日記風覚え書き
2022年7月、8月、9月
(2005年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2006年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2007年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2008年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2009年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2010年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2011年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2012年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2013年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2014年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2015年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2016年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2017年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2018年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2019年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2020年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2021年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2022年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月)
●2022年9月30日 2022年9月のまとめ 今年の仕事は一段落、かと思ったらフェス
7月で、特別展片付いて、ツバメの調査も終わって、8月は暇かと思ったら、ツバメのねぐら調査、行事、博物館実習に追われ、そして9月。鳥の巣中心に忙しかった今年の大きな仕事も一段落。と、この半年くらい後回しにしていた仕事をこなす9月。と思ったら、鳥の巣展の総括があるし、燻蒸して忘れていた鳥の巣の片付けあるし、展示した卵もまだ片付けていないし。その上、11月のフェスティバルの準備が本格化。意外と暇じゃない。
そんな2022年9月を振り返ってみよう。
ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。奈良県1コースと京都府2コース(1日で調査するけど)のハッカチョウセンサスも実施。
地元公園のセンサス調査と果実チェックの再開は断念して、来月から。先月末に始めたカワウのねぐら調査は、今月も月末にやってみた。
ホネホネ団の活動は、2日の予定だったが、台風で1日だけになった。
昨年のニタリクジラの残りのホネの回収について考えるの忘れてる。先方からの連絡あるはずだけど、それもない。
特別展で展示した鳥の巣、およびその他の燻蒸済みの標本たちは、ようやく片付けた。鳥の巣コレクションは予定していたスペースに余裕を持って入ったので、鳥の巣はすべてこっちにまとめられそう。一方で、大物を積み上げたら、予定よりも広いスペースが必要になった。あと、登録やラベル書きや、処理を決めかねている標本たちが、まだ残ってる。
ケリのDNAサンプルの提供依頼が来たので、鳥の中身の液浸標本のコーナーを整理した。昨年の2Lと3Lの整理に続いて、350mlから1Lが整理できた。あとは小さい瓶の整理だけ。
収蔵庫の鳥の巣を一つにまとめたら、剥製た皮を整理するスペースが少し確保できそう。今年中にやれるといいな。
普及行事は、ジュニア自然史クラブ、鳥類フィールドセミナー、植物園案内を予定通り実施。大人向けホネの標本作りの室内実習も実施できた。
大阪鳥類研究グループの観察会は、鳥類標識調査の網場見学だったのだけど、台風で断念。というか有志が翌日に行ったが、こちとらは行事が入っていて行けず。不参加は初めてかも。
新収資料展の展示物を撤収。ケース類も片付けた。
大地のハンター展で、いらなくなった展示ケースをいろいろもらった。
講演は、新収資料展のギャラリートークが1本。委員会は2件。
今月中と頼まれた査読2本をちゃんとこなした。でも、論文は書けてないし、原稿も書いてない。
とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系1冊と、SF19冊。
完全休養日は2日。今年に入って5日目。
ガン検診の結果が来たが、なにもなくて一安心。健康診断を受けた。血圧の下が少し高め。
●2022年9月29日 大阪市内の公園で繁殖する鳥の変遷
大阪鳥類研究グループで5年に一度実施している調査。今年の調査結果が出たので、過去5回の調査結果と並べて見た。繁殖期に公園に行って、どんな鳥がいたかを記録するだけ、と言っても過言ではない簡単な調査だけど、25年もやってると色んな傾向が読み取れて面白い。
かつては大阪市内の公園で繁殖していたバン、モズ、セグロセキレイはもう記録されなくなった。カイツブリもめっきり少なくなった。
一方で、かつては大阪市内で繁殖していなかったチョウゲンボウやキビタキは記録されるようになって、確実に繁殖している。イソヒヨドリやハッカチョウ も記録されるようになった。
20ヶ所以上で記録されている種の中では、ドバトとスズメは割と安定して、ほぼ全ての公園で記録されてきた。ツバメ、ヒヨドリ、ムクドリも、出現公園数は安定してる。一方、キジバトは昔は30ヶ所以上で記録されていたのが、ここんところ2回では20ヶ所台半ば。減ってるのかもしれない。ハシボソガラスも減ってる印象を持っていたけど、通しで見るとさほど変わっていない。
ずっと安定して増えてきているのは、ハシブトガラス。そろそろすべての公園に進出完了かもしれない。同じようにシジュウカラも、ずっと増加してきている。
ハクセキレイやカワラヒワは、1980年代以降に大阪市内に進出して、一定レベルまでは広がったが、そのご安定したイメージ。メジロも同じようにいったん広がったけど、近年は少し減少気味。
今年は、ツバメの巣を探して、大阪市内の市街地を一通りウロウロしたけど、増加傾向を維持したり、広がり切ってる種は、市街地でもけっこう記録される。一方、伸び悩んでいるメジロは、市街地ではほとんど記録されない。
緑地への依存度が高い種は、一定の広さの公園以外にはなかなか広がえれないのだろうか。となると、イソヒヨドリやハッカチョウ は広がれるけど、キビタキは難しそう。
●2022年9月28日 博物館の市民連携について訊ねられるも
8月の博物館実習に来ていた学生が、卒論で博物館の活動を扱いたい、的なことを言ってて、質問されたんだけど、博物館の活動ってどんなんですか?レベルのザクッとした内容すぎて、答えにくい。とりあえず実習期間中に、いろんな学芸員と話をして、もう少しテーマを絞って、具体的に尋ねるように。と言ったら、今日、質問にやってきた。
先生と相談して、市民連携をテーマにすることにしました。と言って、ヒアリングさせてほしいという。でまあ、いろいろ質問を受ける。それが、どんな市民連携やってますか? 力を入れてることはなんですか? 市民連携の意義はなんですか? というレベル。抽象的で大雑把で、答えにくい。8月からあまり変わっていない。
で、いろいろ問いただす。聞けば、指導教員はとりあえず博物館で学芸員に適当に質問して、それから考えろ、というスタンスで指導したっぽい。丸投げかい!
博物館の活動のあらゆる面で、市民連携はなにかしら展開している。全部力を入れてる。効果は色々。もっと具体的に尋ねないと、あるいは特定の切り口を設定しないと、答えは膨らまない。全体的な側面を大雑把に知りたいだけなら、館報を見るように。ってゆうか、まず博物館の活動内容を下調べして、その上で、具体的な質問を考えてくるように。と、偉そうに指導してみた。
聞けば、他にも関西圏の自然史系博物館員ヒアリングに行く予定らしい。で、博物館実習に来た縁で、うちが一番手に選ばれたらしい。もう少し質問内容を練っていかんと、まともな答えはもらえんぞ。と、これまた偉そうに指摘。
で、とりあえず、友の会はありますか?とか。博物館の活動に市民はどのように参加できますか?とか。簡単な具体的な質問から入って、そこから質問を展開してはどうかと言ってみる。
たとえば、友の会を切り口にするなら、と博物館のミッションから、博物館コミュニティの話をしてみる。なんとなく納得してたけど、市民連携とはテーマがずれてるんだけどいいのかなぁ。
また改めて、質問を考えてくるそう。どうなるか心配。
●2022年9月27日 鳥の仮剥製と哺乳類の毛皮の片付けプラン
ホネと液浸標本がそれなりに片付いてきたので、あとは鳥の仮剥製と哺乳類の毛皮の片付けが大きな懸案。今の状態では目当てのものがなかなか見つからない。とくに哺乳類の毛皮が無理。幸か不幸かほとんどニーズがないからいいけど。
で、今回、鳥の巣の整理スペースが確保されたので、既存の鳥の巣もそっちに移動してまとめたら、少し整理する場所ができそう。この機会に整理して、少しは使える状態になるといいなぁ。
鳥の仮剥製は、もともと小さめのは引き出しに分類順で入れて、大きめのはグループごとに衣装箱に入れていた。少なくとも産地情報のあるのは、この形できちんと整理しよう。
採集データのない動物園ものは、グループごとに袋詰めかなぁ。やたら大きいのも多いし。
哺乳類の毛皮は片付けが難しいけど、とりあえず種ごと、が無理ならグループごとに袋詰めしたい。
中型哺乳類以下は、種ごとグループごとに衣装箱に入れられそうな気がする。
小さめの鳥の仮剥製は、テンバコに入ってるから整理はしやすい。
その他はみんななんとなく袋詰めされてるので、開封して仕分けて、整理。けっこう場所が必要かもしれない。場所がないとやりにくい。運ぶのは面倒だけど、ネイチャーホールが空いてる時に広げるかなぁ。
●2022年9月26日 渡来時のカモの池の好み
毎月近所のため池60ヶ所をめぐって水鳥を数えている。9月後半になると、そろそろ冬鳥のカモ類の気の早いのが到着しはじめる。一番気の早いのがコガモ。そこには時々シマアジが混じっていて楽しい。ついでヒドリガモやハシビロガモ。
今日ため池をめぐったら、6池にコガモが入っていた。気をつけてみたけど、残念ながらシマアジは見つからず。その6池の内、2池にはヒドリガモとハシビロガモも入っていた。
コガモは、いつでもヨシなどの植生がある池がお好み。一方、ヒドリガモはさほどでもないし、ハシビロガモはぜんぜん植生のない池でも平気。
しかし、この時期まず入るのは、植生のある池だった。渡来初期と、その後では、池の環境選好性が違うのかもしれない。
でも、単に少数派なので、多数派の他のカモに混じりたいだけかもしれない。
いずれにせよ、渡来初期は、ため池全体のカモの分布パターンが少し違う。けっこうまとまった個体数のヒドリガモやハシビロガモが入る池にも、まだカモ類の姿がなかったのが印象的。
あと、なぜかヒドリガモとハシビロガモがセットだったのも印象的。これまた単に両方が、コガモに擦り寄ってるだけなんだろうか?
●2022年9月25日 水路や溝に落ちた早成性のヒナの運命と、保全の必要性
ケリやタマシギといった早成性の鳥の飛べないヒナが、圃場整備された農耕地の水路に落ちたらどうなるかを、ほぼ1日考えてた。ヒナの生死を分け、地域個体群に影響を与えるかを決める重要なポイントは次の3つのレベルに分けられると思う。
レベル1:ヒナは水路から飛ばずに脱出できるか(行動学的視点)
レベル2:脱出できないとしたら、水路内でヒナは飛べるようになるまで生き延びられるか(繁殖生態的視点)
レベル3:水路に落ちたヒナは脱出できず、生き延びられないとしたら、地域個体群に影響を与えるくらい頻繁に水路に落ちるか(個体群生態学的視点)
レベル1は、水路の高さと壁の構造、および壁際の段差の有無やゴミなどのたまり具合に左右されそう。
レベル2では、面白いことに水路内は食物資源が多いと期待できる。水路は虫が落ちるトラップにもなるから。なので、ヒナの生存に影響するのは、おもには水量の変化。飛翔できるようになるまでに、水量が大幅に増加しなければ生き延びられる。あと、どのくらい可能性があるかは分からないが、流されても下流側のどこかに流れ着くだけで、生き延びられる可能性もなくはない。
レベル3では、地域の個体群サイズに比して、落下頻度がどんくらいあるかが重要。
ヒナが水路に落下しても脱出可能なら、保全策は必要ない。
落下したヒナが脱出できなくても、水路内で生き延びられるなら、保全策は必要ない。
ヒナが多少水路に落下して死んでも、個体群サイズに比して十分頻度が低ければ、死んだヒナは可哀想だけど、保全策が必要とまでは言えない。
ただ、これすべてを示すのはかなり大変。示せないまま、タマシギやケリが減少するのは、避けなくてはならない。というのも保全生態学的な視点ではある。保全が必要な可能性が十分高ければ、保全策を講じるのはベターではあるだろう。とはいえ、どこまでデータで示せているのかの確認は常に必要。
●2022年9月24日 ホネと剥製も片付ける
特別展で展示した鳥の巣と一緒に、ついでなのでいろいろたまってるホネや剥製などを燻蒸した。今日は、午後からその片付け。5時間半作業して、まだ終わらない。
とりあえず登録されてるホネは一般収蔵庫に、登録されてる剥製は特別収蔵庫へ。
登録されてる哺乳類の毛皮などは、袋詰めしないといけない。【→明日の作業】
登録されてるけど、標本ラベルが書けてないのが大量にあって、とりあえずまとめて置いておく。大きな鳥の剥製は袋詰めしないといけない。【→明日の作業】
採集データはあるけど、未登録のホネや本剥製は、登録待ちとして、ひとまとめに。これはあまり多くない。
Kコレクション以外の鳥の巣は、鳥の巣コンパクターの空いてるところへ。
採集データはないけど、綺麗で展示使えそうな本剥製は、収蔵庫へ。
その他、いろいろ。処理を悩まないといけないのあけっこうある。
T高校、O学院高校、N町の学校からきた本剥製や骨格標本などは、データがないので登録しがたく、かといって捨てがたく、でもあまり綺麗じゃない。どうしていいか判らないので、ひとまとめに。
鳥の羽根はどうしたらいいかなぁ。
【追記】
翌日続きをしようと思ったが、新収資料展の片付けで疲れて挫折。
3日後に、2時間かかって一応完了。収蔵庫と4往復して、哺乳類の毛皮と、大型鳥類の仮剥製(ラベル付き)を袋詰めして、片付けた。ついでに剥製も運んだ。これですぐに片付くのは完了。あとは登録とかラベル書きとかしてから。扱いに悩んで保留のいうのもあるんだけど…。
●2022年9月23日 鳥の巣を片付ける
特別展で展示した鳥の巣は、燻蒸されてたんだけど。というか、燻蒸終わってしばらく経ってるんだけど、ようやく棚に収めた。7時間弱かかった。
燻蒸が終わったのが7月下旬。当時は、大阪市内のツバメの巣探し調査の大詰め。巣の片付けとかをやってる余裕はない。で、8月に入ったら入ったで、行事に、ツバメのねぐら調査に、博物館実習にと忙しい。それに片付けるべき部屋はあまり空調がきかない。真夏に作業したくない。
ってことで放っておいたが、誘致展と新収資料展の会期が終わって、ケースが帰ってくるから、さっさと片付けろというお達し。仕方が無い。幸い涼しくなってきたし。今日は、本来鳥のサークルの行事だったんだけど、突然の台風出現で中止になった。この気を逃す手はない。ってことで、ようやく重い腰を上げた。
コンパクターという可動式棚の4列に鳥の巣を収めるスペースを確保してもらっていた。でも、全部入るか心配。あと大物をうまく配置できるかも心配。ってことで、とりあえず、
1:タンスに入ったスズメ目の巣は、タンスのままコンパクターのすき間に並べる。
2:タンスの並びの側から、残りのスズメ目の単体の巣を分類の逆順に並べる。→1列裏表弱で収まった!
3:スズメ目の続きに非スズメ目の陸鳥の巣と、枝付きスズメ目の巣を並べる。→1列裏表で収まった。大物はハシボソガラスとハイタカまでしか入らず。
4:その続きに水鳥の巣を並べる。→1列裏表弱で収まった。
5:とても背の高い草・枝付きのスズメ目とカヤネズミの巣を収納する。→0.5列裏表で収まった。
ってことで、その他の低め枝付きスズメ目の巣を壁際に作ってもらった棚に載せたのとかあるけど、コンパクターは3列で収まった。つまり、コンパクター1列が余った!
一番楽観的に分量で収まった。ので、残りのコンパクターには、収蔵庫の鳥の巣を運んできて、鳥の巣をまとめる予定。
ただ、コンパクターは、開くスペースの幅と、棚の幅から、75cm×75cmまでしか入らない。それ以上のは、箱入りのままコンパクターの前に積み上げた。6列になった。ちょっとはみ出しすぎ。
一緒にもらってきたケースがなくなれば、4列になるなぁ。一番大きなミサゴの巣の上に積み上げられれば、それだけでも1列減るけど。
この辺りは今後の課題。
●2022年9月22日 2026年度までの調査計画
2023年度から、大和川水系調査プロジェクトのシーズン2(projectY)が始まる。4年計画で、最後の方の関わり方が微妙なのだけど、なんとなく関わって、調査を担当することにはなる。ということで大和川水系の鳥類、哺乳類、両生爬虫類を調査しなくてはならないのだけど。同時に大阪鳥類研究グループ(obsg)で実施している大阪府の鳥の調査もやらねばならない。うまく計画しないと、両立が難しそうなので、繁殖期の調査計画のたたき台を考えてみた。
ちなみに非繁殖期の調査は、大阪鳥類研究グループでは予定しておらず、大和川水系調査プロジェクトでは、
・大和川水系の河川の越冬水鳥調査(12月〜2月)
・大和川水系のカヤネズミの球巣調査(秋〜冬)
・大和川水系のヌートリア分布調査(周年)
・大和川水系のアカガエルの産卵地調査(2月〜3月)
<2023年度>
・大阪府下の公園で繁殖する鳥の調査(obsg)
・大阪府のコシアカツバメ・イワツバメ繁殖分布調査(obsg)
・大和川水系のコシアカツバメ・イワツバメ繁殖分布調査(projectY)
・大和川水系のカワガラス・カジカガエル分布調査(projectY)
<2024年度>
・大阪府のイソヒヨドリ・ハッカチョウ ・ムクドリ繁殖分布調査(obsg)
・大和川水系の河川の繁殖水鳥調査(projectY)
・大和川水系のイソヒヨドリ繁殖分布調査(projectY)
<2025年度>
・大阪府のため池で繁殖する鳥の調査(obsg)
・大和川水系のため池の繁殖鳥調査(大阪府)(projectY)
<2026年度>
・大和川水系のため池の繁殖鳥調査(奈良盆地)(projectY)
2026年にobsgでする調査テーマが未定。軽めでなにかないかな?
2023年度と2024年度の冬には、大阪府の越冬ホオジロ類調査をしたい気もする。前回から15年だし。でも、どっちかで大和川水系の河川の冬鳥調査を入れる必要がある。余裕あるかな?
●2022年9月21日 通用しない昔の常識
植物屋、ハチ屋、地層屋と一緒に、交野市のくろんど園地周辺をウロウロ。観察会の下見。地域自然誌シリーズと称して、複数分野の学芸員を一度に投入して、地域の自然を多角的に観察しよう、という趣向の観察会シリーズ。こういう機会でもないと、他分野の学芸員とフィールドに出かけることはあまりないので、貴重な機会。
で、せっかくの機会なので、目に付く植物や虫などを訊ねまくると楽しい。といっても急に寒くなったせいか昆虫の動きは少ない。コブシ果実を吸汁にきてるアカスジカメムシ、ヨモギ花にそっくりなハイイロセダカモクメ、クワには枝のようなクワゴ。林内の止水をすくってみたらオニヤンマのヤゴがいた。
一方、植物は楽しかった。林床の登山道沿いには、ミズヒキ、キンミズヒキ、メヒシバ、ガンクビソウ、センボンヤリ、ヒヨドリバナなど。林縁にはつる植物が多く、ヤマノイモにはむかご、ミツバアケビには実がなってた。園地内の湿地や周辺の田んぼ・放棄田には水田雑草が多い。イボクサ、ヒレタゴボウ、アメリカタカサブロウ、コナギ、アメリカアゼナ、シロバナサクラタデなど。大阪府では絶滅危惧な黄色い花を見つけて、植物担当はとても盛り上がっていた。おかげで、帰り道は黄色い花にばかり目が行く。
そんな中、植物屋が、キチョウだ!というので、今はキタキチョウというのだよ、と教えてあげた。本人も知ってたけど、思わずキチョウと言ってしまう様子。そう覚えたからね。
その少し後、ツリガネニンジンだ!と言ったら、植物屋に、今はサイヨウシャジンというのになったのだよ、とやり返された。昔からサイヨウシャジンと、その変種のツリガネニンジンに分かれていて、サイヨウシャジンは中国地方以西に分布するイメージだったらしい。が、近頃、大阪府のもサイヨウシャジンである、となったとのこと。源さんの近畿地方植物誌にはツリガネニンジンとなってるし、それどころか2021年の堺市RDBにもツリガネニンジンが載ってるなぁ。
メダカはミナミメダカに変わったし、大阪府では名前は変わらなかったがニホントカゲも東西2種に分かれた。大阪府のカスミサンショウウオは、別の名前になったのみならず、2種に分かれたのかもしれない。それも未確定。とまあ、相手は同じなのに、昔覚えた名前が通用しなくなる例が続出。
そういえば、学生の頃はイグチに有毒なのはないとされていたのに、今では有毒なイグチもあることに変わった。昔は毒キノコと言っても、触るだけなら大丈夫と言っていたのに、カエンタケは触るのさえ危険。
学生時代に覚えたことが次々と通用しなくなってきた。科学の進歩は目覚ましく、歓迎すべきことだろうけど、少し昔の常識がなつかしい。
●2022年9月20日 大阪市内の大きめ公園で繁殖する鳥
1997年から、大阪鳥類研究グループというサークルで、大阪市内の2ha以上の公園43ヶ所で繁殖する鳥を、5年ごとに調べている。2022年はその6回目の調査年。5月半ばから7月に調査した結果を、今日になってようやく整理した。過去と比べるといろいろ感慨深い。
今回の調査結果をざっとながめて気がついたことをリストアップすると、
・過去には記録されていたモズやセグロセキレイがまったく記録されていない。
・かつてはいなかったチョウゲンボウ(2ヶ所)、イソヒヨドリ(2ヶ所)、キビタキ(2ヶ所)が記録されるようになっている。今回は初めてハッカチョウ(1ヶ所)も登場!
・前回は繁殖が確認されなかった天王寺公園のゴイサギとコサギの繁殖が再確認された。今回初めて、長居公園でカワウの繁殖が確認された。アオサギの繁殖は比較的安定の3ヶ所。
・カイツブリは1ヶ所でしか確認されず、バンは確認されなくなっている。バンは以前から長池公園でしか繁殖してなかったけど。
・全43ヶ所の公園で記録されたのはスズメだけ。続いて、ドバト41ヶ所、ハシブトガラス39ヶ所、ムクドリ38ヶ所、ヒヨドリ37ヶ所。これがトップ5で、30ヶ所越えはこの5種のみ。続いて、20ヶ所越えは、シジュウカラ26ヶ所、キジバト25ヶ所、ツバメ21ヶ所の3種。そして、10ヶ所越えは、ハシボソガラスとアオサギ15ヶ所、カワラヒワ14ヶ所、ハクセキレイ12ヶ所。このラインナップは、大阪市内の市街地をウロウロしているときの感じに似ている。メジロ7箇所で少ないなぁ、というのも一緒。
・大阪市内の公園で繁殖していて、ここまで言及されてないのは、コゲラ5ヶ所とエナガ1ヶ所。メジロとあわせて、大阪市内進出組だけど、伸び悩んでる3種。エナガは今回大阪城公園でしか記録されなかったけど、鶴見緑地にも一応いるらしい。年によったら長居公園にもいるのになぁ。
●2022年9月19日 台風の祝日
今日は台風の祝日。大型の台風が接近していて、暴風警報が出たら臨時休館なのだけど、まだ出ていないから、通常通り開館。
今日は開館していますか?という電話には、暴風警報も特別警報も出ていないので、通常通り開館しています。でも、もし暴風警報が発令されたら、すぐに臨時休館になります。と答えている。
来館してもらうのはありがたいけど、せっかくお金を払って入ってもらって、暴風警報が出たから帰って、というのも心苦しい。そして、暴風警報の中、帰すのも心苦しい。ってゆうか、危険やん。午後からは在来線の計画運休がありそうだし、それが早まる可能性もある。ぜひご来館くださいとは言えない、複雑な気持ちの日。まあ、コロナ禍の下では、ありがちなアンビバレントな状況ではあるけど。
この連休に台風がやってきそうなのは、けっこう前からわかっていた。けど、本当に影響があるのか、そしてどのタイミングで影響があるのかは、なかなか分からず(そして今もわからないけど)、対応に苦慮する展開だった。
5日ほど前には、影響がありそうなのは、18日後半から19日頃とはわかった。というわけで、17日土曜日の行事は通常通り実施。18日日曜と19日月曜祝日の行事担当は、17日まで気象庁やウェザーニュースやWindyのサイトを繰り返し確認しながら悩むことに。
17日午後に、18日の海岸の行事は中止を決断。天気と風はさほどでもないけど、波浪注意報が出てる状況で海岸の行事は無理、という判断はごもっとも。ほぼ同時に19日の野外観察会も中止が決まった。これはほぼほぼ雨天中止。とまあ、他の担当者が決断を下す中、依然として悩む。とりあえず18日の昼間は雨はともかく暴風警報は出ないので、18日の室内実習は実施することに。
18日になっても悩んでいたのは、19日の室内企画、なにわホネホネ団。遠方からわざわざ来る人もいるから早め判断をしたいのだけど。結局、午後のどこかの段階で大阪市に暴風警報が出そう、JR在来線は午後2時すぎから本数を減らし午後6時には計画運休。ということが発表されたので、なにわホネホネ団の活動も中止を決定した。
活動の途中で、暴風警報が出て臨時休館になったら、その時点で活動は中止。すると作業途中のものが大量に残されることになり、後始末が大変になるというのも大きな理由。
ちなみに関東から参加予定の方は、すでに大阪入りしていた…。申し訳ない。
で、今日を迎えた。
一晩経ったら、JR在来線の計画運休は、午後4時から本数を減らしてぇ、に変わってた。暴風警報も午後6時以降に出そうって話になってる。昨日の夕方より遅くなってる!
川一つはさんで西隣の尼崎市には昨日の夜から暴風警報が出ていたけど、大阪市はまだ強風警報のまま。大阪になかなか暴風警報が出ないのはいつものことだけど。紀伊山地でガードされる大阪府と、紀伊水道を抜けてきた風が直撃する兵庫県南部が違うのはわかるけど、尼崎市はほぼ大阪市なのになぁ。
開館したら、お客さんはそれなりに入ってる。ふつうの祝日よりは少ない気がするけど。子どもワークショップの担当者は、午前の回は、実施できそうだなぁ、と言いながら準備してる。なんとなく、暴風警報が出るのを待ってるような、不思議な祝日。
昼になっても暴風警報がでないので、もう今日はでないのかもな。台風急速に弱ってきてるし。と思ったら、12:57に大阪市に暴風警報が発令。すぐに植物園入園は止められた。そして、すぐに臨時閉園しますのアナウンス。博物館も少し遅れて、午後2時を目処に臨時休館となるので、それまでお帰り下さい、っていうアナウンス。実際には午後2時の5分前に閉館した感じ。
館内での子どもワークショップは、午前は無事に開催できたが、午後は中止。暴風警報が出たタイミングが遅くて、午後の参加者にはすでに博物館に到着していた方もおられた。臨時休館とアナウンス流れてますけど、子どもワークショップも中止ですか?と訊ねられて、謝るしかない。30分かけて来て下さったらしい。本当に申し訳ない。
とはいえ、昨日、今日は開館時間中に暴風警報が出て、臨時休館になるだろうと予想して、なにわホネホネ団の活動を中止にしたので、予想通り臨時休館になって、少し安心したというのは否めない。
●2022年9月18日 ニワトリの頭のホネ標本作り 手順と引っかかりポイント
今日は、大人向けのホネ標本作りの室内実習。台風が近づいてるけど、ギリ大丈夫そうなので実施。台風接近を予見したわけではないだろうけど、申込者が例年になく少なく、大人はもちろん子どもも含めて、申込者は全員参加できた。対象は大人だけど、定員に余裕がある場合だけ子どもの参加も認めます。というアナウンスをしてるんだけど、申し込んできた子どもが全員参加できるのは初めて。落選者がでなくて、こちらの精神衛生上はありがたい。
さらに発熱などでの脱落があり、結局参加は18名。これをスタッフ3名で回す。このくらいの人数だとやりやすい。毎年こんなもんでいいかも。
いつもそうなんだけど、集合が遅め。そして控え室に荷物を置いて、必要なものだけ持って、作業する部屋へ。というのにけっこう手間取る。遅刻してきた人は、受付でバタバタして、荷物を全部持ったまま、実習に突入になってしまった。
最初に団長が、作業せずに鳥の頭をさわって骨を確認してもらうのに時間をとろうとしてたけど、時間がすでに押し気味で、早々に切り上げてもらった。でも、そうした確認してから作業した方が、普及教育的には良さそう。
などを考えると、集合時刻と行事開始時刻に少し間をとった方がいいかもしれない。そしてイントロにもっと時間が確保しておいた方が良さそう(そしたら遅刻者を吸収しやすいという側面もある)。もしそうするなら、終了時刻は午後5時頃とアナウンスした方がよさそう。
作業を始めると、毎回段取りが微妙に違う。今回思った適切な作業手順と悩みポイントは、
1:首から皮を剥いていく。皮を剥く感じを教える。
2:耳を出す。耳がどこか教える。
3:目を出す。可能な範囲でまぶたと目玉の間を切る。
4:くちばし近くで皮を切り離す。鼻までのどこで切るか悩むらしい。
5:舌と舌骨を切り離す。喉に指を入れて持ち上げるとやりやすそう。
6:首を切り離す。すぐに強引に切って、環椎を頭骨に残す。
7:目玉を取り出す。視神経は後ろ寄りにあるのに、前側から作業したくなるらしい。目玉を持ち上げるのも伝わりにくい。
8:脳を書き出す。水を流しながらだと、割とできてる。
9:肉取り。この段階では涙骨はあまりとれない。下側の両サイドに穴を貫通させるのを目標にすれば良さそう。鼻孔は放置が吉。
<パイプユニッシュ&昼休み>
10:鼻腔の肉取り。両側を貫通させるのにためらうらしい。それはよくわかる。逆に綺麗にしようとする人は、涙骨の垂れ下がりを引っ張って、涙骨をとってしまう(自分もやってしまった)。
11:下側の肉取り。上くちばしの下の皮の取り忘れがある。下顎を外した方が綺麗にしやすいかも。
12:耳周辺の肉取り。方形骨を外す人はいなかった。というか、方形骨周辺の肉を残してる人が多い。耳孔周辺も残りがち。耳小柱の説明はあまりしなかった。
<頭骨以外の処理>
13:目の処理。球にする場合は、中の黒をどこまで取るか問題。
14:舌骨の処理。舌先を切りすぎる人がいる。逆に根元側は指で処理してもらった方が綺麗になる。
15:首の処理。首の形を伝える実物が必要かも。
<仕上げ>
16:仕上げ。下顎の角度を決めるのがポイントではなく、柔らかい部分は固定して乾燥させないと、変な形で反ったりしてしまう恐れがあると伝える必要がある。
ちなみに材料は、ホロホロ鳥と比内地鶏の頭が混じっていた。ホロホロ鳥は11個しかなくて、取り合いになるかと思ったら、意外と人気がなく、ホロホロ鳥7個、比内地鶏11個と、全員好きなのを選べた。意外。
目玉の処理は、ドーナツ型に切る処理と、球にして残す処理を教えた。てっきりみんな球にすると思ったら、ドーナツ派10名、球派5名、ハイブリッド3名だった。意外。
●2022年9月16日 ハンターD展の展示を見て思う
ハンターD展を開催中。誘致展でカハクのスタッフが監修に入っていて、その中心はモグラ屋のKさん。
大きな化石ワニの復元模型や、でっかいクマの剥製や、可愛いマヌルネコやフェネックの剥製を楽しんで、オオアリクイの舌長いなー。と楽しめばいい特別展なんだろうと思う。剥製いっぱい!っていうので楽しくなる人は多いはず。でも、学芸員目線だといろいろ気になったりするわけ。
大部分の個々のコーナーは、興味深い。専門家気取りでいろいろ気にしなかったら、楽しめるだろうし、楽しんでくれるといいと思うからね。と、念のため申し添えておこう。
プレビュー的なタイミングで一度、解説付きで見せてもらったんだけど、今回改めて見る機会があった。というか、ギャラリートーク的に説明をしろと言われた。で、展示にいろいろコメントした。
展示で気になった点を記録しておこう。以下はあくまでも個人の見解。そしておもに鳥屋的・生態的視点。
<出だしの化石コーナー>
・大きな丸いカエルの化石があるけど、たぶん口のすぐ上のホネがない。そのせいで、目の周辺に大きな穴が開いていて、口を閉じた模型になっていて、説明もないから、そこが口だと思う人が多そう。
・復元画の化石哺乳類の色がすべて真っ黒。体色がわからないから黒にしてるんだろうけど、説明がないから、こんな色だったと勘違いする人がいそう。
・食肉類ではない肉食哺乳類のグループとして、肉歯類の展示がある。でも素人目には食肉類そっくり。どこが食肉類と違うか、あるいは裂肉歯とは何か、具体的な説明がなくて、もやもやする。
・「哺乳類のハンターの大部分は食肉類である」的な解説がある。明らかに間違い。哺乳類で圧倒的多数を占める齧歯類、翼手類、食虫類のうち、翼手類と食虫類の大部分はハンター(この特別展では虫を食べる動物もハンター扱い)。種数で食肉類を圧倒的に凌駕する。
<水辺のハンターコーナー>
・待ち伏せ型のハンターのパートでは、なぜか水生のカメが展示されていて大地じゃない。そもそもワニがいっぱい展示されてるのも違和感があるけど。
<樹上のハンターコーナー>
・なのにトラやオオカミがいるのは不思議。これは森林のハンターコーナーの中にあるからなんだろうけど、変な感じは否めない。
<空と地中のハンターコーナー>
・フクロウばかりで、タカ類が少ない、大型のワシがいない。目立たないクマタカと、目立つカンムリワシという変なラインナップ。ハヤブサ類いないし、ツバメ類もいない。
・フクロウ類の並べ方は、系統でも分布でもなく、うすく食性かもしれないが、ネズミ食が散らばっていて、意味がわからない。日本産の種を整理して欲しかった。
・フクロウの目が前向きについてるのは、立体的に両眼視するためという説明があるが、聴覚で狩りをするために顔盤をつくってるとするのが普通。鳥屋ならこんな説明しないだろう。そもそも、空中で虫をとるツバメはほとんど両眼視していない。移動しながら狩りをする鳥は、距離感を把握するのに両眼視はいらないと考えられるんじゃないかと思う。
・センカクモグラ以外の日本のモグラが揃ってるのは良かった。日本産の種がまとまってるし。できればセンカクモグラも揃えて欲しかった。一方で、同じくらい大きなハンターのグループであるコウモリ類の扱いが少なすぎ。
<最後のパート>
・ニホンオオカミが絶滅したせいで、シカが増えたと説明されている。オオカミ絶滅のタイミングは全然違うのに。こんな説明が館内でされていて恥ずかしい。誘致展を持ってくるリスク。
全体的に、鳥屋の監修はあまり入ってないように思う(とくに構成部分)。そして最後のパートは生態学的な監修があったのか疑問。
●2022年9月15日 面接官の心得
とても珍しいことに、アルバイト採用の面接官の仕事が回ってきた。本職で面接官役するのは初めて。なんか妙に緊張する。15分の面接時間のうち、10分近くは担当しなくてはならないらしい。と打ち合わせで教えられて、さらに緊張。
でも、大丈夫。シナリオではないけど、どういう内容を訊ねるかという想定質問項目が打ち合わせ資料についていた。かなりざくっとした内容だけど。面白いことに、質問してはならない項目が並んでいて、それがとても詳細。家族のこと、体重、血液型など採用してからの職務に関連しない個人情報は訊ねてはいけない。それは当たり前やね。あと思想・信条に関わる質問も禁止。確かに職務に関係ないし。面白いのは、どこの新聞紙をとってるかも訊ねてはいけなこと。確かに新聞紙で信条ある程度わかってしまいそう。そこまでは納得がいくんだけど、好きな本も訊ねてはいけないとなってるのが納得できない。今回の職務では、本に関する興味や知識はある程度関係あるんだけどなぁ。好きな本を訊ねてはいけないけど、好きなテレビ番組を訊ねるなとは書いてないし、なんか中途半端。
ともかく面接。面接したら採点しなくてはならなくて、いくつかの採点項目が並んでいる。それぞれの採点項目に関連する想定質問例をリストしておいてくれたらいいのに、想定質問例は雑なので、いろいろ考えて探らねばならない。履歴書とか提出してもらった抱負的な文章を見ながら質問する。でも、たいてい10分かからず弾は尽きる…。
コミュニケーション力とか、仕事への知識とか、積極性とかは、質問したらまあまあわかるけど、責任感とかどんな質問したら分かるんかな?
面接官役をして思ったのは、ハキハキと間をおかずに質問に受け答えするのがまず大切。質問内容に対して、ずれた答えを返すのはかなりマイナス。要は普通に会話できるかってことかと。あとはいいアイデアを乗っけられたらさらにプラス。そのためには、どういう施設で、どういう仕事内容を求められてるのか、軽くでいいから下調べをしておこうよ。
●2022年9月14日 3年ぶりのフェスティバルの形
3年ぶりに対面でのフェスティバルを開くべく準備を進め中。出展者募集を初めると、支出が発生しだすので、もう後には戻りにくい。7月時点で11月のコロナ禍の状況と社会の動きを予測しないといけなくて、とても判断が難しいけど。なんとなく新規陽性者数が増えようが、社会活動を継続するという雰囲気になっていたので、スタートを切ってみた。
8月末で出展者募集を締め切ったところ、89団体・個人が集まった。近頃(といっても直近でも2019年だけど)の出展者数は、120団体・個人を超えていたので、それと比べると3割減ほど。でも、初期のフェスティバルは100団体弱が多かったから、さほど少なくもない。
社会的に対面でのフェスティバル開催が許容されるとしても、コロナ禍での開催には違いなく、感染者を出さないような配慮が求められる。出展者と来場者に、検温とマスク装着をお願いするのは当然として、主催者としては、
・換気の徹底
・密集を避ける
という体勢が必要。室内の換気は、開館していたらどっちみち配慮することなので、改めてさほど考えなくてもよさそう。ってことで、ポイントは密集対策。それは出展ブースの数と配置、そして来場者数のコントロール。
来場者数のコントロールは、当日のオペレーションで、たぶん問題になるのは、メイン会場と講堂だけ。おいおい考えよう。この段階で考えるべきはブースの配置。密集避けた配置が無理なら、出展希望者にお断りもしなくてはならない。が、配置してみると、かなり余裕。さすがは3割減。これなら余裕で大丈夫かなぁ。
ブース配置がなんとかなるなら、あとは企画系。講演会はすべて講堂に押し込んで、定員をきっちり守る。可能ならハイブリッドで、講堂に入れない人にも対応。少人数の実習は問題なく、屋外での観察会はそもそも問題がない。
って考えると、ほぼ例年並みの対面でのフェスティバルが開けそうな気がしてきた。なんか見落としてないかなぁ。いずれにせよ、コロナの状況や社会の反応が急に変化して、対面実施ができなくなった時のプランBを考えておかないといけないんだろうなぁ。
●2022年9月13日 現地視察にリモート参加
とある委員会のメンバーになっていて、会議の案内が来たけど、リモート設定がないなぁ。このご時世なのに、そもそも会議なんて往復の時間が無駄なので、全部リモートでいいし。と思って、リモート設定はないんですか?と訊ねたら、リモートを設定してくれた。よく見ると、現地視察の案内だった。
偉そうにリモート設定要求したけど、こちらの早とちりだった。そらリモート設定ないのが普通やん。すみませんすみません。とりあえず謝って、難しそうならなくて大丈夫です。と連絡したんだけど、すでに手配してくれた後。あまり役に立たなそうな現地視察なのに、本当に申し訳ない。そして、今さら断れない。
ってことで、リモートで現地視察に参加することになった。他の偉い先生方は現地に集合してるのに、若造一人がリモート参加。その上、役立たず…。でも、思いがけず勉強になった。
スマホでZOOMにつないで、三脚つけて中継してくれてるらしい。画像はスマホで全然問題ない。動かしても手ぶれ補正機能が優秀で、ぜんぜん気持ち悪くない。これなら、自然観察会も中継もできなくはなさそう。課題は音声。
・こちらの声が先方に届きにくい様子。
・現場の声はまあまあ拾えてるけど、人の言葉は聞き取りにくいことも多かった。スマホの近くでこちらに向けて話してくれれば、はっきり綺麗に聞こえる。
・鳥の声が聞こえてきていて、ヒヨドリっぽいけど。少し音質が違っていた。
という訳で、自然観察会のライブ配信は、スマホ1つで可能と言えば可能。少なくとも画像見せて、説明するのは問題なさそう。ただ双方向性を維持するには少し音声を考える必要があるかも。中継する人がイヤフォン付けるだけで良いかもしれないけど。
あと、鳥や虫の声を聞かせたいなら、もう少し機器を整えた方がいいと思った。
●2022年9月11日 ケリを探して収蔵庫、7時間の力仕事
思えば、昨年はトビのサンプルが欲しいと言われて、液浸収蔵庫の大きな鳥の中身の液浸を整理した。今年は同じ方から、ケリのサンプルが欲しいと言われた。今度は中くらいの鳥の中身の液浸を整理しなくてはならない。
6月に頼まれたのだけど、さほど急いで無さそうだし、面倒なので放置してた。8月終わりに気が向いたので、ようやく標本台帳チェックして4点あることを確認。4点だけだけといる?と問い合わせたら、すぐにでも欲しいと言われる。急ぎじゃないと思ってた。
それでも面倒だし、他に用事もできたので、また放置。今度は催促が来たので、今日になって重い腰を上げた。やはり思ってた通り、手強かった。
トビは大きいのがわかっているので、大きい容器をチェックすれば済む。でも、ケリの中身は大きさの感じがよくわからない。微妙なサイズだと複数のサイズの容器に分かれている可能性がある。
イメージでは、350mlの容器かな。と思って整理したけど、ぜんぜん見つからない。でもまあ、350mlの容器が整理できた。トラツグミがたくさんあった。あと近頃は140mlに入れている中型ツグミ類やヒヨドリ、ムクドリがけっこう350mlに入っていた。容器を入れ替えて、種ごとに容器を統一しようかな。
以外とケリの胴体って大きいのかもしれんなぁ。と思って次は、1Lの容器を整理した。ぜんぜん見つからない。ハシボソミズナギドリが死ぬほどあった。一番上の段にまとめて放り上げた。ウミネコやカモ類も多数。
もう見つからない気がするけど、なぜか最後に回した500mlをチェック。ようやく1つ見つけた。あと3つ。ドバト・キジバト・アオバトのハト御三家が多い。ヤマシギも多い。アオバトやヤマシギ、トラツグミが多いというのはなんとなくそんな気がした。どれも皮が薄くて面倒なのに。この作業が面倒なのは、登録番号+種名のラベルは、中にはすべて入ってるけど、容器の蓋に書いてあるのと書いてないのがあること。書いてないのは、中のラベルをチェックして書いていく。その作業に時間がかかる。書いて書いて、残り1テンバコになってもケリは1つしか見つからない。ほぼ諦めてたら、最後の最後で立て続けに3つ見つかった。
途中で全部見つかっていたら、こんなに整理は進まなかった。この機会に整理しとけという、誰かの意思が働いたかのよう。でも、この作業に7時間もかかったし!
来年は、小さな鳥のリクエストをもらえれば、小さい鳥の中身の液浸も整理できるなぁ。今度は何時間かかるかなぁ。
●2022年9月10日 新収資料展ギャラリートーク
7月から9月まで開催中の新収資料展では、展示してる学芸員が交代でギャラリートークをすることになってる。コロナ禍のおりだし、常設展の動線上でやることにもなるので、あまり人が集まらない方がいいだろう。ということで、あえて土曜日の午前10時からと異例の時間設定。そして15分だけと短め設定。今日が最後の日で、トリを飾らせていただいた。ちなみに、この時間設定で皆勤賞が3人いた。
展示したのは、2020年に閉園したみさき公園から寄贈された哺乳類のホネ、主に頭骨。ってことで、とりあえず動物園からしばしば寄贈を受けるけど、閉園時にはためこまれたホネをまとめて寄贈されることがある。的な話をしてたら、なぜかすぐに15分が終わってしまった。それではあんまりなので、多少延長しますね、といいつつホネの説明をする。肉食動物の歯の話、トラとライオンの違い。草食動物の歯の話。そして、アジアゾウの足や尻尾の話。目の前のナウマンゾウの復元像でかかとの話も。頭や鼻に話が及ぶと、第3展示室のホネの前で話した方がいいね。って話になった。ここですでに30分を超えてる。第3展示室に移動して、重い頭をどう支えているかという話をした。質問が出たので、後足のかかとの位置の話、目や耳の穴の位置の話。いつまでも終わらなさそうなので、そこで打ち切り。結局55分やってた。
長くなりすぎたのは反省。でも、次から次への質問が出たので仕方がないというか、退屈してた人はいなかったと思うけど。第3展示室で話をした手応えからすると、常設展でもギャラリートークしたらいいんじゃないか、って思った。
●2022年9月8日 日本の鳥の巣と卵展の総括
特別展、少なくとも主催展の場合、会期が終わって会計もほぼしまった段階で、いろいろデータを持ち寄っての振り返り、というか反省会をする。反省会といってもお酒はでない。いたって真面目に振り返り、本当に反省する。
この4月末から6月中旬に開催した、日本の鳥の巣と卵の特別展の振り返りがあった。主担当としては、出席するのはもちろん、いろいろと状況を振り返る立場ではある。でも、特別展の主担当になるのはこれが最後。それどころか、特別展の展示を分担したり、主力となって関わることすら、もうないはず。反省したって、今後にいかす機会はないので、あまり真面目に反省する気は起きない、というのが正直なところ。他の人こそ、ちゃんと他山の石を見ときや、って感じ。
で、なんか他人事感があるものの、過去の特別展と比べて、今回の特別展がどうだったかは気になるところ。
入館者数は、会期が短めだったので、あまり多くなくて悔しい。が、1日当たりの入館者数は、主催展歴代5本の指には入ってそう。ちょっと嬉しい。
収入面では、やはりというか赤字。でも赤字幅は50万円弱で、割と小幅。予算がそもそも100万円以上の赤字予算を立てていたので、大幅改善と言えなくもない。会期後の解説書の売り上げを加えるとさらに赤字幅は減少する。会期は今年度だけど、予算は昨年度とまたがっている。今年度だけに限ると、余裕で黒字!
広報的には、今回初めての試みとして、SNSを使った広告を試した。その結果はそれなりに示された。が、結局SNS見てくる人の割合少なすぎて、効果があったかの評価が難しい。というか評価できない。アンケート結果からすると、結局まだポスター・チラシの効果は捨てられない。ちなみに会期が短いと、口コミ効果はあまり見込めない印象だった。
アンケート結果は、展示も子どもワークショップも全体的に好意的だった。子どもワークショップでの否定的意見は一つだけ。それも内容面ではなく、子どもが密集している瞬間があったことについて。それはその通りで、できるだけ密集は避けようとしたけど、どうしても密集はしてしまうなぁ、というのが正直なところ。
展示の否定的意見は、展示がごちゃごちゃしてるという点と、誤字などがあったという点がほぼすべて。展示がごちゃごちゃしてるのはその通りだけど、スペースと展示物の量から止むを得ないというか、わかっててやったこと。そこを楽しむ展示なので、指摘されても屁の河童。誤字があったという指摘は、たぶん種名ラベルと、手書きの鳥の巣の元ラベルだろう。手書きラベルは確かに地名に間違いが混じってるんだけど、それも含めてライブ感と思ってる。種名ラベルは、確かに間違いが次々見つかって、どんどん修正したけど、間違いを見つけた人はいるだろうなぁ。
価できない。ここをどう判断するかが
あと大きな反省点は、タイトルに数字をつけたこと。
反省点以外では、
・今回の特別展で一番気にしていたターゲットは、鳥の巣を寄贈くださったKさん。Kさんは数回来場くださり、その後いただいたメールからも喜んでいただけたようで、よかった。それだけでも、展示した目的は果たされた。
・その次のターゲットは、京阪神中心の鳥好き層。これは、日本野鳥の会大阪支部の会報で宣伝させてもらえたし、全国区ではBIRDER4月号で宣伝記事を書かせてもらえたので、まあまあ鳥好きには伝わったんじゃないかと。実際、関東から見に来てくれてる人が少なからずいた。
・鳥の巣のインパクトが大きくて、解説パネルはあまり読んでもらえないかな、と思ってたけど、アンケートをみると、解説パネルを読んでくれた人がけっこう多くて驚いた。これは、けっこう嬉しい。
【追記】
その次の誘致展は、もっと赤字になるらしい。というわけで、相対的に我が鳥の巣と卵展の評価は上がったような気がする。
●2022年9月7日 8月の博物館実習の後始末
中身チェックして、コメントや押印もれてる学芸員4人に押させる・書かせる。
実習総括欄がある実習ノートにコメントと押印。
出欠日数書き込んだり、押印したり。遅刻が3名あったけど、ちょうどその大学は、遅刻の記入が求められてないなぁ。
成績選んで、短いコメント、名前ハンコ押して押印。ちなみにコメントは、とくに印象のない人は、「まじめに とりくんで いました」。なぜか分かち書き。そして成績はAを選びまくる。
修了証書的なのに、名前ハンコと押印。館長名を欲しがってたら、館長室に持っていって押させる。館長個人印を押してもらったのは、3大学4名。個人印に意味あるのかなぁ、とぼやきながら押してる。意味ないに決まってるやん。
他の3大学4名は、公印が欲しそうな様式になってる。実際、館長個人印を押したら不満を言ってきたことがあるK大学とかもいる。なので、こいつらは公印を押す。公印省略のご時世なのに、いつまで公印求めるんだろう? 面倒な奴らは後回し。おそらく完了は来週になる。いや、面倒だから後回しではなく、公印押すには決済がいるので、時間がかかるだけ。事務担当者は面倒だなぁ、と思ってるはず。同感である。
面倒な公印組を除いて、4時間で作業完了。さっそく返送。学生に自分で実習ノートの提出するようにと言い渡してる大学もあるようだけど、成績表は大学事務室で、実習ノートは学生個人に送る、ってのは面倒で嫌なので、まとめて大学事務室に送る。
公印組を除くと、今回は4大学5名はレターパックがある。さらに1大学2名は以前のレターパックが余ってるのでそれを使用。2大学3名は、切手付きの大きい封筒がある。以上7大学10名は、早い便で送り出した。
残りの4大学4名は、封筒がないので、こちらで封筒を用意して宛名書き。封筒の用意や切手代はどうでもいいけど、宛名書きが面倒なので、封筒やレターパックを用意してくれてる大学は好き。S県立大学は昨年までレターパックあったのに、どうして今年は? 昨年まで無駄に1人に1つあったので、余りを残していて良かったけど。2大学2名は小さい封筒を付けてあるけど、使えないので無駄。
今回の博物館実習は、2年ぶりに対面実施。リモート実施だと、終わってから実習ノートが送られてくるのを待たなくてはならず、面倒。と思ってたら、最終日によそでの行事の手伝いを入れると、対面実施でも実習ノートが送られてくるのを待たねばならず、時間がかかった。最終日に夜の行事という点も含めて、次回以降は要検討。
実習の日程がけっこう月末の8/24-8/28だった。が、キリがいいので、実習ノートを届けるのも、実習生ブログの書き込みも、締め切りを8月末日にした。ちょっと実習生には負担だったかもしれない。実習ノートはそれでも月末に揃ったが、ブログは1名の書き込みが遅れて9/4になった。自主的にお詫びのメールも送ってきて、そこはしっかりしてた。
●2022年9月6日 風が強くて、ツバメは喜び飛び回り、スズメは隠れる
台風が接近するとは聞いたが、雨は降らなそうだったので、宇治川沿いを歩いての鳥の調査を結構してみた。水量も多めだし、風も強いとデータ的にはちょっとあれかも。とは思うけど、日程の都合もあるし、メインの調査目的的には問題はない。
行ってみるとやはり風は強い。大部分の時間は、涼しくてちょうどいいくらいだったが、午前11時台は飛ばされそうに強い風が吹いていた。
そんな状況の中だけど、トビはあちこちで見かけた。むしろいつもより多め。風を上手に使って楽に飛び回ってる感じ。同じように、チョウゲンボウも風にのって、一番風が強い時でも、普通に活動できている。カラスにいたっては、強い風を楽しんでいるかのように、風に乗って、ふわふわ飛び回っている。さらに風が強ければ飛ばされるのかもしれないけど、このくらいの風なら楽しめるらしい。
一方、カワラヒワは、このくらいの風で、飛ばされていた。風下に飛ばされたら、風上側へは当面戻れないんだろうなぁ。想定外の場所におらざるを得ないのは、それなりにリスクな気がする。それもあってか、スズメの姿をほとんどみない。すでにどこかに飛ばされた後か、どこかに避難しているのか。十分な採食もできないんじゃないかと思う。
というわけで、強風下の観察はいろいろ面白く、強い風は鳥たちに大きな影響を与えていることはわかったと思う。でも、やはりというべきか、強風の日のセンサス調査の結果は、普通の日のデータとはかなり違ってそう。
●2022年9月4日 今年は異常?!中高生とキノコさがし
ここ数年恒例になった中高生とキノコさがし。ここんところキノコ好きメンバーが少なくない。なので毎年1回はキノコ行事を入れてる。時には2回やってることも。キノコ行事といえば、秋でしょ、という素人っぽいイメージから、秋に設定。なんとなく9月に設定することが多い。9月の連休あたりは学会シーズンってこともあって、担当者の都合で、9月初旬設定になる。そして、毎年反省してるんだけど、9月初旬はまだ秋雨シーズンの前で、林は乾燥していて、あまりキノコに出会えない。
今年は、10月にキノコ行事を動かそう!と春に話していたはずが、なんか手違いがあって、10月は断層観察に。やむなく、例年のようにキノコさがしは9月になった。が、今年は例年と違っていた。今年は8月後半から雨が多く、昨日も現地は雨。湿度高くて、気温も高くて、キノコにはばっちりだった。ついでに関東の大学に進んだOBくんもちょうど帰省していたので、参加してもらえて、例年になく楽しくキノコを観察できた。
今年のキノコさがしは、京都府八幡市の男山へ。ここに来るのは、この中高生向け行事の時だけだなぁ。というのは、キノコ屋がここ気に入ってるからだろうなぁ。
ここは兼好法師ゆかりの地、というか徒然草に出てくるんだそう。駅前で集合してると、大学生が教えてくれた。すると、中高生数人も知っていて、メンバーの教養の高さに驚いた。
山に入ると、林内しっとりしていて、陸貝が目立つ。小さいけどいろいろなキノコが生えてる。キノコ屋とOBのMくんは楽しそう。いろいろ小さいキノコの名前を教えてくれる。個人的には大きなテングタケ系やイグチ系が好き。できれば食べられるキノコを夕食分取りたい。とはいえ、いろいろ名前を教えてもらえるのも楽しい。アラゲキクラゲがあったので、食用に確保。上がっていくとイグチ類も見つかるようになり、さらに楽しい。
山頂経由で降りてきて、とある神社に生えてるという珍しいキノコを見せてもらう。予習してたけど、思ったより小さかった。林を外れる直前のところに、大きめキノコがいろいろいっぱい生えている場所があって、最後に盛り上がる。
今回は、いろんなキノコに出会えた。キノコが多かろうが少なかろうが、いろいろキノコの名前を教えてもらうのだけど、なかなか全部は覚えられない。気に入ったのだけ少しずつ覚える。今回気に入ったのは以下の通り。
マユハキタケは京都では激レアらしいが、あんなに小さかったとは。マメザヤタケに生えるヤドリツブチャワンタケも珍しいらしいが、さらに小さい。ベニイグチ、ハナオチバタケ、アカヤマタケといった大きめで綺麗なのが印象的だった。一番可愛かったのは小さなツチグリ、ヒナツチガキ。
今までが正常だとすると、コレは異常。異常気象のありがたい一面とでもいうか。これから毎年こうなら、キノコさがしは、9月設定でいいんだけど、来年はどうしうよう?
●2022年9月2日 博物館学な大学院生さんからインタビューを受ける
先日から、北陸方面から博物館学な大学院生さんが、研究目的でインターンシップ的に滞在している。というか、館内をウロウロしているというか。いろんな会議を見学してる。今後は、行事などにも参加したいらしい。で、個々の学芸員にもインタビューをしてる。その順番が回ってきた。
Q:たくさん行事をしてると聞きました。どうして普及行事をたくさんしているのですか?
A:博物館の活動を考えた時、学芸員の仕事として重要だと判断しているから。
Q:どういう目的で行事をしていますか?
A:自然史博物館のベースのミッションは、自然史科学の普及発展に寄与すること。とくに裾野を広げるという目的では、普及行事はとても重要と考えている。
Q:普及行事をやってよかったこと、上手くいったことはなんですか?
A:毎回、失敗ばかりなので、上手くいったことはあまり覚えていない。
Q:普及行事で子どもに対する時、心がけていることはなんですか?
A:大人や先生として上から対するのではなく、対等な感じで対応すること。実際、大人・子どもに関わらず、多くの人は、何かしら教えてくれる情報を持っていたりする。そういう意味で、本当に対等だと思う。
Q:どうして学芸員になったのですか?
A:研究者を目指していて、学芸員になろうと思ったことはない。大学の事務室前に学芸員募集の張り紙があって、試しに応募したら採用された。
Q:学芸員の仕事をしていてよかったこと、やりがいはなんですか?
A:一つの仕事が終わっても、すべき仕事がたまりまくっているので、一息ついて良かったなぁ、と思うことはないように思う。
安定のいつもの答え方。アンケートには、なぜか素直には答えない。
●2022年9月1日 日本の島嶼で亜種分化が楽しい種といえば
亜種の分類が、これから再検討されて変わるかもしれないけど、とりあえず島嶼ごとに亜種がけっこう分かれていて、面白いなぁという日本の鳥は、コゲラ、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、メジロ、ミソサザイってことかと。それぞれの島嶼ごとの亜種分化のパターンが違うのも楽しい。でも、なんでこうなるの?と問い始めると難しい。というわけで、島嶼ごとの各種の亜種を並べてみよう。以下は『日本鳥類目録 改訂第7版』に基づく。
・本州・四国・九州:コゲラ+シコクコゲラ+キュウシュウコゲラ、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、メジロ、ミソサザイ
・伊豆諸島(大島):ミヤケコゲラ、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、シチトウメジロ、ミソサザイ
・伊豆諸島(新島、神津島):ナミエヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、シチトウメジロ、モスケミソサザイ
・伊豆諸島(三宅島):ミヤケコゲラ、オーストンヤマガラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ウグイス、シチトウメジロ、モスケミソサザイ
・小笠原群島:オガサワラヒヨドリ、ハシナガウグイス、シチトウメジロ(移入)、イオウトウメジロ(移入)
・硫黄列島:ハシブトヒヨドリ、ハシナガウグイス、イオウトウメジロ
・大東諸島:ダイトウヤマガラ、ダイトウヒヨドリ、ウグイス(かつてはダイトウウグイス)、ダイトウメジロ、ダイトウミソサザイ(絶滅)
・屋久島:ミヤケコゲラ、ヤクシマヤマガラ、ヒヨドリ、ウグイス、シマメジロ、オガワミソサザイ
・種子島:亜種不明コゲラ、ヒヨドリ、ウグイス、シマメジロ、オガワミソサザイ
・トカラ列島:アマミヤマガラ、アマミヒヨドリ、ダイトウウグイス?
・奄美諸島:アマミコゲラ、アマミヤマガラ、アマミシジュウカラ、アマミヒヨドリ、ダイトウウグイス、リュウキュウメジロ
・沖縄島:リュウキュウコゲラ、アマミヤマガラ、オキナワシジュウカラ、リュウキュウヒヨドリ、ダイトウウグイス、リュウキュウメジロ
・宮古諸島:リュウキュウヒヨドリ、リュウキュウメジロ
・八重山諸島:オリイコゲラ、オリイヤマガラ、イシガキシジュウカラ、イシガキヒヨドリ、リュウキュウメジロ
・与那国島:タイワンヒヨドリ、リュウキュウメジロ
ミヤケコゲラの分布がなんか変。というかコゲラの亜種の分布いまひとつ不明確だなぁ。
種子島にヤマガラいないの? 宮古諸島にはカラ類いないの?
屋久島・種子島にはシジュウカラいないってことはないよなぁ。大東諸島やトカラ列島には、基本シジュウカラいないって理解でいいのかな?
リュウキュウウグイスはどこにいるんだっけ?
トカラ列島のメジロはなんだっけ?
●2022年8月31日 2022年8月のまとめ ツバメのねぐら、のち博物館実習、ときどきホネホネ
7月でなんとか大阪市内のツバメの巣探しが完了したと思ったら、8月前半はツバメの集団ねぐらの調査や行事で、午後から出かけまくる。後半は博物館実習。コロナ禍なので、リモートに切り替わる可能性を含めて準備しなくちゃなので、面倒。その合間に、ホネホネ団の活動やホネホネ実習。突然ラクダもやってくる。
そんな2022年8月を振り返ってみよう。
ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。
奈良県1コースと京都府2コース(1日で調査するけど)のハッカチョウセンサスも実施。
大阪府3ヶ所のツバメの集団ねぐらの調査は、4日かかって完了。今年も淀川鵜殿に2日かかった。
地元公園のセンサス調査と果実チェックの再会は来月から。と思ってたら、カワウのねぐら調査の依頼を受けたので、急遽調査。この調査は年3回だけど、地元なので毎月実施しようかと考え中。
ホネホネ団の活動は、3日の予定だったが、ラクダが来たので、きゅうきょ1日増えて、4日になった。
昨年のニタリクジラの残りのホネの回収について、先方と調整して、12月に掘り出す方向で進めることになった。仮掘りが可能か確認中。
特別展で展示した鳥の巣の燻蒸のついでに、あちこちの部屋で散らかっていた骨や剥製も一緒に燻蒸した。燻蒸は終わったけど、片付けがまだできてない…。いつの間にか、燻蒸テントの柱は撤去されていた。これで慌てなくても大丈夫と思ったら、尻尾から奥へ行くルートを確保せよと言われた…。
普及行事は、ジュニア自然史クラブ、鳥類フィールドセミナー、植物園案内を予定通り実施。子ども向けホネの標本作りの室内実習も実施できた。鳥の調査の勉強会の会合があったけど、参加者1人で淋しく終了。ツバメのねぐらの観察会は雨天中止だったのだけど、雨が降らず、人がけっこう集まってしまい、なんとなくツバメのねぐら入りを観察して帰ってきた。
大阪鳥類研究グループの観察会は、初めてのツバメの標識調査で、集合時刻の暑さを心配したけど、問題なく実施できた。読書サークルも対面でできた。
講演は、学芸ゼミ1件。委員会は0件。
先月が締め切りだった査読を1本頼まれた。頑張らなければ。論文は書けてないし、原稿も書いてない。特別展解説書の正誤表をようやく作成。
とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系4冊と、SF1冊、その他1冊。
完全休養日は1日。今年に入って3日目。
ガン検診を受けた。今年は胃カメラ避けて、バリウム飲んだ。
●2022年8月30日 リュウキュウカワザンショウの謎
学芸ゼミで、リュウキュウカワザンショウの話でとても盛り上がった。きちんと記載されていないが、おそらく南西諸島固有種。しかし1960年以降、生きた個体は確認されておらず、絶滅したと考えられている。
リュウキュウカワザンショウは標本もあまり多くは残っていないが、終戦間際の沖縄島で採集された標本がスミソニアンに残っているという。沖縄島に侵攻してきたアメリカ軍は、現地の風土病を調べる部隊を連れてきていて、日本住血吸虫を媒介するミヤイリガイを探すついでに、ほかの淡水貝も採集したらしく、それがなんと現在も標本として残されている。ってことらしい。そういうサンプルがちゃんと残されているのが、けっこう驚き。採集地は、塩湿地や河口。これはカワザンショウっぽい生息地。ただ、田んぼやため池に広く生息していた、というメモがあったりする。カワザンショウはあまり水田に見られるような貝ではないので、不思議。当時の沖縄島の水田って塩が入ってたの?って点が議論になった。
その他には、1950年代の貝コレクションにいくつか標本が見出されている。たいていは沖縄島なのだけど、一つ与那国島とされる標本があって不思議。沖縄島と与那国島に分布しているなら、その間の石垣島や西表島にもいてよさそう。両島には、カワザンショウに適した環境が今もけっこう残ってるので生き残ってる可能性もある。
ってことで、沖縄島の水田や河口にカワザンショウを探しに行きたい。石垣島や西表島でも探したい。ただ、すでに貝屋さんが探しに行ってるらしいので、それでも見つかってないので、もう生き残ってないのかもしれない。でも、どこかに密かに生き残ってないかなぁ、
あと1960年以前の貝コレクションをチェックしまくれば、もっと標本は見つかりそうではある。そしてらもう少し当時の分布の実態がわかりそうだし、今も生き残ってる可能性がある場所も絞れるかも。
●2022年8月29日 地元のカワウの集団ねぐら調査
ここ数年、というか十数年、夢洲のカワウの集団ねぐらの調査の手伝いに年3回。夢洲の鳥を観察するチャンスということもあって、毎回楽しみにしていた。が、カワウの集団ねぐらがなくなり、調査は昨年度で終了。この夏からカワウの集団ねぐらの調査がなくなった。と思ったら、ひょんなことから地元の公園の集団ねぐらを調査することになった。
この調査は、関西全域を仕切ると称する連合から、東京の鳥団体へ委託された調査。10数年前に調査が始まった当初、調査するカワウの集団ねぐらのチョイスが不思議だった。網羅的ではないし、代表的なところを調査するだけなんだろうな。と思ってた。でも最近気づいたのだけど、どうも単に大阪の集団ねぐらがどこにあるのか知らなかっただけらしい。近頃、小さな集団ねぐらであっても、存在に気づいたら調査してる様子。で、なぜか我が地元公園に集団ねぐらがあることに気づいたらしい。
今年から繁殖コロニーが形成されたけど、集団ねぐらはたぶん随分前からあるはず。ただ、ちゃんと調べた事はない。調べた人もいないはず(日没時は一般人は入れないし)。ってことで、どうして集団ねぐらがあると気づいたのかは判らない。ただ、やりとりのついでに、調査はできるかと問われた。地元だしその状況を把握しておいてもいいな、ってことで引き受けた。
できれば8月中に実施をと言われたので、今日実施した。近頃、夜はピカピカ光るようになったので、それを避けて休園日の月曜日に。と思ったら、今日もピカピカはあるらしい。でも、考えてみれば、ねぐら入りは暗くなる前に終わるので無問題。
閉園後、大池のほとりの芝生に座り込んで、すでに木にとまってるカワウを数え、その後、日没10分後くらいまで、戻ってくるカワウを数えて、記録していく。営巣中は北方向の出入りが多いと思ったのだけど、今日の入りは西方向からばかり。大部分は南西から戻ってくる。1時間半ほど観察していたが、日没前1時間前後の20分ほどが一番帰還カワウが多かった。結局、ねぐらに集ったのは、60羽。思ったより多かった。
ちなみにカワウの集団ねぐらと同じ木には、コサギ5羽とダイサギ1羽、アオサギ1羽もねぐらについた。コサギ3羽は戻ってきたが、他は明るいうちからいたのがそのまま寝た感じ。もう1羽、アオサギがいたが、木にはとまらず、噴水のところにとどまった。
カラスの集団ねぐらは、ユーカリを中心にその周辺に展開していた。
次に頼まれているのは12月で、お次は3月の年3回。でも地元なので、毎月調査してもいいかも、と思い始めた。
●2022年8月28日 博物館実習 夏の一般コースの最終日
だいたい行事の手伝いをぶつけることが多い。かつては、9月第1日曜に実施されていた、「セミのぬけがらしらべ」に投入していた。大阪市西区にある靱公園で、セミの抜け殻を集めまくって、発生しているセミの種類と数を把握しようという企画。とにかく人海戦術なので、人数は一人でも多い方がいいので、実習生は大歓迎されたし、実際かなり役に立った。が、その行事も10年以上前に無くなってしまった。そこから実習の最終日問題が勃発する。
博物館実習のおもな目的は博物館の活動を知ってもらうという普及教育的な意味合いが強い(あまり学芸員を養成してるとは思っていない)。一般コースの博物館実習は、標本実習がメインになるんだけど、うちの博物館の活動の中では、普及行事はかなり重要な位置を占めている。で、夏の博物館実習の季節は、基本的にお盆明けから9月前半の間。1日くらいは行事を手伝って、その雰囲気を知って欲しいと思うなら、この期間内の行事を選んで、実習最終日をその日程にぶち当てる。
セミの抜け殻調べなき後、しばらくは8月末恒例の標本同定会に投入していた。しかし、受付を少し手伝ってもらう以外には、ただウロウロしている若者が増えるだけ。邪魔ってこともないけど、実習生たちは暇そう。その他に植物園案内に投入したこともあった。さらに実習生がすることはなく、なんとなく行事に参加してるだけ。で、今年は初めての試み。夏の終わりのこれまた恒例行事となっているウミホタル観察会に投入した。
プラス面としては、安全確保という仕事がある。多くの実習生は楽しかったらしい。ただ、マイナス面もいろいろあって、最終日が大阪府南端で夜の行事となると、
・その日のうちに帰らないといけない実習生は困る場合がある。実際一人早退した。ただ、これは事前に最終日の終了時刻が遅くなることを伝えてなかったのは、担当者の私のミスだけど。
・最終日の終了時刻が遅いので、実習ノートは帰ってから書いて郵送、または後日持参してもらう必要がある。集まるのを待つ必要があり、実習生の手間も増える。
プラス面より、マイナス面が上回ってる気もする。来年度は要再検討。
●2022年8月27日 はじめての羽根拾いの行事が、あまり初心者向けではなかった件
今日は、はじめての羽根拾いという行事の日。鳥の観察会をしようにも、この季節は鳥影が薄く、なかなか厳しい。ってことで、ちょうど換羽期でもあるし、ここ数年は初心者向けの羽根拾い行事を設定している。
が、設定した時は気づかなかったけど、今年度から林内の様子が大幅に変わっている。それが羽根拾いにも大きく影響する。ってことに、下見の段階で気づいた。
先週下見をしたのだけど、銀色の卵が点在して、ロープで歩くコースが制限された林は、人があまり入らないせいだろう、コース以外が草ぼうぼう。これでは羽根は拾えない。大きな白い卵で埋め尽くされた林も、羽根を探せない。ササを刈った林も、ロープで歩くコースが制限されたせいで、コースの周辺は草ぼうぼう。今までおもに羽根を拾っていた3ヶ所がほとんど使えなくなってしまった。おかげで、下見の時は、ハト類の羽根すらあまり見つけられず、カラスばっかり。タカなどの捕食跡も見つからず。大丈夫か?この行事、となっていた。
そして、迎えた今日の行事本番。親子連れが10数組が集まった(子どもの体調不良で欠席の家族が続出!)。子どものみなさんの頑張りに期待するしかない。
挨拶して、すぐに博物館の裏の林の一画へ(ここも草ボウボウで、羽根を探せるエリアは狭い)。やっぱりカラスばっかりかなぁ。と思ったが、すぐにドバトやキジバトの羽根が見つかり、ヒヨドリの羽根の散乱も見つかる。幸先がいい。
銀の卵の林に入ってみたが、カラスの羽根しか見つからない。でもまあ、カラスのいろんな部位の説明はできる。そして、構造色が綺麗なことをアピールしたら、子ども達は機嫌よくカラスの羽根を集めてたりしてる。
草ぼうぼうの林は避けて、芝生やそこの木の下を見に行くと、カラスやハトの羽根は拾える。知らんかった。大人気ないベテランの大人は、メジロやカワラヒワの羽根も拾っていた。
で、なんやかんやで小池の北側に到達。ベテランがタカ類っぽい羽根を拾った。小さい子が明らかにタカの腹のシマシマ体羽を拾って、一気に盛り上がる。周囲をウロウロ探すと次々とタカの羽根が見つかる。腹の体羽、背の体羽、大きいのは肩羽だろうか。オオタカの成鳥っぽい。けっこう多くの子どもがタカの羽根をゲットできたと思う。
というわけで、大量のタカの羽根が拾えた。こんな羽根拾いは初めて。そして、カラスの各部の羽根の解説付き。ハシボソガラスとハシブトガラスの羽根の識別も説明した。はじめての羽根拾いにしては、いずれもかなりマニアック。
子ども達が、カラスの羽根の美しさに気づいてくれたなら、いいなと思う。
●2022年8月26日 読書サークル 第121回会合覚え書き
隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。今回も対面でできて本当にありがたい。でも次回は危ういかなぁ。
今日の会合で出た本についての意見を記録。
今回の課題本は8冊。4冊繰り越されてきて、5冊繰り越したので、7冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。
●「うんこ虫を追え」
(紹介文7つ、平均★数は3.7)
シデムシ、ツチハンミョウ、ガロアムシと、マイナーな昆虫の生活史を丁寧に追いかける姿勢を含めて、著者のファンが多かった。絵本作家なのに、きちんと観察して、絵本を作るだけでなく、データも発表している。と、この絵本以外での評価がそもそも高かったが、この絵本自体も高評価。工夫して糞虫の生活史をおいかけていくストーリーは面白いし、それを絵を多用しての紹介もわかりやすい。ただ、ほかの”たくさんのふしぎ”とは違って、字が多いね。とは指摘されていた。あと絵本としては、オオセンチコガネを成虫まで育てた時点で終わった方がスッキリするという指摘もあった。
●「身近な野鳥の観察図鑑」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
図鑑と銘打ってあるけど、画像や絵に識別中心に鳥の解説が書いてある普通の図鑑とは違って、鳥の行動・形態についてのトピックが中心になっていて、読む本として楽しめる。と、評判はよかった。予習してから鳥を見に行ったり、鳥を観察した後に復習すると楽しそうという指摘も。ただ、この本で鳥の識別は難しそう、という意見も。
●「ウイルスの進化史を考える」
(紹介文2つ、平均★数は3.0)
たんにウイルスといっても、いろんなタイプがあって多様ってことがわかるというのが第一。ウイルスの起源を探るのは、なかなか難しそうだが、生物の細胞の起源にも迫るものでとても面白い。と、テーマ的には高評価。ただ、細胞生物学的な専門用語が多いので、慣れない人には難しいかも。さらに、その難しさを和らげるためかもしれないが、あちこちに口語体の文やギャグめいた文が入ってくるけど、それがイラッとするという声が多かった。とくに著者は関西人ではないのに、やたら出てくる関西弁は評判が悪かった。
●「魚食の人類史」
(紹介文2つ、平均★数は2.5)
魚食という切り口で、人類の食生活の変化をおう内容は、興味深く読んだ人が多かった様子。ただ、世界を見渡しての旧石器時代までを扱った第1章から第6章と、日本限定で縄文時代以降を扱った第7章の落差にとまどった人が多かった。というか、第7章の評判が悪かった。第7章は、日本のそれも一部だけを扱っていて、歴史学的アプローチでザクっと紹介してるだけで、著者の主観ばかりが目立つ、といった点が指摘された。せめて世界の漁労の民を紹介すればよかったのにという意見もあった。
●「生物がすむ果てはどこだ」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
地面の下のかなり深い場所にも生物圏が広がることを紹介した内容自体は、興味を持って読まれた様子。ただ、簡単なイントロにとどまっているので、最新の研究内容に迫って欲しかった、あるいはもう少し突っ込んだ内容の普及所が読みたいという声があった。表紙の雰囲気や内容から中高生向けの本と思っていた人がいた一方で、総ルビなので小学生向けであるという指摘も。どっちつかずなのかも。
●「カニの歌を聴け」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
ハクセンシオマネキの配偶行動を調べまくったプロセスと結果を紹介した本なのだけど、その内容面より、炎天下の干潟での観察に注目した人が多かった。熱中症で倒れないのかなぁ、とみんな言ってた。一人だけ、このタイトルは村上春樹の『風の歌を聴け』からとってると指摘していた。
●「鷹将軍と鶴の味噌汁」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
江戸時代の江戸を中心に、失われた鳥食文化を紹介した本だけど、レシピ見てもあまり美味しそうじゃないなぁ。という声が多かった。一方、注目を浴びたのは、鳥の格式ランキング。鎌倉時代以前はキジが第1位だったのが、室町時代の第1位はハクチョウで、江戸時代の第1位はツル。じゃあ、鎌倉時代、ツルは何位だったのか?あと江戸時代の第3位のヒバリってなに?など、そこで盛り上がった。
著者は、日本の鳥食文化が失われたのは、明治時代になって銃猟が入って、鳥が減って、捕獲が規制されるようになったから。というストーリーを描いているが。獲りすぎて減少してるウナギの捕獲はほとんど制限されていないし、しつこく食べ続けられている。鳥食文化がなくなったのは、日本人の大部分が、そこまで野鳥を食べたいと思ってなかったからではないかという指摘があって、おおむね賛同が得られた。ニワトリの普及も関係あるかもという指摘も。
●2022年8月25日 博物館実習 ラクダのホネを洗う
本当は、明日の博物館実習を担当する予定だったが、今日の担当者の一人の都合が悪くなり、明日と交換した。
明日なら担当するのは、4人。ホネ洗い喜ぶかも、というメンバーを選んでいた(受入担当なので、そこは自由自在)。が、今日は急遽当たったので、想定外のメンバー。そして担当するのは3人。大きなラクダのホネを洗いきれるか心配だったけど、数日前から用意していたので、そのまま強行。
ホネ洗いは水仕事だし、あまり清潔ではない。大物は、虫に肉を食ってもらってホネにするので、もれなく虫の死骸や痕跡が混じる。今回は早めにいったん水漬けにしたので、虫の痕跡は少なめだけど、虫の死骸やサナギの殻が混じってた。今日の実習生3人のうち、2人は虫が苦手そうだった。でも、実習なので頑張ってた。実習ノートにも、面白い体験をしたと書いていたけど、まあ本音は書かないだろうなぁ。
最初に椎骨1つずつ渡して、洗い方を体験してもらってから、脚を一本ずつ洗ってもらった。洗い終わったら頚椎と下顎骨を洗ってもらう。これでほぼ午前は終了。その間に一番手強そうな脚を処理(肉と筋が残りすぎで、再度水漬けした)、尾椎を処理(これも水漬け)、腰椎・仙椎・寛骨・頭骨を洗う。午後は、胸椎と肋骨を洗ってもらい、その間にこちらは胸骨を洗って、後始末。
午後2時すぎには洗い終わったので、休憩はさんで、骨の解説。頭骨の解説から四肢の関節の説明。後肢は手根骨込みで並べて見せた。そして、椎骨のホネ並べ。腰椎は癒合しまくっていて、瞬殺で終わっていた。きっちりはまるので気持ちいい。胸骨ははまらないけど、正しく並べていた。一番苦戦していたのは頚椎。最初の2つを知らないと無理かぁ。
お年寄りのオスのラクダJは、あちこちがすり減ったり、いらんホネがついていたり、癒合したりしていた。歯は、かろうじて残っているけど、前臼歯はボロボロで、下顎の片方はとれてしまった。臼歯は、不均一にすり減りまくってガタガタだけど、波打った上下がうまくかみ合っていて不思議な感じ。
寛骨+仙椎+腰椎4つは外れなくなってるのだけど、腰椎は微妙に動く。一方胸骨の大部分は癒合していて、その周辺の骨化し肋軟骨と一緒に大きな骨になっていた。
四肢のホネは癒合はしていないけど、関節面以外には、いらんホネがついてザラザラ。おかげて関節面が見分けやすく、後足の足根骨が簡単に組み立てられた! まあ、それでも手根骨は組み立てられなかったけど。
●2022年8月24日 博物館実習 2022年夏期一般コース オリエンテーション
今日から5日日程で博物館実習がスタート。大学生が18人。初日の今日はオリエンテーション。次回のために今日のスケジュールを記録しておく。昨年の夏はリモート実習だったので、対面の夏は2年ぶり。
09:30 博物館実習スタート 出欠取って、名札を作らせて、友の会に入会させる。ブログの書き方の説明。ブログの書き方と担当のブログを書いて実習を完了したと評価するとの説明。遅刻しそうになった時の連絡の指示。新型コロナウイルス感染症対策として、濃厚接触を避けるように注意と、熱が出た時・濃厚接触者になった時の対応。遅刻者が1名。今回の友の会会員はなし。
10:00〜11:40 博物館の間取り、沿革、事業内容(研究、資料収集、展示、普及教育)、友の会・サークル・ネットワークなどの説明。博物館に足りないものとして、お金、人手、スペース。今回は、博物館での新型コロナウイルス感染症下の状況と、その対策や悩みを交えて。※実習生を机1台に1人の配置に(前もって配布物は設置)、机を後ろ寄りに間隔開けて。
11:40〜12:00 管理棟の案内・解説。学芸員の部屋をのぞき、植物研と地史研に入った。書庫にも入ったが、特展準備室はハンター展で入れず、かわりに旧収蔵庫をめぐった。※18人をまとめて連れて行ったけど、会話はなしで、間隔を気持ち開けさせる。
(12:00〜13:00 昼休み)
13:00〜14:10 収蔵庫見学ツアー。3つの収蔵庫をめぐって解説。二層構造の秘密、壁の違い、タイプ標本、火災時の対応など。なぜ収蔵庫に本があるかも説明。
※18人をまとめて連れて行った。
(14:10〜14:20 休憩)
14:20〜15:40 展示室見学ツアー(常設展)。メンテナンスがメインテーマ。電気の球換えの難しさ、掃除のしにくさを中心に、ダメなケース、ダメな展示を紹介して歩く。また壊されるハンズオン展示や、メンテナンスの難しいオープンな展示の話。来館者がケガをした展示の紹介。第5展示室では、アナログのゲームコストパフォーマンスについて解説。 最後に博物館におけるミュージアムショップの普及教育的位置づけ。
※18人をまとめて連れて行った。
15:40〜 実習ノートの記入。
実習ノートは学芸員がチェックして、コメントなどを書くので、学芸員とのコミュニケーションツールとして使うように、って今回も指導してみた。
【追記】
実習ノートをチェック。18人分を見て、質問に答えたりコメントしてたら、1時間以上かかった。博物館は収蔵庫スペースが足りない。と午前中に言ってたのを、午後の館内ツアーで実感できたという声が多い。メンテナンス中心の学芸員目線の展示ツアーも評判が良かった。
ただ、大阪市大の1人は2020年12月に第3展示室と第5展示室の展示解説を聞いていたらしく、同じ話をしていたというコメントがあった。少し悔しい。
●2022年8月23日 大きな海獣と戯れる
海ライオンの死体が届いた。連絡があったのは3日前、引き取る旨答えたら、気づいたら到着していたような印象。大の大人が3人でようやく運べるサイズ。すぐには処理できないのだけど、大きすぎて冷凍室には入らない。仕方がないので冷蔵室に押し込む。冷蔵室でちょうどの大きさだった。体重は約200kgだったという。やっぱり大きいなぁ。と思ったら、とても痩せているとのこと。本来なら、この1.5倍ほどあるらしい。痩せていてよかった。本来のサイズなら冷蔵室にも入らなかったかも。というか、サイズの、問題ではなく、重くて動かせなかったかも。
そして、慌てて関係者と日程を調整して、今日処理することになった。なにわホネホネ団のメンバーにも声をかけた。
で、今日。スタッフ的な3人の都合で、3日前に急遽、平日に設定された活動日だけど、14人が集まった。夏休み中だろうから、学生5人は判るとして、仕事を持っているはずの数人は、どうやって都合をつけたのか謎。でも、思いのほか手こずったので、人手が多くて助かった。
冷蔵室から引きずって、作業する部屋に運んで、包みを開いてみると、内臓がないのはいつものこととして、すでに胴体は剥かれて外されて、少し折りたたまれていた。その状態であのサイズ感だったら、丸々到着していたら、冷蔵室には全然入らなかった。改めて、やっぱりオスは大きいなぁ。
で、すでに剥かれた胴体の肉取りと、四肢および頭の皮むきに取り組む。胴体外されていても重いので、テーブルの上に乗せられない。やむなく床に置いたままの作業。とても腰に悪い。腰を伸ばし伸ばし、腰のリミットまでに剥けるよう頑張った。前肢を担当したけど、1時間20分ほどかかってしまった。マイ腰的にはタイムリミットに近かった。
全部剥いて、肉取りをして、包み終わった頃には、日没が近づいていた。午前中に終わるかもと思っていたが、甘かった。
知ってはいたけど、オスの尖った頭が見れて盛り上がった。ヒレの途中にある後肢の爪や、ほとんど外に出ていない前肢の平爪は、なんども見てるけどやはり盛り上がる。
●2022年8月22日 がん検診
今日は年に一度のがん検診。といってもがん検診を受けるようになったのは、2年前からなので、まだ人生3度目。
最初の年は、バリウムを飲んだ。胸部エックス線で引っかかって、肺がん疑いで要精密検査になって、めっちゃドキドキした。
2年目は、胃カメラというものを飲んでみた。ものすごく苦しかった。もう二度と嫌だと思った。
で、今年。昨日の夜に何を準備するんだっけ?と確認したら、2日分のブツのサンプルが必要と気づいて、あせった。大慌てでトイレに駆け込み頑張った。直前2日分と書いてあったけど、本当に直前の2日分になった。まあ、これでいいんだろう。
それでいうと、午後10時頃、昼食を食べながら、準備を再確認したんだけど、前日の食事は午後10時まで、というのも発見して、またもや大慌て。食べてる途中のを急いで食って、追加で食べる予定のは断念した。腹減った。それでも午後10時15分ごろになったんだけど、大丈夫やんね?
今年は胃カメラやめて、バリウム飲んだ。バリウムはバリウムで苦手。炭酸混じりっぽいゲップがものすごく気持ち悪い。でも、ゲップが出てしまう。ゲップして怒られる。それが一昨年。
が、今年は軽くゲップを我慢できた。たいして腹も張らなかったし。ってゆうか、むしろあまり胃が膨らまないとか言われて、追加の発泡剤を飲まされた。それでも、ゲップは平気。我慢強くなったのかも。帰り道、ようやくゲップが出た。やっぱり気持ち悪かった。
バリウムを飲んだ後は、下剤を飲まされる。断れない雰囲気なので素直に飲んだ。家に帰ったら、腹を壊した。夜の分と翌日の分の下剤ももらったけど、飲まなかった。世の中にはバリウム飲んでも下剤は必要ない人もいるってことに気づいて欲しい。
●2022年8月21日 標本同定会2022
今日は夏休み恒例の標本同定会という行事。講師の先生方もそろえて、どんな標本の名前でも判る、という建前の企画。かつては、自由に標本を持ってきてもらって、それを待ち構えていた学芸員と講師が片っ端から同定する。という趣だったが、一昨年からコロナ禍に突入して、申込み制になった。昨年は新規陽性者数が急増して中止になったが、今年はそれ以上に新規陽性者数は多いのに、とくになにも行動制限がかかってないので、予定通り実施。2度目の申込み制標本同定会。申込者少なく、学芸員も講師も暇そう。2年前と同じく、午前、午後1、午後2の3つの時間帯に参加者は割り振られる。担当分野は午前1件、午後1に1件。すぐに終わって、他所を少しひやかした以外は、普通にデスクワーク。と思ったら最後に飛び入り1件。という訳で
2022年 鳥:3件、魚:2件
午前は近所の公園で拾ったという哺乳類の頭骨の一部。なんとイノシシ(orブタ)の上顎の付け根だった。午後は、淀川で拾ったというチョウゲンボウの羽根と、奈良県での合宿代替行事で拾ったヤマドリとカケスの羽根。悩む余地がなくてつまらない。と思ったら、最後のは大阪湾湾奥部〜淀川のオオタカ大雨覆・ウミネコ尾羽・ツバメ初列風切。少し悩んだ。
ちなみに魚の2件は、鳥の羽根を持ってきた家族と、鳥の羽根を持ってきた人が鳥が食べてる魚を訊ねたもの。
今年も以下に歴代の対決を記録しておく。鳥の連勝を24になった。
2021年 <コロナ中止>
2020年 鳥:3件、魚:1件
2019年 鳥:9件、魚:7件
2018年 鳥:9件、魚:7件
2017年 鳥:10件、魚:5件
2016年 鳥:8件、魚:5件
2015年 鳥:5件、魚:2件
2014年 鳥:7件、魚:2件
2013年 鳥:5件、魚:0件
2012年 鳥:4件、魚:2件
2011年 鳥:6件、魚:1件
2010年 鳥:8件、魚:5件
2009年 鳥:3件、魚:0件
2008年 鳥:3件、魚:0件
2007年 鳥:3件、魚:1件
2006年 鳥:3件、魚:1件
2005年 鳥:6件、魚:0件
2004年 鳥:5件、魚:2件
2003年 鳥:3件、魚:2件
2002年 鳥:4件、魚:2件
2001年 鳥:4件、魚:1件
2000年 鳥:3件、魚:2件
1999年 鳥:5件、魚:3件
1998年 鳥:4件、魚:1件
1997年 鳥:1件、魚:1件
1996年 鳥:1件、魚:4件
●2022年8月20日 8月下旬の大阪の都市公園での鳥の観察会
大阪府の都市公園では、春と秋の渡りの季節にはいろんな鳥が観察できて楽しい。冬もいろんな鳥が越冬していて楽しい。でも、繁殖としている鳥の種数は少ないので、6月から8月はオフシーズン感が強い。6月には遅れて渡る鳥が出るし、8月には、下旬ともなれば早めの秋の渡り鳥が入るが、数は少なめで、必ずいるとは限らず、観察会的には狙えない。6月から7月であれば普通酒ではあるけど、繁殖している鳥の子育ての様子に狙いを絞るということができる。しかし、8月は本当にネタに困る。で、ここ数年は羽根拾いをテーマにしてる。普通種しか拾えないけど、初心者向けにはかえって好都合てなもん。が、それも怪しくなってきた。
今日は、来週の初心者向け羽根拾い行事の下見をした。カラスの羽根はいっぱい落ちてる。ここはカラスの集団ねぐらができるので、カラスの羽根はコンスタントに拾えるし、落ちてる羽根の部位から換羽の話もできる。今は外側の初列風切が落ちてるので、換羽シーズンもそろそろ終わりという感じ。
が、しかし、いつもならいっぱい拾えるドバトやキジバトの羽根が見当たらない。とても困る。そもそも鳥が襲われたと思われる羽根の散乱がない。かつて羽根の散乱がよく見られた林に、この7月からことごとく変なものが設置されてしまった。そのせいでハトが林内に降りなくなってるのかもしれない。猛禽類が地上で食事をしなくなってるのかもしれない。いずれにしても大迷惑(ユニコーンの曲にのせて)。
羽根拾いが思うようにできなかった今日は、しかし鳥の姿もあまり多くなく、見れる範囲と鳥といない鳥で、解説多め。
スズメ、ドバト、ハシブトガラスの換羽や子育て。メジロの繁殖期、コゲラの採食。ヒヨドリの避暑。
池では、カワウの繁殖期、サギ類の採食行動。
カワセミが出現してくれて、アオサギがずっと口を開いていたので、ネタができて、かろうじて満足感が得られてよかった。来年からは、羽根拾い設定は考え直した方がいいかもしれない。が、代わりのテーマ設定は難しい。
●2022年8月18日 教員向けホネ研修 来年の研修の研修
来年、大阪府で、理科・生物教員が集まる生物教育研究会全国大会があって、うちにエクスカーションで来て、なにわホネホネ団的な作業を体験したいそう。という相談があったのは、もう3年も前のこと。コロナ禍の前の話は、もう遠い昔の思える。そして、えらい早くから計画するんだなぁ、という印象だけ。本当は今年の全国大会が大阪府であるはずだったのが、コロナ禍で1年延期。来年の予定になった。全国大会の前年に、エクスカーションの予行演習として、大阪府の教員向けに同じプログラムの研修を実施したいとは、最初から言われていた。けど、コロナ禍ですっかり忘れていた。が、今年の春になって、大阪の教員向けの研修をこの夏是非と言われて、なんとなく今日に至る。
なにわホネホネ団的な作業といっても、皮むきとかは、たぶんできないだろうから。ジュニア自然史クラブの中高生や、博物館実習の大学生にもやってもらってるホネ洗いが無難なところ。流しの都合があるので、同時に作業できるのは8人が最大。2交代制でも16人まで。ということで、返事したら参加者は結局スタッフ込みで8人。スタッフが3人はいたので、実際の参加者は5人以下(たぶん希望してきたのは3人程度)。人気なさすぎて、実施する必要あるのかな?とも思う。
とりあえずプログラムは、教員向けに実施したことのあるホネの解説とホネ並べ、の間にホネ洗いをはさむ感じで準備。ついでなので、宣伝用にホネの貸し出しキットも用意した。ホネ洗いは、ラクダのホネを洗ってもらおうと砂場から回収してきたが、思ったより大きくハードそう。興味少なめの教員には無理だろうと判断して、水漬けして忘れていたシマウマの四肢、および水漬けしてかなりきれいに仕上がっているヤギを準備した。ホネ解説1時間、ホネ洗い2時間、ホネ並べ1時間のイメージ。
で、今日を迎えた。集合時刻にいたのは6人。教員は遅刻しがちなのは知ってる。理科や生物の教員とのことなので、初歩的な内容ははしょりながら、
【ホネの説明】→約40分
・ホネの貸し出しキットの宣伝
・哺乳類のホネの構成の概説、主に鳥類と比較して。各テーブルにネコの全身骨格、説明用にニワトリの全身骨格。
・肉食獣と草食獣の頭骨の比較、目の向きの確認、顎関節・歯の構造の違い、耳の穴の位置。テーブルごとに貸し出しキットのシカとアライグマ。説明用にはライオンとシマウマ。
【ホネ洗い+ホネ並べ その1】約30分
・シマウマの四肢のホネ洗い。2人[m:821]4本
・脚のホネ並べ
【ホネ洗い+ホネ並べ その2】約40分
・ヤギの全身のホネ洗い(頭以外)2人[m:821]4ヶ所
・椎骨と肋骨のホネ洗い。4人[m:821]2組
【休憩】約10分
【並べたホネの解説】約15分
・ヤギの角、耳小骨、第1頚椎。および哺乳類の鎖骨など。
【施設見学】約30分
・冷凍室、トラックヤードのゾウ。
・旧トラックヤード、ブクブク槽。
・ホネ砂場
【展示解説】約20分
・新収資料展のホネ展示の解説。
ホネ洗いに時間がぜんぜんかからなかったので、めっちゃ時間が余った。かといって、難しいのを洗ってもらうのは難しそう。早く洗い終わった者たちは、こっちの都合関係なく、勝手に並べていて、ホネ並べの時間もあまりかからず困った。なので、4時間コースで研修するのはけっこう難しい。むしろ常設展のホネ展示の解説を含めて考えた方がいいかもしれない。
●2022年8月17日 自由研究の相談はツバメだらけ
昨日は小学生さんたちからツバメの質問を受け。今日の午前は、コシアカツバメの話を聞き。今日の午後は、ツバメの営巣調査のまとめを相談される。そういえば数日前には、ツバメの集団ねぐらテーマの自由研究を見せてもらった。自由研究づいてる今日この頃。そしていずれもツバメ関係。ツバメ人気は高いなぁ。
数日前に見せてもらったツバメの自由研究と、昨日のツバメの質問のみなさんは小学生で、特別展の時のツバメワークショップなどでツバメに興味をもって、ツバメの集団ねぐらの観察にも行って(あるいは観察会に参加して)、ツバメの営巣と集団ねぐらの二段構えで、日本でのツバメの暮らしのレポートをまとめていた。
今日の相談はどちらも中学生で、どちらも営巣中心で、2シーズン以上調べているなど、かなりしっかりデータをとってまとめようとしている。
午前は、静岡県で調べているコシアカツバメの営巣の話。帰省のついでに相談に来られた。けっこう広い範囲のコシアカツバメの営巣地を調査してる。調査方法や努力量が示されていないので、見逃しの程度がわかりにくいけど、大学のような建物ばかりで見つけているのは、そうした場所を中心に調べているからかな? 橋の下や高架下の営巣地がないのも気になった。イワツバメの繁殖地も見つけていたが1箇所だけ。もっといないのかなぁ。
ヒメアマツバメの営巣も確認していた。調査地の地図の範囲内に、日本で最初のヒメアマツバメの繁殖確認の地もあって、日本のヒメアマツバメの聖地である日本平もあって、なんか盛り上がる。その割にはヒメアマツバメが少ない気がした。聖地は衰退したんだっけ?
質問は、昨年集団繁殖地があった場所で、今年は営巣していないのは何故?なんだけど、それは、今年その営巣地でなにが起きてるのかを調べないと分からない。と答えるしかない。調べるポイントは、巣が壊されていないか、軒並みスズメに使われていないか、外部寄生虫が大発生していないか。などだろうか。
午後は、奈良県のツバメの繁殖調査。こちらは某商店街で営巣するツバメを題材に、営巣における雌雄の役割分担といった研究。この営巣地が集団繁殖地の様相を呈しているのみならず、ビルの3階なので驚き。大阪府にこういう場所は知らないなぁ。
とりあえず図表の示し方を丁寧にと指導って感じ。あと、イントロ、結果、考察の書き方にコメント。すでにデータはけっこう示せているのだけど、図表も本文も説明の不親切感が半端ない。自分でわかってることを、一々説明するのが面倒なんだろうなぁ、分かるけど、それでは伝われないと偉そうに言ってみる。
その上で、統計的手法は抜きにしてもできる範囲の解析が、まだまだ不十分。というかもっとデータで語ることができそうなのに、語れていない。仮説を考えて、それをデータで検証。という流れができるようになればいいと思うのだけど、中学生にどこまで求めるか難しい。悩ましい。
●2022年8月16日 小学生からツバメの質問
と思ったら、小学2年生さんと一緒に、幼稚園の年長さん2人もきた。小学2年生さんは夏休みの自由研究で、年長組2人は一緒にやりたいだけみたい。でも、自分でちゃんと質問考えて、紙に書いて持ってきていた。小学2年生さんはけっこう難しい漢字が書けていた。字が書けてるから、小学1年生2人と、小学4年生くらい?と思いながら答えていたら、思ったより若かった。
誰がどの質問したかは大部分忘れたけど、一問一答はこんな感じ(他にももれてるやり取りがあったかも)。実際は子ども向けに優しい言葉で言い換えて答えるべく苦労した。
・どうしてツバメの幼鳥の喉はあまり赤くないの?
→赤くするにはコストがかかります。ので、成鳥は、たとえばオスならもてるために頑張って赤くするが、幼鳥は赤くするのは後回しなんだと思います。
・どうしてツバメのヒナの口は横に長いの? どうしてヒナの口は黄色いの?
→ヒナに限らず、ツバメの口は横に長いです。横に切れ長で、嘴が短い。これは飛ながら虫を捕るのに適しているんだと思います。
→小鳥のヒナの口の中は、黄色い種と赤い種に分かれます。スズメやツバメは黄色派。親鳥は黄色い口が開いているとエサを入れたくなるので、黄色い色は親へのアピールだと思います。
・ツバメのヒナは飛ぶ練習をしていて、落ちたりしないの?
→落ちることはあると思います。
・夜はヨシ原に集まってるツバメは、昼間はどこにいるの?
→小さな群れで、河川、田んぼ、ため池などを飛び回って、飛んでる虫を食べています。
・ツバメのヒナは、エサの取り合いをしますか?
→親がエサを持ってきたら、口を大きく開けて、アピールして、自分がエサをもらおうとする。という意味での取り合いはします。他のヒナがくわえているエサを奪い取るというのは、あまりないと思います。
・どうしてツバメはヨシなどの草にとまって寝るの?
→ツバメは、越冬地では木や電線にとまって寝るのが普通。日本でも木や電線にとまって寝ることがあります。でも、ヨシ原に集まって寝るのが多数派。その理由はよく判らないけど、たくさん集まるには適しているのかもしれません。
一番難しかった質問は次の2つ。それぞれ年長さん2人から出てきた。
・どうしてツバメはチュピチュピ鳴くの?
→ヒナが鳴いてるのは、おもに親にエサをもらうためのアピールだと思います。成鳥オスが、営巣地で鳴くのは、さえずりみたいなもん。その他の成鳥の声、たとえば集団ねぐらに入った後、しばらく鳴き交わしている理由はよく分かりません。
・どうしてツバメは虫を食べるの?
→とりあえず現時点では、足の短いツバメは、地面を歩けないし、木の上で食べ物を探すのも無理。なので、飛ながら食べ物を採るしかありません。飛びながら採れるものは、飛んでる虫くらいしかありません。ってことじゃないかと。
●2022年8月15日 淀川鵜殿のツバメの集団ねぐらを探して
5日前に行って振られたので、今日リベンジ。ここは、頻繁に振られる。3年前までは割と同じ場所に集団ねぐらができていたので、振られなかった。
一昨年は、いつもの場所に行ったらおらず、上流に集まってるらしき群れが見えたので、2回目にそこを確認。
昨年は、前年の場所に行ってみたけどおらず。さらに上流に飛んでいくので、2回目は上流で待ち構えた。が、少し集まったけど多くなかった。地元の方々に確認したけど、場所はあってると教えられ、3度目の正直で確認できた。堤防からでは遠すぎて、全容が見えなかったらしい。
で、今年は昨年の場所に行って振られた。3年連続。毎年毎年動かんといて欲しい。日没時までは少しいたのに、その後消えた。下流の方に小群が飛んでるのが見えて、ハヤブサもウロウロしていた。あっちらしい。
昨年の場所は鵜殿でも一番上流側のヨシ原。その下流側といっても広いので、地元の方に場所を知ってるか教えてもらった。頂いた情報によると。
・7月終わり頃、枚方市側からの観察では、3年前の塒地辺りの淀川上空に集まっていた。
・高槻市側からは、2日前に、昨年の場所と、3年前の場所の辺りを待機したがツバメは集まらず。
昨年の場所には集まらず、そこより下流の方に集まってるらしい。という、当初の予想と同じ程度しか判らない。昨年の場所と3年前の場所は、1kmほど離れてるんだけど、その間のどこに集まるか判らない。さらに下流のヨシ原に集まった年も、過去にはある。どう調査するか難しい。
で、今日は、淀川高水敷の堤防から離れた河道にそった道に行ってみた。最初は、昨年の場所。それから一昨年の場所辺り、昨年の場所。どこか判らんなぁ、と思いつつ、その間を行ったり来たり。4ヶ所ほど見晴らしのいい場所があったので、そこで周囲をチェックしては動くの繰り返し。
最初は意外なことに昨年の場所辺りの河川上空に10数羽集まっていた。こっちなのか?と思ったけど、日没が近づいてきたらいなくなった。動きながら時々出会う個体は、どっちかといえば下流に飛んでいく。
日没直前になって、真ん中辺りで見渡していると、一番下流側辺りを数十羽のツバメの群れが飛んでるのを発見。あそこや!となって向かった。群れが飛んでいたのは、今日ウロウロしていた一番下流側の3年前の場所辺りだった。
で、そこに留まって観察。上空を舞っていたツバメは増えていき、日没直後から次々とヨシ原に落ちていく。結局ねぐら入りした場所は、3年前までずっと使っていた場所だった。
一昨年と昨年はこの場所のヨシの成育が悪かった。それで場所を変えたけど、今年はちゃんと育ってるので、元に戻ったってことか。来年も、ここに集まってくれますように。
●2022年8月14日 手羽先のホネ標本作り実習2022
もはや伝統行事となっていた夏休みのホネの標本づくり実習だったが、コロナ禍に突入して、2020年は実施断念(スタッフが濃厚接触者に濃厚接触)、2021年はリモート実施。今年は3年ぶりで対面で実施できた。
コロナ禍以前は、食材の手羽先から外した皮・肉は、軽く料理して昼にみんなで食べていたもんだった。が、コロナ禍なので、今回はみんなで食べるのは断念。スタッフ3人だけで食べた。2年前用に用意した手羽先は、2年以上冷凍されていたものだけど、美味しく頂けた。今年の料理は、エスニック風ナッツ炒め。
ちなみに、2年前用の手羽先は、近江プレノワール。足らないので買い足したのは比内地鶏。
今までは、できるだけ落選者を出したくなかったので、30人以上の参加者に(最高で36人!)、保護者が1〜2名ついて、部屋はギューギュー詰めで実施していた。参加者が多いので、スタッフも6人前後手配していた。
が、今年は、コロナ禍真っ最中なので、部屋の定員を厳格に守る必要がある。保護者の人数は読めないけど、1テーブル4人で参加者24人。付添は1グループ1人だけにしてくださいと要請。さらに当日もできるだけ保護者は、別室で待機してくれるよう要請。その結果、付添の保護者は、7人に留まった。参加者も欠席が出て20名。スタッフは3人に絞ったので。部屋内の人数は30名と、なんとか定員の36名以内に収まった。
参加者はやる気のある子が多くて(一人では出来そうにない子には、付き添って頂いて大丈夫とアナウンスしたので、やる気微妙な子には保護者がついていた模様)、人数が20名と少なかったので、スタッフ3人で回せた。人数が少ないと、目が行き届いてやりやすかった。
保護者が手を出していたケースがそれなりにあったけど、まあまあ子ども自身が頑張って、午前中は15分前倒しで終了。
午後は、パイプユニッシュ後の肉取りに15分余分に使い、漂白後も予定を15分オーバーして、予定終了時刻の15時30分を15分オーバーして終了した。
過酸化水素水ではなくオキシドールで1時間では、充分に漂白されてなかったので、家で再び漂白する人は固定しないで帰ろうと呼びかけはしたが、全員固定していた。太い針金は使いにくかった。
1人、15時で離脱した子がいた。
過去の歴代地鶏は以下のとおり。来年はアイガモを手配するという話。
2022年:近江プレノワール、比内地鶏
2021年:-
2020年:-(希望者には近江プレノワールを実費配布)
2019年:長州黒かしわ
2018年:青森シャモロック
2017年:みやざき地頭鶏
2016年:信州黄金シャモ
2015年:不明。天草大王?
2014年:台風で中止。購入してあったのは、比内地鶏?
2013年:不明。名古屋コーチン?
●2022年8月13日 リス祭り
リスはリスでも、タイワンリス。なぜかタイワンリスという名前に馴染んでいるので、標準和名とされているクリハラリスではなく、タイワンリスと称している。亜種名と理解しておこう。ちなみに外来イタチの方も、タイリクイタチやシベリアイタチではなく、チョウセンイタチを採用してるなぁ。
というわけで、リス祭りなんだけど、新型コロナウイルスの新規陽性者数が死ぬほど多いしか、お盆で忙しいからか。あまり参加者が多くない。9匹用意したけど、剥く人はベテラン3人、初心者4組だけ。
こういう祭りで楽しいのは、複数個体を一度に見渡せること。タイワンリスをまとめて見たのは初めてで、いろいろ楽しい。
9匹の内、オスは3匹、メスが6匹。頭胴長、尾長、耳長、後足長のいずれも雌雄に目立った違いはない。
9匹の内、2匹だけ尾長が10cm、12cmと15cmを切ってる。前者がメスで、後者がオス。剥いてみると、前者ははっきり尻尾が切れてる。が、後者は、尻尾の先は細く、先が曲がってて、枝分かれ? 成長具合がおかしかったっぽい。
ニホンリスとタイワンリスの区別点として、タイワンリスは腹が白くなくて、背と同じ色。と言ってきたけど、間違ってた。9匹の内8匹は、背よりも腹の色が薄い。背と腹が同じ色なのは1匹だけ。3匹は少し腹が茶色がかってるくらい。茶色がかってるのはオス1匹、メス2匹。性別は関係ないっぽい。
さらに9匹の内3匹は、前脚の付け根内側、つまり脇に、はっきり茶色い部分がある。オレンジ色があるのは3匹ともメスだけど、性別に関係あるのかな?
9匹の内、メス3匹だけが5月に採集された個体で、残りは11月に採集されている。11月に採れたオス3匹は、いずれも生殖巣がすごく発達している。ってことは11月ごろが交尾期だな。と思ったのだけど、『リスの生態学』(東京大学出版会)をめくると、タイワンリスのおもな交尾期は春から夏と書いてある。今回処理しているのは大分県で採集されたもの。地域によって交尾期が違うのだったら面白いなぁ。
●2022年8月12日 ウイルスのようでウイルスでない複製して動く塩基配列
『ウイルスの進化史を考える』という本を読んだ。著者の主張はさておき、ウイルスのようなウイルスでないような粒子がいろいろあって面白い。整理しておこう。
ウイロイド:植物の細胞中に、ゲノムとは独立して存在するRNAで、塩基配列は短く、タンパク質をコードしていない。カプシドもない。が、細胞から細胞への受け継がれ、病変を引き起こしたりする。
レトロトランスポゾン:ゲノムの中で、RNAを仲介して、自分のコピーを他の場所に挿入して、増えていく塩基配列。
線状プラスミド:トランスポゾンのように、ゲノム上を動きまわる塩基配列を持つDNA。
内在性レトロウイルス:寄主のゲノムの中にプロウイルスとして潜り込んだままの存在。
ここにウイルスが加わる。並べただけでは判りにくいけど、RNAやDNAは、細胞内に収まってジッとしているだけの存在ではない。そして、個体の生殖や、細胞の増殖以外のシーンで、けっこう変化や行き来があって面白い。
●2022年8月11日 ツバメのねぐらで標識調査
ツバメのねぐらで標識調査をするというので、見学にいった。ツバメの標識調査に参加するのは、学生時代以来。随分久しぶり。見学する気まんまんなのに、リングをつけるプライヤーを持ってこいとの指令。まさか手伝わされるのか??
とりあえず網張りから見に来いとのことなので、午後4時半集合。まだ暑い。ポールを準備して網張り。大勢いるから、ポール持って立ってるだけでよくって、まあただの見学っぽい。バンダーが他に4人もいるし、見習いも1人いる。人手は十分。だからか、今日は網が3枚。あまりたくさんとれませんように。
ねぐら入りの時刻までは、網を低めにセットして、他の鳥を狙う。オオヨシキリが2羽とれた。午後6時半過ぎ、網を高くして、ツバメ狙いにシフト。で、午後7時10分まで、ツバメのねぐら入り観察。ツバメのねぐらは網場より上流側で、堤防の上から上空を飛ぶ群れとヨシ原を低く飛ぶツバメを観察。距離があって、ヨシ原に降りてる数が評価しにくいけど、全部で2万羽近くは集まったと思う。
午後7時10分、網にかかったツバメを回収。100羽弱のツバメと、1羽のスズメが採れていた。ツバメは足を絡めないし、噛みつきもしないので、とても回収しやすい。網の袋からポイポイと拾う感じ。これが絡みまくる鳥だったら大変だろうな。
回収してきたら、リング付け。幼鳥はリングつけて、腹の色をチェックするだけ。成鳥は、翼長・尾長を測定して、換羽状況を記録とかで、面倒そう。成鳥はSさんに押し付けて、せっせと幼鳥を標識している。ふと気づくと主力のように標識作業をしていた。バンダー3〜4人ほどで標識して、1人が記録。余った1人ともう1人で網を回収。作業が全部終わったのは午後9時だった。
100羽近いツバメのうち、1/4ほどが成鳥だった。この割合は異様に高い。原因はよくわからない。捕まった成鳥の多くは、最長尾羽の先が折れてることが多かった。それも片側だけとか。網にかかった時点でけっこう欠けていた。網でかけたのか、換羽前で傷んでるのかはよくわからない。
腹の色は真っ白は少なく、うっすら色づいてるのが多数派。なかにはけっこう赤みというか茶色みがついてる個体もいる。アカハラツバメというほどではないと思うけど、よくみると、腹が赤っぽいツバメは珍しくないらしい。この腹の赤みのあるツバメが、近畿で繁殖してた個体なのか、ロシア方面から渡ってきた個体なのか気になるところ。赤みの多い個体の割合の季節変化を見たら、なにかわかるかも。
●2022年8月10日 大阪のツバメのねぐら3連発
大阪府のツバメの集団ねぐらは、毎年できるだけ見に行くようにしている。少し前までは、日本野鳥の会大阪支部が、毎年一斉調査的に情報を集めてくれてたので、当時は趣味みたいなもんだった。が、高齢化と意欲の減退に伴い、野鳥の会は調査をしなくなった。でも、大阪府のツバメの集団ねぐらの位置と規模は毎年おさえておきたい。ということで、今はけっこう真面目に行ってるかも。
できるだけ、たいていの集団ねぐらのピークになる8月前半に行きたい。大阪府のツバメの集団ねぐらはせいぜい3〜4箇所程度とはいえ、一人で回ろうとすると、なかなか忙しい。で、今週がツバメのねぐらウィーク。一昨日に豊中市の赤阪下池、昨日が堺市美原区大保の今池、そして今日は高槻市の淀川鵜殿に出かけた。3ヶ所の調査は、スムーズにいけば3日で終わるが、外してしまうとさらに日数がかかる。今年は、堺市方面の調査はスムーズだったが、今年も淀川鵜殿は外したので、来週もう一度リベンジ。
一昨日の豊中市の赤坂下池は、10年以上安定している集団ねぐら。今年も集まってくれた。ただ、昨年、今年とヨシの生育が悪く。というかクズに覆われることもあって、ツバメがとまれる場所がせまい。そのせいか、昨年も今年も集まるツバメが少ない。ここはヨシにおりたツバメを数えられるのだけど、多めに見て、5000羽程度。地元の人も今年は少ないと言っていた。このままヨシ原が衰退したら、来年以降、集まらなくなるかもしれない。
昨日の堺市美原区大保の今池は、昨年発見された場所。ちなみに私が発見した。一昨年に水が抜かれて、昨年は南東の一画にできたヨシ原に集まっていた。今年はヨシ原がひろだり、ツバメの広くねぐら入りしていた。ヨシ原が広がったっせいか、集まるツバメも増えた。上を4000羽ほどが飛んでいる段階で、ヨシ原に8000羽ほど入っていたので、少なくとも12000羽は集まったと思う。
そして問題の淀川鵜殿。3年前まで、何年も継続して掘り下げた場所にできたヨシ原に集まっていた。が、一昨年と昨年はその場所のヨシ原の生育が悪かったせいもあるんだろう。ねぐらの位置が上流側に移動した。一昨年は1回ふられて、2回目で上流に移動した場所を見つけた。昨年は、2回ふられてさらに上流に移動した場所に行きつき、観察ポイントを見つけた。今年も昨年と同じ場所に行ってみたのだけど、日没時に数十羽集まったと思ったら、どっかに消えた。どうも下流側に行ったらしい。下流の彼方に、数十羽のツバメと、それを追い回すハヤブサが観察できた。午後7時ごろに昨年の場所を諦めて、下流に向かった。送電線までの間にツバメの集団は見当たらず、さらに下流は暗くなってしまってよくわからず。ただ、上空から1〜2羽のツバメの声が聞こえてきたので、3年前と同じような場所に集まってるような気がする。
毎年のように淀川鵜殿は外す。行く前に地元の人に確認すればいいんだけど、それをさぼってしまう。人の言うことは聞かずに、来週もう一度、下流の方を狙ってみよう。
●2022年8月9日 発表計画:大阪のツバメは減ったのか?
今月末に、学芸ゼミというので話をすることになってる。毎月、学芸員が交代で話をする企画。わりと内輪向けで、学芸員と外来研究員くらいにしか案内がいかない。いわば、大学のゼミでの発表のようなもの。広く一般向けに講演するなら、総論的な部分や固まった話をすることが多いけど、ここではもっと生のデータの話もできるし、問題提起してもいいし、一般向け講演のテストランをしてもいい。話す時間も定めはなく、15分でもいいし1時間でもいいような、ゆるい感じ。大学のゼミと違うのは、畑違いの研究者が多いので、イントロは丁寧めにしないと、話が伝わらないこと。まあ専門外すぎて、聞いてもさっぱり判らない話もよくある。地学系とか。
本当は、6月担当だったのだけど、特別展の片付けで忙しいと後回しにしてもらい。7月はツバメ調査で忙しいと後回し。8月はもう避けられない。
で、何を話すか考えないと。基本方針はこの機会に整理が滞っているデータを整理する!そして、一般向けの講演のテストランをする。一昨年は大阪府のカワウ・サギ類の繁殖地の話をした。その前年に実施した調査結果を整理して。昨年は、大阪府のツバメの集団ねぐらの話をした。昨年の繁殖期は野外調査を断念して、その代わりに大阪府のツバメの集団ねぐら情報を過去30年近くにわたって整理した成果。
それでいけば、今年は大阪市内のツバメの巣を探しまくったから、その結果の話をしたい。が、7月に終わって8月では、データ整理が十分にはできない。でもこの機会に少しは整理したいし、話したい。ってことで、データ整理のヒントをもらう機会にしようと思い立った。メインのデータはあまり示せないが、調査の紹介とザクッとした集計結果、そしてデータ整理計画を発表みたいな。
それだけでは寂しいので、日本や大阪でツバメが減ったのかを、他のデータなどで考えるという方針を思いついた。ザクッと並べて、今考えてるのは、こんな感じ。
0:ツバメの営巣の基礎知識
巣の形・材質、営巣場所、繁殖期、つがい関係・寿命、人との関係、ルースコロニー
1:過去のツバメ調査の論文を示して、どの時代にもツバメは減ったと言われている。でも本当にツバメが減ったことを示した研究は少ない。
2:ツバメの巣の減少を示した例(河内長野、広島?)。ただしエリアが狭いので本当に減ったかは判らない。
3:広域でツバメの減少を示した例(全国鳥類繁殖分布調査、吹田)。
4:ツバメの巣をいくつか調べてみた(駅ツバメ、大阪府、大阪市)。
5:大阪市内を自転車で走り回ってツバメの巣さがし
巣の探し方(チェックできてない場所)、巣を見つけるコツ(見えない巣を見つける)
区ごとの巣の数(巣として数える基準、季節の問題、見逃し問題)
田畑が残る区、河川沿いの区
カラスなどの分布
6:データ解析の方向
巣の数と分布:水田や河川との関係、カラスとの関係
巣がある場所:年代で巣がつくられる建物や位置に変化?減ったのか、それとも見つけにくくなっただけか?
●2022年8月6日 行事の中止の判断
今日は、奈良市で日没時にツバメの集団ねぐらの観察会の予定だった。午後6時頃集合して、午後7時半には終了。短期勝負な観察会。
でも、正午に中止を決定した。昨今は、大雨で林道が通行止め、コロナ禍で外出自粛、熱中症警戒アラートなどなど、行事が中止になる理由がいろいろ増えた。が、今回はオーソドックスに雨天中止。あと雷が危険なので中止。大気の状態が不安定で、朝からあちこちでゲリラ豪雨が降っていて、集合時刻から観察のピーク頃に、ちょうど現地では雨が降ってそう。という予報。雨天中止の中でも、ゲリラ豪雨というのは今時っぽいかもしれない。そうした細かい予報が手に入るのも今時。
雷注意報が朝から出ていたし、正午には大雨注意報も出た。大雨警報に変更になる可能性も中程度。とまあ、注意報の予報まで見れる。情報が多いだけに朝から迷いに迷った。
でも、開けた場所での観察なので、雷はとても怖い。大勢だと雨宿りできる場所もないので、もし豪雨に降られても悲惨。
正午過ぎに中止を決定して、留守番電話をセットした。手伝ってもらう予定だった補助スタッフ3人にもただちにメールで中止を連絡。でも、とりあえず大阪で雨は降ってないし、留守電聞かずに集合場所に来る人がいそうな気配が濃厚。というわけで、集合時刻少し前に現地にいるようにした。駅ですでに豪雨が降っていたら、やってきても断念して帰るだろうけど、最寄駅時点では雨は降ってない。これは現地の集合場所に行かねば。
集合場所で待っていると、三々五々、参加者が集まってきてしまう。人が来るたびに、行事は中止になりました。と伝える。雨は降ってないので説得力が低い。行事は中止だけど、私はせっかく来たので、雨が降らなければツバメを見て帰るけど、一緒に見ますか? とまあ、残念なお知らせと、不思議な提案を繰り返す。同じことを何度も喋って、飽きてきた頃に集合時刻。結局30名と一緒にツバメのねぐら入りを見ることに。ただし行事ではないので、
・保険がかからない。
・資料がない。
・参加費もいらない。
ちゃんと留守電をチェックした人は来ないので、留守電をチェックしないで来た人だけ観察できて、不公平。とは思うけど、来てしまったら、勝手に見て帰るのは止められない。それなら一緒に見た方がまし。雨が降ったら、見れないのは覚悟の上。
一緒に見るなら、ツバメの集団ねぐらの解説をせざるを得ない。ツバメを待ちながら、30分ほど解説して、質問に答えた頃に、ツバメが増え始め、あとは自由に見てもらった。観察会のようで、観察会でない不思議な時間。
結局、雨は一滴も降らなかったが、日没時刻ちょっと前から、南西方向に怪しい雲が出て、山が見えない。ゲリラ豪雨が降ってるらしい。どんどん近づいてくる。でも、幸い少し南にそれて、雨はまぬがれた。でも、ゲリラ豪雨が接近してくると、雷が鳴ってるし、稲光も光る。
少なくとも、100人規模の親子連れを集めての観察会は中止にして正解だったと思う。たまたま集まった、30人程度なら、逃げ込める場所もあるので、そのまま最後まで、ツバメが乱舞するのを観察した。
雷が鳴ると、ヨシ原におりたツバメが飛ぶような気がする。面白かった。万が一、こっちに雷が落ちたらと、気がきではなかったけど。行事ではないと言い張りつつも、なにかしら責任があるので、ドキドキした。
とにかく来た人は満足して、無事に終わってよかった。見れなかった方、申し訳ありませんでした。とくに直前で、メールで遅刻しますと連絡いただいた方には、今日は中止ですとだけ伝えて、来るのを断念してもらった。その時点で、集まってくる人がいて、けっきょくツバメのねぐら入りを観察するとは思わなかった。なので、来たら一緒に見れますけど、と伝え損なった。そこは引っかかる。けど、あの時点では提案しにくかった。
●2022年8月5日 中高生と植物標本の話を聞く
今日は、中高生向けの行事で、標本実習。昆虫、植物、化石、ホネの4つの班に分かれて、標本作製の一部を体験する。今年は化石が大人気。ホネ班は6人で、ヤギのホネ洗い。状態がよくて、あっさり洗い終わって、ホネ並べに時間をかけられてよかった。
本来なら午後からは、植物園に出て生きもの観察の予定だった。が、冷静に考えると、熱中症警戒アラートがふつうに発せられる8月前半の昼前後、外をウロウロする場合ではない。リクエストはあったものの、穴掘りは論外ではないだろうか。
となると、代わりに何をするかが問題になる。幸い、今日は参加者が少なめなので、収蔵庫ツアーに行くことになった。それでもそこそこ人数がいるので、2班に分けて、それぞれに学芸員が2人ずつついてツアー出発。相方は植物担当だった。中高生もホネ班と植物班の面々。ということでホネ分と植物分多め。
植物担当が、トリゲモ系の標本をだしてきて、アノテーションの話をしてる。師匠の同定を弟子が修正し、さらに孫弟子が修正とか。元学芸員のSさんは、同定に1%でも疑念があったら、属名までで止めていて、誤同定がほぼないとか。いろいろ話題が出てくる。
調子にのったもう一人の学芸員がいろいろ質問する。1枚のシートに複数種が混じってると判った時の対応は? デカイ植物で、花と根っこに特徴がある際は、どのような標本を作るの?
見たい植物があるので、これまた調子に乗ったもう一人の学芸員がいろいろリクエスト。ばかでかいオニバス、丸いパイナップルやラフレシアやウツボカズラ、トゲトゲのアメリカオニアザミ。パイナップルとラフレシアは見つからなかったが、他は見つかった。
植物標本のいろいろ奥深い側面が披露できたと思う。中高生が楽しんだかは判らないけど、もう一人の学芸員は楽しんだ。
●2022年8月4日 謎の古いメガネ
近くの物が見えなくなる慢性の目の病気というものがある。思い起こせば2020年の1月、外来生物展の準備をしている間に、その病気が発症した。記憶では、展示室のウィンドウケースにうっかり頭を強くぶつけた時から、近くの物が見にくくなった。
そして、今年2022年4月後半、日本の鳥の巣と卵展を準備していたら、その慢性の目の病気の症状が悪化した。どうやら主担当の特別展の準備をしていると悪化する傾向がある病気らしい。遠くはまあまあ見えるのだけど、近くが見えない。地図が見にくい、本が読みにくい、ディスプレイまで見にくくなってきた。鳥の皮剥きは、肉眼で見て作業しているありさま。
7月まで忙しかったから後回しにしていたけど、8月になって少し余裕ができたので、メガネのレンズを換えようと思いたった。強い近視と乱視があるので、特別なレンズが必要で、そのお取り寄せに1週間ほどかかる、ってことを知ってる。だから使ってるメガネは換えられない。新たにフレーム買うかなぁ、と思っていたが、古いメガネのレンズを換えればいいことに今日気づいた。
で、さっそく古いメガネを探した。簡単に見つかった。試しにかけてみた。メッチャ見える。なんで、このメガネ換えたんだろう? 確かに遠くは少しぼやけている。でも、近くは現役のメガネよりはるかに見えている。というか、普通に近くが見えて快適〜。こっちのメガネをかけてたら、メガネ屋行かなくていいんじゃね?
と思ってしまって、今日はメガネ屋にいかなかった。でも、レンズ換えた方がいいよね。ただ、近くが見えない病気対応になってないはずの古いメガネがよく見えるのは不思議。もしかして、そんな病気にはなってないの? 今のメガネが悪いだけ?
●2022年8月3日 自転車修理
大阪市内のツバメの巣さがして、乗りまくっていた我が自転車。そのため。ってこともなく、それ以前から色々不調で、ずっと乗ってて気になっていた。後輪がパンクした時に、後輪のタイヤは交換した。ついでに前輪ブレーキのワイヤも交換。しかし、平野区で転けた時に、左側のブレーキが壊れた。これはまずい。しばらく前輪のブレーキだけで乗ってたけど危ない。で、今日になってようやく自転車屋に持っていった。
とりあえず修理は、
・ブレーキ:左ハンドルのところのワイヤをかませる部分が割れたのだけど、そもそも樹脂が劣化してる。転けなくてもいずれ壊れてる。そして、劣化してるのは右ハンドルも同じ。という訳で、両方を交換してもらった。1700円
・サドル:以前からサドルのクッション部分がなくなって、根元のプラスチックだけになっていた。少し固いけど、まあ慣れれば問題ない。と思ってたけど、大阪市内を一日10時間以上乗っていると、お尻が痛い。帰ってきたら脚がだるい以上に、お尻が痛い。その上、プラスチックが割れてきた。Tシャツの裾が引っかかって破れたりする。これはイカン。という訳で、サドルを交換。一番安いので1700円
・ペダル:ペダル自体も割れそうだけど、それ以上に根元のベアリングが割れていた。カリカリ言う。今回乗りまくっていたら、カリカリがひどくなり、ひっかかってペダルがこぎにくかったり、空回りしたり、いろいろ不便というか、ちょっと危険というか。ということで、ベアリングの交換もお願いした。5000円
こうしてみると、我が自転車は満身創痍。これでよく大阪市内を走り回れたものだ。修繕したらとても快適。大阪市内回る前か、回ってる間に修繕すれば良かった。
ちなみに今回修理してないけど、まだ修理が必要な箇所があって、
・カギが壊れてる。→次回交換しよう。
・前カゴが裂けてる。→カゴは使えるからいいかなって。
●2022年8月2日 Project Y大和川水系調査プロジェクト リターンズ
という訳で、来年度から再び大和川水系調査プロジェクトが動き出す見込み。2023年度〜2026年度に調査して、2026年の秋に発表って感じか。おおむね4シーズンの調査。あれから20年。今回の新しい展開は、お金が確保できれば環境DNAをやってみよう、ってところ。でも、環境DNA自体はあまり市民調査っぽくないので、その結果を受けて実物の探索をすることになりそう。まあ、お金もあまりないから、さほど細かく調査地点設定できないし。
20年前とのもう一つの違いは、2回目の調査ってこと。当たり前だけど。当然ながら1回目との比較が大きなテーマになる。同時に、もう一度調査しなくてもいい対象と、もう一度調査したい対象を峻別する必要がある。標本採取に関してはなおさらである。
という訳で、20年前に担当した調査対象を、もう一度調査するか考えなくては。そして今回新たに調査する対象を考えねば。
【鳥類班】
・河川の鳥:繁殖期と越冬期 →これはどうしてももう一度調査したい。繁殖期はカワガラス、越冬期はアオシギ、両方通じてイカルチドリが主要ターゲット。
・ため池の鳥:繁殖期 →できればもう一度実施したい。ため池がどのくらい減ったかも調査対象。
・サギ類・カワウの繁殖地調査 →10年前調査したよね?とにかく再び把握する。
・コシアカツバメ・イワツバメの繁殖地 →もう一度やる。来年さっさと進めたい。
・イソヒヨドリ分布調査 →もう一度やる。ハッカチョウも調べる!
【哺乳類班】
・カヤネズミ調査 →前回の主要な調査の一つ。今回も実施する。
・ヌートリア調査 →10年前は流域に生息していなかったが、今回は注目種の一つ
【両生爬虫類班】
・カメ類 →10年前は、水鳥調査のついでに記録した。今回もそうする。
・アカガエル調査 →前回の主要な調査の一つ。今回も必ず調査する。
・アオガエル調査 →前回アカガエルほどには盛り上がらなかった。でも一応把握したい。
・その他の両棲類 →カエル類とイモリは分布図を作った。サンショウウオ類は断念した。今回もついでにデータ集めて同じかなぁ。標本はもう採取しなくていいかも。
という訳で、前回の主力の河川・ため池の水鳥、コシアカツバメ・イワツバメ、カヤネズミ、アカガエル類は再び調査。今回新たにハッカチョウとヌートリアを調査するつもり。他はウロウロするついでに記録する感じかな。
●2022年8月2日 高校生から鳥の質問
鳥の質問をしたい。と高校生からメールで言われて、今日来館していろいろ質問を受けた。当初は、鳥の分布の変化の質問と言ってたと思うのに、質問は多岐にわたって、数が多くて、なかなか手強い。いくつか記録しておこう。
・イソヒヨドリの分布が内陸に拡大してるみたいに、分布が変化している鳥はいますか?
→めっちゃいる。
・同じカラ類の混群でも、地域によって混じる鳥が違うのはなぜ? アカゲラは北海道では混群に混じるのに、どうして本州では混じらないの?
→うーん。
・ゴジュウカラは、幹に下向きにとまっていて、頭に血がのぼらないの?
→そんなに長い時間じゃないし、体は下向いていても頭はけっこう横向いてるんじゃ?
・オナガはかつて西日本にも生息していたそうだけど、どうしていなくなったんですか?
→わからない。
・日本国内でいくつもの亜種に分かれている種と、亜種に分かれていない種がいるのはどうして?
→遺伝的な交流が関係してるんでしょうねぇ。
・ヤマシギは、シギ類なのに、どうし水辺ではなく、林内にいるのですか?
→生息場所選択の問題難しい。
・同じ種なのにヤマガラとオーストンヤマガラのように、南の方が色が濃くて、北の方がいろが薄いパターンがあるのはどうして?
→グロージャーの法則ですね。なんでかなぁ。いろんな要素が関係してそう。
・とても目立つ色をした鳥は、繁殖に都合がいいから目立つ色をしてるのですか?
→静的二型であるなら、そうかも。
・カワガラスが羽根につける皮脂は、カモ類とは違うのか?
→羽根の構造で濡れなくなってるんじゃないかなぁ。
・カワガラスはどうして、早い季節に繁殖するのか?
→水生昆虫のバイオマスが多い時期に関係しているかと。
分布の変化だけでなく、生息場所選択、羽色、亜種、繁殖期、混群と興味は多岐にわたっていて、そもそもかなり鳥に詳しかった。実際は、質問内容をこちらで広げて、いろいろ話してみた。答えの要点は上記のように曖昧なものなんだけど、いっぱい喋ってごまかしたというか…。
とりあえず全国鳥類繁殖分布調査の結果は、ネット見れることを教えてみた。
●2022年7月31日 2022年7月のまとめ 大阪市24区のツバメの巣さがし完了
新型コロナウイルス新規陽性者数が急増して、1日当たりの過去最高を日本中で出しまくり。大阪府では病床も逼迫しはじめて、太陽の塔はまたもや赤くなった。のだけど、とくに行動制限はかからず、普通の日常生活が続く。まあありがたいけど、大丈夫なんだろうか。
ともかく、そんな中、せっせと大阪市内を自転車で走り回ってツバメの巣を探す日々が続いた。といっても、2日連続が体力的にけっこう限界。幸い戻り梅雨で調査できない日もあって、ちょうどいい感じに調査を進めて終えることができた。
そんな2022年7月を振り返ってみよう。
ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。
奈良県1コースと京都府2コース(1日で調査するけど)のハッカチョウセンサスも実施。
大阪市24区を自転車でめぐってのツバメの巣さがしは、残っていた11区を12日かけて調査した。大阪市内の公園で繁殖する鳥の調査の残り1箇所もついでに調査。
そんな中、地元公園の鳥のセンサスやカラスの巣チェックはまったく実施できず。長居公園でウグイスが繁殖してるんじゃ?と名古屋方面から問われて答えられず。
ホネホネ団の活動は、3日間。ほんとは4日予定していたけど、ツバメの巣さがしのため1日をキャンセルした。
昨年のニタリクジラの残りのホネの回収について、先方と調整を開始。
特別展で展示した鳥の巣の燻蒸のついでに、あちこちの部屋で散らかっていた骨や剥製も一緒に燻蒸した。燻蒸は終わったけど、まだ片付けてない…。
普及行事は、ジュニア自然史クラブと鳥類フィールドセミナーを予定通り実施。
大阪鳥類研究グループの観察会は、6月末から7月頭の突然の猛暑のため、熱中症警戒アラートが出て中止。
講演は、0件。委員会も0件。
先月が締め切りだった査読を1本こなした。6月終わりから4日ごとに催促メールが来て、催促4回目でクリア。論文は書けてないが、各月連載の原稿を1本書いた。
特別展関連では、解説書の正誤表がまだできていない。
燻蒸の終わった鳥の巣の片付けもできてない。
ナウマンホールで3年ぶりに開催の新収資料展で、2年前に寄贈いただいた、みさき公園の哺乳類の骨格を展示。角ケース3台。
7月の後半になって、NHKが鳥の巣の紹介を放送。予想通り展示についての問い合わせが数件あった。
とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系3冊と、SF0冊。
完全休養日は1日。今年に入って2日目。
●2022年7月30日 ハッカチョウ情報のデータ入力
特別展の撤収から、大阪市内のツバメの巣調査で一杯一杯になっていて、頂いていたハッカチョウ情報の入力が滞っていた。ちなみに、情報を頂く度に、数日以内には返信は返していた。不充分な情報の確認も必要だし、鉄は熱いうちに打たないとだし。でも、データ入力は後回しにできてしまい、後回しにしてしまっていた。
ツバメ調査が完了して、特別展からツバメ調査で後回しにしていた仕事の処理に取りかかった。で、ようやくハッカチョウのデータも入力できた。今年の繁殖期の後半には、今までになく興味深い情報が届いていたように思う。
大阪府の記録ももちろん重要だけど、今までにあまり記録のない県の記録としては、
【兵庫県】→そんな内陸の記録が!
神戸市北区鈴蘭台、2022年6月
多可町中区、2022年7月
【京都府】→やっぱり宇治川沿いにいるやん!
宇治市槙島町薗場、2022年7月
宇治市槇島町大島、2022年4月
【奈良県】→新産地!
大和郡山市九条町、2022年6月
【香川県】→広い分布を示すデータ
三豊市、2022年6月
【愛媛県】→愛媛県に定着か?
四国中央市、2020年4月、2022年5月
【神奈川県】→分布は徐々に西に拡大
平塚市、2022年7月
●2022年7月28日 大阪市24区のツバメの巣さがし調査完了
10年前に、大阪市内のツバメの巣は減ってるんだろうか?と思ったのがキッカケ。とりあえず大阪市24区を25日かけて自転車で走り回ってツバメの巣を探してみた。1回調べただけでは増えてるのか減ってるのかはわからない。10年後にもう一度同じ調査をして、そこでようやく大阪市内のツバメの巣が減ってるのかという疑問にようやく答えが出る。
あれから10年。いよいよ2回目の大阪市巡りの年が、今年。まさか主担当の特別展と重なるとは。でも、10年前は同時に関西の駅ツバメ調査もやってたから、今年の方がましかもしれない。とにかく本日、予定通りの調査を無事に完了できた。嬉しい。少しお高めなモモを食べてお祝いした。
調査結果のデータのとりまとめには時間がかかるけど、調査に関連したあれこれ。とくに事前に心配したことがどうクリアされたかを中心に整理しておこう。
一番心配したのjは、体力面。10年後この調査を実施する体力はあるんだろうか?と思っていた。が、結論から言えば、ほぼ問題なかった。少なくとも調査している間は。ただ、連続して3日調査するのはきつかった。調査こなしてから夜デスクワークするのも辛かった。やはり体力は落ちているように思う。
体力面ではないけど、視力も心配はした。この数年で急激に老眼が進んだから。ただツバメの巣を探すのには問題なかったと思う。問題があったのは地図を見るとき、地図にコースを書き込むとき。
準備段階で意外と問題だったのは地図。10年前は、区ごとにA3にまとまった区分地図を使った。番地や交差点名が書き込まれているのがとても便利。が、区ごとに分かれた地図が、いくら探しても見つからない。止むを得ず10年前と同じ地図を使った。幸いなことに大きな区画整備は行われていなかった。せいぜいが大きな道路の延長であったり、埋立地に新規の住宅地ができたりという程度。なんとかそのまま使えた。
装備面では事前にはなんとも思わなかったけど、自転車はけっこうポイントだった。淀川より北の3区以外は自分のボロボロのママチャリで家から出かけて帰ってきてた。相当な距離を走り回った。途中で壊れたりしたら、時間のロスがいたいと思っていたのだけど、幸いパンクを1回しただけ。それも比較的時間に余裕のある区の調査の時でよかった。ついでにブレーキの修理もできたので、トータルプラスだったかも。車止めや電柱に何度も衝突したけど、壊れなかった自転車には感謝しかない。最後に電柱に衝突してこけた際に、左のブレーキが壊れたけど。あと、サドルは割れまくって、Tシャツが引っかかるようになってしまったけど。
事前に心配していた一つは、梅雨シーズンの雨。10年前より今回は雨には振られた。あまりに激しく振られると、ツバメの巣を探すどころか、前が見えないので雨宿りせざるを得ない。というのは今回気づいた。ただ弱めの雨であれば、前かごのザックをビニール袋に入れて、手にする地図はユニパックに入れて、調査を継続することができた。
もう一つ心配だったのは、熱中症。10年前より暑くなっている昨今。途中で倒れるかもと思ったけど、幸い熱中症警戒アラートが出てる日は、住之江区の調査ていど。雨にはたたられたが、戻り梅雨のおかげもあって、暑さには耐えられた。意識的に水を切らさず、塩分濃いめの物を食べていたのも良かったかも。
補給面でいうと、健康上の理由で、今回はアイスや甘い飲み物は飲まなかった。エネルギー補給は肉系かおにぎりメイン。飲み物は各種お茶。10年前と比べて、調査中の体調面は良かったと思う。10年前はへばってる日には麦茶しか飲めなかったが、今回は凍った麦茶は活用したものの、ほうじ茶、ジャスミン茶、ルイボス茶、紅茶などなど、緑茶以外の各種お茶を順に飲んでいた。
大部分の心配は杞憂に終わり、幸運も手伝って、今回の調査はなんとか終えられた。できれば10年後に3回目の調査をしたいけど、その際に心配なのは、やはり一番は体力面。かなり危険な調査でもあるので、体幹が衰えると本当に事故るかも。あと、10年後が今より暑くなってると、もう7月の調査は無理かも。となると6月までの1ヶ月半で調査できるかが問題になる。10年後は時間的には今より余裕があるだろうけどなぁ。
●2022年7月27日 大阪市内ツバメの巣調査 平野区編
大阪市内を自転車で走り回ってのツバメの巣探し、第24弾の最後は平野区。10年前の調査で唯一2日間かかったラスボス。今回もラスボスは最後に持ってきた。ラスボスは、10年経っても最強であった。
スタート地点は、長居公園通を東に行ったところ。これまた月1回通る場所なので、予習して行かなかった。そして、またもや平野区と東住吉区との逆目が判らず。だいたいの場所は判ってるのだけど、道できっちり分かれていない。その上、ちょうどその辺りは区画整理されていて、地図と大幅に変わっていて、一層わからない。幸い、大規模高層住宅地だらけになって、ツバメの巣はないんだけど。家から15分で平野区へ。
帰りは、新加美駅近くだった。すぐに暗くなった。ってゆうか最後にヒナのいる巣を見つけてしまいそれを見てたら、真っ暗になってしまった。以前、月に1度通っていたエリアなので、地図なんか見なくても帰れるよ。と思って、適当に家を目指す。が、すっかり記憶はあやふや。大きな道路がなんとなく曲がってるのに欺されて(暗かったからね!)、南下しているつもりが、西に向かっていた。なんか通ったことのある道に出てしまい、おかしいなぁ、と思ってようやく気づいた。結局、平野駅辺りで南下して帰ってきた。大回りにはならなかったけど、帰るのに40分もかかった。
とりあえず、10年前と今日の結果を比較
2012年7月30日 05:07-19:10(14時間03分):ツバメの巣は48ヶ所63巣
2022年7月27日 05:00-19:00(14時間00分):ツバメの巣は37ヶ所42巣
予想通りというか、予定通りというか、1日では終わらなかった。調査出来たエリアは、10年前より少し少なめ。やっぱり時間がかかる。
ツバメの巣の数は、明日の結果を待たないと判らないが、水田のあるエリアはおおむね調査済み。水田はあまり変わってない感じ。
今日一番の出来事は、歩道を走っていて電柱に衝突したこと。この一連の調査で、電柱には何度も衝突したが、今日はけっこう勢いよく衝突して、跳ね返って車道に落ちた。そもそも車の通行量が多いから、歩道を走っていたのだけど、たまたまその時は車が通ってなかった。なので助かったが、車が来ていたら無事では済まなかったはず。無事とは言っても、ジーパンの膝が破れて、ダメージジーンズになった。そして擦り傷がいくつか。でもまあ生きてて良かった。
平野区の住所表示は青緑色。
大和川の南側にも少し平野区があって、2つに分かれていて、橋を渡って2往復。面倒だけど、田んぼも残ってるので行かざるを得ない。
南半分は、10年前時点で、ずいぶん田んぼが減ったエリアで、とくに南東部はどんどん大規模集合住宅群がつくられていた。今も建設されている場所もあるけど、田んぼをつぶしたまま放置されてる場所も多くて、そこは草原になっている。大阪市内で一番草原が多いのは、もしかしたら平野区かもしれない。
西端と北東部は、区画整理された住宅地が中心で、通りが縦横に判りやすい。が、瓜破霊園周辺と、中央部には、古い町並みが残っていて、街路も細かい。とくにJRの南側は路地もいっぱいで迷いそうになった。
【追記】
10年前と同じく、翌日に調査の続き。
10年前と今日の2日目の結果を比較
2012年7月31日 04:57-9:02(4時間05分):ツバメの巣は5ヶ所5巣
2022年7月28日 05:04-10:53(5時間49分):ツバメの巣は3ヶ所3巣
2日間の合計は、
2012年7月30-31日 (18時間08分):ツバメの巣は53ヶ所68巣
2022年7月27-28日 (19時間49分):ツバメの巣は40ヶ所45巣
ということで、ツバメの巣の数は、概ね2/3に減少した。合計で20時間近くかかってしまった。10年後、さらに巣が減っていたら、1日で調査できるようになってしまうのかもしれない。
●2022年7月26日 来月の学芸ゼミのネタ
毎月1回、学芸員を中心に、外来研究員を交えて、学芸ゼミというプチ講演会がある。学芸員はアイウエオ順に担当が回ってくる。本当は、6月の担当だったけど、特別展の撤収で忙しいので後回しにしてもらった。7月はツバメ調査が忙しいと言い張ってm、後回しにしてもらった。もう後回しにしてもらうネタがないので、8月は担当しなくてはならない。
新採の学芸員が、なぜかコマユバチの話をしているのを聴きながら、来月のネタを考える。
あと少しで完了する大阪市内のツバメの巣の話は、速報的には話せるけど、精査したきちんとした結果を出すには時間が足りない。他に今年の繁殖に実施してる調査としては、大阪市内の公園で繁殖する鳥の調査があるけど、うーん。
大阪湾岸のカモメ類の分布の季節変化の話や、大阪湾岸の水鳥の分布の10年ごとの変化。といった話は、昨年学会やらで話をしたけど、学芸ゼミではしてない。新たなデータを追加して話をする手もあるかも。すでに話の骨格ができていて、準備はしやすいかも。でも、すでにマイブームは過ぎていて、準備が楽しくない。
手持ちデータはあって、いずれデータ入力して、整理して、話をしたいネタとしては、長居公園の鳥とか、毎月調査してる大和川の水鳥とか、ため池の水鳥とかあるけど。今からデータ入力は間に合わない。
今年は、鳥の巣と卵の特別展の解説書のために、全国鳥類繁殖分布調査の成果については、すごい勉強した。大阪府の鳥類の繁殖分布についても、手持ちデータを中心にかなりまとめた。その話は、オープンセミナーではしたけど、学芸ゼミでは話してない。でも同じ話になるなぁ。
ということで、せっかく少人数で試験的な話ができる場。多分野からコメントがもらえる場。ってことで、データ整理計画みたいなのりで、
・大阪市内のツバメの巣の調査速報と、調査の問題点、解析の方向性の話。
・大阪市内の公園で繁殖する鳥の調査結果の速報。
・大阪市内のハッカチョウの記録。
という感じで、大阪市内で繁殖する鳥についての話題提供はどうかな。と、とりあえずは考え中。
●2022年7月25日 大阪市内ツバメの巣調査 住之江区編
大阪市内を自転車で走り回ってのツバメの巣探し、第23弾は住之江区。アップダウンNo.1の天王寺区、広さNo.1の住之江区、調査にかかる時間とツバメの巣の数No.1の平野区。面倒な御三家を最後にもってきた。そして一番広い住之江区。広いとは言っても、かなりの部分が埋立地なので、そこまで時間はかからない。はず。でも、1日で終わるかなぁ、と心配した。残り1週間で2区調査すればいいだけなので、万が一1日で終わらなくても大丈夫。と自分を励ましつつスタート地点へ。
スタート地点は、長居公園通を西に行ったところ。月1回通る場所なので、予習して行かなかった。そのせいで、またもやどこから住之江区か分からず、少し迷う。阪堺線越えたら住之江区なのかぁ、と初めて気づく。行きも帰りも家から10分。
とりあえず、10年前と今日の結果を比較
2012年7月27日 05:04-18:10(13時間06分):ツバメの巣は36ヶ所51巣
2022年7月25日 04:49-16:14(11時間25分):ツバメの巣は17ヶ所21巣
1日で終わるか心配していたが、あっさり終わった。ツバメの巣は、約6割減。水田はないけど、畑はけっこうある区で、ビニールハウスも点在していて記録は面倒。畑はあまり減っていない。調査時間が1時間半ほど短くなったのは、例によってツバメの巣が少なかったからだと思う。ちなみに、埋立地は無駄に道路を自転車で走り回ることになるのだけど、走り回った距離は、今回の方が多い。
東の方にのみツバメの巣がある感じで、とくに北東部の粉浜には、めっちゃ巣が多い通りがあった。
朝方にハシブトガラスの死体を拾ってしまい、冷やして持って帰るのに苦労した。カラスの死体を見つけて、一瞬スルーを考えたが、やはり拾わねばということで、拾った。次に見つけたコンビニで氷を買って冷やす。よりによって、とても暑い1日だった。氷はすぐ解けるので、何度も買い足す。もったいないので、氷が解けた冷たい水を飲んだり、頭にかぶったり。それなりに涼しくてよかったかも。でもお金がかかる。4つめの板氷がとけた頃に帰って来れた。夕方拾ったら楽だったけど、死体は腐ってただろうしなぁ。
今日はとにかく暑かった。今回の一連の調査で一番暑かったかも。とくに正午前後の日差しが辛かった。午後3時頃になって、ようやく日差しが柔らかくなった。すでに充分日に焼けてるのに、首や腕も赤い。帰ってきて4時間経っても、体が熱っぽいの冷めないし、喉も渇いたまま。戻り梅雨が恋しい。
住之江区の住所表示は青緑色。
西半分は、いわゆる南港で、ポートタウンや周辺のホテルやイベント会場や大きな会社のビル。あとは緑地や工場ばかりが並んでいる。見るからにツバメの巣はない。唯一、ニュートラムの高架下に古巣が1つ。これは10年前もあった。
東半分も、四ツ橋線より西は、貯木場周辺に工場が立ち並んでいて、住宅地は少なめ。東端の1/4のエリアはおもに住宅地で、それも古い町並みがけっこう残っている。それでいてあまり迷路じゃない。そして、畑も残る。だからだろうか、このエリアにツバメの巣は見つかる。
北加賀屋の辺りは、アートでの町おこしをしようとしているのか、不思議な建物や、壁にアートな絵を描いた建物が目立つ。トリ先生のアトリエもあるらしいのだけど、どこか分からなかった。
●2022年7月24日 中高生とツバメのねぐら観察
熱中症警戒アラートなどが話題になる昨今。7月後半から8月の野外行事は組みにくい。8月は暑いし、ってことで元々室内でミーティング。でも7月は外に行きたい。
リクエストを聞いたら、バッタを採りたいという声が出た。ツバメの集団ねぐらを見たいという声もあった。じゃあ、夕方から奈良市の平城宮跡に行って、バッタ取りしてから、ツバメのねぐら入りをみようってことになった。
行事終了は、現地で午後7時半。駅に戻ったら午後8時近く。大阪に戻れるのは、午後8時半とか。高校生はともかく、中学生が一人で帰すのは心配なので、後半のツバメのねぐら観察の方は、迎えを兼ねて保護者の参加を認めることにした(この中高生向け行事では、通常、保護者や教師など大人が付いてくることは禁止している)。この設定は、ムササビの観察と一緒だけど、冬のムササビ観察と違って、夏のツバメのねぐらは終了時刻がさらに遅くなる。
と、いろいろ考えて企画したのに、新型コロナウイルスの新規陽性者数が、直前に急増。でも、行動制限は要請されていないので、中止にする理由もない。学校ではないので、コロナが不安だったら、無理して参加しなくていいよ、とわざわざアナウンス。そのアナウンスのせいだろうか、コロナを気にしての参加キャンセル多数。
で、当日。夕方からのバッタ取りは、やっぱり暑かった。日陰から日陰に移動。バッタとってるのはあまり多くない。むしろキノコで盛り上がったり。イロガワリ系のイグチがあって、色が変わることを見せたら、予想外に受けていた。
あまり盛り上がらなかった気がするバッタ取りだが、後半のツバメのねぐらは、迎えの保護者や後半だけ参加するメンバーを加えて、けっこう盛り上がったかも。ツバメのねぐら入りを自由研究の課題にする子から、いろいろ質問された。けっこう予習していて、質問が的確だった。
盲導犬の訓練をしている最中のラブラドールレトリバーも参加。とても愛想がよくて可愛かった。が、盲導犬的には愛想が良すぎる気がする。
●2022年7月22日 大阪市内ツバメの巣調査 天王寺区編
大阪市内を自転車で走り回ってのツバメの巣探し、第22弾は天王寺区。浪速区、東成区、福島区に次いで狭い区なんだけど、アップダウンが多い。10年前、とにかく坂道がしんどかったという印象が強い。なので、後回しにしていた。最後から3番目になったので、いよいよ出かけるか。坂道が嫌だけど。
スタート地点はもちろん天王寺。あびこ筋を北に突き当たって、線路を越えたらそこは天王寺区。坂道だらけの西半分を北上して、東半分を南下してくるコース。行きも帰りも家から15分と近いんだけど。
とりあえず、10年前と今日の結果を比較
2012年7月19日 06:35-12:47(6時間12分):ツバメの巣は11ヶ所18巣
2022年7月21日 05:15-12:10(6時間55分):ツバメの巣は4ヶ所7巣
例によって時間は10年前よりかかった。正午過ぎには終わって、ちょっと感覚変になってるので、半日仕事って感じ。
巣の数は約6割減。東住吉区に次いで減少幅が大きい。
天王寺区の住所表示はチョコレート色。チョコレート色は4区め。たぶん4区だけ。藤色に次いで少ない。こんなにマイナーだったとは。
調査出だしの西端部分。天王寺動物園から北につらなる上町台地が、アップダウンが一番激しくてしんどい。できればアップダウン避けて南北に動きたいのだけど、嫌がらせなのか、東西の道しかない。名前の付いた坂道が続く、タモリが喜び、アイドルグループがいっぱい作れそう。結局、名のある坂を避けきれず、逢坂、清水坂、口縄坂は避けて、天神坂上って、愛染坂下って、学園坂上って、源聖寺坂を下った。源聖寺坂は階段…。
このエリアは、坂道の合間に、寺+学校あるいは寺+ラブホがあるだけ。ツバメの巣はほぼ見つからない。しんどいだけで、けっこう暇。寺とラブホは、意外と共通点があるなぁ、とかつまらないことを考えてる。
上町台地の西崖にあたる急坂が目立ちはするけど、天王寺区はその他のエリアも坂が多い。そして学校や寺も多い。その合間に今度は住宅地が入ってる。油断しているだけに緩やかなアップダウンの繰り返しがしんどい。緑多くて、環境はいいんだろうけど、調査はするとなると、天王寺区は嫌い。
あと、天王寺区南部は、大きな道路が縦横に、斜めに、斜めに走りまくっている。おかげで街区が変な形に細切れになっていて、調査が面倒。とにかく天王寺区は嫌い。
●2022年7月21日 大阪市内ツバメの巣調査 中央区編
大阪市内を自転車で走り回ってのツバメの巣探し、第21弾は中央区。生野区と同じく、10年前より調査のタイミングを遅め。大阪城公園は調査しなくていいので、面積の割に気分は楽。でも東半分の大阪城公園の南は、上町台地なのでアップダウンが多め。ちょっと憂鬱。
スタート地点を難波にすればよかったのだけど、南端の東角を目指したので、迷う。というか、どこからが中央区か自信がなくなって、少し手間取る。行きは久しぶりの上町台地越え、30分かかった。帰りは上町台地を越えたくなかったので、というか上町台地の東側にいたので、上町筋南下して天王寺経由で戻ってきた。35分かかったけど。
とりあえず、10年前と今日の結果を比較
2012年7月9日 06:40-16:25(9時間45分):ツバメの巣は9ヶ所10巣
2022年7月21日 05:00-13:56(8時間56分):ツバメの巣は3ヶ所6巣
調査時間は10年前よりかからなかった。巣の数は、4割減。もともと少ないのにさらに減った。ちなみに巣の数も地点数も、西区と並んで、今回の調査で一番少ない。前半の西半分で全然見つけられず、坂道が多い東半分でようやく見つけた。
中央区の住所表示は紺色。
地形的には、西半分は平らだけど、東半分、というか谷町筋より東は上町台地でアップダウンの繰り返し。疲れた。
平らな西半分は、オフィス街と繁華街が混在する。とくに南西部はミナミの繁華街で、朝一番にウロウロしていたのだけど、オール明けの若者が大量に街路にいて、ちょっと怖いし、走りづらい。思い起こせば10年前は、インバウンドな団体はいたけど、若者の集団はいなかった。ただ、10年前はもう少し遅い時間帯に調査してたから、時間帯の差なのかもしれない。
アップダウンの多い東半分、というか大阪城公園の南は、当たり前だけど南側の天王寺区と似た感じで、公園と社寺と学校が点在して、その合間に住宅地。
●2022年7月20日 また新規陽性者数が増加、そして週末の行事に悩む
今年度は4月以降、行事も特別展も問題なく実施できてきたが、ここにきて新型コロナウイルス新規陽性者数が急増。またもや、週末の行事をどうするかで悩む季節が再来。ってゆうか、もうこれで何回目?
今のところ、行動抑制の要請は出ていない。でも、大阪府に赤信号が出るのは時間の問題。いつ何を言い出すか判らない奴らの意向に影響されるし。新規陽性者数と奴らの発言をチェックすることに。そして、右往左往する。
とりあえず、この週末の行事はできそうだけど、急遽中止の可能性も頭にとめておく必要がある。
って状況の中で、11月の大阪自然史フェスティバルの出展者募集の打合せ。この状況で、募集しても、集まるのかな、という気がしないでもない。3ヶ月先の状況が読めない中、大型イベントを企画するのは悠輝がいる。
動かし始めると費用が発生する。直前に中止となると、赤字の負担が問題になる。出展者に負担してもらうのは難しい(中止になれば出展料は返金だろうし、そもそも出展料のない出展も多い)。さすがに寄付は返さなくていいだろうけど(事実上返しようがないので)、大幅赤字は避けられない。
とはいえ過去2年は実質中止。3年続けて中止は避けたい。新規陽性者数が増えてるとはいえ、世間からは通常モードで社会を動かそうという強い圧力がかかってる感じ。ここで中止にするのはやる気がないと捉えられかねない。それもマイナスだしなぁ。
とりあえず、できるだけ支出を抑えつつ、準備を進めていき、どこかで覚悟を決めるしかなさそう。
●2022年7月18日 大阪市内ツバメの巣調査 生野区編
大阪市内を自転車で走り回ってのツバメの巣探し、第20弾は生野区。10年前はもう少し早めに調査したけど、今回は中央区とともに順番を後ろにずらした。少しだけ田んぼがある区なのだけど、あまり時間がかかるイメージはない。
北東部の諸区に行く際に、生野区は何度も縦断していたので、行き方はよく知ってる。長居公園東筋を北上して…。あれ?どこから生野区だったっけ? とスタート地点で少し迷いつつも、家を出て20分で調査スタート。帰りはなぜか30分かかった。
とりあえず、10年前と今日の結果を比較
2012年7月6日 05:52-17:46(11時間54分):ツバメの巣は15ヶ所25巣
2022年7月18日 04:56-17:15(12時間19分):ツバメの巣は14ヶ所16巣
調査時間は10年前より少し多めにかかったが、巣の数は10年前より少し少ないが、おおむね10年前と同じような時間で、同じような結果。と言ってもいいんじゃなかろうか。
畑はけっこう残ってるけど、水田は3ヶ所しかない。でも、確か10年前の時点で、それ以前より田んぼが減ったなぁ、と思ったっけ。
生野区の住所表示はメジロ色。
大阪市内では、西区に並んで盛りだくさんの区だと思っている。西端は焼肉の街で、その東隣というか連続してコリアンタウン。その東には古い住宅地が並び、東大阪市に接する東の端には零細企業な工場が立ち並ぶ。そして、南東部には田んぼが残る感じ。全体的には、古い町並みを多く残していて、そのせいだろうかネコが多い。コリアンタウンイメージは、10年前以上に広がっている感じ。10年前はコリアンタウンでチヂミを買って食ったけど、今回はコリアンタウン通過時間が朝早すぎて買えず。残念。
地形的には、南北に平野川分水系が2本流れていて、それを超えるのが面倒。そして、中央部に南北にほんのり高い部分がある。そして行くまで忘れていたけど、北東部に小高くなってる小エリアがあって、油断してたからもあって坂道に疲れた。
●2022年7月16日 コテっちゃんを、チャイする
萌蔵「これチャイしていいですか?」
ハゼ屋「チャイってなんですか?」
という会話を目にした。チャイって一般的な言葉じゃないらしい。
私の記憶では、はじめてチャイという言葉を聞いたのは、大学時代、とある麻雀マンガ。いらない牌をを引いた時に、登場人物がチャイ!と言ってた。それを読んでた我々も、要らない牌を捨てる時にチャイと言ってた。
もしかして、あのマンガがチャイの起源? だとしたら、意味が分かる人は、限られるのかもしれない。
なんてつぶやいたら、団長もチャイってなに?と言ってたが。多くの人からは、幼児語と認識してた。関西の幼児語と認識してた。という声がでてきた。
もともと幼児語として存在していた表現が、あの麻雀マンガで採用されただけだったのか。でも、もしかしたら、あのマンガこそが起源で、それがある世代意向の幼児語に取り入れられた可能性もあるかも。
ってことで、誰か詳しい人教えて。あるいは調べて。どうやって調べるのか判らんけど。
ちなみに、問題の会話の少し前。ユムシを刻んで炒めた料理の説明で、おかんが若い学芸員にコテっちゃんみたいな感じ。と説明して、コテっちゃんって何ですか?と言われていた。これは世代と地域の違いなんだろうなぁ。
なんいせよ、年寄りは共通文化を前提として喋りがちだけど、若い世代にはぜんぜん通じなくて寂しい思いをする。それを契機に文化が伝わればいいんだろうけど。
●2022年7月15日 大阪市内ツバメの巣調査 東住吉区編
大阪市内を自転車で走り回ってのツバメの巣探し、第19弾は東住吉区。住吉区に続いて、時間がかかる区の御三家第2弾。なんとか今日も14時間以内に終わりますように、と祈るような気持ちで出発。
住吉区の東住吉区に近い場所に住んでるので、家を出て5分ほどで東住吉区に到着。住吉区と東住吉区の境目はちょっと分かりにくくて、スタート地点どこか分からず少しウロウロする。毎日のように通ってる場所なのに! ちなみに調査が終了した後は、3分で家に着いた。
とりあえず、10年前と今日の結果を比較
2012年7月11日 05:30-18:56(13時間26分):ツバメの巣は40ヶ所51巣
2022年7月15日 04:52-17:15(12時間23分):ツバメの巣は13ヶ所15巣
今日も調査時間という意味ではありがたいことに、調査は12時間ちょっとで終了。10年前より1時間ほど上早い。例によってコースは今回の方が細かめ、そして思ってたより田んぼは減っていない。ただ、ツバメの巣が激減したからだと思う。
ツバメの巣の数は、10年前の約7割減の29%。今回の調査で今の所一番ツバメの巣が減っている。田んぼが減ったからかと思ったけど、田んぼが残ってるのはもともと南東部の大和川に近いエリアで、意外なほど田んぼは残っていた。そして、このエリアのツバメの巣は、今でもけっこう見つかる。というか、田んぼの残っているエリア以外には、ツバメの巣はほとんど見つからない。10年前と比べると、矢田駅周辺や駒川〜針中野周辺のツバメの巣がほとんどなくなってしまった感じ。
曇ってて涼しかった。
東住吉区の住所表示は紺色。
西に長居公園がある以外は、おもに住宅地の区。西の住吉区との境界部が分かりにくい。矢田駅の南西エリア、長居公園の北の山坂辺り、今川、駒川、鷹合周辺などに古い住宅地が残っていて、今回も矢田の迷路で道に迷った。南北のアーケード商店街群が特徴的。東から北に抜ける今川のせいで、コースどりを少し悩む。
●2022年7月14日 大地のハンター展プレビュー前夜
誘致展としては珍しく、プレビュー前日遅くまで作業していた。
大地のハンターといいつつ、完全な水生の捕食者を除いているだけで、ワニやカエルも登場する。現生動物が中心だけど、化石種も出だしに登場する。ただしかっこいい恐竜はおらず、そもそも恐竜は1体だけ。食肉類ではない肉食性の化石哺乳類として肉歯類が展示されていて、興味深く拝見した。が、臼歯を除けば食肉類とそっくり。目を分けるほどなんだろうか?というのが素人の感想。
あとは、でかいワニの上半身の模型を除けば、剥製をめでる感じ。フィッシャー(でかいテン)とか、オオアリクイ(剥製のできはさておき)とかが気に入った。モグラはホシバナモグラがいるし、日本のモグラ類がセンカクモグラ以外そろってて、監修者のこだわりが面白い。
ただ、ライオンとシマウマでよく教科書に乗っている肉食者と僧職者の視野の違いが、鳥類で展示されてるのが気になる。フクロウ系とタシギ系でやってる。確かにこの2種だと、フクロウ系は両眼視のエリアが広く、視野は狭め。タシギ系は両眼視のエリアが狭く、視野が広い(ってゆうか360度見える)。ただ、捕食される側でも、目のつき方が変で、異様に視野が広いのがタシギ類。まあ、それは捕食を避けるためかもしれない。でも、フクロウ類の両眼視のエリアが広いのは、両眼視の為ではなく、顔盤を形成するためのむしろ結果。夜行性なので、視覚というより、むしろ聴覚で使って狩をすることの多い鳥だし。昼行性で飛んでる昆虫を捕獲するツバメ類では、両眼視のエリアが狭いことが指摘されている。鳥の視覚は左右の連携が薄いし、片目で、十分距離を把握して狩ができると考えられるんじゃなうかと思う。
そういえば、ツバメの展示がないなぁ。鳥の多くはハンターなのだけど、大地ではないからか、扱いが少なめで、偏よってると思う。
●2022年7月13日 新収資料展での担当ケースの展示完成
今週末から、2019年以来、久しぶりの新収資料展。この3年の大部分はコロナ禍で、新収資料ってなにがあったっけ? と思ったが、2年前に、みさき公園からホネを中心にたくさんの標本を寄贈していただいたことを思い出した。これは、新収資料展で展示しなくては、ってことで、みさき公園から寄贈されたホネを、各ケース3台に展示することに。
ところがである。鳥の巣と卵の特別展が終わって、片付けてホッとして、大阪市内のツバメの巣さがしに専念していたので、新収資料展をすっかり忘れていた。気づいたら他のケースがどんどん埋まってる。これは出遅れたと、あわててホネをセレクトして展示の作成に入る。
これまたうっかりしたことに、特別展に展示した鳥の巣の燻蒸のついでに、みさき公園のホネもけっこう燻蒸中。すでに燻蒸が終わったものの中から、展示するのを選ぶことに。プレス資料に寄贈前のトラやウマの頭骨の画像を出したので、それは並べる必要がある。
などと思いながらセレクトしたら、こんな感じになった。
・アジアゾウ:後足[m:821]2、尾椎、下顎 →尾椎の長さは各ケースにジャストサイズ。後足はパッドの説明、下顎は水平交換が説明できそう。
・肉食動物頭骨:ベンガルトラ、ライオン、カリフォルニアアシカ、ハンドウイルカ、カマイルカ →ライオンとトラの頭骨比較、ハンドウイルカとカマイルカの歯の数の違い(派が落ちないように吻にサランラップがまかれてるけど)。ハナゴンドウを出したかったけど、燻蒸中。
・植食動物の頭骨:チャップマンシマウマ、ロバ、ラバ、ミニブタ、キョン、アメリカビーバー、アカカンガルー →シマウマとロバの頭骨比較、寸詰まりのミニブタ、キョンかっこいい! アカカンガルー頭骨はやたらとあったんですよね。
もしかしたら、途中でハナゴンドウを追加かなぁ。
●2022年7月12日 膨れた電池パックの交換に伴う1〜2週間の携帯電話なし生活
少し前から、我が携帯電話が、メモリカードが刺さってないというエラーメッセージを出して沈黙するようになった。最初は携帯電話の開け方が判らず、再起動を繰り返していたら、動くようになって、そのまま使っていた。
だんだん再起動では復活しなくなった。教えてもらって携帯電話を開けてみたら埃だらけ! ともかくメモリカードを差し直したら動くいた。よかった。その時気づいたけどバッテリーパックが妙に膨らんでる。そのせいでケースにひびが入ってる。携帯電話がよく熱をもってるのはこのせいだろうか。
でも、動くからいいか。と思ってたけど、だんだん頻繁に裏蓋を開けてメモリカードを差し直さないといけなくなってきた。面倒。でも、そのまま使ってた。昨日もポケットに入れて、調査にでかけた。
調査から帰ってきてテレビをつけたら、膨れた電池パックは、爆発や発火の恐れもあるとかなんとかで、とても危険というニュースをしていた。とたんに怖くなって、すぐにバッテリーパックを買い換えようと出かけた。
その場で買い換えれば済むだけと思ったら、お取り寄せだった。携帯電話の機種が古いかららしい。そして、そもそもバッテリーパックを買い換える人は少ないかららしい。バッテリーパックを買い換えるようなタイミングの前に、携帯電話を買い換えるものらしい。携帯電話の買い換えをオススメされたけど、パッテリーパックを買い換えると言い張ってみた。すると、お取り寄せに1〜2週間かかるとのこと。
2時間ほど前まで、ポケットに入れて使っていたくせに、もう爆発が怖くて使えない。バッテリーパックは預けて帰ることにした。
という訳で、これから1-2週間は携帯電話のない生活。元々、ほぼテレビ付き時計状態だったので、さほど問題はない。テレビは我慢すればいいし、時計は…。時計はないと困るなぁ。で、慌てて時計の手配。
バッテリーパックが届いたら、お電話します、と言われた。面白いこと言うなぁ、と感心した。お電話はいまお亡くなりになってますけど? 仕方がないので、職場に連絡してもらうことにした。
【追記】
7月14日、バッテリーパックが届いた、と職場に連絡があった。1-2週間かかると言われてたが、3日で届いた。
3日だけの携帯電話なし生活。時間が判る、テレビが見れる、天気予報が判る、SNSに書き込める、買うべきマンガの最新刊が判る。やはり携帯電話があると便利。
●2022年7月11日 大阪市内ツバメの巣調査 住吉区編
大阪市内を自転車で走り回ってのツバメの巣探し、第18弾は住吉区。今回のツバメの巣さがしは、10年前と比べて、たいていの区で1時間くらい多めにかかってる。コースどりが丁寧だからだと思う。住吉区、東住吉区、住之江区は、10年前に13時間以上かかっている。午前5時から午後7時まで調査できるとすると、14時間がMAX。今回1日で調査できるか微妙なところで、無理だったら2日日程かなぁ、と心配していた。今日が御三家最初の住吉区。手際よく済ませたいけど、手を抜くわけにはいかないし、ドキドキしながらスタート。
住吉区に住んでるので、家を出たら、そこは調査地。それだけに出だしのコースどりが少し難しい。住吉区の比較的端っこに住んでいてよかった。調査終了地点も家の近所になるようにした。
とりあえず、10年前と今日の結果を比較
2012年7月10日 05:00-18:11(13時間11分):ツバメの巣は50ヶ所61巣
2022年7月11日 05:07-16:59(11時間52分):ツバメの巣は21ヶ所33巣
なんと、調査は12時間弱であっさり終了した。10年前より1時間以上早い。コースは今回の方が細かめなので、大きな原因はツバメの巣の数と、田畑が減ったからではないかと思う。記録するために停まる回数に直結するので。
ツバメの巣の数は、激減した。淀川区に次ぎ、城東区にならぶ前回比54%とほぼ半減。大阪市内でも数少ない水田のある区だが、10年前と比べると水田は3割減くらい。畑も減ってる。あと、ゴミ収集の関係かもしれないけど、住宅地をウロウロしているハシブトガラスが増えた。それがツバメの巣の減少と関係あるかも。
ちなみに、今回の調査では、商店のフード下にツバメの巣がほとんど見つかってこなかった。が、住吉区ではけっこう見つかった。あと、通り側から丸見えの巣も散見されるのも、他の区ではあまりなかったこと。激減したとはいえ、ツバメの巣が多い頃の様子を残している印象がある。
住吉区の住所表示はチョコレート色。チョコレート色は、西区と鶴見区に続いて3区め。けっこうレア。
大阪市内でも代表的な住宅地の区。南に大阪市大がある以外は住宅地だらけと言って過言ではない。大規模高層住宅群は少なめで、区画整理された住宅地が多め。ただ、大和川沿いの東側や、大阪市大の北側、西の住吉大社の北には、路地のある古い町並み、というか迷路が残っている。大和川沿いの西側には、孤立したっぽい住宅エリアが点在していて不思議。
●2022年7月10日 シジュウカラが増えたのに、メジロが増えていない理由
大阪市内のツバメの巣を探して、各区を自転車でウロウロ。シジュウカラはあちこちで見かける。しかしメジロはほとんどみかけない。この調査では大きな緑地には入らない(緑地にツバメの巣はないから)。そうした大きな緑地にはメジロがいる。
どうしてかなとは思っていたが、以前大阪市内の公園で繁殖する鳥を調べた方から、この点についてコメントを頂いた。
・カラスの捕食の影響
・シジュウカラとメジロの競合
という2つの意見があったりするらしい。
後者はなさそうに思う。前者はありそうに思う。でも、別の可能性がありそうな気がする。たとえば、メジロはまとまった緑地が必要、といった類いの両者の環境要求の違いのような。環境の中にカラスが含まれる可能性があってもいいけど。
●2022年7月9日 カルガモの営巣?
博物館のすぐ近くで、数日前からカルガモが営巣していると教えてもらった。最初に思ったのは、またまた〜。博物館のある長居公園には、大池があるけど、基本的に水鳥は冬鳥で、さっぱり繁殖しない。この30年弱に限れば、10年ほど前にアオサギが1巣営巣したのと、今年カワウの集団繁殖地ができただけ。大阪府のため池で繁殖する水鳥御三家、カルガモ、カイツブリ、バンが繁殖したことがない。
いずれも非繁殖期には、普通に見られるけど、繁殖期になるといなくなってしまう。カイツブリだけは、1980年代には繁殖してたと聞いたことがあるけど、その後は繁殖しない。水草あるし、島もあって繁殖できそうなのに、不思議とは思ってた、
あと、カルガモに関していえば、そもそも大阪府では、ため池には生息していてもあまり繁殖しておらず、むしろ河川で繁殖しているケースが多い。
そんな状況があるのに、博物館のすぐ近くで、カルガモが営巣だなんて。またまた〜。という反応も止むを得ない。でも、近くのことだし、一応見に行ってみた。大池ではなく、庭園のミニチュアのしつらえの中で座り込んでるという。行ってみたけど、池風になってるミニチュア庭園の周囲にカルガモいない。いないなぁ、とふと目を転じると、池風な中の島にカルガモが座っていた。かなり近いのに座り込んで逃げない。巣は見えないけど、抱卵中はまあこんな風に見えるもの。まだ、けっこう半信半疑だけど、抱卵しているようにしか見えない。これは驚いた。
もし数日前から抱卵しているなら、うまくいけば今月末には可愛いヒナが孵るはず。楽しみにしよう。
●2022年7月8日 大阪市内ツバメの巣調査 東成区編
大阪市内を自転車で走り回ってのツバメの巣探し、第17弾は東成区。浪速区に次ぐ狭い区。10年前は6時間ほどで調査完了。一番短時間で調査できた福島区とほとんど変わらない短さ。今回は10年前より時間がかかる傾向があるとはいえ、午前7時頃に初めても昼過ぎには終わるだろう。と、とても気楽に出発。
例によって、長居公園東筋を北上する。都島区から昨日の城東区まで、4区連続で縦断してきたので、スタート地点に行くのも気楽。家から行きは30分、帰りも35分ほど。近くて楽だ。
とりあえず、10年前と今日の結果を比較
2012年7月25日 05:50-11:55(6時間05分):ツバメの巣は8ヶ所9巣
2022年7月8日 06:52-15:41(8時間49分):ツバメの巣は7ヶ所7巣
10年前と比べて3時間近くも時間が多めにかかった。タイヤがパンクして、修理待ちに25分のロスタイムがあったとはいえ、時間がかかりすぎ。理由は不明。それでいて、見つかった巣は、ほぼ同じか少し減り気味。ここまで、10年前に見つかった巣の数が少ない区では、今回巣の数が増えたりしていたのに謎。
3日連続の調査は、今回の一連の調査で初めて。一番狭くて楽そうな東成区をぶつけたけど、やはり疲れ気味ではある。以降の調査は広い区が多いのもあるし、3日連続は無理、2日連続もできれば避けたい。
今日は割と曇っていて楽だった。お茶も4Lで足りた。
東成区の住所表示は青緑色。
全体的に住宅地なんだけど、東の方が区画整理されていて、縦横の分かりやすい街路になっているのに対して、西部や中央部は、古い町並みがけっこう残っていて、路地があったり、街路がややこしい。
●2022年7月7日 大阪市内ツバメの巣調査 城東区編
大阪市内を自転車で走り回ってのツバメの巣探し、第16弾は城東区。畑は少しあるけど、水田はない。調査すべき面積は、鶴見区より広いかもしれないが、かなり楽。
長居公園東筋を北上する。都島区や旭区にいくときは、城東区を実質縦断していたので、ようやく調査か、って感じ。実際、縦断時点で見つけていた巣があって、コース設定ではケアしてしまった。行きは40分でスタート地点に到着。帰りは例によって、右側の歩道を走るので、55分ほどかかった。
とりあえず、10年前と今日の結果を比較
2012年7月5日 07:10-17:50(10時間40分):ツバメの巣は21ヶ所24巣
2022年7月7日 05:06-16:49(11時間43分):ツバメの巣は11ヶ所13巣
10年前と比べてほぼ半減。一番減少率が大きかった淀川区に迫る勢いで、港区や此花区に近い。10年前より、細かく見てるし、時間もかけてる。ツバメの巣を見つけるスキルは、今の方があると思う。だから巣は減ってるんだろう。
連日の調査だったので、朝出かける時は、足の疲れが明らかにとれてなかったし、固いサドルで尻が痛いままだし、軽く吐き気かなにかする。そして早朝で寝不足。でも、調査をしてたらすべて直った。調査終了時点では、昨日よりも、足はだるくないし、お尻も痛くない。慣れてきたというか、体力がついたというか。
昨日より今日は暑くて、大阪市の最高気温は35℃弱。暑さという意味では、35℃超えなければ耐えられそうだけど、飲み物を切らさないことが条件。切れると汗がとまり、水冷が効かない。とくに凍ったムギ茶は神。神なくして調査は不可能。コンビニは神が座す場所なので、頻繁にお参りを繰り返す。あと、公園の公衆トイレで頭を濡らすと効果的。お茶は5L飲んだ。昨日は4.5Lだったので、記録更新。
城東区の住所表示はメジロ色。
南西部にJRな感じを含めて立ち入りにくいエリアはあるが、他はおおむね住宅地。東西南北の街路がはっきりあって、調査しやすい。
●2022年7月6日 大阪市内ツバメの巣調査 鶴見区編
大阪市内を自転車で走り回ってのツバメの巣探し、第15弾は鶴見区。ここは田んぼは多いし、ツバメの巣も多いので、日没までに終わるか緊張のスタート。
だから早くスタート地点に行きたいのに、前日の地図の確認が甘くて、鶴見区につくまでにうっすら迷う。例によって、長居公園東筋を北上して、森ノ宮のところで、東へ曲がり、深江橋を北へ。のはずが、うっかり緑橋を北に行ってしまった。途中で間違いに気づいてよかった。でも、スタート地点まで50分かかった。
ちなみに帰りも迷った。長居公園東筋を南下してるつもりが、今里筋だった。なんか変と思って途中で、西に行ったのが間違いであった。帰って遠回りして、帰りは1時間10分もかかった。
とりあえず、10年前と今日の結果を比較
2012年7月4日 06:11-17:02(10時間51分):ツバメの巣は34ヶ所43巣
2022年7月6日 05:09-16:44(11時間35分):ツバメの巣は25ヶ所32巣
10年前と比べて地点数で約3減。これは調査時間が減少しそうなものなのに、調査時間は多めにかかった。それでも、今回の調査で一番ツバメの巣が多かったんだけど。1箇所にいくつもある場所があったり、すごい露出した場所にも巣があったり、他の区と少し違う雰囲気。
水田の方も、10年でやはり3割ほど減ってる感じだった。ツバメの巣の減り具合に似てるけど、関係があるんだろうか? いままさに田んぼを宅地化工事中とか、以前は田んぼだったのに、という場所もいくつかあった。
今日も一瞬だけ大雨が降って、マンションの自転車置き場で、5分雨宿り。少し雨宿りに慣れてきて、これはまずいと思って雨宿ったらすぐに豪雨になった。
鶴見区の住所表示はチョコレート色。
南は、新しめな住宅地で、街路は縦横にわかりやすい。北の中央にでんと鶴見緑地があって、その西と南はおおざっぱな感じ。ただ、鶴見緑地に西側の古い住宅地にツバメのルースコロニーがあった。もう一つツバメの巣が多いのは鶴見緑地の東側。このエリアは古い住宅地が残り、水田も多い。ただ高速道路より東は、大幅に変わっていてかつての面影はない。というのは10年前からだけど。
もう一つ特筆すべきは、南東部の徳庵周辺。古い街路が残っていてややこしく、地図を見ても道に迷う。そして東大阪市との境目がわからない。ここは10年前も迷いまくったが、今回も迷った。それでいて、市境ギリギリに巣があるんだな。
帰り道、放出のところで第2寝屋川を越えるのが疲れる。
●2022年7月5日 博物館法改正の話
そんな話を聞いた。話し手は、博物館法改正に向けての議論にそれなりに参加し、それなりに提言してきた一味の一人。改正の意図と残された課題って感じの話だった。気になった点だけピックアップしておくと、
かつては、登録博物館に予算上のメリットがあったが、そのメリットが失われて久しい。登録博物館になるメリットを設定する必要がある。という問題意識から、登録博物館のあり方に手をつけた。が、
今回の改正では、私立や地方独立行政法人などが運営する博物館も、登録博物館になれるようになっただけ。メリットは、いわばステイタスのみ、というのは今までと同じ。まあ、標本受け入れがらみの法的メリットはあるけど。
登録博物館になるかどうかは、任意団体がNPO法人になるかどうか、の議論と相似形。ステイタスとしてのメリットを、これから作り上げていく必要がある、とでもいうか。
今回、博物館法が改正されたが、その他の社会教育関連の法律は手付かず。そもそも文科省に社会教育法を担当する部署はあるが、社会教育と銘打った部署はなくなった。社会教育が役所的には無くなった感じ。
博物館は社会教育施設なので、社会教育全体の弱体化が、むしろ問題。
観光資源としての位置付けばかりが、強められている状況に、どう対応していくかを考えざるを得ない感じ。
今回の博物館法改正では、学芸員資格には手をつけなかった。博物館、大学、博物館学研究者の意見のすり合わせが難しい。
艦種ごとに、館ごとに、専門によって、学芸ん一人一人でも、学芸員の仕事は多様で、専門性もさまざま。それを一つの資格でカバーするのは無理。結果として、学芸員としての能力を保証できる資格になっていない。学芸員を育成できていない。
学芸員だけが持つべき資格というより、博物館の経営者、事務方をむ含め、学芸員以外が持つべき資格と再定義した方がいいのではないかという指摘は、なるほどと思った。
●2022年7月4日 大阪市内ツバメの巣調査 旭区編
大阪市内を自転車で走り回ってのツバメの巣探し、第14弾は旭区。スタート時は曇だったのだけど、途中で小雨が降ってきた。この調査は雨でも平気、荷物は前かごのビニール袋に入れておけば濡れないし。と思ってたら、急に雨が強くなる。雨でもツバメの巣は探せると思っていたけど、雨が強すぎると巣が見えない。そして自転車で走ると目も開けられなくなった。やむなく高架下で雨宿り。全身ずぶ濡れで寒かった。思わず熱いお茶を買った。でも熱中症の心配はしなくて済んだ。お茶は2L。
前日に地図を見て、長居公園東通を北上して、京橋過ぎても北上すれば、城北筋に到着して調査スタート。と思って出発したのだけど、長居公園東通を北上し続けると、城北筋の一つ西の筋に入ってしまうんだな。途中でおかしいな、と気づいて修正できてよかった。家からスタート地点まで約50分。帰りは例によって1時間かかった。
とりあえず、10年前と今日の結果を比較
2012年7月2日 08:25-16:02(7時間37分):ツバメの巣は8ヶ所9巣
2022年7月4日 06:06-15:38(9時間32分):ツバメの巣は6ヶ所8巣
10年前と比べて2時間も余計に時間がかかってる。が、巣は微妙に少ない。
雨宿りは2回で合計20分。
旭区の住所表示は紺色。
南の旭公園周辺と、北の城北公園から常翔学園周辺が、大雑把な感じだけど、他はだいたい普通に住宅地で、縦横の街路がはっきりしていて行ったり来たりはしやすい。ただ、北東側の守口市との境目は、道路1本で分かれるどころか、住宅の並びの途中で守口市になったりして、わかりにくい。ツバメの巣があった!と思ったら守口市、ということが2回ほど。ツバメの巣を支える台を見つけたのに、巣がないということも数回。かつてはもっとツバメがいた?
正直、太子橋辺りは、守口市にあげたらいいのに。と思ったりした。
●2022年7月3日 燻蒸テントを埋める
収蔵庫に標本を入れる前に、虫に食われる系の標本は燻蒸を行って、虫を殺す作業をかます。かつては、化学薬品で燻蒸していたが、近頃は冷凍燻蒸が主流になっている。が、今回寄贈いただいた鳥の巣は、多すぎて冷凍室に入りきらない。全部を冷凍燻蒸するにはめっちゃ時間がかかりすぎる。ってことで、別途業者に燻蒸を依頼することになった。
すると出てきたのが、簡易テントの中に標本を入れて、二酸化炭素での燻蒸。2週間ほどかかるらしい。部屋の中にテントを立てるけど、万が一二酸化炭素が漏れてたら、命に関わるので、2週間の間、原則としてその部屋には立ち入り禁止。
見積もりをとる際に一番のネックは、梱包した状態で、鳥の巣がどのくらいの分量になるか。試算では、もともと収まっていたKさんの主屋の4部屋を考えれば、30平方mあれは十分。でもきちんと梱包できるか判らない。といったら、6m×9mの54平方mで設定してくれた。そこに鳥の巣入れてみたら、30平方m弱で足りてしまった…。やっぱり。
テントの面積を減らしても値段は、今更安くならない。なので、余ってるスペースに、燻蒸の必要なものを詰め込むことにした。
冷凍燻蒸と二酸化炭素での燻蒸の大きな違いは、二酸化炭素では密閉していたら燻蒸できないこと。ドイツ箱は開けてくれということになって、昆虫分野が脱落。地学系はそもそもあまり関係ない。動物でも液浸標本は関係ないので、鳥類・哺乳類以外には、植物が参入するのみ。そして、植物、鳥類、哺乳類は、冷凍室のスペースの都合で、燻蒸待ちが大量になったので、これ幸いと詰め込んだ。といっても鳥の巣、植物、鳥類・哺乳類で三等分のイメージ。
追加した鳥類と哺乳類には、ラクダの皮、ペリカンの全身骨格といった、大きすぎて冷凍室に入らないの。みさき公園から寄贈されたホネ、O高校から寄贈された剥製・骨格、K高校から寄贈された大型剥製などなど、まとめて受け入れた大物。キツネやタンチョウなどの本剥製、干したままになっていた毛皮と仮剥製。旧実習室、生物実験室、実習室を占拠していたものを全部ほうり込めた。
燻蒸終わったあと、どこに片付けるか問題はあるけど、とりあえずあちこちの部屋が片付いて、とても嬉しい。
●2022年7月2日 熱中症警戒アラートで行事中止
昨年から、熱中症警戒アラートというのが発令されるようになった。熱中症のリスクが高ければ、行事中止という対応も必要だよね。って話になった。で、暑さ指数(WBGT)の予測値が、31以上になる地域・時間帯での行事は中止にすることになった。環境省のサイトで赤色表示で”危険”とされる数値なので、この判断は妥当だろう。
過去の暑さ指数の数字を見ると、該当しそうなのは、7月末から8月のお盆過ぎくらいまでの行事が中止になりそうだね。などと話していたのが昨年のこと。
ところが今年は梅雨が早々と開けてしまい、まだ6月下旬なのに雲行きがあやしくなり、今日は、さっそく適用第1号で、行事が2つ中止になった。
というのは、博物館行事(及び友の会行事)の話だけど、関わってるサークルの野外活動も、その基準に準じるしかない。なので、今日の鳥のサークルの観察会も中止。まあ、とても暑そうだったので、中止にして正解な気はする。
あまり深く考えずに、鳥のサークルは、熱中症警戒アラートが大阪府に出たから中止と宣言した。博物館は暑さ指数の予測値ベースなので、少し違う。どっちがいいかは、けっこう微妙。
熱中症警戒アラートは、都道府県単位に発令される。発令されたら、しばらく解除されないというか、判断はぶれない。
一方、暑さ指数は、都道府県内の地域ごとに測定・予測される。大阪府なら、能勢、枚方、大阪、生駒山、堺、熊取の6箇所。より細かく対応できる。ただ、今日の行事にからんで、前日夕方からずっとモニタリングしていたが、予測値は次々と変化する。今日の行事の場合、能勢が最寄りだったが、昨日の午後5時には31を超え、午後7時には超えておらず、今朝は再び超えていた。いつの時点での予測値を採用するかで、対応が変わってしまう〜。
ちなみに暑さ指数は、生駒山はまず31を超えない。能勢はしばしば超えるのに。夏の行事は生駒山地がオススメなのである。
●2022年7月1日 2022年6月のまとめ 鳥の巣と卵展の片付け終了 &大阪市内ツバメの巣さがし
どうなるかと心配していた鳥の巣の片付けがなんとか終わった。6月19日に特別展が終わって、翌日から片付け開始。巣を並べるのに1週間かかったけど、撤収も負けないくらい時間がかかった。やっぱり大変だったのは鳥の巣の梱包。同時に心配していたのは、一緒にもらってきたケース類。でもそれもなんかなった。燻蒸の段取りも決まって、なんとかなりそうで、一安心。あとは収蔵庫に無事に収まるかどうか。これまたやってみないと判らないけど、梱包された鳥の巣が積み上がったのを見る限り、なんとかなりそうな気はする。
月末まで特別展の撤収を覚悟していたが、月末に2日間でも、ツバメ調査に出かけられたのは大きい。
そんな、2022年6月を振り返ってみよう。
ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。
奈良県1コースと京都府2コース(1日で調査するけど)のハッカチョウセンサスも実施。
大阪市24区を自転車でめぐってのツバメの巣さがしは、特別展会期末までに5区、撤収作業完了後に2区実施できた。ツバメ調査のついてに、大阪市内の公園で繁殖する鳥の調査も実施。6月末時点で、残り1箇所になった。
地元公演のカラスの巣チェックはすっかりご無沙汰。
ホネホネ団の活動は、1日だけ。
特別展で展示した鳥の巣は、この機会に寄贈いただいたが、片付けで精一杯で、登録作業には手をつけられず。収蔵庫に治ってからの作業になる。
普及行事は、ジュニア自然史クラブ、カエル観察会、地域自然誌シリーズと順調に実施。
特別展関連では、子供ワークショップにツバメハカセとして登場すること2日間。ギャラリートークすること2回。普及講演会の司会も担当した。
大阪鳥類研究グループの観察会も 無事に実施。読書サークルも対面で集まれた。
講演は0件。委員会も0件。
月末が締め切りの査読が1本あるけど、持ち越し。催促が来始めた。論文は書けてないし、原稿も書いてない。
とにかく特別展が片付けられてホッとした。段ボール職人さんがいてくれて助かった。
とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系4冊と、SF0冊。
完全休養日はなし。