日記風覚え書き

2022年1月2月、3月
(2005年1-3月4-6月7-9月10-12月、2006年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2007年1-3月4-6月7-9月10-12月、2008年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2009年1-3月4-6月7-9月10-12月、2010年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2011年1-3月4-6月7-9月10-12月、2012年1-3月4-6月7-9月10-12月
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●2022年3月31日 2022年3月のまとめ とにかく特別展の準備!

本日31日、解説書の初校があがってきた。展示パネルは、写真以外は、テキストも図表も担当者に発注済み(はじめにと謝辞を除く)。種名ラベルは、剥製の以外、巣も卵も、本日31日、担当者に発注した。ようやく受注業者と連絡が取れて、巣の運搬の下見日時も決まった。ちゃくちゃくと準備は進んでいる。もしかしたら、特別展は予定通りオープンするかもしれない。
ちなみに中旬までは、相変わらずのコロナで、対面行事はのきなみ中止。可能なものはリモートでの実施。おかげで、特別展準備の時間的余裕は少し増えたかもしれない。特別展準備で追い込まれていて、リモートになった生態学会大会への参加は断念した。
そんな、2022年3月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。
奈良県1コースと京都府2コース(1日で調査するけど)のハッカチョウセンサスも実施。
地元公園の鳥のセンサスとカラス巣チェックはそれなりに実施。

ホネホネ団の活動は、コロナですべてキャンセルになった。

普及行事は、鳥類フィールドセミナーと植物園案内動物編は中止。地域自然誌と保全研究大会はリモートで実施。月末のジュニア自然誌クラブと子どもまつりは予定通り実施できた。
大阪鳥類研究グループの総会は、昨年に続きリモート実施となった。

講演は、0件。委員会はいずれもリモートで3件。
予定では、2月に書き終わる予定だった特別展解説書は、3月になっても書き終わらず。前半でなんとか書き終わり、急いで割付。22日になんとか入庫できた。で、31日に初校が上がってきたってわけ。

特別展関連では、解説書入稿の後、急いでパネルやラベル原稿を打ち出し担当者に発注した感じ。。
2月から、大阪市立中央図書館のエントランスでしていた鳥の巣と卵の展示を撤収した。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系3冊と、SF2冊。
完全休養日は1日。今年に入って初めて。


●2022年3月30日 久しぶりの野外行事

この2年は、新型コロナウイルスのせいで、普及行事が中止だらけ。2020年夏から講演会系はリモート実施できるようになったし、実習やワークショップもリモートで試みたりしてきたけど、野外行事はそうはいかない。観察会には、けっこう広い範囲(つまり他府県)から参加者がいるので、府県間の移動自粛が出ると、野外観察会は中止を決断している。緊急事態宣言はもちろん、まん延防止等重点措置が出ても中止。今までは大阪府のなんちゃら赤信号が出ても中止だったのだけど、今の赤信号は、赤いことは赤いけど、府県間の移動は自粛しなくていいらしい。ということで、久しぶりに野外観察会を実施。
いつ以来の野外観察会かといえば、昨年12月のジュニア自然史クラブ以来。今日もジュニア自然史クラブ。3ヶ月ぶり。
●2022年3月29日 子どもが考える巣のあり方

この土日に、大学生が企画・準備・運営する子どもワークショップで、鳥の巣について解説して、鳥の巣のミニチュアをつくるのをながめていた。子ども達が鳥の巣にどう反応するのか勉強になった。5〜6月にハカセ役で、鳥の巣の子ども向けワークショップをする上で、おおいに参考になった。
鳥屋的には、鳥の巣での滞在期間は捕食されやすく危険なので、
・出来るだけ早く巣立たせる。
・出来るだけ目立たない場所に、目立たない巣をつくる。
というのが、二大基本方針。というのが常識。が、子ども達の発想は違った。

鳥の巣は目立つとまずい。という説明がなかったからだろうが、めっちゃ装飾する子どもがけっこういた。
あと、トゲとかで武装する子どももけっこういた。

武装は思いつかなかったなぁ。でも、トゲトゲな場所に巣をつくったり、ハチの巣の近所で営巣したりは、近いものがあるかもしれない。
●2022年3月27日 子どもまつり2日目 鳥の巣班のプログラム完成

今日も一日、鳥の巣班に張り付き。昨日の反省点のまま
・導入は、巣場所の話と“こだわり”という語をはずし、巣の形と巣材に焦点をしぼる。
・説明する3つの巣について、巣の形と巣材のまとめのパネルを作製。
・ミニチュア巣の作り方の説明を整理してそろえる。
に見事に対応していた。昨日より、全員声が出ていたし、子どもへの声かけも出来ていた。驚いたのは、直前に誰が導入を喋るか決めて、作業の説明は場合によっては、プログラムの途中に突然立ち位置に基づいて指名していた。でも、みんなそれで原稿無しにこなしていた。突然指名されるとオタオタしてる場面もあったから、ローテーション組んでおいた方がいいようには思ったけど…。

今日は、予定どおり8回興行。でも、1回1回の人数が少なかったから、人数増やして興行回数減らすよりも楽かも。
それぞれの興行のラップタイムは、
1回目:8分+6分+7分+15分+3分=合計39分
2回目:8分+6分+6分+17分+5分=合計42分
3回目:8分+6分+6分+12分+3分=合計35分
4回目:8分+6分+6分+17分+2分=合計39分
5回目:8分+6分+6分+12分+3分=合計35分
6回目:12分+6分+6分+18分+3分=合計45分
7回目:8分+7分+9分+11分+4分=合計39分
8回目:9分+6分+7分+16分+4分=合計42分
という結果に。導入の内容を整理して減らした分、子ども達とのやり取りを増やしたから、1分しか短くなっていない。でも、子ども達の理解や食いつきは良くなったように思う。やっぱり40分プログラムだなぁ。

ちなみに子どもたちがミニチュア作りに選んだ巣のタイプは、
1回目:皿形2人、お椀形2分、穴1人
2回目:皿形1人、お椀形1分、穴3人
3回目:皿形2人、お椀形0分、穴1人
4回目:皿形0人、お椀形1分、穴2人
5回目:皿形1人、お椀形1分、穴1人
6回目:皿形0人、お椀形1分、穴1人
7回目:皿形0人、お椀形2分、穴2人
8回目:皿形1人、お椀形0分、穴3人
ということで、合計だと皿形7人、お椀形8人、穴14人。一推しの皿形はやはり人気最下位だけど、昨日よりは少し盛り返した。

昨日の皿形に続き、今日はお椀形と穴の巣をつくってみた。お椀形はとても難しい。鳥と同じようにはつくれない。というか、ものすごく時間がかかりそう。穴の巣はとても簡単。でも、格好良くはつくれない。卵を置く場所を確保するとなると、できる範囲が限られる。
総合的に、皿形の巣をつくるのが一番楽しい。ハンガー巣もつくれるし、産座ありヴァージョンとなしヴァージョンもつくれる。
●2022年3月26日 子どもまつり初日 鳥の巣班

わが鳥の巣班は、直前にワクチン接種したメンバーがいて、スタッフが足りるか心配されたが、予定通り4人そろった(Pfizerでよかった)。この4人で、1日8回の興行を回す。時間制限もあって、昼食時間がとれるかも微妙で、なかなかハード。
プログラムの流れは、
1:展示室で鳥の巣展示を見せながら導入
(部屋に移動)
2:鳥の巣のミニチュアづくりの作業の説明
3:つくる巣の形(皿型、お椀形、穴)を標本見ながら決めて、巣材をトレイに確保
4:巣のミニチュアづくり
5:卵のせて、袋に入れて、マイスター認定書わたして終了
という感じ。当初の予定では、導入5分、作業説明5分、作業15分、まとめその他5分の30分プログラムというイメージだった。
しかし実際は、
1回目:10分+5分+7分+20分+3分=合計45分
2回目:9分+6分+6分+18分+3分=合計42分
3回目:9分+5分+7分+18分+3分=合計42分
4回目:8分+5分+6分+11分+3分=合計33分(さらに講評+記念撮影5分)
5回目:9分+6分+6分+11分+3分=合計35分
6回目:9分+6分+7分+19分+4分=合計45分
という結果に。子ども達の作業スピードや打ち切り形のために、作業時間には幅があるけど、あとは安定していて、導入+説明15分、作業準備6-7分、作業11-20分、まとめ3分。作業時間を20分とすると、ざくっと45分プログラムだった。予定と違って、導入に時間がかかり、想定していなかったが子ども達の巣の形や巣材選びに時間がかかっていた。40分プログラムの目安にして、作業時間を15分前後にするのがよさそう。
もう1つ想定外だったのは、参加者が少なくて、8回興行の予定が、6回しかしなかったこと。おかげで昼食が食べられたし、休憩もできた。この想定外は明日も繰り返して欲しい。

ちなみに子どもたちがミニチュア作りに選んだ巣のタイプは、
1回目:皿形0人、お椀形2分、穴2人
2回目:皿形0人、お椀形2分、穴2人
3回目:皿形2人、お椀形2分、穴3人
4回目:皿形2人、お椀形2分、穴1人
5回目:皿形0人、お椀形3分、穴1人
6回目:皿形0人、お椀形3分、穴4人
ということで、合計だと皿形2人、お椀形14人、穴13人。一推しの皿形の人気が低い…。でも、一番リアルにつくれるのが皿形。枝でキジバトみたいな巣と、ハンガーを模したクリップなどでカラスっぽい巣をつくってみた。自慢のできだったが、ある男の子のすくった皿型の巣は、とてもよくできていて、負けた感が…。

終了後の今日のコメント
・導入での巣場所の解説は、後半の作業につながらないので要らないのでは? 巣場所の説明がなくなれば、コンパクトになる。パネルも要らなくなるし、“こだわり”という語もはぶきやすい(こだわりは、子どもには通じてなさそう)。
。導入での細かい巣材の説明は要らないと思う。皿形の外巣は、堅めのもの(枝やハンガー)。お椀形の外巣は、柔らかくて細長いもの(枯れ草やビニールテープ)。内装や穴では柔らかいものや、フワフワしたものを使う。って言えば充分。
・巣のミニチュアのつくり方の説明が、担当者ごとにずれている。その説明次第で、子ども達のつくるものが変わる。巣の構造の説明や、見本を見せる方が、実物に近いものができるだろう。
・前半はあまりできていなかった子ども達の誘導や声かけが、後半はかなりできてきていた。作業中や作業後にも、もっと声をかけて、子どもと話せるようになると、もっといい感じ。
●2022年3月25日 こどもまつり前夜

明日と明後日は、3月末の子どもワークショップ恒例の、こどもまつり。一昨年はコロナ禍で中止。昨年はそのリベンジを果たした。今年はどうなることかとヤキモキしたが、直前でまん延防止等重点措置が解除されて、なんかゆるい赤信号だけになったので、実施できることになった。せっかく3ヶ月以上かけて準備してきたので、実施できて良かった。
前日の今日は、直前準備。そしてなにより前日リハーサル。この期に及んで、怖いみなさんにダメ出しされて、ドロ縄で修正して、本番に突入する。
例年3班でやってるけど、昨年と今年は、参加できる学生が少ないせいもあって、2班。タイドプール班と鳥の巣班。もちろん鳥の巣班の担当。なぜか判らんけど、ドキドキする。

本番用に、鳥の巣を3つ出してくれと言われて、用意した。キジバトとメジロとミソサザイ。と言って出してきたけど…。


●2022年3月24日 日本の鳥の繁殖分布図で面白いのん

ってことで、26種を選んだんだけど、これで面白さのパターンはだいたい網羅してるけど、なんかもらしてるかなぁ。
●2022年3月23日 奈良の中学生にカラスの調査指南

最初は、カラスの巣を採りたいという相談だった。何をするのか訊ねてみたら、巣の構造や巣材を調べたいということだった。面白いといえば面白いけど、カラスの巣を採るのは、管理者の了解もいるし、リフト的なものもいる。時間とお金がかかる。中学生では難しいんじゃないかな。で、巣を採らなくても、カラスの巣材調査はできるんじゃ?
という話の流れから、いろいろカラスの巣をめぐる調査テーマを提案してみた。はてはカラスとシカの関係とかまで。ネックは、すでに3月下旬。ハシボソガラスの造巣の多くはすでに終わってる可能性が高い。出遅れ気味だけど、たいていの調査テーマはできるだろう。

・テーマ1:ハンガー利用
とりあえず巣材に興味があるなら、巣を採取しなくても評価できるハンガー利用の程度を緑地と住宅地で比較するのはどうかな? 木の多い緑地の巣ではハンガー使ってないけど、住宅地の巣ではハンガーをよく使ってるとか。緑地の中でも周辺部ではハンガー使ってるけど、中心部では使ってないとか。巣がある周辺に住宅がどのくらいあるかで比較するとか。

・テーマ2:ハシブトガラスとハシボソガラスの巣場所の比較
ハシボソガラスとハシブトガラスを見分けられるんなら、2種の巣場所を比較するだけでも面白いかも。ハンガー利用率も比較していいし、落葉樹と常緑樹のどっちをよく使ってるかの比較でも大丈夫。

・テーマ3:ハシブトガラスとハシボソガラスの反応比較
自分の経験では、巣を観察しててもハシボソガラスは平気で抱卵続けるけど、ハシブトガラスはすぐに巣から飛びだす。抱卵してる巣を見つけて、一定時間、同じくらいの距離から観察して、巣から飛びだすかどうかを比較するのも面白いかも。

・テーマ4:カラスは人を襲うか?
もし調査していて、こちらを警戒したり、威嚇してきたり、攻撃してくるカラスがいるなら、そのカラスの行動を観察して記録するだけでも充分研究になるはず。見つめていたら、襲ってこないのか? 怒りがエスカレートするパターンは? いろいろ観察ポイントはある。

・テーマ5:シカの毛をむしるカラス
奈良公園の近くだというので、それならシカとカラスの関係も面白そう。シカから毛をむしってるカラスを探して記録。ハシボソガラスとハシブトガラスのどちらが、よくシカの毛をむしるか?ってだけでも明らかになれば面白い。

テーマ5は少し経路が違う調査で、シカの周囲をウロウロするカラスを探さないといけないけど、その他はとりあえずカラスの巣をいっぱい見つければ、平行して調査も可能。その合間にテーマ5も気をつけておくとか。
カラスのハンガー利用を調べるなら、実験的にいろんな色のハンガーを設置しておいて、どの色を好むかを調べる。というのを提案するのを忘れていた。これも毛色が違うけど。
少なくともテーマ1とテーマ2は先行研究があるから、グーグルスカラーを教えておいた。どんな調査になるのか、けっこう楽しみ。
●2022年3月22日 解説書の原稿入稿

本日午後4時半、印刷屋さんに解説書の原稿を入稿した。これで、初校があがってくるまで、時間がかせげた。この隙に、
・標本ラベルの発注。
・展示用に表を仕立て直して発注。
・展示用の図の完成と打ち出し発注。
・展示用の画像のセレクトと打ち出し発注。
さらに
・展示室内の巣と卵の配置の確定。
というお仕事をしなくてはならない。一息ついてる暇がない…。

ちなみに解説書の今後のタイムスケジュールは、
・3月31日 初校受取
・4月5日 初校返し
・4月7日 二校
・4月某日 三校?
・4月13日 校了
・4月23日 納品
4月頭が忙しい。

さらにちなみに今日入稿した解説書の原稿は、
・図版8ページ:画像64枚+キャプション
・本文121ページ:テキスト、表15枚、図61枚+キャプション、画像2枚+キャプション
・引用文献5ページ:テキスト
・鳥名索引3ページ:テキスト
・付表6ページ:表+キャプション
・謝辞+奥付1ページ:テキスト
・扉絵12枚:画像
・表紙・裏表紙:画像
のすべてを渡した。が、直前にタイトル変わったから表紙と背表紙は差し替え、謝辞にも追加が付く。
●2022年3月20日 人工建造物/構造物で営巣する鳥のリスト

人工建造物と人工構造物って、どう違うのかなぁ?と思いつつ、適当に使っていたり、どっちかの統一したりを行き来している。今回の特別展では、人工建造物に統一してみた。家屋や橋とかが中心だと、人工建造物ってイメージがするなぁ。人工構造物は、建ってなくてもいい感じ。
ともかく、人工建造物/構造物で営巣するリストを作ろうと思いたった。特別展解説書のページに余裕があったからだが、人工建造物/構造物利用は、鳥の巣場所を考える上で、避けては通れないテーマだし。
一から作るのは大変だけど、すでにリストを作ってくれてる人がいる。

三上修(2019)鳥類による人工構造物への営巣:日本における事例とその展望.日本鳥学会誌68:1-18.

これを仕立て直したら、簡単にリストの表ができるはず。と思ったが、甘かった。三上さんはきちんとした研究者なので、自分が観察した例と、文献で引用できる例だけをリストアップしている。しかし、意外と人工建造物利用は報告されないらしい。漏れてるのがいくつも思いつく。
砂防ダムの穴で詠草するカワガラス、クレーン車で営巣していたハシボソガラス、山中に社寺の建物に巣をのせるミソサザイ、護岸の水抜き穴で営巣するカワセミ。そういえば、セキレイ類3種は車両によく巣をつくるし、シジュウカラはいろんな場所で営巣する。屋根の上でチドリ類が営巣するのも抜けてる。送電鉄塔のすき間で営巣するのも入ってない。電柱や橋で営巣する鳥ももっといろいろいる。水上の浮かんでない構築物ってカテゴリーもないなぁ。
もっと完璧なのをつくりたいけど、確かに引用できる文献が見当たらない。ネットにはいっぱい引っかかるのに。となると、まともな研究者の一画にいるためには、自分で観察したことがあるのと、博物館で集めた情報に含まれてるのんを漁るしかない。
意外に時間がかかるが、とても楽しい。時間におわれてなければ、もっとじっくり探るんだけどなぁ。でもふとした時間に考えてしまう。とても危険な企画だ。
●2022年3月19日 オオアカゲラ、かつては金剛山準特産種

かつて大阪府では、金剛山(及びせいぜい大和葛城山とか)の山頂部だけに分布している鳥がいくつもいた。
『大阪府鳥類目録』(日本野鳥の会大阪支部1987)をチェックすると(ジュウイチ、カッコウ、ツツドリは除いて)、

アオバト:金剛山と岩湧山で繁殖の可能性あり。
オオアカゲラ:金剛山と大和葛城山で繁殖期に普通に観察される。
ミソサザイ:金剛山は本種の大阪府下唯一の繁殖地。
コルリ:1970-1972年、及び1980年代にも夏期にさえずろが聞かれる。
クロツグミ:金剛山では以前、繁殖の記録がある。
キビタキ:金剛山、岩湧山で繁殖期を通じて記録がある。
ゴジュウカラ:金剛山で繁殖している可能性が高い。

コルリは、その後1990年代にはいなくなった。が、その他は、もれなく分布を拡大している。山地に広く分布するようになったアオバト、クロツグミ、キビタキ。金剛・和泉山系に拡がったミソサザイ。とりあえず和泉葛城山でも生息するようになったゴジュウカラ。
拡がり過ぎた3種は分布図作るのが面倒。生息地が2ヶ所のゴジュウカラは分布図作ってもつまらない。適度に拡がったオオアカゲラとミソサザイが一番分布図作りが楽しい。
ミソサザイは囀りで分布を把握できるので、かつて調査した。でも、オオアカゲラって生息確認が難しい。仕方が無いので、いろんな情報を引っ繰り返してようやく分布図作成。金剛・和泉山系の高い山とその周辺に拡がってるのが、ミソサザイに似てる。でも、能勢町や高槻市でも記録されているのが面白い。今後の展開に要注目な種。
●2022年3月17日 大阪のオオタカの動向

大阪のオオタカは波瀾万丈。そして、必ずしも希少種だからって訳でもなく、今後も目が離せない。

大阪府でのオオタカの繁殖歴は意外と浅く、1979年に河内長野市で繁殖が確認されたのが最初。当初、大阪府でも、日本全体でもとても希少なタカ類扱いだった。
が、その後、個体数は増加した。2000-2001年に実施された調査で48ペアが確認された。こんなにあちこちにいるとは!と驚いたもんだった。これならレッドリストのランクを下げた方がいいな、と思ったし。国でもレッドリストから外す議論が起きた。
しかし、後から考えれば、2000年前後が、少なくとも大阪府でのオオタカの繁殖個体数のピークだった。その後、オオタカは減少した。少なくとも山のオオタカは随分減って、2014-2015年には15ペアの営巣しか確認されなかった。ピーク時の1/3以下。再びレッドリストのランクを上げる必要がありそう。

山で減ってしまった一方で、2007年以降、平地〜丘陵地の市街地周辺の緑地での営巣例が増えた。2007年、吹田市万博公園で繁殖を始め、継続している。2011年〜2012年、大阪市桃ヶ池で営巣を試み、2012年には堺市履中陵や枚方市山田池でも繁殖。山田池での繁殖は継続している。その後、堺市、富田林市、岸和田市など、あちこちの緑地で繁殖記録がある。おおむね標高100m以下の場所。なんと2018年には大阪城公園でも巣をつくりかけたという。
標高100m以下の場所に限れば、繁殖ペア数は増加している。どうして山で減少に転じたのか?どうして市街地周辺に進出したのか?いろいろ謎が多いオオタカの動向。
●2022年3月15日 大阪府で繁殖している鳥について、手持ちの情報を見渡す

大阪府で繁殖している鳥について語ろう、できれば分布図作ろう。って思った。で、振り返ってみると、2000年以降は、けっこういろいろ調査していて、その結果をひろえばそれなりに分布図が作れる。でも何をチェックすればいいかを思い返すのに時間がかかった。
大雑把にいえば、大阪鳥類研究グループと、大阪市立自然史博物館のプロジェクト調査の成果を見渡せば、それなりに色々分布図が作れる。

大阪鳥類研究グループの調査として、2000年以降の繁殖分布図作るのに役立つのは、
・2000のため池で繁殖する鳥の調査
 →アイガモ、カルガモ、カイツブリ、バンこれでほぼ分布図が描ける。
  コブハクチョウとオオバンは足りない。ので、他の情報を足す必要がある。
・2004・2005年のミソサザイ調査
 →ミソサザイはこれで完璧。
  他の山で囀る鳥もかなり拾える。
・2006年のコシアカツバメ調査
 →コシアカツバメとイワツバメはこれでいける。
  ヒメアマツバメは前後があるので、微妙。
・2011年の農耕地で繁殖する鳥の調査
 →ケリ、ヒバリ、オオヨシキリ、セッカはこれでほぼ分布図が描ける。
  キジやコチドリは埋立地などのもれがある。イカルチドリ情報は少し拾える。
・2015+2016年のソウシチョウ調査
 →当時のソウシチョウの分布はこれで完璧。その後拡がったけど。
  他の山で囀る鳥もかなり拾える。
・2009年と2019年のカワウ・サギ類調査
 →カワウとコロニーつくるサギ類はこれで大丈夫。
  ササゴイは押さえ切れていない。

大阪市立自然史博物館のプロジェクト調査としては、
・2003-2006年の大和川水系調査プロジェクト
・2007-2010年の淀川水系調査プロジェクト
 →和泉以外のイカルチドリ、カワガラス、コシアカツバメ、イワツバメは拾える。
・2014年のイソヒヨドリ・ムクドリ・ハッカチョウ調査(都市の自然調査プロジェクト)
 →当時のこの3種は押さえた。

この他にも調査してるし、なんだかんだで自分のフィールドノートは重要な情報源。また情報募集してて、興味深い情報が混じってたりする。猛禽類や夜の鳥以外は、だいたい繁殖分布をつくる情報が手元にありそう。
ただ、複数の環境タイプにまたがって生息する鳥は、複数の調査を見渡さないと分布図つくれないので、かなり面倒。全部をデータベース化して、一発で引っ張り出せるようにしたいけど、情報量多すぎて大変。とりあえず山で囀る鳥の分布図作ってみたいなぁ。今回時間がなくて断念だけど。
あと、2001年の大阪鳥類調査グループの河川で繁殖する鳥の調査が今一つ役に立たない。山間部ははずしたから、イカルチドリとかのデータがまとまってたらいいのに、そうもなってない感じ。
●2022年3月14日 大阪府の繁殖分布3枚:ヒメアマツバメ、イカルチドリ、カワガラス

大阪府の鳥の分布図の追加。とりあえず今日1日かかって、3枚つくった。イカルチドリとカワガラス、そしてヒメアマツバメも、大和川水系と淀川水系の河川沿いの調査でおおむね把握できてるはずなのだけど、
・和泉地域の調査が漏れてる。
・イカルチドリは、明らかに漏れてる情報がある。河川沿い以外での繁殖例もあるし。
という訳で、自分のノートや野鳥の会の情報をあさる必要がある。総ざらえは面倒なので、2000年以降に絞る。自分のノートの情報がすべて入力されていたら、楽なのになぁ。

ヒメアマツバメは、2000年に豊野町で繁殖初確認。2006年には柏原市と岬町で繁殖確認。2015年には太子町でも繁殖した。このうち繁殖が継続してるのは柏原市と太子町、のはず。他にヒメアマツバメが使ったっぽい巣が、熊取町などでも見つかってる。
2011年に河南町のコシアカツバメの集団繁殖地で、入口に羽根の付いた巣があったのを思い出した! 確認に行ってなかった〜。あと、冬にヒメアマツバメがよく出るのは猪名川。近くに繁殖地があってもよさそうな。

イカルチドリの情報があるのは、男里川、大津川・松尾川、石川・大和川、天野川、淀川、芥川、安威川、猪名川・余野川。他に近年、堺市と能勢町でも繁殖記録があったはず。あと、なぜか屋上繁殖例があるんだな。

カワガラスがいるのは、大阪府南部では、金剛山から犬鳴山までの標高の高い山の渓谷。生駒山地にはいない。北摂山地では、水無瀬川、芥川、安威川、箕面川、余野川、初谷川、山辺川、天王川。20年ほど前と比べると遭遇頻度が下がったと思う。
●2022年3月13日 関東中心、昭和時代のハッカチョウのお話

をうかがった。
大阪府のハッカチョウ情報を集め、西日本に手を広げ(沖縄県は除く)、それならと東日本にも手を伸ばし。近年だけでなく、過去の情報も集めよう。と思ったところで、大きな壁にぶち当たる。
どうやら、キーパーソンは、N末さんらしい。とりあえず鳥学会大会で会ったら、話をうかがおう。と思ったけど、会わない。されば、講演会にお招きして、ついでに話を聞き出そう。が、コロナ禍に突入して、リモートはできないという…。
が、今日、ついに2年越しのお願いが通じて、リモートで講演していただけた。2年の間にZoomの使い方を覚えて下さった!
さすがはN末さん、期待通り、ここ数年の謎の大部分が判明した。これで偉そうに日本のハッカチョウについて語れる。
今日、判明した謎の数々を記しておこう。

■1980年代以前の関東でのハッカチョウの生息状況が判らない。
・『小鳥の飼い方』(黒田長礼、1957年)にこんなくだりがあるらしい。「神奈川県大船駅付近や東京都羽田などで、時々かごから逃げたのが半野生化していたが、増殖しないで消えてしまうようである」という訳で、1950年代には野外での確認例はあっても、繁殖例はなかったらしい。
・1981年〜1985年には、東京都や埼玉県で繁殖例あり。数年の間、数つがいが繁殖していたという。その後消失。
・千葉県では確認例はあるが、確実な繁殖例はない。
・神奈川県には、1980年代に定着。現在に至る。

■国立環境研究所の侵入生物データベースには、福島県、栃木県、愛知県で記録があるとされているが根拠不明。
・福島県:1983年に福島市で確認例あり。ソースは、NHKのニュース。
・栃木県:1983年?、鬼怒川周辺で1羽記録あり。ソースは、現バードリサーチのH野氏の観察情報。栃木県支部支部報にも載ってるかも。
・愛知県:1976年に名古屋市の2ヶ所ほどで記録。ソースは、『愛知県の野鳥』

■1980年代に豊中市・吹田市で数年間生息していたらしいが、記録が見当たらない。
・1984年:数年前から豊中市北部に生息。
・1989年:吹田市北部で繁殖。

1980年代の関東や大阪のハッカチョウ情報の具体的な記録を、きちんと報告してほしい。そしたら、引用できるのに〜。
●2022年3月12日 ウグイスとヨシ焼き

この2年ちょっとの毎月の恒例行事、じゃなくって定期的なセンサス調査。宇治川沿いを歩いた。先月は静かだったのに、今日はあちこちでウグイスが囀っている。ホオジロも時々囀っている。ヒバリもどころどころで囀っている。
宇治川沿いの観月橋より下流には、ヨシ原があって、ヨシの収穫をしてたりする。そのヨシ原の維持のためだろう、ヨシ焼きをやっているエリアがある。ヨシを刈り取った後を、焼いてる感じ。
焼けたヨシ原の周囲でもウグイスが囀っている。たぶんヨシの収穫や、ヨシ焼きの前からウグイスは生息していたはず。2月ごろから囀って、なわばりを張っていたのに、ヨシが刈られて、ヨシ焼きされて、追い払われたかっこうかと。
ヨシ焼きの後、いいヨシ原ができるはず。ヨシ原が復活したら、そこをなわばりにしたいウグイスは、ヨシ焼きの前から陣取っていたのに、追い払われて、周囲で囀って、ヨシ原の復活を待つ。
なんてことを考えたら、大変な暮らしだなぁ。と思ったけど、毎年ヨシ焼きが行われるなら、年中行事になってるはず。ヨシ焼きするエリアのウグイスの暮らしは、どうなってるんだろう?
●2022年3月11日 大阪で繁殖するイワツバメの歴史

かつて、大阪府でイワツバメは、旅鳥だった。それが1988年に枚方市磯島の天野川の橋で繁殖が確認された。大げさに言えば、青天霹靂でとても驚いた。というか、報告された当初は気付いて無くって、1990年代半ばに気付いてとても驚いた。が、1990年代にはすでに新たな展開が起きていた。そして新たな展開がどんどん続く。

1990年代
まずは高槻市で繁殖が確認された。檜尾川の橋と、高槻市駅近くの阪急高架下。
続いて、河内長野市で繁殖が見つかった。滝畑ダムの橋、そして加賀田川沿いの南海電車の高架下。

2000年代
枚方市、高槻市、河内長野市の繁殖地は継続しつつ、事態は急展開。北摂の山間部で次々と繁殖地が見つかった。高槻市では、芥川の橋と安威川源流部の橋。箕面市の余野川の橋。能勢町では、山辺川の橋と、田尻川の橋。

2010年代
平野部へ拡がる気配。南河内では石川沿いの繁殖地が羽曳野市の橋でも見つかる。北河内では天野川沿いの道路高架下で繁殖地が見つかり。高槻市では芥川源流部の橋、池田市では余野川の橋、能勢町では野間川の橋。
きちんと巣や出入りを確認できてないけど、たぶん河内長野市天見の橋、茨木市上音羽の橋、茨木市の耳原大池の南の端でも繁殖してたっぽい。

2020年〜2021年
堺市南部の橋や高架、守口市の淀川沿いの高架下で繁殖がみつかる。

改めて現状を把握したくなってきた。今年と来年で調べてしまおう。
●2022年3月10日 アサリ調査に参加したら、今日が最終日

SNS中心に情報募集を呼びかけて、ハッシュタグ付けて報告してもらって、その情報をグーグルマップに随時更新。このパターンは萌蔵の得意技で、かつてはカキ調査で一斉を風靡し、昨年は若ごぼう調査で盛り上がった。そして、今年はアサリ調査。
熊本県のアサリの産地偽装が問題になって、一気に熊本県産と記されたアサリが流通から消えた。熊本県産空白の状態の様子を記録しようと、急遽始まった。時間が経つと状況が変化しそうなので、3月10日まで。今までにない短期決戦。短期な上に、今は4月スタートの特別展の準備で忙しい。なかなか参加できない。参加したいのにもどかしい。
で、最終日の今日、ようやく河内長野駅への往復のついでに6ヶ所ほどチェックしてきた。

すでに調査されてるスーパーとかぶったらイヤなので、出かける前に現在のアサリ分布図をチェック。割と身近な駅前のスーパーが残ってる〜。という訳で、5駅6スーパーをチェックしてきた。
アサリを売ってないのが3ヶ所、中国産が3ヶ所。内1ヶ所では北海道産も売っていた。中国産より北海道産のアサリの方が大きかった。買おうかと思ったけど、北海道産はちょっと高いので買うのは断念。中国産は安かったけど、何となく断念。
なぜか他の貝類もチェック。カキはどこでも売っていて、とりあえず広島産。2ヶ所で兵庫県相生産。シジミはすべて島根県産。1ヶ所ハマグリを売っていて、熊本県産だった。熊本県は、アサリは中国産を売ってたけど、ハマグリは違うんだなぁ。

もっと時間に余裕のある年だったら、もっとチェックしてまわれたのに、残念。
●2022年3月9日 鵜殿のヨシ原の現状

とある会議で、高槻市鵜殿のヨシ原の話を聞いた。データがいっぱい出てきて、ザクッとした説明しかないから、詳細が今一つ分からない。
とにかく、鳥屋的には、鵜殿のヨシ原といえば、ツバメの集団ねぐら。大阪府で一番規模が大きくて、一番安定してる。そういう意味で、とても大切な場所。まあ、なくなったらなくなったで、他に集まるだけかもしれないけど、数万羽が集まれるヨシ原は、大阪府には少ないので、あちこちに散ってしまうのは必定。となると、調査が大変。
という冗談はさておき、とにかく淀川鵜殿のツバメの集団ねぐらは維持されて欲しい。でも、2019年までおおむね同じような場所に集まっていたのが、2020年、2021年は、鵜殿は鵜殿でも違う場所に集まった。そこが一番気になるので、その点を質問したわけ。

・2019年まで集団ねぐらがあった場所は、2020年と2021年はどうなってたのか?
・2020年と2021年に使われたヨシ原、とにく2021年に集まった場所は、前年まで広いヨシ原がなかった場所だけど、どうしてヨシ原に変わったのか。

前者の答えは明快だった。2020年と2021年は、コロナ禍でヨシ焼きができず、枯れヨシが大量に残った。それが倒れて、ヨシの成長を阻害したんだそう。画像を見せてくれたけど、納得のいく画像だった。
後者は少しあいまい。2021年は、そのエリアに水が入ったんだかなんだかで、ヨシ以外の成長が阻害された。ってことだろうか。

ともかく、ヨシ原のデータをいろいろ詳細にとってるため、労力に限界があるんだろうデータは局所的にしか得られていない。全体のヨシ原の様子についてが、さっぱり判らない結果ばかり示してくれる。それで、施策が効果的だったと主張されてもなぁ。
もっと大雑把でもいいから、全体像が把握できるデータを集積していって欲しい。その上で必要に応じて、局所的な詳細データだろうに。


●2022年3月8日 カラスの巣チェック2022スタート

ちょっと出遅れたけど、今日から地元公園のカラスの巣のチェックをスタートした。早いハシボソガラスは、2月前半から巣をつくりはじめるのだけど、他の調査のついでに見てた限りでは、今年は出足が遅そう。と思ってたら、チェックの出足も遅れてしまった。

正月にあった20巣の内、8巣が無くなっていた。人間はこの公園では巣落とししていないし、工事で切られた木に巣はなかったから、巣を落としたのはすべてカラス自信だと思う。
昨年は正月にあった18巣の内、無くなっていたのは3巣だけ。今年の方が崩し屋カラスが多いのか。

今日時点で、新しくできていた巣は5巣、内2巣はすでに抱卵中。やはり少し出遅れてる。確認できた限り、新しい巣の持ち主はすべてハシボソガラス。3ペアほどのハシボソガラスが、まだ巣をつくってない感じ。工事の影響は少なそう。
昨年は、3月1日にカラス巣チェックをスタートさせていた。その時点で新しい巣は2つ。まだ抱卵はしてなかった。
1週間前に始めていれば、新しい巣は2つで、まだ抱卵してなかったのかもなぁ。
●2022年3月7日 特別展解説書の仕様書確定

という訳で、印刷業者の選定作業にうつる。うつるのは事務担当の方で、こちとらは入稿原稿の完成にいそしむ訳。入稿原稿が完成したから、仕様書が確定するんじゃないか?と思うかもしれないけど、それは素人。
仕様書で決めるのが難しいのは、ページ数。ページ数をえいや!と決めれば、仕様書は決まるのである。実際、テキスト執筆が遅れている場合、執筆が完了していなくても、おおまかな推定で、ページ数を決めることがある。というか、そういうケースは多い。なんせお尻が決まってるので、とにかく仕様書決めて、業者決めて、できてる原稿から入稿しないと間に合わないのだ。
ページ数多めの仕様書を作ったのに、実際はそれよりページ数少なかったら、無駄に高いお金を払うことになる。だもんで、テキストが確定していない場合は、ページ数はギリギリ、やや少なめを狙う。すると大抵、ページ数は足りない。仕方が無いので、図表小さくして、文字のポイント下げて、行間詰めて。という涙ぐましい努力をして、老眼に優しくない解説書が出来上がる。大和川展の解説書がその代表格。大勢の学芸員が絡む特別展で起きがちな展開である。
が、今回の特別展の執筆者は1人。そして編集担当を兼ねている。ってことで、テキストを書き終わって(これが最初の山)、ざくっと割り付けをして(これが2つ目の山)、概ね表を作って大きさの目星を付けて、画像の枚数も決めて、万が一を考えて微妙に行数に余裕を持たせつつ、ページ数を決めて、仕様書が固まった。なんと真っ当な決め方でしょう! 特筆すべきは、ここまでの時点で、まだ一度も徹夜をしていないこと! ちなみにページ数は、4や8の倍数にしたら、印刷時に無駄が出にくい。という噂を信じて、8の倍数にしてみたり。
とまあ、完璧な形で仕様書を確定させたのだけど、まだ入稿原稿は完成していない。テキストの微調整もあるし、表の微調整もある。なんなら追加の表も作らなくちゃ。そしてなにより分布図の作成、写真の手配・セレクト。まだ先は長い。でも、とりあえず2つの山は越したので、次の入稿という山に向かって頑張ろう。それはたぶん1週間後。その次は初校返しという山があって、それを超えたらあとは微調整だけ。つまり今が道半ば。ただし頭を使うパートはほぼ終わり、あとは手を動かすだけ。
●2022年3月6日 講演会運営側にとって一番恐ろしい展開

リモートで実施する学会では、対面の学会ではありえないトラブルが勃発することがある。
▼講演者が出番を忘れていていない。対面でもありそうだけど、他にすることがあまりなく、早めに会場に行って待機してることが多く、意外と起きない。家や職場からのリモートはなにかと雑用が舞い込みがちで危険。
▼講演者がファイルの共有に手間取る。あるいはできない。対面では起きない。これを避けるために、共有の練習したり、事前にファイルを送ってもらっておいたり、運営側は事前にいろいろすることになる。事前の手間がかかる。
▼講演者に電話がかかってきたり、呼び出されたりする。これも対面では起きない。これの面白ヴァージョンは、子どもが画面に入ってくるとか。

以上は、避けたいトラブルではあるけど、まああくまでも講演者側の責任ではある。運営側としては、持ち時間が過ぎたら、次の講演にうつるだけ。あまりに可哀想なら、あとで時間枠をとってあげることもあるけど、正直、運営側の知ったことではない。
じゃあ、運営側にとって、一番恐ろしい展開とは。それを今日体験した。直接の担当ではないから、落ち着いていられたけど、担当者だったら汗びっしょりになってそう。

とある小さな学会の大会があったとしよう。1日日程で、朝一番が総会議事。会員限定でZoomで開催。会員だけにZoomのURLを知らせるパターン。
その後は口頭発表。こちらはすべて一般に公開。同じZoomのURLから、YouTubeライブに流し込む。一般にはYouTubeチャンネルを告知。
問題は、同じZoomのURLだったことにあるんだろうか? でも、Zoom立てて、しばらくしてからYouTubeライブに流すのは、タイムラグがあるだけで、通常の手順。
でもまあ、とにかくZoomからYoutubeライブへうまく流し込めなかった。担当者が発する言葉からすると、Zoomくんは、想定していないアドレスに流し込んで満足してた様子。試行錯誤して、一旦はいけた!と思ったのに、またすぐに配信がストップ。なんやかんやで、プログラムは30分おした。最終的には、新たにZoomを立ち上げて、改めてYoutubeライブへ流し込んだらうまくいった。

外から見たら、わやわやしてたけど、30分おしで始まった、ってだけ。でも中はさらにてんやわんや。Zoomに入ってた会員には、こちらのURLに写れ!とチャットと共有で知らせるだけ。
でも、午後から出番で、まだZoomに入ってなかった人には、個別に連絡する必要があった。午後からの出番の人に電子メールで変更を連絡。幸い教員や同僚が役員にいたから、SNSなどで個別にも知らせてもらう。電話番号が判る人には電話で、電子メールをチェックするように連絡。昼休みは、全員に伝わったか、やきもきしてた。が、幸い全員に連絡が行き届いたようで、無事に講演は一通り終わった。
あとから考えたら、元のZoomは立ち上げたままにして、そこに新URLを共有しておいて。別のアカウントで新Zoomを立ち上げれば確実だった。でも、その時はそこまで頭が回らなかった…。

学会大会の運営側としては、肝心の配信システムがうまくいかないというのは、最悪の展開。小さな学会だったから、対応できたけど、大きな大会だったと思うと、とても恐ろしい。
●2022年3月5日 分布図

鳥の巣と卵の特別展の解説書を作っているんだけど、鳥の巣の解説書はすでに作ったし、鳥の卵の解説書もすでに作った。かぶっても仕方が無いので、巣と卵がある場所、つまり繁殖分布、営巣環境、巣場所についての解説書をつくることにした。
となると、偶然のように2021年に第3回の全国鳥類繁殖分布調査が完了して、昨年秋にはその報告書が出てる! その報告書にオンブにだっこで、日本の鳥の分布の話を書いたもので、おのずとその成果の分布図を使いたい。
なんと偶然にも、じゃなくって関連するの判ってたからだけど、報告書の著者に特別展の普及講演会を頼んでいた。で、そのやり取りの中で、先方から、分布図使いたかったら、言ってくれたら提供できますよん、と言ってくれてた。
言われたからといって、頼んでもいいものか悩んでいた。が、背に腹は替えられない。テキスト書いたら、これは分布図なしでは判らんやろ、って感じになってしまった。という訳で、重い腰をあげて、お願いした。
いいよ!と2つ返事。欲しいのを昼に頼んだら、夕方には届いてた。早っ! すごい助かる。この場をかりて、ありがとう!

頼んだのは、
<3回の分布図を並べたいの>
増加して分布域拡大:アオバト、カワウ、アオサギ
増加して分布連結:ガビチョウ、ソウシチョウ
南に分布拡大:オオセグロカモメ
西に分布拡大:オオバン、ケリ、チョウゲンボウ、キバシリ、ハクセキレイ、クロジ
東に分布拡大:アカショウビン、ヤイロチョウ
内陸に分布拡大:ミサゴ、イソヒヨドリ
変わった分布:ヒメアマツバメ
激減:アカモズ、シマアオジ、ベニスズメ

他にも分布を拡大したダイサギを入れたかったけど、分布図を白黒にすると判りにくいので、断念。
ハヤブサも内陸に分布拡大したっぽいけど、これまた白黒では判りにくいから断念。
展示はともかく、解説書は白黒なので、それでもちゃんと読み取れる種を選ぶのがちょっと難しい。

<2010年代の分布図だけ出したい>
新たに定着:セグロカッコウ、ジョウビタキ、ミヤマホオジロ
分布域が変化:リュウキュウサンショウクイ
不思議な分布:カササギ、オナガ

分布域の変化は、分布図並べたいけど、1970年代や1990年代は、リュウキュウサンショウクイだけの分布図になってないから断念。
●2022年3月4日 日本でのハッカチョウの繁殖について、残された謎

最初はなんとなくハッカチョウの情報も集めてただけなんだけど、2013年に急に興味を持って、2014年以降、大阪府のハッカチョウ情報を積極的に集めることにした。2014年には過去に記録のある場所のチェックもした。
幸か不幸か、大阪湾岸や播磨灘岸の水鳥調査をしている時に、ウロウロしていたエリアは、兵庫県南部のハッカチョウ分布域をほぼ網羅していた。で、それも含めて周辺府県の情報も集め始めた。ついでに足を伸ばして、香川県も調査した。
東日本での学会のついでに横浜のハッカチョウを見に行って、なんとなく日本中のハッカチョウを調べたくなった。といっても現在定着してるのは、東日本は横浜市周辺だけなので割と楽ちん。
すると今度は、過去の情報を知りたくなった。が、ここでいくつも謎が出てきた。一番最大の謎は、関東の1980年代以前の状況。他の謎も含めて、1人のキーパーソンが浮かび上がった。学会で会ったら訊ねようと思ったら、学会で会わない。仕方が無いので、講演をお願いした。そしたらコロナ禍で流れた。ようやく今度、講演してもらえるようになった。今日はその打合せ。
今まで、気になっていた謎は次の通り。

・国立環境研究所の侵入生物データベースには、ハッカチョウが記録されたことがある都府県として上がっている中で、愛知県、栃木県、福島県の具体的な情報が不明。
・1970年代から1980年代には、立川市や日野市、昭島市、湾岸部などで繁殖していたと聞くが、詳細不明。
・千葉県では木更津辺りで生息していた時期があり、繁殖していたんじゃないかと聞いたけど、詳細不明。
・広島県では、1997年以前にも記録があるようだが、詳細不明。
・京都市で1970年頃A繁殖したというのだが(それが一番古い繁殖記録とされることがある)、詳細不明。
・大阪府では1983年に豊中市で繁殖したのが最初で、以降しばらく情報がない。しかし、1983年前後に豊中市〜吹田市北部周辺をハッカチョウがウロウロしていたらしい。その詳細は不明。

今日打ち合わせた感じでは、残された謎の内、1980年代以前の関東の状況、福島県や愛知県の記録のソース、1983年前後の豊中市・吹田市のハッカチョウの状況。この辺りは、明らかになりそう。とても嬉しい。
●2022年3月3日 日本で繁殖定着している外来鳥類は21種

2021年現在、日本に繁殖個体群が定着してる外来鳥類は、19種。そこはだいたい、みんな意見が一致しそう。でも、今までに日本で繁殖例のある外来鳥類は何種?となると、意見が分かれるというか、繁殖したのかよく分からない種がいくつかいて、文献によって扱いが違っててややこしい。かなりえいや!と決めることになる。とくに微妙なのが多いのがフィンチ類(ハタオリドリ科、カエデチョウ科、テンニンチョウ科、フウキンチョウ科)。
かつて日本に繁殖定着していたけど、いなくなったのは、カナダガンとベニスズメ。カナダガンは日本では珍しく、全個体が駆除された。ベニスズメはなぜかいなくなった。実は定着していなかったんじゃね?という疑いもある。
で、現在定着してるのは、

キジ科:コジュケイ、コウライキジ、インドクジャク
カモ科:コブハクチョウ、アイガモ
ハト科:シラコバト、ドバト
コウノトリ科:コウノトリ
トキ科:トキ
インコ科:ホンセイインコ
カラス科:サンジャク、カササギ
ヒヨドリ科:シロガシラ
チメドリ科:ガビチョウ、ヒゲガビチョウ、カオグロガビチョウ、カオジロガビチョウ、ソウシチョウ
ムクドリ科:ハッカチョウ
カエデチョウ科:コシジロキンパラ、シマキンパラ

という訳で21種。確実な繁殖例はなさそうだけどコリンウズラも定着の可能性あり。まだ個体数は少ないけど、ダルマインコの個体群も定着してるかも。
●2022年3月2日 気になる能勢町の陸上脊椎動物

この会議どうして、日程調整せずに、いきなりリモート会議の案内が来るんだろう? なぜか出席できる日に設定されてるけど。もしかこちらの都合がひそかに捕捉されてる? というのはさておき、能勢町の生物目録をつくる会議に出てみた。
担当分類群の状況を整理してみた。

両生類は、16種。一番難点は、小型サンショウウオ。以前ならカスミサンショウウオで済んだのに、分かれてしまったので、再同定が必要。それもDNAベースで。大阪府では岬町にセトウチサンショウウオがいる以外は、ヤマトサンショウウオってことになっているので、仮にヤマトサンショウウオにしてるけど、地理的にはセトウチサンショウウオの公算が高い。HさんにDNA調べてもらおう。と思ってたけど、今が採集にベスト。押しつけるにしても、さっそくサンプリングにいかなくちゃ? 他で気になるのはダルマガエルとヤマアカガエルの生息状況。

爬虫類は、15種。あまり課題はないけど、ミナミイシガメがいるのかなと思ってたのに、情報がまったくなかったのが意外。

哺乳類は、34種。ここにきて1970年代にカワネズミを見たという話が出てきたので、詳細を確認中。もしかしたら1種増えるかも。あと、三草山でタイワンリスの噂があるけど、見たはずの人も自信がないらしいので、今回はパス。あとはさらに調べればモモジロコウモリは増えるかも。

鳥類は、139種。情報を集めれば集めるほど、迷鳥や通過鳥で種数は増えるだろうけど、繁殖してる種はだいたい押さえられたかも。アカショウビンが毎年繁殖しているという話があって、大阪府ではとても貴重。イカルチドリの繁殖記録があるというのにも驚いた。本当は、繁殖の有無を個々の種について判断したいところだけど、それには情報が少ないかも。繁殖してるか特に気になるのは、オシドリ、ミゾゴイ、ノスリ、キバシリ、ミソサザイって辺り。
●2022年2月28日 2022年2月のまとめ アカマンボウで原稿書きにはげむ

この2年よくあったので、もはや今さらな感もあるけど、2月はずっと大阪府はアカマンボウ状態。対面行事は全部中止なので、特別展の準備に追われてるので、時間ができるのは有り難いといえば、けっこう有り難い。それなりに準備は進んだと思うけど、まだまだ死ぬほどやることがある…。
そんな2022年2月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。
奈良県1コースと京都府2コース(1日で調査するけど)のハッカチョウセンサスも実施。
地元公園の鳥のセンサスと果実チェックを実施。工事中だけど、とくに問題は起きてない。果実は2月下旬に食べ尽くしたので、2月で完了。3月からはカラスの巣チェックにシフト。

ホネホネ団の活動は、すべて中止。

普及行事は、ジュニア自然史クラブも、バックヤードツアーも、鳥の観察会も、鳥類フィールドセミナーも対面はすべて中止。
大阪鳥類研究グループの観察会も中止。

講演は、中央図書館との共催企画があったので、中止かと思ったら、なんとリモート実施。司書さんが出版社から許諾を得て、本の紹介を含めて、当初企画通りに実施できた。
委員会関係はリモートで2回。片方がチームズで鬱陶しかった。
査読はなし。特別展解説書を書きまくってた。頼まれ原稿も1本書いた。

特別展の準備としては、
ポスター・チラシデザインがまあまあ出来てきた。
解説パネルのテキストは完成。
解説書のテキストはほぼ完成。一通り書いたけど、確定はまだって意味。
大阪市立中央図書館のエントランス展示を設営。それに絡めて講演会。地域館巡回の2セット目を投入。
巣の運搬の運送業者の下見日程を決めた。
野鳥の会関係での広報の段取りが決まった。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系2冊と、SF1冊。
完全休養日はなし。
●2022年2月27日 子ども祭り中間発表会

3月最終週は、恒例の子ども祭り。大学生のサポートスタッフが、企画・準備・実施するワークショップ企画。例年は3班つくってるけど、今年は2班。一昨年はコロナ禍で中止、昨年は奇跡的に実施できた。今年は、暗雲が立ちこめつつあるけど、とりあえず準備は進めてるところ。
で、今日は、その中間発表会で、完成はしてないけど、大雑把にワークショップの内容や展開などを、仮のリハーサル的にやってみせる。

最初は鳥の巣班。こちらは担当だから、これまでに何度も見てる。
鳥の巣の多様性を知ってもらうという企画らしい。鳥の巣の展示を見せて、対話形式で解説。その後、ミニチュアの鳥の巣を作って、持って帰れる。ミニチュアの鳥の巣は、クリスマスツリーのオーナメントみたいな感じでけっこう可愛い。ただ、カップに巣材に見立てたものを貼り付けるのでは、鳥の巣の何が伝わるのかという点が気になる感じ。
外巣はかたくて粗いもの、産座は柔らかいものを使ってることが多い。といったことなら伝えられそう。もともとは、自然物の枝や枯れ草を使うのが、人工物でも代用ができる。っていうのを知ってもらうという方向もあるかも。いずれにせよ、展示での解説や工作時に配慮がいる。

続いて磯班。というかタイドプール班。これは初めて見た。
タイドプールはどんな場所かの説明を、寸劇仕立てで聞いてから、タイドプールの展示を見に行く。そこにいる生き物をスケッチして、タイドプール背景の壁紙に貼り付ける。
お持ち帰りしつつ展示を作るために、絵をコピーするというのは新機軸。その間の時間の処理の問題が出るけど。展示の前で解説すれば、もっといろんな展開も時間つぶしもできそうな気もする。
それはさておき、タイドプールの展示での解説が、あまりないので、子ども達が本当に多様性に気付くかが気になった。カイメンとかフジツボとかあまり動かない動物、デッカイのに説明してもらえない、ウニやアメフラシ。こうしたのを一通り紹介して、いろんなんがいる!風になったらいいのに。

てな、勝手な意見をみんなに言われて、これから1ヶ月弱で修正して本番にのぞむ。例年、最終的には驚くほどしっかりしたプログラムになるんだな。今年は完全に方向転回を迫られる班がなかったのは優秀なのかも。大学生たちは気付いてないだろうけど。
●2022年2月26日 読み聞かせとのコラボ企画

特別展に絡めて、ときどき図書館と共催の講演会の講師をすることがある。共催なのに、こっちだけが講師っていうのはなんか不満だし、せっかく共催してる意味もない。ってことで、自分が担当の時は、司書に本の紹介してもらって、それを受けて講演というか話を拡げるというか補足するというか、とにかくそういうパターンでやってる。
今年もそれをしようとしたら、アカマンボウになってしまった。てっきり行事は中止かと思ったら、先方はリモートで実施したいという。ということは、1人で講演会か、面倒なぁ。と思ったら、当初の設定通りをリモートでやりたいという。それだと紹介する本の出版社の許諾が要りますよね。って言ったら、許諾をとってこられた。
これでは後に引けない。

で、明日はその講演会。仕方がないから講演の準備。
一昨日の打合せ(これもZoomミーティング)で、ツバメの写真絵本の見開き3つ、鳥の巣と繁殖の絵本の見開き3つを紹介。残る鳥の巣図鑑は表紙を紹介するだけ。最後は、図書館でやってる鳥の巣と卵の展示のギャラリートークを、ってことだった。
昨日、紹介する絵本のページのスキャン画像は送られてきていた。展示の画像も送られてきていた。

という訳で、絵本の紹介もこちらでまとめてパワポを作るって話だったので、全部組み込む。
ツバメの巣はいろいろ調べてきたので、手持ちデータでツバメ話を膨らませる。
鳥の巣と繁殖の話は、情報盛りだくさんなので、ページを見せながら説明するだけで済みそう。でも予備知識がない人には判りにくいだろうから、雌雄の繁殖の分担を、種ごとに整理した表を付けてみた。意外にも勉強になった。
ギャラリートークは、話したいテーマごとに展示してる巣や卵を整理してまとめてみた。説明なしじゃ、わからんかったろうな。と、展示の不親切さを、少し反省した。

【追記】
図書館の方から、本の内容を膨らます感じをほめられた。
●2022年2月25日 読書サークル 第118回会合覚え書き

隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。またもや新型コロナウイルスの感染拡大で、リモート会合。次回も危ういかなぁ。
今日の会合で出た本についての意見を記録。

今回の課題本は6冊。2冊繰り越されてきて、4冊繰り越したので、4冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。

●「ヒルは木から落ちてこない。」
(紹介文4つ、平均★数は3.0)
 ヤマビルという素材を見つけたのはスゴイし、子どもたちの活動もスゴイ。ヤマビルについていろいろ分かって面白い。でも、必ずしも定量的な研究になっていないのが気になる。せっかく子どもたちを科学の入口に連れて行ったのなら、そこまできちんとした方がいいんじゃないかと。シカはヒルを運ばないというのは、スケールの問題をごっちゃにして進行する、地質がヤマビルの多寡に関係あるというのが調べられてない。いろいろ引っかかる部分もある本という評価でもある。

●「カニムシ」
(紹介文4つ、平均★数は3.0)
 カニムシについていろいろ分かって面白い。とにかくカニムシは面白い。でも、形態や分類の話が無駄に詳細すぎてひく。分布や季節消長の研究にスペースが割かれているが、結果が、解析がイマイチという意見があり。カニムシは面白いけど、その普及目的にしてはいらないパートが多め。

●「銚子川」
(紹介文4つ、平均★数は3.0)
 画像はキレイし、とにかく行ってみたくなる。という点で一致。雨が降っても水が濁らない理由を地質や地形で説明、ナガレヒキガエルの産卵生態、伏流水で暮らすヨコエビとミミズハゼの話はとても面白い。という点で一致。そこに並んでいる編集者が書いた源流部の森のパートが中身がなくて不要。という点でも一致。

●「ニュースなカラス、観察奮闘記」
(紹介文3つ、平均★数は3.3)
 カラスネタがどれも面白い。要領よくまとまってて読みやすい。でもまあ、タイトル通り、新聞とかで聞いたことのある話ばっかり。いや面白いんだけどね。とりあえず蛇口から水を飲むカラスを探そう!ってことになった。
●2022年2月24日 送電鉄塔の上で営巣する鳥

電柱ではなく、送電鉄塔(高圧線の鉄塔ってずっと言ってたけど、どうも送電鉄塔が業界での呼び名らしい)。ムクドリやスズメは、送電鉄塔の穴で営巣してアパートつくってるけど、それも無視。送電鉄塔の上に巣をかける鳥の話。
こういう人工建造物利用の話の時に頼りになるのは、三上さん

三上 修(2019)鳥類による人工構造物への営巣:日本における事例とその展望.日本鳥学会誌68:1-18.

によると、送電鉄塔で繁殖する鳥として、ミサゴ、トビ、ハヤブサ、チゴハヤブサ、チョウゲンボウ、ハシボソがラス、ハシブトガラスをあげている。ハヤブサとチョウゲンボウは巣をかけたとは思えないけど、どうやって営巣したのかな? チョウゲンボウは穴に入った? ハヤブサは、棚みたいな場所に産卵した? うまくいくのかな?
海外では、シュバシコウとかの記録もあるようだし、他にもワタリガラスや猛禽類も使う例がいろいろあるらしい。
というのはさておき、古くから多かったのはカラス2種。どっちかといえば、ハシボソガラスが使うことが多いというのは、一般的に報告や指摘されているところ。それも興味深いけど、ここで気になるのはミサゴとトビ。
ミサゴは海外では古くから送電鉄塔などの鉄塔での営巣は知られていたらしい。でも日本で初めて報告されたのは、2001年に香川県からのこと。ただしこれは携帯電話の中継アンテナ鉄塔だった。でもまあ、これ以降、日本でもミサゴが送電鉄塔で営巣する例は増えていく。その普及には地域による差もありそうで、香川から近畿が先進地域な気がする。というはおいとくなら、2007年頃には、ミサゴは人工建造物で営巣するけど、まだ少ない。などという記述が見つかるけど。2012年になると兵庫県では、送電鉄塔での営巣が普通にみられ、それがミサゴの増やす一因になってるかのような書きっぷり。
大阪府では、2008年に42年ぶりにミサゴの営巣が確認されたけど、それも送電鉄塔。それ以降2013年までに見つかった巣は、マツの木のてっぺんが1例ある他は、3例が送電鉄塔。送電鉄塔がなければミサゴはどうなる?って感じ。実際。大阪府にはミサゴが営巣できそうな岩崖はほとんどないし、マツ枯れでマツ自体があまり多くない。送電鉄塔での営巣はミサゴを増やす一因になっているというのは、あながち間違いじゃないかも。

そこで思い出したいのは、トビ。大阪府では、トビの営巣例がとても少ない。その原因はよく知らんけど、もしかしたら巣場所の不足とか?
だとしたら、トビも送電鉄塔を使ったら、営巣例が増えるんじゃなかろうか。実際、北海道でトビが送電鉄塔で営巣したのが1例だけ報告されてるし。

ちなみにミサゴが送電鉄塔で営巣しても、環境省RDB掲載種なので、営巣中の除去は行われず、営巣が終わるのを待ってくれるらしい。その対策は、営巣しにくい構造物の取り付けってことらしい。むしろ停電につながらな営巣場所を、送電鉄塔のてっぺんにつくってくれればいいのに。 もしトビが送電鉄塔で営巣するようになったら、カラスのように速攻取り除かれるのかなぁ。てっぺんを使う訳ではないので、停電しにくい気がするけど。
●2022年2月23日 日本の鳥が減ってる原因

2010年度の全国鳥類繁殖分布調査の結果、減ってるとされた鳥がどういう原因で減ってるのかを、我がバイブルと化してきた『全国鳥類繁殖分布調査報告』(植田・植村2021)から拾ってみた。減少リスクとして書いてあったのも拾ってしまってる。もちろん拾いもれがあるかもだし、我がバイブルが書いてくれてないこともあるだろう。でも主な原因はだいたいカバーされてそう。

(1)人による採集
 日本で狩猟で減ってるというのはないんだけど、
・渡り鳥が海外の越冬地・中継地での採集:シマアオジとか
・漁業で混獲:カンムリウミスズメとか
・交通事故:ヤンバルクイナ、カンムリワシ

(2)生息環境の減少
・砂浜や海岸のヨシ原の埋め立て、河川整備による砂洲やヨシ原など草地の減少:コアジサシ、シロチドリ、イカルチドリなど、裸地・草地で営巣する鳥たち
・農耕地の宅地化、道路建設による減少・分断:ヒバリ、ケリなど

(3)生息環境の変化
 水質汚染や農薬の影響は、1960年代〜1970年代にはあったが、いまはなさそうで。
・地球温暖化による海産生物の分布変化?:海鳥?
・飛行してる昆虫の減少?:飛行採食性の鳥?
・山間地の農耕地の圃場整備、耕作放棄:サシバとか
・平地の水田の圃場整備:サギ類、バンとか
・ニホンジカの増加にともなう林床植生の変化:ウグイス、エゾムシクイ、コルリとか
・ニホンジカの高山への進出:ライチョウ
・生ゴミの減少や管理強化?:トビとか?
・砂浜や河川敷への人の立ち入り:シロチドリやイカルチドリとか

(4)外来生物の影響
・フイリマングース:ヤンバルクイナ、アマミヤマシギとか
・ノネコ:御蔵島のオオミズナギドリとか
・クマネズミ:小笠原諸島の海鳥とかオガサワラカワラヒワとか
・イタチ:三宅島のアカコッコとか
・オオクチバスなど大型の魚食性外来魚:小型の魚食性の鳥たち?

ほんとかなぁ、というのもあるけど、聞いたことのあるのは、おおむね挙がってる気がする。
●2022年2月22日 新たなカワウの営巣地

今日もまた日本で繁殖する鳥の勉強。今日は南西諸島で繁殖する陸鳥の勉強。3つのトレンドがあるような気がする。

1:北への分布拡大
最右翼は、リュウキュウサンショウクイ。もう九州に進出どころか、西日本に広く進出して、東日本にも進出しかけている気配。
他にも、以前からシロハラクイナが九州以北へ分布拡大しつつあると指摘されてきた。しかし、あまりペースは上がってない。
リュウキュウコノハズクは、たしか北琉球への進出が言われてたと思ったけど、よく分からない。福岡県に飛び地の繁殖地があるのも、よく分からない。
その他、南西諸島からは出ていないけど、ズアカアオバトやリュウキュウツバメも分布を拡大しているかもしれない。

2:固有種の減少からの回復
ヤンバルクイナ、アマミヤマシギ、ノグチゲラ、ルリカケス、オオトラツグミ、アカヒゲ。アカヒゲ以外は、渡りをせず狭い範囲(ざくっといえば奄美大島か沖縄島)に生息している点が共通。そして5種とも、森林開発や外来哺乳類による捕食で、一時期減少して絶滅が危ぶまれた。外来哺乳類とくにマングースの影響が大きいと考えられているのが、ヤンバルクイナとアマミヤマシギ。外来哺乳類による捕食より、森林伐採の影響が大きいとされているのがルリカケスとオオトラツグミ。ノグチゲラは両方の影響があったとされる。
マングースやノネコ対策が進められ、森林環境が回復してきたので、いずれも個体数は回復しつつあるという。
渡りをするアカヒゲは、南西諸島北部だけでなく、男女群島にも分布している。男女群島にはかつていっぱい生息していたのが、大幅に減少しているという。南西諸島で一番心配な鳥かもしれない。同時に、屋久島での繁殖の有無という謎がある。

3:南方からの新たな種の定着
こちらの最右翼は石垣島への定着に成功したカタグロトビ。さらに分布拡大の可能性もありそう。
オニカッコウは、繁殖自体は確認されていないが、宮古島に繁殖期に定着しつつあるように見える。その後、久米島でも記録されている。
オオジュウイチもまた宮古島などでの記録が増えていて、これまた繁殖は確認されてないけど、今後定着するんじゃないかと考えられてたりする。
もっと古くから記録はあるが、与那国島などで記録されるハッカチョウ類はちょっと謎。
●2022年2月21日 南西諸島で繁殖する陸鳥の動向

3回の全国鳥類繁殖分布調査をまとめた『全国鳥類繁殖分布調査報告 日本の鳥の今を描こう 2016-2021年』をながめて、1970年代から2010年代の分布の変化、とくに方向性のある変化を示した鳥をピックアップしてみた。
変化とは、起点があって、そこからの方向が大切。その組合せのパターンごとに整理してみた。

<北海道内で、東から西へ拡大>タンチョウ、オジロワシ
<北海道・本州北部から、南へ拡大>カンムリカイツブリ、オオセグロカモメ、チゴハヤブサ、オオセッカ、イスカ?、シメ?
<東日本から、西へ拡大>オシドリ、オオバン、ケリ、ノスリ?、コムクドリ、ニュウナイスズメ?、ハクセキレイ、クロジ
<本州中部周辺から、北に西に拡大>カワウ、アオサギ、ダイサギ、チョウゲンボウ
<本州中部から、北へ拡大>サシバ
<九州周辺から、東へ拡大>セグロカッコウ、ヤイロチョウ、リュキュウサンショウクイ
<南西諸島から、北に拡大>ズアカアオバト、シロハラクイナ、ベニアジサシ、リュウキュウコノハズク?、リュウキュウツバメ

<海岸部から内陸へ拡大>ミサゴ、イソヒヨドリ
<高標高から低標高へ拡大>キクイタダキ、キバシリ

<西日本から東へ縮小>ウズラ、アオジ
<北海道・本州北部から、南へ縮小>ヒクイナ、ツミ?
<低標高から高標高へ縮小>ビンズイ

増加する時は、方向性のある分布変化をともないがち。一方、減少する時は、必ずしも方向性のある分布の変化をともなっていない傾向がある。
分布を拡大した種を見渡して、特定の種群や生態群に偏ってる感じはない。
北に東に分布拡大している種もあれば、まけないくらい南に西に分布拡大している種もいる。たとえば温暖化の影響ははっきりみえない。ただし、林で繁殖する鳥は、東に北に分布を拡大している種が多いように思える。
全体的に、近畿地方は繁殖種数が増加する方向なんじゃないだろうか?
●2022年2月20日 日本で繁殖記録があるのかないのか微妙な鳥

まだ日本で繁殖する鳥の勉強を継続中。といっても今日は、繁殖してるかどうかが微妙な鳥。

代表格は、学会誌などで論争があったイエスズメ。発見者は幼鳥を見つけた!幼鳥はこの時期(8月)に巣場所周辺から移動しないから、繁殖確認だ!と報告した。しかし、その幼鳥は本当にイエスズメなのか?本当に幼鳥はまだ移動しないのか?日本初の繁殖記録とするには証拠が不十分。と指摘され、反論もしたけど、『日本鳥類目録』では繁殖扱いにしてもらえていない。
もう一つは、ハギマシコ。これまた8月に大雪山系で幼鳥っぽいのを観察。給餌も観察されてる。こっちの著者は慎重で、繁殖の可能性あり、と報告したのみ。その後、日高山系でも繁殖期のペアの観察例がある。けど、まだ巣や卵は見つかってないみたい。なのに、『日本鳥類目録改訂第6版』から北海道に繁殖個体群があることになっってる。ちゃんと巣とか見つかったのかな? でも見つかってたら報告されてそうなんだけど…。
巣立ちヒナらしき個体の観察だけでは不十分と言われると、大阪府で1例あるだけのツクシガモの繁殖記録もダメってことになる。夏に家族群を観察したというだけなので。幼鳥が飛べたのかどうかが記録を見てもよく分からないのがネック。なるほど『日本鳥類目録』ではいまだ採用されたことがありません。

第3回の全国鳥類繁殖分布調査の報告書には、日本での繁殖記録がない種が3種掲載されています。
シラオネッタイチョウは、2010年代に硫黄列島で確認されていて、近頃観察例が増えていて、1970年代や1990年代の全国鳥類繁殖分布調査を含め、あまり調査出来ていない場所なのもあって、(期待を込めて?)繁殖の可能性が考えられている。たしかに他の種のパターンから言っても可能性はありそう。
オニカッコウとセグロカッコウは托卵鳥なので、そもそも繁殖確認が難しい。でも、2010年代には、オニカッコウは南西諸島の複数の島で確認されている。セグロカッコウにいたっては、1990年代から記録があって、2010年代には九州〜中国でけっこう連続した分布になってる。四国や中部でも記録されてる。ってことで、とくにセグロカッコウは繁殖・定着している可能性が高そう。
まったくよくわからないのがエゾビタキ。『日本鳥類目録改訂第7版』には北海道と岩手県に繁殖個体群があると記載されてるけど、『日本鳥類目録改訂第6版』には載ってない。とすると2000年〜2012年に新発見があったのかと思ったけど、根拠になる論文を見つけられない。新発見なら報告があってしかるべきだし、論文などの根拠なしに掲載するとも思えないのだけど…。誤植?

なお『日本鳥類目録改訂第7版』、ホオジロガモ、ウミバト、ワタリガラスの3種は、南千島でのみ繁殖してるとされる。日本といえば日本なので、日本で繁殖する鳥に入れるべきかもしれないが、政治的な理由で微妙。現実には調査に行けないし。

【追記】
電話での質問対応をしていて、北硫黄島でシロアジサシの繁殖の可能性があることが指摘されていることを指摘していただいた。ありがたい。
●2022年2月19日 樹林で繁殖する鳥の明暗

今日も日本で繁殖する鳥のお勉強。
3回の全国鳥類繁殖分布調査を比較した『全国鳥類繁殖分布調査報告 日本の鳥の今を描こう 2016-2021年』の後ろでは、どういう鳥が増えたり減ったりしているかという傾向をまとめてくれていて、とても参考になる。それを叩き台にさらに考えることができる。

一つの指摘に「樹林性の鳥の増加」というのがあって、なるほどキビタキ、センダイムシクイ、ヤマガラ、アオバト、サンショウクイ、オオルリ、ヒガラ、クロツグミなどが増えてる。
そんな林で暮らす鳥の中でも、とくに増えてないか、むしろ減ってる?というのもいる。たとえばウグイス、コマドリ、コルリがどっちかというと減少傾向。こうしたは林床に営巣する鳥は、シカの増加に伴う林床植生の変化(端的にいうと貧相になったり無くなったり)の影響を受けてるんじゃないかとされてる。
だとしたら、ヤブサメにあまり影響が出ておらず、センダイムシクイは増えてるのが不思議。エゾライチョウやヤマドリも少し増加気味。

あと増えてるとされる林で暮らす鳥は、関西基準で言えば、低い山で繁殖してる鳥に多い。亜高山から高山の林で繁殖する鳥で、増えているのは少なく、キバシリやキクイタダキが低標高に分布を拡大したというの以外には、ミソサザイが増えた程度。
ビンズイは逆に低標高で減ってるとされるけど、他は、あまり変わっていないのが多い。

以上を総合すると、この20年ほどの間に、日本の高い山の林ははあまり変化がなく、平地〜低い山の林に大きく何かが変わったんじゃないかと思うし。その変化の一つはシカやイノシシの増加で、下層植生の変化を通じて起きた可能性があって。地表近くで営巣する鳥にはダメージがあっても、樹上で営巣したり採食する鳥にはプラスになる出来事があったという仮説が考えられる。
すべてをシカの増加をベースに考えるのは無理がありそうにも思うけど、じゃあ他に何があったかというと、何かなぁ。
●2022年2月18日 日本のおもに島で繁殖する海鳥

今日もまた日本で繁殖する鳥についての勉強中。

日本は島国だから、全部島やん!という意見はあろうかと、それでも話は一緒だけど、とりあえず北海道、本州、四国、九州は抜いて考えるってことで。
すると、分布というか分布エリアは、大雑把に4パターンに分けられる。よね。とりあえず『日本鳥類目録 改訂第7版』のMBひろってみた。が、第3回の前校長類繁殖分布調査の結果から、オナガミズナギドリの鳥島、アカアシカツオドリの硫黄列島、ヒメクロアジサシとオオアジサシの南西諸島を追加。川上(2019)に基づいてオガサワラヒメミズナギドリも追加。
なお、海鳥ではあるが、カワウ、ウミネコ、オオセグロカモメ、コアジサシは島以外での繁殖も多いので省いた。

1:北海道〜東北周辺の島で繁殖
 クロコシジロウミツバメ(三陸沖)、コシジロウミツバメ(北海道周辺、三陸沖)。どちらも地面の穴で営巣。
 ヒメウ(北海道周辺、三陸沖)、チシマウガラス(北海道周辺)。どちらも岩場の棚で営巣。
 ウミガラス(天売島)、ケイマフリ(北海道周辺、青森県弁天島)、ウミスズメ(北海道周辺)、ウトウ(北海道周辺、宮城県江の島)、エトピリカ(北海道東部周辺)。ウミガラスは岩場の棚、ウトウは地中の穴、他はいずれも岩場のすき間で営巣。

2:本州〜九州周辺の島と伊豆諸島で繁殖
 オオミズナギドリ(北海道〜九州周辺、南西諸島)、ヒメクロウミツバメ(本州〜九州周辺)、ウミウ(北海道〜九州周辺)、カンムリウミスズメ(本州〜九州周辺、伊豆諸島)の4種だけ。オオミズナギドリは南西諸島でも繁殖する。
 オオミズナギドリとヒメクロウミツバメが地面の穴、カンムリウミスズメは岩場のすき間で営巣。ウミウは岩場の棚。

3:小笠原諸島で繁殖
 アカオネッタイチョウ(硫黄列島、南鳥島)。営巣場所は岩場の棚or地上。
 コアホウドリ(聟島列島)、クロアシアホウドリ(鳥島、小笠原諸島)。いずれも地上で営巣。
 シロハラミズナギドリ(小笠原諸島)、オナガミズナギドリ(鳥島、小笠原諸島)、セグロミズナギドリ(小笠原諸島)、オガサワラヒメミズナギドリ(小笠原諸島)、オーストンウミツバメ(小笠原諸島、伊豆諸島)、クロウミツバメ(硫黄列島)。いずれも地面の穴で営巣。
 アオツラカツオドリ(西之島)、アカアシカツオドリ(硫黄島)。アオツラカツオドリは地上、アカアシカツオドリは樹上で営巣。

4:南西諸島で繁殖
 マミジロアジサシ(南西諸島)、エリグロアジサシ(南西諸島)。いずれも地上で営巣する。

5:小笠原諸島と南西諸島で繁殖
 クロアジサシ(小笠原諸島、南西諸島)、ヒメクロアジサシ(小笠原諸島、南西諸島)、オオアジサシ(小笠原諸島、南西諸島)、セグロアジサシ(小笠原諸島、南西諸島)。いずれも地上で営巣する。

この区分に合わないのが
・アホウドリ:鳥島(伊豆諸島)と尖閣列島(南西諸島)で繁殖。かつては小笠原諸島でも繁殖してたけど。地上で営巣する。
・アナドリ:小笠原諸島、南西諸島、伊豆諸島、さらに宮崎県恩馳島でも繁殖している。地中に営巣する。
・カツオドリ:小笠原諸島、南西諸島、伊豆諸島、そして鹿児島県の草垣諸島と甑島でも繁殖している。岩場の棚で営巣する。
・ベニアジサシ:南西諸島、九州〜瀬戸内海沿岸。地上で営巣する。
●2022年2月17日 日本の繁殖個体群が失われた鳥

今日も日本で繁殖する鳥を勉強中。
日本にいた繁殖個体群が失われた鳥をリストアップしてみた。絶滅した鳥、と呼んでもいいのだけど、こういう書き方の方が、より正確な気がする。絶滅した鳥には、かつて繁殖記録があって、現在は繁殖していない鳥も含まれそう。でも、重要なのは定着した繁殖個体群が失われたかどうか。
ってことで、今回もまずは『日本鳥類目録 改訂第7版』に頼る。過去に繁殖していた鳥は FBと表記してくれているので抜き出してみた。

 リュウキュウガモ(沖縄島、石垣島、西表島、黒島)、オガサワラカラスバト(父島、媒島)、リュウキュウカラスバト(伊平屋島、伊是名島、沖縄島、屋我地島、座間味島、北大東島、南大東島)、コウノトリ(埼玉、東京、福井、兵庫)、オオグンカンドリ(南鳥島)、ハシブトゴイ(父島、媒島)、トキ(本州、佐渡)、マミジロクイナ(硫黄島)、シロアジサシ(南鳥島)、マダラウミスズメ(北海道東部)、キタタキ(対馬)、オガサワラガビチョウ(父島)、オガサワラマシコ(父島)

この内、オガサワラカラスバト、リュウキュウカラスバト、マミジロクイナ、オガサワラガビチョウ 、オガサワラマシコは日本固有種なので、日本から繁殖個体群がいなくなったら、この世界から絶滅したことになる。
こういうリストにたいてい入っているミヤコショウビンは、IVと表記されていて、迷鳥扱い。まあ1例報告で、繁殖記録もないから仕方ないかもだけど、じゃあ海外のどこにいるの?って思ったりもする。

2012年発行『日本鳥類目録 改訂第7版』以降、新たに繁殖個体群が失われたとされる種はないけど、それは10年くらいでは、完全にいなくなったと断言することは難しいから。
でも、もし過去に繁殖個体群がいたのに、2010年代の全国鳥類繁殖分布調査で繁殖が確認されなかった種をあげるなら、オオヨシゴイ、ヒメクイナ、タゲリ、イワミセキレイがある。オオヨシゴイ以外は元々偶発的な繁殖だった可能性が高いと思う、

『日本鳥類目録 改訂第7版』には掲載されていないが、近年、かつて南鳥島にナンヨウマミジロアジサシの繁殖個体群があったんじゃないかと推定されている。現在は絶滅したみたいだけど。
海洋性の鳥の繁殖地はけっこう国をまたいで流動的なので、オオグンカンドリ、シロアジサシ、ナンヨウマミジロアジサシ以外にもあるかもだけど。ちなみにこの3種はいずれもかつて南鳥島で繁殖してた。


●2022年2月16日 日本で偶発的に繁殖した鳥

日本で繁殖する鳥をいろいろ勉強中。
鳥ではなぜか、偶発的に繁殖した鳥、というのがある。その後、繁殖が継続したら、定着したと呼んでもらえるんだけど、単発や数発の繁殖で終わる例も少なくない。その場合、絶滅したとは言ってもらえない。定着に失敗したと言われる。
ってことで、日本で偶発的に繁殖した鳥をリストアップしてみた。とりあえずは、『日本鳥類目録 改訂第7版』に偶発的な繁殖は、CBと表示してくれているので、抜き出してみた。

 アカアシカツオドリ(小笠原諸島母島、八重山諸島仲ノ神島)、アカガシラサギ(秋田、熊本)、マナヅル(北海道夕張)、ツルクイナ(佐賀、石垣島)、タゲリ(山形、新潟、茨城、石川、福井、佐渡)、アジサシ(群馬、富山;アカアシ:東京、兵庫)、アカハラダカ(佐賀)、キンメフクロウ(北海道)、ヤツガシラ(岩手、長野、広島)、ヤマショウビン(島根)、コウライウグイス(埼玉)、シロハラ(対馬、広島)、イワミセキレイ(鳥取、岡山、島根、福岡、佐賀)、ナキイスカ(鳥取)、コイカル(埼玉、東京、島根)、ミヤマホオジロ(対馬、広島)。

『日本鳥類目録 改訂第7版』は2012年発行なので、それから10年経って、偶発的とは見なされなくなった鳥もいるし、その後偶発的に繁殖した鳥もいるだろう(その後、コミミズクの繁殖は確認されたし、カラアカハラの繁殖例は増えてるし、カタグロトビは定着した!)。あと、大阪人としてはツクシガモ(大阪)と、アカアシアジサシ(大阪)が入ってないのが少し不満。
注目すべきは、
・アカアシカツオドリ:繁殖確認例が増え、今や偶発的とは考えられていないと思う。
・オオヨシゴイ:本州北・中部では偶発的扱いだけど、北海道・佐渡・隠岐では過去に繁殖していたという扱い。未定着というより、絶滅に向かうプロセスなのかもしれない。
・シロハラ、イワミセキレイ、ミヤマホオジロはすでに定着しているか、しかけていると言って良いかもしれない。
●2022年2月15日 吹田市の生物相

吹田市の自然についての会議に出席。おおむね丘陵地にひろがる吹田市は、かつては棚田と里山と竹林。って感じだったけど、1970年の万博博覧会で、大幅に開発されて、すっかり見る影もなくなった。かに思えるが、とくに植物は意外なものが残っている。もともとの吹田市は、もっと自然豊かな場所だったんだろうなぁ。いまやその名残しか残っていないけど、それでも残すべき自然はある。でも、もう風前の灯火ではあるので、一刻も早い対策が望まれる。
そんな環境の一つが田んぼ。吹田市南部の田んぼは、すでに宅地開発などで大幅に減少して断片的に残るのみ。鳥ではケリやヒバリに注目と思ったけど、すでに吹田市からケリやヒバリの繁殖個体群は失われたっぽい。それでも、まだトノサマガエルがいる場所は残ってるらしい。そこは重点的に保全すべき場所。吹田市北部はニュータウン開発でこれまた大幅に変容したけど、それでも浅い谷地形とともに残ってる場所がある。やはり保全のターゲットの一つはカエル類。
もう一つのケアすべき環境はため池。これはニュータウン開発されても、公園などでそれなりに残ってる。淡水魚とか淡水貝とか水生昆虫とかを精力的に調べるべき。
そして、たぶん植物的には草地。どうも道路脇とか浅い谷筋とかに、少し湿った草地や、継続的に刈り取りが行われている草地があって、そこに希少な草地の植物が残ってるらしい。吹田市的に貴重なだけでなく、大阪府全体でも貴重な植物の話を聞くから驚く。どうして吹田市ではそういう場所が残ったんだろう? たまたま調べられてるってだけ?
●2022年2月14日 日本で新たに繁殖個体群を確立した鳥といえば

そもそも日本で種分化した種でなければ、現在日本で繁殖している種は、すべてどこかの段階で、日本で新たに繁殖個体群を確立したはず。日本で種分化していても、その祖先種は日本に新たに定着した時がある。日本に定着した外来鳥類は、定義上すべて、日本で新たに繁殖個体群を確立した種。
古い時代に定着されていても、さっぱり分からないので、とりあえず1900年以降で、新たに日本に繁殖個体群を確立した種を考えてみる。外来鳥類は除いて、きちんと把握できていないことが多い海鳥も除いて。もちろん、それでもまだ気付かれていない種も多いだろうけど、分かる範囲で言えば、

ハクセキレイこそが最古参。20世紀初頭までは日本で繁殖しておらず、1930年代に北海道に定着。その後、繁殖分布は南下し、少なくとも1950年代には本州北部、1970年代には関東で繁殖するようになった。その後も分布は西に拡大して現在に至る。
ヒメアマツバメは、1967年に初めて静岡市で繁殖が確認され、分布を拡大した。1970年代〜1990年代にさらに分布を拡大し太平洋岸に拡がった。
シロハラクイナはかつては迷鳥と考えられていたが、1975年に初めて沖縄で繁殖が確認され、1980年代に増加し拡がった。1980年代には九州での繁殖も記録され、さらなる分布拡大が取りざたされたが、2010年代には九州での繁殖は記録されなかった。

ミユビゲラは、1932年に生息が初めて確認され、1956年に初めて繁殖が確認された。その後あまり確認例は多くないが、2006年代以降、比較的まとまって記録があり、いまだ巣は見つかっていないが、細々と繁殖個体群が存在している可能性がある。ただし、もっと以前から繁殖していた可能性はある。
ワシミミズクは、1994年に初めて繁殖が確認され、1997年時点で10羽前後生息しているとされ、小さいながらも繁殖個体群が存在するらしい。ただし1929年と1937年にも未確認の繁殖情報があり、さらに以前から繁殖個体群が存在した可能性がある。

1972年に北海道野付半島で初めて繁殖が確認されたアカアシシギも、小規模で局所的なまんまとはいえ、その後も繁殖個体群を維持している様子。
ツメナガセキレイも1977年に北海道で繁殖が確認された。その後も道北、利尻島、礼文島に拡がっただけだけど、繁殖個体群は維持されている。

ジョウビタキは、1983年に初めて北海道で繁殖が確認された。1990年代〜2010年代に北海道周辺と本州中部〜中国に分布を拡大した。
カタグロトビは、2015年に石垣島ではじめて繁殖行動が確認され、2016年以降繁殖・定着した。

シロハラは、1966年に日本で初めて対馬で繁殖が確認された。その後も1990年代と2010年代には対馬で記録され、1991年には広島で巣が見つかっている。繁殖個体群が存在している可能性がある。
ミヤマホオジロは、1967年に日本で初めて対馬で繁殖が確認された。1990年代には広島でも繁殖が確認され、2010年代には対馬、隠岐、山陰に分布を拡大している。繁殖個体群が存在していると考えられる。
カラアカハラは、2003年に石川で造巣行動が確認された。2012年以降広島で記録されるようになり、2017年には初めて巣がみつかっている。2010年代には、対馬、広島、島根で記録されており、繁殖個体群が定着している可能性がある。
セグロカッコウは、1990年代に九州と四国の3地点で記録されていたのが、2010年代には九州東部から中国に分布が拡大している。繁殖は確認されていないが、繁殖個体群が確立されている可能性が高い。

一方、タゲリやイワミセキレイは、1970年代にいったんは繁殖個体群を確立したかに見えたが、その後消失した。繁殖個体群確立への道は険しい。

2003年に初めて繁殖が確認されたシマクイナは、繁殖個体群が存在するのか分からない。それ以前から生息していた可能性もあるので微妙。
オニカッコウは、2010年代に宮古島や久米島などで記録されている。これから繁殖・定着の可能性がありそう。
2019年に北海道大黒島で日本で初めて繁殖したコミミズクは、まだ1例なので、偶発的な繁殖なのか、今後繁殖個体群を確立していくのか、まだ見えない。
じゃあいつになったら見えるのかというと、なかなか難しい。
●2022年2月13日 市街地にもともといた鳥?

現在、市街地で繁殖する鳥している鳥は、2グループにわけられる。
1つは、おおむね1970年前後に市街地に進出して繁殖するようになった鳥。一番古いのがキジバトやヒヨドリ。キジバトの市街地進出は、地域によっては1960年代らしいけど、それはさておこう。もともとは山林で繁殖していた鳥が多く、近年は海岸の岩場などで繁殖していた鳥も加わっている。
もう1つは、それ以前から市街地にいた鳥。ここに該当しそうなのは、ドバト、モズ、ハシボソガラス、ツバメ、スズメ。このラインナップは、郊外の農耕地が残るエリア、あるいは農村周辺の鳥に近い。

大阪市をはじめ、現在の平地の市街地は、その前は家屋が点在する水田などの農耕地だった。だとすると、以前から市街地にいた鳥は、そもそも市街地ができる前の農耕地+家屋点在時代から生息していて、市街地化の後も生き残った強者達と考えられる。
市街地化を生き延びられなかった鳥には、おそらくカルガモやケリやコチドリ、ヒバリやセグロセキレイやホオジロなんかがいるんだろう。セグロセキレイは一部はある程度生き延びたかもだけど。

なんてことを思いついたんだけど、唐沢孝一さんの『都市鳥ウォッチング』に、ほぼ同じ事が書いてあった。30年も遅れてた。残念。
●2022年2月12日 新たなカワウの営巣地

2月5日、地元公園の鳥のセンサス調査をしていたら、驚いた。大池の端には、以前からカワウのたまり場があって、木が白くなっている。そこをふと見ると、カワウが巣をつくっていた! 完成した巣が1つと、つくりかけの巣が2つ。1月29日に調査したときは、巣はなかったから、この1週間以内につくりはじめたことになる。どの巣にも1〜2羽が立っているだけなので、まだ産卵はしてなさそう。抱卵姿勢で座りだしたら、抱卵に入ったと判断して、新営巣地に認定しよう。
そして、昨日2月11日、3巣は完成していて、2巣には抱卵姿勢で1羽が座っている。という訳で、目出度く?ついに身近にカワウの新営巣地ができた! せっかくなので、調査のたびに、それぞれの巣の様子を記録していくことにしよう。

それにしても営巣している島のすぐ裏では、作業している人達がいて、それなりに音も出してる。距離的には、けっこう近いのに平気そう。
このまま繁殖してくれると、鳥の巣と卵展の会期中の観察会で、観察していろいろ解説できて嬉しいけど、追い払われるかなぁ。

カワウのたまり場になっていただけの時は、カワウの出入りはあまりなかったのだけど、営巣を始めたら、カワウの公園外との行き来が目立つようになった。まだヒナはいないのだけど、どうしてだろう?
そして出入りの方向は、海のある西や、大和川のある南ではなく、北から北東方向。どこと行き来してるの?
●2022年2月11日 大阪湾岸の埋立地の裸地で繁殖する鳥

といっても兵庫県側よく知らないから、大阪府側だけだけど。そしておおむね2010年以降の話。それなら兵庫県側にめぼしい場所はなくて、重要なのは、大阪市の夢洲、泉大津市の汐見町埋立地、岸和田市の阪南2区埋立地、そして関空2期島だけ。
この4ヶ所では、同じようなセットの大阪湾岸の裸地で繁殖する鳥が記録されている。コアジサシの繁殖コロニーがあり、シロチドリも繁殖。一時期そこではベニアジサシの繁殖も記録された。この3種を御三家と呼ぼう。
これ以外にスペシャルな種として、夢洲ではアジサシが繁殖したとされる。また、関空2期島ではツバメチドリも繁殖したっぽい。
しかし、この4ヶ所のコアジサシの繁殖コロニーは2020年代にはほぼ縮小か消失した。汐見埠頭は整備が進んだのかいなくなり、関空にはソーラーパネルが並んでコアジサシの繁殖は見られなくなった。阪南2区埋立地は、工事の進行具合で繁殖コロニーができたりできなかったり、どっちかといえばできないことが多い。かろうじてコアジサシのコロニーが存続しているのは夢洲だけど、規模は数十規模に縮小していて、その存続も危うい。
コアジサシの繁殖コロニーの消失・縮小にともなってベニアジサシは見られなくなり、ツバメチドリの話も聞かない。シロチドリも少なくなった。
大阪湾岸の裸地で営巣する鳥は風前の灯。となると、かろうじて残ってるところを保全せざるを得ないのは理の当然。むかしはたくさんいた場所なのだから。
●2022年2月10日 視覚障害者接遇研修

というのをやるというので、参加してみた。いくつか疑問点が解消されたが、まだまだハードルは残る。
自販機の話、ナビレンズ。白杖上げる話。矯正したら、視力検査で0.1になるんだけど、生活する上では、さっぱり見えないんだそう。視力検査では表れない部分で、困るっぽい。
いろいろ興味深かったが、一番印象的だったのは、パソコンの読み上げ機能。あの早口を聞き取れるとは!

研修では、1対1でのガイドの話が中心だったけど。むしろ、その段階に至る前の声かけのハードルが高そう。そういう意味では困ってると意思表示してもらえると、対応しやすい。で、白杖をあげたら手助けを求めるサイン、って近頃テレビで見かけるんだけど、そんなんせえへんと言われてしまった。となると、こちらで忖度して、必要そうなら手助けかぁ。見守ることはできるけど、声をかけたりできるかなぁ。大きなお世話って反応されたらショック大きいし。

とりあえず大切なのは、視覚障害を持ってる方と、いろいろ話をする機会を増やすことじゃないかなぁ、と思った。
不謹慎かもしれないけど、同じ街で暮らしているのに、まったく世界認識が違っているのを知るのは、興味深くもあった。
ちなみに裸眼視力が0.1未満の私は、アメリカなら視覚障害者扱いらしい。そうだったのか。
●2022年2月9日 大阪のタカ類・ハヤブサ類の変遷

大阪で繁殖する鳥について、改めて調べる今日この頃。タカ類の繁殖状況を整理していて、不思議なことに気づいた。それは、昔は今より大阪で繁殖しているタカ類・ハヤブサ類が少なかった疑惑。なぜなら、近年になって大阪府で繁殖が確認されるようになったり、近年増加傾向のタカ類がけっこういる。
・ミサゴ:1960年代までは箕面市や和泉市で繁殖していたが、その後消失。2008年に約40年ぶりに繁殖が確認され、その後、泉南の送電鉄塔での繁殖がけっこう確認されるようになっている。
・オオタカ:1979年に河内長野市で初めて繁殖。2000年代にかけて増加。その後、やや減少したとされる。
・ノスリ:1990年代に野瀬町で初めて繁殖。その後も時々繁殖が確認されている。
・ハヤブサ:2004年ごろに泉大津市、八尾市、交野市で相次いで繁殖確認。その後も繁殖は継続。
・チョウゲンボウ:2010年に大阪府内数カ所であいついで繁殖確認。現在は、市街地周辺に広く分布。

とまあ新たに繁殖が確認されてきたタカ類・ハヤブサ類がいる一方で、古くから繁殖していたタカ類には、増えてるのはおらず、減少傾向のがいる。
・トビ:かつては海岸から山地まで普通に生息していたが、近年は泉南の海岸部以外ではあまり多くない。そして、観察頻度以上に繁殖確認例が少ない。2000年ごろの調査では6箇所のみ。南河内では、1972年以降繁殖確認例はない。
・サシバ:かつては丘陵から山地の林に普通だったが、激減した。

古くから繁殖が確認されていて、その状況があまり変わってないかも。というのは、ハチクマ、クマタカ、ツミ程度。いずれも元々あまり多くないのでトレンドがわかりにくいというのはある(クマタカは北部では減少したが、南部では増えたかも)。
全体的に見ると、サシバが激減した以外は、新たに繁殖をはじめた種が多い。山林では、サシバが減って、オオタカに入れ替わったとでもいおうか。ただ、かつてのサシバは現在のオオタカ以上に多かったようなので、山で出会うタカ類は減ったんだろう。
●2022年2月8日 特別展の解説パネルのテキスト読み合わせ

4月末に始まる特別展の解説パネルのテキストの読み合わせ。この1週間ほどの間に書きためたテキストを、学芸員の先生2名に見て頂き、厳しいお言葉を頂戴するという恐ろしいイベント。自分では完璧と思ってたのに、見直すとミスだらけで哀しい。書き直して5日後再提出。修論を思い出す。

昔、特別展の解説の文字パネルは、解説書の原稿を書いてから、解説書のテキストから切り出して作っていた。担当者が適当に切り出したのを、打ち出し係が打ち出す。たいてい、特別展オープンの直前。早くても2週間前だろうか。
近頃は、解説パネルの作成を業者発注するようになっていて、作成のタイミングも前倒し。さらに展示内容の強化の観点から内容も精査することになって、始まったのが読み合わせ。こなれた文章にできるし、無駄な解説パネルを減らすことにもつながる。解説パネルのテキストが、解説書より先に完成しがちなので、展示の流れを受けて、解説書を作ることにつながる。
かつては、解説書メインで、展示はおまけ感が強かった。解説書を作ったら燃え尽きてるともいう。今は、燃え尽きる前に展示を考えることになって、展示がやっつけ仕事にならない。というか、本来の展示のあり方になったというか。
いやでも、早めにテキストを書かなくてはいけないので、解説書を早めに作ることにもつながる気がする。

複数人が解説パネルを書く場合は、文章のトーンを揃えないといけないし、パネル構成の再検討も加わる。なかなか原稿出してこないやつもいて、何度も何度も読み合わせをすることになって、けっこう手間ではある。もちろんその意義は高いが。
今回は、解説パネルを書くのは一人だけ。そして、さっさと全部書いてしまった。構成もかなりきっちり考えて決めてから書いてるし。ということで、読み合わせでは、文章にわかりにくい点がないかといった本来の目的に集中できた。
2回ほどで完了。担当してくれた学芸員は思いの外すぐに終わったと喜んでくれた。そうでしょうそうでしょう。
●2022年2月6日 市街地への定着に成功した外来鳥類

植物や淡水の生物では、外来生物が多い。とくに市街地周辺では、外来生物だらけ。とくに植物では、外来植物の割合で、市街地化が評価できる、的な話をしている人もいるくらい。哺乳類やカメでも市街地に外来生物は多いし、新たな外来昆虫も最初に市街地周辺に定着という種は多い。ところが、鳥類においては、市街地はさほど外来が多い環境ではない。
かつて日本中でペット由来の外来鳥類が多数みられた1970年代や1980年代などに、多かったのは草地に生息するフィンチ類。おもに河川敷で外来鳥類は見られた。1990年代以降は、チメドリ類の定着が目立ったが、これは林の鳥で、山林などに定着した。あとはコブハクチョウなどが定着したりする水辺。
一方、市街地で見られる鳥の大部分は、在来の鳥。日本で一番成功した市街地に生息する外来鳥類はドバトだけど、ドバト以外の市街地の鳥は在来鳥類という時代が長かった。1980年代以降、ハッカチョウ やホンセイインコが市街地に定着したが、それは今でも一部のエリアに限られる。日本の大部分の市街地で見られる外来鳥類は、いまだにドバトだけ。
どうして、市街地に定着する外来鳥類は少ないのだろう?と思った時に、気づくのは営巣場所。ドバト、ホンセイインコ、ハッカチョウ 。いずれも営巣場所は、人工建造物の穴や隙間。日本の市街地では、地上で営巣する鳥はほぼいないけど、樹上に営巣する鳥は多い。樹洞営巣者だけでなく、皿形やお椀形の巣で営巣する鳥(オープンネスター)が多い。でも、市街地への定着に成功したオープンネスターは、日本にはいない(あえていえばシラコバト?)。市街地のオープンネスターにはなんか高いハードルがあるのかも。とりあえず思い当たるのは、カラスによる捕食圧?
●2022年2月4日 初めてのコインランドリー

いまのマンションにすみ初めて、もう25年以上になる。引っ越し面倒なので、ずっと同じ場所に住む傾向があって、京都で学生したいた時も、ずっと同じ下宿に住んでた。で、いまのマンションは歩いて2分ほどの裏にコインランドリーがあって、重宝していた。ってゆうか、コインランドリーがあれば、洗濯機はいらないな。自分の洗濯頻度から計算したコストからすると、洗濯地を購入しても元をとるのに20年以上かかるという計算の結果、そう結論して、ずっとコインランドリーで済ませていた。
が、12月にそのコインランドリーを使った時、なんか営業終了的なお知らせがはってあった。数年前から、真面目に営業する気がなくて、6台ある洗濯機が次々と壊れても修理されない。大きいのと、小さいのが1台ずつしか稼働しなくなっていて、不便だなぁとは思っていた。でも、営業をやめられるととても困る。
1月31日に洗濯しようといってみたら、閉まっていて閉店の張り紙。これは困った。仕方がないので、もよりの他のコインランドリーを探してみたら、あびこ筋の向こう側にあるらしい。ってことで、今日、初めてのコインランドリーに行ってみた。人生で2ヶ所目のコインランドリーなので、緊張する。容量がわかるか心配。

初めてのコインランドリーは、今までのところより、とても綺麗だった。そして、同じ容量で比較すると、今までのコインランドリーより安い! そして、ドラム式で、放り込んだら、洗濯して乾燥までそのまましてくれる。なんと便利な。
一方、いろいろ失敗した。まず、洗剤は自動投入だった。持って行った洗剤を投入してから、それに気づいた。どんな洗い上がりになるのかと心配したけど、普通に洗えてた。洗剤代も考えたら、こっちの方がさらに安い。
あと、初めてのマシンにうまくお金が投入できなかった。説明をよく読んでその通りにしたら、できた。慣れていないとはこういうこと。
容量ごとにマシンが細かく分かれている。ので、適切な量で持ってきた方がお得っぽい。これは相当慣れないと対応できないけど。頭にはとめておこう。
というわけで、新たなコインランドリーが見つかってよかった。自転車で洗濯物を運ばなくてはならないのが少し面倒なので、これからはあまり洗濯物をためずに洗濯しようと思った。


●2022年2月3日 図書館展示でテストラン

今日は午後から、某中央図書館でのエントランス展示の設営に、萌蔵と出かけた。もう20年近くになるだろうか、毎年1ヶ月程度の展示を頼まれて、その期間中に講演も1回。せっかくの機会に宣伝もしたいので、たいていは主催展のテーマに沿った展示と、関連した講演を主担者がすることになる。主催展の2〜3ヶ月ほど前に展示期間と講演会の準備をしないといけない。準備に忙しい頃なので、主担者としてはけっこう負担ではある。とくに一人担当の主催展では。一方で、主催展本番のテストランとして、展示のイメージをかためる機械にもなる。
主催展本番と展示期間が重ならないので、同じ展示物を並べることも多いのだけど。今回はメインの展示となる鳥の巣はまだ鳥の巣コレクターさんのところにあるので、特別展では並べない既に所蔵している巣を並べる。今回のテストランは、鳥の巣と卵を一緒に並べた時の雰囲気の確認。あるいは、隣り合わせに並べるか、別にまとめて並べるかの比較。卵の方は、本番でも所蔵標本を並べるので、展示本番と同じ卵がテストランでも並ぶ。
展示並べてみての印象は、巣と卵を並べると、思ってた以上に場所をとるってこと。巣+ラベル+卵+ラベル。ひな壇がなければ、横に並べるしかなく、小さい巣と卵でもそれなりの幅になる。ここに仮剥製を置くとさらに場所をとりそう。本剥製なら、後ろに立たせられるかもしれない。仮剥製を使うのは最小限にして、本剥製がなければ写真を使った方がよさそう。
巣に比べて卵は小さいので、遠目には卵が目立たない。場合によっては、あるいは遠目には、よほどプッシュしないと、卵があってもなくても同じ。展示スペースを減らすために、巣の上に卵をのせるプランも考えたけど、卵がさらに目立たなくなるので、やめた方がよさそう。
とまあ、いろいろ参考になった。
●2022年2月2日 鳥の巣と卵展の子ども向けワークショップ企画を無責任に

今日、4月〜6月の子ども向けワークショップの企画の相談があった。ちょうど「日本の鳥の巣と卵427」展に重なるので、3プログラムすべて鳥をフィーチャー。4月はプレイベント的に、常設展で鳥をさがして。5月と6月は、ハカセ付きとハカセなしのドンドンプログラムの2つ。
おもな打ち合わせ内容は、5月と6月のプログラムの内容。特別展の展示がどんな感じになるのか、どんなものが並ぶのか。多くの特別展では、展示内容は3ヶ月近く前時点では、プランは出来てるけど、具体的に並んでいるものは未確定。だいたいこんな感じとは説明できるけど、展示の詳細は主担者にも謎ってことが多い。なんせプレス発表も前だし。でも、子供ワークショップは、チラシを作らないといけないし、その前にワークショップの内容を決めないといけないので、けっこう大変。幸い今回はおおむね何が並ぶかわかっている。とにかく鳥の巣がたくさん並び。できるだけ卵もならべ。可能な範囲で剥製も並ぶ。さらに幸いなことに、おおむね並べる鳥の巣の全容を知っている。解説では、日本や大阪で繁殖する鳥の変化の話をしたいなぁ。最後の部分が一番未確定かも。
ハカセなしのドンドン形では、お題を与えて鳥の巣を観察してもらう。って感じにしたいそう。自分で巣を見て歩く視点としては、環境、巣場所、大きさ、形、巣材といろいろありそうだけど、まだ字が読めない子どもに環境や巣場所は難しい。巣材というのは、説明するときはよく使うけど、なれてないと大人でも見ただけでは、よくわからない。やはり説明を読む必要がある。巣だけを見て、考えたり探したり絵を描いたりするテーマとしては、巣の形だろう。ってことで割とあっさり決まった。幸い、お椀形、ボール形などは、子どもでもすぐわかる。探せるし、絵を描いてもらうこともできる。
ハカセ付きでは、ハカセが熱く語る系にしたいそう。なにかの特定の鳥やグループを取り上げるか、テーマを決めるか。子どもたちが知ってるか、身近にある巣の話がいいだろうという点では、あっさりまとまる。身近な鳥の巣といえば、ツバメ、カラス、スズメ、ハトって感じだろうか。と考えた時点で、頭の中は、巣をつくるワークショップ楽しそう。というアイデアを思いついて頭から離れない。巣づくりなら、枝的なものを組み合わせるか、枯れ草を詰め込むか、泥の粒をくっつけていくか、なんて感じだろうか。キジバト の巣づくり研究してたから、枝の巣をつくるのをとてもしてみたい。けど、なぜかひかれるのは、泥でツバメの巣をつくるプラン。子どもは泥遊び好きそうだなぁ。泥っぽく粘土を用意して、小さく丸めて、壁につけて、ツバメの巣をつくる。楽しそう。そっくりなんつくれそうな気がする。
なんて、一人で盛り上がって、話し合いにろくに参加せず。アイデアを聞かれて、ツバメの巣をつくるしかない!と宣言。幸い、ハカセ役としては、ツバメであればいくつか調査してきた経験もあるし、いい本もあるし、熱く語れる。ってことで、まだ確定してないけど、テーマはツバメの巣になりそう。ちょっと楽しみかも。
●2022年2月1日 2022年1月のまとめ マンボウはやはり赤かった

年が明けてしばらくしたら、またコロナで行事が止まるんだろう。とは思ってたけど、2月頃かと思ったら、想定以上に急拡大してくれて、1月下旬から行事が止まった。アカマンボウが出現したのは、月末ではあったが、その直前から今までにない状況になっていたので、自主的に行事を取りやめた感じ。判断が難しかった。
そんな2022年1月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。
奈良県1コースと京都府2コース(1日で調査するけど)のハッカチョウセンサスも実施。
地元公園の鳥のセンサスと果実チェックを実施。工事中にもなれてきた。
昨年から1月末のルーティンについかした武庫川の水鳥調査も実施した。

ホネホネ団の活動は、2日。

普及行事は、ジュニア自然史クラブと、博物館たんけん隊は実施できたものの、
月例ハイクは下見はしたものの、本番は中止を決断した。残念なので下見に基づいて自然観察地図を作って、申込者に配った。鳥の観察会と鳥類フィールドセミナーも中止。
大阪鳥類研究グループの観察会はギリギリ実施できた。

講演は、なかった。
博物館実習は、対面で実施できた。
査読はなし。

特別展の準備としては、
解説書をようやく書き始めた。当初は書き終わる予定だったが終わらず…。
解説パネルの構成をだいたい決めた。
展示の配置をおおむね決めた。が、標本点数に併せての調整が必要。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系2冊と、SF0冊、その他1冊。
完全休養日はなし。
●2022年1月31日 武庫川水鳥調査

昨年度の冬に、大阪湾岸のカモメ類を中心にした水鳥調査を実施した。その時、大和川河口と並んで、もしかしたらそれ以上に、武庫川下流部はカモメ類が多い場所であるらしい。ってことになって、武庫川の注目度が高まった。その勢いで、宝塚駅から河口まで歩いて、水鳥をカウントしてみた。
考えてみれば、25年以上にわたって、大和川下流部は毎月水鳥調査をしている。同じような河川を調査すれば、比較できて面白い。さすがに毎月は大変だけど、年に一度、冬の水鳥が多い季節にでも調査を続けてみよう。って思ったのが一年前。ちゃんとそれを覚えていて、今年も宝塚駅から河口まで歩いてみた。
2回目なので、コース取りはスムーズ。最初は左岸を歩き、天王川合流部をうまく回避し、甲武橋で右岸に渡って、阪神高速湾岸線まで。橋の名前もわかるし、どこが見どころかもなんとなく覚えてる。なのに、昨年4時間半で歩いたコースに、今年は5時間10分かかった。なぜだ!?
今年は鳥が多かったかというとそうでもない。カモメ類の群れは、武庫大橋辺りから阪神高速神戸線までに多いのは、同じ。むしろ、武庫川新橋辺りの群れがいなくて、今年は少なめ。河口に海カモやカンムリカイツブリの大きな群れがいないのも、昨年と同じ。スズガモがぜんぜんいない! むしろ今年はカモ類が少なく、まとまった個体数がいたのはオカヨシガモ程度。あとはオオバンがいっぱいいた(これは昨年と同じ)。
というわけで、今年の方が早く終わりそうなのに、時間がかかった。謎すぎる。
●2022年1月30日 友の会総会オンライン

毎年1月末は、大阪市立自然史博物館友の会の総会。総会というなの友の会で一番の大きなイベント。総会議事はあるけど、楽しい行事報告(たいてい子どもらが発表してくれる)にはじまって、講演会、オークション。バッジデザインコンテストや写真ギャラリーの人気投票。会場前では、本の安売り。昼は手作り豚汁を味わって、バサーで買い込んで終了。
というもんだったのだが、コロナ禍に突入して、昨年からリモートに。昨年は議事と講演会だけだった。今年はバザーとオークションも展開した。でも、なんか物足りない。
年に一度、この機会に顔をあわせる人もけっこういた。そうした人とは、2年の間、顔をあわせていないことになる。昨年度からの新人学芸員は、友の会総会の本当の姿を知らないまま、2年経とうとしている。普及行事も少なくなってるし、いまだに顔を知らない、かつての常連友の会会員も多いに違いない。
コンタクトの減少は、会員継続率の減少に直結しそう。行事の機会の減少は、新規開拓も困難にしてる。会員数の減少は避けられない。あと、バザー用にためこんだ物があふれてきて、どこに置くか問題も発生している。この問題は、毎年バザーをしていた頃からあるけど。
●2022年1月29日 カラタネオガタマとヒヨドリの不思議な関係

ってゆうか、なんの関係があるのか判らないけど、冬になるとカラタネオガタマに数羽から十数羽のヒヨドリが集まってることが多くなる。果実も花もないのに不思議。とずっと思ってた。今日もカラタネオガタマにヒヨドリが集まっていた。この季節にこんな感じで集まるとしたら、食べ物のある場所くらいしか思いつかないけど、何を食べているのか判らない。そうつぶやいたら、3つの可能性を指摘してもらった。SNSって役に立つかも。
一つは、葉っぱを食べに来ている可能性。たしかにユズリハの葉っぱはしばしば食べる。トウネズミモチの葉っぱを食べてるのも見たことがある。厚みのある常緑広葉樹の葉っぱを食べるらしい。一方で、薄っぺらいナラやカシの葉っぱは食べない。それで言えばカラタネオガタマの葉っぱは食べる候補になる。が、食べていたら跡が出来るのですぐ判る。まったく食べていない。
もう一つは、カイガラムシなどの虫がいるんじゃないか説。たしかにネットを見ると、カラタネオガタマにつく虫として、カイガラムシがあがってる。そこまで真面目に見たことがないので、今度確認してみよう。今のところ一番候補。
3つ目は、樹液が出てるんじゃないか説。これもチェックしてみよう。

【追記】
2月5日、カラタネオガタマを、少し真面目にチェックした。樹液は出てない。カイガラムシも付いてなさそう。ただ葉っぱの表の凹みの真ん中に、丸くて直径5mm程度の糸を使った虫の隠れ家がけっこう出来てる。これを食べに来てるのかも。これはなに?
●2022年1月28日 堺市から謎のコウモリ情報

OF大のHさんからメール。堺市のいきもの情報を集めるシステムに、コウモリ情報が届いている。それは未だ堺市では記録のない種。同定に問題ないか確認がいるんじゃないかと。確かにそうだけど、こちとらコウモリは全然苦手。なので、大阪府周辺の穴に入りまくって、大阪府産の洞穴生コウモリの新知見を次々と見出しているUさんに確認をお願いした。それが2日まで。今日、返事が来た。
飛んでる画像のコウモリはユビナガコウモリで間違いなし。とまってるコウモリは、たぶんモモジロコウモリ。どちらも堺市初記録。コウモリ屋のUさんは堺市在住。大阪府のみならず周辺府県にまで出向いて、穴に入ってはコウモリを調べている。なのに、地元堺市のコウモリを調べ損なっていたってことになる。少し悔しそう。
とりあえず堺市の哺乳類リストに2種加わったらしい。

【追記】
悔しかったUさんは、後日、情報提供者とも連絡をとって、2月に入ってすぐ自分でも調査に行って下さった。今度はコキクガシラコウモリを確認とのこと。堺市のコウモリ相がみるみる充実していく。
●2022年1月27日 鳥の巣と卵展関連のグッズ開発会議

新たなデザイナーさんを招いて、コーディネーターを交えて、新作グッズ開発の打合せ。
鳥の巣を並べるだけでは淋しいから、鳥や卵も並べる感じかなぁ。って感じで始まった。下打ち合わせの段階で、コーディネーター側から、いろんなタイプを並べるのでどうかな。という話をしていた。

■チドリ類のような地上のくぼみの巣、キジバトみたいな皿形の巣、メジロみたいなお椀形の巣、エナガとかのボール形の巣、コシアカツバメのトックリ形の巣、フクロウのすき間の巣、キツツキが開けた穴の巣

巣の形のタイプを紹介するというのは1つのやり方だけど、並んでいる鳥がとりとめなくて、なんか面白くないというか、雑な感じがする。と思って見てたら、地上のくぼみの巣だけあきらめたら、市街地で繁殖する鳥で、一通りのパターンは並べられそう。

■キジバトの皿型の巣、メジロのお椀形の巣、エナガのボール形の巣、コシアカツバメのトックリ形の巣、シジュウカラのすき間の巣、コゲラが開けた穴の巣

これにヒヨドリ、ムクドリ、ハシブトガラス、カワラヒワなどを足したら、近年、大阪市内で繁殖するようになった鳥になる! あるいは、

■キジバト・カラスの皿型の巣、ヒヨドリ・メジロ・カワラヒワのお椀形の巣、エナガのボール形の巣、シジュウカラのすき間の巣、コゲラの穴の巣
■ツバメ・イソヒヨドリ・ハクセキレイのお椀形の巣、イワツバメのボール形の巣、コシアカツバメのトックリ形の巣、ドバト・スズメ・ムクドリのすき間の巣、チョウゲンボウ・ハヤブサの棚の巣

という具合に、市街地の木で繁殖する鳥、市街地の人家で繁殖する鳥、それぞれでまとまるやん! それなら、木に巣と鳥を配置したり、人家やビルの背景に巣と鳥を配置したらかっこよさそう。
木の葉っぱに隠れるように、鳥と巣を配置したら、お洒落〜。木に巣をかける鳥なら、黒と赤の差し色(あとはせいぜい黄色)で表現できそう!とか盛り上がったからだろうか。市街地の木で繁殖する鳥と巣を、木に配置する案が採用された。人家・ビルに鳥と巣を配置する案の方も、いつか作りたいなぁ。
●2022年1月26日 大阪府で増えたタカ減ったタカ、日本で増えたタカ減ったタカ

大阪府で繁殖する鳥の情報をまとめる。というか10数年前に一度まとめたので、それを改訂する作業を、ここ数日してる。楽しいけど、面倒くさい。
水辺や市街地周辺の鳥を熱心に調べている割りには、山の鳥に冷たい自分に気付く。でも、ことタカ類に関しては、他に熱心な方々がいるので、それなりに情報があって、おおよその絵が描ける感じ。
さらに3回目の全国鳥類繁殖分布調査が2021年に終了して、秋にはまとめた報告書がでて、過去2回との分布と並べてくれてるので、分布の変化がよく判る。
現在、大阪で繁殖しているタカの増減傾向を日本全体と比べてみよう。

ミサゴ:日本では増えてる、大阪府でも増えてる。というかしばらく中断していた繁殖を再開した感じ。
トビ:日本では減ってる、大阪府では随分昔に減って減ったまま。
ツミ:日本では増えてる、大阪府では繁殖例が少なすぎて不明。
オオタカ:日本では2000年代をピークに現在は減少してるとされる。大阪府でも2000年代をピークに減少してる。
サシバ:日本では分布北限は北上してるけど、個体数は減少気味。大阪府では随分前に減ったまま。
くまたかは:日本では繁殖成功率はさておき、あまり変化なし。大阪府では随分昔に減ったが、その後はあまり変化なし。

総じて見ると、日本全体の傾向と大阪府の傾向はそんなに変わらない。オオタカの傾向は日本各地で同じって事かな? いったい何があったのか不思議。
●2022年1月25日 懺悔ゼミ2022

今日は年に一度の懺悔ゼミの日。学芸員がこの一年の目標が達成されたか報告し(たいてい達成されていないので、懺悔となる)、次の一年の目標を高らかに宣言する。言い訳多めで、あまり高らかじゃないけど。

2021年の三大目標は、
一に、ため池繁殖鳥調査を、前回と同レベルで実施する。
二に、冷凍室とストッカーを片付けていく。
三に、瀬戸内海沿岸の水鳥、大阪府のサギ類、大阪湾岸のカモメ類の調査をまとめる。
これを考えたのは、2020年にコロナ禍に突入したが、日本でもワクチン接種が始まりそうだから、もしかしたら2021年中にコロナ禍は終わるかも。なんて甘い夢を見ていた頃。遠い目。

1人でも頑張れば何とかなる大阪湾岸カモメ類調査は、1月に無事完了したんだけど、大勢を巻き込まないと展開できないため池繁殖鳥調査は、あえなく断念。という訳で評価は×。
新型コロナウイルスの影響で、なにわホネホネ団の活動は2020年以上に影響を受け、3月と10〜12月しか活動できず。活動できる時に、多めに処理したけど、冷凍質は満杯状態が続いた。でも、資料収集保管という意味では、2020年に引き取ったM公園の標本の多くは収蔵庫に片付いたし、7月にはニタリクジラの回収も頑張った。評価は△としておきたい。
2010年〜2017年に実施した大阪湾岸、播磨灘岸、さらに西の瀬戸内海岸の水鳥調査のデータ入力が完了した。が、論文化にはいたらず。大阪府のサギ類のデータはまとめは終わってるけど、論文化は手つかず。大阪湾岸のカモメ類の調査はデータまとめて、あちこちで話したけど、論文化はできず。×評価やむなし。

2021年を一言でまとめると、コロナ禍終わらず。普及行事は、大阪自然史フェスティバルを含めて、中止の嵐。2020年以上に、サークルの活動も制限を受けまくった。できた時間で、2010年〜2017年の海鳥の調査データを入力できたのは嬉しいし、いろいろな事が判って面白かったが、あちこちで話したり、書いたりしたけど、論文にはなってない…。大阪湾岸カモメ類調査も含めて、カモメ類を中心に海鳥にひたった1年だった。外からは海鳥研究者に見えたかも。

2022年の主な課題を3つ上げるなら、
なにより、特別展「日本の鳥の巣と卵」展を無事に開催すること。関連して小海途氏の鳥の巣コレクションを受け入れて、解説書を完成させて、コレクション目録の収蔵資料目録を作成するっていうのが何より大事。失敗できない。
2年続けて断念したため池繁殖鳥調査はもう延期して、大阪市内のツバメ分布調査を実施したい。10年ぶり2回目なので、この10年に大阪市内のツバメが増えたのか減ったのかを語るぞ! 1区1日ペースで、全24区を自転車で走り回る。
あとは、冷凍室やストッカーの整理を進める。冷凍室の哺乳類の皮処理と、動物園物の鳥の死体の処理を進めたい。あと、現地に埋めてきたニタリクジラの骨の回収を忘れずに。そのためには砂場を片付ける。
他に気になってるのは、大阪自然史フェスティバルの再開。そして、この2年、100人ずつ減ってきている友の会会員の復活。

と言う訳で、2022年の主要目標をまとめると、
一に、特別展「日本の鳥の巣と卵」展をオープンさせる。
二に、大阪市内のツバメ分布調査を実施する(24区全部まわる!)。
三に、冷凍室と砂場を片付けて、ニタリクジラを回収・標本化。
といいつつ、後半は大阪自然史フェスティバルのことを考えなくては〜。
●2022年1月24日 波有手のカキ小屋

波有手って地名は難読地名すぎる。もしかしたら大阪府で一番の難読地名かもしれない。正解を知ってるけど、見るたびに頭の中では”はゆて”と思ってしまう。正解は”ぼうで”。この地名は地元では使ってるけど、住所表示にはないので、郵便番号や地図には出てこない。駅名やバス停にもない。そのため一層普及しない感じ。唯一、広く(?)知れ渡っているのが、「波有手のカキ小屋」。
といっても、まだ数年前に始まったばかりだと思うけど。西鳥取漁港の南の端っこに、その「波有手のカキ小屋」はある。冬のカキシーズンに、大阪府で唯一、地元産のカキを現地で食べられる場所。難点は、平日はやってないこと。そしていつからいつまで開いているか、いまひとつ決まってなくて、行く前にネットで調べておいた方が無難ってこと。でもまあ1月は割とやってるみたい。
昨日予定していた友の会のハイキング的な行事は、箱作駅集合で、海岸沿いを歩いて、ビーチコーミングと水鳥観察。そして西鳥取漁港解散。最寄りの鳥取ノ荘駅で解散すればいいものを、漁港で解散するのは、希望者は(スタッフを含め)カキ小屋でカキを喰って帰るつもりだったから。
下見は平日だったので開いてなかったけど、昨日開いてることはちゃんと下見で確認した。で、楽しみにしていたのだけど、新型コロナウイルスの新規陽性者数がどんどん増えて、雲行きがあやしくなり、やっぱり昨日の行事は中止に。まあ、コロナ禍がなくても、昨日は雨天中止っぽかったけど。
というわけで、一度食べに行きたいと思っているけど、今年も行けなかった(ついでがないとなかなか行く暇がない)。来年また冬に行事を企画しようかなぁ。
●2022年1月23日 友の会合宿復活への道

大阪市立自然史博物館友の会では、毎年1〜3回、宿泊して少し遠方へでかけて自然観察をする”合宿”という企画があった。が、コロナ禍の中、宿泊を伴う、あるいは長時間同じバスに乗って移動する行事は敷居が高い。2020年も2021年も、企画はしたものの、宿の予約までしておきながら、実施どころか、募集段階で断念している。
2022年こそ合宿を復活させるぞ!と担当者が企画を練ってるけど、安全に実施するには、いろいろハードルが高い。高すぎるかも…。

合宿企画の難しさは、感染機会の多さにある。
・集団で一緒にいる時間の長さ。バス移動は避けられない。数時間一緒に乗ってる可能性がある。そして何より、宿での滞在時間がある。個室設定は少なく、風呂も大浴場。
・一緒に食事。ということはマスクを外して、一緒にいるってこと。宿では室内で。

感染リスクを下げるにはコストがかかる。
・同じバスに乗る人数を減らす。ってことは参加者数を減らすか、バスの台数を増やすことで。それは参加費を大幅に増やす(バス代は参加費の少なくない割合を占める)。
・宿泊所で同じ部屋、一緒に食事する人数を減らす。バスと一緒で参加費に跳ね返る。また、宿舎側にお任せせざるを得ない部分も少なくない。あるいは、使える宿舎が限定される。
・事前にPCR検査などをして陰性確認がほしいところ。各自がするにしても、まとめて手配するにしても、金銭的・労力的コストは高い。運営側としては、その確認コストも少なくない。
・そして、企画したのに中止になるコスト。急遽予定を変更せざるを得ないコストは、今までの合宿でもあったが、コロナ禍の中では半端ない。

宿泊しての合宿は、遠方に行くということもあって、普段できない観察・採集体験ができる。一緒にいる時間が多く、絆を強める意義も大きい。が、ここまでコストが高いとコロナ禍の中での実施は厳しい。
それなら、
・少し遠目の日帰り圏で、宿泊を伴わない行事を繰り返す。
・各人で宿泊してもらって、遠方でも現地集合する。
というのが現実的。それでも集合してからのバス移動コストはある程度避けられないけど。
●2022年1月22日 身近な雑草の病原菌:黒穂菌、麦角菌

植物病原菌を調べている石川県立大学の田中さんのお話を聞いた。とても楽しい。身の回りにこんな世界が広がっていたとは!
おもに話されたのは、黒穂菌と麦角菌。あと竹の天狗巣病。黒穂菌と麦角菌は、身近な雑草にもつくので、中高生でも見つけて研究の余地はいろいろありそう。

黒穂菌
タデ科やイネ科植物やサクラソウなどにつく。身近なイネ科やスイバなどの雑草にもついてる。
胞子が生えて、担子酵母とやらになって自由生活、その後寄主植物に移動して、寄主の花をコントロールして胞子生産。自由生活から寄主植物へは、酵母が移動して、植物体の表面をはって、ターゲット部位に到達するらしい。
それがエリスリトールや、生分解性プラスチックがらみで研究されてきた菌とDNAの配列が一致。あれは黒穂菌だったのか!なんて展開があったのだそう。
マコモダケは黒簿菌の一種で、食用のを買ってきて、放置したら黒いポツポツが出てくるって。

麦角菌
イネ科植物につく。けっこう身近なのにもいろいろ付いているっぽい。
植物の花を角にして、蜜出して、ベタベタらしい。蜜で昆虫呼んで散布してもらうらしい。蜜は、舐めると甘いんだそうな。でも、アルカロイド入ってるから舐めるなと言われた…。風媒のイネ科植物の花に虫が集まってたら、麦角菌!ってことかな。昼間はよくアブが集まってるけど、おもにガが散布とのこと。
麦角菌といえばトリップ。日本のいろんな麦角菌でもトリップできるかが気になるところ。
日本のすべての麦角菌を集めているけど、チガヤとカモノハシの麦角菌は、古い標本が残っているだけで、自分で見つけられずにいるとのこと。という訳で、チガヤとカモノハシの麦角菌の情報募集中。角の生えたチガヤやカモノハシを見つけたら、是非お知らせを。

天狗巣病菌
タケとかにつく。
似たような生活をするけど、なかなか花が咲かないので、花をターゲットにせず、組織内に入ってるのかな。
●2022年1月21日 黄色いマンボウは出るのか出ないのか

どうせ遅かれ早かれまん延防止等重点措置が出るのは明らかだった。病床使用率35%とか口走った時から。あとはいつ出るかってだけの話。で、先週時点では、今週に入ったらすぐにまん延防止等重点措置かなと思ってた。
が、しかし。今週になってもウダウダ言って、なかなか決断しない奴ら。いったい週末の行事をどうしたらいいんや! いやそもそもまん延防止等重点措置が出てても出て無くても、安全に実施できる状況ではないのでは? 政治が決断しないなら、自分で決断せなあかんのか?
と悩ましい日々。が、なんか予想通り新規陽性者数が急増して、今日、大阪府はまん延防止等重点措置を政府に要請した。良かったというのもおかしいけど、判断しやすくなった。まあ、結局、この週末は出ないんだけど、まん延防止等重点措置が出ててもおかしくないレベルの新規陽性者数というお墨付き。となると、安全に対面行事を実施する状況ではないだろう。途中の駅や電車内の安全は保証しにくい。
と決断して、一昨日に土曜日の行事の、昨日は日曜の行事の、それぞれ中止の案内を申込者に送った。一昨日時点では、週内にまん延防止等重点措置を要請するレベルになるだろうという見込みだったけど。確定するまで待ってられなかった。ほんま、早め早めに決断してもらいたいもんだ。

行事が中止になるのは、申し込んで下さったみなさんには申し訳ないし、普及教育的にも残念だけど。時間が出来たのは有り難いというのが正直なところ。
なんせ、今は春オープンの特別展の準備の最初の山場。このできた時間に頑張ってを進めねば。っていうか解説書書き。この週末で目処を付けたい!
●2022年1月20日 ポスターデザイン&プロモーション企画講評会

なぜか学生さん達が作成したデザインの講評をするというお仕事。デザインのことなんかまったく判らないのに、おこがましいにもほどがある。でも、デザインの発注側的な立場で、あれこれ注文を付けるのであれば、やれるし、やったこともある。学生さん達も、もしデザイナーになったら、デザインのことなんかまったく判らん奴を相手にしないといけなくなるんだから、いい練習と思ってもらおう。ってゆうか、そういう経験するための企画やんね?昨年夏にとあるデザイン系の専門学校からお話があったのがきっかけ。うちの博物館のポスターデザインとプロモーションをテーマにした実習をおこないたい。で、10月に現地見学に行くので、博物館の概要説明をしてほしい。1月にそのデザインとプロモーションの発表会があるので講評をお願いしたい。数年前にもあった企画なので(そのとき、タッチしてなかったから、あまり記憶になかったけど)、館内でもあっさり了解がとれて、受け入れることに。 そして、今日がその発表会。博物館に見学に来られたのは9名だったけど、コロナ関係で欠席や完成できずに断念という学生がいて、今日発表したのは6人。こちらは3人で出かけていった。
評価は、ポスターのできだけでなく、プロモーション案やプレゼンテーションを含めて総合的にと先生には言われた。チェック項目を書いたシートも渡された。欠席者と発表者の区別ができず、へんな欄に記入してしまった…。学生さん達は、ターゲットを絞ってポスター&プロモーションを考えるのがベターという指導があったらしい。
6人それぞれの発表を聞いて、簡単な質疑をしてたら1時間半かかった。それから先生2人と学芸員3人が別室に移動して審査。審査は15分と、先生は学生さん達に言ってたけど、結局30分以上かかった。3人に絞り込むのは簡単だけど、その中の優劣をつけるのが難しかった。先生は何が何でも総合1位を決めてほしいとのこと。世の中に出てからのコンペの厳しさを体験するのも、この企画の目的の一つというのはわかる。でも1人に絞れない。仕方がないので、総合1位を1人と、部門別1位を2人選んだ。総合1位の賞品を何か持って来いと言われていたのに忘れてた…(後日送付した)。

6人中3人を選ぶのはとても簡単だった。上位3名は、
・プレゼンテーションがうまかった:目的がわかりやすく、プレゼンの構成もしっかりしてた。なにより声が大きくハキハキしゃべっていた。
・ポスターデザインと、プロモーション案がリンクして、全体として一つのプランができていた。その中身には問題点などもあるけど、大枠がきちんとできているのが大きい。
下位3名も
・ポスターのデザインだけで評価すれば、上位3名とそれほど大きな差はない。
・プロモーション案での企画や問題点の指摘に関しては、うなずける点もあった。
とはいえ、総合的に差は歴然。

上位3人のデザイン&プロモーション案に大きな差はなかった。なので議論でもめるというより、学芸員3人はみんな誰を選んでもいいけど、誰を選んだらいいか決められず結論を出すのに時間がかかった。
最終的に総合1位に選んだ1名と他の2名の差は、
・ターゲット層の選び方と、それをどう動かすかという目標
・そして、その目標の達成実現性。
1名は親子連れをターゲットに、博物館に来てもらうことを目的としていた。他の2名は、自然史に興味のない中高生(及び大学生。1人はとくに女子限定)に、博物館に来てもらうことを目的にしていた。
後者のターゲットは、一番困難な相手。それにポスターに目を留めてもらう程度の目標ならともかく、博物館に足を運ばせるという目標は、ハードル高すぎ。少々のプランでは実現できるとは思えない。
一方、前者は、現在の博物館のメイン顧客層でもある。この幅を広げるのは実現性が高い。また絵本をキーワードにしていたのだけど、これも図書館との連携をイメージしやすく、総合的に実現可能性が高く評価された。
ターゲットや目標と、ポスターデザイン&プロモーションをフィットさせるのがいかに大事か。という点は、審査していて改めて考えることができた。勉強になった。
とはいえ、他の2名も大学1年生とは思えない出来なので、勝手に部門別で表彰。1人はポスター賞。デザインというより企画面で、デジタルサイネージでの展開や電車の中吊りに向いてるという評価。もう1人はプロモーション賞(&プレゼンテーション賞)。キャラクター展開がグッズ制作、ポスター以外の館内掲示物のデザインと、幅広い企画になっていた。

影のプレゼンテーション賞受賞者さんは、歩き回りながらのプレゼンテーションが良く出来ていたしカッコ良かった。ジョブズがモデルかと思ったらその通りだそう。練習したんだそう。それなら服装もジョブズに合わせればいいのに…、と言いかけて見回すと学生さんはみんなスーツ姿。ドレスコードがあったのね。
先生に聞いたところでは、以前真面目な審査員相手に、ラップでプレゼンして撃沈したことがあるらしい。それにもめげずに、プレゼン企画を持ってきたところは素晴らしい。上位3人は、いずれも今日のプレゼンにたどりつくまでに、紆余曲折があって、ダメ出しされて方針展開したりしてきたんだそう。若いのにダメ出しされて、方針展開してここまで持ってこれるとは、すごい優秀だと思う。将来楽しみ。
●2022年1月19日 今年のガンカモ調査

17日のため池めぐりと、今日の近所のため池調査で、今年のガンカモ調査の担当部分が終了。さっそく報告した。マニュアルちゃんと読んでなくって、いくつか怒られた。報告ファイルの仕様は一見同じなのに、記入仕方が変わってるんだもん!
ガンカモ調査というのは、前世紀から日本野鳥の会を中心に、日本全国で実施されているモニタリング調査。市民調査として、毎年行われているモニタリング調査としては、日本屈指ではないかと思う。
でも、長年続いているモニタリング調査には、世代交代という問題が付きもの。大阪府では、昨年から世代交代が進められつつある。高年齢層が昨年けっこう抜けて、その下の世代への負担が増えたので、今度は若手をリクルートしようという動きが起きている。ただ苦戦中。
参加しても良いよ、と手を上げてくれた方には、一度経験者と一緒に調査に参加してもらって、それからいけそうなら交代するって手順を踏んでるらしい。面倒だなと正直思ってたんだけど、一緒に調査に行ってみると、カモ類をまるで識別できない!という衝撃の展開もあったりするらしいので、この手順は必要っぽい。
私の担当は、昨年4ヶ所増えて、18ヶ所のまま。この担当数は多めなんだそうで、他の人が代わろうかとも言ってくれるのだけど、どうせ毎月調査に行ってる場所なので、交代してもらっても手間は減らない。と断ってたんだけど、よく考えたらわざわざ寄り道して調査してる池が2ヶ所あった。来年はあれを押しつけようかな。
昨年担当になった1ヶ所は、現在工事中で立ち入り禁止、一般の人は調査できないので、昨年担当を交代しておいて良かった。
●2022年1月17日 オオバンの労働寄生

オオバンが潜水して水草をとってきて食べる。それを水面でヒドリガモやオカヨシガモが待っていて、横取りする。というのはけっこう見かけることがある。水草くわえて逃げるオオバンを、ヒドリガモが追い回すなんて光景を見ることもある。ヒドリガモやオカヨシガモはあまり潜れないので、水中の草を食べたければ、横取りするしかないんだろう。それじゃあ、他の水面採食ガモは横取りしようとしないのかというのは、ちょっと気になる。
他者が確保した食べ物を横取りする行為は、労働寄生の一つとみなされ、鳥ではよくある。カモメ類ではよく見られる行為で、カモメ類ではないけど、まるで労働寄生の専門家のようなトウゾクカモメという鳥までいる。具体的に食べ物を奪うのは判りやすい労働寄生だけど、群れの中で他者が見つけた食べ物を横からかっさらうのも労働寄生かなぁ。などと考え始めると、労働寄生の境目がややこしくなってくる。ちなみに食べ物の話ではないけど、托卵も労働寄生の一形態。
ところが今日見たのは、ちょっと変わった労働寄生(?)だった。なにより被害者側だとばかり思っていたオオバンが加害者側に回っていた。

とある池。ホシハジロ1羽のすぐ傍にオオバン1羽。というのが3組。ホシハジロが潜水して採食している。なにかくわえて上がってきたホシハジロにオオバンがまとわりつく。ホシハジロが採ってきた物は良くわからないけど、すぐには呑めないようで、くちばしでチャプチャプしてる。そこにオオバンが近づく、ホシハジロはそれを持って逃げる。ということが展開される。追いかけながら、オオバンは水面で何かを食べている。時にはホシハジロに追いついて、頭をつき合わせて何かしてる。
ホシハジロが採ってくるんだから、貝かなぁ、と思うけど、よく分からなかった。オオバンも潜水できるのに、どうして自分で潜って採らないのかもよく分からない。オオバンには採れないものなのか? でも、どっちみちオオバンは貝は食べないんじゃ? 疑問ばかりだけど、行動からしてオオバンによる労働寄生に見える。
初めて見るけど、どのくらい普遍的なんだろう? と思ってたら、淡路島で見たということを教えていただいた。

【追記】
2月26日にも同じ池で、ホシハジロにつきまとうオオバンを確認。この日も3組。ホシハジロとオオバンの両方がいる池は他にもあったが、他の池ではこの行動は見られなかった。
●2022年1月16日 Mixi17周年

この日記めいたものを書き始めて、昨日(15日)でMixi17周年。今日から新年度に突入。Twitterを始め、Facebookの面倒まで見だしてから、かつてほど毎日は書いてないけど、長めの日記はここに書いてる。書き忘れると、ちょっと残念。ガラケーからも書けるんだけど、1文を越えるとトラブルので、いったんガラケーで短くアップしておいて、後日書き足すという技を駆使している。ともかく、まだ当分は続けそう。

例によってこの1年365日の中で何日書いたか(実際には、何日書いてないか)を数えてみると、323日書いていた。ただ今日時点で書き足し待ちのが1月だけだけど、5日分溜まってる!
ちなみに過去を振り返ると、一年目325日、二年目344日、三年目331日、四年目324日、五年目329日、六年目303日、七年目315日、八年目304日、九年目295日、十年目265日、十一年目は279日、十二年目は284日、十三年目は288日、十四年目は306日、十五年目は310日、十六年目は310日書いていた。Twitterを始めた六年目に激減し、十年目でさらに減少。十一年目以降、回復基調が継続し、ついに初年度なみにまで回復した。これを維持出来るか?
●2022年1月14日 Twitter12周年

Twitterを始めて、今日から新年度13年目に突入。つまり、12年前の今日Twitterを始めた。
丸十二年経って21915tweet。最初の一年に2922tweet、二年目は2674tweet、三年目は2494tweet、四年目は2188tweet、五年目は1827tweet、六年目は1667tweet、七年目は1534tweet、八年目は1387tweet、九年目は1436tweet、十年目は1291tweet、十一年目は1064tweetつぶやいた。そして、この一年は1431tweet。ツイート数の減少傾向はようやく止まったのだろうか。
ちなみに一番バズったのは、8月にツイートしたこれ。65,549件のインプレッション(151リツイート、587いいね)。「大阪の公園に小さいヘビ(これと比べたら)が出たら、大問題であるかのように報告してくる人がいる。ヘビに優しいブラジルのみなさんを見習って、そっと見守ってあげて欲しいもんだ。」道を渡る大蛇を見守る動画にコメントをつけたもの。

フォローしてるのは251名。11周年で240名、10周年で227名、9周年で209名、8周年で199名、7周年で201名、6周年で184名、5周年で180名、4周年で184名、3周年で167名、2周年で157名、1周年で143名。この2年で増加傾向で、最大値を更新。
フォロワーは、4029名、11周年で3830名、10周年で3488名、9周年で3202名、8周年で2842名、7周年で2580名、6周年で2272名。5周年で1955名、4周年で1757名、3周年で1472名、2周年で1108名、1周年で659名。フォロワーの増加具合は、少し少なめ。でも、ついに4000名を突破。2年目に1000名、6年目に2000名、9年目に3000名、11年目に4000名。

ついに12年続いた。13年目も、引き続きTwitter中心での発信を継続の予定。
Facebookは他人の画像や動画をリツイートするだけのまま。
●2022年1月13日 シカ→植生→鳥の影響を検出する

シカの採食の影響で林の植生が変わるって話はよくある。下層が不嗜好性植物だらけになるって話。はっきりした影響が出るので判りやすい。それが、鳥にどのような影響を与えるか、ってなると、とたんに難しくなる。特定の植物に強く依存する鳥は少ないから。
多くの鳥は、昆虫などを通じて、植物の影響を受ける。不嗜好性植物だらけになると、それを利用する昆虫は増えるだろう。一方、その他の下層の植物は貧弱になるので、そうした植物を利用する昆虫は減るだろう。でも、それが鳥にどう影響するかとなると難しい。
不嗜好性植物だらけになるといっても、全体的に森林下層の植生のカバーは減る。薮はなくなり、地表は乾燥化する。それは昆虫など地上・地中の動物に影響するし、藪を好む鳥にも影響しそう。たとえば地面で採食する鳥には影響は大きいだろう。ミミズもあまりいなくなりそう。でも、その研究例は思いつかない。ので、本当のところがよくわからない。これは研究テーマとしては未開拓で面白いかも。
唯一、シカの増加が鳥与える影響として調べられているのは、ササの減少の影響。ササに営巣しササ原で暮らす鳥はけっこういる。コルリ、ルリビタキ、コマドリなど、山林の下層で暮らす鳥は多かれ少なかれ、ササがあると嬉しそう。中でもウグイスは(あとソウシチョウも)、ササ原好きが高じて、ササがないと繁殖していない勢い。
子ども向けワークショップの企画を相談している大学生たちが、生物間相互作用という難しいテーマをあげていて。「ササ、シカ、林」の関係と言ってる。それも難しそう。でも「ササ、シカ、ウグイス」ならできそうだなぁ。例によって、質問がない限り、この段階での口出しは禁止されているので、口には出せないけどそう思った。
●2022年1月12日 タイトル決定「日本の鳥の巣と卵」展

勝手にすでにそう読んでたけど、本日会議で決定した。今回の特別展は、小海途銀次郎さんの鳥の巣コレクションの寄贈を受ける記念。なので、なんにも決まってない時から、鳥の巣が並ぶのは決まってる。せっかくなので、小海途さんのコレクション以外の鳥の巣は展示しないつもり。
小海途さんの鳥の巣コレクションは、2003年にも開催していて、その時のタイトルは「実物 日本鳥の巣図鑑」。わけのわからん本庁の奴から、本のタイトルかと思う、という下らないコメントをつけられたっけ。今回は2回目の鳥の巣展。鳥の巣は増えてるけど、油断すると前回と同じになるので、差別化したい。都合がいいことに(?)前回は巣を目立たせるためにあえて、卵は展示しなかった。一方で本剥製を借りてきていっぱい並べた。巣と本剥製の展示。今回は、巣と卵をセットで並べて、解説では巣の見分け方というより、日本の鳥の繁殖をテーマにしたいともくろんでいる。
で、タイトルは、「日本の鳥の繁殖の変遷」的なのをずっと考えていたのだけど、
・どう工夫して硬い感じになる。
・何が見られるかがわからない。
という難点があるのは気づいていた。たいして広報にお金を投入できない場合、特別展のタイトルで何が見られるか伝えることは、とても重要。って点から、冷静に考えると、主担者のおもいはさておき、並ぶのは鳥の巣と卵。そのまんまのタイトルがベストという結論に達した。それを説明したら、誰からも反対がでなかった。
ちなみに多くの特別展のタイトルは、みんなで相談して候補を決めて、投票して決めるパターンが近頃は多い。そういう意味では異例の決まり方だけど、まあ主担者が強くいえばそうなるわな。他に有力な対案も出なさそうだし。

ということで、いよいよ広報の準備が本格スタートする。周りからの圧が高まって、頑張らなくっちゃ感も増してきた。とりあえず解説書の原稿書かなくては!
ちなみに、SNSのハッシュタグは勝手に「#鳥の巣と卵展」を使ってる。これもなし崩し的に通すぞ!
●2022年1月11日 鳥の巣と卵展の解説書の執筆開始

この4月にオープンする特別展の解説書の執筆を開始した。といっても過去に鳥の巣展も、タマゴとタネ展もやってるので、その解説書から該当部分を引っ張ってきたらいいから楽。でもあるし、差別化しなくちゃならないので、苦しくもある。関連部分はとっくに抜き出してきたのだけど、差別化した方針を決断するのに時間がかかって、予定より執筆開始が1ヶ月ほど遅れてしまった。方針は決まったから、これからすいすい書けるはず。だといいけど、知らんけど。
とりあえず今日は、イントロと、巣と卵の基礎知識パートを書き上げた。次は、ここの鳥の繁殖パート。そして、日本の鳥の繁殖の変遷とつき合い方のまとめのパート。今週中にある程度進めてしまいたい。
●2022年1月10日 博物館実習3日目 子ども向けバックヤードツアーの対応付き

今日も昨日と同じ。実習室で作業しながら待機して、ツアーの子ども達がきたら10〜15分程度解説。こちとらは鳥の仮剥製をつくっていて、実習生たちが流しでホネを洗ってる。
今日の実習生は、昨日はツアーのサポートをしていたみなさん。今日洗ってるのは、ヒツジのホネ。昨日のトラとは比べものにならないくらい、洗いやすそう。午前でほぼ全員足を一本洗ってしまい、胴体にうつる。

午前:昨日洗ったトラの背骨を並べたのを見せる。朝一でヒツジの頭を洗ったので、それを交えて、肉食動物と草食動物の頭骨の比較。ちなみにヒツジは年寄りで、上顎右側がボロボロ、歯もすり減りまくり。というのも説明。
午後:ルーティン喋るのに飽きてきた。トラ好きがいる回ではやたらトラ話ばかり。耳の位置と耳の穴の場所が離れているのが受けがいいので繰り返す。最後の回はヒツジの骨が洗い終わり、並べた骨を前に、トラとヒツジのホネの違いとかを説明したり。

昨日、実習生に洗ってもらったトラは、まだ充分腐ってなくて、とても洗いにくかった。せっかく洗ってもらったけど、もう一度水漬けに戻した。
今日のヒツジはとても洗いやすい状態。午前に脚が洗い終わり。午後の早い時間帯には椎骨や肋骨も洗えた。時間があまったので、椎骨と肋骨のホネ並べをしてもらった。ヒント少ししか出してないのに、ほぼ正解してた。並べて終わると満足感高そう。
●2022年1月9日 博物館実習2日目 子ども向けバックヤードツアーの対応付き

今日と明日は、はくぶつかんたんけん隊、というタイトルの小中学生向けの博物館のバックヤードツアー。毎年、ここに冬の博物館実習をぶつけていて、実習生にバックヤードツアーの研修から参加してもらい、バックヤードを知ってもらうと同時に、子ども向け行事の様子を知ってもらう機会にしている。
冬の実習生は、10人ちょっとくらいが多い。今までは、まとめてバックヤードツアーの行事に投入して、ツアーのサポート、受付手伝いなどに加わってもらってきた。が、実習生はあまり役に立たないので、あまり手助けにはならない。なんならツアー参加者が増えて列が伸びるだけ。という側面が少なくなかった。今回は、コロナ禍の中での実施なので、密集はできるだけ避けたい。無駄な実習生を数多く連れて行くような場合じゃない。
ということで、実習生の半分を、引き受けることになった。どっちみち、バックヤードツアーの時は、実習室でずっと鳥の仮剥製づくりなどをしていて、ツアー客がきたら、その作業の説明、ついでに鳥の仮剥製、哺乳類のなめし皮・骨格標本の説明をするという担当。一緒に実習生に作業させてたらいいだろう、って話。博物館実習を担当する時は、ホネ洗いをしてもらうことが多いので、今回もホネを洗ってもらうことにした。初日はトラのホネ。

午前:実習生はトラのホネ洗いをしてる中、いち早く洗い終わったトラの頭骨・下顎骨で解説。ついでに年末年始に処理した皮や仮剥製の解説。というのが午前中の献立。
午後:トラのホネが洗い上がらないので(結局、脚は洗い終わらなかった)、シマウマの頭を洗って、トラの頭と比較。というのがメインで、あとは午前と同じく皮や仮剥製の説明。

午前も午後もエミューの皮に腕を入れて、子ども達と背比べ。少し盛り上がる。中型食肉類の皮を見せて、名前を当ててもらう。イタチとタヌキはメジャーだが、テンは少しマイナー。
●2022年1月8日 2021年度の冬の博物館実習スタート

今日から、今年度最後の博物館実習、冬の一般コース5日間がスタート。連休の2日間の後、1日あけて3日間の日程。昨年はコロナ禍でリモートになってしまったので、対面でやるのは2年ぶり。今年も新規陽性者数が激増中だけど、今週末はギリギリ耐えそう。ということで、今年のパターンを記録しておこう。
今日は初日なので、本来なら1日オリエンテーション。博物館の概要を座学的に解説した後に、展示室、管理棟、収蔵庫を順次めぐるツアーに旅立つ。しかし、冬は初日から違う。午後に明日の行事の研修があるので、午前を中心にオリエンテーション。管理棟と収蔵庫のツアーは研修でやるので、ツアーは展示室へ。

で、今日のスケジュール。
09:30 博物館実習スタート 出欠取って、資料を配って、名札を作らせて、友の会に入会させる。ブログの担当も説明(担当したブログを書いて始めて、実習を受けたと認めることを宣言)。
09:55〜11:35 博物館の間取り、沿革、事業内容(研究、資料収集、展示、普及教育)、友の会・ネットワークなどの説明。展示と普及教育ではコロナ禍の影響も解説。博物館に足りないものとして、お金、人手、スペース。
(11:35〜11:40 休憩)
11:40〜13:00 展示室見学ツアー(常設展)。メンテナンスと来館者とのコミュニケーション(?)がメインテーマ。電気の球換えの難しさ、掃除のしにくさを中心に、ダメなケース、ダメな展示を紹介して、壊されやすい展示を説明して歩く。第5展示室では、展示の意図と、アナログのゲームや仕掛けの難しさも解説。 博物館におけるミュージアムショップの普及教育的位置づけも説明。
(13:00〜14:00 昼休み)
14:00〜15:25 はくぶつかんたんけん隊の研修 ※担当は別の学芸員
15:25〜16:00 実習ノートの記入。 本日特筆すべきことは、当日朝にドタキャンが1名。今回は、連絡があっただけまし。新型コロナウイルスの新規陽性者数が激増しているので、途中の電車が怖いのだそう。キャンセルを検討してるということは事前に担当教員から連絡があったけど、それすら前日。改めて対応を考える余地もないので、代替措置はなし。 実習ノートは学芸員とのコミュニケーションツールとして使うように指導してみた。質問があれば書くようにも言ったところ、質問を書いていたのは4人(/9人)。

実習ノートをチェックしてみたところ。午前前半の博物館のオリエンテーションについての言及はあまりなかった。
午前後半の展示室ツアーでは、学芸員目線でメンテナンスやコストを中心に展示を見るのが新鮮だったということを書いていたのが、3人(/9人)。あまり多くなかった…。
明日からの行事の研修について書いてる人が多かった。
●2022年1月6日 極寒のビーチコーミングin阪南市

大阪府唯一、磯以外の自然海岸が残ってる。と言えなくもない阪南市の海岸沿いを歩いた。茶屋川河口から西鳥取漁港まで。半月後の行事の下見。でも、いまのオミクロンの勢いを見ると、本番が実施できるかは微妙だけど。
その暗い先行きを暗示しているのか、朝から小雪or霰混じりの極寒の日和。唯一の救いは風がないこと。でも、今まで割と暖かかったので、なめた格好で、手袋も持たずに来たので、とても寒い。鳥はあまりいないだろうし(予想通りいない)、そもそも本番では望遠鏡を覗かせるのは自粛なので、望遠鏡は持たずに来た。
主な目的は鳥見とビーチコなんだけど、双眼鏡でざっと見渡すと鳥見は完了。ウミアイサが1羽浮いてた以外は、カルガモ2羽とヒドリガモ。あとはカワウ、アオサギ、オオバン、イソシギが、水鳥のラインナップ。カモメ類がいないので、とても淋しい。ミサゴとトビ、イソヒヨドリ。鳥見的にはぜんぜん。サワラを水揚げしてる漁船の横でアオサギが待ってるのが面白かった。大きなサワラとさらにデカいマダイ。アオサギが食べれるようなのは獲れてない。でも、ワクワクしながら(観察者の主観)近寄って行く感じ。
ビーチコはというと、寒いのでしゃがみたくない(背中が出る…)。一緒に行ったビーチコーマーさんがしゃがみこんで、小さいのを色々採ってるのを尻目に、立って下見て見える範囲で拾ってみる。サクラガイや小さなバフンウニは拾えた。でも、アズキガイやマメウニは見つけられず。穴だらけの木を拾ったら、中に穿孔性二枚貝がいっぱい入っていた。ビーチコーマーさんに見せると、カモメガイ系の何か、と言いながらほじくり出して、図鑑を見せてくれた。とても変わった形をしてる。こんな変な形をしてる二枚貝があろうとは。そして、図鑑には似たようなのがいっぱい。
波打ち際にヤシの実一つ。拾って、本番用に隠しておいた。南の島から流れ着いたのかな? 団長がピンポン球くらいの涙形の種子を拾ってきた。ソテツの実らしい。これは近所から流れてきた疑惑が…。その他、ウミケムシのような花序がいっぱい流れ着いていた。
岸には、彼の凝る海浜植物がいろいろ見れた。ハマダイコン、ハマエンドウ、ハマウド、ハマヒルガオ、ハマボウフウ、ハマオモト、ツルナ。そして、大阪府唯一のグンバイヒルガオ。浜に生えてるのかと思ったら、テトラポッドの陰がメインで、少しはみ出してる感じ。テトラポッドで寒さをしのいでるのかな?
という訳で、トイレも3ヶ所確認できたし、行事はできそう。最後はカキ小屋で解散。食べたい人は食べて帰ろう! 楽しみだけど、あとはオミクロン次第。
●2022年1月5日 今年のレシピ2022

恒例の焼き芋。昨年はコロナ禍で中止になったので2年ぶり。今年もそのレシピを記録しておこう。
とりあえず、今年のテーマは素材を活かす。などというと格好いいけど、いろいろ凝るのが面倒になって、素材をそのまま炙ったり、ホイルに包んで焼いたりするだけ。それもホイルを持って行って、現地で包む。下処理したのは鶏肉をタレに漬けた程度。

・炙りソーセージ
間違いなく美味しい。今回の現地調達の生枝の長さも適当だった。

・炙り鯖みりん干し
美味しい。枝に刺すのがちょっと難しいけど。2又の生枝にしたのは正解だった。

・炙り塩鯖
これも美味しい。煙の香りがつくので、軽く燻煙した感じ。

・焼きバナナ
皮付きのまま放り込んで、皮が真っ黒になったら回収して、皮を剥いて食べる。美味しい。が、少し味が物足りないのは、もっと完熟のを用意すべきだったか。

・焼きタマネギ
皮付きのまま放り込んで、外側が黒くなってから食べる。中は水分があるから、さほど焦げない。少し焦げた外側がとても美味しい。中の方は、味付けが必要。とくに中心部がいまいち味に飽きる。醤油たらしたけど、足りない。もっと小さいタマネギなら美味しく最後まで食べられたかも。

・焼きミニトマト
ホイルに包んで焼いた。美味しい。ホイルにたまった汁も美味しい。一緒にチーズを入れたらどうかという提案があった。良さそうな気がする。

・焼きリンゴ
小さめリンゴを4等分して、間にバターはさんだ。さらにバターのせて食べた。美味しいけど、もう少し工夫が欲しい。砂糖をかけた方がいい感じ。

・焼き芋
サツマイモをホイルで包んで焼いた。定番なのに、とても久しぶり。とても美味く焼けてて、焦げずに、ホクホク。バター乗せたら、死ぬほど美味かった。

・かしわと長ネギ
味付けせずにホイルに包んで焼いて、醤油をたらして食べた。美味しい。舞茸も混ぜたいかも。

・豚バラとセロリ
きざんで、塩胡椒して、ホイルに包んで焼いた。豚バラに焦げ目が欲しい。
●2022年1月4日 鳥の剥き初め恒例(?)鳥の脂肪占い

今日は、今年最初のなにわホネホネ団の活動日で、鳥の日。つまり鳥の剥き初め。仕事始めの日の平日なのに、けっこう人が集まった。みなさん本業はどうなってるんだろう?
というのはさておき、鳥の剥き初めとなれば、もちろん鳥の脂肪占い。新鮮で脂肪がない鳥を引いた人は吉。脂肪の多い個体を引いた人は凶。脂肪だらけだったら、大凶。

という訳で、本日の占いの結果。
大吉:脂肪がなくて新鮮なクロジを引いたFFさん、脂肪のない新鮮なオオバンのYSさん。
吉:脂肪はないがキズがあるツグミを引いたKMさん。
小吉:脂肪はないけど少し腐ったウミウを引いたATさん。
凶:脂肪多めのヒドリガモのFSさん、オオセグロカモメのKMさん、コサギのAYさん。
大凶:脂肪たっぷりで汚れたフクロウを引いた団長。

脂肪多めのシロハラを引いた私は凶ってことか。
●2022年1月3日 2022年を予言

1月3日は、この1年に身の回りで起きる出来事を予言する日。
2020年は、想定外のコロナ禍で、いまだかつてないほどの大ハズレ。2021年は、いい加減にコロナ禍は終わるかも、と期待しながら予言したもので、保険をかけたけど、やはりハズレ気味。三段オチ的には、次はコロナ禍が継続を考えて予言して、今度はコロナ禍終わって大ハズレ。ってパターンかなぁ。でも何も起きないって予言はしにくいから、やはりコロナ禍が終わるのを期待して、予言しよう。

お出かけ予言だけど、例年2回の学会の分と、友の会合宿の分を予言してる。そもそもコロナ禍継続設定で予定が組まれているので、友の会合宿は和歌山県と奈良県と近場ばかり、春の学会はリモート実施。という訳で、11月に北海道に行くであろう。ついdねい、近場だけど、5月に和歌山県御坊市周辺に行き、8月に紀伊半島の真ん中辺りに行くであろう。
イベント予言は、4月末から6月前半に大阪で、鳥の巣をいっぱい並べた展示があるだろう。あと、11月には大阪で、自然史関連の大きなイベントが開かれるだろう。2年連続で4月末から6月頃は緊急事態宣言が出て、臨時休館になってるから、この予言がどうなるかもかなりあやしいけど。
調査系予言だけど。5年ぶり6回目の、大阪市内の公園で繁殖する鳥の調査が実施されるだろう。あと10年ぶり2回目の大阪市内のツバメの巣分布調査が行われるだろう。前半は外れないが、後半は体力的にできるか心配。
執筆系予言としては、日本の鳥の巣と卵についての解説書が出版される。日本最大の鳥の巣コレクションの収蔵資料目録も出版される。この2つは絶対に外せない。

あと、今年は1年に100冊以上の本を読むだろう。と予言してみるけど、超忙しく、執筆モードなので本はあまり読めないかも。そもそも出だしから読めてないし。
そして、可愛いネコと暮らすようになるだろう、予言しておこう。ほぼ確実にハズレるけど。
●2022年1月2日 鳥の日の成果2021

なにわホネホネ団の活動に「鳥の日」を設定することにしたのが、2012年9月。2013年からは、毎月1回、通常活動日(いわば哺乳類の日)の他に鳥の日を設定することにした。2021年の鳥の日の活動成果を集計しておこう。

2021年の鳥の日
・活動日:6日間(1月〜2月、4月〜9月は新型コロナウイルス感染症で活動自粛。その代わり10月、11月は2日活動)
  内、西表島鳥類調査隊の活動はなし
・処理した鳥の個体数:41羽(皮剥きのみ、鳥の日以外の活動日の処理数は除く)(平均6.8羽)
  他に、骨取り+羽のサンプル採取の処理が2羽。
・のべ参加者数:45名(平均7.5名)
  内、見学者6名(平均1.0名)

というわけで、2021年も鳥の日の活動で、鳥の仮剥製が随分増えた。しかし、2020年以上に、新型コロナウイルス感染症の影響が多く、活動日数は例年の半分以下、処理した個体数は1/3以下。キンバト処理は中断のまま。3月に動物園から大量の死体が到着したので、8日は動物園物の処理。海鳥の日が1日。中断が多かったので、リハビリと称して、小さめの鳥を中心に処理した日が多かった。を処理した日が5日、小鳥を出した日が2日、アオバト祭りが1日。
参加した人は、14人。おおむね任せられる人が8名、状態が良ければ大丈夫な人がさらに2名。他の4名はさらなる修行が必要。

<過去の鳥の日の記録>
・2020年
・活動日:16日間
・処理した鳥の個体数:138羽(平均8.6羽)+骨取り4羽
・のべ参加者数:のべ参加者数:151名(平均9.4名)内、見学者10名(平均0.6名)

・2019年
・活動日:12日間
・処理した鳥の個体数:126羽(平均10.5羽)+骨取り8羽。
・のべ参加者数:132名(平均11.0名)内、見学者10名(平均0.9名)

・2018年
・活動日:12日間
・処理した鳥の個体数:166羽(平均13.8羽)+骨取り2羽。
・のべ参加者数:179名(平均14.9名)内、見学者28名(平均2.3名)

・2017年
・活動日:13日間(10月に2日活動)
・処理した鳥の個体数:170羽(平均13.1羽)+骨取り2羽。
・のべ参加者数:196名(平均15.1名)内、見学者34名(平均2.6名)

・2016年
・活動日:14日間(11月に2日活動)
・処理した鳥の個体数:172羽(平均12.3羽)+骨取り6羽。
・のべ参加者数:204名(平均14.6名)内、見学者28名(平均2.0名)

・2015年
・活動日:11日間(9月は活動なし)
・処理した鳥の個体数:125羽(平均11.4羽)+骨取り6羽。
・のべ参加者数:122名(平均11.1名)内、見学者19名(平均1.7名)

・2014年
 活動日:13日間(9月、12月に2日活動、10月は活動なし)
 処理した鳥の個体数:140羽(平均10.8羽)+骨取り19羽
 のべ参加者数:152名(平均11.7名)内、見学者25名(平均1.9名)

・2013年
 活動日:15日間(4月、9月、12月に2日活動)
 処理した鳥の個体数:225羽(平均15.0羽)
 のべ参加者数:205名(平均13.7名)内、見学者32名(平均2.1名)
●2022年1月1日 一年の計

大晦日の夜、テレビを見ていたら、寝落ちした。気がついたら年が明けていた。なんとなく年末に使った鳥類標識調査の鳥袋を洗濯。またテレビを見てたら寝落ち。起きては二度寝を何度か繰り返し、昼前に起床。なんか事件に遭遇する初夢を見た気がする。
歯を磨いて、シャワー浴びて。餅3個と、かしわと蒲鉾、ネギと舞茸で、雑煮を食べる。ネギ焼くのを忘れてた。鳥袋を干して、昼過ぎに博物館へ。
今年一番乗りだった。警備員さんを除けばだけど。取りあえずウズラにエサあげて水替えて、なぜか冬眠してないクサガメ1匹にもエサをあげた。珈琲を飲む。なんとなく2敗目も珈琲。
南アフリカのエサ台のライブカメラをつけたら、オビリンサンみたいなのがやってきて、バナナとかをパクパク食べてる。それを眺めてから、短い原稿を1本書いた。
それからしぶしぶ解説書の原稿に手を付ける。原稿を書くというより、過去に書いた原稿の関連するのを引っ張り出して並べた感じ。再構成だけでもある程度形にはなりそうだけど、新しい要素をどう盛り込むかが難しい。
皮を少しさわってから帰ろうと思ったら、熱中してしまって気がついたら2時間半経っていた。

元旦なので、館内には警備員さんしかいない。警備員さんにも会釈しただけ。と思ったら、一瞬だけ1人来た。ともあれ、今年も元旦は誰とも話さず終わった。

一年の計は元旦にあるとすると、今年も人とのつながりは少なく、一人で暮らし、無愛想に仕事をする一年になりそう。ウズラとカメにエサあげたから、動物運があがって、ネコとの出会いがあったりしないものか。
ここ数年、独り言を無くすのが目標。とりあえず今日は独り言をほぼ言わなかったので、かなり減らせるかも。
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