日記風覚え書き
2022年10月、11月、12月
(2005年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2006年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2007年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2008年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2009年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2010年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2011年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2012年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2013年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2014年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2015年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2016年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2017年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2018年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2019年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2020年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、
2021年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月、2022年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月)
●2022年12月31日 この一年に買った本
大晦日恒例、この一年に買った本を振り返ってみる。
以下の集計は、国内で本を現金で購入した場合に限る。海外の本を買ってクレジット決裁した場合は含まない。学会や研究会の会費を払って学会誌や会報を入手するのも含めない。
2022年に買った本は、279冊。購入金額は280,386円+税。冊数、購入金額ともに直近10年ほどのほぼ平均的な数字。
購入した本をタイプ分けしてみると、
・自然史関連本:36冊、52,700円+税
・SF関連:95冊、133,944円+税
・ライトノベル:2冊、1,840円+税
・その他小説など:0冊、0円+税
・マンガ:146冊、91,902円+税
冊数・金額ともに、どのカテゴリーも昨年と似た数字。そして、ここ数年の平均的なレベル。
今年読んだ本の数を数えてみると。自然史関連本41冊、SF関連51冊、ライトノベル2冊、その他小説0冊、マンガ130冊(マンガの冊数は、購入冊数から未読冊数増加分を引いた冊数から推定。2022年末の未読冊数は75冊)。合計224冊(マンガ抜いたら94冊)。今年買った本を読んだとは限らないのだが、読破率(一年に読んだ本/買った本の割合)は、80%(マンガ抜いたら71%)。買ったはいいが読んでないマンガが昨年より増えた。が、読んでないSFの方が増えたらしい。タイプ別の読破率は、自然史関連本114%、SF関連54%、マンガ89%。マンガの読破率は昨年並みの一方で、SF関連の読破率がとても低くなった。
総括としては、昨年に続き今年も自然史本とマンガ以外の本、つまりSFが読めなかった。SFは、2018年に200冊を達成して依頼、年々読めた冊数が減ってきて、2017年並みに戻ってしまった。マンガは昨年よりは減ったものの、購入数が多く、読んだ冊数も多かった。自然史関連本は、昨年に続き購入冊数よりも読んだ冊数が多い。
家の中を眺めると、本棚が自然史関連本2本、SF+ライトノベル5本、マンガ2本。SF+ライトノベル5本の未読の本棚1本。というのは変わらないが、マンガは棚の上に平積みしはじめ、SFも棚の隙間に平積みしはじめた。
<過去のデータ>
◆購入本
・合計
2006年:145冊、188,207円+税
2007年:144冊、197,299円+税
2008年:106冊、132,534円+税
2009年:131冊、181,830円+税
2010年:181冊、196,027円+税
2011年:127冊、172,199円+税
2012年:166冊、147,826円+税
2013年:164冊、201,353円+税
2014年:206冊、307,024円+税
2015年:199冊、265,288円+税
2016年:246冊、296,764円+税
2017年:327冊、318,520円+税
2018年:356冊、342,301円+税
2019年:277冊、287,916円+税
2020年:238冊、238,521円+税
2021年:293冊、265,521円+税
・自然史関連本
2006年:42冊、83,087円+税
2007年:56冊、96,431円+税
2008年:37冊、72,764円+税
2009年:56冊、99,396円+税
2010年:52冊、103,247円+税
2011年:46冊、104,819円+税
2012年:49冊、80,138円+税
2013年:38冊、83,039円+税
2014年:70冊、156,011円+税
2015年:56冊、123,409円+税
2016年:67冊、145,430円+税
2017年:58冊、95,399円+税
2018年:32冊、63,366円+税
2019年:26冊、40,093円+税
2020年:17冊、26,140円+税
2021年:32冊、50,897円+税
・SF関連
2006年:60冊、74,240円+税
2007年:61冊、78,780円+税
2008年:52冊、60,470円+税
2009年:56冊、66,230円+税
2010年:38冊、41,140円+税
2011年:50冊、45,627円+税
2012年:62冊、65,320円+税
2013年:69冊、81,750円+税
2014年:89冊、130,210円+税
2015年:86冊、104,140円+税
2016年:90冊、98,575円+税
2017年:97冊、117,410円+税
2018年:153冊、176,042円+税
2019年:142冊、150,510円+税
2020年:111冊、144,784円+税
2021年:89冊、121,080円+税
・ライトノベル
2006年:14冊、9,282円+税
2007年:12冊、8,740円+税
2008年:7冊、6,494円+税
2009年:5冊、4,440円+税
2010年:6冊、4,564円+税
2011年:7冊、6,004円+税
2012年:5冊、4,378円+税
2013年:5冊、5,150円+税
2014年:2冊、1,800円+税
2015年:5冊、6,200円+税
2016年:4冊、4,700円+税
2017年:5冊、4,040円+税
2018年:7冊、4,480円+税
2019年:3冊、2,180円+税
2020年:1冊、610円+税
2021年:3冊、3,000円+税
・その他小説他
2006年:6冊、8,743円+税
2007年:7冊、8,253円+税
2008年:3冊、4,700円+税
2009年:4冊、6,200円+税
2010年:4冊、5,000円+税
2011年:4冊、4,300円+税
2012年:5冊、6,425円+税
2013年:3冊、6,000円+税
2014年:1冊、2,800円+税
2015年:2冊、2,530円+税
2016年:3冊、3,000円+税
2017年:1冊、1,400円+税
2018年:1冊、570円+税
2019年:0冊、0円+税
2020年:0冊、0円+税
2021年:0冊、0円+税
・マンガ
2006年:23冊、12,855円+税
2007年: 8冊、5,095円+税
2008年: 3冊、1,554円+税
2009年:10冊、5,564円+税
2010年:81冊、42,076円+税
2011年:20冊、11,449円+税
2012年:45冊、26,104円+税
2013年:49冊、25,414円+税
2014年:44冊、28,605円+税
2015年:50冊、29,009円+税
2016年:82冊、45,059円+税
2017年:166冊、100,271円+税
2018年:162冊、97,843円+税
2019年:106冊、63,933円+税
2020年:111冊、66,987円+税
2021年:169冊、90,544円+税
◆読んだ本(冊数・読破率、ただしマンガ込み)
2006年:84冊、58%
2007年:101冊、70%
2008年:69冊、65%
2009年:76冊、58%
2010年:106冊、59%
2011年:74冊、58%
2012年:81冊、49%
2013年:96冊、59%
2014年:97冊、47%
2015年:96冊、48%
2016年:167冊、68%
2017年:246冊、75%
2018年:380冊、107%
2019年:275冊、99%
2020年:204冊、86%
2021年:269冊、91%
●2022年12月30日 2022年のまとめ 特別展主担当、フェスティバル主担当、漂着クジラの対応、そしてハードな調査もあって盛り沢山
今年の1月の予言を思い返そう。
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お出かけ予言だけど、例年2回の学会の分と、友の会合宿の分を予言してる。そもそもコロナ禍継続設定で予定が組まれているので、友の会合宿は和歌山県と奈良県と近場ばかり、春の学会はリモート実施。という訳で、11月に北海道に行くであろう。ついでに、近場だけど、5月に和歌山県御坊市周辺に行き、8月に紀伊半島の真ん中辺りに行くであろう。
イベント予言は、4月末から6月前半に大阪で、鳥の巣をいっぱい並べた展示があるだろう。あと、11月には大阪で、自然史関連の大きなイベントが開かれるだろう。2年連続で4月末から6月頃は緊急事態宣言が出て、臨時休館になってるから、この予言がどうなるかもかなりあやしいけど。
調査系予言だけど。5年ぶり6回目の、大阪市内の公園で繁殖する鳥の調査が実施されるだろう。あと10年ぶり2回目の大阪市内のツバメの巣分布調査が行われるだろう。前半は外れないが、後半は体力的にできるか心配。
執筆系予言としては、日本の鳥の巣と卵についての解説書が出版される。日本最大の鳥の巣コレクションの収蔵資料目録も出版される。この2つは絶対に外せない。
あと、今年は1年に100冊以上の本を読むだろう。と予言してみるけど、超忙しく、執筆モードなので本はあまり読めないかも。そもそも出だしから読めてないし。
そして、可愛いネコと暮らすようになるだろう、予言しておこう。ほぼ確実にハズレるけど。
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コロナ禍は終息せず、外れるだろうなぁ、と思いながら予言したけど。お出かけ予言は、別の理由で完全に外れた。一方、想定外にイベント予言と調査予言は完全に当たった。絶対に外せないはずの執筆系予言は、解説書しか当たらず…。そして、本は予言の半分しか読めず、ネコには出会えず。頑張ったけど、寂しい一年という感じ。
ってことで、今日は晦日なので、今年のまとめをしておこう。
<調査>
ため池調査、大和川調査というルーティンの調査は、一年間ちゃんとクリアした。地元公園での、秋冬の果実チェックと鳥のセンサス調査、春から初夏のカラスの巣調査も例年通り実施。
外来生物調査では、ハッカチョウとヌートリアの情報は順調に集まっている。奈良県と京都府でのハッカチョウのセンサス調査は継続中。
繁殖期には、大阪市内の公園で繁殖する調査はもちろん、大阪市内のツバメの巣さがしも完遂することが出来た。
<行事・展示>
新型コロナウイルスのため、2月と3月は、対面行事がとまったけど、その後は普通に実施できた。
3年ぶりに、大阪自然史フェスティバル2022を対面で実施。再起動は成功した。
3年ぶりに、主催展「日本の鳥の巣と卵」展が予定通りの日程で実施できた。今年の前半はその準備と実施と片付けに費やされた。その後の燻蒸も加えると、8月まで作業してた。ほぼ鳥の巣まみれの一年といっても過言ではない。
<サークル>
なにわホネホネ団は、2月と3月以外は、予定通り実施できた。が、今一つ処理点数は増えず。とくに2月と3月がとまったので、皮処理の停滞が痛い。
大阪鳥類研究グループも2月と3月は中止で、3月の総会はリモート。4月以降は普通に活動できたし、調査もできた。
ジュニア自然史クラブが、2月だけ活動がとまっただけで、あとは3年ぶりに普通に展開できた。
友の会読書サークルBooksの活動は、2月だけZoomミーティング。あとは対面で実施できた。大阪自然史フェスティバルがあったので、冊子を作成して配布した。
博物館友の会は、2月と3月以外は観察会が実施できた。が、飲食を伴う合宿と懇親会は中止。総会も講演会のみに縮小してリモート。秋祭りやバックヤードツアーは、人数や感染対策を気にしながら、実施した。行事が復活したおかげか、会員数が2020年レベルに戻った。
関西自然保護機構の運営は、総会はリモート実施にしたが、現地見学会は対面で実施できた。
<標本>
冷凍室で担当の物が占めるエリアは、昨年末レベルから押し返せていない。かなり危機的。ちなみに冷蔵室は年末に片付けた。動物園の鳥と、海で拾われた腐った鳥の処理、哺乳類の皮処理が課題。
ニタリクジラの続きを回収してきた。昨年回収したものは、おおむねホネになって、水漬け中。
<原稿>
某大阪支部の会報(隔月刊)への連載は継続中。
瀬戸内海・播磨灘・大阪湾の海鳥データで自然史研究を書きたいが進んでいない。鳥の巣関連で、解説書、収蔵資料目録、自然史研究を出さないといけないが、できたのは解説書だけ。
<その他>
・学会大会は、リモートの日本生態学会大会は特別展のプレッシャーに負けて参加しなかった。対面の日本鳥学会大会は、北海道と遠方で、フェスティバルのプレッシャーに負けて参加しなかった。昨年の反動か、今年は1つも参加できず、発表できずだった。
・弁当づくりは継続中。
・独りぼっちも継続中だけど、今年もあまり本が読めなかった。コロナ禍になって、本が読めなくなった。過去2年は意欲の問題だったが、今年は鳥の巣と卵展解説書執筆モードと、ツバメの巣探しの疲れのせいじゃないかと思う。
●2022年12月29日 標識調査2022
毎年、仕事納めの日から大晦日までの4日間、地元の公園で標識調査をするのが恒例になっている。昨年末は休園して工事していたので、出入りがややこしかったし、いろんな人が出入りしていて、そのためトラブルもあった。今年は、その工事の成果のおかげで、年末年始も夜はずっと、ある意味開園している。
という訳で、例年通り標識調査できるか心配したが、結果的には大丈夫だった。ただ、今まで20年以上使っていた網場は、夜の企画に呑み込まれてしまったので、網場を移すことに。この標識調査は、ヒヨドリをターゲットに、大きめの網目の網を、ツバキ園に仕掛けてきた。過去のデータとの比較を考えると、ツバキ園から離れたくない。ということで、少し北東にずらして、ツバキ園及び夜の企画の端っこに網を張ることに。
とりあえず、この場所で問題ないか打診したけど、なんの返答もない。返事がないのはOKなんだろう。ということで標識調査を実施。夜の企画をしている時間帯は、網を閉じて置く方が良さそうなので、午後5時から午後9時半まで網を閉じる。午後9時半を過ぎたら、網を広げにいかないといけない。毎日面倒。面倒だけど、早朝にやってきて広げる方が大変なので、やはり夜に広げたい。年末なのに、毎日帰るのが遅くなる。
今シーズンは果実は不作よりの年で、ヒヨドリ多め、いっぱい捕れる予定。ただ、予定よりも果実はなってるし、ヒヨドリはさほど多くない。あまり捕れないのかなぁ。
初日の28日捕れたのは、モズ1羽、ヒヨドリ4羽、メジロ1羽。29日には、ヒヨドリ3羽。なぜか朝一番しか鳥が捕れない。天気はいいし、風はない。少なくとも昼間は網場周辺をウロウロしている人はいない。朝一番に捕れるのだから、網場も問題なさそうなんだけど不思議。おかげで、年末の作業が進むけど。
●2022年12月28日 年末恒例仕事収まらず2022
今年も世に言うところの仕事納めの日がやってきた。年内にすべき仕事は、今日の夕方時点ですべてこなされているはずの日である。コロナ禍になって3回目の年末。今年も忘年会はなかった。というか、宴会が一切なくなって3年が過ぎた感じ。
とりあえず、2週間ほど前に決めた今年の目標が、どの程度クリアされたか、という恒例の確認をしたいと思う。この年末は、例年並みにあげたけど、割とクリアできそうな予感がしていたわけだけど…。
調査系:5つの内すでに3つをクリア。残る2つも現在進行中で年内に終了予定。リストに挙げなかったカラスの巣のチェックは例によって年内は無理そう。先見の明があったというか。
標本整理系:3つあげて、1つクリア。残る2つも進行中。1つは年を越すのが例年のパターンで、年明けそうそうには終わる。あげなかったけど、肉の処理というが入ってきた。年内に済ませたい。
データ整理系:いろいろあるのに1つだけあげた。できてない…。無理っぽい。
原稿系:1つあげて、クリアした。校正まで済ませた。
サイト系:4つあげて、まだクリアしたのは1つだけ。もう1つくらいはクリアしたい。頑張ってもう1つ程度か?
展示系:なし
講演系と行事系:すでに終わってた。
サークル系:2つあって、2つとも終わった。
雑用系(仕事):2つあげて、すでに両方クリア。
雑用系(個人):2とも残ってるけど、なんとかなる。
というわけで、仕事納めに必要な20項目の内、すでに10項目もクリアしてる。達成率50%。この時点での達成率としては、かなり高い。史上最高かもしれない。今年中にあと6項目はクリアするので、4項目残して年を越す予感。それは例年並み…。
【2022年12月31日の追記】
調査系の残る2つと、標本整理系の1つをクリア。雑用系の2つもクリア。サイト系は2つクリアできた。あと1つにも手を付けたけど終わらず。予定通り達成率85%。達成率がかなり高い。
●2022年12月27日 2022年末の皮なめし作業 &冷凍室・冷蔵室の状況
だいたい年末年始の時間のある時、というより部屋を広く占領できる間に、皮を広げて干して、なめし作業をする。というわけで、年末年始頃に処理した皮は、一年近くなめし液に浸かっていたりする。長らく放置してあったが、きちんとフタをしていたからか、あまりカビは生えなかった。
で、今年は昨日12月26日に、なめし液から皮を出してきて、洗って、新聞紙の上に広げた。今回出したのは、偶蹄類1枚、食肉類3枚、有袋類1枚の合計5枚だけ。種別だと、テン2枚、アシカ1枚、ヒツジ1枚、カンガルー1枚。
2020年は31枚(食肉類22枚、偶蹄類2枚、齧歯類6枚、ハイラックス1枚)、2021年は9枚(偶蹄類4枚、食肉類4枚、走鳥類1枚)よりさらに少ない。なめし作業は楽そうだが、冷凍室が困ったことになる。
干して2日目の今日は、朝新聞を替えただけ。今日と明日は、部屋の一部が使用されるので、机2台にまとめた。
それじゃあ、冷凍室の状況はどうなってるかが気になるところ。
そもそもコロナ禍で、2020年・2021年に充分になにわホネホネ団の活動ができず。とくに皮処理があまり進まなかった。その結果、この秋から顕著になったのは、冷凍室がパンパンになってしまったこと。
魚担当が真面目に標本を集め出したので、一時保管の魚が入るようになったことも関係はあるが、文句をいう筋合いではない。あと、昆虫などが処理されず溜まってきてる部分もある。
が、その状況を把握するにも、パンパン過ぎて動きがとれない。まずは自分が頑張って片付けないといけないのは、間違いない。
とりあえず2022年末の状況を記録しておこう。ちなみに1テンバコは、おおよそ40cm×60cmの床面積を指す単位である。
冷凍室の奥の方はさておくとして、手前の方を見てみる。
・手前左側の2テンバコは、ほぼ昆虫とキノコが積み上げられている。少し鳥の死体が混じる。
・手前右側の2テンバコは、哺乳類の皮と処理待ちの哺乳類の死体や中身。
・中央奥側の1テンバコは、鳥と哺乳類が積み上がっている。
・手前中央の1テンバコは、半分くらいが空き空間。その下には、トリ先生の箱が4つほど、そしてサルが2箱、あとは鳥の死体。トリとサルは年度内には処理される予定
昨年末と比べると0.5テンバコ後退している。
(棚の中身はさておき)埋まっているエリアは、
・処理中の哺乳類の皮:8テンバコ
・処理中の哺乳類中身+新着中型哺乳類:1テンバコ
・動物園からの鳥+傷んだ海鳥:4テンバコ
・その他の鳥:2.5テンバコ
・主に昆虫・キノコ:1.5テンバコ
・サル、トリ:0.5テンバコ
このカウントには入ってないけど、入口右手前のイタチ類の2テンバコ分の上1/3は魚になってる。
課題は同じで、
・鳥類の課題は、動物園から来た大量の鳥と、大量の傷んだ海鳥。
・哺乳類の課題は、皮の処理。
ついでに冷蔵室は、
→昨年度処理した皮1箱は出した。
→砂場や水漬けのホネはセットして消えた。
←今年度処理した皮を2箱入れた。
★肥料にする肉がいっぱい残ってる。
★実習用らしい昆虫化石が1箱ある。→担当者に確認。
●2022年12月26日 ハタネズミ復活からコミミズク祭りの跡
2013年の台風で、淀川が増水して、高水敷が水に浸かったことがあった。高水敷のグラウンドやゴルフ場は大打撃を受けた。残念ながら、そのほとんどは元に戻ってしまったが、島本町の高水敷にあったゴルフ場だけは廃業した。放棄されたゴルフ場は草地に戻っていった。
で、驚いたのは、次の年。たくさんのハタネズミが生息するようになったという。大阪府でハタネズミは絶滅危惧種。というか、この時点でハタネズミは長らく記録がなく、大阪府では絶滅したのでは?と思っていた。それが復活したのだから、台風さまさま。
さらに驚いたのは、おなじ2014年度の冬。おそらくハタネズミを狙って、たくさんのコミミズクがやってきた。それを撮影するために、さらにたくさんのカメラマンも土手に並んだ。コミミズクは10数羽、カメラマンは、その10倍以上と言われた。
2015年度の秋に、ゴルフ場跡地に行ってみた。良い感じの草地が広がっていた。ハタネズミはこういう場所にいるのかぁ。それじゃあ、もう大阪府で生息できそうな場所ないかも…。ここがずっとあるといいけど。
コミミズク祭りは、2014年度に続き、2015年度も開催。たしか2016年度もやってたはず。コミミズク撮影するついでに、けっこうキツネが撮影されていたのは、思わぬわけでもないけど、ありがたい副産物。
が、その後、コミミズクは来なくなった。と思う。あまり聞かなくなったから。
という訳で、ゴルフ場廃業から9年。行事の下見で、コミミズク祭りの跡地を歩いた。ぜんぜん見る影もない。2015年秋には草地だったのが、2022年年末には疎林になってる。生えてるのは、センダン、ナンキンハゼ、クワ、アキニレ辺りが目立ってる気がする。葉っぱも実もないと識別出来ないけど。
コミミズクがいるような環境ではなくなった。おそらく4年ほどで、すでに違う感じになったんだろう。そして、いまやハタネズミもいそうにない。再び大阪府から絶滅したのだろうか? それとも復活できたということは、こんな状態でも細々と少数が生きながらえているのだろうか?
もしかしたら、ゴルフ場のままだった方が、ハタネズミは生き残ったのかもしれないなぁ(復活できたんだし)、と思いながら帰ってきた。
●2022年12月25日 なにわホネホネ団 2022年最後の活動日
コロナ禍はまだ収まらない。しかし、いくら新規陽性者数が増えても、行動制限はかからないようになってきた。おかげで今年は、過去2年よりは、活動することができた。ということで、今年のなにわホネホネ団の活動を振り返っておこう。
022年は、1月は活動できたが、2月〜3月はまん延防止等重点措置で活動停止。4月に活動を再開できた。その後、7月〜8月や11月以降に、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数は急増したが、行動制限はかからず。予定通り活動できた。その結果、
・2022年の活動日数は、
通常活動日:16日
鳥の日:11日
カリカリ団:9日
過去2年と比べると活動日が激増したかと思ったけど…。ちなみに過去2年はというと、
2020年は、4月と5月は活動できなかったものの、6月〜11月は活動でき、あとは12月に活動できなかっただけ。そして、活動できなかった4月〜5月を取り戻すべく、夏から秋に多めに活動日を設定した。その結果、
・2020年の活動日は、
通常活動日:14日
鳥の日:16日
カリカリ団:37日
2021年は、1月〜2月は活動停止。3月にようやく活動を再開できたが、4月〜9月末はずーっと活動できず。10月からようやく活動できるようになった。という訳で、活動出来たのは、3月と10月〜12月だけ。活動できる月には、活動日を多めに設定した。その結果、
・2021年の活動日数は、
通常活動日:10日
鳥の日:6日
カリカリ団:1日
2022年の活動日は、2021年に比べると随分増えたけど、2020年よりもむしろ少ないという結果になった。そして、2021年に冷凍室が満杯になった。その危機的状況は回復できず。平日の活動日を増やすことを検討せざるを得ないかもしれない。
●2022年12月24日 裏にはには首無し死体が転がっている
クリスマスイブに大型偶蹄類はふさわしい気がする。でも、トナカイならぬ大型レイヨウ。それも頭がない。頭がないのに、首無し死体とは之如何に。というのは、最近のお気に入りのフレーズ。
大型レイヨウくんが運ばれてきたのは、12月21日。ウミガメの死体を回収して帰ってきたと思ったら、連絡があって急遽届いた。内臓が抜かれて、頭もないのに、とても重くて、4人がかりで、ワンボックスカーから引っ張り下ろすだけで精一杯。いったいどうやって積み込んだんだろう? 下ろす際も、先方が5人で来てくれて助かった。
下ろしたはいいけど、動かせない。なので、作業する予定の場所に下ろして、ブルーシートをかけて、そのまま3日間放置。厳冬期に届いてくれて助かった。そういえば、ラクダもサイも、厳冬期に届いて助かった、と思ったっけ。
かつて、同じ種の頭付きの大型レイヨウを、2人で1時間半で剥いたことがある。なので、頭なければ、一人でも2時間もあれば剥けそうに思う。でも、せっかくなので、なにわホネホネ団メンバーに声をかけた。9人ほどが見学&作業にやってきた。
皮剥き段階で参加していたメンバーは、4人ほど。皮剥きは結局、5人で午前2時間、午後1時間の合計約3時間。あまり大物に手慣れた人いなかったし、初めての皮剥きが、大型レイヨウ!という中学生もいた。解体&肉取りは、8人ほどで約2時間。
午前に脚2本と尻尾を剥いて、後は団体行動からは離脱。ホネをセットする砂場の片付けと整理(ついでに、冷凍室の大型ホネホネを砂場にセット、小型ホネホネを水漬け。さらに3日前に回収してきて放置していたアカウミガメを、砂場にセット)。剥けた皮は(皮に肉を残さないように指示を出してあった)、すぐになめし液に浸けて、冷蔵室へ(脂肪が付いてなくてよかった)。そして、バラされて肉が取られた大型レイヨウを砂場にセット。
という訳で、朝、転がっていた首無し死体は、日没前にはいずこともなく消え去った。跡には洗われたブルーシートが広げられているだけ。あと、テンバコに入った肉が隠されてるけど…。
●2022年12月23日 オオバンとカモの微妙な関係
と書けば、なんの話をしようとしてるかはすぐ分かる。労働寄生の話。英語でいうところのkleptoparasitism。長い単語。
アリの社会の研究では、同種の働きアリではなく、他種のサナギを取ってきて、羽化してきた他種の働きアリに働かせる現象でよく使われてきた。この流れでは、労働を搾取するから労働寄生とも呼ばれるけど、むしろ社会的に寄生しているようなもんなので、社会寄生と呼ばれることも多い。
鳥の研究で言えば、托卵が代表的な労働寄生。子育てという労働を搾取しているけど、社会を寄生している訳でもないので、社会寄生とは呼ばないと思う。鳥の研究で、もう一つ代表的な労働寄生が、他個体が採った食べ物を奪う行動。その名もトウゾクカモメというのまでいる。
日本ではあまり研究されてこなかったと思うけど、欧米ではカモメ類による労働寄生がけっこう研究されてきている。
かつて近畿地方でオオバンはとても珍しい鳥だった。それが1980年代から増加。琵琶湖で繁殖をはじめ、各地で越冬個体が珍しくなくなった。オオバンは、その後増加。大阪府では、2015年頃以降は、冬期の河川やため池に普通の鳥となった。そして、いつ頃からか、オオバンとカモの間に興味深い行動が見られるようになった。
正確にはフィールドノートを見返さないといけないけど、面倒なのでウロ覚えで書く。初めて見たのは、たしか2010年代前半の琵琶湖でのことだったと思う。オオバンの後をしつこく追っかけるヒドリガモ。潜って水草を採ってきたオオバンに寄っていって、水草を奪うヒドリガモ。労働寄生である。
その行動は、やがてあちこちで見られるようになった。他の人も気付いてる様子。嶋田(2021)『カモ学入門』を読むと、コクガンまでがオオバンに労働寄生するとある。潜水できない植食性のガンカモ類は、オオバンにたかるもんらしい。そんなら、オオバンはどうしてカモと一緒にいるんだろう。
今年の1月、オオバンとカモの関係が、それほど一方的ではない。という観察をした。ホシハジロが潜水して採ってきた何かを、まとわりついたオオバンが奪っていったのである。この12月にも同じ場所で同じ行動を観察した。1月には何を取ったか分からなかったけど、12月にはヒシの実であることを確認した。あんなもん、オオバンは喰えるんだろうか?
という訳で、オオバンとカモの関係は、なかなか奥深くて、疑問が尽きない。とりあえず気になるのは、
・オオバンへのカモの労働寄生は、いつから始まったのか?
・オオバンに労働寄生するのは、ヒドリガモとオカヨシガモだけなのか? その割合は?
・オオバンは、ヒシの実を食えるのか?
・オオバンも潜水できるのに、どうしてホシハジロが採ったのを奪うのか?
・他の水面採食ガモも、ホシハジロに労働寄生するのか?
・オオバンがホシハジロに労働寄生するという行動は、どの程度広まっているのか?
・結局、カモと一緒にいて、オオバンは損なのか?特なのか?
●2022年12月22日 読書サークル 第123回会合覚え書き
隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。今回も対面でできた。新型コロナウイルス感染症新規陽性者数が増えてるので、年末は微妙かも。
今日の会合で出た本についての意見を記録。
今回の課題本は8冊。3冊繰り越されてきて、2冊繰り越したので、9冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。
●「生物を分けると世界が分かる」
(紹介文4つ、平均★数は2.5)
分子系統をベースにした現在の分類学者がしていることは、けっこう細かく書かれているが、無駄に難しい。一方で、分類学とは何か、種とは何か、といった根幹部分の扱いが薄い。分類学者の歴史にしても、前史であるリンネまでが書かれているだけど、その後の歴史がない。タイトルが大仰過ぎる。期待して読んだのに、最後に出てきたのはあまりに普通。尻すぼみな感じ。タイトルに惹かれて読もうとしている人が複数いたけど…。
●「チャコウラさんの秘密を知りたい! ナメクジの話」
(紹介文3つ、平均★数は3.3)
大人には物足りない内容。大人向けのナメクジ本が読みたい。という意見があった一方で、子ども向けなので、これで良いという意見もあった。ナメクジ図鑑が良いという意見があって、そこからツシマナメクジの話。著者の進路問題にはまった人もいた。マダラコウラナメクジの市民調査の扱いが小さいのは、まだ未発表データが含まれているから?という読みが出ていた。
●「びっくり深海魚」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
単なる図鑑になりがちな深海魚本、とは一味違って、深海魚の形態や生態についての情報が多いという点は高く評価されていた。一方で、無駄なイラストでページをとってる割りに、肝心の図や写真が小さすぎるという点でも意見が一致した。また標本写真では、分かりにくいという指摘があったが、ある程度はやむを得ないとも考えられた。という訳で豊富な情報量はいいのだけど、本の作り方がダメという意見が強かった。
●「「死んだふり」で生きのびる」
(紹介文4つ、平均★数は3.0)
ローテクで、身近な現象を解明した点は、とても格好いい。ただ、ただただ自慢された気がするという声が…。「死んだふり」を虫の意図と誤解している人がいた。よくも悪くも「死んだふり」の定義を大雑把にしていたからかもしれない。
●「サボテンはすごい」
(紹介文3つ、平均★数は2.7)
サボテンのことはいろいろ分かった。一方で、繁殖生態、種子分散、動物との関係など生態学的トピックが、ほぼ抜け落ちてるという指摘。日本に外来生物として入っている場所を、サボテンが見られる場所として紹介しているのは、いかがなものか、という意見も。
●「ヒトデとクモヒトデ」
(紹介文4つ、平均★数は3.0)
読んだ人全員が、ヒトデを食べる話が気に入っていた。あと、ヒトデのひっくり返り方とか、子育てとか、行動や生態トピックを楽しんだ様子。ただ、著者自身の研究の成果や様子が出てこない点が物足りないという指摘も。
●「キリンのひづめ、ヒトのゆび」
(紹介文5つ、平均★数は3.8)
ほぼ全員が、『残念な…』というタイトルの本に違和感を感じていて、それへのアンチテーゼを示した本として、高く評価していた。もちろんキリンの情報や、形態学的知識もいっぱい詰まった本なのだけど。『残念な…』対策本とされるのは、著者は不本意ではないのかな?という疑問も出た。
●「家は生態系」
(紹介文4つ、平均★数は3.8)
タイトル通り、家の中にはさまざまな生き物が暮らしている。という本なのだけど、ISSって臭いのかぁ、とか。USAの家にはカマドウマが(それも日本から持ち込まれた)いっぱいいるとは気持ち悪い。といったコメントが大きめ。世界をまたにかけた市民調査に驚いた人も。
●「自然散策が楽しくなる! 岩石・鉱物図鑑」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
岩石ばかりで、鉱物がほとんで出てこない。地図の示し方に問題が多い。という指摘があった。すでに監修者自身にダメ出ししたらしい。怖い読者である。
●2022年12月21日 貝塚の浜でウミガメ回収
12月16日の夕方、市民の方から「二色の浜で大きなウミガメの死体が打ちあがっていた」との電話が地元の博物館にあったという。その時点で、すでに腐ってパンパンに膨れていたらしい。
という情報は、地元の博物館のFacebookに、12月17日に載っていた。それを見たから、ウミガメの死体が上がったのは知っていたけど、特に連絡もないから、地元で標本にでもするんだろうと思っていた。が、なぜか12月19日になって連絡があった。引き取りたければどうぞ、要らなければ埋葬するとのことだった。お役所だから土日はストップしていたのだろうか?
そもかく、たまたま関係者の日程が空いていたので、12月21日に回収に行くことになった。
で、本日12月21日回収に行かけた。午前10時半、道具類を積んで、博物館を出発。1時間弱で現地到着。一番近い駐車場を求めてウロウロするも、あまり浜に近づけず。ウミガメ協議会の方と合流して、道具持って浜のウミガメ死体を見に行く。
遠目に、背甲が割れてるのが見えて、けっこうやる気が削がれる。が、間近に近づいて、その大きさに驚いた。頭がめっちゃ大きい。以前回収したオサガメ大だ! 測定すると、直背甲長が約90cm。頭を入れた頭胴長にすると、約130cm。今まで大阪湾岸で回収した中で一番大きな個体だった。立派なオスのアカウミガメ。
小さければ、丸ごと持ち帰るつもりだったが、重すぎて運べない。すっかり腐っているので、どうせ内臓は使えない。ってことで、解体してホネだけ持ち帰ることに。解体に約1時間、車まで運ぶのに3人で2往復。2往復目には、たまたま現地で出会った知り合い2人にも手伝ってもらった。
という訳で、現地にいたのは2時間弱。半日仕事であった。頭がバラバラにならないように、ホネにしたい。
●2022年12月20日 大きな鳥の仮剥製づくり
今まで処理した一番大きな鳥は、もちろんダチョウ、その次はヒクイドリ、エミューと続く。ここから後は飛べる鳥になって、コンドル、コブハクチョウ、ツル類、コウノトリと続く。ここまでは全部、飼育個体。まあコブハクチョウは野外で死んだけど放された個体。
野生個体由来となると、一番大きいのは、国外由来だとシロアホウドリはまだ冷凍だけど、ワタリアホウドリ処理したかも。ということはさておき、国内の野生由来ので処理したことがあるのだと、たぶん重さではコアホウドリが一番大きい。長さではキジやヤマドリになるけど。重さでコアホウドリに次ぐのはウミウかな。そしてキジやヤマドリ、トビ辺りが続く。
大和川で超大物が落鳥したらしい。もうすぐ死体が届くはず。国内の野生由来では、圧倒的に大きい。嬉しいような、かさばるから嬉しくないような。
大きさをいかして、翼を広げた本剥製に!と言われたけど、無理と断った。かさばるだけで、研究には不便なだけ。保管場所もない、一方で展示する機会も必ずしもない。
珍しい鳥に盛り上がるのは分かるけど、学術研究用には珍しいから価値が高い訳ではない。むしろ普通種の標本をきちんと残していくことの方が意義が高い。展示用にも珍しいから価値がある訳ではなく、こちらの展示テーマに合うかどうかが重要。
この超大物くんは、記録的な意味で標本を残すべきだと思うが、学術研究用にも展示用にも、さほど価値は高くない。
一バードウォッチャーとしては盛り上がるけど、できれば生きてる間に出会いたかった。先週末、大和川の水鳥調査をした同じ日に、生きてるのが発見されてるんだけど、気づかなかったなぁ。残念。
午後、超大物が届いた。聞けば、拾われた場所は、我が調査エリアの少しだけ上流側だった。出会えなかったのは納得。でも、教えてくれたら寄り道したのに〜。死体は、大和川で拾われて、和泉市→河内長野市→大阪市と運ばれてきたらしい。
今朝は、超でっかい!10kgはある!と盛り上がっていたが、測定してみると4970g。まあそんなもんだろう。ただ、確かにものすごく大きい。翼開長を二人掛かりで2600mm。全長も1300mmほどある。たしかに超大物。
重さはタヌキ、大きさは大人イノシシって感じ。哺乳類感覚なら10kg以上あってしかるべき。このサイズの鳥を本剥製にするなら、それも翼広げてなら、50万円以上かかりそう。金銭的には本剥製は無理。ってことで納得いただいた。
●2022年12月19日 調査するため池の減少
ため池巡って水鳥調査。この調査は、1995年11月に開始した。
開始するに当たって、1987年作成の国土地理院の1/10000の地図「長居」と「松原」に表示されている池のすべて95ヶ所、及び桃ヶ池、東大海池、大津池の98ヶ所をピックアップした。
1995年11月に、実際に現地に行ってみると、16ヶ所の池がなくなっていて、現存する池は82ヶ所しかなかった。
1997年12月時点で、さらに2ヶ所が減少し、80ヶ所となった。
時は流れて、2012年12月には、72ヶ所に減少していた。それまでは、大和川より南のエリアは、2日分けて調査していたのだけど、この頃から1日で回るようになった。
そして、今年2022年12月時点では、64ヶ所にまで減少。減少はとまらない。そして、ここ数年、減少ペースが少し上がってる気がする。調査はドンドン楽になっていくのだけど…。
●2022年12月18日 大阪UGR展 友の会のつどい 質問されたのは…
今日は閉館後、友の会のつどい。なにわホネホネ団の活動を大急ぎで終わらせ(私は友の会のつどいのために、他の人はホネスマスのために)、始まったばかりの友の会のつどいに駆けつけた。
わざわざ駆けつけなくても、いない学芸員の担当コーナーは、他の学芸員が分かる範囲で開設してくれる。とは、到着してしばらくして気づいた。でもまあ、せっかくなので参加した。そして、軽く陸上脊椎動物コーナーを説明する。2日前のプレビューと、スタッフ向け解説に続いて3回目。
1回目のプレビューは、真面目に地面の下を利用する陸上脊椎動物にどんなのがいるかを解説。2回目のスタッフ向けでは、来場者からコメントがあったり、誤解されやすいポイントを重点的に解説。カワセミの巣は所蔵してるが、鳥の巣展で出したから、出してない! ウサギは、大阪府にいるノウサギは穴を掘らない例として展示してある(解説を読むのだ)。地面の下を利用しがちな哺乳類に共通して見られる特徴。そして、同じ穴のムジナ。3回目の今日は、地面の下を利用する鳥にどんなのがいるか、哺乳類が地面の下をどんな風に利用してるかって話を軸に、モグラの巣穴とそこから生えるキノコも解説。その発見者のSさんの話も。
なぜか盛り上がったのは、モグラの巣穴から生えるキノコ。どうやって、キノコの胞子は、モグラの巣にたどりつくか?と問われたけど、キノコ担当がいない。草地屋を交えて、あれやこれや想像する。
・胞子が陸上近くでモグラに付く。
・胞子は陸上で発芽し、菌糸を伸ばして、モグラのトイレに到達。
の2つの案に落ち着いた。
大阪府で出た脊椎動物化石についても質問された。エイの化石だけど、どこの部位か書いてない。調べてみると、トビエイの歯板やアカエイの尾棘だった。他の脊椎動物化石をみると、種名、部位、時代、産地がきちんと示されていない展示が散見される。
化石と現生標本が並んでいる場所では、化石には種名があるけど、隣の現生標本には「現生標本」とだけ書いてあって、種名がない。これ何ですか?と問われた。本当に、いったいどういうつもり?
そういえば、クジラの化石の展示でも、見る人の向きを何にも考えていなかったり、部位や種名や解説が足らなかったり、見つけにくかったりしまくってる。
見る人の立場に立って考えられていない。想像力が足りないんだろう。当事者意識の問題に通じる。
●2022年12月17日 今年最後の入団試験
今年のなにわホネホネ団の活動日は、まだ3日あるけど、入団試験は今日で今年最後。今年は何人入団したのかなぁ?
ということで、数えてみた。こんなん数えるの初めてなので、少し過去に遡って比較もしてみよう。
・2022年 →入団試験をした日:10日、新入団23人
・2021年 →入団試験をした日:5日、新入団12人
・2020年 →入団試験をした日:6日、新入団9人
・2019年 →入団試験をした日:9日、新入団15人
・2018年 →入団試験をした日:10日、新入団13人
・2017年 →入団試験をした日:8日、新入団25人
・2016年 →入団試験をした日:11日、新入団26人
・2015年 →入団試験をした日:12日、新入団22人
・2014年 →入団試験をした日:13日、新入団28人
・2013年 →入団試験をした日:12日、新入団34人
・2012年 →入団試験をした日:11日、新入団29人
・2011年 →入団試験をした日:10日、新入団23人
・2010年 →入団試験をした日:11日、新入団28人
・2009年 →入団試験をした日:10日、新入団35人
コロナ禍だった2020年と2021年は減少したが、2022年はほぼ元に戻ったと言えそう。ただ、コロナ禍以前の2018年と2019年は、入団試験をした日数はわりと普通だけど、新入団が少なくなってるのはなぜだろう?
●2022年12月16日 プレビュー直前、展示ケースのガラスが割れた
明日から主催展がオープン。前日の今日は、午後からプレビュー。昨日時点で、展示はおおむね完成していて、プレビューの午前中は、最終チェックと微調整。それも終えて、ウィンドウケースを閉めた時、ガラスが割れたらしい。
ケースのガラスが割れた。と耳にして、すぐに見に行った。行ってみると、すでに学芸員が3人ほど集まって何やら相談している。そのうち、残る展示に関わる学芸員もわらわらと集まって来る。
ウィンドウケースの2m×2mほどのデッカイガラスの、真ん中から少し上の辺りに、横にヒビが走っている。ヒビというより、完全に割れていて、上側は、左右と上の枠に支えられつつ、下のガラスに乗っかっているだけどいう感じ。少し動いたら落ちてきそう。
とりあえずガラス屋さんへの連絡はすでにとって、すぐ来てくれるよう依頼済み。返事待ちらしい。結局ガラス屋さんの判断待ちだけど、集まった学芸員であれやこれや言い合う。
・とりあえず、割れたガラスが外側に落ちてきたら危ないので、周囲を立ち入り禁止にしてるけど、ケースや壁で囲わないと、どっちみち危ない。
・ガラスが内側に落ちたら、中の標本が壊れるので、非難させたい。が、入るのは危ない。
・ガラスのヒビをテープで止めて、落ちないようにするのは、逆にずれて落ちるリスクがあるのでやめよう。
・ガラス屋がきても、すぐには新しいのははまらないだろうが、とりあえず割れたのを取り除いてもらおう。
・ウィンドウケースが開いたままになるが、展示物を入れたケースで開口部を覆っておくことに。
・プレビューはさておき、割れたガラスが落ちない状態にならないと、明日、お客さんを入れてのオープンはできない。
お願いしたガラス屋さんが、1時間ほどで到着。2時間ほどかかって、割れたガラスを取り除いてくれた。というか、見ていた学芸員に聞いたところでは、結局上側のガラスが落ちて割れたらしい。下に誰もいなくてよかった。当たってたら大怪我してたはず。見に行った時には、辺りに散ったガラスの掃除をしてた。
開口部の展示を避難させたり、展示ケースに入れたりした後、そのケース2台で開口部をふさいだ。ガラスがはまるのは、今年最後の月曜日。半日くらいはかかるんだそうな。今年はほぼ開いたままの変な感じの展示が続く。ガラスはまっても、このままなんじゃないか説が浮上。
とにかく驚いたけど、なんか盛り上がった。ウィンドウケースの開け閉めの際は、特に閉める際は、ガラスがひずむ方向に力がかかりがちな構造ではある。雑な開け閉めを繰り返されれば、どの開口部もそのうち割れるはず。そういう意味では、今回割った者に責任はあまりなく、構造的問題。で、開口部は、他に5ヶ所ある。内1ヶ所はすでに一度割れて、ガラスを入れ換えた。もし開け閉めのひずみが溜まって割れるなら、残る4ヶ所のガラスが危険。とたんに開け閉めが怖くなったりして。
●2022年12月15日 今年の目標2022
今年もいよいよ半月を残すだけになった。ということは、現実的な目標を立てるタイミング。過去2年は、年末年始に緊急事態宣言とかは出るのか?とか心配してたけど、今年は行動制限はなさそう。新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数は、どんどん増加して昨年並みに近づきつつあるのに不思議なもんだ。
今年は、大きな仕事が多かったけど、年末は割とおだやか。というか、もう今年の仕事は終わった感じしかない。
とはいえ、いろいろすることは残ってる。
【調査系】ハッカチョウセンサス以外、全部残ってる。
・ため池
・大和川
・公園の鳥のセンサスと果実のチェック
・公園のカワウのねぐら調査
・鳥類標識調査(年末恒例)
【標本整理系】なにわホネホネ団の活動が3日ある以外には、
・なめし液に入ってるのを乾かす。あまり処理できてないので、多くない。
・肉取りしたのを砂場などにセットする。
・表のニタリクジラのホネの世話。
【データ整理系】他にもあるけど、一番急ぎは、
・大阪府のイワツバメ・コシアカツバメ情報の入力
【原稿執筆関係】今年は1本だけ。
・某野鳥の会大阪支部の連載(12月20日締め切り!)
【HP系】
・日記の完成(11月、12月に書き切れてないのがある)
・読んだ本の紹介文(今年の書けてないSFと自然史系のをなんとかする)
・最近見た鳥(6月以降ができてない)
・ハッカチョウ情報(今年のデータを入れて分布図を更新)
【展示系】なし。今週末からの特別展の担当部分は完成させた。
【講演系】なし
【行事系】すでに終わった。リモートの海の向こうの見聞録を拝聴する程度。
【サークル系】
・なにわホネホネ団の活動日がまだ4日残ってる。
・読書サークルの会合。
【雑用系】
・いろいろ本の在庫調べ
・学会の来年度会費の支払い
・家賃の支払い
・年越しそばと雑煮の準備
目標が20もある! 目標には入れてないけど、冷凍室が大ピンチ。年末年始に一人ででも少しでも皮処理をしておきたかったりもする。
●2022年12月14日 大阪のアンダーグラウンドな展示 再び
今週末から、大阪アンダーグラウンドReturns展が始まる。なぜか大阪アンダーグラウンド展Rと書きたくなる。主担当は、UGR展と書いてる。大阪はなくていいのかな? だとすると、大阪にいないからと展示案時点で却下されたオオミズナギドリから抗議が来そう。
昨年の、大阪アンダーグラウンド展は、オープンしたと思ったら、すぐに臨時閉館。会期の最終日の翌日に臨時閉館が解除。悔しいから会期を1週間延長した。とはいえ、合計8日間しか開かれなかった幻の特別展。主担当は悔しかったらしく、この冬にリベンジを、という話が出てきたら、すぐに同意した。自分だったら、また主担当するのは面倒だから、だれか代わって〜、っていいそうだなと思った。まあ、こんなこともあろうかと、主だった展示物(手作りのトンネルのこと)や解説パネル、酒瓶の類いは保存してあった。
という訳で、この週末にオープン。その前に明後日にプレビューがある。普通の特別展なら、2日前には大部分の展示が出来てるもんだけど(少なくとも鳥の巣展では、ほぼ完成していた)、今回の大阪アンダーグラウンドRでは、2日前時点で完成しているコーナーがほとんどない。
大物をちょいちょいと並べるだけでカウント外、とおかんに言われてた奴の担当部分を除けば、最初に完成したのは、我が陸上脊椎動物のコーナーであって。といっても、昨年作ってあった種名ラベルを打ち出して、昨年とあまり変わらない感じに、標本とレプリカを並べただけだけど。
なんか知らん間に、コーナーが広くなっていて、少しびびったが、ゆったり並べることで見事解決。知らん間に広くなってて、植物屋たちも困り気味。昨年と同じなので、ろくに展示の打合せないのに、変更されると困るなぁ。
ってことで、穴を掘る哺乳類を軸に、カワセミ、半地中生のタカチホヘビ、カメの産卵、地下で産卵するカエル、ついでにトカゲなんかを展示。哺乳類では、穴掘りまくるキツネとアナグマに対して、間借りしたりするタヌキ。モグラとヒミズ、ハタネズミとアカネズミの地中度合いの比較など。みんな穴掘るイメージを持ってそうなノウサギの展示したけど、解説読まない人は、勘違いするかなぁ。
ところで、魚の展示はないのだけど、砂に潜ってるスナヤツメとか。河川の底の砂利に潜り込んでるナガレホトケドジョウとか。魚でも地中生といっていいのいるよなぁ。と少し思った。
●2022年12月13日 子どもまつり 多様性班 第1回会合
キックオフ時は5人だったが、1人増えた。増えた1人は近所だそう。キックオフの際にキーワードがおおむね決まり、それをベースにタイトル案を考えてくるのが宿題だった。
というのを受けて、今日はまずタイトル決め。みんなが持ち寄った案を見渡して、よさげなフレーズを抜き出して組み合わせている。キーワードは、身近な生き物、隠れん坊、たんけん隊。ここは絶対に口を出してはいけないところ。過去の子どもワークショップのタイトルに出てくるフレーズに似たようなのに落ち着いていっても、面白がってはいけない。参加する子ども達は入れかわってるので、極端な話まったく同じタイトルでもかまわないのだから(3年程度開いていたら)。
続いて、広報用の呼び込み文章を決めようという段階になって、はたと気づいたらしい。もう少し内容を決めないと書けない!で、中身の相談に入った。前回から基本は展示ツアーめいた企画を意識してる。ということで、展示室を見に行って、気になる展示を選んでる。ツアー対象の展示物を選びつつ、ツアー以外に何をするか、成果物をどうするかの話。
結局、決まらず。呼び込み文の案を次回までの宿題とすることになった。
ちなみに、思わずコメントしたこと。
・哺乳類という意味で動物という語を使い、動物という意味で生物という語を使っている。生物というと、植物も最近も生きてる物はすべて含まれる。そのことは頭にとめておくこと。
・隠れん坊という言葉が、2つの違った意味に使われている。1つはカモフラージュや保護色といった意味、もう1つは“身近には気づいていないけど色んな動物が暮らしている”って意味。両方を同時に扱うことも可能だけど、伝える内容はかなり違ってくるので、その点は意識しておくこと。
ちなみにコメントするか迷った末、コメントしなかったのは。
・参加者には未就学児が多く含まれるので、展示物の字が読めない。そこで何かを見つけさせるには、かなりの工夫が必要。
・タイトルと呼び込み文に書いてしまうと、その内容にしなくてはならなくなる。あとから違ったプランに変更可能な形にする手もある。というか、絶対にやる、という内容しか盛り込んではいけない。
タイトルと呼び込み文、展示室ツアーして、成果物決めたら、だいたい決まった気がするかもしれないけど、子ども向けWSで考えるべきことは、まだまだそれから多い。具体化させる中で、内容が変わっていくことは、ごく普通。まだまだ二転三転しそうだなぁ。というのが今日の感想。
同時に会合していた植物班を偵察にいった。タイトルは決まってないけど、どういうテーマにするかは決まった様子。ある意味、植物班の方が具体化が進んでいるかもしれない。はたして多様性班はどのように具体化していくだろう?
●2022年12月12日 ジュニア自然史クラブ 引き継ぎを考える
今日はジュニア自然史クラブの行事で、中高生と一緒に化石さがしに行った。化石のことはさっぱり判らないし、さほど興味もないけど、いわば主担当なので毎回行事に参加している。そろそろ、主担当の引き継ぎを考えないといけないので、そういう目で見てみた。
今日を迎えるまでには、
・行事案内を作成(担当者に書かせる)、流す(広報ライン、ML)。
・新規の申込み者を受付、返信、名簿・MLに登録。
・新樹申込み者からの問合せ対応(保護者はついてっていいか?小学生は参加できるか?というのが多い)。
・参加者名簿の作成、合流場所の確認。
今日は、
・ターミナル、途中、最寄り駅での参加者チェック。
・乗り換え時や移動時に全員いるかのチェック。
年度末などには、
・メンバー登録の切り替え作業。
・補助スタッフの登録などの事務手続き。
書きだしてみるとこんなもんだけど、もっとも重要なのは、
・毎回参加して、顔なじみになり、話をする。
ってことだと思ってる。担当学芸員が毎回入れ替わり、なかなか顔なじみになれないと全然違った集団になりそうに思う。ジュニア自然史クラブの一番の目的は、同じような興味を持つ中高生同士が知り合いになることであり、学芸員と知り合いになることなのだから。自己紹介とかしないから、より顔なじみかどうか、気さくに話をするかが重要。また顔なじみにならないと、各行事の際に全員いるかのチェックもなかなか大変になる。これは、なにか目印を配ればいいのかもしれないが。
引き継ぎで一番のネックは、毎回参加だろうか。同じ機能を複数の学芸員で受け持つことはできるだろうが、だとしたら会議が増えて、ミーティングでの顔合わせがより重要になりそう。
●2022年12月9日 ジュニア自由研究・標本ギャラリーにコメント
例年だと、12月前半から1月末くらいまでが会期のジュニア自由研究・標本ギャラリー。小学生〜高校生を対象に、その自由研究の成果を展示してもらう企画。学校の宿題であってもなくてもいいし、研究といったまとまったものでなくても標本1つからでも大丈夫。とにかく自然史関連の成果物を展示する。
ここ2年は、新型コロナウイルス感染症のせいで、日程がずれていたけど、今年はもとのパターンに戻った。
で、各展示物には、関連学芸員のコメントが付くことになっている。今年は、ホネが3つも来たので、それにコメント。
コメントは、展示内容を補足したり、改善点を指摘したりもする。が、一番の要点は、いいところを見つけて褒めることだと思う。その点、今年の3つは、すべて力作なので意識しなくても褒められる。
■手足の組立標本5点セット:ニワトリの足と手羽先、ブタの前肢と後肢、ワニの足の5つの組立標本が並ぶ。1つ作るだけでも小学生の宿題としては充分なのに、5つも作るなんて! と思ったら、付いてるレポートがまた凄かった。組立標本を作る過程が報告されているだけでなく、材料の入手先のレポート、さらにはニワトリの飼育環境の問題にまで踏み込まれていて、人と自然のつき合い方にまでたどり着いてる。すごい力作。是非読むべき。ちなみに現時点で最年少のなにわホネホネ団メンバー。力作すぎて、夏休みの間、ずっとやってたらしい。そうだろうなぁ。
■カラスの全身骨格:これまたなにわホネホネ団メンバー。カラスの死体を骨にする、と企画時点から聞いてはいた。夏休みにカラス1羽分の骨を持ってきて、どこの部位かを質問された(おかげで鳥の首のホネの並べ方の勉強になった)。で、ちゃんと部位を仕分けて並べてある。囲眼骨もちゃんと取ってあるし、とても判ってる。もう少し大きな箱に並べて、骨の部位をホネの横に書けたら判りやすかったね。ホネの部位は、レポートにきちんと記されているので、レポート片手に展示をみること!
■ケンタッキーフライドチキンのホネで組み立てたニワトリの骨格:ケンタのニワトリは若い個体なので、油断すると元の形が判らなくなるまで食べてしまう。これを組み立てるのはかなり難しい。ちゃんとどのパーツか見分けて、それを何とか組み立てている。とても力作。ただ、レポートでは、ホネの部位の識別は正しいのに、組立の際にちょっと間違ってしまってる。思わず指摘してしまった…(烏口骨と肩甲骨が逆)。あと、指摘はしなかったけど、左右は間違ってるかもとか、角度が違うとかもある。これは仕方が無い。あと、肋骨の間に余分な上腕骨が入ってるのはどうしてだろう? でも、とにかく、これは力作。組み立てる時に、相談されたかったなぁ。
●2022年12月8日 大物回収 本番編
結論から言えば、ぜんぜん土木作業はしなかった。人力でできる範囲ではなかった。そして、重機とその作業員さん達が大活躍。いてくれて本当に良かった。とても有り難かった。
そして、思ったより早く終わった。午前中であっさり終わった。せっかく持ってきたお弁当は、トイレ休憩兼手洗いに立ち寄った広場で食べた。遠足に来たようだった。
ってことで、現地では、下見で予想したのとは全然違う展開だった。下見の意味がないような気もするけど、でも下見してなかったら、もっと不安だったろうから、これでいいのだ。
午前9時5分:ゲート集合。先方の車に先導されて現地へ。
午前9時10分:作業開始。椎骨はおおむね引っ付いているので、フダ付けは省略。右肋骨を前から回収して、フダを付けて細かいのをタマネギ袋に入れてセットにして並べていく。椎骨の突起の折れたのにも、順番の判る数字のフダを付けてタマネギ袋へ。右肩甲骨を掘り出す。結局、上腕骨と橈骨・尺骨の途中までしかないらしい。
午前10時:トラックとクレーン車到着。位置決めしてトラックの養生。さあ積もうとしたら、取材の記者が来るというので、ストップがかかった。しばらく記者待ち。
午前10時30分:トラックへの積み込み開始。胸椎→腰椎→右前肢の順で積み込み。腰椎の前の数個がはずれたので、フダを付けて手で積み込む。肋骨と折れた椎骨も手で積み込み。
午前11時:ホネの積み込み完了(トラックの前半へ)。ブルーシートとワイヤーモッコの積み込み作業開始。載ってる土砂が重すぎて、やはり吊り上げられない。また一部がまだ埋まっている。ということで、クレーン車で吊り上げつつ、バックホーとユンボで掘り出す。何とか吊り上げられた段階で、振って余計な土砂を落とす。そして、トラックの後半へ折り曲げて積み込み。クレーン車、バックホー、ユンボの重機三位一体攻撃は、迫力があった。この間、1時間ほど観戦していただけ。
午前12時:作業完了。撤収。
という訳で、結局作業は、ホネを切り出して、順番に並べることなので、やはり解剖刀を使っての作業。持っていったシャベルは使わなかった。
広場でゆっくり弁当食べて、博物館に戻る。ちょうどいい時間になった。
午後2時:博物館にトラックとクレーン車が到着。ちなみに運転手さんは、途中で昼食を食べに入ったら、臭いと反応されたらしい。
まず、砂場に胸椎、腰椎、肩甲骨をクレーンで吊って並べる。細かいのは手で運ぶ。砂場の1/3ほどに余裕で並んだ。
次に、ホネになった頭骨をついでに運んでもらう。前日に養生してあったので、うまく吊り上げられた。そして、バックヤードに設置した廃棄予定のパレットの上へ。
最後に、ワイヤーモッコとブルーシートに土砂が混じったかたまりを、バックヤードの片隅へ。こぼれた土砂には臭い脂肪が混じってたりしてたので、急いで回収。これは、全体に臭いのですぐには廃棄できない。そしてブルーシートの中の土砂には小さなホネがまだ混じってる可能性がある。ということで、一夏放置して、臭くなくなってからホネを探した後に廃棄。ほぼ一年後だろうか。とりあえず臭いので、トラックを養生していたブルーシートをかけた。
午後3時:作業終了。トラックはあまり臭くないけど、運転手さんの靴が臭そう。帰ってからのクリーニングが大変そう。
想定より早く終わったけど、これ以上遅かったら、暗くなってな。
今回来て下さったクレーン車は初めての方だった。が、トラックは同じトラックで、同じ方が来ていた。経験者はある程度覚悟できていた様子。でも、初心者はこんな臭いとは聞いてなかったと言ってた。
ともかくお疲れさまでした。きっとまたあるので、またよろしく〜!
●2022年12月7日 大物発掘現場へ 下見編
昨年7月に大阪湾で回収されたニタリクジラ(以下、ニタリン)。炎天下の埋立地で解体して、頭部、左前肢、舌骨、左肋骨(一部右肋骨も)、寛骨、尾椎は、回収してきた。残る右前肢、胸椎、腰椎、右肋骨(の大部分)は、解体した埋立地に埋めてきた。
骨格標本作製の理由付けで埋めてきたが、土砂に深く埋めているので、綺麗なホネになることは期待できない。最大2年埋めていていいとのことだったが、それを待たずに明日回収することになった。
昨年の秋以降ならいつでもよかったのだが、先に回収したのをホネとして回収して砂場をあけてから残りを運びたい。そして、今年度は主担当の特別展があるので、その後にしたい。今年の繁殖期は、調査も忙しい。暑い夏は避けよう。台風シーズンも避けよう。といういろんな理由で、ここまでずれ込んだ。寒くなりすぎない年内にということで。
段取りは、掘り返しに2日、ホネの回収に1日、埋め戻しに1日という日程。こちらがすることはホネの回収だけなのだけど、その前日に下見をすることに。ということで、今日は午後から大物発掘現場へ。
こんな形で埋めたことがないので、どうなってるか不安な気持ちで行ってみると、
・上にかけてあったブルーシートはボロボロ。全体を吊り上げるのに使った鉄管は折れ曲がり、ワイヤーモッコ以外はボロボロの印象。ホネは元々ボロボロだったので、よく判らないが、一部がさらに折れた印象。
・深く埋められたので、肉はほとんど分解しないと考えていたが、かなりの大部分はどうにかなったようで、周辺に脂肪の塊が落ちつつも、胸椎・腰椎周りはとてもコンパクトになっている。ただ、脂肪中心にドロドロはかなり残っている様子。そして、もちろん臭い。
・不思議なのは、腰椎の一番前の数個が外れて、背骨のラインの横に転がっていること。前後方向の力がかかったか? 右前肢は肩甲骨が見えているが、それ以外が見当たらない。折れ曲がって下に入っているか、落ちてしまっているかのどちらからしい。
・掘り返す際は、バックホーを使って大まかに掘り下げた後、最後は人力で掘り出してくれたという。でも、ワイヤーモッコの上には、まだかなり土砂が残っている。
想定外によかったのは、肉の大部分が分解されてる様子なこと。これで大幅に重さが軽減されてる。一方で、土砂がいっぱい載っているので、このままでは想定外に重くなっている。それでは持ち上げられない可能性が大。それを取り除く作業は避けられない。
ということで、解剖刀を使う作業というよりは、シャベルを使った土木作業がメインになりそう。幸いなことに、明日もバックホーとユンボのペアはあって、作業員さんもいてくれて、手伝ってくれるとのこと! ありがとうございます!!
ということで、想定した作業段取りは、
1:ホネにかぶさっているブルーシートを切り開く(土砂等がのっていて切るしか無さそう)。
2:椎骨(胸椎よ腰椎)を回収する準備。バラバラになりそうな気配なので、1つずつラベル付ける。外せるなら外す。外さずぶら下げられそうなら、ワイヤーを付ける準備。
→椎骨をトラックに積み込み
3:肋骨や割れた椎骨の回収。手作業で、順番をチェックしつつ(ラベル付けつつ)、塊ごとにタマネギ袋へ。見つかれば、右前肢の回収。
→回収したホネをトラックに積み込み
4:残りのホネがないか確認しつつ、ワイヤーモッコにのってる土砂を取り除く。
→ホネを見つけたらタマネギ袋へ
5:鉄管と土砂以外をトラックに積み込み。
→たぶんクレーン車でまとめて、でもこぼれた小さいのは手作業。
心づもりとしては、
1〜3の作業は午前中にすぐ終わりそう。4以降の作業は、主にシャベルを使っての土木作業風になるかと。そして、たぶん午前中では終わらないので、昼食が必要。
●2022年12月6日 来年度の普及行事を決める
毎年、12月の第1週に、翌年度の普及行事を決める会議がある。つまり再来年の3月までの週末の予定がおおむね固まるってこと。
2022年度の場合、年間62の行事を担当した/する。今年度は主担当の特別展があったので、例年より7つ多い。でも、それを引いても55の行事を担当することになる。ほぼ週1回。その大部分が週末や祝日に集中する。
その他に、大阪鳥類研究グループが月1回、なにわホネホネ団が月2回ちょっと。全部合わせると年間100回程度。ざくっと大部分の週末がうまるイメージ。
その予定を決めるのは、なかなか難しくて、いろんな条件に配慮しつつパズルを解く感じ。毎年11月後半から自分なりの年間予定表を作成し、それを修正しつつ普及行事決めの会議にのぞむ。かなりの要素は事前に調整しておくけど、調整しきれない要素がいっぱい出てくる。会議で行事が決まっていく中で、自分の年間予定表を修正しつつ、どうして譲れない日程を押さえていく。他の人はどうか知らないけど、綿密な計画に基づいて、最大限の成果を生むための、そうこの会議は戦いなのである。
とはいえ、特別展の主担当であった2022年度と違って、特別展関連行事がなくて、5-6月の日程に融通がきいて、今回の戦いは楽勝であった。楽勝のあまりに秋に大型イベントを投入してしまった。
会議が終われば、一段落。かと思いきや、真の戦いは、この後に密かに行われる。それは実習室の争奪戦。なにわホネホネ団の活動には、実習室が不可欠。個人的年間予定表を作って自分の中で調整しないと判らないくらい、日程に余裕はない。でも、実習室の部屋押さえは博物館の普及行事が優先。さらに今年度からは魚の標本作製グループまで参戦してきた。
ということで、博物館や友の会の部屋使用が押さえられた後、魚との戦いが待っている。というか、とりあえずなにわホネホネ団の都合を入れてみて、後から調整という話になっている。ちなみにまだ博物館の普及行事の部屋使用が入ってないのに、すでに昆虫がいくつか部屋をおさえていて、少しムカツク。
【追記】
なにわホネホネ団の日程が無事に押さえられた。魚の方は、まだ日程に融通が利くようで、日程変更の要請はなかった。よかった。もう1つ実習室があればいいのにな。
●2022年12月4日 子どもまつりキックオフ
3月末に、大学生のサポートスタッフが、企画・準備・運営する子どもワークショップ「子どもまつり」が開かれる。今日がそのスタートアップ。おもえば、子どもまつりは、コロナ禍で一番影響を受けた行事の一つ。2020年は準備を終えていたのに、実施できず。2021年は、先行きが読めない中のスタート。2020年に企画したけど実施できなかったプログラムを、ブラッシュアップして、コロナ禍対応もして、なんとか実施した。申し込み制になって、少人数制で、2プログラムだけど、いろいろ初めてだった。2020年度に企画したメンバーが再結集できた2プログラムは良かったが、メンバーが集まらなかった1プログラムは断念された。
そして、2022年は久しぶりに、一からの企画で実施できた。が、やはり申し込み制で、1回の参加人数もしぼった形。そのためもあって、2班体制。展示室で完結するのではなく、室内に移動したりもした。2023年も、昨年と同じような感じだろうか。
しかし、例年10数人の大学生が集まっていたのが、今年は登録者数が多く、なんと22人も集まった。これを3班にまとめられるのか? それとも4班とかになるのか? と危惧された中、キックオフミーティングは始まった。
経験者も数名いたが、とにかく子ども祭りとは何かを萌蔵が説明。展示室に散って、自分がとりあげたいテーマを考えてもらうこと45分。再び集まって、それぞれやってみたいテーマをあげてもらって、前のホワイトボードにかき出していく。
それを萌蔵が強引にタイプ分けして(独断に満ちた主成分分析)、それぞれの学生を当てはめていく(クラスター分析?)。といったプロセスで、驚いたことに3つの班が決まった。各班のクラスター化された際のキーワードは、
・野菜、水田など →なんか植物系(7名)
・化石、鉱物など →なんか地学系(10名)
・チョウ、ゴキブリ、擬態、外来生物、生存曲線 →つまり生態系?(5名)
それぞれの班を学芸員が受け持つのだけど、今日は植物担当学芸員が欠席。とりあえず萌蔵が植物系班、おかんが地学系班、ヒヨロリが生態系班。
班に分かれて、自己紹介。各人の連絡先交換。そして、次回会合日程を決める。まだ時間があれば、それじゃあ何をするかの意見だし。
生態系班は、生物関連という以上のつながりのない5つのキーワードを整理して最大公約数を探ってるらしい。そうそうに生存曲線は断念。チョウとゴキブリは身近な生きものというキーワードに変換。擬態ではなく、かくれんぼというフレーズに。まとめると、“身近な外来生物のかくれんぼ”なのか? それでいいのか?
心配でも基本的に口を出さずに、テクニカルな助言にとどめるという苦行の4ヶ月が始まった。
●2022年12月3日 植物園案内 鳥スペシャル2022
思えば昨年は、植物園が閉園中で、植物園案内なのに植物園に入れず。その周りをウロウロして、観察した。ネタ探しに苦労した。それに比べると、以前のように植物園内で鳥ネタを探せる今年は楽チン。
午前中に、植物担当学芸員と補助スタッフ3人と一緒に下見。見つけてあったタヌキのため糞を見に行ったけど、糞が足されていなくて、ムクノキ種子も少ない。大池沿いで、オオバンがアサザの葉っぱを食べてるのを観察して、カワウで木が白くなってるのを観察。2018年に切られたけど復活して結実したセンダンをチェック。なんとなくヒメガマのタネを飛ばしつつ、モウコガマがロシアから風散布なのかカモが運んだのかの話をする。
カンランボクは水散布かなぁ。と言ってから、結実木と非結実木が並ぶムクノキを見る。結実木の方だけ落葉してる。チャンチンモドキが豊作だけど、これは落ちてから哺乳類散布だろうという話。ヤブラン果実の味見をしつつ、散布者はシロハラかなって話をする。
二次林を通って、ランシンボク見てから、ムクロジへ。これは硬すぎるので鳥は食べないけど、散布者はなんだろう?という話になる。エンジュの実を味見して、甘いけど苦すぎるので、シナヒイラギモチを味見に行く。甘くて美味しい。なのになかなか食われないという話をして、針が関係っていう説が飛び出す。センダンの果実を味見してから、ユーカリなのか?という謎の木を見る。
ユズリハの成葉をヒヨドリが食べることがある。とかいいながら、ホルトノキ果実を見つける。
実習室では、見つけた果実の種子を出したり。ムクロジやチャンチンモドキの種子散布の論文を確認したり。
で、本番。
歩き出してすぐ、クスノキの枝落としを見つけたので解説。橋を渡りながらカワウで白くなった木が気になったので、半島でカワウによって木が枯れる話をする。なぜか鳥について盛り上がり、鳥の観察会になりそうになったので、打ち切る。
タヌキのため糞を前に、長居公園のタヌキとアライグマの歴史と、ため糞に出てくる種子の話。大池の北側で、オオバンがアサザを食べる話。合間に復活のセンダン、そしてヒメガマやモウコガマの話。
ムクノキを見に行ったら、ちょうどジョウビタキがとまってくれたので、しばらく観察。ジョウビタキも果実を食べるけどムクノキは大きすぎるとか。それからチャンチンモドキの果実を観察に。味見したら酸っぱかったので、口直しにヤブランへ。
最後にムクロジを説明して終了。
出だしのクスノキの枝落としは良かったが、その後、大池では鳥の観察会みたいになりかけた。鳥が目の前にいると、どうしても持っていかれる。でも、双眼鏡のない人にはわかりにくかったはず。
その後、チャンチンモドキやムクロジは、鳥散布ではないので、おもに植物担当が説明していた。
全体的に鳥担当と植物担当の掛け合い色があまり出せず。それぞれが勝手に話していた印象が強め。鳥は目の前にいない方がいい。そして、鳥散布の果実を中心に取り上げた方がうまく行く気がする。
●2022年12月2日 画家と学芸員の掛け合いギャラリートーク
この10月下旬から12月上旬にかけて、自然史博物館の展示室に絵が展示されている。展示物を描いた絵を、その展示室に展示する。すなわち、絵とモデルが同時に見られるという趣向。大きな絵が9枚。展示ケースのさらに上に展示されている。なので、企画のタイトルは「絵をくぐる」。実際は、見上げてごらんだけど。
で、毎月1回、3回のギャラリートークが企画されている。毎回、画家さんがやってきて話をしてくれるのだけど、その聞き役の学芸員は毎回変わる。今日が最後の3回目。画家さんのトークは毎回同じなのだけど、学芸員側の対応というか、応答というか、展開は毎回変わる。
そして、第1回のギャラリートークは、あまりに衝撃的だった(とある参加者談)。なので、次回はどうなる?と思って見に行ってしまった。
第1回。例えるなら、画家さんと、学芸員は、同じ場にいるけど、あさっての方向を見てる。ボールでの遊び方になぞらえるなら、並んで壁打ち。2人は別次元に存在していた、という評もあった。要するに、コミュニケーションは成立せず、同じ絵、同じ展示について、両者は独立した好き勝手な話をしていた。
第2回。今回は、画家さんと、学芸員が、会話していた。ボール遊びでいえば、キャッチボール。というか、画家さんが投げる球を、学芸員が拾って返す感じ。今回は同じ次元でコミュニケーションしてたねぇ。と評判になった。
最初の2回がまったく違った展開だったので、参加者的には、次はどんな新たなパターンでくるかが気になる。最初の2回を見た者がいろいろ提案する。異次元パターン、コミュニケーションパターンの後は、バトルしかないのではないか?!というのが、もっぱらの下馬評。
それを聞いてる第3回の担当者には、かなりプレッシャーがかかってた様子。どうも数日前までは、バトル方向で考えていたらしい。しかし、直前になって弱気になって…。
第3回。今回も、画家さんと、学芸員は会話していた。ボール遊びでいえば、画家さんが投げる方向は知ってるから、キャッチして強めに投げ返す感じ。ソフトなバトルとでもいおうか。3回目を期待していた面々からは、ちょっと物足りない、という声がないではなかったが、まあ穏当なところだったかと。
●2022年12月1日 2022年11月のまとめ フェスティバル&博物館実習の対応
今年は、特別展の主担はあるは、フェスティバルの主担はあるは、と盛り沢山の一年。その上、12月には、クジラ回収も控えてるし。特別展はなんとか終わり、そして3年ぶりに開催された大阪自然史フェスティバルも、大きなトラブルはなく終われた。あとはクジラかぁ。
そんな2022年11月を振り返ってみよう。
ルーティンのため池調査、大和川調査は一応終了。一応というのは、ため池調査の一部が今日になってしまったから。奈良県1コースと京都府2コース(1日で調査するけど)のハッカチョウセンサスも実施。
地元公園のセンサス調査と果実チェックも実施。毎月月末頃に実施予定のカワウのねぐら調査は、今月も忘れず実施できた。
ホネホネ団の活動は、2日予定して2日実施した。が、某動物園から大きめのがいくつも届いたので、鳥の処理を予定していた日も、哺乳類を処理した。
昨年のニタリクジラの残りのホネの回収の運送会社が決まって、打ち合わせも完了。あとは前日下見の様子に応じて現場合わせをするしかない。一番心配なのは天気かも。
ニタリクジラが到着する予定のホネ砂場の片付けを継続。一夏超えたホネは回収して、水づけに。この秋処理したのは、とりあえず砂場の周りに移した。あと残るは前肢1つと頭骨。昨日前肢回収の予定だったんだけどなぁ。ホネ砂場のスペース確保のついでに、メンテナンス作業。落ち葉をできるだけ取り除いて、生えてきた草本の芽を抜いて、ワルナスビの根を引っこ抜く。この一年は、ほぼ全面が覆われていて、ワルナスビはほとんど生えてなかったけど、根っこは全面に広がっている様子。40%ほどの浅い部分の根を掘り返して引っこ抜いて力尽きた。
砂場から回収したスジイルカの全身のホネが旧実習室にある。今年中に処理せねば。
登録やラベル書きや、処理を決めかねている標本たちは、まだ某旧収蔵庫に残ってる。
あと忘れてたけど、鳥の巣展で展示した卵をまだ戻していない。
普及行事は、大阪自然史フェスティバル。あとは、ジュニア自然史クラブのミーティングがあっただけ。
大阪鳥類研究グループの観察会は、紅葉シーズン真っ只中の箕面公園にリュウキュウサンショウクイとキバシリを探しに行った。リュウキュウサンショウクイは見られた。予想以上に普通にいる感じ。
来月から大阪アンダーグラウンド展。たぶん前回と同じように展示をしなくてはならないが、なんも指令がないので、他人事のような感じしかない。とはいえ、昨日、展示室の配置換えをして、ケース類やトンネルを運んだ。少し準備しなくてはという感じが出てきた。
来年2月に大阪市立中央図書館で毒の展示。関連講演会は昆虫に押し付けた。あとは展示を動物、昆虫、植物で分担するだけ。
講演は、なし。ただ、博物館実習があったので、そのオリエンテーションを喋った。
査読はなし。頼まれた大阪のカラスの原稿を締め切り前に提出した。
とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系2冊と、SF11冊。
完全休養日は2日。今年に入って9日目。
●2022年11月30日 今年度の普及行事のまとめ
12月の初めに来年度の普及行事の計画を決める会議がある。ので、今年度の普及行事のまとめをした。といっても、4月〜11月分だけ。毎年このくらいのスケジュールなので、毎年12月〜3月の普及行事は、反省なく翌年度が計画される。
よく考えれば、このタイミングの普及行事のまとめ段階で、昨年度の12月〜3月の普及行事も振り返っておけばいいだけなんだけど、なぜかそれはされてこなかった。代わりに4月にもう一度、12月〜3月の普及行事のまとめをして。しかし、それはその後の行事計画にはいかされない。という面白い展開が知る限り延々と続いている。
ちなみに、12月〜3月は、植物や昆虫など多くの生物にとって、フィールドはオフシーズン。なので、冬場の普及行事は、フィールドは地学系と鳥、あとは室内実習が多めになる。しょせん少数派ということかもしれない。
というわけで、おおむね今年の4月〜11月の普及行事のまとめは以下の通り。
全体的にはなにより、コロナ禍のあおりをくって普及行事の半分以上がコロナ中止になった昨年度、一昨年度と違って、今年度はコロナ禍の中でも、コロナ中止は生じていない。
なのに、やさしい自然観察会は、1つ以外はすべて中止という体たらく。中止の大部分は雨天中止だったが、一つだけ暑さ指数が高すぎて中止になった。いまどきっぽい。年度後半の企画が薄めなので、再来年度には、秋に木の実・どんぐり系の行事の復活があるかもしれない。
テーマ別自然観察会は、特筆事項なし。来年度からは、大和川水系調査プロジェクトがはじまるので、関連行事が増えるかもしれない。
地域自然誌シリーズは、自然観察地図改訂をにらんで設定してきたが、来年度からは、大和川水系調査プロジェクト関連中心に実施していく。
野外実習・室内実習は、例年並み。いけず石は、科研費関連で昨年度できなかったから今年度投入されたっぽい。大和川水系調査プロジェクトの研修は、場合によっては野外実習になるかも。
植物園案内は、7月と8月が暑さ指数の関係で、講堂での実施になった。来年度からは、8月は最初から講堂実施で案内しうていいかも。
植物園案内動物編は、コロナ禍で申し込み制にしていたが、12月からは申し込みなしに戻す。ただ、プランクトン観察のような室内でも観察するものは、申し込みが必要。
オープンセミナーは、コロナ禍が落ち着いても、毎月実施。配信を行う。ハイブリッドにするか、配信限定にするかは、今年度の残りの状況をみて決める。10月は毎年化石の日関連?
ビオトープは、参加希望が多すぎる回があるので、申し込み制を維持。ジオラボは、室内で、申し込み制を維持。
ジュニア自然史クラブは、数年殿担当者の引退をにらんで、引き継ぎを考える必要がある。
ということで、いよいよ来週に、来年度の行事決めの会議。
●2022年11月29日 シカと草地とアメリカオニアザミ
滋賀県のとある山の山頂部で、アメリカオニアザミが見つかったという発表を聞いた。山頂にはもともとススキの草地が広がっていたが、御多分に洩れず近年のシカの増加で、ススキはわずかに残るのみ。そこにアメリカオニアザミが入ったらしい。
知床での研究例では、同じように増えたシカが草地の植物を食べまくって、そこにアメリカオニアザミが侵入。しかし、シカ柵でシカを排除したら、元の草本が戻ってきて、アメリカオニアザミも姿を消していったという。たぶん庇蔭に弱いかなにかで、在来草本との競合には勝てないんじゃないかとのこと。都市のコンクリートの隙間とか、植え込みとか、ライバルの少ない場所に広がってるけど、農耕地や河川敷にさほど入り込んでいないのも納得。
このように、シカと一部の植物は、片利共生的な関係にあると言えそう。シカの不嗜好植物ばかりになった植生を、草地屋さんが、シカ植生と言っていて面白かった。シカが育てた植生という意味で、言い得て妙。
とはいえ、今回のシカ植生にはいろいろ気になる点もある。
一つは、今回は、山頂部という他のアメリカオニアザミとは隔離された場所に進出していること。動物屋は風散布で飛んできたんでしょう?と言いがちだけど、植物屋の風散布の評価は低い。偶然ハイカーが靴にタネをつけてきたとか、むしろひっつき虫的に服についてきたんじゃないかという意見も。ひっつき虫ならシカが運んだ可能性もあるかも。
ただ、日本には山頂部の草地が、シカに食われて丸裸、という山はけっこうあるのだけど、今回の山以外の山頂部には、アメリカオニアザミはほぼ入っていないというのが不思議。
もう一つ気になるのは、草地の在来植物とアメリカオニアザミの関係が気になる。不嗜好植物のアメリカオニアザミは、本体がシカに食われないだけでなく、その陰などにシカに食われる在来草本を保護する効果はないのかなぁ。
その効果があるなら、シカ高密度下では、一概にアメリカオニアザミを悪者にもできない。駆除してしまったら、在来草本を絶滅させるだけかもしれない。
さらに、この話を聞きながら、シカと草本の関係を考えた。増え過ぎたシカは、生態系を改変して、生物多様性を大幅に減らしてしまう。でも、適度な密度のシカは、木本の芽を食べて、草地が遷移するのをとめる効果があったはず。かつてはむしろ草地の生物多様性を守っていた側面もあるんじゃないかなぁ。
だとしたら、シカの個体数コントロールの際の、目標となる適正密度は、シカが生物多様性を守るレベル。なぜか、どのくらいが適正かはあまり評価されていないようだが。たぶん地域によって、適正レベルが違うのも難しいところ。
外来生物は悪者なので、アメリカオニアザミはすべて退治してしまえ! 増えすぎたシカは、どんどん減らせ! という単純な話ではないんじゃないかぁ。
あと、アメリカオニアザミを撲滅して、シカを適正密度にすれば、元の草地に戻る。とは限らないのが、難しいところ。
シカ植生にどう対応していくかは、とても難しそう。
●2022年11月27日 ハイラックスは、小さなゾウ?
ハイラックスで検索すると車ばかり出てくるので、イワダヌキと呼んだ方がいいかも。昔々は齧歯目にされていたこともあるらしいが、気づいた時にはイワダヌキ目だった。イワダヌキは、小さいけど、ゾウと系統的に近い。というのは以前から言われていた。が、近年は、アフリカ獣類として、まとめられるまでになっている。
イワダヌキは、ゾウと近いと言われると、その気になって見てしまう。
イワダヌキには、尻尾がない。尾椎はけっこうあるけど、外には突出していない。ゾウにははっきり尻尾があるなぁ。
イワダヌキは、門歯があって、臼歯は偶蹄類・奇蹄類・齧歯類といった草食獣に似てる。ゾウみたいに左右上下に1本ずつじゃない。
足の指は、前肢4本、後肢3本。爪は後肢の1本のみ。平爪みたいな感じになってる。足の指の数だけなら、なぜか隣で剥いてたマーラと同じ。ゾウは、前肢も後肢も5本指。
前後に寸詰まりな頭骨の形は、どこかゾウに似てるかも。ただ、サイに似てると言われたら、そっちの方が似てるかも。
というわけで、剥いただけでは、イワダヌキとゾウの系統の近さは、いまひとつ実感できなかった。なんか残念。
●2022年11月26日 リュウキュウサンショウクイを探す
かつてリュウキュウサンショウクイは、その名の通り南西諸島で繁殖する留鳥だったらしい。しかし、1970年代くらいからだろうか、渡りをすることが知られるようになり、不思議なことに越冬地は、九州南部という。秋に北に渡るって変なの。と思っていたら、ふと気づくと、越冬地がどんどん北に東に広がっていった。九州北部と四国に進出し、中国地方から関東にまで出現するようになった。
面白いことに、越冬地の拡大と一緒に、というか少し遅れて繁殖域も広がった。1990年代には、九州全域と四国西部で繁殖するようになり、四国全域から中国地方でも繁殖するようになっている他、関東での繁殖例も知られている。まだ近畿地方での繁殖例はないようだが、遠からず進出してくるに違いない。
大阪府でも、◆年から冬に記録されるようになった。なぜか不思議な傾向が2つあって、1つは、北摂山地での記録が多く、南部では少ない。そして、なぜかエナガの群れと一緒に行動していることが多いらしい。
まだ大阪府でリュウキュウサンショウクイを見たことがなかったので、近年、何度も記録されている箕面公園に探しにいってみた。同じく近年、大阪府で記録されるようになり、今年、箕面公園で繁殖が確認されたキバシリも狙ったのだけど、キバシリは空振り。でも、リュウキュウサンショウクイはあっさり観察できた。
最初に出会ったのは、滝道の真ん中あたり。エナガの群れがいたので、期待して探したら見つかった。エナガ中心の混群と一緒に動いているが、完全に混ざっているのではなく、少し距離をおいて動いている感じ。時々、声を出していたので、声でも探せそう。
と思ったら、帰りがけにも谷筋で声を確認した。一緒に行った方は、途中で別れたのだけど、帰りにもエナガの混群に混じるリュウキュウサンショウクイを観察したとのこと。かなり普通に生息している様子。もう普通の冬鳥なのかも。
エナガとリュウキュウサンショウクイは、尾が長めな点を除けば、あまり共通点がない。虫を食べるのは一緒だろうけど、探し方が全然違う。一緒に行動するメリットはなさそう。
と不思議に思っていたが、一つ共通点があるのに気づいた。声。エナガのジュリリジュリリという声は、リュウキュウサンショウクイのジュリリリリィ、ジュリリリリィという声に、音質を含めて似てる。エナガの声に惹かれて寄ってきてるのだろうか? そういえばリュウキュウサンショウクイの混じっていた混群のエナガは、よくジュリリジュリリと元気に鳴いていた。
●2022年11月24日 博物館実習 2022年秋期普及コース のまとめ
11月16日〜20日の日程で、普及コースとして、9名の実習生を受け入れた。今日、その事後処理をしたので、今回の普及コースをまとめておこう。
なにより3年ぶりの本当の普及コース。2020年と2021年は普及コースといいながら、普及教育行事が対面で実施出来ない中、普通に標本実習に切り替えていた。普及コースとして申し込んできてるはずなので、普通の標本実習になるより、実習生には満足いただけたはず。知らんけど。
ちなみに今回の普及コースで受け入れたのは、最終的に9名だったが、当初は8名だった。夏に来る予定だった2名が、秋日程に変更。一方で、秋日程を予定していた1名が、直前に新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者になって、冬日程に変更。いずれもコロナ禍がらみで、いろいろ変更があった結果が9名。
今回の秋の普及コースは、博物館実習の受け入れ担当であると同時に、実習生に手伝ってもらうイベント、大阪自然史フェスティバルの主担当でもあった。そのため、毎日、全員の実習ノートをチェックすることに。地味に面倒だった。
博物館実習性を、大阪自然史フェスティバルに投入するようになったのは、2017年以降。2020年と2021年はフェスティバルがなかったので、これで3年ぶり4回目。いろいろ忘れてることもあったし、当初からの課題が残ったままではある。ともかく、2017年からパターンは同じ。
1日目:オリエンテーション
2日目:フェスティバル準備作業(名札作成、看板・掲出物作成)
3日目:会場設営
4日目・5日目:フェスティバル運営・撤収
通常の標本実習の博物館実習は、おおむね午前9時半〜午後4時。しかし、普及コースは、1日目と2日目は同じだけど、その後は不規則。3日目は、今回は午後1時〜午後5時とした。4日目は、朝の設営があるので、午前8時〜午後4時半。5日目は、撤収があるので、午前9時半〜午後6時。
一番時間帯に悩むのは、3日目。この日は別口でアルバイトの学生も来て、午後3時から研修。実習生にも一緒に研修を受けてもらうので、午後3時集合でもいいのだけど。その前に、午後4時半から出展者がブース設営できるように、会場設営を始めたいというのは大きい。また、できれば学生は明るいうちに返したくもある。
次に悩むのは、5日目。会場オープンが午前9時半なので、そこスタートにせざるを得ないが、会場の撤収片付けは、午後6時では終わらない。これが午後7時なら終わるのだけど、ちょっと長時間になりすぎだし。入りを午前10時半にする可能性があるようなないような。
アルバイトの学生も入れるのか、実習生とアルバイトの人数の比率はどのくらいか、という点で、判断は変わりそう。今年の場合は、会場設営あっさり終わったので、アルバイトにしてもらうことがあまりなかった。実習生とアルバイトともに午前2時集合だったら良かったかも。
5日目は、午後7時まで作業がある前提で、実習生もアルバイトもアナウンスした方が良さそう。とくに来年はもっとブース数が増えそうだし。
●2022年11月23日 食肉類の鎖骨取り
偶蹄類や奇蹄類には知る限り鎖骨はない。でも、食肉類には大抵鎖骨がある。あるといっても、我々霊長類のように肩甲骨や胸骨と関節してはいない。ほぼ機能はないんだと思うけど、胸骨の上端と、肩関節の間の筋の中に浮いている。
そんな食肉類の鎖骨の大きさは、科ごとに違っている。そして、科内では、おおむね体サイズに比例する。ざくっと言えば、ネコ科>イタチ科>イヌ科>アライグマ科と思う(個人の感想です)。ネコ科はイエネコでもけっこう大きい。メスのニホンイタチは小さいから、鎖骨を見つけるのは大変。
同じくらいのサイズの中型食肉類で比較すると、イエネコの鎖骨を見つけるのは簡単すぎる。アナグマも探せば見つかる。しかし、タヌキは少し難易度が高い。アライグマとハクビシンは、いつも見つけられない。他の鎖骨マスターさんにお願いすることになって、悲しい思いをする。
今日は、なにわホネホネ団の活動日。なんと、ネコ科、イタチ科、イヌ科、アライグマ科が並んでる。ネコ科とイヌ科はかなり大きい。これは食肉類の鎖骨取りの修行にぴったり。
油断してたら、ネコ科の鎖骨はすでに取られていたが、大型ネコ科の鎖骨なんて目をつぶってもとれるので、修行にならない。というわけで、残りの鎖骨取りに挑戦した。大きなイヌ科は、簡単に見つかった。体の大きさの差ほどは、タヌキの鎖骨との差は大きくない。続いてイタチ科のアナグマ。イヌ科からの流れだったせいか、アナグマの鎖骨は簡単に発見できた。
最後のアライグマ。アナグマと同じ辺りを同じように探したら、右鎖骨があっさり見つかった。2mm四方くらいの薄いホネ。これは場所を知らないと見つけるの大変。で、右と同じように左も探したけど、見つからない。見つからない〜、と肉を切り開く。これは悪いパターン。元の位置関係がわからなくなると、一層見つからない。一度落ち着いて見直すと、左で最初に切り開いた場所が、右とは場所がずれていた。右と同じ場所はこの辺かな、と探したら発見できた。場所を間違えなければ見つけられそう。
というわけで、アライグマの鎖骨を見つけられたので、免許皆伝。見事に鎖骨マスターの称号を得られた。と思う。知らんけど。
ちなみに、今回見つけた自分的に見つけやすい鎖骨の探し方。
1:肩関節の内側を切って、前肢を外開きに裏返す。
2:頭上に腹側から見てV字型に、左右の肩関節の上内側に切れ目を入れる。
3:切れ目の頭側を裏返して、内側を探す。外側から押すと鎖骨が浮き出るはず。
ってイメージ。
次は、ハクビシンの鎖骨取りに挑戦だ!
●2022年11月22日 大阪自然史フェスティバル2022 振り返り&来年に向けて
ともかく、3年ぶりの大阪自然史フェスティバルが、どうにか終わった。大きなトラブルはなかったと思う。3年ぶりなのでどうなるかと思ったが、実際いろいろ忘れていてとまどったが、意外なくらい今まで通りの部分が多かったと思う。
とはいえ、今回実施して、大阪自然史フェスティバルが完全復活した訳ではない。今回の実施でどこまでできて、課題は何が残ったかを振り返ってみたい。
今回のフェスティバルで得られたものはいろいろある。大きなところでは、
・なにより2年あいて、今まで積み上げてきたフェスティバルの伝統が失われたかと思ったが、意外なくらい伝統は維持されていた。十数年にわたって積み上げてきたものを、ギリギリ維持できたという感じかもしれない。
・コロナ禍での実施モデルが一つできた。今後は、これをベースに対応が考えられる。ネイチャーホールの搬入口を解放するのは、効果的。本館入口の自動ドアを開けるのも、ボトルネックができずに良かった。出展者も、それぞれのブースでコロナ禍対応をしてくれていた。ネイチャーホールは、あと少しブースか入場者が増えたら入場制限が必要だった。ポーチとナウマンホールはかなり余裕。
・フェスティバルの適正な規模、エリア設定に新たな視点が得られた。コロナ禍の功名ではある。ネイチャーホールは、今回くらいのブース数の方が、出展者も来場者も快適。ポーチは、スペースがあったので、椅子を置いて飲食スペースを設定したが、これがちょうど良い休憩スペースになっていた。
・新人学芸員3人が、いずれもよく動けることが確認できた。これは諸手を挙げて有り難い。来年は無理でも、そのうち主担当を任せられそう。
一方で、反省点・課題も多い。最大の課題は、資金繰り。
・今回はフェスティバルの復活を!という形で寄付をかなり集められた。が、来年はどうする?
・それに絡んで、個人でサポートしてくれる方々は増えたが、スポンサー的に振る舞ってくれる企業は減った。この部分がある程度ないと運営側としては、収支が読めなくて厳しい。
細かい課題はいろいろ。
・表で夜にあれやってるの鬱陶しい。セキュリティ上の問題がある。
・ポーチの南西角のブースが、北東風の吹き返しで壁が倒れそうになった。
・ナウマンホールもっと明るくできるのに、手配を忘れてた。
・講堂の定員が少なくなったが、配信で対応できた。ただ、館内に流す手配を忘れてた。
来年もフェスティバルを開催すると思う。おそらく、出展数はさらに増える。資金繰りと並んでの課題は、ブース配置と機材の確保と担当者。
今回のフェスティバルで、想定以上に、ナウマンホールに人が流れていた。風除け室周辺へのブース配置が適切だったのかもしれない。ブース数が増えるなら、ナウマンホールにもっとブースを並べることはできそう。
機材の確保は、2019年に120ブースまでは対応できることがわかってる。この辺りが上限かもしれない。個人販売ブースは、間仕切りのアクリル板がネックになっていた。
今までアルバイトやブース配置を仕切っていた担当者が、あと2回でいなくなる。その後継問題が生じそう。
●2022年11月20日 大阪自然史フェスティバル2022 2日目
フェスティバルの2日目は、搬入がないので、のんびりムード。昨日の続きで、なんとなく2日目がオープンし、しゅくしゅくと閉館を迎える感じ。その後、怒濤の撤収の波がやってきて、なんとかすべて完了したのは、午後6時50分頃。いっぱい喋ったし、いっぱい歩いて運んで疲れたので、じっと静かにしていたい。
2日目朝は、搬入がないから、1日目ほど早くない。でも、1日目とは違う朝のチェックがある。それは、B会場に露が垂れていないか。また夜間に雨が降ったので、その影響も気になるところ。とにかく一番乗りして、B会場をチェック。露はあまり垂れておらず、垂れててもブースは外れていた。ただ、1つのブースにだけ机の上に露が垂れていた。経験のあるブースなので、ちゃんと机の上にカバーをかけていたので、それを拭くだけで事なきを得た。前日夕方にちゃんとアナウンスしておくのを忘れてたのは反省。
夜間の雨は、幸い吹き込んでなかったので、通路の濡れた部分だけ拭けば済んだ。予報によると、もう降らないらしい。ありがたい。A会場への吹き込む心配もしなくて済んだ。
オープンしてからは、ブースも、植物園内の企画も、講堂企画も、問題なく進行。昨日より来場者が少なめで、各会場の上限を上回る恐れもなさそう。とのんびりしていたら、午後から緊急事態発生。
強風が吹いた。それもB会場の南西角のみ。外の風向きは北東からの風なのだが、建物に当たって吹き返しの強い南風が、南西角の3つのブースだけに吹いた感じ。壁が倒れそうになり、机の上の物が飛ばされたり倒れたりしそう。学芸員や学生スタッフが集まって、物を押さえて、壁を補強。あとはひたすら謝る。
幸いというと申し訳ないが、3つのブースの内、2つのブースは常連さん。各地のこうしたイベントに出展していて、屋外での出展経験もあるので、すばやく自分達で対応されていた。経験とは素晴らしい。1つのブースは慣れていないので、スタッフを数人つけて、万が一に備えた。強い風は2時間ほどでなんとか収まった。
今回も、初日からかぶりもんを投入。学生スタッフにもかぶせて回った。コロナ禍だけど、さほど問題にならなかった。かっこいいチョウゲンボウの帽子をかぶってる方がいて、注目していたのだけど、2日目が終わった時点で、寄贈くださった。来年から、これも投入しよう。ちなみにハネハネ団の自作ケイマフリ帽子がとても可愛かった。前回のモズ帽子は置いていったのに、ケイマフリ帽子は持って帰ってた。
3年前を思い出して、今回も各ブースの様子をTwitterでできるだけつぶやいた。毎回、すべてのブースをつぶやこうと思うのだけど、達成できず。今回は40ブースしかつぶやけなかった。ブース見て、やり取りしてつぶやくので、時間がかかる。ちなみに個人販売ブースを強めに紹介するのは、来年、ブース配置を考える時の参考に。という意味もある。毎回参照するの忘れるけど、来年は参照したい。というのもブース内容を勘違いしたりして、今回は、個人販売ブースの並べ方や準備にいろいろミスがあった。ご迷惑をかけたみなさま申し訳ありません。
そして、撤収。撤収はいつも、出展者は自分達でドンドン撤収するので、お疲れさまでした〜、ありがとうございました〜、と挨拶しているだけで、気づいたら大部分の出展者は帰られていた。これも過去のフェスティバルと似た感じ。
その後あるいは並行して、スタッフたちで、壁、机、椅子といった機材の撤収をする。今回はブース数が少ないので機材は少なめ。学生スタッフは多め。なのだけど、機材の撤収・片付けには、以前と同じくらいかかった。要領を知らないスタッフが多めなので、片付け方を忘れ気味だからかもしれない。
●2022年11月19日 大阪自然史フェスティバル2022 初日
初日は、朝の設営を突破して、午後4時半の閉館を迎えると一段落。
明日は雨模様という予報だったので、初日終了後、雨対策をするか?となったけど、予報が微妙になってきて、もしかしたら振らないかもという話。ってことで、明日の朝考えることに。
となると、今年は懇親会がないので、もうすることがない。久しぶりのフェスティバルだからか。けっこう疲れて、みんなボヤーとしてる。それから、三々五々、みんな帰っていった。
3年ぶりの大阪自然史フェスティバル。2003年から毎年のように実施してきて、なにかしら培ってきた伝統やノウハウ。コロナ禍で途切れて、10数年かけて積み上げたものが失われるんじゃないかというのが、一番心配だった。そういう意味で、2年空いて、今年実施できたのは有り難かった。
とはいえ、コロナ禍の中での実施。世の中に行動制限はかからなくはなってきたら、やはりクラスターを出すわけにはいかないし、あまり密集するのもまずい。ちゃんと対策している感も必要。初日を迎えるまでにいろいろ心配した。なにより出展者数は絞らざるを得ない。あまりいっぱい申込みが来たら、どこを断るか頭が痛い。
が、蓋を開けてみると、出展申込みは、史上最多だった3年前ほどは多くなく、ちょうど頃合いの出展者数に収まった。出展者の間では、出展者を絞ったと思ってる人もけっこういるようだったが、結局は申し込んだ方は、全員出展を認めた。
出展者の8割ほどは、以前出展したことのある方々であった。そういう意味でフェスティバルに出展する、という習慣は、かろうじてつなぎとめられたのかもしれない。ただ、企業系の出展は半分以下になった。そのため、出展料だけでの運営費用がけっこうピンチ。今回、その部分はクラウドファンディングで補えたが、来年以降の課題ではある。
出展経験のある方々が多かったこと、そして出展者数が少なめだったこと。この2つのおかげだろう。初日朝の設営は、極めて順調だった。いろいろトラブルを想定していたので、ちょっと拍子抜け。
そして、オープン。今回のフェスティバルは、今までとはいろいろ違っていて、運営側としては心配事がいっぱいだった。
・今回は会場ごとに人数の上限を設定していたので、それを超えないか心配。
・A会場は、換気のため大きな搬入口を開放して、前に番を置いた。風や雨、陽ざしなどの影響を気にした。
・植物園との間にゲートをつくらず、植物園内での企画は、少し回って入る必要があって、トラブルが予想された。
・室内企画は、講堂に集中させ、配信と対面のハイブリッドにした。トラブル起きないかドキドキ。
・ブースで人が密集している!とクレームが出ないかも心配だった。
とまあ、いろいろと今までにない心配をしていた。そして、いよいよ迎えた初日。結果的には大きな問題は起きなかった。植物園側から、直接入れないことについて、植物園側にいる人からクレームを1つ頂いた程度。
全体的なフェスティバルの雰囲気、ブースの様子は、3年前とあまり変わらない印象。来場者からも同じような感想を頂いた。にぎわってますね、とも何度も言われたが、3年前と比べると来場者が少なめではあった。ただ、コロナ禍の中ではこのくらいが適当だった。
●2022年11月18日 大阪自然史フェスティバル2022前夜
フェスティバルの前日、それはすでに祭りの中。
午前は朝一で、クジラのポーチのブース位置、というか壁を立てる場所に印をつける作業。電源必要なところに貼り紙して、配線担当に手配。メジャーもって作業してると、遠足の子どもの集団がやってくる。3年ぶりの作業なので、いろいろ忘れてる。ブースの間隔広すぎないかな?
午前はゆったりしていたが、午後からは実習生に会場設営してもらい、実習生・学生アルバイト交えて研修。からの、再び会場設営。夜、遅れてきた学生スタッフの研修。バタバタしている間に前夜祭は終わっていく。
午後1時、まずはポーチに壁を立てる。朝の内に、壁の位置に印を付けてある。そこに立てればいいだけなのに、なんか適当に置く奴がいるので、見張らないといけない。電源が必要なブースには印が付けてあるので、それを維持するようにも見張る。T字型の脚だけでは壁の脚が足らないので、その指示も必要。
続いて机を出してくる。今回はブース数が少ないので、おおむね1ヶ所から全部出せてとても簡単。あまり指示もしなくていい。かと思ったけど、足らないというので、会議室や集会室から、いくつか抜いて運び出す。あとからチェックに行ったら、まだまだ机は余っていた。机チェックを初心者に任したので、どの机まで使えるか判らなかったらしい。分解してあるのは、机と認識されていなかったかも。
そして椅子を出してくる。これは3ヶ所から引っ張り出すので、なんかバタバタしてた。でもまあ、ブース数が少ないのもあって、1時間半ほどであっさり終了。
ここまでの会場設営が、おおむね実習生だけで終わってしまった。で、休憩はさんで、午後3時から、やってきた学生アルバイトを交えて、ゆっくりと学生スタッフ向け研修。役割分担と学生スタッフの心得を教え、会場を案内して歩く。3日前から来ている実習生は館内の様子が分かってるし、博物館の行事に来たことのある5人ほども館内地理は判ってそう(1人はアルバイト経験者)。でも、本当に初めての人は、館内連れ回されても、ぜんぜん判ってないだろうなぁ。と思いつつ連れ回す。本当なら、この後に設営作業をして、徐々に土地勘を養うんだけど、設営が、実習生だけで出来てしまったのは誤算かも。
学生スタッフの研修が終わったら、午後4時半ちょっと前から、残りの展示設営の続き。壁、机、椅子以外の機材運び。午後5時には機材運びは完成して、実習生は解散。その後、1時間ほどで案内系設置も一段落して、学生アルバイトも解散。この段階では、出展者もボチボチやってきて、ブースの設営作業をはじめる。
学生スタッフが帰った後、細々とした会場設営の仕上げ。自分の担当ブースを持ってるスタッフは、その設営。かくいう私も本の紹介文を貼りだして、本を並べる。ほぼ一段落な気分だけど、まだブースのセッティングをしている人達がいる。
午後8時10分。前日設営のすべての団体が、作業終了。会場の電気を消した。最後に、隠してある帽子達を出してきた。フェスティバルの時しかかぶらないので、3年ぶり。あまり見覚えのないモズがあるんだけど、誰にもらったのか思い出せない…。今日は3年ぶりに会う人がいっぱいいた。明日もいっぱいいるだろう。
●2022年11月17日 フェスティバル2日前
明日のフェスティバル前日は、午後から会場設営。バタバタして、明後日明明後日のフェスティバル本番になだれこむ。その直前の今日は、ちょっとしたエアポケット。
博物館実習は2日目だけど、他の人の指示のもとフェスティバルの準備作業をしてもらうだけなので、時々チェックするだけ。
搬入団体も1つだけ。これまた時々見に行く程度。
この期に及んで、フェスティバルの準備は、会場掲示物の打ち出し担当や、出展団体の配布物を用意する係は忙しそうだけど。自分担当部分で大きいのはない。
・学生スタッフの役割分担を考える。
・学生スタッフの研修の準備。
って程度。でも、次から次への気になることがあるので、確認と調整に明け暮れる。気になってるポイントは、おおむね2つに整理できるっぽい。
【外でのイベント】
・スタッフの出入りについて、ゲートのスタッフに連絡。
・スタッフのリストを確認。
・パーティションにはる、通行禁止の紙の手配を確認。
・担当学芸員とイベントの集合場所と溢れた時の対応を打合せ。
・雨天中止の時の段取りを確認。
【講堂プログラム】
・講堂プログラムの配信について、担当学芸員に確認。
・主催者からの要望に応えて、講堂の掲示物の確認と手配。
・講師控え室の手配。
・パネルディスカッションにうつる時の段取りを担当学芸員と相談。
いろいろ気になって、何度も打ち出し担当スタッフに確認したけど、それで判明したことは、ガタガタ言わなくても、ちゃんと全部用意されてるってことだった。今まで何度もやってきたから、そらそうか。邪魔して済みませんでした。
とりあえず、明日の朝一番には、B会場のブースの配置をバビって、電気いるブースに印を付けるお仕事。その準備だけして今日は帰ろう。
●2022年11月16日 博物館実習 2022年秋期普及コース オリエンテーション
今日から5日日程で博物館実習がスタート。大学生が9人。1人が直前に濃厚接触者になって断念した。
初日の今日はオリエンテーション。大阪自然史フェスティバルの準備・設営・運営・撤収が中心の普及コース。過去2年はフェスティバルがなくなったので、普通の標本実習になたtけど、今年は久しぶりにフェスティバル実施。次回のために今日のスケジュールを記録しておく。
09:30 博物館実習スタート と思ったら4人しかいなかった。残る5人は、部屋が判らなかったらしい。とりあえず揃ってから、出欠取って、資料を確認して、名札を作らせて、友の会に入会させる。ブログの担当も説明(担当したブログを書いて始めて、実習を受けたと認めることを宣言)。
予定通り、大阪自然史フェスティバルの準備・運営・撤収をしてもらうので、入り時刻と終了時刻を説明。新型コロナウイルスに感染、あるいは濃厚接触者になったら、出席を断念して、すぐ連絡するよう指示。ブログの書き方と担当のブログを書いて実習を完了したと評価するとの説明。
10:00〜11:30 博物館の間取り、沿革、事業内容(研究、資料収集、展示、普及教育)、友の会・サークル・ネットワークなどの説明。フェスティバルの意図も真面目に説明。博物館に足りないものとして、お金、人手、スペース。博物館での新型コロナウイルス感染症下の状況と、その対策や悩みを交えて。
※実習生を机1台に1人の配置に(前もって配布物は設置)、机を後ろ寄りに間隔開けて。
(休憩入れるの忘れた)
11:30〜11:55 管理棟の案内・解説。館長室入った。旧実習室やトラックヤード等あちこちに置いてある標本などについて言い訳。特展準備室でパネルの説明、A会場になるネイチャーホールを見せる。植物研究室と地史研究室の様子を比較。書庫の1層目と2層目を見学。控え室になる外来研究室をチェック。旧収蔵庫を回って終了。
※9人をまとめて連れて行った。
(11:55〜13:00 昼休み)
13:00〜14:00 収蔵庫見学ツアー。3つの収蔵庫をめぐって解説。二層構造の秘密、壁の違い、タイプ標本、火災時の対応など。なぜ収蔵庫に本があるかも説明。萌蔵が液浸収蔵庫で作業していたので、少し説明してもらった。クモのタイプ標本が整理されていて驚いた。
※9人をまとめて連れて行った。
(14:00〜14:10 休憩)
14:10〜15:30 展示室見学ツアー(常設展)。メンテナンスがメインテーマ。電気の球換えの難しさ、掃除のしにくさを中心に、ダメなケース、ダメな展示を紹介して歩く。また壊されたハンズオン展示を説明したり。第5展示室では、アナログのゲームや参加型展示の効果とメンテナンスについて解説。 博物館におけるミュージアムショップの普及教育的意味についてもふれた。
※9人をまとめて連れて行った。
15:30〜 実習ノートの記入。
実習ノートは学芸員がチェックして、コメントなどを書くので、学芸員とのコミュニケーションツールとして使うように、って今回も指導してみた。今回チェックする学芸員は一人だけなので、私との交換日記という言い方もできそうだけど、キモイからやめた。
●2022年11月15日 カワウの繁殖期
1970年代、日本のカワウの繁殖地は、2ヶ所ほどにまで減少した時期があった。それが1980年代に増加に転じ、琵琶湖を皮切りに西日本にも拡がった。当時、日本全体を見渡せば、一年中どこかでカワウが繁殖していた。というのも、多くの場所では2月〜8月頃に繁殖していたのだけど、東京上野の不忍池のカワウだけが、9月頃に繁殖期が始まって、冬まで続くという不思議なタイミングで繁殖していたから。
今でも、大部分の場所のカワウの繁殖期は、基本的に2月〜8月頃。ただ、大きめの繁殖地では、営巣密度が高まって、巣場所の取り合いがはじまるからだろうか。年々繁殖開始時期が前倒しになっていく。堺市大津池で見ていたところでは、最初は繁殖開始は3月頃だったのが、2月になり、1月になり、12月になっていった。そして今では11月から営巣を始めているのも珍しく無い。一方、同じ堺市でも営巣密度の低い大泉池などの小さな繁殖地では、3月頃から繁殖が始まる。
長居公園の大池では、今年からカワウが繁殖を始めた。最初の営巣は2月に始まった。ピーク時でも12巣だけの小さな繁殖地。
で、気になってるのは、11月になって、今年つくった古巣にカワウがのっていること。2羽で乗ってる場合もあるけど、2〜3巣では抱卵姿勢で座ってる。もしかして、もう次のシーズンの繁殖が始まってるんだろうか? たしかに大津池ではすでに営巣が始まる季節ではあるけど、こんなに小さなできたての繁殖地で、11月から営巣を始めるとは予想してなかった。とりあえず来月ヒナが登場するか要注目。
●2022年11月13日 久々のフェスティバルの準備
今日のジュニア自然史クラブのミーティングは、来週末に迫った大阪自然史フェスティバルの出展準備。2019年以来の3年ぶり。部員の顔ぶれは大幅に変わり、主力は全員入れかわってる。となると、3年前まで、どんな準備をしていたかも伝承されない。
ただ、幸いなことにOG・OBが補助スタッフとして参加してくれて、指導的な役割を果たしてくれた。とても有り難い。
で、結局、
・鳥の羽根のしおり作り
・活動の様子の画像を切り貼りして、壁新聞
・メンバーが作った昆虫などの標本の展示
といういつもの3本立て。例によって、斜面ケースと壁に展示して、畳に座って、演台に並べたしおりを売ることになりそう。
鳥の羽根を何人かが持ってきたし、なんと3年前の鳥の羽根の余りがいっぱい出てきたので、材料には事欠かない。穴開けてリボンを付けるんだけど、例によってリボンが足りない!と言い出す奴ら。しかし、今回はOGの補助スタッフが買いに行ってくれた。助かる〜。羽根の名前は、OBの補助スタッフの鳥屋が決めてくれた。助かる〜。
で、ちゃんと羽根しおり売れるんやろうなぁ。
【追記】
フェスティバル当日。最初は、畳にすわって、さほど声を出せずに、ろくに売れてなかったけど。OG・OBか誰かが入れ知恵したらしい。羽根しおりを売り歩き始めた。でも、最初は知り合いにしか売りつけられないらしく、何度もこっちにやってくる。でも、そのうちに色んな人に売りつけることが出来るようになっていってた。そこそこの売上げになっていて驚いた。3年前とあまり変わらない。
すっかり伝統は途絶えたかと思ったけど、伝統は根強かった。ただ、ニワトリの着ぐるみのことは誰も教えなかったらしい。結局、今回は登場しなかった。
●2022年11月12日 大阪市のカラスの変遷
都市鳥研究会から原稿書いてと言われたのが先月。気軽に請け合って、締め切りが近づいてきて、後悔しつつ焦ってきた。
ただ、幸いにも真面目な論文とかではなく、ニュースレターの記事。気楽に書いていいとも言われてる。そして、分量はざくっと、図表いれて2ページ。そんなにテキスト量は多くない。
とは言えカラスは、持ちネタではないので、データを探してこないといけない。大阪のカラスについて、手元にあるデータは、
・大阪鳥類研究グループで1997年から5年ごとに実施している公園で繁殖する鳥の調査。ちょうど今年2022年は6回目の調査を実施した。もちろんカラス2種は出てくる。ハシブトガラスの増加が示せるのは知ってる。
・2012年と今年2022年に実施した大阪市内のツバメの巣の調査。ツバメの巣を探すついでに、カラスを確認した位置も記録している。
この2つがあれば、大阪市内の公園と市街地それぞれのハシボソガラス・ハシブトガラスの分布や個体数、そして複数回しているので個体数の変遷が語れるはず。
でも、分布の話をすると長くなりそうなので、カラス2種の個体数の変化にしぼることにする。公園調査のデータは、どっちみち今年の分を整理しなくちゃだったし。ツバメ調査の際のカラスの情報は引っ張り出しておきたかった。
で、データを眺めてみると、
・公園のデータによると、ハシブトガラスは1997年〜2022年にかけて、ずっと記録される公園数は増加している。ハシボソガラスは、途中で少し増えたが、今年は初期値に近い感じ。総じて個体数はあまり変わっていない。
・ツバメの巣さがしのついでに数えていた結果では、ハシブトガラスは全体的に増加傾向にあると言って良さそう。一方、ハシボソガラスは10年前時点でもあまり多くない。それとの比較なので傾向は読みにくいけど、かな少しけっこう増えていた時期なので、この10年で減っているというのは、公園のデータとフィットしてる。
というわけで、
大阪市のハシブトガラスは、現在も増加し続けている様子。ただ、そろそろ飽和してきてるんじゃないかとも思う。すでにほぼすべての公園で記録されるようになってるし。
一方、大阪市のハシボソガラスは、この25年ほどではさほど変化はないんじゃないかと思う。というか、25年前時点ですでに、減った後だったんじゃないかと思う。ちなみに今年のツバメの巣探しをしている間は、10年前と比べてハシボソガラスが随分減った、と思っていたのだけど、データを比べてみると、減ってはいるが、そこまでではなかった。
●2022年11月11日 職場体験の対応
久しぶりに職場体験の対応。近所の中学生2人。昨日から来ていて、昨日は館内ツアーをしてから、昆虫標本の整理をしたらしい。幸い、昨日、先生が様子見にきた後らしい。ということで、今日は心置きなく、ホネ洗い。
午前は、アカカンガルーの脚を1本ずつと、ウマの脚を1本ずつ洗ってもらった。その間に、こっちは、ラクダの前足1本、イノシシ頭骨、アライグマ陰茎骨、ピューマの頭骨・椎骨・肋骨・脚2本を洗った。ここまでで2時間。残る30分で、カンガルーとウマの脚のホネの説明。ウマの後肢のホネ並べ。そして、収蔵庫でホネを見せて、昨日は見せてもらわなかったという液浸収蔵庫の1層目を見せた。
午後は、再びウマの脚を1本ずつと、ピューマの脚を1本ずつ洗ってもらった。その間にネコの脚4本、スナメリ尾椎を洗って、実習室の片付け。ここまでで1時間半。残る25分で、ピューマの頭骨の解説からの、ピューマの椎骨並べ。最後はバタバタした。
よく考えると、やってもらったことは、
・アカカンガルー、ウマ、ピューマの脚を4本ずつ洗う。
・ウマの後肢、ピューマの椎骨のホネ並べ。
ってだけだった。これで良かったんだろうか? ただ昼休みにもウマの後肢を並べてたらしく、けっこう上手に先を組んでいた。それなりに興味はあったのかもしれない。
●2022年11月9日 いよいよ大阪府のカワネズミの実態が明らかになるか??!
聞くところによると、昨年2021年、カワネズミのプライマーが開発されて論文で発表されたそう。ということは、環境DNAでカワネズミの生息調査ができる時代に突入したということ!
カワネズミといえば、大阪府で記録はあるもののその生息状況は謎に包まれている。確実な記録、というか文献に載ってる記録は、箕面市と河内長野市。
◆西川芳太郎(1977)箕面の哺乳類.箕面川ダム調査: 244-254.
◆朝日稔(1977)金剛・生駒山地・和泉山脈の中・大型哺乳類.金剛・生駒山地及和泉山脈の環境調査(学術調査): 83-92.
箕面市は、箕面川ダム建設の前に、そのアセスメント調査の際に箕面川で観察されている。その観察地点は、今はダム湖の底。河内長野市は、石川上流部の岩湧山辺り。とはいえ、どちらも1970年代の話。近年の記録はない。
他に大阪府では、能勢町で昔は見られたという。生き物全般に詳しい方が見たと言っておられるので、確度はけっこうあるんじゃないかと思うけど、直接話を聞いていないし、具体的に何を見られたのかが聞き取られていない。
1990年代以降だと、河内長野市石見川で観察情報がある。観察者に直接話を聞いたが、具体的で確度は高そう。
もう1カ所、高槻市の摂津峡で観察されてると聞いた。が、釣り人が見てるらしいでぇ、と聞いた程度なので、なんともいえない。
こんなカワネズミの生息調査は、
・トラップを仕掛けての捕獲調査
・サワガニの喰い跡などのフィールドサイン探し
・夜間の直接観察
フィールドサイン見つけてから、トラップなり夜間観察なりが手順らしいが、とても面倒。慣れない鳥屋は、フィールドサインもよくわからない。というわけで、環境DNAが使えるなら、とてもありがたい。
今回は大和川水系の調査プロジェクト絡み。なので、北は断念して、石川と石見川、ついでに加賀田川も採水してもらう。これでもしカワネズミが検出されたら、トラップなども考えよう。
今ちょうど能勢町のレッドリスト作成が行われてるけど、関連予算でカワネズミ調べられるといいなぁ。
●2022年11月8日 大和川水系の河川で採水して環境DNAで生息の有無を調べたい生き物
2023年度から、大和川水系調査プロジェクトが4年計画ではじまる。2002年度〜2007年度に実施して以来、約20年ぶりの2ndシーズン。
考えてみれば、前回は使える学芸員が薄い中で、よくスタートさせたなと思う。最初から最後まで動いたのは、水質班、甲虫班、鳥類班・両生爬虫類班の3人だけ。最終年度になって、後半になってようやく使える水草屋と無脊椎動物屋が加入して、なんとか形になった感じ。
甲虫以外の昆虫は、水生昆虫もトンボも調べられなかったし。淡水魚嫌いな魚屋は、酒買って呑んでるだけだったし。スタート時点の無脊椎動物担当や植物担当は、ほぼ他人事だった。
それに比べると、今回は学芸員が充実してる。最初から水草班も無脊椎動物も動きそう。魚屋もやる気がある。昆虫担当には、トンボも調べるようにと釘を差してある。
そして、何より今回違うのは、環境DNAも調べようということになってること。より一層、資金が必要ってことではあるけど、水関係なので、科研費落ちてもどっかで取れるんじゃないかと…。
で、今年度はプレイベントではないけれど、お試しに環境DNAを調べてみようということになった。お試しなので調べられる回数は1回だけ。調査地点も少なめ。そして、あまり多くのターゲットは狙えない(地点数×ターゲット数で金額が決まるので)。
いくつかの魚は調べるとして、モクズガニもええなぁ。流水性の昆虫はなかなか調べる対象が思いつかないなぁ。水草も厳しそう。って中で、担当の両生爬虫類、哺乳類、鳥類で調べたいのはあるかと問われた。改めて問われると難しい。
両棲類:とりあえずサンショウウオ類はターゲット。カスミサンショウウオ改めヤマトサンショウウオは止水性のなので難しそう。他の、オオサンショウウオと流水性小型サンショウウオは、調べてみたい。オオサンショウウオは大和川水系にはいないことになってるから、あまり食指は動かない。ヒダサンショウウオは、奈良盆地のごく局所的にいることになってるけど、前回見つけられず。これは是非調べたい。ブチサンショウウオ改めコガタブチサンショウウオ改めマホロバサンショウウオは、大阪府川の石川水系には広く分布することが判ってるけど、奈良盆地の分布は調べたいかも。
河川にいるカエルはカジカガエルだけど、これは鳴き声で調べたらいいから、環境DNAはいらん。
爬虫類:カメで気になるのはイシガメとスッポンだけど。調査地点数少ないと、中下流のは調べてもあまり意味がなさそうなので、断念。カミツキガメ調べてみるというのは、可能性としてはあるかもだけど。
哺乳類:ヌートリアは観察記録で充分把握できる。となると一番気になるのはカワネズミ。これこそ環境DNAが力を発揮するはず。上流部で夜行性だし。そして、河内長野市で過去に記録があるので、これを確認したい。
鳥類:上流部のカワガラス、中流部のイカルチドリは分布を押さえたいけど、昼間に調査にいけば把握できる。姿で確認しにくいのは、ミゾゴイとアオシギあたりか。余裕があれば調べてみたい対象ではある。ただ、プライマーはあるのかな?
●2022年11月7日 宇治川沿いのハッカチョウの変遷
京都府でのハッカチョウは、謎の1970年代の京都市での繁殖を皮切りに、2000年代までは京都盆地のあちこちで散発的に記録されてきた。
で、2015年〜2016年に長岡京市から大山崎町辺り。つまり淀川の三川合流の北東部に定着したかと思われた。が、2017年以降は、宇治川沿いを中心に記録されるようになっている。記録されるのはほぼ宇治川の南側。繁殖も確認されてる。が、確認される地点は、毎年のように変わってきている。といってもまだ10年も経っていないが。宇治川の南のエリアにある意味定着した、っぽいけど、おそらく生息数はほんの数つがい。また移動するかもだし、滋賀県大津市雄琴でのパターンのように消える可能性も残っている。一方で、奈良県大和郡山市のように定着するかも。
で、この6年の手元にある宇治川沿いとその南のエリアの記録地点を年ごとに整理してみる。
2017年:巨椋干拓地
2018年:なし
2019年:巨椋池排水機場
2020年:久御山町東一口、久御山町西一口、久御山町大橋辺北島、宇治市莵道車田
2021年:久御山町東一口、巨椋池排水機場、久御山町中島法楽寺、宇治市槇島町郡
2022年:伏見区横大路千両松町(★ここだけ宇治川の北側)、久御山町中島沖ノ内、久御山町中島法楽寺、久御山町相島曽根、宇治市槙島町薗場、宇治市槇島町大島、城陽市寺田今堀
巨椋池排水機と久御山町東一口はほぼ同じ場所。ってことを考えつつこれを見ると。京都府の宇治川の南のエリアでのハッカチョウの繁殖分布は、久御山町、宇治市、城陽市に分かれていて。それは、
2015年〜2016年:大山崎町・長岡京市
2017年〜2019年:久御山町
2020年〜2021年:久御山町・宇治市
2022年:伏見区・久御山町・宇治市・城陽市
といった感じで、年々変化している感じで、2022年に拡がってる。この全ての地域に定着してるとは限らないけど、もしかしたら2022年は広く定着しはじめた重要な節目の年なのかもしれない。
●2022年11月6日 観察会の行き先を考える
担当者の都合で、鳥、哺乳類、石or地層ネタがある場所。というお題で、観察会の行き先を急遽考えなくてはならなくなった。鳥はまあまあ、どこででも観察できる。でも、哺乳類はかなり難しい。地学ネタもけっこう場所を選ぶ。これが、鳥、植物、昆虫だったら、どこでも大丈夫なのになぁ。ただ、今回の観察会は1月なので、昆虫は少し限られるかも。
そして、コロナ禍のおり。バスには乗りたくない。いや、もちろんロープウェイもやめとこう。ということで電車の駅で集合・解散出来る場所。あと、コロナ禍のおり、広い昼食場所がある、または半日日程で大丈夫な場所。
ここまででも、けっこうしばりが多いのだが、できれば子ども連れが気軽に参加できる場所。あまり遠くはダメ、歩く距離が長いのもダメ、アップダウンが激しいのもダメ。
この条件で行ける場所をあれこれ考えた。とりあえず山は最初から断念、農耕地をウロウロするのは、コースが難しい。
●公園:子ども連れにはいいし、鳥もいるのだけど、哺乳類と地学ネタには乏しい。そして公園に行くと、植物の説明がないのは辛い。思いついた場所は、
・奈良公園:シカやムササビがいるので、哺乳類ネタは大丈夫。でも地学が…。
・山田池公園:ヌートリアがいる。でも地学ネタがない。
・服部緑地:同上
→公園は断念。
●海岸:平地なのはいいけど、大阪府中心部からは、どうしてもやや遠方になる。鳥はいるし、地学ネタも大丈夫。でも、哺乳類ネタが厳しめ。ホネを探すか? あと貝を中心に海の生き物の話がないのは淋しい。思いついた場所は、
・岬町の海岸:岩礁海岸沿いに歩く。鳥はいるし、地学ネタもある。でも哺乳類ネタがない。ビーチコーミングにはならないので、貝が判らなくても大丈夫?
・阪南市の海岸:これは浜が多いので、ビーチコーミングより。やっぱり哺乳類ネタがない。
→海岸は厳しめ。
●河川:中下流部なら、歩くのはらくちん。鳥はいる、河原で石の観察ができる、哺乳類の足跡や巣なども探せるんじゃ?
・淀川上流部:鳥はいる、河原に下りられる、カヤネズミ・ハタネズミ・キツネはいるよね。少なくともカヤネズミの巣探しはできそう。
・石川:鳥はいる、河原に下りられる、カヤネズミやヌートリアがいる。ここでもカヤネズミの巣探しができそう。
→河川よさそう。他にも猪名川とか大和川とか、大阪府内だけでもいろいろ設定可能。でも、哺乳類と鳥類の多様性からいえば、淀川かな。石は面白いのかな?
●2022年11月5日 ジオカーニバル初日
正式名称は、「子どものためのジオ・カーニバル」らしい。長らく大阪市立科学館で開催されていたのだけど、時々うちでもやるようになったなぁ。と思った頃にコロナ禍突入。3年ぶりに開催された。
今までは、あまり気に留めたことがなかったのだけど、2週間後に大阪自然史フェスティバルを控えているので。コロナ禍での開催の様子を確認しておかねば。ということで、いつになくチェックを入れている。
ジオカーニバル会場のネイチャーホールは、フェスティバルのA会場。なので、A会場の運営の参考になるはず。ただいろいろ違いもある。大きな違いは、
・ジオカーニバルのブース数は12と少ない。フェスティバルでは同じ会場に40ブース入る。そのため、ジオカーニバルでは可動壁を使ってない。そして、ジオカーニバルは一つのブースが大きい。
・ジオカーニバルは申し込み制で、2時間が1コマで、1日3交代。フェスティバルは、当日参加のみ。ジオカーニバルでは、名簿チェックや入れ替えのオペレーションがある(入れ替えがうまく行くか心配してたけど、とてもスムーズだった)。あと、ジオカーニバルは受付時に検温。フェスティバルは入口で検温(ジオカーニバルも定員に余裕のある回は、当日参加OKで、入口にハンディな検温機がある)。
でも、同じ会場を使うから同じ部分も多くて、いろいろ参考になる。気付いたのは以下の通り。
・ジオカーニバルの各回の入場者は120人定員。今日の初回にきていたのは100人弱っぽい。スタッフ入れて、会場内にいる人数が約120人。可動壁がなくて見通しがいいせいもあるけど、会場に人はいるけど、混んでる感じはしない。ちなみにコロナ禍で、この会場の定員は300人。可動壁入れて、ブース数増やして、300人入ったらまあまあ賑やかにはなるかも。いつものフェスティバルだと、混んでる時は500人くらい入ってるのかも。ただ、ジオカーニバルは小さい子どもを連れた親子連ればかり。大人が多いフェスティバルは、同じ人数でも、もっと嵩高くはなるだろう。
・フェスティバルの時は、上限の300人を超えないように1時間に1回人数カウントを行う。少なくともジオカーニバル程度の人数だと、ざっと一周するだけで簡単に数えられるし、カウンターも必要ない。
・換気のために大きな搬入口を開けてある。フェスティバルでも真似をしようと思ってる。二重にパーティションを貼って、「ここから出入り禁止」の表示をして、番人をおいてある。これだけすれば、出入りする人はいなさそう。今日は晴れてるし風もないので、雨が吹き込むとか、寒いとか、風が迷惑ということもない。ただ、晴れてるので、陽が差し込む。午前中は西寄りにかなり陽が当たる、それよりも昼からの東寄りの差し込みが大きい。午後2時を過ぎると陽は差し込まなくなる。ブースの配置では配慮がいるかも。周辺は明るくていい、という側面もある。
●2022年11月4日 砂場のニタリクジラ骨回収 第2弾
10月27日に続いて、昨年7月に砂場にセットしたニタリクジラの骨回収の続き。肋骨を回収した。肋骨回収したら、中に頸椎も混じっていた。頸椎も持って帰ってきていたのかぁ。と、15ヶ月経つといろいろ忘れている。第1弾では、尾椎が18番目までしかなく、大きさからして、あと2つはありそうと思っていたのだけど、今日、肋骨の群れの端っこで19番目を発見した。こんなところに紛れていたとは。さらに探せば20番目も見つかるかもしれない。
肋骨の回収の前に、回収した肋骨を水漬けする場所が必要。ということで、先日水漬けした大きめ尾椎11個を、水揚げして、洗って干した。まあまあ綺麗になってるが、少し肉がこびりついている。干からびさせてから削り取る予定。水洗いして干したら、骨の小さい穴から、茶色い水がドンドン出てくる。中までしっかり乾かすには、しばらく陰干しの必要がありそう。ついでに肩甲骨も洗った。肩甲骨の中からも茶色い水…。
これで砂場に残るニタリクジラ骨は、頭骨と左鰭のみ。左鰭は、トリ先生の出動待ち。頭骨はどうするか悩ましい。人数集めて、運び出して、できれば水漬けしたい。でも大きいので水漬けする場所が…。吻を抜けばいいのかなぁ。立てれば、大部分は漬けれるけどなぁ。
ちなみに、これから回収してきて砂場にセットしなくてはならない胸椎と腰椎は、合わせても5m程度の予定。頭骨が残っていても、砂場へのセットは可能。ただ、残る肋骨の量次第では、ギリギリかもしれない。
●2022年11月3日 冷凍ストッカーが成仏
数日前から、ブーーーーーとうるさくなった。吸気部分に埃が溜まっていたから掃除してみたけど、やはりブーーーーーと言ったまま。それが今朝静かになってたらしい。尻尾がふと見ると、水がいっぱい流れている。死んでしまったらしい。
思えばこのストッカーは、採用されて少ししてから、買ってもらった気がする。たぶん1997年ごろ。となると、もう25年。思えば、隣にあった縦型冷凍庫が満杯になったから買ってもらった。その縦型冷凍庫が壊れて、慌てて中身をこっちに移したりもした。今やこの冷凍ストッカーが最長老だった。
冷凍ストッカーは、休みなくずっと働いてる。25年休まずなら、成仏するのも仕方がない気がする。安らかに眠れ。と、思ってたら、時々またブーーーというんだけど。成仏できてないのか? 心残りがあって、霊となっているとか。あるいは復活があるのか? 復活するのは預言者なのかゾンビなのか? といろいろ気にはなるけど、とりあえずは完全な霜取り状態。復活を待ってたら中身が腐ってしまう。
幸いなことに、隣に割と物が入ってない冷凍ストッカーがある。大人の事情でここに置いたけど、使い道が決まってなかった。しかし、今は非常事態。とりあえず隣の冷凍ストッカーに中身を移す。このままこの冷凍ストッカーを占領することになりそうな予感。となりに手頃なのがあって、よかった。
●2022年10月31日 2022年10月のまとめ フェスとクジラ発掘の準備
今年はずっと忙しかったけど、8月で一段落。といいつつ9月はいろいろあって、10月こそ一段落。と思ったら、フェスの準備はいろいろあるし、12月のクジラ発掘の準備も入ってきた。とはいえ、まあまあ時間はあって、気になっていたことをいろいろ処理できた。
そんな2022年10月を振り返ってみよう。
ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。奈良県1コースと京都府2コース(1日で調査するけど)のハッカチョウセンサスも実施。
地元公園のセンサス調査と果実チェックも再開。まだ果実チェックは1回しかしてないけど。今年8月から始めたばかりの、カワウのねぐら調査は、今月も実施。少しカワウが増えた。
ホネホネ団の活動は、4日予定して4日実施した。が、後半は人の集まりが悪く(いきもにあのせいか?)作業はさほど進まず。
昨年のニタリクジラの残りのホネの回収の日程が確定した。うまくいけば持って帰ってくるだけなので、昨年よりは気が楽。雨さえ降らなければ。持って帰ってきたクジラのホネを置く場所がいるので、昨年回収してきたホネを砂場からどけないといけない。ということで、とりあえず下顎・肩甲骨・尾椎を回収してきて水に浸けた。ちょうどいいくらいにホネになっていた。砂場に残ってるのは、鰭1枚と頭骨と肋骨。肋骨は来月回収予定。残りはそのままでも、残りのホネは置けそうではある。
登録やラベル書きや、処理を決めかねている標本たちは、まだ某旧収蔵庫に残ってる。
普及行事は、ジュニア自然史クラブ、鳥類フィールドセミナー、植物園案内、鳥の調査の勉強会、読書サークルを予定通り実施。鳥の調査の勉強会では、まとめて発表するそうで、その文章についていろいろ相談をうけた。
大阪鳥類研究グループの観察会は、雨と霧の高安山であった。
特別展で展示した鳥の巣は先月片付けたが、卵はまた収蔵庫に戻せていない…。
大阪アンダーグラウンド展で、少しは展示しなくちゃのはずだけど、例によって一切指令がない。
今年度の大阪市立中央図書館での展示の相談が突如始まった。
講演は、幼稚園児の前で、軽くクジラの話をした程度。
査読はなし。頼まれた原稿2本のうち、締め切りが来た1本を書いた。もう1本は来月下旬でいいはず。
出版物の永久保管分に揃っていないのがあるのが判明して、発掘や徴発にいそしんだ。
とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系7冊と、SF7冊。
完全休養日は2日。今年に入って7日目。
健康診断の結果がきた。血圧の下が少し高めに出たのは知ってたが、血糖値も想定外に多角でショック。気にしてるのに。
●2022年10月28日 久しぶりに職務質問
今日は、大和川下流部の右岸河川敷を自転車ではしり、水鳥調査。自転車で走っては、とまって水鳥がいないかチェック。水鳥がいたら、種名と個体数と位置を記録。というのを繰り返す。JR阪和線を超えて走っていたら、前から自転車に乗った警官2人組がやってくる。河川敷で警官に出会うのは珍しい。そして、このパターンは、職務質問されるパターンっぽいなぁ。と思いながら、とまって鳥を探していたら、案の定声をかけられた。
まずは「さびた自転車ですねぇ」と声をかけられる。(心の中で)大きなお世話じゃ。「チェックさせてもらっていいですかぁ」「防犯登録読めませんねぇ」と言いながら、一人が無線で車体番号を問い合わせる。答えが返ってくるまでの時間稼ぎにもう一人が、質問してくる「何してるんですか?」「これはあなたの自転車ですか?」「今日はお休みですか?」「お仕事はなんですか?」。基本的に全部大きなお世話じゃ、と答えたいけど、そうすると時間がかかるので、短く答える。鳥の観察、休み、職場の自転車、学芸員。
しばらくして、コード74という返事が来て開放された。盗難届は出ていないってことなんだろう。
職務質問は何度もされているので、職務質問の仕方の評価ができる。レンタサイクルに乗ってるのに、この自転車お前のか?と尋ねられたわけではないし。いきなり、お前は日本人か?と偉そうに尋ねられたわけではないし。自転車の元々の持ち主に連絡しろ、とごねるわけでもない。そういう意味では、標準的で丁寧な職務質問の部類だろう。
ただ、平日昼間に、ええ歳した男が、さびた自転車に乗ってる。という理由だけで、職務質問するというのは、あまりに安易。もっと眼力を鍛えた方がいいだろう。
ちなみに、職業聞かれるの珍しい。調査終わって帰る時に職務質問されることは多いけど、調査中に職務質問されるのは珍しい。忙しそうにしてたら声をかけないけど、暇そうならかけるのか? 確かに今日は鳥が少なくて、調査中も暇ではあった。
●2022年10月27日 砂場のニタリクジラ骨回収 第1弾
昨年7月に大阪湾に流れ着いたニタリクジラは、頭骨・下顎骨・肋骨(一部)・尾椎・左鰭などは回収して、砂場にセットした。残る頚椎・胸椎・腰椎・右鰭は、埋立地に埋めてもらった。残してきたのは今年度中に回収しなくてはならない。8月に最初の打ち合わせをして、回収作業は12月と決めた。で、昨日2回目の打ち合わせをして、具体的な作業日を決めた。
残りの骨を持って帰ってくるには、砂場をあけなくてはならない。ということで、砂場にセットしてフルーシートをかけてあったホネをチェックした。セットして15ヶ月、一夏経てば大抵のは肉は虫や微生物に喰われてホネになってるはず。ただ丸ごとの尾椎は厳しいかも。と、そこが心配。
臭いからと二重にかけてあったブルーシートをめくると、ゴキブリがいっぱい走る。気持ち悪い!と思ったけど、よく見ると、大部分はハサミムシだった。まあまあ臭い。腐ったクジラ肉の臭いと、アンモニア臭が混じってる。
露出していた下顎骨は綺麗な骨になってる。ブルーシートの下にあった肩甲骨と頭骨もかなりきれい。頭骨のパーツのいくつかが分離していたので、左右に分けて回収。下顎と肩甲骨も回収。頭骨は重いので、しばらくここで露出させて雨にあてる。
で、問題の尾椎を確認。V字骨は所定の位置に落ちてる。尾椎は先の方は肉に埋まってるけど、なんとかすべて掘り出すことができた。番号付きの札をつけて回収。ちなみに尾椎先端の2つほどの骨は失われてるっぽい。回収時にとろけていたので、落ちた可能性が高い。尾椎の先の脂肪はここでもとろけて、茶色く臭いクリームになっていた。
肋骨は、改めて回収することに。左鰭は、お絵かきが必要なので、トリ先生にお願いすることに。
砂場から回収したホネは、別の場所に設置してあったホネと一緒に、まずは水漬け。
●2022年10月26日 キュレーションってなに?
学芸員になって20年以上経つんだけど、キュレーションという言葉は、いまだに謎の言葉。自分で使うことはないし、自分の周りでも使う人はいない。
博物館業界の言葉というより、美術館業界の言葉。あるいは美術館好きや美術館よりの博物館学な人が使う言葉って印象を持っている。というわけで、てっきり自然史博物館とキュレーションは関係ないと思っていたら、関係あるんだそうな。
昨日のゼミで、なんちゃらマネージメント(略してEM!)を研究している方の話を聞かせてもらった。てっきりマネージメントを研究しているんだと思ったら、そのEMとやらは、キュレーションを、経済学的な文脈で活用しようというものらしい(この理解は正確でないかもだけど)。謎の言葉キュレーションが何度も出てくるので、せっかくなので、ここで言ってるキュレーションとは何か、いろいろ尋ねてみた。いろいろ考えることができて、面白かった。
とりあえずキュレーションという言葉には、遥かに広い意味があるらしい。その境界部分を探って質問をしていく。やりとりを続けて行くと、どうやら何かの意図を伝えようとする行為は、すべてキュレーションと呼べるような気配。
自然観察会で、鳥を説明するのはキュレーションらしい。
図書館司書は、本のレファレンスはするけど、なにかの意図は伝えようとはしない。でも、中立的に紹介して、意図は伝えないという意図があるなら、キュレーションと呼べなくもない。
それじゃあ、合コンのセッティングは、なにかしらの意図があって企画するから、キュレーションなのか? なにか特別な場の話だけをしてるようだけど、1対1でも、たいていのやりとりは、意図を伝えるものだからキュレーションになるのでは?
と、ここまで展開すると、キュレーションという言葉は、コミュニケーションとほとんど同義。キュレーションとは言えないコミュニケーションはあるんだろうか? というところで、その場では一段落。これが昨日。
昨日色々話を聞いて、キュレーションとは何か考えてしまった。先人の考えを勉強せずに、勝手に思うところでは。
キュレーションとは、事物を介したコミュニケーションの一種で、その事物自体が本来持っていない意味を付け加えること。受け手側を意識して言い換えると、事物の意味を変えること。
まあ、これは美術館で展示をつくるのがキュレーション。というのをベースにしてるけど。
●2022年10月25日 見せパン体験
今までに数々のジーパンを破ってきた。すぐに敗れるのは、裾の先。これは自転車のペダル周りで引っ掛けるから。後ろのポケット。これは財布を入れていて、何度も出し入れするから。そして、股の内側。これは、自転車に乗ってる時にサドルにこすれるかららしい。珍しいところでは、この夏のツバメ調査の際、自転車で転んで、膝が大きく破れたりもした。
ポケットや裾や膝が破れても平気だけど、股の間が敗れるとかっこ悪い。少し穴が開いた程度なら、見えないから履き続けるけど、穴が広がってきたら、そのジーパンを履くのを断念する。
昼前、ジーパンの後ろが裂けてると言われる。触ると大きく口を開いてる。そういえば、数日前、ジーパンの後ろをなにげに触ったら、小さな穴が開いていた。お尻より上が、小さく避けてる程度で、まあ目立たないからいいか。と思って忘れてた。いつの間にか穴が広がったらしい。
とりあえず、座っていればバレないので、午前中はそのまま座り仕事を続けた。昼休みに自宅へ履き替えに。自転車通勤で良かった。自転車に乗ってる間はいいけど(?)、歩く際は、後ろに誰もいないように注意する。まるでゴルゴ13。
思えば昨日、自転車で近所のため池を巡っていた。自転車を降りる度に何故かお尻がスースーしてた。なんでかなぁ、と思っていたけど、もしかして(もしかしなくても)昨日から大きく裂けていた? ため池を巡った後、イオンモールをウロウロしたんだけど…。
●2022年10月23日 sspp.を使ってみよう
とあるSNSで、spp.とssp.はどう違う?というやりとりがあった。
属名はわかってるけど(学術的な場合でなければ、グループはわかってるけど種不明という意味で使われることもある)、種名は不明って場合に「属名 sp.」と表記する。で、そこに複数種が混じってる場合「spp.」とする。1ページだけならp.で、複数ページだったらpp.とするのと同じ。
種名ではなく、亜種名が不明な場合に「ssp.」を使う。subspeciesの略だな。
なんてやりとりの中で、面白がった某鳥屋さんが、sspp.はないのかな?と言い出した。確かに見たことはない。某ダニ屋さんが、sspp.は原理的に存在しないから、使えない。と返事してた。亜種は異所的に分かれるのが普通なので、同所的に複数亜種が存在することはあり得ないという意味だろう。
移動能力の低いダニならいざしらず、移動能力が高く、渡りをする鳥においては、複数亜種が混在するのは珍しくない。鳥なら、sspp.を使う機会はあると、反射的にレスをつけた。
さすがの鳥でも繁殖期に複数亜種が混在することは思いつかないけど、非繁殖期、渡る亜種がいれば複数亜種が混じってることは珍しくない。たとえば、冬の沖縄島のウグイスとか、冬の南西諸島のヒヨドリとか。そういえば、関西でも冬には、コハクチョウ、ダイサギ、カワラヒワ。いろんな種で複数亜種が混在する。鳥なら、sspp.を使う機会は普通にあるやん。一度使ってみよう!と言い放った。
が、その後、よく考えるとそう単純でもなさそう。sspp.を使う場合ってのは、
・複数亜種が混じってるのが確実。
・でもどの亜種か判らない。
って状況。コハクチョウ、ダイサギ、カワラヒワで複数亜種混じってるのが確実なら、どの亜種が混じってるかもわかるから、亜種名が確定していまう。sspp.を使う必要がない。混ざりうる亜種が3つ以上あって、そのうち2つは混じってるって状況でないと使えない。というか使う理由がない。となると、ハードルは高い。冬の沖縄島のヒヨドリなら使えるかな?
などと考えると、ひるがえってspp.からして、どういう状況で使うのかな?とも思う。言い換えると、どのくらいの確度で複数種が混じってると判断したら使えるのだろうか? 複数種混じってるのは確実だけど、種名が判らない状況って、少なくとも鳥ではなかなか少ない。あるいは、常識的に複数種混じってそうだけど、識別できないなぁ、という場合に使っていいのかな? 学術的にきちんと使える状況は、かなり難しそうに思う。
●2022年10月22日 鳥の観察会で植物を見る
鳥はいないこともあるけど、植物はたいていいる。下見で見つけた鳥が、本番でいるとは限らないけど、下見で見つけた植物は、本番でも観察できる。ということで、鳥の観察会であっても、下見の時に植物ネタを用意しておくと、鳥が少ない時に頼りになる。もちろん鳥とまったく関係ない植物を観察するのは、できるだけ避けた方がいいので、鳥に絡む植物を探すことになる。
なにを隠そう、果実食の鳥を調べたりしているので、鳥が食べる実をつける植物はなにかと話ができる。そのせいで、鳥スペシャルと称して、植物の観察会を担当させられることもある。けど、同じ内容は鳥の観察会でも通用するのである。
先週の下見の時は、ヒタキ類の渡りがピーク。あちこちにエゾビタキやキビタキ。さがせばコサメビタキやオオルリも見つかった。が、1週間経って、ヒタキ類の渡りのピークはすっかり過ぎ去ってしまった。仕方がないので、今日の鳥の観察会では、植物の観察が多め。
カリンの果実がいっぱいなってる。この果実は硬くて、鳥はだれも食べない、食べられない。鳥どころか、日本の哺乳類も食べない、食べられない。ただカラスは、落ちたカリンの果実に穴を掘ってることがある。食べてるのかもしれないが、判らない。
現在、カラスは、実のついたナンキンハゼの枝を落としまくっている。なんのために落としているのか判らないけど、落ちたナンキンハゼの実は開くので、中の白い種子をカラスやハトが食べている。
ムクノキ果実は、キジバト、カラス、ヒヨドリ、ムクドリ、ツグミ類といろんな鳥がよく食べる。結実したムクノキの木は観察の狙い目。今はなんにもいないけど…。
そのムクノキの木の下に、大きなチャンチンモドキの実が落ちてた。これは大きすぎて、丸呑みする大部分の鳥は食べられない。カラスなら呑めるけど、呑むかなぁ。大きな果実でもカキの実は、果肉をちぎって食べられるので人気。カキのタネの周りのブヨブヨは、果肉と一緒にタネを呑んでもらうためのもの。
などと、鳥と絡めて、植物の実の説明をしまくった。最後に池に出た時は、ガマの穂をほぐして遊んだ。これは鳥とは関係ないなぁ。
●2022年10月21日 今年も幼稚園児にクジラの話
ここ数年毎年この時期に、某幼稚園児達にクジラの話をしてる。みなさんナガスケ紙芝居で予習をしてからきてくれる。2年前はコロナ禍で中止、昨年はコロナ禍で部屋の定員をしぼっていたので2回に分けて、今年は部屋の定員の基準も緩んだので、3年前までと同じく、ひとまとめで。5クラス約150人に講堂でお話。
10分のトークと10分の質疑だけなのだけど、けっこう緊張するというか、汗をダラダラかく。前年の様子を軽く復習するだけで、ノープランで話をしようとするかもしれない。幼稚園児のみなさんの質問が難しいかもしれない。
昨年、クジラ庖丁を見せて、それなりに反応がよかった。今年はクジラ庖丁に加えて、徳島のザトウクジラの椎骨1つと下顎1本も持ってきた。事前に送られてきた質問リストは、今年は簡単なので、予習はなし!
最初に今日は3つのことだけ覚えて帰って欲しい。と宣言して、
・ナガスケは、シロナガスクジラではなく、ナガスクジラ。案の定、ナガスケはシロナガスクジラと思っていた子がけっこういた。
・ぶら下がっている3匹とも、大阪の海で見つかったこと。解体作業の話をするのを忘れた…。
・クジラは、歯のないヒゲクジラと、歯のあるハクジラに分かれること。食べ物の話につなげるのを忘れた…。
それからクジラ庖丁を見せて、入手の経過と、解体に使ってきたことを話す。子どもの反応がいい。続いて、先生の一人に前にきてもらって、ザトウクジラの椎骨と下顎を持ってもらう。下顎は長くて重いことは伝わったかと。反応は良かった。
ここまでで13分。
後半は質問コーナー。事前にもらってた質問は13もあったが、1クラス1つにセレクトされてた。
・クジラの歯は何本? →ヒゲクジラは0本。ハクジラで大きいのはマッコウクジラだけで、下顎の片側に20本くらい。帰りにぶら下がってるのを見てみてください。展示のマッコウクジラには付けてないけど、本当は上側にも歯があるので、歯の数はもう少し多い。
・クジラはなんの仲間? →クジラはクジラの仲間だけど、最近は偶蹄類と同じ仲間にされるようになった。偶蹄類はウシやシカやキリンやカバ。
・なぜ長期間倉庫にナガスケをいれていたの? →予習した本にあったかららしい。クジラのホネは研究用に集めているので、収蔵庫に入れておくのが普通。ナガスケはたまたま組み立ててぶら下げただけ。収蔵庫には他にもクジラのホネが入ってる。
・ナガスケのホネは何個? →正確には数えていない。人間の大人で100個を少し超えるくらい。クジラには後足がないから、その分すくなくて、100個より少し少ないと思う(日椎とV字骨を考えるとトントンになるかな?)。
・クジラはなんで海にいるのか? →大きいクジラは、重すぎて地上では暮らせない。大きいから池や川でも暮らせない。暮らせるのは海だけ。イルカは小さいクジラなんだけど、イルカの中には川で暮らしているのもいる。
また追加の質問も受け付けた。時間の都合で2つだけ。質問ある人!と言ったら、いっぱい手が上がった。よく判らない形で先生がセレクトしていた。盛んに手を上げてたのに最後まで指名してもらえてない子もいた。
・イルカはクジラの仲間なんですか? →先生がお話を聞いて不思議に思ったことを訊ねて見ましょうと言ったから、この質問になったらしい。そうです。で終わっては愛想がないので、小さいクジラがイルカで、イルカにはみんな歯があります。100本以上歯があるイルカもいます。と付け加えてみる。
・どうして日本のクジラは少ないの? →日本にはたくさんクジラがいます。みんな陸で暮らしてるからあまり出会わないだけ。
今日は、子どもの反応がよくて、ナガスケは何クジラ?とか、みんなの体重はどのくらいかな?とか、訊ねるといっぱい答えてくれる。静まるのに時間がかかるほど。
●2022年10月20日 読書サークル 第122回会合覚え書き
隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。今回も対面でできた。新型コロナウイルス感染症新規陽性者数が増えてるので、年末は微妙かも。
今日の会合で出た本についての意見を記録。
今回の課題本は6冊。6冊繰り越されてきて、3冊繰り越したので、9冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。
●「幻のシロン・チーズを探せ」
(紹介文4つ、平均★数は2.8)
生物学の本というより、紀行文に近いという意見が多め。そしてミモレットを食べたい、生きたダニがついたチーズを見たい、某チーズ専門店で買ってみた。と盛り上がる。しかし、ダニはチーズが美味しくしてないの?と、少しもやもや。
●「カタニア先生は、キモい生きものに夢中」
(紹介文3つ、平均★数は4.0)
内容はめちゃくちゃ面白いということで一致。読んだ人だけで中身の話で盛り上がりまくる。ワームグランティングをしてみたい!とまた盛り上がる。そして、邦題はクソという点でも一致する。原題そのままでいいのに、という意見があった。
●「石は元素の案内人」
(紹介文5つ、平均★数は3.4)
とても面白いという人は、石から元素を取り出す部分が気に入ってる様子。そして鉱物を並べた周期表がやたら人気が高い。
●「虫のオスとメス、見分けられますか?」
(紹介文4つ、平均★数は2.8)
虫のことがいろいろ判るという点では、みんな楽しんだものの、結局、見分けるには個別に覚えないといけないねぇ。その前に虫を見分けないといけない。ということで、本で仕入れた知識をいかす機会が少なめと、残念に思った人もいた。
●「富士山はいつ噴火するのか?」
(紹介文4つ、平均★数は3.3)
めっちゃ読みやすいと、高評価。なぜかみんな西暦2330年を覚えてた。火山灰対策があまり書いてなかった点が話題に。
●「日本人は植物をどう利用してきたか」
(紹介文4つ、平均★数は3.0)
知識盛りだくさんで、みんないろいろ思った様子。祖父がヨモギで水中眼鏡を拭いていたという証言も飛びだす。ヨモギの杖や築地松などは、印象が強かったらしい。
●「ハナバチがつくった美味しい食卓」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
話題になったのは、ヒトと共進化したミツオシエ。そして、アメリカ合衆国の大規模農業は極端やなぁ、ってこと。
●「LIFE CHANGING」
(紹介文4つ、平均★数は3.0)
とても興味深いテーマで、面白い話題が大量に出てくる。でも、人が手を加えた遺伝子を野に放った場合、生物多様性保全目的であっても大型草食獣を放した場合、コントロールできなくなるリスクの評価が甘すぎるという指摘。イタチやマングースなどを放して、大変な事になっている歴史を学んでないのかという指摘も。外来生物問題についての理解が浅すぎる点も問題になっていた。
●「野ネズミとドングリ」
(紹介文3つ、平均★数は3.0)
タンニンに興味があれば、最後まで読めるという話に。多くの人は、どうしてアカネズミは、ドングリだけ喰ってたら死ぬのか?の謎解き部分だけ楽しんだ様子。
●2022年10月19日 自然史博物館のミッションと、利用者の行動変容
ロジックモデルというのを作るワークショップに参加した。もやもやする3時間弱。まあ、今まで見せてもらったロジックモデルはたいていそうなんだけど。とりあえず、もっと普通な言葉を使えばいいところを、妙な専門用語出してくるのがもやもやの一つの要因。目的のことを、わざわざアウトプットというとか。最終目標を最終アウトカム、その手前の目標のことを、中間アウトカムというとか。段階を踏んで考えましょうってことなんだろうけど、たいしたことをしてないのに、大層な感じにしようとする雰囲気が肌に合わないとでもいおうか。
今回のワークショップの導入では、ロジックモデルは仮説であると最初に言ってた。科学の仮説は、結果を説明したり、予測するのが普通だけど。この仮説は、目的固定して、そこへのプロセスを探る。まあ仮説といえば仮説。もやもやが微妙に一つ増えるけど。
でも、今回のはまた違う意味でもやもやする。
あとから関係者は、これは博物館のミッションと直接のつながりはない、と言い訳していたけど。少なくともワークショップの資料は、これは博物館のミッションを考えるワークショップだとしか読めない。そして参加した関係者も、少なくとも出だしは、そのつもりだったはず。
資料によると、このワークショップは、「市民のSDGs取組に向けた行動変容のためのミュージアム活用シナリオの創出」というプロジェクトに関わるもので。まずは、博物館のミッションに基づく作戦体系図の作成をしようということらしい。その後、3つの技術シーズを作成し、可能性試験を実施して、他地域の総合博物館への展開を目指すらしい。他地域への展開で、なぜ自然史博物館ではなく、総合博物館を目指すのかは謎。
ワークショップの手始めは、自然史博物館は、どんな社会、どんな状態を目指していると思うか、各自が書くようにというお題。ほら、どう聞いても博物館のミッションの話やん。で、一応参加しようと考え始めたけど、みんな書くのが速くて、考えている内に書き書きタイムが終わった。次はみんなが書いたのを、内容の類似性でグルーピング。子ども祭りの班分けのよう。
自然史博物館が最終的に実現したい望ましい状態、すなわち最終目的を、各自から出てきた意見を整理しながら考える。出てきた意見は、主語が、個人、社会、博物館とさまざま。状態ではなく、行動をあげてたりもする。いくつかのカテゴリーに分けた後、カテゴリー間の関係を整理。わざわざこれに時間をかけるということは、みんなの前で整理するこのプロセスが重要ってことなんだろうなぁ。コンセンサス作りってところか。
ちなみに、遅れたので提出しなかったけど、自分で思った自然史博物館が目標とする社会の状態は、「多くの人が多少なりとも自然史科学についての知識を持ち、より深く学びたい人の学習権が担保され、自然史科学の研究が発展していく社会」。他の人の意見には、精神的に豊かな生活や、自然環境の保全イメージが多め。考えてる角度が違いそう。
進行役がきちんと方向付けしないから、角度やレベルが違う意見が出てきてしまう。出てきた意見の整理の段階で、その点をきちんと整理すればいいのに、それもしないので、曖昧なまま進行。進行役が仕事をしてない。
このプロジェクトは、“市民の行動変容によるSDGsへの取組”に、ミッションに基づく自然史博物館の事業がどう貢献するかを考える。という方向性を目指したいらしい。だから、進行役は、市民の行動をどう変容させたいか?という問いかけを繰り返す。おのずと市民の行動変容を軸に参加者は考えることになっていった。だから市民の感情操作なんて、不思議な話が出てきたりする。
この時点で、もう博物館のミッションの議論とは乖離している。明示なしに乖離していったので、ミッションを真面目に考えようとする人には違和感しか与えていない。参加する気も失せた。博物館のミッションは、むしろ博物館自身と周辺の行動変容を記述するものと思う。市民の行動変容を導く必要は必ずしもない(社会は変える必要があるかもだけど、それは市民の行動変容とイコールではないと思う)。
ロジックモデルは、最終目標を「博物館利用者の行動を変容させて、SDGsに向けた取組を促進する」とかにして、博物館のミッションとは別に検討した方がよい。というのが今日の感想。それはそれで博物館の活動指針にもなるし。
博物館のミッションは必ずしも市民の行動変容ではない。と認識できたのが、今日の唯一の成果。
●2022年10月18日 ガンカモ一斉調査
ガンカモ一斉調査は、日本野鳥の会を中心に、毎年1月に実施されているモニタリング調査。完璧ではないにせよ、日本全国規模だし。その継続年数からしても、日本の鳥の世界で、もしかしたら日本のすべての生物でも、一番のモニタリング調査ではないかと思う。
日本野鳥の会の一部の支部を巻き込んで始まったのが、1971年。全国一斉調査として大規模に行われるようになったのが1982年。今年で40年続いている。日本野鳥の会大阪支部は、1971年からガンカモ調査に参加しているので、もう50年以上にわたって大阪府のカモ類のデータが蓄積されていることになる。
そのデータは、少なくとも2001年以降の分は、ネットで簡単に見られるようになっている(https://www.biodic.go.jp/gankamo/data/report/r2gankamo_report_2.pdf)。それ以前のデータもあされば、どっかから出てくるはず。たぶん。知らんけど。
大阪府のデータに関しては、1970年から1997年の分が、
日本野鳥の会大阪支部編(1997)ガンカモ科鳥類生息調査データ解析報告書<大阪府域>(1970年〜1997年).大阪府農林水産部緑の環境整備室,大阪.
に載っている。という訳で、大阪府のデータは、1998年〜2000年の3年分だけ謎。どこを漁ったらいいんだろう?
謎の3年間を除くと、面白いことに、大阪府の調査地点数は、1970年から1997年まで順調に増え続けている。同時に記録されるカモ類の個体数も増えていて、カモが増えてるのか調査地点が増えてるのか判らない状態。調査地点をそろえた比較をすべき。と昔から言ってるけど、ガンカモ調査担当者のだれも手を付けない。
一方、2001年以降は、調査地点数が比較的安定してきていて。そしてカモ類の個体数はややもすれば減少気味。とくに海ガモ3種は減ってるんだなぁ。と思った今日この頃。
●2022年10月16日 論文の書き方
投稿論文ってわけでもないのだけど、中学生に相談を受けて、論文めいたものの書き方の指導をすることに。データは以前から見せてもらっていたので、データからどんな傾向が読み取れるかといった話は、すでにしていた。で、学校に提出する自由研究なんかは仕上げてきている。人前で話したこともありそう。
が、文章にまとめるとなると、かなり勝手は違うらしい。要は慣れてないから。慣れていないのは、論文的なものの書き方に、あるいはサイエンスコミュニケーションに。頭いいので、頭では判っているようなのに、実践は難しい様子。慣れだけの問題なので、ここで頑張れば、今後役立つはず。
気になった点を記録しておこう。
Introdunction:これは大学院生でも書くのは難しい。最初に書こうとするのが間違いで、考察まで書いてから最後に書けばいいのだけど、結果と考察がちゃんと整わないと、イントロも整わないということになる。なにがキッカケで、何を明らかにするのを目的とするか。それを自覚するのは難しい。
Methods:調査地は丁寧に記述しようとするのだけど、調査方法を丁寧に記述していない。自分がどんな調査をしたかを自覚的に説明するのは難しいらしい。あと、データの処理の仕方もここに書くのだけど、そこの配慮が足らないのは、結果の書き方の問題点に通じているのだろう。
Result:図表は作るのだけど、その図表自体にあまり説明がないので、初見ではたぶん意味が分からない。そして、その図表から何が読み取れるかを、結論だけ書きがち。図表のどこをどう見れば、どういう傾向が読み取れるかという書き方が難しい様子。自分は判っているので、判ってない人に何を説明すべきかの判断が難しいらしい。これは、知識をどう伝えるかという問題なんだと思う。
Discussion:考察って難しいよね。結果で結論出てるのに、いったい何を書くねん、ってなりがちなんだと思う。そのため無理矢理書くと、妙な想像の翼を広げてしまう。基本的には、
・どんな調査でも弱点がある。そこときちんと認識した上で、どういう前提でどういう結論が得られたのかを確認する。あるいは言い訳する。
・他の人の研究と比べて、自分が見出した傾向にはどういう意味があるかを考える。
という2点をするのが基本と思ってるんだけど。もちろんこれは慣れないと難しい。とりあえず、自分の結果の限界を認識するという作業からじゃないかと思う。
といったことが中学生でできたら驚き。修論でもできない奴は多い(自分のことでもある)。なんかコンテストでの入選作を見ると、とても上手に書けていて、本当に優秀な人もいるだろうけど、先生が書いてる部分も少なくないんじゃないのかなぁ。と邪推する。
●2022年10月15日 渡りで遺伝的にプログラムされてるのはどこまで?
ツルやハクチョウは、家族で渡るので、幼鳥は親に連れられて渡って、渡りの行き先やコース、中継地などを学習すると考えられる。しかし、大部分の鳥は、親に連れられずに渡る。ということは、なにかしら遺伝的に渡りのノウハウがプログラムされてるはず、ってことになる。
昔から、渡りの衝動に日長が関係している、すなわち渡りの開始が遺伝的にコントロールされてることは知られていたし、おおよその渡っていく方向も遺伝的に決まってるのも知られていた。足環くらいでしか、渡りのルートが押さえられなかった時代には、繁殖地と越冬地の両端以外には、その間の数地点を通っていることが判ってる程度。それなら、渡りは遺伝的に決まってると言われても、なんとなく納得ができた。
が、しかし、近年は衛星追跡からジオロケーターまで、さまざまな技術が開発されて、もっと細かく渡りの様相がわかるようになった。細かいルートとタイムスケジュールが判ってくると、いろいろ疑問が湧いてくる。
たとえば、ハチクマのように、直線的おではなく、グルっと回るようなコースで渡る場合、そこまで遺伝的にプログラムできるの?
たとえば、海上を長く渡らないといけない場合、その直前の中継地で長く滞在して、エネルギーを蓄積するらしい。それは渡るコースの様子をあらかじめ知ってないと無理なんだけど、遺伝的にプログラムできるの?
成鳥であれば、学習でなんとかできる部分もあるだろうけど、初めての渡りである幼鳥はいったいどうしているのか?
・こういう条件があれば、このように行動するという、融通の効くなにかしらのプログラムが設定できるのかもしれない。
・親とは一緒に渡らなくても、同種についていく。同種がいなければ近縁種についていく。といった行動パターンでなんとかなるのかもしれない。
前者は思いつかないケースが少なからずある。後者は、一般に成鳥が先に渡って、幼鳥が後から渡るというパターンからすると、無知な集団で動いても意味がない気がする。
というわけで、どうなってるのか不思議。どんな行動パターンを想定したら、初めての渡りがうまくいくことを説明できるのかな? その前に、成鳥と幼鳥の渡りのパターンが同じかどうかが気になる。
●2022年10月14日 過去の普及三役を遡る
うちの博物館の最大の特徴は、普及教育事業に力を入れていること。らしい。知らんけど。ともかく、それだけに普及教育担当の負担が大きい。各自がそれぞれ行事を分担するのだけど。大きな企画を誰が担当するのか、友の会を誰が仕切るのか、あと毎月の友の会会報(といいつつ伝統的に博物館のニュースレターの正確をもつ)を誰が編集するのか。
これを回すために普及三役というのが設定されている(かつては普及三人組と呼んでた)。とにかく3人が毎年選ばれて、おおむね以下の分担をする。
・普及見習い(その前は普及萬、さらに前はNature Study編集担当と呼ばれていた):名前のとおり見習をし、Nature Study編集を分担する。
・普及担当:普及行事のとりまとめ(人数集計と保険の手配も)、大型行事の担当(通常は、標本同定会と博物館たんけん隊)、そしてNature Study編集。
・友の会担当:友の会評議員会を仕切る、友の会の大型行事の担当(近頃なら、合宿と秋祭りと総会)
これは今の分担で、前世紀にはこの担当はもっと大変だった。友の会担当には友の会の会計の仕切りと、予算・決算の作成があって、なれないと大変面倒。→いまは大阪自然史センターが運営してくれるのでお金にはノータッチ。決算も作ってくれて、予算作りはなぜか私がずっとやってる。
普及担当には、映画を借りてくるという仕事があった頃もあった。あれは面倒だった。行事記録を提出させて、それをファイリングするという日常業務もあった。→映画はなくなった。行事記録のファイリングは総務課がやってくれる。
とまあ、今と昔では仕事内容が変わった。とはいえ今でもけっこう時間がとられる。なので、伝統的に普及見習い→普及→友の会を1年ずつ担当して、上がり。というのが通常パターン。だいたい生涯に2クール担当したら、OKというイメージ。
今日の会議で、来年度以降の担当を考えていて、過去の担当パターンはどうだったのか?という話になった。まだ2クール終わってないのは誰だ?という話でもある。で、過去を再現しようとするのだけど、意外と手強い。古い時代の会議記録が意外ときちんと残っていない。
3年目の友の会担当は遡りやすい。友の会のファイルや合宿担当、フォルダに名前を残すから。が、普及担当は少し振り返りにくい。標本同定会の担当が判ればなんとかなる。あるいは友の会評議員会記録をとる担当なので、そのメールを見れば良い。が、普及見習いが難しい。会議記録を見つけるか、友の会事務局紹介を見つけないと確定させられない。イレギュラーがあるので、普及担当の一年前とは限らないのが痛い。ってゆうか、ちゃんと会議記録をファイリングしてないのは何故?
●2022年10月13日 永久保管用がない!
博物館は毎年、いくつものタイトルを出版する。ほぼ毎年出版するのが、館報、研究報告、自然誌研究、収蔵資料目録、特別展解説書、ミニガイドの6シリーズで、年によっては展示解説だの、なんちゃら報告書だの、他にも出版したりする。このパターンが定着したのは、自然史博物館に名をかえた1974年。そろそろ50年近くになる。ざくっとかぞえて、6タイトル×50年で、300冊くらいあることになる。で、出版物は、それぞれ5冊程度、永久保管することになっている。
永久保管する場所が手狭になったので、場所を変えようということになった。で、図書担当のスタッフが、全体をチェックしてくれた。するとなんということでしょう。永久保管用が確保されていないタイトルが、いっぱいあることが判明した。
出版物は、おおむね(ほぼ館報以外)販売用と寄贈交換用に分けられる。永久保管用の5冊は、寄贈交換用から出すことになっているので、寄贈交換用の在庫をチェック。寄贈交換用があれば、そこから永久保管用を確保。が、しかし、永久保管5冊が確保されていないのに、寄贈交換用がもう残っていない巻号がいくつもある! ってゆうか60点ちょっとある。
仕方が無いので、学芸員が手元に持ってるのを、永久保管用に供出させることにしよう。と勝手に決めた。まず、自分の持ってるのを漁る。出版のたびに学芸員全員に配られるんだけど、正直別にいらないのが多い。場所ばかりとるし。個人的には片付いて有り難い。
自分のところを漁っただけでは足らないので、館長室、尻尾、おかん、次々と古株が持ってるのを徴発する。それでも揃わないので、学芸員全員に足らないリストを流して、手元にあって要らなければ供出するようにというお触れを出す。すると、まだ新人のカワウソ君が何冊か提供してくれた。まだ新人なのに、どうしてそんなの持ってるんだろう?
1990年代後半以降の、自分が出版に関わった印刷物も在庫がないのがあるから、新人くんが持っていてもおかしくないといえば、おかしくない。例えば、
・1999年の都市の自然展の解説書
・2001年の地域自然誌展示室の展示解説
・2004年の大和川展の解説書
・2012年のハチ展の解説書
永久保管用がないのは、印刷ができた時に担当者がきちんと処理していないのが悪い。だとしても、新しい出版物なのに寄贈交換用がないとはけっこうショック。来年度から2回目の大和川展に向けた調査が始まるけど、前の大和川展の解説書がなかったら、なにかと不便だなぁ。
●2022年10月10日 雨中での鳥見に霧中
当初から天気予報が微妙だった。雨が降るような降らないような。前日夕方時点で、気象庁とウェザーニュースの意見が一致して、明け方までは雨が降るが、午前9時頃には上がってる。集合時刻は午前10時なので大丈夫だろう。ということで、サークルでの鳥の観察会の実施を決断。決行をアナウンスした。
観察会の場所は、八尾市の山手。生駒山地の南より。近鉄電車に乗って、生駒山地が見えてくると、なんか微妙なのに気づく。平地の雨はその時点であがっていたが、山の上は雲の中なんですけど?
集合場所にケーブルカーで上がっていきながら、重大な間違いに気づいた。たとえ雨が上がっても、ガスってたら鳥が見えない〜。
というわけで、雨が上がると信じて集まった7名。集合場所のケーブルカーの上の駅は、霧の中。それどころか小雨が降り続いている。もう午前10時なのに! 天気予報はどうなってるんだ!
でもまあ、少なくとも雨はじきに上がるんだろうと、歩き始める。小雨はいいとしても、ガスの中で鳥が見えない。見えてもシルエット状態。一方で、声からすると鳥の気配は多い。鳥はいるのに、鳥が見えない。やがて、雨が強くなってきた。仕方がないので雨宿りして、雨具を出す。
雨は止まないので、再び歩き出す。その後、強くなったり弱くなったりはあるものの、雨は降り続く。北の方まで尾根筋を歩いていく予定だったが、断念して途中で山を下る。途中離脱ルートも予定しておいてよかった。下る途中の水呑地蔵で、昼食。雨はむしろ強くなる。
昼食後、さらに下ると、ガスは晴れてきた。でも雨は止まない。結局、山の上だけでなく、平地も再び雨は降りだしていた。上も雨、下も雨。天気予報はなんだったんだ! でも、下ではガスがないので鳥が見える。降りてきて初めて、目標のヒタキ類を観察できた。
というわけで、いい加減な天気予報に祟られた1日。比較的暖かい日だったので、風邪をひかずに済んでよかった。
もう一つよかったのは、さんざん天気予報の悪口を言ってあれだけど、雨の日の鳥の様子が観察できたこと。
カラ類やヒタキ類は雨の中でも、よく活動していた。タカは渡ってなかったけど、ヒヨドリの群は動いていたので、渡っているんじゃないかと思う。タカ類が活動していないなら、雨の中での活動の方が安全なのかもしれない。
●2022年10月9日 フェスティバルの新型コロナウイルス対策
新型コロナウイルスの新規陽性者数は、今もけっこうな数字を叩き出し続けているけど、死亡者もそこそこいるし、後遺症で苦しんでいる人は多い。ワクチン打ってるので、重症化や死亡のリスクは低いはず。とはいえ、後遺症が嫌なので(どんな条件で後遺症が残るのか判らないし、治療法もない)、まだ感染はしたくない。世の中はまるで、もう新型コロナウイルス感染症はないかのような雰囲気。
それでいいのかは、さておき、自由に活動できるのはメリットではある。すっかりなんでもありになったのかと思っていたら、5000人を超えるイベントを実施する際には、感染防止安全計画というのを策定して、府に提出しなくてはならないらしい。サイトを見る限り、人数の上限が5000人なので、2日ののべ人数が1万人を超えても、同時に5000人は超えないフェスティバルは対象外にしか読めない。のだけど、感染防止安全計画を策定して提出しろとのお達し。少し納得がいかないけど、まあ作ってみよう。
ただ、その様式が、大声を出す・出さないの区分けはさておき、接触感染、飛沫感染、エアロゾル感染を分けて書くようになっていたり、いろいろ面倒。とにかく行う対策は次の通り。
・朝、家で検温。発熱していたり、風邪の症状があったら参加を見合わせるよう要請。
・会場入口で、検温、アルコール設置。会場内にもアルコール設置。各ブースでは各出展者に、アルコールなどの準備を要請。
・スタッフ、出展者、来場者全員に対して、マスクの着用を要請。
・定員を設定。3つの会場それぞれ、400人、500人、600人。午前にこの人数を超える可能性はないので、午後には定期的に人数カウントを行って、超えそうになれば入場制限。人数制限があるので、各ブースのスタッフ数を制限。
・講堂などのイベントを実施する部屋では定員を遵守。入れない人向けにライブ配信も実施。
・屋内会場は換気ストロングに。あの会場は、大物の搬入扉の開放の予定。CO2メーターを設置して、500PPMを超えないかモニタリング。
・屋内と、ブースでの食事を禁止。来場者には屋外に食事スペース。出展者には、食事用の部屋を設定(定員遵守で、黙って食う)。
というプランなんだけど、どうかな。
●2022年10月8日 リス祭り2
2018年に大分県で駆除されたタイワンリスを20匹寄贈頂いた。その後、コロナ禍への突入などもあり、処理しないままだったが、8月に9匹、今日も9匹と処理を完了した(残る2匹は外来生物展用の本剥製になった)。いっぱい並べてまとめて見ると、いろいろ気づいて面白い。
今日はベテラン2人で4匹処理して、残りは初心者5組が処理した。尻尾を失敗されたら哀しいので、今回もベテランさんが先に尻尾を剥いた。そして手首・足首より先は剥かずに、皮に残していいことにしたので、処理はものすごく簡単。7組中5組は筒剥き、2人は開きにしていた。筒剥きの方が可愛かった〜、と2人から不満の声が…。
今回の9匹中、オスが4匹、メスが5匹。前回と合わせると、オスが7匹、メスが11匹。メスの方が少し捕れやすいのかな。
今回の9匹の内、2匹は尾長が12cm、12cmと短め。前回と合わせると、18匹中4匹の尾が短い。短いのはオス1匹、メス3匹。ケンカして尾が切れるという訳でもないのかな? 今日の1匹と前回の1匹(どちらもメス)は、短い尾の先の骨が枝分かれしていた。少し再生して、それが変になるのかな?
腹の色は、9匹中8匹は、背よりも多少なりと色が薄い。前回と合わせると、18匹中16匹は腹の色が薄い。今回の腹が茶色がかっているのが1匹、前回と合わせると4匹の腹が茶色がかっている(性別は、オス1匹、メス3匹)。背と腹の色が同じなのは、前回と合わせても2匹だけ。
前肢の付け根の内側に、多少なりともオレンジ色があるのは、オス1匹・メス3匹。前回と合わせると、オレンジ色があるのは、オス1匹とメス6匹。メスの方がオレンジ色になりやすいのかな?
今回処理した9匹はすべて11月に採集されている。その内、2匹は精巣が発達し、2匹は乳首・乳房が発達していた。前回処理の9匹でも、11月に捕れたオス3匹の精巣が発達していた。11月はけっこう交尾期に思える。
●2022年10月7日 和歌山県紀の川沿いでコシアカツバメの大群
和歌山県と大阪府の境界少し南側に住んでいる知人が、10月6日に地元でコシアカツバメの大群にであった。と、SNSに書いていた。9月から10月前半を中心にコシアカツバメの渡りの季節で、あちこちでコシアカツバメの大群に遭遇する。多ければ数100羽。ふだんそれほど大群に出会う鳥ではないので、物珍しい。なので、教えてくれたり、つぶやかれることがあって、なんとなく情報を得ることが出来る。
今回のは、紀ノ川の北側、粉河駅前のことらしい。400羽以上、初めて見た!と書いてあるけど、たぶん毎年来てるんだろうなぁ。滞在期間が短いので、たまたま出会わないと気づかないということが多いはず。
10月5日には平池でも400羽以上のコシアカツバメがいたというコメントが書かれていた。さらに大阪で居住しているものの出身は和歌山な方が、2019年9月下旬に九度山町でコシアカツバメの大群を見たと。さらにその方は、1970年代に和歌山市内で毎年1日だけ、ツバメ類の大群が出現していたという話を聞いたと。
どうやら昔からコシアカツバメの大群が、秋の紀ノ川沿いを通過しているらしい。ちなみに今は紀ノ川ではなく、紀の川であると注意された…。
ちなみに1960年代のこの季節、寝屋川市でも毎年電線にコシアカツバメの大群がいたという話も出てる。淀川沿いでは、数100羽のコシアカツバメが乱舞していたりするから、今もこの寝屋川集団も存在しているのかもしれない。
ちなみに関西では、奈良県の曽爾高原、橿原市、大阪府の池田市、兵庫県の宝塚市でもコシアカツバメの集団が知られている。西では香川県や広島県から報告がある。
というのを総合すると、曽爾高原→橿原市→紀の川沿い→香川県というコースと、寝屋川市→池田市→宝塚市→広島県という2つのコースがあるんじゃないかという妄想が膨らむ。
●2022年10月6日 大阪の市街地の学校で巣箱かけ
大阪市内の中学生から、巣箱かけがしたいのでアドバイスをというメールがきた。SDGsな取り組みの授業での活動らしい。どうも学校の木を切った材があるから、それを有効活用したい、ということらしい。それ自体は結構なことだと思う。
ただ質問内容を見るに、巣箱かけ=野鳥の保護、という単純な図式を考えている。さらにそれがSDGsな取り組みだと思ってる。企画自体を、丸ごとぶっ潰すのは心が痛いけど、嘘はつけない。できるだけ、マイルドに答えたのが以下の回答。細かい質問もついていて、それにも答えたけど、ここでは要約にとどめた。
<以下、返信>
問い合わせのメールをありがとうございます。
大阪市立自然史博物館からの答えを求められているようですが、そういったものは存在しておらず、作ろうとすると時間がかかるので、以下は私の個人的見解です。
まず重要なのは、鳥にとって巣箱は、おもに穴やすき間で営巣する種にとってしか意味を持たないということです。大部分の鳥は巣箱を利用しません。つまり大部分の鳥の保護にはまったくつながりません。
次に重要なのは、巣箱をどんな鳥が利用するかは、
・巣箱を設置する場所周辺でどんな鳥が繁殖しているか
で絞られ、
・巣箱の入口の大きさ
で決まるということです。巣箱の大きさや形自体はあまり関係ありません。重要なのは入口です。
付け加えると、巣箱は、一度作ったら終わりではなく、毎年メンテナンスが必要です。中を掃除して、必要なら修理、場合によってはかけかえます。メンテナンスしていない巣場所は数年でただのゴミになりがちです。
あと、質問を答える上で、ターゲットが決まらないと、どうしていいかの助言も難しいです。 以上を踏まえた上で、質問に判る範囲で答えると、
・巣箱を作る際に気をつけるべきは、入口の大きさです。狙いの鳥に合わせたサイズにしないと、狙い以外の鳥が入ります。入口は普通丸くしますが、直径2-3mmの違いで結果は分かれます。
・大阪市の市街地で巣箱に入る鳥は限られていて、私が知る限りでは、利用するのはスズメ、ムクドリ、シジュウカラの3種だけです。私が勝手に判断すると、3種ともごく普通種で、とりたてて保護の必要は感じません。
・どんな地域・環境に巣箱をかけるかで、利用する鳥は変わります。ちなみに、極めて高密度でかけると、かえって捕食されやすくなるという報告があります。上が簡単にあけられる構造だと、カラスが開け方を覚えて襲う可能性があります。
以上を要約すると、
なんとなくの巣箱掛けそれ自体は、大部分の鳥には直接の関係のない活動です。材木を使って何かするなら、水場をつくるなどの方が多くの鳥に関係します。
鳥の生息環境の保全につながるような活動をするなら、まず身近にどんな鳥が暮らしているかを知ることから始める方がいいと思います。水場に来る鳥を観察・記録するとか。
余計なお世話とは思いますが、巣箱をかけたらどうなったかを報告しているかを、サイトなどでいいので、調べてみることをオススメします。
さらに余計なコメントですが、市街地で巣箱をかけることは、鳥だけの視点だとあまり意味がないのですが、木の上に穴の開いた構造物ができること自体は、昆虫やクモにとっては(場所によっては哺乳類などにも)、新たな生息空間の提供につながります。古くなって朽ちてきたら、材木の中にもいろんな生きものが暮らすでしょう。
樹洞や枯れ木といったものが少なめな環境では、鳥以外にとっては、巣箱掛けが意味を持つ可能性はありそうに思います。
●2022年10月5日 カタニア先生は、キモい生きものに夢中!
という本を読んだ。副題に「その不思議な行動・進化の謎をとく」とある。まさに副題通りの内容で、とても面白かった。原題は「Great Adaptations Star-nosed Moles, Electric Eels, and Other Tales」。原題はちゃんとしてるのに、邦題がクソ。「残念な〜」的な売れてる本にあやかったんだろうけど。あれが、その筋ではものすごく評判が悪い(タイトルも中身も)のを知らないのだろうか? 邦題がダメなせいで、この内容に興味を持ちそうな人が、この本を手に取らない可能性が、かなりありそう。とても残念。
ホシバナモグラ、ヒゲミズヘビ、トウブモグラ、ミズベトガリネズミ、デンキウナギ、エメラルドゴキブリバチ。さまざまな動物のおもに捕食行動を、それぞれの動物の独特な感覚世界と行動様式から解き明かしていく。至近要因を解明する古典的な動物行動学に、最新のテクノロジーを投入した感じ。
とまあ、全体的に面白いのだけど、とても気になったのは、ワームグランティング。
ワームグランティングというのは、アメリカ合衆国で古くから行われているミミズ採集の手法。釣り餌用に商業的に成り立つくらいミミズ需要があるらしい。で、副業どころか、専門にミミズ採りをする業者がいるんだそうな。その専門家が行うのがワークグランティング。
地面に杭を叩き込んで、その杭のてっぺんをこする。つまり振動を地面の中に伝える。適切な場所で、適切な振動を与えると、大量のミミズが地面がから出てくるらしい。杭の打ち込み具合で、振動数が違うので、打ち込みながら正しい振動数を探るとか面白い。立木を切ってこすっても同じことができるとか。一度試してみたい気がする。
ここでポイントは、適切な振動を与えるとミミズが出てくるということ。どうもミミズ以外の土壌中の動物も出てくるらしい。となると、地上に出てきたところを食べるという採食方法がありうる。実際、ティンバーゲンは『セグロカモメの世界』の中で、セグロカモメが砂の上で、フットパドリングすることを報告してるんだそうな(地面から出てきた虫を食べてるのかな?)。モリイシガメでは、地団駄踏んで、出てきたミミズを食べることが報告されているという。
となると思い起こすは、ヤマシギやトラツグミのダンス。あれはミミズなどを地面から出て来させる意味があるのかもしれないのか。彼らが踊っていた辺りで、地面を叩けば何か分かるかも。
●2022年10月4日 博物館の図書の課題
博物館は課題ごとに委員会が組織されてて、といっても担当者が数人いるだけだけど、そこで話し合って課題を解決するというか回すというか。で、図書関係には図書委員会。
今日は、図書委員会が開催されて、現在の課題が話し合われた。ふだんは、図書委員会の個々のメンバーが、日常業務を分担していて、それを回していけば間に合う。なんかあっても、関係の人が話し合って解決・決定して進めていくから、わざわざ委員会は開かない。というわけで、図書委員会の開催は数年ぶり。
図書委員会の開催の理由は、中期目標の更新のため。ということで、解決すべき図書委員会的課題を話し合う。といっても、4大課題は変わらない。
・書庫が狭いので、拡張したい。
・きちんと司書を配置したい。
・所蔵図書(単行本・雑誌)の情報を公開しなくては。
・コピーサービスを開始したい。
上ほど、ハードルの高い課題だな。
その他に今日話し合われた課題は、
・出版物の永久保管問題:最近過去の出版物の永久保管5冊を整理して、新たな場所にまとめた。すると、保管されていない出版物が見つかった。
→すでに在庫がないものは、退職した職員の在庫などで見つけたら確保の必要がある。
→研究誌はすでにデジタルアーカイブ化を進めているが、他の出版物のデジタルアーカイブ化を進めた方がよい。
・紙媒体の図書以外の収集・保存・整理:紙媒体以外の出版物、図書以外の資料の整理ができていない。
→デジタルのみの出版物の扱いは難しい。すべてプリントアウトやハードディスクにダウンロードは現実的ではない。国内の地域の自然の情報としては、レッドリスト・外来生物リスト系は、改訂されると古いものが失われる。それはハードディスクにダウンロードして保存しておいた方が良い。CD-ROMで提供された出版物も、放置すると読めなくなるので、ハードディスクでの保存が必要。
→画像の整理はまったく進んでいない。学芸員個人持ちの画像でも収集して保存の必要があるものがある。
→フィールドノートなど、図書以外でも重要な情報が載っている媒体がある。そのアーカイブ化を考える必要がある。近年では、SNSやブログを含めた保存が必要。
→別刷りが大量にあるが、未整理のまま。少なくとも紙媒体の別刷り文化はすでに廃れかけている。過去の別刷りは入力までしていると労力がかかりすぎなので、著者名で分類して分けて保存するに止める。
というわけで、4大課題が、6大課題になったのである。
●2022年10月2日 泥に沈む中学生
中高生と断層観察へ。有馬ー高槻断層の西端を見にいく、と言われて、花崗岩でガレガレの川を遡る。あまり虫はいないし、鳥もいなくてつまらない。どこが断層と訊ねても、ここらへん全部断層。と言われるだけで釈然としない。で、ある場所で立ち止まって説明が始まった。ここらへん全部が断層だけど、ここが分かりやすい場所とかで、断層粘土があるんだそうな。断層が動くことですり潰されて、動いた辺りに粘度ができるらしい。とりあえず、初めて聞く四文字熟語ではあった。メインの断層の解説はすぐ終わると言われていたけど、確かに5分もかからず終わった。
さらに川を遡って、尾根にでて、あとは降ってバス停に行くだけ。ってところで、小さな池に寄り道。といって連れて行かれた。2週間前の下見の時は池だったらしいが、今日は水が抜けてる。そこになんか足跡がある。沈みそうだなと思いながら、見に行ったらアライグマの足跡だった。振り返ってアライグマの足跡であると説明してたら、中学生が次々と泥に沈んでいく。体重軽いくせに、同じ場所にじっとしていたり、片足だけに体重かけたりしてたんだろう。
大部分は、靴が泥まみれになっただけだったが、2人ほどは、かなり沈んでる。くるぶしよりも上まで沈んで、抜けない!と盛り上がってる。靴残しで足だけ抜いて、あとから靴を引っ張り出せ。と言ったら、脱出できた。かと思ったら、もう一方の足をまた沈めただけだった。仕方がないので、引っ張り出して、靴は掘り返してやった。こっちも手と足が泥まみれになった。でも、妙に楽しい。
泥だらけの集団は、そのままバス停に向かって歩く。途中チョロチョロ湧き水があったので、手を洗う。さらに行くと水が流れる溝に遭遇。みんなで足をつけて靴を洗う。深く沈んだやつは、ズボンまで洗う。ようやくバスに乗れる状態に戻れてよかった。
あのくらいの泥で沈むとは。泥干潟に連れて行ったら、さぞかし楽しいだろう。と、学芸員で相談する。その時は、着替え一式を用意させなくては。
●2022年10月1日 鳥の調査の勉強会 2022年度3回目
だいたい年3回ペースで集まって、研究計画、データの整理・まとめ、論文化といった鳥の調査のやりとりをする勉強会。昨年、一昨年と、コロナ禍でできなかったり、リモート実施になってりしていたが、今年は無事に3回とも対面で集まれた。
今日は、厚みのあるデータをもってきた方が多くて、面白かった。未発表データなので、データの中身は紹介できないが、そのテーマの気になる点を記録しておこう。
・ツバメの子育ての雌雄の役割分担:給餌回数は、おそらくヒナ数、ヒナの大きさ、エサの重さの関数。そして、ヒナ1羽辺りの給餌量が、巣立ちまでの日数に影響しているんじゃないかと。だとしたら、エサの大きさを知りたい。
・コムクドリの渡り途中の換羽:中継地でどこからどこまでの換羽をするのかに絡み、雌雄で換羽と渡りのタイミングが違うのかが気になるところ。
・公園で見つかる捕食痕:捕食者は誰かという点はさておき、どの季節にどんな鳥がよく喰われているか、っていう点が明らかになれば、充分興味深い。ただ、調査地は2018年以降、台風、新型コロナ、工事と変化が激しいので、複数年はプールしない方が吉かと。
・スズメの砂浴び:砂の質の好みが判れば充分面白い。季節による違いがあれば、さらにグー。
・カワラヒワの換羽:京都では、営巣地の林で少し換羽してから、河川敷に移動して続きを換羽するという。公園内で、換羽場所を途中で変えてる可能性はあるのかな?
・浜に打ち上がる斃死鳥:毎年の量を比較するなら、エフォートをそろえたいけど、調査のタイミングで話も違いそう。打ち上がった死体はだいたいたまっていくから、打ち上がり時期の最後に一度調査すればすべて押さえられる。というなら簡単だけど、そうもいかないかなぁ。でも、おおむねそう言えるなら、それでいいか。