは鶴見緑地でチョウゲンボウが繁殖を始め、第5回には大阪城公園でイソヒヨドリが確認された。回を追うごとに新たな繁殖鳥は登場するけど、あまり拡がらないし、継続しなかったりもする。都市公園への定着の道は険しそう。
そんな中、

・今年は長居公園でエナガが繁殖したっぽい。5月にもいるし。長居公園でエナガが最初に繁殖したのは2016年。繁殖は確認しなかったけど、2020年も繁殖期にもいたっぽい。もしかして定着した?
・5月にはいってからたびたび長居公園でチョウゲンボウを見かけるようになっている。営巣してもよさそうな建物にとまってるし。けっこう期待できそう。
・今日、長居公園のすぐ西側の建物からイソヒヨドリの巣立ちビナとおぼしき声がした。数年前から長居公園の近くで繁殖していたけど、長居公園での記録はなかった。

という訳で、来年の6回目の調査では、長居公園で繁殖鳥が3種も増えるんじゃないかと期待。チョウゲンボウやイソヒヨドリは他の公園でも注意した方が良さそう。
2016年にエナガが繁殖した時も、2017年の調査を楽しみにしたが、エナガはいなくなってたんだけど。
●2021年5月25日 学会の公開講演会

新型コロナウイルスのせいで、対面での学会ができず、リモート開催ばかりになってる昨今。直接、いろんな人の話を聞けないのは残念だけど、一方でいながらにして、交通費や宿泊費をかけなくても、いろんな学会に参加できるのはありがたくもある。1回の学会大会に参加するコストが大幅に減少。
とくに嬉しいのは公開講演会。学会大会参加費すら払わずに、いろんな話を聞ける。こんなに美味しい機会はいままでなかった。いながらにして楽しめるし、普及という意味でも効果は高いに違いない。どうせ公開講演会で臨場感はいらないし、リモートで充分。コロナ禍が終わっても、リモート公開講演会を継続して欲しい。
ただ、今のところたまたまSNSで見かけたり、知り合いが案内している公開講演会を聞いてる程度。もっとあちこちでやってるはず。自然史学会連合に入ってる学会だけでいいから、どこかに公開講演会の案内をまとめたサイトないかな?
●2021年5月24日 干潟の穴の中で暮らす二枚貝、おまけに魚も

学会の公開講演会で、寄生というのか共生というのはさておき、干潟に穴を掘って生息する動物と一緒に暮らす二枚貝の話を聞いた。とても面白い。
二枚貝は世界に9000種ほどいるが、650種以上いるウロコガイ科はもっとも多様なグループ。で、しばしば甲殻類、環形動物、棘皮動物と共生する。寄主特異性が高いから、種数が多いと考えてしまいそう。あってるのかな?
スジホシムシの巣穴にだけいるオキナノエガオ。オカメブンブクの穴の中で、ブンブクを追いかけるフジタニコハクノツユ。ミドリシャミセンガイの入水口辺りで暮らすニッポンシャミセンヒキ。アナエビの巣穴で暮らすアケボノガイ。単なる生息場所と種名のリストアップなのに、それだけで楽しい。
中でも一番気になったのは、アナエビの巣穴の中で暮らすアケボノガイ。というかアナエビの巣穴の中で暮らす動物たち。

干潟で暮らすアナエビは、巣穴の入口で待機していて、藻類など植物を引っ張り込んで、中に貯め込んで食べるんだそうな。入口で待機しているとこに、藻類を渡すと引っ張り込むのが可愛い。巣穴の中はけっこう広い。でも、引っ張り込んだ藻類が発酵だかするので、かなり貧酸素な環境。
そんな場所なのに、この巣穴にはアケボノガイやヨコエビなどと共にハゼまでもが共生してる。藻類横取りしてるなら、寄生性の魚ってことになるような。そして、そんな貧酸素環境下で生きられる魚がいるとは! 貧酸素って部分だけクリアできれば、藻類食の動物にとっては、安全で食べ物いっぱいの幸せな環境なんだろうなぁ。
●2021年5月23日 大阪府産哺乳類目録に1種追加、レッドリストにも?

河内長野市の山でアズマモグラが確認された。っていうことを教えて頂いた。著者の方が、わざわざ別刷りを送って下さった。でなければ、見逃していただろうから、とても有り難い。
■原田正史・原田京子(2021)大阪府岩湧山の哺乳類.Animate 16:23-27
南勢式「モグラ名人」、シャーマントラップ、ハープトラップ、センサーカメラを用いて、哺乳類相をすべて調査してる。その結果でも一番重要なのが、アズマモグラの確認。2頭捕れたらしい。2018年4月3日に滝畑ダム〜岩湧山、2018年9月28日に岩湧寺周辺。
これが大阪府初記録。大阪府産哺乳類目録に1種加えて、以降は話す時に加えるのを忘れないようにしなくちゃ。
もう一つ気になることが書かれていて、カワネズミの死体が画像というものが残されているらしい。詳細は分からないけど、河内長野市では過去にもカワネズミの目撃情報があるので、調べれば見つかるのかもしれない。

大阪府でアズマモグラといえば、過去に二上山で見つかったという報告があったのが思い出される。しかし、よく調べたら、アズマモグラではなくミズラモグラだったというオチがついている。さらに二上山の奈良県側ということで、大阪府産哺乳類目録に今までアズマモグラは加わっていなかった。
アズマモグラ改めミズラモグラの報告は訂正記事も出ているのだけど、それに気付かずに2000年の『大阪府野生生物目録』にはアズマモグラが入ってしまってるという、さらなるオチがあって。2000年の大阪府レッドリストには、大阪府で記録のないアズマモグラが絶滅危惧I類に載ってしまっている(大阪府のことを知らん奴を委員にするからアカンねん)。
でも、今回の確認で、アズマモグラを『大阪府野生生物目録』とレッドリストに復活させる必要がありそうな。となると、今度は2014年の改訂版には載ってないことを含めて説明しなくてはならなくなり、ちょっと面倒。
●2021年5月22日 ハッカチョウの個体群が定着したと判断する基準

ハッカチョウの記事を書いて欲しいと頼まれて、ホイホイと引き受けた。2000字だって言われたのに、自分では控えめなつもりで、一通り書いてみたら2400字になった。どうやって減らすか悩む。
もう一つ悩むのが、ハッカチョウが定着したと判断する基準。鳥の場合は、とりあえず繁殖はしてもらわないと、話にならない。でも、1つがいが1度だけ繁殖しただけでは、定着というのはためらう(外来生物リストとかなら、1度でも繁殖記録があればリストアップするけど)。定着とは、個体やペアの話ではなく、個体群が継続的に生息する話。だとするなら、“複数つがいが数年間継続的に繁殖した”といった基準にしたいところ。複数なら2つがいでいいのか?とか。数年間は2年以上でいいのか?とか。さらにいろいろ突きつけると気になるけど。
この基準でいけば、関西では兵庫県、大阪府、京都府、奈良県で、現時点でハッカチョウが定着している。兵庫県と大阪府はすでに10年以上継続して、分布域も広くて、ずっと継続してる繁殖地も複数ある。文句なしに定着してる。
でも、京都府と奈良県はまだ微妙。京都府は、古い記録は無視するとして、継続的に繁殖期に観察されるようになったのは2010年代後半からでまだ10年に満たない。たぶん複数つがいは繁殖してるけど、繁殖地がけっこう動いてるんだけど、京都府まとめて見れば定着してるっていっていいのかなぁ。奈良県はさらに微妙で、2018年以降、大和郡山市だけに複数つがいが生息。まあ普通の基準なら定着してるっていうんだろう。
ただ、ハッカチョウの場合、滋賀県での例があるので、いっそう悩ましい。2006年〜2007年にだけ、複数つがいが繁殖した。てっきり定着したと思ったのだけど(後追いで知ったんだけど)、2年だけで消失。これはいったん定着したけど消失したと表現するべきか、定着に失敗したというべきか。操作的には前者だろうけど、実際には。と考え始めるととても難しい。個体群生態学上の大問題でもあるわけだけど。
●2021年5月20日 水辺から離れたヌートリア

以前ヌートリアの目撃情報といえば、泳いでいるか水辺の岸に上がってるのばかりだった。が、何故だか知らないけど、ここんところけっこう水辺から離れた陸での目撃例が増えてる。住宅地で見つかるとインパクトが大きいようで、役所や警察に連絡した例もあるらしい。サイズ的にもノラネコみたいな感じ。

昨日教えてもらったヌートリアは、大阪市住吉区。大和川から直線距離で約600mの住宅地。最寄りの水辺が大和川で、大和川にはヌートリアがいるから600m歩いて来たんだろうなぁ。住宅地で途方に暮れているような画像が送られてきた。
5月3日には、大阪市平野区の住宅地で、ヌートリアの子どもが保護されてる。ここは大和川から100mほどしか離れてないけど、そもそも住宅地の路上をや玄関先をウロウロするヌートリアっていうのが、かつてのイメージと違いすぎる。

大阪府摂津市でも、住宅地をウロウロしているヌートリアが見つかってる。見つかったのは住宅地だけど、ここは水路も多いので、淀川か安威川から水路沿いにやってきたんだろう。
大阪市の中心部である中之島周辺の河川には、以前からヌートリアが暮らしていて、目撃例も多かったのだけど。以前は川岸にいたのが、いまは花壇の周りをウロウロしてるのが観察されている。今月だけで2例。
大阪城の北外堀は、大阪府で一番ヌートリアが多くの人に見られている場所だけど(なんせ人が多いのに、真っ昼間から目立つ場所に出てくる)、これまたかつては泳いでいるか、水際だったのが、今は陸に上がって、道を渡った反対側とかで見つかってる。

定量的に示すのはけっこう難しい。そして大部分のヌートリアは、今でも河川や池などの水辺で見つかってる。でも、かなり水辺から離れる個体が目立ってるのは間違いないと思う。どうしてかは判らないけど。
でも、たぶん陸棲ヌートリアは、早死にするんじゃないだろうか。住宅地はすでにネコやアライグマやチョウセンイタチの天下なんだし。
●2021年5月19日 2021年度初剥き

緊急事態宣言が出ていて、臨時休館中。昨年も今頃はそうだったけど、臨時休館で、行事はすべて中止、そしてフィールドに行くのもはばかられる。という状況なので、とても時間がある。それなのに、あまり仕事が進まない。なぜかは判らないけど、適度に忙しい方が、(やむを得ずだとしても)仕事のやる気も増えて、その他の仕事も捗る気がする。
そういえば、そもそも、なにわホネホネ団の活動を始めた一つの理由は、一人では標本作りのスピードが遅い。ってだけではなく、みんなでやった方がやる気も増えるってことがあった。そして、今はなにわホネホネ団も活動休止中。
そんなこんなで、死体の標本化が進まず。冷凍室に死体がたまる一方。昨年から1年以上、こんな感じの状態が続いているので、かなりヤバイ感じになってきた。そして、中程度の大物でも入らない。やむを得ないから、処理することに。
一昨日、そこそこの大物さんが来たので、今日処理した。振り返ると、今年度の初剥きだった〜。なにかやむを得ない状況がないと、標本作りって進まないんだなぁ。
という訳で、そろそろ冷凍室があふれるという形で、やむを得ない状況が生まれそう。処理を進めねば!


●2021年5月18日 仕事は道に迷わせること?

自然誌博物館の行事に参加する子どもは、それなりに生物や地学に興味を持っている場合が多い。おのずとそういう方面の仕事に就きたいといった希望を持っていたりする。というか、学芸員は、そういう興味を良くも悪くも助長しようとする。それがいいのか悪いのか判らない。
子どもたちの前では、自然誌博物館での仕事の面倒な側面とか、ブラックな部分は見せない。だもんで、どうやら呑気に生き物を戯れていたらいいだけど、楽しげな職業に見えるらしい。まあ、そういうフリもするし。という訳で、ただでさえ自然史に興味持っている子どもたちは、しばしば学芸員になりたいと思ったりする。学芸員になりたいとか言われると嬉しかったりするし、その希望を否定はしない。
でも、現実的に言えば、学芸員は目指してもそうそうなれる職業ではない。優秀かどうかに関わらず、運が無くてはなれない(実際、無能な学芸員も多いからね)。努力がなかなか実らない道を勧めているのだとするなら、かなり酷い話。道に迷わせているだけかもしれない…。それが学芸員の仕事とするなら、まるで悪魔のような仕事だなぁ。
とはいえ、その夢をかなえて運良く学芸員になれた奴がいたら、とても嬉しい。
●2021年5月17日 休みの日に電話

今日は、月曜日なので指定休。例年の5月なら休みの日でも、5月ともなれば繁殖鳥調査の企画で忙しく、あちこちに出かけているはず。ところが昨年も今年も緊急事態宣言で、繁殖鳥調査の企画が中止に。さらに原則外出するなというお達しが出ている。なんとなく、博物館に行って仕事をする気にもならず、ゆっくり寝て、ぼんやり起きて、テレビ見て、本読んで、という休日になりがち。
今日も、ぼんやりと、そろそろ起きようかなぁ。と思ってたら、携帯電話が鳴った。家族いないし、友だちもいないので、携帯電話がなることは滅多にない。極めてまれにかかってきたとしたら、よくない連絡というのが相場。なんかイヤな予感がしつつ出てみると、某動物園の獣医さんから。ああ、そういう用件か。二言目には誰がいつ来ますか?と質問。という訳で、急遽、出勤して、受入。
調査に出ていたら、対応できなかったから、不幸中の幸いかもしれない。まあ、過去には東京で学会大会に出ている時に電話がかかってきたこともあったし、静岡での学会大会中に電話がかかってきて、1日早く帰ってきたこともあった。
こちらの都合は考えてくれないのは、クジラの漂着と同じ。クジラはむしろ忙しい時を狙って漂着してくる気がするから、まだましかもしれない。
●2021年5月16日 はじめてのリモート子どもワークショップ リモート標本実習に向けて

出演者でも中に人でも、ましてや参加者でもないけど、初めての試みで、どうなるのか気になるので、できるだけ様子を観察した。大変そうだった。夏の室内実習が、今年も対面でできないことになったら、リモートでできないかと思ってるんだけど、どうするか悩ましい。
まず、同時に対応できる人数は、かなり少なめになる。というか、多いといろいろ大変。Zoomでスタッフ込みで一面に、ある程度の大きさで見えないとやりにくい。ってことを考えると、最大で15名だろうか。
スタッフは、キャストがハカセ役と進行役の2人。スイッチングなどのオペレーターが1人。さらにバックアップのサポートが1人の計4人。この内、ハカセは本番中だけ忙しいのだけど、他の3人は準備段階から実施中までずっと忙しそう。
とても重要なのは、本番の前30分に設定されていた練習・確認タイム。参加者がZoomに接続できるかが最初の関門。接続しても音声や画像がうまく繋がらなかったら、その対応の仕方を指示しないといけない。入り直してもらうとか、画像や音声のONの仕方を教えるとか。うまくZoomでやり取りできなかったら、電話をかけてやり取り。無事に接続できたら、今度は使い方の練習。とくにミュートの仕方がポイント。
準備さえできれば、本番はわりとスムーズ。ハカセが話すのと、標本をアップで見せるのとの切り替え、動画を見せるなど、準備がしっかりしてたのもある。ただ、参加者が単に動画を見てるだけにならず、いかに参加させるか、アクションさせるかが課題っぽい。見てるだけだとEテレとそんなに変わらない。ワークショップである意味がなくなる。

標本作りのリモート実習の場合を考えるなら、標本の代わりに模範演技をアップで見せるカメラを用意すれば、カメラの設定自体は似たような感じ。参加者が作業すべきことは決まってるので、参加者の参加という部分は解決される。ただ、参加者からの質問をいかに拾うかと、参加者の作業をいかに見守るかを考える必要がある。スタッフが5人はいりそうな。
●2021年5月15日 関西でのシロガシラの繁殖状況

ヒヨドリと一緒に渡ってるらしきシロガシラの画像を見て、もしかして関西のシロガシラも自然分布なのかも。と思ったところに、九州の知り合いから沖縄以外のシロガシラ情報をまとめたいので、大阪の情報が載ってる文献を送ってくれと言われ、大阪鳥類研究グループ会報をPDFにして送ってみた。もしかしたら、同じ画像を見て思い立ったのかもしれない。
ついでに和歌山県のシロガシラ情報は知ってるか?と訊ねたら、知らないという。マウンティング成功である。とちょっと嬉しくなったら、その情報が載ってる文献を送れという。仕方が無いので、シロガシラ情報が載ってた記憶がある文献を漁ってみた。てっきり2018年だけど思ってたら、その後の記録もあって、思わず勉強になった。せっかくなのでリストアップ。

・津村真由美(2018)鳥信 シロガシラ.いっぴつ啓上(136):5.
 →2018年11月17日、会津川。地元野鳥写真家が発見。
・津村真由美(2019)鳥信 シロガシラ4羽.いっぴつ啓上(138):4
 →2019年4月22日、秋津町。電線でけたたましく囀っていて、見ていると1組が交尾しました。聞くところによると、会津川出会い付近で越冬したペアは♂のみ見かけ、繁殖の可能性があるそうです。
・津村真由美(2019)鳥信 シロガシラ幼鳥3羽.いっぴつ啓上(139):5
 →2019年7月23日、田辺市秋津町。スズメのチュンチュンに似た声や、ヒヨドリの巣立ちビナに似た声で鳴いていました。
・津村真由美(2020)2020秋津野鳥だより2.いっぴつ啓上(144):15-16.
 →今年は旧田辺市の各所、特に会津川流域での目撃が多く、宮本さんから9月23日撮影の幼鳥写真が届いた。

場所はすべて和歌山県田辺市。どうやら2018年から定着して繁殖しているもよう。増えてるっぽい。大阪での繁殖例は8月だったのに、田辺では初夏に繁殖してるのが不思議。
●2021年5月13日 サーバの移行に伴うメーリングリストのメンテ作業

昨日、ついにサーバの移行が完了して、メーリングリストも全面的に新しいサーバに。それにともなって、大量のメンテ作業が発生。急いで対応しないと困る人もいるかもなので、今日は、休みだけど、昼から出てきてメンテ作業。
メンテが必要なのは2点。
・メーリングリストのナンバリングがずれてる(たぶん1月頃の数字に戻ってる)ので、新たな投稿がある前に修正。
・メンバーリストが古い(どうやら3月10日頃のものになってる)ので、新たな投稿がある前に最新リストに修正。
ナンバリングの修正は簡単だけど、リストの修正が大変だった。管理してるメーリングリストが10個もあるからってのもある。10個もあるといろんなパターンがある。

・8個は、手元に最新リストを維持していたので、それを参照しながら修正ができる。しかし、2個はサーバ上で修正を繰り返して来たので、最新リストが判らない。そして更新履歴も残してない。仕方が無いから、念のため今年に入ってからの変更履歴を再構成して、修正。幸いどちらもメンバーが多くないし、修正もそんなに多くない(年度替わりで出入りがある程度)ので助かった。
・手元に最新リストがあれば、それと照合すればいいのだけど、メンバーが多いととても面倒。追加・削除・修正のリクエストから変更履歴を再構成するのと、どっちが楽かを考えて、6個までは最新リストと照合した。一番メンバーが多かったのは、334のメールアドレスが登録されているなにわホネホネ団ML。
・260のメールアドレスが登録されている関西自然保護機構会員MLは、幸い修正履歴がはっきりしていて、修正頻度も低いので、修正履歴から最新リストを復活させた。
・問題は、大阪市立自然史博物館ML。うちの博物館のメーリングリストで最大の456のメールアドレスが登録されている。最新リストとの照合は面倒過ぎるので、修正履歴から最新リストを復活させようとした。幸いなことに近頃はあまり活発ではないので、新規登録が2名とアドレス変更が1名だけ。あと現在新規登録申込みが1名。思ったより簡単で良かった。と思ったら、管理アプリがうまく動かない。今日は機嫌が悪くなったのかな? ということで修正はまた明後日にでも。4人の方には申し訳ないけど…。

ちなみに、管理アプリは、使えることは使えるけど、不具合がいろいろある。
・返信の宛先がリストではなく、投稿者になっている。このせいでリストに返信したつもりで個人にメールを送ってる人が続出している模様。
・管理アプリ上での、メーリングリストの登録者リストがソートできない。移行した時点ではソートされた状態なのだけど、追加したら、一番下の行に追加される。なのにソートできないってことは、今後の維持管理が死ぬほど面倒ってこと。
どちらも改善が必要だけど、クライアントサイドでの修正は無理で、開発側での作業になるらしい。なんて面倒なシステム。あと、確信はないけど、
・しばらく放置するとタイムアウトして保存せずに戻ってしまう。これは最新リストとの照合をしてる時に、それまでの作業が全部やり直しになりかねないので、止めて欲しい(実際一度なった)。
安定稼働までは、まだ時間がかかりそう。

【追記】
2日語に、大阪市立自然史博物館MLの修正を試みたけど、やっぱりエラーメッセージが出る。他のメーリングリストは出来てるのに。考えられるのは2つ。
・大阪市立自然史博物館MLの設定がもともとおかしい。
・登録アドレスが多いとうまく修正できない設定になっている(たとえば400以上?)。
これまた開発側で確認してもらうことになった。4人の方、かさねがさね申し訳ありません。いましばらくお時間を。
●2021年5月12日 かつらをかぶったザットン

夕方、部屋に館長が入ってきたので、何か用かな?と思ったら、ザットンがエライことになってるという。なんのこっちゃ?と思いながら、窓の外を見て、驚愕した。ザットンがかつらをかぶってる!
正確に言えば、頭骨の上の平たい部分に、鳥の羽根混じりの枯れ草の塊が載ってる。スズメの巣材に見える。あんな場所に巣をつくるとは変わったスズメだ。と思ったんだけど、隙間好きのスズメが物の上に巣をつくるとは思えない。隙間でない場所に巣をつくった例では、球状の巣をつくったという。だとすると、スズメの巣材かもしれないけど、頭の上に載せたのはスズメじゃないんだろう。という訳で、有力な仮説は、カラスがスズメの巣から巣材を引っ張り出したってこと。そういえば、巣材の塊の端っこは、頭骨と頸椎の境目辺りに続いているような気がする。もしかして、頭骨の中にあれだけの巣材が詰め込まれていて、それをカラスが引っ張り出したんだろうか?
マッコは組み立てる時に、頭骨の中に巣をつくられないように、ふさいだ。でも、ザットンはふさぐのをサボったような記憶がある。そう思って見ると、ちょうどザットンの頭骨の中がちょうど一杯になるくらいの巣材の量のような気がする。
幸か不幸か、いまは臨時休館中で、かつらをかぶったザットンは、スタッフしか見られない。言い換えれば、巣材の塊が落ちてきたとクレームが出る恐れもない訳で、とりあえず放置して継続観察してみよう。
●2021年5月11日 フィールドでの動物のトレースシステム

とある会合で話を聞いていて、捕獲標識しなくても、動物を個体識別してトレースする技術があれば、それはそれはいろいろと役立つなぁ。と思った。
新たな機器の設置は最小限で、データ処理まで含めて安価にデータが得られるならだけど。その際に気になるのは、
・どのくらいの距離まで、どのくらいの広さで(面的に)センシングができるか。広いほどいいなぁ。どっかの公園全域くらいは欲しい。
・障害物の影響はどの程度受けるか。せめて間に樹木があっても拾って欲しい。
・個体識別の精度はどのくらいか。これはできれば譲れない。
・同時に何個体の識別・トレースが可能か。そら多いに越したことはないけど、同時に4-5匹はできてほしい。群れが押さえれるともっと楽しい。
・どのくらいのサイズまで感知できるか。小さい相手で使える方が嬉しい。せめてネズミサイズ?
安価に、このすべてを期待通りのスペックでというのは、難しいかもしれない。でも、うまく行けば、捕獲が難しい動物の研究に、とても有効かもしれない。
トレース無理でも、個体識別だけでもできれば、たとえばタメ糞場でのタヌキの個体間関係とかは調べられそう。
個体識別は無理でも、ある程度の広さのある面でトレースが拾えるなら、同時に複数個体の行動圏の研究ができそう。
少数個体でも、たとえ1匹でも個体識別して、ある程度の広さでトレースが描けるなら、それなりに研究できそう。
あまりに狭い範囲での話なら、カメラ一つ設置すれば対応できるので、そしてそれはあまりトレースではないので、楽しさは半減以下かもしれない。カメラ少数を設置しただけでは、見えないものが見えないと新しさは少ない。
●2021年5月9日 大阪府で繁殖したシロガシラは外来生物ではないのかも

昨年、外来生物展があったので、解説書や展示で大阪府外来生物リストを作成した。鳥の外来生物としてリストアップしたのは、アイガモ・アヒルやクロエリセイタカシギを含めた13種。その中にシロガシラを入れた。リストは単にかご脱けなどで野外で観察されてものではなく、野外での繁殖が確認されたことのあるものに絞った。だから観察例はたくさんあるけど、セキセイインコは入れてない。一方、淀川での繁殖例が1度あるので入れた。“自然分布とは考えにくいので外来生物と判断”というコメントを付けた。
ところが5月6日にネットに流れてた画像を見て驚愕した。渡り途中とおぼしきヒヨドリの群れの中に、シロガシラが1羽混じっている! この画像がどこで撮影されたものか判らない。このシロガシラがどこまでヒヨドリの群れと行動を共にするのかは判らない。けど、この画像が沖縄県で撮影されたものだとしても、はぐれなければ九州にはたどり着けそうだし、そのまま同行しつづけたら、大阪にもやってくるかも…。もし、同じようなことをするのがもう1羽いたら、ペアで大阪に到達して繁殖というのもあり得ない話でもない。
確かに、シロガシラをペットとして大阪まで持ってくる人はあまりいないだろうになぁ。それもペアで持ってきて、それを放すとかあるかなぁ、とは思っていた。こうなってくると、自力で飛んで来た方がよほど納得できる。なんでか判らんけど、リュウキュウサンショウクイは、九州から本州にまで分布を拡げつつあり、その後追いでシロガシラがやってきても決しておかしくはない。そもそもシロガシラに渡りの習性があるのかなぁ、という疑問はあるが…。
ともかく、シロガシラが自力で飛んで来たとしたら、外来生物よばわりして、大変申し訳ないことをした。でも、飛んできたと決まった訳ではないし、これはどう判断したらいいのかな? 疑わしきは、ってやつ? 昨年作製した大阪府外来生物目録は、どうしたもんだろう? 機会があれば、しれっと外しておく? 
●2021年5月8日 イソヒヨドリはツバメの巣を襲うのか?

イソヒヨドリがツバメの巣を襲うせいで、ツバメがすっかりいなくなった。てな話を聞いていた。いかにもイソヒヨドリならツバメの巣を襲いそうだなと信じてた。けど、よくその話題をしてる方からして、伝聞情報らしい。引用できる形で報告はあるのか?って話になって文献を探す。
イソヒヨドリが脊椎動物を食べたという話では、トカゲが有力で、カエルも食べるらしいが、鳥が出てこない。イソヒヨドリの採食についての新しめ論文をチェックしてみる。

■鳥居憲親・江崎保男(2014)イソヒヨドリのハビタットとその空間構造−内陸都市への進出−.山階鳥学誌46: 15−24
→ヒナに与えた餌は、ゴミムシや鱗翅類幼虫といった昆虫、ミミズ、トカゲ、ヤモリ、ムカデ
■奴賀俊光・CP Norman・森川由隆(2016)千葉県鴨川市におけるイソヒヨドリMonticola solitariusの繁殖生態. Strix 32, 169-178,
→ヒナに運んでくるのは、フナムシ、ムカデ、ゲジ、バッタなど。
■村上良真(2016)2014年岡山市街地におけるイソヒヨドリの生息状況.Naturalistae 20: 41-45.
→ヒナに運んだエサは、バッタ・キリギリ ス類,鱗翅目幼虫
■鳥居憲親(2019)岩礁海岸におけるイソヒヨドリの採食生態.日本鳥学会誌68(2): 367–373.
→食べてるのは、小さくて確認できないのが多かったようだけど、昆虫、フナムシ、ヨコエビなどが挙がってる。
■岩本二郎(2019)我孫子市内におけるイソヒヨドリの営巣場所と食性.あびこ鳥だより2019夏号:2
→ヒナに運んでいたのは、小型の昆虫(アリやゴミムシなど)、昆虫の幼虫(ガやチョウ、甲虫、ハチなど)、ムカデ

とくに内陸では昆虫を中心に、節足動物ばかり食ってる様子。ぜんぜん鳥を食べてない。

■伊澤雅子・松井 晋 (2011) 生態図鑑 イソヒヨドリ. Bird Research News (8 8): 4–5.
→食性としてあげているのは、フナムシ、カニ類、鱗翅目幼虫,ゴキブリ類、甲虫目、コオロギやバッタなどの直翅目、ミミズ類、ムカデ、ヤモリ、アオカナヘビ、カエル、クワやガジュマルの実、ヘビ、ネズミの仔、ジャコウネズミ

イソヒヨドリが鳥を襲うと言ってたはずの伊澤さんだが、食性リストに鳥はあがっていない。
じゃあツバメの巣を襲う方はというと、日本ではカラスとネコとヘビが有力で、イソヒヨドリが見当たらない。海外ではどうかな?と思ったら、こんな論文を見つけた。

■JS Wang, CM Hung(2019)Barn swallow nest predation by a recent urban invader, the Taiwan whistling thrush–implications for the evolution of urban avian communities. Zoological studies, 2019; 58: e1.

台湾でルリチョウTaiwan whistling thrush(Myophonus insularis)が市街地に進出しているエリアでは、ツバメの巣が襲われてるって話。ルリチョウは、ツグミ科なので、市街地に進出したイソヒヨドリがツバメの巣を襲うなら、そっくりな話ではある。

という訳で、ざっと探した限りでは、イソヒヨドリがツバメの巣を襲ったという報告は見つからない。でも、そういう観察をしたという話はあちこちから聞こえてくる。なのに引用する文献がないとは面倒な状況。とりあえず、観察したら、どこかに報告しておいた方がいい案件ってことになる。
そして、現段階でイソヒヨドリはツバメの巣を襲うかと問われたら、可能性はありそうだけど、確実な事例は知られていない。あるいは観察されてるようだけど、メジャーなところに報告されてはいない。と答えるしかなさそう。

【追記】
『原色日本野鳥生態図鑑<陸鳥編>』(中村・中村1995、保育社)のイソヒヨドリの項にこういう一文がある。「まれに今年の巣を襲い、雛を食べることもある」。この本は割ときちんと引用してくれているのだけど、元文献が判らない。少し後ろに出てくる林(1982)だろうか。でも、これは1982年の生態学会大会の講演要旨集で、手元にない。


●2021年5月7日 2020年度 普及行事の新型コロナウイルス感染症対応の記録

博物館が新型コロナウイルス感染症の影響を受け始めたのは、2020年2月。2020年度にどのような対応をしたのかをまとめないといけないので、過去の会議の記録から該当部分を拾ってみた。要約・整理して並べる。

●2020年2月19日 定例
・新型コロナウイルス肺炎の関係で集会を制限するような指示が出た場合、内覧会や講演会で対応の検討が必要になる。今のところは予定通り実施で準備を進める。講演会は中継もあり?

●2020年3月31日 定例
・4月3日に方針が出る。4月5日までの行事は中止だが、5月31日までの行事はすべて中止を決定。
・月例ハイキングは申込み制にする方法。夏の友の会合宿は、バスツアーなので実施は厳しい。
・子どもワークショップは中止になったコンテンツは、動画で配信。

●2020年4月21日 定例
・Nature Studyにおうちで楽しむ自然史博物館の紹介。
・緊急事態宣言が解除されても、ソーシャルディスタンスへの配慮が必要なので、行事の実施は難しい。7月31日までの行事の中止を決定。
・Youtubeライブ、Zoomの使用を検討。

●2020年5月12日 臨時
・緊急事態宣言の解除が見込まれるので、それに向けて展示のオープンの仕方について議論。
・普及行事についてのwebアンケートの結果を報告。
・外来生物展ギャラリートークの動画5本を公開済み、5本を撮影して編集中。
・中止になったやさしい自然かんさつ会「海辺のしぜん」の資料を近々公開予定。
・自然史オープンセミナーを当初予定より多めに、リモートで実施することを検討。ライブ配信か動画公開か? 質疑をどのように行うか。広報の期間が必要なので、6月以降から。

●2020年5月26日 定例
・8月以降は、できるだけ行事を実施するため、実施の仕方の検討を進める。人数の制限のために申込み制にする(標本同定会、ビオトープ、月例ハイキング等)。
・行事実施のガイドラインの策定が必要。人数制限、バス移動などについての考え方。
・8月23日の標本同定会は、申込み制で、返信で時間帯も指示。スペースを拡げて、密集を避ける。外部講師の数を減らし、補助スタッフはなし、博物館実習生もいれない。
・室内実習やミーティングは、オンライン実施を検討。
・植物園案内は、申込み制で人数制限、または観察資料を配付して各自で観察。
・自然史オープンセミナーは、リモート実施。7月末にお試し。
・アングラ収蔵庫トークを開始、今後も継続。
・子どもワークショップは7月まで動画配信で対応。
・自然史フェスティバルは、密集を避けるための人数制限が難しい。リモートの代替案も検討。

●2020年6月30日 定例
・行事再開に向けて、行事実施のガイドラインを策定。行事申込みの返信では、体調管理の注意事項等を付ける。
・大阪自然史フェスティバルは中止。代わりにシンポジウムを実施。懇親会や小規模のブース出展は可能かを検討。

●2020年7月28日 定例
・8月の植物園案内は、10数名ずつの時間差出発で実施予定。
・植物園案内・動物編は、午前・午後のダブルヘッダーでの実施。
・友の会の夕べは中止を検討したが、申込み制で人数を絞り、学芸員にマスクとフェイスシールド、参加者との距離をあけるといった対策をして実施。
・自然史オープンセミナーは、web配信のみ。
・ホネの標本作りの実習、ジュニア自然史クラブのミーティングはZoomで実施。
・子どもワークショップは、どんどん型で実施。
・石桁阿彌のよりかすの行事は、急遽中止になった場合、レンタカー代と船代が問題。
・行事実施のガイドライン改定。

●2020年8月25日 定例
・8月1日から行事を再開したが、実際に実施できた行事は少ない。
・標本同定会は準備のコストがかかった割りには参加者数は少なかった。
・担当者が濃厚接触者等となって自宅待機扱いとなった場合は、行事は中止。
・1月の友の会総会はリモート実施を検討する。総会議事と講演会はオンラインで。バザーや飲食企画は断念。写真ギャラリーとバッジデザインコンテストは実施方法を検討。

●2020年9月29日 定例
・人数制限が緩和されので、10月1日から各部屋の人数上限を増やす。行事実施のガイドライン再改定。
・1月のはくぶつかんたんけん隊は、人数を減らしても密集が避けられないので、中止を決定。
・子どもワークショップのサポートスタッフや、行事の補助スタッフの活動再開、及び対面型の子どもワークショップや3月の子どもまつりの実施の可否について検討。

●2020年10月27日 定例
・月例ハイクは申込み制に移行している。連続して落選する人がでないように配慮する。

●2020年11月17日 定例
・大阪府での重症者数が増加している。今後、赤信号が点灯するなどして、府県間の移動制限が要請されたら、対面の行事は中止、博物館実習も対面ではなくリモートに。

●2020年12月22日 定例
・1月11日までの対面行事は中止になっている。16日以降については、1月8日に判断。大阪府に赤信号や緊急事態宣言が出ている間は、対面行事は中止。
・1月の博物館実習はリモート実施。担当者は、概要を26日までに決める。

●2021年1月26日 定例
・2月7日までの対面行事は中止になっている。感染リスクは高いままが予想されるので、13日と14日の行事は中止。20日以降については2月初旬の状況から判断。

●2021年2月16日 定例
・リモート行事は、ライブでの視聴者が少ないが、見逃し配信が視聴されているので、時間帯を含めて現状のまま続ける。
・講演会以外のリモート行事は、試してみて検討する。

●2021年3月30日 定例
・こどもまつりは、対面で無事に終了。
・蔓延防止等重点措置は、博物館は対象外。今まで通り、府県境を超えた移動の自粛要請が出たら(現状では、赤信号または緊急事態宣言)、対面行事は中止。
・ジオカーニバルは申込み制で検討中。大阪自然史フェスティバルは悩み中。
●2021年5月6日 駅イソヒヨドリ調査企画

ハッカチョウ調査で宇治川沿いを歩くので、スタート地点の京阪宇治駅へ。ここは関西でも数少ないツバメとコシアカツバメの両方の巣がある駅。と思って改札を出ると、天井付近からコシアカツバメの声。巣も5-6個あって、10羽弱ウロウロして、巣にも出入り。ツバメの巣もあったはずだけど、と思ってキョロキョロしてたら、駅舎の入口の上に1つだけ見付けた。そういえば、駅ツバメ調査をした9年前もこんな感じだったっけ。
電車を降りた時、ホームの屋根から、チーチーと声がするので、なにかな? と思ったら、イソヒヨドリがエサを持ってウロウロしていた。この駅にはイソヒヨドリの巣まであって、他にスズメの巣もありそうだし、賑やかで楽しい駅。
駅舎で繁殖してるなら、駅ツバメ調査ならぬ、駅イソヒヨドリは出来ないかな?

駅イソヒヨドリ調査が、駅ツバメ調査と大きく違う点は、巣を見つけにくいこと。駅ツバメ調査では、ツバメではなく、巣をさがしてまわった。駅イソヒヨドリ調査では、巣さがしは現実的ではない、というか効率悪いから、イソヒヨドリを探した方が良さそう。となると、駅舎で営巣しているとは限らないって話になる。
だとしたら、決めないといけないのは、どの範囲のイソヒヨドリを記録すべきか。たぶん二択。
A案:駅舎及びホーム、改札(つまり駅ツバメ調査で巣をさがした範囲)にいるイソヒヨドリだけを探すか。
B案:駅構内(或いは駅舎前?)から確認できるすべてのイソヒヨドリをチェックするか。
あとは、囀ってたか、巣材やエサ運びなど繁殖に関わる行動を確認したか、巣やヒナを確認したかってくらい。
囀りだけが聞こえてくる場合が多いだろうし、どこで囀っているかは必ずしも判らない。ってことを考えるとB案かなぁ。とりあえず、いくつかの駅で試してみよう。


●2021年5月5日 兵庫県の内陸のハッカチョウの分布

昨日、立て続けに兵庫県内陸部のハッカチョウ情報を教えていただいた。とてもありがたい。そして、どうも思った以上に生息している様子。
兵庫県は、なぜか南部の海沿いのエリアにハッカチョウが定着してる。最初に定着したのが姫路市で、今でも姫路市から明石市の間のエリアに多いが、いまや西は赤穂市から東は尼崎市・伊丹市まで東西は広く分布している。なぜか淡路島では記録がなく、なぜか国道2号線より北の記録は少なめ。日本各地を見渡しても、ハッカチョウは海に近いエリアに定着しがちだし、海に面した平野部に拡がってるイメージ。
そんな兵庫県でも、内陸よりの記録はいくつかあって、手元にある情報でいえば、

・小野市王子町、2012.5.25
・神崎郡福崎町、2015.9.28
・三田市三輪:2016年
・三田市川除:2020.5.20、2020.5.21、2020.6.1

兵庫県中部とまではいかないけど、平野部ではなく、一つ海から離れたの盆地では記録されることがある感じ。三田市は複数の記録があって、個体群が存在してると思ってたけど、他は偶発的かなぁ、とも思っていた。が、今回頂いた情報でそれが覆った。

・福崎町西田原、2019年、2020年、2021.4.29、2021.5.6
・三木市大村、2021.5.4

三木市の情報で、面的な広がりが予感される。そして福崎町は、2015年から継続的に生息している可能性を示唆してる。さらに福崎町の4月の情報は、夕方約30羽が集まっていたという。つまり30羽規模の集団ねぐらができてるらしいってこと。個体群が維持されてそう。この後、兵庫県内陸部への分布拡大は続くんだろうか? 奈良盆地や京都盆地への進出と同じくらい要注目。
●2021年5月4日 チョウゲンボウ登場

地元の公園は、ゴールデンウィークってこともあって、集客施設が軒並み閉まってるってこともあって、芋の子を洗う勢いで人出が半端ない。うかつに自転車で走ると、誰かに衝突したり、なんかを踏みそうではあるけど、自転車でウロウロして、キョロキョロしながらカラスの巣チェック。
ヒヨドリみたいな音質で、ピイピイピイピイと連続した大きな声が聞こえてきた。元気なヒヨドリのようなつもりでしばらく聞いていて、ふと気付いた。これチョウゲンボウの声やん。で、双眼鏡で探したら、遠くの屋根の上にとまってるのを発見。この季節、この環境、営巣の可能性が高そう。と思ってしばらく見ていたけど、動かない。しばらくカラスの巣をさがして、再びチェックしたら、姿がない! 見回したら、近くを旋回していた。やっぱりこの辺り。最初にとまっていたのが球技場の古い方の屋根の上。旋回してたのは、スタジアムとの間。このどっちかの施設があやしい。
実際のところ、数年前から公園の少し東の住宅地辺りでは定着してるようだったし、この公園でも時々観察はされていた。でも、こんなに繁殖の可能性が感じたのは初めて。という訳で、ちょくちょくチェックして、巣は無理でも、巣立ちビナを確認したいところ。
ついに我が地元でもかぁ、とちょっと嬉しい。
●2021年5月3日 ヌートリアの子どもを保護

今日は休みなので、とりあえず調査いn出かけて、帰ってきてからは家でマンガ読んでたりしてた。すると職場から電話がかかってきた。大和川で、ヌートリアみたいな動物の子どもを保護した。逃げたペットなら警察に届けなければならないし、急ぎ確認してほしい。ってことで、電話をかけて話を聞く。
電話口で、画像は見えないのだけど、頭胴長は20cmくらいで、茶色っぽい。尻尾が長くて毛が生えてない。足には水かき。水かきあるならヌートリアの子どもとしか考えられませんねぇ。ってことで、警察に届けなくていい。特定外来生物なので飼育できないし、保護して動かした時点で違法性がある。今日は役所も閉まってるから、元の場所に戻すしかないかなぁ。
というやり取りをして一段落。再びマンガを読んでたら、また職場から電話。大和川でヌートリアを保護した人から電話があって、というから、また同じ人が電話してきたな!いったい何の用事や。と思ったら、職場の方も当然同じ事を考えて、繰り返し確認したけど、どうも別件だという。ってことで、またもや電話をかけて話を聞く。
今度の方は、ヌートリアの子どもだと判ってた。その上でどうしましょう?って話。特定外来生物なので…、と同じ話をする。どうも博物館で引き取って欲しかったらしい。
という訳で、どうも今日は大和川にはぐれたヌートリアの子どもが続出しているらしい。ただ、1件目は松原市側の大和川の土手、2件目は大阪市側の大和川沿いの住宅地。両者は距離的にはかなり近い。子どもを散らばらせてしまったヌートリアのお母さんが1匹いただけかもしれない。
●2021年5月2日 よみがえる外来生物展

5月に入って、2020年度の活動内容をまとめた館報の締め切りが迫ったきた。というわけで、ボチボチと原稿を準備し始めた。2020年度は、特別展の主担当で、博物館実習も担当で、途中から普及担当にも抜擢されたので、書くことが多い。その上、新型コロナウイルスのせいで、例年とは違って事態が多くて、今までのコピペで済まないのばっかり。さらにその上、新型コロナウイルス感染症対応についてのパートでも、それぞれについて書き込めといわれ、切り分けをどうするかでも小さな頭を悩ますことになる。
博物館実習のパートは比較的簡単にできたんだけど、特別展パートがやたらとややこしくて面倒くさい。おかげで昨年振り回されまくった外来生物展についていろいろと思い出した。

そういえば、外来生物展はもともと2019年夏を予定していたんだった。それを目指して、図書館とかでの宣伝を兼ねた展示の予定を入れたし、市民参加の調査プロジェクトも動いていた。それが、昆虫の巡回展がねじ込んできて、やむなく翌春に延期。おかげで、新型コロナウイルスの直撃を受けた。今頃になって思い出した。くっそ〜、昆虫展め!
で、その後の展開は、記憶にも新しい。というか、今年も同じようなことが起きたので、先日思い返したばかり。徹夜も数回重ねつつ、頑張って準備したのにオープン3日前に臨時休館が決まり。そのまま会期が終わってしまったけど、夏の誘致展がなくなり、6月の企画もとび、驚いたことに夏休みに開催することができた。
とはいえ、当初日程で予定していた関連行事は、普及講演会もギャラリートークも子どもワークショップもすべて中止。かろうじて自然史オープンセミナーだけ、リモートで開催できた。ちなみに普及講演会をリモートで開催できなかった理由は、予定していた講師さん2人が、1人はリモート講演会はいやだ!と拒否(判らんでもない)、もう1人は担当学芸員がお願いしにくい〜、と断念(これも判らんでもなかった)。ついでにちなみに、ギャラリートークは中止になったけど、代わりに動画11本を収録してYouTubeで配信した。子どもワークショップ2プログラムは、内容は違うけど、子ども向けの外来生物についての動画2本を収録して、これまたYouTubeで配信した。このおかげで、学芸員はカメラの前で撮影されながら説明するのに少しなれた(知らんけど、私は昨日の収録で慣れていないことを八名させてしまったけど)。撮影する方々も、撮影、編集のスキルを身につけてきた。
会期がかわって、当初の広報がすべて無駄になった。変更した会期の直前に少しだけプレス発表とかしたけど、さほど効果があった感じがしない。その上、オープンしたとはいえ、密集は避けなくてはいけないので、マスコミに取材されていても、沢山の人に来てもらってもいいのか?という疑問付きという微妙な感じ。きっとそのせいだろう。改めて見返した入館者数は、あまり多くない。すっかり忘れていたけど、改めてけっこうショック。
●2021年5月1日 緊急事態宣言下の5月の目標

4月初めに大阪府に赤信号が付いて、対面行事が全面停止。館内でのサークル活動も自粛。4月25日からは、今年も緊急事態宣言。とりあえず5月11日までの予定らしいが、それまでに収まる訳もなく、無理矢理緊急事態宣言を解除しても、大阪府に赤信号が付いたままなのは必至。ということで、早々とだけけど、5月末までの対面行事はすべて中止になった。昨年と違って、講演会などはリモート実施するけど、土日の予定が大幅に空いたのは間違いない。平日の講演依頼もなくなったし、どうやら今年も繁殖期の鳥の調査は断念せざるを得ない感じ。そんなこんなで、平日の予定も大幅になくなった。
昨年は、臨時休館の間に、館内各所に放置してあった標本の整理・片付けを進め、とても片付いた。でもそれが一段落してしまうと、けっこうぼんやり過ごしてしまったという反省がある。という訳で、前置きが長くなったけど、月ごとに目標を立てた方が良さそうと思いついた。とりあえず5月の目標を(おそらく6月も同じような状態と思ってるけど…)。

調査系では、大阪府内のため池で繁殖する鳥の調査は昨年に続き断念。
・地元公園でのカラスの巣チェック。周辺のため池と大和川の水鳥調査。これは家から自転車で一人巡るだけなので実施。
・昨年ほど今回は外出にうるさくないようなので、毎月実施してる大和郡山と宇治川でのハッカチョウ調査は、ちょちょっと実施の予定。

標本系では、なにわホネホネ団の活動が全面停止なのがいたい。
・鳥の仮剥製作製を進めたい。目標は20点程度で。
・砂場からはウミガメとハセイルカとシマウマを回収して洗う。草むしりも。
・水漬けのホネを回収して洗う。
・洗い終わって箱詰めされたホネを、冷凍室へ放り込む。

普及系では、対面は中止だし、リモート講演も今月はなし。大阪自然史フェスティバルの実施の決定は6月以降に遅らせた。
・来年度の鳥の特別展の解説書の内容と展示プランをボチボチ考え始める。

原稿系。これを中心にすえよう。
・瀬戸内海・播磨灘・大阪湾岸の水鳥調査のデータ入力とチェックを終わらせる。
・頼まれた査読1本をこなす。
・チェックを依頼されてる原稿3本をチェックする。
・あと忘れてたけど、館報の原稿を書かなくては〜。
●2021年4月30日 2021年4月のまとめ 2回目の赤信号、3回目の緊急事態宣言、2回目の臨時休館

3月に緊急事態宣言が解除されたと思ったら、2週間経つと大阪府の新規陽性者数が増え始め、4週間目にはかなりの急増。そして、4月に入って1週間ほどで大阪府に赤信号、マンボウとかをはさんで、25日から緊急事態宣言。今回は臨時休館を要請され、24日にオープンした特別展は1日開いただけ。
そんな2021年4月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。ちょっとサボり気味だけど、カラスの巣チェックも継続中。
奈良県1コースと京都府2コースのハッカチョウセンサスは、予定通り実施。京都府の2コースは1日で一気に実施した。
若ごぼう調査は最後の追い込み。奈良盆地南部、南河内〜橋本、北河内に3回の遠征にでかけた。

ホネホネ団の活動は赤信号が出たので断念。標本作業は、ラマのホネを洗っただけ。

担当の普及行事は、1日のジュニア自然史クラブと、2〜4日の友の会バックヤードツアーは実施できたけど、その後の対面行事はすべて中止。17日のオープンセミナーと、29日の活動報告会はリモートで実施。
大阪鳥類研究グループの観察会は中止。この繁殖期に予定していた大阪府のため池で繁殖する鳥の調査を断念するか迷ってるところ。
3月末に終了した自由研究の展示は、半分以上が赤信号が出る前に取りに来てもらえた。残りは郵送と、取りに来るのが2件。が、赤信号やら緊急事態宣言で取りに来にくくなって…。結局、1つはこっそり受取に来てくれて、もう1つは送付した。

講演は、自然史オープンセミナーと、活動報告会の2本。大阪鳥類研究グループが、自然史オープンセミナーの見逃し配信を見てくれて、わりと評判がいいような。で、2週間過ぎてもみれるようにしておいて欲しいと言われたので、当面配信を続けるつもり。
委員会関係は、委員会はなかった。けど、某所のオオタカで、ドローン飛ばして測値するという案件が持ち上がり。急遽対応。早くから判っていただろうに、ちゃんと委員会ではかっとけや!って案件。
査読は1本頼まれたけど、まだやってない。論文書きは進まない。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系5冊と、SF3冊と、ライトノベル1冊。
完全休養日は2日。
●2021年4月29日 自然史博物館にとってのリアル

新型コロナウイルス感染症が広まったせいで、対面での行事がしにくく、あまつさえ博物館が臨時休館にもなったりして。実際に顔を合わせる機会が減って、リモートでヴァーチャルにやり取りするしかなくなりつつある。リモートでの活動にメリットはあるけど、博物館活動へのデメリットも大きい。そんな状況をどう考えて打開するか、ってなテーマのパネルトーク。
やはりヴァーチャルではなくリアルの意義とか、博物館でリアルにふれあう意義。といったフレーズが繰り返し出てくる。なんか違和感。
自然史博物館という場に集う意義は高さは同意するし、自然史博物館でしか出会えないリアルがあるのも確かだし、自然史博物館でしかリアルに出会えない人もいるだろうと思う。でも、あえて反発してみよう。

自然史博物館にとってのリアルは、博物館にあるのではなく、フィールドにこそある。自然史博物館の機能は、フィールドでリアルに出会うのを手助けすること。リアルを見つけ、学び、楽しむことをサポートすること。いわば、リアルに誘導するための装置。展示は、フィールドにつながってこそ完成する。とまあ、そういうイメージでいるし、そういうつもりで展示を作ってる。
だからリアルは、リモートの向こうのそれぞれの人に周囲にある。博物館という装置抜きでも、リモートでも、それぞれ人をリアルにつなげられれば、それはそれで成功。自然史博物館の機能はちゃんと果たせてる。
展示などの箱がない自然史博物館は存在しうるという議論につながる。でも、前にも書いたけど、博物館に集う意義自体はとても高い。リアルにつなげるのも、リモートより簡単な部分が多い。だから安易に箱はいらないという話にはならない。

それぞれの人をフィールドにつなげるためのヴァーチャルな装置(=プラットフォーム)には、どんな機能が求められるだろう? そもそもそういう意図を明確にもって活動した例があまりなさそうだけど、いくつか大切なポイントはありそう。
・博物館に集わなくても、学芸員という存在があるコアはあった方が機能しやすそう。
・仲間がいて、交流できた方が機能しそう。
 たとえば、コアからの情報発信やガイド。それに基づく、それぞれのリアルについての情報を、コアに集めるフィードバック。それをまとめて、コアから発信。といったループを作ったら盛り上がるんじゃなかろうか?
なんて言ってて、ふとこれはカキのスーパー調査や、若ごぼう調査と同じでは? と思った午後。
●2021年4月28日 2020年度の行事のまとめ、2019年度と比較して

とある報告会で話さないといけないので、整理した。先の会議でのまとめより、ちゃんとまとめた。
この一年ほどの間で、対面行事が中止になったのは、以下の期間。
・2020年2月19日〜7月31日(最初は大阪市の要請、後に緊急事態宣言、最後は再開準備のため中止)
・2020年12月3日〜2021年2月29日(大阪府赤信号が付いたり、緊急事態宣言が出たため)
・2021年4月7日〜5月31日(大阪府赤信号が付いたり、緊急事態宣言が出たため。未来も含んでるけど、終息はしてないでしょう)
ということで、結局、2020年度に対面行事ができたのは、8月から11月と、3月の合計約5ヶ月間だけ。ちなみに昨年の7月まではリモート行事も実施していないが、12月以降は実施している。

というわけで、2019年度と2020年度の行事実施状況を比べてみると。
●2019年度
 野外行事 88回計画 →実施72回、雨天中止9回、コロナ中止7回
      <博物館>57回計画 →実施47回、雨天中止5回、コロナ中止5回
      <友の会>31回計画 →実施25回、雨天中止4回、コロナ中止2回
 室内行事 74回計画 →実施70回、コロナ中止4回
      <博物館>68回計画 →実施64回、コロナ中止4回
      <友の会>6回計画 →実施6回

●2020年度
 野外行事 87回計画 →実施28回、雨天中止3回、コロナ中止56回
      <博物館>54回計画 →実施20回、雨天中止1回、コロナ中止33回
      <友の会>33回計画 →実施8回、雨天中止2回、コロナ中止23回
 室内行事 96回計画 →実施44回、台風中止1回、コロナ中止51回
      <博物館>85回計画 →実施39回、コロナ中止46回
      <友の会>11回計画 →実施5回、台風中止1回、コロナ中止5回

当然ながら、野外行事へのダメージの方が大きい。


●2021年4月26日 大阪のイワツバメの謎

大阪府では、1988年に枚方市で繁殖が確認されるまではイワツバメは旅鳥。1990年代、2000年代と繁殖分布を拡げている感じで、南河内と北摂(主に山間部)、そして一部北河内(?)に繁殖地が点在するようになっている。
こうした傾向は、奈良盆地でも京都府南部でも当てはまり、なんとなく増加傾向にある鳥というイメージだったのだけど、そうでもないと知ったのはつい先日。そして、増えているのは二重に不思議だと気付いた。

現在まとめられつつある全国鳥類繁殖分布調査。中心的に動いているバードリサーチの方が、その成果を少しずつ発表してくださっている。それによると、空中採食性の鳥は減少傾向にあるらしい。
◆植田睦之(2020)空中採食性の鳥が減っている? 全国鳥類繁殖分布調査の結果から.バードリサーチニュース2020年6月:3.https://db3.bird-research.jp/news/202006-no3/
もちろんイワツバメも減少傾向にある。ただ、イワツバメのそもそもの分布の中心は東日本で、その東日本では減少している。が、近畿地方や九州といった西日本ではむしろ増加している。全体的には分布の中心が西に移動した感じかも。
でも、どうして東日本で減少して、西日本で増加してるの?

植田(2020)は、イワツバメだけでなく、ツバメやコシアカツバメも減少傾向にあるとしている。その点に関しては、大阪府も同じ。それじゃあ、大阪府ではツバメやコシアカツバメは減ってるのに、イワツバメは増えてることになる。
どうして、イワツバメだけ増えてるの?

大阪府でいえば、市街地のツバメが減少してる。コシアカツバメも市街地では減少してるけど、山際や山間部にはいるので、分布が山側に後退した感じ。一方、イワツバメが増えてるのも、どっちかと言えば、山間部よりが中心な気がする。
もしかしたら、市街地が空中採食性の鳥にとって住みにくくなっているだけなのかも。まあ、日本の他の地域には当てはまらなさそうだけど。イワツバメは、市街地に進出しつつある気もするけど。
●2021年4月25日 海洋地下の生物相

今日から緊急事態が宣言されて、特別展をまきこんで博物館は臨時閉館。その前から赤信号が出ていて、行事は中止だし、サークル活動も自粛。つまり週末の予定が一気に吹っ飛んだので、割と時間的余裕がある。というか、はっきり言って暇。それでいて調査に出るのもはばかられる雰囲気になっている。おのずとデスクワークに励むことになる。で、ふと気付くとリモートで講演会をやる日ではないか。という訳で、なんとなくYouTubeの大阪市立自然史博物館チャンネルを立ち上げた。
タイトルをぼんやり見て、深海底の生き物の話かと思ったら、深海底のさらに下の地下の話だった。この手の話が初めてだったので、とても面白かった。デスクワークしながら、ぼんやり聞こうと思っていたのに、面白いので、かなり真面目に聞いてしまった。
地下生物圏という言葉は知っていたけど、かなり怪しい話かと思ってた。が、調査が進むにつれて次々と驚きの事実が分かってくる科学の最前線であった。講師の人は自分が関わった論文を引用しながら説明してくれたりするのだけど、NatureやScienceに掲載された論文がいっぱい出てくる。世界的にすごい業績の人らしい。

とにかく、深海底のさらに下の地下にも、微生物(細菌や菌類)の世界が広がってるのは確実。少なくとも、地下1km以上、摂氏120度の世界にも生命圏が拡がっているのは確認されていて、それがさらに拡がっているかは謎なんだとか。マントル上部にまで及ぶ可能性があるといわれると盛り上がる。
海洋地下の生命は、岩石の隙間や間隙水中で暮らしていて。海から供給された物質だけでなく、岩石中の物質を利用して、ほんの少しのエネルギーを使って、ゆっくり生きてるような休眠しているような状態らしい。増殖するのにどのくらいかかるんだろう? とても古い時代のまま現在に生きてる可能性もあって、地下のタイムカプセル状態。
海洋地下の微生物相は、そこが陸上だった時(どんだけ昔?!)の微生物相に似てるらしい(多様性は大幅に減少)。でも海洋地下の微生物相はそこの環境条件に支配されてるという説明もあった(つまり、地域差はない)。一方で、地下の微生物は原則動かないとも言っていた。となると、地域差がるように聞こえるのだけど?? まあ生物プロパーの人出はないし、まだまだ謎だらけと理解しておこう。
●2021年4月24日 最終日かもしれない特別展初日

って宣伝したら、ってゆうかそうであれば、慌てて大勢の人が会場にやってくるかと思ったのに。そういうこともなく、穏やかに一日が過ぎていっただけ。それでも初日に何人も知り合いの顔を見た。明日から緊急事態宣言で閉まるのは判ってるから、わざわざ初日に見に来てくださったもよう。
速報値だけど、今日の入場者数は、185人(有料76人、無料109人)。なんとフリーパス(会期中何度でも入れるチケット)が6枚も売れた! 今日しか開かない可能性があるのに、というか今日しか開かない公算がけっこう高いのに。はっきり応援と判る。ありがたいことです。

昨年の外来生物展も、新型コロナウイルスでえらいめにあった。当初会期は、3月1日〜5月31日。しかし、2月27日に、2月29日からの臨時閉館が決まる。準備も大詰めだったけど、開かないと判って、やってられるか!と放り出して帰った。他の学芸員も似たようなもの。おかげで、展示が完成したのは3月半ば。少し事態が緩和されて、一瞬特別展開けられるかも、って思った数日があったんだな。でも、結局開けず。
ただ、幸いなことに、夏に予定していた誘致展が早々にキャンセルされ。6月に予定されていた企画もぶっ飛んだ。なんと夏が空いたので、そのまま展示を放置して(生品があったので、エサやりだけ続けた)、6月9日〜8月30日に会期を変更して、開くことができた。

てっきり昨年が最悪と思っていたけど、今年の大阪アンダーグラウンド展の方が最悪だった。今年は、4月10日頃にはちゃんと開くか判らない状態が続いた。準備をする意欲をそぐこと甚だしい。それでもちゃんと展示を完成させた担当者は素直に偉いなぁと思う。
冗談のように、オープンできないか、1日だけオープンできるか、と言ってた。直前までどうなるか判らなかったけど、結局、1日だけのオープンという一番驚きの結果に。
とりあえず臨時閉館は5月11日までだけど、その後、臨時閉館が延長される公算は高い。はたして、会期末の6月20日までに再び開くことができるのか? ちなみに今年は夏の誘致展がすぐ後ろに控えているので、会期の延長や変更は難しい。もし開けなければ、当館史上一番短い会期(1日)の一番来場者の少ない(185人)特別展として歴史に名を残すことになる。
と、どきどきだけしてても仕方が無いから、来場者のいない展示をいかした企画が複数計画されている。まずはギャラリートークの動画撮影だそうな。
●2021年4月23日 読書サークル 第113回会合覚え書き

隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。またもや新型コロナウイルスが感染拡大して、2月の会合に続いてリモート開催。次回もリモートになりそうな気がするなぁ。ってことで、リモートでの会合をすることになった。今日の会合で出た本についての意見を記録。 今回の課題本は8冊。1冊繰り越されてきて、4冊繰り越したので、5冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。

●「はっけん!ニホンイシガメ」
(紹介文6つ、平均★数は3.3)
 イシガメ好きは絶賛する。でも、そうでもない人は、後半の解説パートは、イシガメに限らず、淡水ガメ全般に当てはまる話やんねぇ、と冷静に指摘。でも、イシガメ好きの勢いが強い。

●「つっぴーちゅるる」
(紹介文2つ、平均★数は3.0)
 鳥の鳴き声を文字で評価している部分は評価は高め。でも、鳥の名前が出ていない、というのが不満な人もいて。付録に大人向けの解説文があるのだけど、そこにも1羽だけ出てくるキクイタダキへの言及がない!と憤慨してた。

●「植物はなぜ毒があるのか」
(紹介文5つ、平均★数は2.8)
 タイトルが中身を示していなくても気にならない人は、楽しく読んでいた。しかし、タイトルを多少とも気にした人は、欺されたという意見が大きかった。副題も内容に関係ないしねぇ。結局、植物の“毒”と人との関わりがいろいろ載ってるだけ。それもあまり体系だってないというクレームあり。どうでもいいネタを混ぜすぎとか、勝手に自分で疑問を出して答えるなんてことするから分量が無駄に増える。とまあ不満が噴出しまくり。

●「電柱鳥類学」
(紹介文5つ、平均★数は3.0)
 全員の評価は一致。大きな不満は出ないけど、絶賛もないのは、鳥の話が少なめで、おもに電柱と電線の話だから。電線や電柱について、とても勉強になった。という感想が多い。

●「都市で進化する生物たち」
(紹介文3つ、平均★数は4.0)
 全員が絶賛。とにかく興味深い事例が連発するので、多少のツッコミ(進化ではない事例もけっこう出てくるので)はあっても絶賛はかわらない。
●2021年4月22日 今度の都市の自然展は、「都市で進化する生き物」にしたいかも

『都市で進化する生物たち』という本を読んだ。進化が意外と短い時間の中でも起きているというのはダーウィンフィンチでの研究をはじめとして、近年さまざまな生物で見出されるそうになってきた。そういう視点から行われたさまざまな都市の生物の研究が紹介された一冊。都市とは一種の島である。ってことは今までも比喩的に言われてきたけど、本当に島のように、ここの都市、ここの緑地で進化が起きているとは驚き。
大阪市という大都市にある自然史博物館としては、都市の生き物を取り上げるのは必然。というわけで、過去に2回、都市の自然の特別展を開催してきた。今までのテーマは、
・都市という人工的な環境でもさまざまな生物が暮らしている。
・人間活動の影響を受けて、都市の生き物の種組成や暮らしぶりは時間と共に急激に変化している。
といった感じだった。都市での急激な変化は意識していたが、そこに進化という視点はなかった。しかし、次の都市の自然の特別展では、都市での生き物の進化、という視点は外せないだろう。困るのは、日本ではまだまだそういう視点の研究が少ないこと。『都市で進化する生物たち』を読んで刺激を受けたみなさんが、これから研究してくれるといいんだけど。
●2021年4月21日 ヒバリとケリは減ったと思う

今日は、月に一度、自転車でため池を巡って、水鳥をカウントする日。ついでにため池の周りにいる陸鳥も記録する。ため池があるのは、公園か農耕地。なので、ため池の周りの農耕地の鳥も調査しているようなもの。水鳥は個体数を数えているけど、周囲の鳥は種名を記録しているだけなので、調査としては雑。それでも25年から続けているから、何かしらの傾向が見いだせてもよさそうに思う。
3月から4月になると、農耕地の鳥たちは(というかもっぱらケリとヒバリだけど)、繁殖期に突入。ヒバリがあちこちで囀り、侵入者を警戒するケリの大きな声が響き渡る。というもんだと思っていたのだけど、この春はヒバリやケリの声をあまり聞かない気がする。同じように月に一度水鳥の調査に行ってるけど、陸鳥の種名も記録している大和川でも同じようにヒバリの囀りをあまり聞かない気がする。
そういえば、1〜2年ちょっと前から前から、大和郡山の農耕地周辺や、宇治川沿いを歩いて、鳥のセンサス調査を、これまた毎月行ってるけど、これまたヒバリやケリがあまり多くない。
ヒバリとケリは減ってるんじゃなかろうか?

大阪府の農耕地で繁殖する鳥は減少してるんじゃないかというのは、けっこう以前から思っていて、1999年や2011年に大阪府内の各地の農耕地の鳥の調査を実施している。2011年の結果をまとめた時の記述を見返すと
「ケリとヒバリの情報が一番多く集まっています。ただし調査をして回っている印象では、ヒバリよりもケリの方が、標高の高い田んぼにもいる、狭く分断化された田んぼにもいるなど、広い環境にいるように思われます。今後の調査でも注意してみたいポイントです。一方、セッカはヒバリよりもさらに広い草地環境を求めるようで、全体に記録が少なく、農耕地よりは主に河川敷で記録されています。」
と書いている。少なくともケリとヒバリは広くいた様子。

かつては、農耕地の減少や分断化が、ケリやヒバリやセッカの減少を招いてるんじゃないかと思っていた。でも、今年あまりヒバリやケリがいないのは、以前が生息していた農耕地でヒバリやケリの姿が無くなってる気がする。さほど農耕地の広さは変わってないのに。なにかもっと質的な変化があったんだろう?
ともかく過去25年からのデータがあるはずなので、見返してみる必要がありそう。
●2021年4月20日 地中をよく利用する哺乳瑠の特徴

ハタネズミとアカネズミの比較でいえば、耳が小さく、目が小さく、尻尾が短いってのが地中生活よりの種の特徴らしい。ただ尻尾が長いのはむしろ木に登るためという話だけど。アナグマとタヌキの比較していいなら、耳が小さく、尻尾が短いに加えて、脚が短いというのも地中生活者よりの特徴かもしれない。こうした特徴は、モグラ類にもれなく当てはまるから、正しそうな気がする。でも、ツチブタという厄介な奴が…。
もし耳が小さいのが地中生活者よりの特徴なら、テンよりイタチの方が、地中をよく利用してるのかな? なんて思ったりもする。
ちょっと話は違うけど、洞穴棲の動物はしばしば色素を失うのか白くなってる。太陽光が当たらないから、色素を持って無くてもいいんだろう。だとしたら、完全な地中棲の動物だって白くなって良さそう。じっさいハダカデバネズミとかは白い。それなのに日本のモグラ類があまり白くないのは、地中からけっこう出てくるからってことかな?
●2021年4月18日 地中を利用する哺乳類のお勉強

アンダーグラウンドな陸上動物の展示をつくらないといけないので、急いでお勉強。どうやら大阪府に棲息する哺乳類に関して言えば、あげるべきは3グループで良さそう。

食肉類
・アナグマ:イギリスのヨーロッパアナグマだと、数100mにもなる巣穴の例があるそうだけど、日本のアナグマ研究では、巣穴の入口しか調べてないような。1m以下と1m以上には分けていても、1m以上がどのくらい続いているか調べてくれていない…。穴の中のでの滞在時間がどのくらい長いのかも今ひとつ判らないけど、ねぐらと休息場所としての利用って理解でいいのかな。
・キツネ:こちらは出産と子育ての刃として巣穴を掘るらしい。長さは、せいぜい総延長でも10m程度って理解でいいのかな。建物の床下とか、暗渠や水管の利用もあるらしい。穴惚れない環境もあるからかな。
・タヌキ:とくに巣穴はなくてもいいけど、穴があればしばしば入り込むって感じっぽい。ねぐらや休息場所、あとは子育てに利用って感じかと。面白いのは、アナグマの巣穴を利用したって報告がいくつもあること。穴の入口にカメラを仕掛けた研究だと、同時に入ってることもある様子。タヌキとアナグマって意外と仲良し? これぞ同じ穴の狢。

齧歯類
・ハタネズミ:ハタネズミに限らず、スミスネズミやヤチネズミなど、あのタイプのネズミ。目が小さく、耳が小さく、尻尾も短い、あの顔つき。あれは地中のトンネルでの活動への適応なんだそうな。たしかにモグラもヒミズもそんな感じ、アナグマにも通じる。
・アカネズミ:一方、目が大きく、耳が大きく、尻尾が長いのは地上での生活向け。尻尾の長さは気などに登るためという理解すればいいらしい。

食虫類
・コウベモグラ:言わずと知れた地中生活者の代表格。言わずと知れすぎていて、それ以上の内容が少なめ。
・ヒミズ:小さめモグラだけど、食虫類屋さんは、半地下生って言い方をしてる。落ち葉の下やせいぜいリター層といった土壌の上の方にトンネルをつくる。それも立体的なモグラと違って、二次元的なんだそうな。

あがってきそうであがらないのは、
・ノウサギ:穴を掘りまくるのはアナウサギ(カイウサギ)。ノウサギは穴を掘らない。ちなみに穴の中で出産するアナウサギの子どもは、産まれた時は毛もなく、目も開かず、動かない。一方、ノウサギは、産まれた時から毛が生えていて、目が開いていて、すぐに走れるらしい。この差が面白い。
・リス類:大阪にジリスはいないので。シマリスは地中をかなり利用するんだなぁ。
・コウモリ類:洞窟は地中なのか問題ががあるけど、まあいいかな…。

【おもな参考文献】
・『日本の哺乳類学2 中大型哺乳類・霊長類』(東京大学出版会)
・『ネズミ けものの中の超繁栄者』(自由国民社)
・『食虫類の自然史』(比婆科学研究振興会)
・『ノウサギの生態』(朝日新聞社)
・島田将喜・落合可奈子(2016)アナグマ(Meles anakuma)とタヌキ(Nyctereutes procyonoides)が利用する巣穴付近における行動の違いと時間的ニッチ分化.哺乳類科学56:159-165.
・荒井雄大・森貴久(2020)山梨県上野原市能岳におけるニホンアナグマの巣穴環境調査と測位調査.帝京科学大学紀要16:97-103.
●2021年4月17日 地面に穴を掘って営巣する鳥

地面の下をよく利用する動物についての展示をしなくてはならなくなった。随分前からならなくなってるけど、なんとなく放置してた。そろそろタイムリミットが迫ってきたので、というか1週間後に完成してないといけないので、考え始めた。
哺乳類だと、地中生の種はけっこういる。モグラ類ほどでなくてもバロウシステムをつくるアナグマとかハタネズミをはじめ、地面に穴を掘って利用する種は多い。
両生類や爬虫類は、よく地面にもぐって冬眠する。カメ類は穴を掘って産卵するし、トカゲ系もけっこうそう。カエルではシュレーゲルアオガエルやタゴガエルもそんな感じ。大阪にはいないけど、地中生の種もけっこういる。大阪にいる種では、タカチホヘビが半地中生だろうか。
って考えて行くと、陸上脊椎動物の中で、鳥類だけがあんまり地中を使わない。地中生の鳥はいないし、冬眠もしないし、かろうじて地面や土崖に穴を掘って巣をつくって産卵する種がいる。日本にいる種でいえば、ミズナギドリ目のミズナギドリ類とウミツバメ類に数種ずつ穴を掘る種がいる。チドリ目ではウミスズメ科のウトウとエトピリカが穴を掘る。ブッポウソウ目では、カワセミ科のヤマセミとカワセミが穴を掘る。スズメ目ではツバメ科のショウドウツバメだけ。この中で大阪で繁殖するのは、現時点ではカワセミだけ。でも土崖に横穴あけるだけで、地中っぽさが少なめ。大阪に限定されると展示しにくいなぁ。
●2021年4月16日 特別展オープン1週間前

昔は、プレビューというのがなかったので、土曜日オープンの特別展の1週間前は土曜日だったけど。今は金曜日にプレビューが入るので、前の週の金曜日が1週間前。今年は、昨年に引き続き無事にオープンするか怪しくなりつつあるけど、オープンの可能性がある以上、やる気が多少減ろうとも、準備は進めなくてはならない。で、そろそろ自分の担当の展示のことを考えようかと展示室を見に行ってみた。
はぎ取り標本は、すでに全部設置されてる様子。石や鉱物がけっこう並んびだしていて楽しげ。植物の根っこや化石も並んできている。萌蔵がトンネルつくってる。一人で大変そう。なんかわからんマシンが置いてある。あとは酒瓶とかベントスとかもケースの前に置かれている。とまあ、それなりに準備は進んでいるけど、でもまだ1/3もできてない感じ。例年と比べて、この進行状況はどんなぐらいだろう?
ってことで、過去の数年の特別展を思い出してみた。

2020年の外来生物展の当初のオープン1週間前は、2月22日。こんなことが書いてあった。
解説書も、パネルやラベルの発注系も終わったので、いよいよ展示自体をつくるモードに。というわけで、今日は展示する標本を引っ張り出してきた。
少なくとも自分の担当部分に関しては、昨年も似たようなことを書いている。思い起こせば、この時点でそれなりに並んでいたのは、魚だけだったような気がする。

2019年は主催展はなく、2018年のキノコ展は3日前に見に行っただけで1週間前の様子が分からない。2017年の瀬戸内海展のプレビュー1週間前は、7月7日。#瀬戸内海展のツイートを見る限り、背景写真は貼られ、ドタブカは部ラサがs里、網はセットされているけど。あとは砂がセットされてただけっぽい。今年の進行状況は、むしろ早めかもしれない。
●2021年4月15日 自宅出張の失敗

新型コロナウイルスの急激な感染拡大を受けて、流行のリモートワークが推奨された。昨年の今頃は特別休暇の大盤振る舞いだったのだけど、今年はリモートワーク。そのためのシステムもマシンも用意したしってことらしい。リモートワークは、自宅出張という名前で呼ばれている。自宅にいるだけなのに、職場にはいないから出張という扱いらしい。変なの。
ともかく4月中に数日は自宅出張をとるようにというお達しがあった。で、とりあえず今日を自宅出張にしてみた。自宅出張はお作法が決まってる。自宅にいるだけとはいえ、午前9時から17時半の間は、昼休みを除いて仕事をしなくてはならない。で、とりあえず午前9時前に“今から仕事しまーす”って連絡を入れて、17時半過ぎに“仕事終わりましたー”って連絡を入れる。そんでもって、どんな仕事をしたのかを報告。少し面倒だけど、割と簡単。
で、今朝のこと、午前9時前に連絡を入れるどころか、普通に寝過ごしてしまった。一度寝過ごし、二度寝して、起きたのは昼前…。その後も、ゴロゴロと非生産的に一日が過ぎた。これでは自宅出張とは呼べないので、年休に振り替えた。
出かけなくていいとなると、起きれない〜。そして家にいたら、寝まくってしまう〜。自宅出張は極めて難しいんですけど、どうしましょう?
●2021年4月13日 今年も特別展は…?

昨年の特別展は、外来生物がテーマで、主担当だった。3月1日のオープン、2月29日のプレビューを目指して準備をすすめていたのだけど、2月27日に急遽2月29日から2週間の臨時休館が決まった。その時のツイートを見返すと、27日のテンションの急降下が目に見えるよう。そして、臨時休館が2週間で終わるとは限らんしなぁ、という予言の通り、臨時休館は6月頭まで続いた。予想できてなかったのは、夏の誘致展が早々に中止になったので、その空いた期間で外来生物展が開催できたこと。なんで今、そんなことを思い出してるかと言うと、今年もなんか同じような展開になりそうな怪しい空気が流れ出したから…。
今日、新型コロナウイルス感染症の大阪府の新規陽性者数が1000人を超えた。重症者数も増えて、すでに用意されたベット数を大幅に超えてる。これって普通に言って医療崩壊。赤信号だマンボウだではなく、緊急事態宣言だ休業要請だって話になるのは時間の問題。問題は休業要請の中に博物館も含まれるかどうか。昨年つくられた基準のままだったら含まれる。だとしたら、いつ休業要請が出るかどうか。この10日の内に出る可能性はけっこう高そう。すると今年も特別展がオープンしないことに。
今年も夏は誘致展が予定されている。それが無くなって、代わりに主催展を夏にってパターンという展開の余地が少なからずありそうな。昨年の出来事が再現されすぎだけど。
●2021年4月12日 リモート実習なんとかなるもんだ

今日は、鳥の調査についての室内実習を予定していた。が、新型コロナウイルスの感染拡大をうけて、4月5日に大阪府に赤信号が出て、対面の行事は5月5日まで全面中止に。昨年も緊急事態宣言が出て、この行事は中止になった。今年も中止か、と思ったけど、この行事の主要部分はリモートでもできるそう。ってことで、急遽リモート実施にしたら参加するか、を申込者に問い合わせ。ざくっと申込者は10組だったのだけど、5組は断念。でも5組は参加を希望したので実施することに。なぜか断念したのは、みんな昨年以前からの継続の人で、新規の人は全員リモートでも参加と答えた。対面の方がいいって思うかどうかの差だろうか?
対面実施なら、午前中は野外をウロウロして、調査にまつわる話をしてから、近所で実施できる研究計画を考えて発表してもらう。その部分はリモートでは難しいので止め。代わりに研究計画の立て方を少し詳し目にプレゼン。
いつも午後にやってる各人のデータ紹介もしくは研究計画の発表はいつも通りに。いつも通りに発表してもらって、それに質疑とコメント。発表するときは画像をオンにしてくれるのだけど、こちらが講義っぽくしゃべるときは、みんなマナーがよくってミュートで画像オフ。かえってしゃべりにくい…。一人だけ画像オンで、合いの手をはさんでくれてよかった。次回は、全員にできるだけ画像オンで、ミュート解除でのぞんでもらおう。
ちなみに参加者の発表は、データ紹介が3組。2組はいい感じなので、次回に向けて少しリクエストしただけ。1人は、まずはきちんとデータを示してもらおう。残る2組は研究計画っぽい内容。1人はとりあえず試してから修正してもらう感じか? 1組はまずは調査をするって視点でバードウォッチングをして、考えてもらおう。
●2021年4月11日 鳥類と哺乳類の標本点数 2020年度の状況

年度が替わったら、すぐに動き出すのが館報の製作。昨年度の活動をまとめて、冊子にして、宣伝できるように準備する。で、年度末時点の標本点数をチェックする。っていうか、この一年の間に増えた分をチェックして、一年前の数字に足す。今年も鳥類と哺乳類の標本点数の増加分を数えてみた。
もう4年前のこと、10年後の2027年に鳥類標本一万点、哺乳類標本五千点に向けての計画を立てた。これは、その途中経過の確認でもある。

2021年度末時点での鳥類標本は8629点、哺乳類標本は3776点。増加分は、鳥類438点と哺乳類194点。
2019年度の増加分が、鳥類130点と哺乳類114点。2018年度の増加分が、鳥類197点と哺乳類146点。2017年度の増加分が、鳥類201点と哺乳類139点。
2020年度は、新型コロナウイルス感染症に翻弄された。なにわホネホネ団の活動が制限を受けて、鳥の皮剥き行事もなくなった。でも、鳥類も哺乳類も登録標本の点数の増加は順調。その原因は、哺乳類はみさき公園から寄贈された骨格標本の登録をしたから、鳥類もいくつかの小規模な仮剥製コレクションの登録をしたから。自力で皮剥きした点数は例年よりも少なかった。
2020年のペースで考えてもあまり意味はなさそう。鳥類標本1万点まで残り約1400点。これをあと7年で達成するには、年間約200点。哺乳類標本五千点まで1230点ほど。これをあと7年で達成するには、年間約180点。微妙。まとまったコレクションを登録する方が早いかも。そういえば、寄贈を受けたけど登録できてない哺乳類の骨格標本の大コレクションがある。これを登録すれば、哺乳類だけは五千点は達成可能。

ちなみに2020年度に自分で皮を剥いた鳥は、27羽。過去はというと、2012年度115羽、2013年度53羽、2014年度38羽、2015年度52羽、2016年度51羽、2017年度39羽、2018年度36羽、2019年度33羽。減少傾向が続いている。
昨年度は、新型コロナウイルス感染症のおかげで、普及行事が中止になりまくったけど、それでできた時間は、標本作りに使えなかった。今年度こそ!
●2021年4月10日 大阪湾岸のカモメ類の分布

この冬調べた大阪湾岸のカモメ類の分布をプロットした。湾奥の北東部に偏るユリカモメに対して、湾奥にはほぼいなくて湾口の南西に偏るウミネコとオオセグロカモメ。全体にいるセグロカモメ。どこにもいないカモメ。明石海峡辺りには、なぜかウミネコが多め。淡路島中央部はカモメ類がほぼいない。すでに気付いていたことだけど、分布図にして再確認。でも意外と気付いていなかったこともある。
ユリカモメとカモメは昔から湾奥の北東部に偏って分布。というのは、2000年度からどうだったんだけど、2000年度頃には、けっこう南西の湾口部でも記録されていた。それが2000年度→2011年度→2020年度と進むにつれ、トータル個体数が減るにつれて、湾口部でさっぱりいなくなってる。
オオセグロカモメももともと湾口部に偏った分布だったけど、個体数が減った2020年度にはその偏りが強調された。というか、大和川河口とかにほとんどいなくなった。
ウミネコはこの20年の間の個体数減少がなかった種だけど、淡路島岸では減ってる。セグロカモメも全体に一様に分布しているとはいいつつ、淡路島東岸ではいなくなってる。淡路島での減少はおもに漁港での減少。漁業の衰退とかがあるんだろうか。
●2021年4月9日 迷って変えたら失敗

SNSで、失敗の多い人生で、なんかまた失敗しそう。どうしたら失敗減らせるかな?的な発言をしてる人がいた。おもわず、重要局面だけ失敗しないように中止するとかかなぁ、と関わってみる。少しやりとりして気付いたのは、先方がいう失敗は、ケアミスとか伝達ミスのようなミスのこと。こちらが想定していたのは、判断すべき局面で間違った判断を下すこと。たしかにどちらも失敗だけど、かなり毛色というかジャンルが違う。
なんてことを考えていて、久しぶりに法則を思い出した。どこまで汎用性のある法則かは知らないけど、我が辞書には、判断を迷った場合は、初期の判断に従うべし、というのがある。この法則が発見されたのは、学生時代のテストでのこと。答えに自信がない場合、迷った末に変えたら、たいてい間違っていた。それに気付いてからは、迷った時は変えないことにした。これのいいところは、迷った時に無駄な時間をあまり使わなくていいこと。けっきょくどっちが正解か判らないので、迷っても仕方がないのだ。
いま独りぼっちで幸せじゃないのも、迷った時に変えたからだな。と考えたら、なんか説明がつく。
●2021年4月8日 今年もため池で繁殖する鳥の調査を延期にするとしたら

休みの日なので、電車でGO!とばかりに若ごぼう調査に出かけた。しかし、世の中っていうか、大阪府では現在新型コロナウイルスの感染者数が急激に増加中。昨年の今頃ほどピリピリした状態ではないけど、そろそろ単なる外出への目も厳しくなりつつある。そんな中だけど、5月〜7月の期間に、大阪府内のため池で繁殖する鳥の調査を計画中。でも実施できるのか心配になってきた。まだ実施の望みは捨ててないけど、今年実施できなかった場合を考えておいた方が良さそう。
そもそも大阪府内のため池で繁殖する鳥の調査は、2000年に1回目を実施した。20年たった2020年に2回目を計画したのだけど断念。仕方が無いから1年延期して、この2021年に実施を予定していた。今年できなければ、来年にまた延期すればいいかというと、そうもいかない。何年かおきに実施している調査が他にもあるから。とりあえず当初予定は、こうだった。

【before corona】
 2020年:大阪府内のため池で繁殖する鳥の調査(第2回)
 2021年:大阪府下のコシアカツバメの生息状況調査(第2回)
 2022年:大阪市内の公園で繁殖する鳥の調査(第6回)+大阪市内のツバメ調査(第2回)?
 2023年:大阪府下の公園で繁殖する鳥の調査(第6回)+関西の駅で繁殖するツバメの巣調査(第2回)?

2024年以降は決まってないけど、2027年と2028年には、また公園で繁殖する鳥の調査が入る。2029年には大阪のカワウ・サギ類の調査。となると、空いてるのは2024年から2026年だけ。2021年にため池調査ができないなら、いっそ25年後の2025年に第2回のため池調査を入れて。第2回のコシアカツバメ調査は20年後の2026年に入れて。2024年には、1999年と2011年に続く3回目の農耕地の鳥の調査だろうか?

【after corona】
 2020年:<新型コロナウイルス感染症蔓延のため中止>
 2021年:<新型コロナウイルス感染症蔓延のため中止>
 2022年:大阪市内の公園で繁殖する鳥の調査(第6回)+大阪市内のツバメ調査(第2回)?
 2023年:大阪府下の公園で繁殖する鳥の調査(第6回)+関西の駅で繁殖するツバメの巣調査(第2回)?
 2024年:大阪府下の農耕地で繁殖する鳥の調査(第3回)
 2025年:大阪府内のため池で繁殖する鳥の調査(第2回)
 2026年:大阪府下のコシアカツバメの生息状況調査(第2回)
 
ただ2022年〜2026年には大和川水系の調査プロジェクトが入ってくる。ため池調査はハードなので、平行して実施するのは大変そう…。ただ2025年以降は諸般の事情から時間に余裕があるかもしれない。というメリットはあるかも。
●2021年4月6日 2020年度の普及行事のまとめ

突如として普及行事を仕切る担当になったのが、昨年の11月。で、4月になったので次の担当に引き継げばいいのだけど、次の担当は特別展の準備に忙しそうなので、しばらくは普及担当を引きずる。その間に、2020年度の普及行事のまとめという最後の仕事。この一年は行事が中止になりまくって楽と言えば楽だけど、リモート行事という新しい要素があって面倒といえば面倒。
せっかくなので、ついでに過去10年分の普及行事もまとめてみた。ぜんぜんデータを扱えない奴がやってたらしい年度のまとめは、メチャクチャで抜けも一杯。イラッとしたので、元データに当たって、過去のまとめの修正したりしてたら半日かかった。
当初の目的である2020年度の行事のまとめという意味では、分かった事はただ一つ、過去と比較しても無駄なくらい(ってゆうか異質過ぎてほとんど比較にならない)、行事が中止になりまくってたってことだけなんだけど…。
●2021年4月4日 少人数制バックヤードツアー

という訳で、3日間トリプルヘッダーのバックヤードツアーが終わった。ツアコンを担当したのは、初日の1回と、最終日の今日に2回の合計3回。ツアコンは初めてだったので、けっこう疲れた。
今回は、密集を避けるために、ツアー1班の人数が2〜6人程度。同時に3班がバックヤードをウロウロする。ってのを1日3回。それが3日間。27班で、5人ずつ対応したとすると、参加者は合計135人。
例年は1班の人数が15人ほどで、3班のダブルヘッダーが2日なので、対応できる参加者合計は180人。例年ほど多くの人に参加してはもらてないけど、密集を避けての実施で、まあまあの人数に対応できたと考えたいところ。なんせ、労力は合計12班→27班なので、倍以上になってる。
今回は、いつものように鳥の皮剥きを見せるのではなく、ツアコンを担当することになった。1時間以上も引き連れてウロウロするのはしんどいかと思ったけど、慣れてしまえばかえって楽だった。なんせ、3回ツアコンしただけだし。鳥の皮剥きは3日間のトリプルヘッダー×3班のすべてに対応しなくてはいけない。27回も同じようなことを説明する必要がある。例年12回説明するだけでも飽きてくるのに。
という訳で、来年も密集を避けて3日間のトリプルヘッダーが計画されているけど、ツアコンを担当したい。
●2021年4月3日 この20年の間のため池の消失率

2000年に大阪府内のため池で繁殖する鳥の調査をした。2020年に再調査しようとしたら、新型コロナウイルスが蔓延して断念せざるを得なかった。で、今年こそ再調査するぞ! 2回目の調査となると、まず気になるのは、どのくらいのため池が無くなったのか。それは、とりあえずは現地に行かなくても、いまどきグーグルマップをチェックすれば判る。グーグルマップは、おおよそ一年前の画像になってるから、そこで無くなってたら無くなってるとして、わざわざ調査にいかなくてもいい。もちろんこの一年の間になくなってるため池もあるだろうけど、調査すべきため池をかなり絞れるはず。
ってことで、グーグルマップで、2000年に調査した池1194ヶ所をチェックした。5時間半かかった…。結局、なくなっていたのは90ヶ所。消失率約7.5%。もっと減ってるかと思ってたので、意外と減ってないなぁ、というのが最初の感想。
消失率が高めだったのは、東大阪市、松原市、富田林市など。毎月、ため池を調査していて、いっぱいため池が減ってしまったなぁ、と思っていたのは松原市。たまたま消失率高めのエリアが、わがフィールドだったのね。
というわけで、今回は、約1100ヶ所のため池を調査したいところ。というか、前回の調査では枚方市や交野市に調査できていないため池がけっこうあったから、目標は1200ヶ所ってところだろうか。

【追記】
今年こそ2000年以来2回目の大阪府内のため池で繁殖する鳥の調査をするつもりだったが、4月25日から緊急事態宣言が出て、博物館は臨時休館、府内の出張も避けるようにというお達しが出た。
それでも、緊急事態が5月11日に解除されれば。と思ってたけど、5月31日まで延長。大阪府は新型コロナの病床が満床で、陽性が判明しても、入院できるのは10%以下。入院どころか診療も受けられず、自宅待機で、重症化しないことを祈るしかないという、医療崩壊状態。昨年以上にとても調査できる状態ではなく、5月7日に今年もため池調査を断念した。
こうなったら、調査は2025年にまわそう。それまでに新型コロナウイルス感染症が克服されていればいいけど。
●2021年4月2日 初めてのツアコン

今日から3日間、友の会会員向けのバックヤードツアー。例年は2月に開催していたけど、緊急事態だったので断念して、4月に再設定した。大阪での新型コロナウイルスの陽性者数がまた増えてきてるので、どうなるかと思ったけど、この週末はなんとか実施できそう。
例年は、鳥の皮剥きを見せる担当だったのだけど、鳥の皮剥きを見せると参加者が集まって密集すると言われて、剥いた仮剥製を展示するように言われた。それじゃあお役御免かと思ったら、ツアコンをするようにというお達し。この行事が始まった頃から、一度も欠かさず担当してるけど、ずーっと鳥の皮剥きを見せていたので、ツアコンはしたことがない。回るコースも知らないし、何を喋るのかもしらないし、タイムスケジュールも判ってない。完全に初心者。てっきり説明があるのかと思ったら、そんなものはないという。とても心配だけど、唯一の心の支えは、初めてのツアコンがもう一人いること。こちらは、一年前に採用されたばかりなので、この行事自体が初めて。この一年はろくに対面行事がなかったから、行事自体まだかなり初心者。負ける訳にはいかない。
さすがに初心者は、初日の1回目は当てられてない。なので、自分の担当の回の前に、ツアーに同行して確認。コースや話す内容を確認。大雑把な部屋の回る順は、タイムスケジュールの表にあるのだけど、部屋の中でどこに行くのかは、今回初めて知った。慣れてるツアコンさんは、時計をぜんぜん見てないのに、ちゃんと予定通りの時間で、次の場所に移動する。多少突発的な出来事があっても、大丈夫。熟練の技を見せられた感じ。これは難しそう。
今日はトリプルヘッダーで、出番は3回目。2回目は、もう一人の新人ツアコンのツアーについていって様子をうかがった。初めてとは思えないほどきちんとこなしていて、少しショック。ちゃんと時間守って回ってるし。説明につまって困ってるのを助けて自信を付けようという姑息なことを思ったのに!
で、自分の出番が回ってきた。時計をなんども見ながら、なんとか時間通り回れた。密集を避けるために参加者は2家族5人だけなので、目が届くし、反応を見ながら説明できてやりやすかった。というわけで、なんとかデビューを飾った。
●2021年4月1日 2021年3月のまとめ また新型コロナウイルス感染者数が増え始めたけど、イベントいっぱいでけっこう忙しい

2月末で一足早く緊急事態宣言が解除され、2週間経ったら、予定通りに。また新型コロナウイルス感染者数が増え始めた。3月末にはもう一度緊急事態を宣言してもいいくらいのレベルになってきてるけど、なんかふんわり日常を続けていいような雰囲気の中。大会、学会、総会、祭りと毎週イベントがあって、平行して若ごぼう調査もあって、けっこう忙しい。
そんな2021年3月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。ちょっとサボり気味だけど、カラスの巣チェックをスタート。
奈良県1コースと京都府2コースのハッカチョウセンサスは、予定通り実施。京都府の2コースは1日で一気に実施した。
若ごぼう調査は、奈良盆地中部、京阪本線、湖西線沿線、泉南方面、奈良盆地南西部に5回の遠征にでかけた。

今年初めて、ホネホネ団の活動ができた。冷凍室を少しでも空けようと思ったのに、大物が次から次へとやってきて、哺乳類の日2日はその処理に追われる。鳥の日の1日はやっと冷凍室を少し空けれた。

担当の普及行事は、久しぶりに対面行事も実施できた。ジュニア自然史クラブ、フィールドセミナー、植物園案内。久しぶり過ぎて、やり方がややあやしい。子ども祭りも実施できた! 昨年のリベンジができて良かった(我がホネ班はメンバーが集まらなかったが…)。
地域自然誌と保全研究大会は、はじめてのリモート実施。緊急事態は解除されても、こうした学会タイプの企画は(とくにポスター発表は)、どうしても密集しがちなのでリモート似せざるを得ない。
大阪鳥類研究グループの総会もリモート実施。
1月に工事のために臨時閉館していた本館がオープン。あわせて自由研究の展示も再オープン。無事に終了。撤収完了。

講演は、地域自然誌と保全研究大会と、大阪鳥類研究グループ総会。どちらもリモート。
委員会関係は、リモートで3回。
査読はなし。論文書きは進まない。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系1冊と、SF9冊と、ライトノベル1冊。
完全休養日は1日。
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